【実施例1】
【0043】
図1には、本発明の一実施例のCOボイラ1の正面図を示し、
図2には、
図1のCOボイラ1の側面図を示し、
図3には、
図1のCOボイラの炉底(底壁)の平面図(底面図)を示す。
火炉3は水平断面が四角形であり、後壁19上部に設けたくびれ部であるノーズ5と、ノーズ5よりも上方に設けた排ガス出口7と、排ガス出口7に設けた過熱器9などから構成される。
【0044】
火炉3の前壁11には助燃燃料を燃焼用空気により燃焼する助燃バーナ13が設けられ、助燃バーナ13よりも下方にCOを含むガスを投入するCOガスポート15が設けられている。
【0045】
図4には、助燃バーナ13を油バーナとした場合の一例(一部断面を示す平面図)を示す。
助燃バーナ13は、円筒状のスリーブ29を備え、スリーブ29の内部には、一次空気流路33と、中心軸に設けた助燃用の燃料ノズル31とを備えている。また、一次空気流路33の外周部には燃焼用二次空気流路35が設けられている。一次空気流路33と燃焼用二次空気流路35には火炉側壁の外側に配置される風箱39から燃焼用空気が供給される。一次空気流路33にスライド式に開閉自在に設けられたダンパ41によりスリーブ29の開口部の開閉度合を調整して一次空気流が形成され一次空気が供給される。二次空気流路35にはエアレジスタ37を設け、エアレジスタ37によって燃焼用空気流が形成されて燃焼用空気が供給される。
【0046】
エアレジスタ37は、燃焼用空気を流したり止めたりする仕切り(ダンパ)であり、バーナから噴射される燃料に燃焼用空気を供給するが、燃焼用空気を燃料と混合する際、燃焼用空気に旋回を与え、火炎手前では極力空気の混合を抑制したり、火炎手前より少しずつ混合したりして、燃焼性を調整したり、火炎を安定させるための空気流を調整する機能をもつ。なお、エアレジスタ37には案内羽根を利用する軸流式など種々のものがある。
【0047】
そして、エアレジスタ37は図示しない開閉機構や制御装置などにより作動することで、旋回力(スワール数)の強弱や燃焼用空気の流量及び流速を調整、制御可能である。ダンパ41も同様に、一次空気の流量とそれらの流速が制御される。なお、スワール数とは、旋回を伴う流れにおいて、旋回の強さを表す無次元数であり、スワール数が大きいほど旋回の強い流れとなる。
【0048】
RFCC装置から発生するCOを含むガスは、組成がN
2:70%、CO
2:12%、CO:4%、H
2O:13%、その他:1%(vol%)であり、温度が700℃、流量が1時間あたり500トンの条件でCOガスポート15から火炉3(奥行7m、高さ10m、巾10m程度の燃焼炉)に投入される。
【0049】
COを含むガスは低カロリーであり且つ低濃度であるため、安定燃焼を保持するために助燃燃料による補助燃焼が必要となる。助燃バーナ13からは助燃燃料が燃焼用空気と共に火炉3に投入される。なお、
図4では油バーナの例を示しているが、ガスバーナでも良く、また助燃燃料としては、油、ガス、副生油、副生ガス等特に指定はないが、例えばLPGなどで良い。
【0050】
火炉3内の燃焼によって発生する排ガスは、出口7から過熱器9を通り矢印A方向に流れて、図示しない脱硝装置、脱硫装置、電気集塵機などを経て煙突から排出される。
COガスポート15は助燃バーナ13よりも下方の前壁11、側壁17、後壁19、炉底21などに設けることで、火炉3に投入されたCOガスが、上方の排ガス出口7に向かって流れる間に助燃バーナ13の火炎と接触するため、燃焼が十分に行われる。また、助燃バーナ13よりも下方の空間にもCOガスが滞留するため、火炉3内の空間は有効に利用される。
【0051】
また、助燃バーナ13が前壁11にのみ設置されていることで、COガスは助燃バーナ13の噴射方向(矢印Bで示す)に沿って火炎に同伴しながら、COは燃焼され、その燃焼ガスは、ノーズ5のある後壁19側へと流れた後、後壁19に沿って上昇し、その後ノーズ5に沿って再度助燃バーナ13を取り付けた前壁11に向かいながら上昇する。
【0052】
したがって、COガスの火炉3内の滞留時間が確保され、COガスの燃焼を十分に行うことが可能となる。なお、助燃バーナ13は前壁11の下部に設置すると、火炉3の下部空間を有効に利用でき、つまり、その空間に一時滞留するCOガスは、助燃バーナの火炎からの輻射熱により、COガスを高温に維持でき、そのCOガスの燃焼を促進することができる。
COガスポート15は複数の壁に設けても良い。
【0053】
燃焼用空気である二次空気はバーナ火炎を包み込んで燃焼を安定化させるために必要であるが、エアレジスタ37により燃焼用空気である二次空気の旋回力を弱める、すなわちスワール数を減少させることで、燃焼用空気の直進方向の流速を大きくすることができる。
【0054】
スワール数Sは、燃焼工学ハンドブック(初版、日本機械学会発行、1995年7月25日、応用編158頁)で示される下記(1)式により定義されている。
S = Gφ/(G
x・r) (1)
ただし、Gφは噴流の角運動量(周方向の角運動量)、G
xは噴流の軸運動量(軸方向の運動量)、rはバーナの出口径である。
【0055】
スワール数を0.6の強い旋回とした場合は出口7のCOガス濃度は500ppmを超えたが、それよりも弱い旋回である、例えば0.1〜0.35とした場合は出口7のCOガス濃度が約60ppm以下に抑えられ、COガス濃度の削減効果が顕著であることが分かった。
【0056】
燃焼用空気の直進方向の流速が大きいと、COガスのノーズ5側の後壁19への流れが促進され、助燃バーナ13の火炎に沿って後壁19へ流れるCOガス量が増え、COガスの火炉3内の滞留時間がより確保される。したがって出口7のCOガス濃度を更に低下させることができる。
【0057】
なお、COガスポート15を助燃バーナ13の下方の前壁11に設ける場合は、炉底に設ける場合と比べて、助燃バーナ13との配置上の制約があるが、助燃バーナ13の噴出方向に沿ってCOガスが投入され、直進方向の流速が大きい助燃バーナ13から噴射される火炎に同伴されながらCOガスは燃焼され、後壁19側へと流れながら上昇するようになり、COガスポート15を炉底に設けた場合と同様な効果が得られる。
【0058】
図3には、炉底21にCOガスポート15を設置した例を示しているが、この場合は特にCOガスが炉底21にも溜まるため、火炉3の下部の空間をより有効に利用できる。また、炉底21には燃焼装置等の装置や部材等がないため、この部分を有効利用することでCOガスの処理量が多くても処理量に制限されず、COガスポート15の開口面積を大きくとることが可能である。
【0059】
図2にはCOガスの流れ(矢印C)を示す。炉底21から投入されるCOガスは、助燃バーナ13からの助燃燃料と燃焼用空気、また排ガスの流れによって後壁19側に流される。そして火炉3内を上昇しながら、燃焼用空気からの酸素、着火源である火炎、高温雰囲気などの燃焼条件が確保された状態で、後壁上部のノーズ5に当たり、火炉3内を循環して出口7へと流れる。したがって、COガスポート15を炉底21に設けた場合は、火炉3内のCOガス流路が長く確保されるため、更なるCOガスの滞留時間の確保が可能となり、出口7におけるCOガス濃度を低下させることができる。
【0060】
特に、COガスポート15を炉底21の前壁11側に設けると、COガスが投入直後に助燃バーナ13からの火炎と直交する形で接触するため火炎と混合しながら後壁19まで流れ、炉底21の前壁11側から後壁19側への流路が確保できる。したがって、COの酸化反応時間を最大限確保でき、燃焼効率が良好となる。
また、
図5に示すように、平面視における助燃バーナ13とCOガスポート15との左右方向の位置(点線Dで示す)を揃えると、COガスと助燃バーナ13からの火炎がより接触しやすくなるため好適である。
【0061】
また、COガスポート15の開口面積は、火炉3へのCOガスの投入速度が速くなりすぎないように設定すると良い。COガスの投入速度は、助燃バーナ13から投入する燃焼空気速度よりも遅く設定することにより、助燃バーナ13の火炎がCOガスを同伴しやすくする。したがって、一般的には20m/s前後の燃焼空気投入速度とし、COガスの投入速度はそれ以下の20m/s以下となり、COガスの処理量に応じてCOガスポート15の開口面積は決定される。
【0062】
火炉3へのCOガスの投入速度が速いと助燃バーナ13の火炎を貫通してしまうので、火炉3内のCOガスの滞留時間が確保できないが、火炉3へのCOガスの投入速度を20m/s以下等の適正な速度にすることで、COガスが助燃バーナ13の火炎に直交する形で衝突し、燃焼空気ともよく混合されながら同伴して十分に燃焼が可能となるので、CO濃度の低減が達成できる。
【0063】
更に、前壁11の助燃バーナ13の上方に、助燃バーナ13での燃料の燃焼に不足する燃焼用空気を火炉3内に噴出するアフターエアポート27を設置して二段燃焼を行えば助燃燃料の燃焼時に発生するNOxを低減できる。
つまり、助燃バーナの空気比を1.0より少なくして、燃料に燃焼用空気を供給することにより、緩慢燃焼を行いサーマルNOxの発生を抑制しつつCOガスを燃焼させ、火炉3の出口7において、アフターエアポート27から燃焼に必要な空気量の残りの燃焼空気を、火炉3を上昇してきた燃焼ガスに供給して、その燃焼ガスに含まれるCOと未燃分を燃焼させる。この燃焼により、NOxの発生量の抑制とCO濃度の低減を合わせて達成することができる。
【実施例3】
【0066】
図8には、本発明の他の実施例のCOボイラ1の正面図を示し、
図9には、
図8のCOボイラ1の側面図を示し、
図10には、
図8のCOボイラ1の底面図を示す。なお、分かりやすいように、
図10には耐火材23の設置箇所を示している。
本実施例は、火炉3の側壁19の一部と前壁11の下部に耐火材23を設置したものであり、その他の構成は実施例1と同じであるため、同じ部材の説明は省略する。
【0067】
助燃バーナ13の周囲の壁を耐火構造とし、壁自体を耐火材23によって構成したり、壁面に耐火材23を設けたりしても良い。耐火材23は、助燃バーナ13の周囲を取り囲むように設ける。耐火材23を設置することで壁からの熱放散を抑制することができ、火炉3内の助燃バーナ13の火炎の周辺部に高温域を形成することができる。
【0068】
燃焼用空気は空気予熱器(図示せず)により250〜350℃に予熱した後、助燃バーナ13に供給する。また、耐火材23を前壁11や側壁17の下端部から設置するので、炉底21のCOガスポート15から流入するCOガスの温度低下を防止できる。
【0069】
耐火材23としては、JIS R 2001で規定されている耐火煉瓦、耐火モルタルなどがある。例えば、シリカ・アルミナを主成分としたキャスタブル耐火材(キャスターともいう)やプラスティック耐火物などがある。
耐火材23はCOガス含有ガス温度やその成分によって、火炉3における施工範囲を調整することとなる。
【0070】
このような耐火構造により高温域が維持できることから、助燃バーナ13から供給される250〜350℃の燃焼用空気が燃料と混合される際の温度降下は小さく、瞬時にCOの酸化反応速度が促進される温度の700℃以上を確保でき、更にCOガスの混合時点でもCOガスの速度が700℃であることから温度降下は生じず、COの酸化反応速度が増加するため、COガスの濃度を大幅に下げることができる。
【0071】
なお、実施例1のようにCOガスポート15を炉底21の前壁11側に設けたり、平面視における助燃バーナ13とCOガスポート15との左右方向の位置を揃えたり、エアレジスタ37による燃焼用空気の旋回力を調整したり、COガスポート15の開口面積をCOガスの流速を調整するために適宜変更したり、アフターエアポート27を設置して二段燃焼を行っても良いことは言うまでもない。また、実施例2のように火炉3の水平断面が円形の場合は、助燃バーナ13周囲の側壁に耐火材23を設置すれば良い。