特許第5958873号(P5958873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958873
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】機械工具の制御方法及び機械工具
(51)【国際特許分類】
   B25D 13/00 20060101AFI20160719BHJP
   B21J 15/24 20060101ALI20160719BHJP
   B21J 15/22 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B25D13/00
   B21J15/24 Z
   B21J15/22 Z
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-516544(P2015-516544)
(86)(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公表番号】特表2015-523225(P2015-523225A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2013061042
(87)【国際公開番号】WO2013186050
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】102012210101.2
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ブララ ダリオ
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−167783(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0065226(US,A1)
【文献】 特表2008−544871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D1/00−17/32
B25C1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械工具の制御方法であって、
前記機械工具は、
チゼル工具が移動軸に沿って移動可能であるように、該チゼル工具を支持する工具レセプタクルと、
磁気−空気打撃機構と、を含み、
前記磁気−空気打撃機構は、
前記移動軸の周りに配置され、かつ、第1磁気コイル、永久かつ半径方向に磁化されたリング磁石、及び第2磁気コイルを、打撃方向に順に含む主ドライブと、
前記第1及び第2磁気コイル内の前記移動軸上で前記打撃方向に相互に続く打撃子及びリベット打ちヘッドと、
前記打撃方向に前記打撃子に作用する空気バネと、を含み、
前記制御方法は、
前記打撃方向と反対方向への前記打撃子の移動中に圧力センサによって前記空気バネ内の圧力を測定する段階と、
前記空気バネ内の前記圧力が低下し始めた時にコントローラによって加速段階を開始する段階と、
前記打撃方向への前記加速段階中に前記主ドライブによって前記打撃子を加速する段階と、
を含み、
前記打撃子は、該打撃子の運動エネルギが前記空気バネの選択された圧縮を達成するのに十分になるまで、能動回復段階で、前記打撃方向に対抗して前記主ドライブによって加速され、
前記能動回復段階中に、予測ユニットが、前記主ドライブのサポートなしで達成可能である前記空気バネの圧縮を連続的に推測することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記第1磁気コイル内に該第1磁気コイルによって発生された第1磁場が、前記加速段階で、前記リング磁石の磁場に、弱め合うように重ね合わされ、
前記第2磁気コイル内に該第2磁気コイルによって発生された第2磁場が、前記加速段階で、前記リング磁石の磁場に、強め合うように重ね合わされることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記主ドライブが停止される静止段階が、前記能動回復段階に続くことを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項4】
前記静止段階の持続時間が、前記能動回復段階の持続時間の少なくとも10%であることを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記選択された圧縮での前記空気バネの位置エネルギが、前記打撃子の衝撃エネルギの25%から40%までの間のエネルギに相当することを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項6】
機械工具であって、
前記機械工具は、
チゼル工具が移動軸に沿って移動可能であるように、該チゼル工具を支持する工具レセプタクルと、
磁気―空気打撃機構と、を含み、
前記磁気―空気打撃機構は、
前記移動軸の周りに配置され、かつ、第1磁気コイル、永久かつ半径方向に磁化されたリング磁石、及び第2磁気コイルを、打撃方向の順に含む主ドライブと、
前記第1及び第2磁気コイル内の前記移動軸上で前記打撃方向に相互に続く打撃子及びリベット打ちヘッドと、
前記打撃方向に前記打撃子に作用する空気バネと、を含み、
前記機械工具は、前記空気バネ内の圧力が決定可能である圧力センサを更に含み、
加速段階が、前記空気バネ内の圧力が低下し始めた時に開始され、
前記打撃子は、前記打撃方向への前記加速段階中に前記主ドライブによって加速され、
前記打撃子は、該打撃子の運動エネルギが前記空気バネの選択された圧縮を達成するのに十分になるまで、能動回復段階で、前記打撃方向に対抗して前記主ドライブによって加速され、
予測ユニットを更に含み、
前記予測ユニットは、前記能動回復段階中に、前記主ドライブのサポートなしに達成可能である前記空気バネの圧縮を連続的に予測することを特徴とする機械工具。
【請求項7】
前記第1磁気コイル内に該第1磁気コイルによって発生された第1磁場が、前記加速段階で、前記リング磁石の磁場に、弱め合うように重ね合わされ、
前記第2磁気コイル内に該第2磁気コイルによって発生された第2磁場が、前記加速段階で、前記リング磁石の磁場に、強め合うように重ね合わされることを特徴とする請求項に記載の機械工具。
【請求項8】
前記主ドライブが停止される静止段階が、前記能動回復段階に続くことを特徴とする請求項に記載の機械工具。
【請求項9】
前記静止段階の持続時間が、前記能動回復段階の持続時間の少なくとも10%であることを特徴とする請求項に記載の機械工具。
【請求項10】
前記選択された圧縮での前記空気バネの位置エネルギが、前記打撃子の衝撃エネルギの25%から40%までの間のエネルギに相当することを特徴とする請求項に記載の機械工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チゼル工具を駆動することができる機械工具の制御方法に関する。
本出願は、2013年5月29日に出願された国際出願PCT/EP2013/061042号、及び2012年6月15日に出願されたドイツ特許明細書102012 210 101.2の優先権を主張し、それらの記載をここに明示的に援用する。
【背景技術】
【0002】
打撃子は、磁気コイルによって直接加速されて工具を打撃する。このタイプの機械工具は、公開特許US 2010/0206593から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2010/0206593
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
機械工具は、移動軸に沿ってチゼル工具を可動支持するように装備された工具レセプタクルを有する。磁気−空気打撃機構は、移動軸の周りに配置されて打撃方向順に第1磁気コイルと第2磁気コイルを有する主ドライブを含む。打撃機構は、磁気コイル内の移動軸上に打撃方向順に打撃子とリベット打ちヘッドを有する。更に、打撃機構は、打撃方向に打撃子に作用する空気バネを有する。本発明の各制御方法は、打撃と反対方向の打撃子の移動中に、圧力センサが空気バネの支配的な圧力を測定することを提供する。空気バネの圧力が低下し始めた時に、コントローラが加速段階を開始する。主ドライブは、加速段階中に打撃方向に打撃子を加速する。
【0005】
機械工具は、打撃方向に沿って第1磁気コイルと第2磁気コイルの間に例えば複数の永久磁石からなる永久かつ半径方向に磁化されたリング磁石を有することが有利である。制御方法の一実施形態によれば、第1磁気コイルによって第1磁気コイル内に発生された第1磁場は、リング磁石の磁場に、弱め合うように(destructively)重ね合わされ、第2磁気コイルによって第2磁気コイル内に発生された第2磁場は、加速段階中に、リング磁石の磁場に、強め合うように(constructively)重ね合わされる。
【0006】
一実施形態は、能動回復段階において、打撃子の運動エネルギが、打撃子の打撃エネルギの関数として選択された空気バネの圧縮を達成するのに十分になるまで、主ドライブによって打撃方向に対抗して打撃子が加速されることを提供する。空気バネの選択された圧縮に達するまで、能動回復段階の後に、好ましくは、主ドライブが停止する静止段階が続く。主ドライブの停止は、打撃機構の効率を増すのに有利であることが分かっている。主ドライブの効率は、空気バネの圧縮の増加と共に低下するが、その理由は、打撃子が益々完全に第1磁気コイルと重なるからである。例えば、静止段階の持続時間は、能動回復段階の持続時間の少なくとも10%である。
【0007】
本発明の機械工具は、移動軸に沿ってチゼル工具を可動支持するように装備された工具レセプタクルを有する。磁気−空気打撃機構は、移動軸の周りに配置されて打撃方向に相互に続く順に第1磁気コイル、すなわち、例えば永久磁石からなる永久かつ半径方向に磁化されたリング磁石と第2磁気コイルとを有する主ドライブを有する。打撃機構は、磁気コイル内の移動軸上に打撃方向順に打撃子とリベット打ちヘッドを有する。更に、打撃機構は、打撃方向に打撃子に作用する空気バネを有する。空気バネは、部分的に又は完全に第1磁気コイルの内側に配置することができる。圧力センサが、空気バネの圧力を決定するために与えられる。コントローラは、本発明又はその実施形態による制御方法を実施することができる。
【0008】
以下の説明は、例示的実施形態及び図に基づいて本発明を例示するものである。
【0009】
特に明記しない限り、同じ要素又は同じ機能を有する要素は、図において同じ参照番号で示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電気チゼルを示す図である。
図2】電気チゼルの打撃機構を示す図である。
図3】打撃子とリベット打ちヘッドの移動を示す図である。
図4】IV−IV平面の打撃機構の断面を示す図である。
図5】打撃機構の電気配線を示す図である。
図6】コントロール図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、チゼル機械工具の例として手持ち式電気チゼル1を示している。磁気−空気打撃機構2は、移動軸3上で案内される打撃子4によって周期的又は非周期的に打撃方向5に打撃を加える。工具レセプタクル6は、移動軸3上の打撃機構2と接触し、チゼル工具7を保持する。工具レセプタクル6のチゼル工具7は、移動軸3に沿って移動可能に案内され、打撃方向5の方向に打撃子によって駆動され、例えば、基材に深く入りこむことができる。ロック8は、工具レセプタクル6のチゼル工具7の軸線方向への移動を制限する。ロック8は、例えば、ピボット回転可能なストラップであり、チゼル工具7を交換可能にするためにいずれの援助がなくても、好ましくは手動でロックを解錠することができる。
【0012】
打撃機構2は、機械ハウジング9に配置される。機械ハウジング9上に形成されたハンドル10によってユーザは電気チゼル1を保持し、作動中に電気チゼルを案内することができる。ユーザが打撃機構2を作動させることができるシステムスイッチ11は、好ましくはハンドル10上に取り付けられる。システムスイッチ11は、例えば、打撃機構2のコントローラ12を起動させる。
【0013】
図2は、磁気−空気打撃機構2の縦方向断面を示している。打撃機構2は、2つの移動可能構成要素、すなわち、打撃子4とリベット打ちヘッド13のみを有する。打撃子4とリベット打ちヘッド13は、共通の移動軸3上に位置する。打撃方向5に打撃子4の後にリベット打ちヘッド13が続く。打撃子4は、移動軸3上で衝撃点14と上側反転点15の間を前後に移動する。
【0014】
衝撃点14の位置で打撃子4は、リベット打ちヘッド13を打撃する。軸に沿った衝撃点14の位置は、リベット打ちヘッド13によって予め定められている。リベット打ちヘッド13は、好ましくはその基本位置16で静止し、好ましくは各打撃の後にこの基本位置16に戻ってから次回リベット打ちヘッド13を打撃する。この好ましい作動が、以下の説明において仮定されている。しかし、磁気−空気打撃機構2は、従来の空気打撃機構2とは対照的に、リベット打ちヘッド13の実際の位置に関して高い許容誤差を有する。リベット打ちヘッドは、1回の打撃で基本位置16と比較して打撃方向5の位置から外れる可能性がある。従って、基本位置16は、打撃子4がリベット打ちヘッド13を打撃することができる打撃方向5に沿った最も早期の位置を示している。
【0015】
打撃ヘッド13からの打撃子4の距離17は、上側反転点15で最も大きく、以後打撃子4の動いた距離をストローク18と呼ぶ。図3は、3連続打撃時の打撃子4とリベット打ちヘッド13の移動の概略を時間19にわたって説明している。
【0016】
静止位置において、通常、打撃子4は、リベット打ちヘッド13に接触している。打撃するために打撃子4は、打撃方向5の反対方向に後退し、上側反転位置15に到達した後に打撃方向5の方向に加速される。打撃方向5の打撃子4の移動の最後に、打撃子4は、衝撃点14の位置でリベット打ちヘッド13を打撃する。リベット打ちヘッド13は、打撃子4の運動エネルギの半分よりも遙かに多くを吸収し、打撃方向5へ撓む。リベット打ちヘッド13は、それと接触しているチゼル工具7を打撃方向5へリベット打ちヘッド自体の前で基材内に前進させる。ユーザは、リベット打ちヘッド13がその基本位置16に、好ましくは間接的にチゼル工具7によって押し戻されるように打撃機構2を基材に対して打撃方向5の方へ押す。リベット打ちヘッド13は、打撃方向5に基本位置でハウジングに取り付けた止め具20と接触している。例えば、止め具20は、減衰要素を収容することができる。典型的なリベット打ちヘッド13は、半径方向に突出したウイング21を有し、止め具20と接触させることができる。
【0017】
打撃子4は、磁気主ドライブ22によって非接触作動で駆動される。主ドライブ22は、打撃子4を打撃方向5の反対方向に上昇させる。後述するように好ましくは、主ドライブ22は、打撃子4を上側反転位置15に上昇させるまでの間僅かに一時的に作動される。上側反転点15を通り過ぎた後、主ドライブ22は、打撃子4を衝撃点14に到達するまで加速する。上側反転点15を通り過ぎるのとほぼ同時に、主ドライブ22を作動させることができる。好ましくは、主ドライブ22は、衝撃まで作動されたままである。打撃子4が上側反転位置から打撃直前まで打撃方向5へ移動中、空気バネ23は、主ドライブ22をサポートする。空気バネ23は、打撃方向5の移動軸3上にある打撃子4の前面に配置され、打撃子4に作用する。
【0018】
打撃子4は、主として円筒形ベース本体から構成され、側面24が移動軸3と平行になる。前端面25は、打撃方向5に面する。前端面25は、平坦で打撃子4の全断面を覆う。後端面26も好ましくは平坦である。打撃子4は、案内管27内に挿入される。案内管27は、移動軸3と同軸で円筒形内壁28を有する。打撃子4の側面24は、内壁28と接触している。打撃子4は、移動軸3上の案内管27内を力で案内される。打撃子4の横断面と案内管27の中空断面は、走行のための少しの遊びを除けば正確な装着によって互いに調整されている。打撃子4は、吹き流しシールのように案内管27を密封する。製造の際の許容誤差を補償するために、ゴム製の密封リング29を側面24に挿入することができる。
【0019】
案内管27は、打撃方向5の前方端部が閉じられている。例示的な実施形態において、閉鎖器30をその断面が案内管27の中空断面に対応する案内管27へ挿入する。内向きの閉鎖区域31は、好ましくは平面で移動軸3に対して垂直になる。閉鎖器30は、基本位置16の静止リベット打ちヘッド13から一定距離32の所に取り付けられる。閉鎖器30と基本位置16のリベット打ちヘッド13間の中空空間が案内管27の範囲であり、この範囲を移動することができる打撃子4に対してこの範囲が実質的になる。最大ストローク18は、基本的に打撃子4の長さ33を引いた距離32になる。
【0020】
一端が閉じられている案内管27と打撃子4は、空気チャンバ34を密封する。空気チャンバ34の体積は、閉鎖区域31と打撃子の後端面26間の距離35に比例する。体積は、移動軸3に沿って移動可能である打撃子4によって可変である。空気チャンバ34内の移動によって圧縮又は減圧される空気は、空気バネ23の効果を提供する。空気チャンバ34の最大体積は、衝撃点14の位置にある時、すなわち、打撃子4がリベット打ちヘッド13を打撃する際である。空気チャンバ34の圧力は、この時が最も低く、周囲圧力に有利に等しい。空気バネ23の位置エネルギは、衝撃点14で定義上ゼロに等しいと仮定する。最小体積は、打撃子4が上側反転点にある時であり、圧力が約16バールまで上昇することができる。上側反転点15における目標値に空気チャンバ34の体積と圧力を調整する制御方法により、打撃子4のストロークは制限される。外部の影響とは関係なく、空気バネ23の位置エネルギの変動範囲は狭くしなければならない。打撃時のリベット打ちヘッド13の位置は、上側反転点15までの打撃子4のフライト時間に大きく影響を及ぼすにもかかわらず、特にこの変動範囲の狭さにより、打撃時のリベット打ちヘッド13の位置に関して打撃機構2をロバストにする。
【0021】
空気バネ23の空気量の損失を補償するために、空気バネ23は、1つ又はそれよりも多くの通気口36を備えている。空気バネ23の圧縮中に通気口36は打撃子4によって閉じられる。空気バネ23の圧力が周囲圧力と50%未満の差が生じた時は、打撃子4は、好ましくは衝撃点14の直前に通気口36を開放する。例示的な実施形態において、打撃子4が衝撃点からストローク18の5%を超える距離を進むと、打撃子4は、1つの通気口36の上を通過する。
【0022】
主ドライブ22は、打撃子4に作用する磁気抵抗に基づいている。打撃子4のベース本体は、軟質の電磁鋼板で作られている。永久磁石と比較して、打撃子4は、4000A/m未満、好ましくは2500A/m未満の低い保持力によって特徴付けられる。この低い磁場強度を有する外部磁場で打撃子4の極性を反転することができる。適用した外部磁場は、磁化可能な打撃子4を極めて高い磁場強度の領域に領域の極性に関係なく引き入れる。
【0023】
主ドライブ22は、移動軸3に沿って空洞を有し、この空洞に案内管27を差し入れる。主ドライブ22はまた、空洞と案内管内部に永久磁場37と2部切換可能磁場38とを発生する。磁場37、38は、移動軸3に沿った空洞及び案内管27の有効区域を上側部分39、中央部分40、及び下側部分41に分ける。磁場37、38の磁力線は、上側部分39と下側部分41では大部分が移動軸3に平行であり、中央部分40では大部分が移動軸3に対して垂直になる。磁場37、38は、打撃方向5に関して磁力線の向きが平行と反平行になっている点で異なる。永久磁場37の磁力線(点鎖線)の詳細をここで示しているが、磁力線は、案内管27の上側部分39では大部分が打撃方向5に反平行であるが、案内管27の底部分41では大部分が打撃方向5に平行になっている。打撃機構2の機能を果たすには、下側部分41の磁力線の向きと比較した永久磁場37の磁力線の向きの差が重要になる。案内管27の上側部分39と下側部分41の内部では、切換可能磁場38の磁力線は、1つの位相(点鎖線で示される)中に大部分が打撃方向5に向いており、他の位相(図示せず)中に磁力線は、両方の部分39と41の内部で大部分が打撃方向5と反平行になる。従って、永久磁場37と切換可能磁場38は、2つの部分の一方で弱め合うように重ね合わされ、部分の他方で強め合うように重ね合わされる。部分のいずれの側で磁場37、38が強め合うように重ね合わされるか否かは、コントローラ12の瞬間的な切換サイクルに依存する。強め合う重ね合わせで打撃子4は、部分39、41に引き入れられる。切換可能磁場38を交互に再分極することで打撃子4を前後に駆動する。
【0024】
永久磁場37は、複数の永久磁石43からなる半径方向に磁化されたリング磁石42によって発生される。図4は、平面IV−IVの断面のリング磁石42を示している。例として示される永久磁石43は、好ましくは棒磁石である。永久磁石43は、半径方向に向けられる。それらの磁場軸44、すなわち、南極から北極までの軸は、移動軸3に直交している。永久磁石43は、全て同じように向けられ、すなわち、その北極をここで示される例の移動軸3の方へ向け、その南極を移動軸3から離れる方向へ向ける。周方向に間隙又は磁化不能材料45、例えば、プラスチックを永久磁石43の間に設けることができる。リング磁石42は、閉鎖区域31とリベット打ちヘッド13の間に移動軸3に沿って配置される。リング磁石42は、好ましくは非対称に、特にリベット打ちヘッド13よりも閉鎖区域31の近くに配置される。リング磁石42の位置は、移動軸3に沿った案内管27を打撃方向5のリング磁石42の前方にある上側部分39と、打撃方向5のリング磁石42の後方にある下側部分41に分ける。下側部分41の磁力線と比較すると、上側部分39の磁力線は、大部分が反対方向に向いている。永久磁石43は、好ましくはネオジム合金を含む。永久磁石43の両極の磁場強度は、好ましくは1テスラを超え、例えば、2テスラである。
【0025】
切換可能磁場38は、上側磁気コイル46と下側磁気コイル47によって発生される。上側磁気コイル46は、打撃方向5のリング磁石42の前にあり、好ましくはリング磁石42と直接接触する。上側磁気コイル46は、案内管27の上側部分39を取り囲む。下側磁気コイル47は、打撃方向5のリング磁石42の後に配置され、好ましくはリング磁石42と接触して下側部分41を取り囲む。2つの磁気コイル46、47には、移動軸3周りの同じ周辺方向にコイル中を流れている電流48がある。上側磁気コイル46によって発生された磁場49と磁気コイル47によって発生された磁場50は、大部分が移動軸3と平行であり、両方とも移動軸3に沿って同じ向きに向けられ、すなわち、2つの磁場49、50の磁力線は、案内管27内部で打撃方向5の向きになるか、又は打撃方向5の反対向きのいずれかになる。電流48は、制御可能な電流源51から磁気コイル46、47に供給される。2つの磁気コイル46、47及び電流源51は、好ましくは直列に接続される(図5)。
【0026】
長さ52、すなわち、下側磁気コイル47の移動軸3に沿った寸法は、好ましくは上側磁気コイル46の長さ53よりも大きく、長さ比率が1.75:1から2.25:1までの範囲になる。案内管27内部の上側磁場49の磁場強度、及び/又は下側磁場50の磁場強度に対する磁気コイル46、47のそれぞれの磁場強度は、好ましくは同じである。上側磁気コイル46の巻き数の下側磁気コイル47の巻き数に対する比率は、長さ比率に対応することができる。半径方向寸法54と電流の面積密度は、好ましくは両方の磁気コイル46、47共に同じである(打撃機構の他の構成要素は含まない)。
【0027】
磁気ヨーク55は、案内管27の外側磁場37、38を伝えることができる。例えば、ヨーク55は、移動軸3に沿って延びる複数のリブからなる中空円筒又はケージを有し、2つの磁気コイル46、47と永久磁石43のリング磁石42を取り囲む。ヨーク55のリング状上側閉鎖器56は、打撃方向5の反対側の方向に上側磁気コイル46を覆う。リング状下側シール57は、リベット打ちヘッド13の高さで案内管27と隣接している。下側シール57は、打撃方向5の下側磁気コイル47を覆う。磁場37、38は、上側部分39と下側部分下41において移動軸3に平行又は反平行に案内される。磁場37、38は、ヨーク55、特にリング状シール56、57によって半径方向に供給される。半径方向の戻りが、下側部分41、大部分リベット打ちヘッド13内部で起こる。従って、磁力線は、好ましくは打撃子4の端面26とリベット打ちヘッド13の打撃区域58に垂直になる。上側部分39の半径方向の戻りは案内されず、すなわち、空気を通ってヨーク55へ向けることができる。
【0028】
磁気ヨーク55は、磁化可能な材料、好ましくは電気メッキで作られる。案内管27は磁化できない。案内管27に適する材料は、クロム鋼又はアルミニウム又はこれに代えてプラスチックが含まれる。案内管27の閉鎖器30は、好ましくは磁化不能な材料で作られる。
【0029】
打撃子4は、2つの磁気コイル46、47と好ましくは磁気コイルそれぞれの位置で重なる。打撃子4がリベット打ちヘッド13と接触しているか、又は少なくともリング磁石42の方へ突出する場合に、特に後端面26は、上側磁気コイル46の方へ突出する。後端面26は、少なくともリング磁石42の軸中心を超えて突出する。空気チャンバ34の通気口36は、リング磁石42に面する上側磁気コイル46の端面の軸線方向高さに配置される。リング磁石42からの距離は、好ましくは1cm未満である。
【0030】
打撃機構2のコントローラ12は、電流源51をトリガする。電流源51は、電流源によって出力される電流48を目標値60に設定するが、この目標値は、制御信号59でコントローラ12によって予め定められている。電流源51は、好ましくは目標値60に出力電流48を安定させるためのコントロール回路61を含む。ピックアップが、実際の電流62を測定する。差動増幅器63は、実際の電流48と目標値60から操作変数64を形成し、電流源51へ送り、電流の供給をトリガする。電流源51は、電源65、例えば、電源又はバッテリパックによって供給される。
【0031】
コントローラ12は、打撃子4の前後の移動中に目標値60と間接的に電流48とを切換える。図6は、繰返し切換パターンの例を時間19にわたって示している。切換パターンは、基本的に3つの異なる段階に分けられる。サイクルは。能動回復段階66から始まる。能動回復段階66中に衝撃点から始まって打撃子4は、打撃方向5の反対側の方向に加速される。能動回復段階66は、空気バネ23が予め定められた位置エネルギを達成した時に終了する。回復段階66の後に直ちに静止段階67が続き、打撃子4が上側反転点15に達した時に終了する。加速段階68は、打撃子4が上側反転点15を通過中又は通り過ぎた後に開始される。加速段階68中に打撃子4は、好ましくは打撃子4がリベット打ちヘッド13を打撃するまで連続的に打撃方向5へ加速される。望ましい打撃の頻度次第で、加速段階68の後と次の能動回復段階66が開始される前に休止69を挿入することができる。
【0032】
コントローラ12は、能動回復段階66で新規な打撃を開始する。コントローラ12は、調整電流源51のための目標値60として第1の値70を設定する。第1の値70の表示は、上側磁気コイル46の磁場49が案内管27の上側部分39の永久磁場37に強め合うように重ね合わされるように電流48が磁気コイル内を循環することを示している。次に、打撃子4は、上側部分39内の打撃方向5と反対向きかつ空気バネ23の力と反対向きに加速される。打撃子4の運動エネルギは、連続的に増加する。逆転移動に起因して、空気バネ23は同時に圧縮され、空気バネに溜まる位置エネルギは、費やした体積仕事のために増加する。
【0033】
電流48は、両方の磁気コイル46、47の中を好ましくは流れる。磁場37、38は、好ましくは、下側部分41で弱め合うように重ね合わされる。第1の値70の数量は、下側磁気コイル47によって発生された磁場50が永久磁石43の永久磁場37を弱め合って相殺するように選択することができる。下側部分41の磁気強度は、好ましくはゼロに、又は上側部分39の磁気強度の10%未満にまで低減される。電流源51と磁気コイル46、47は、第1の値70のアンペア数電流48に設定される。第1の値70は、能動回復段階66中は一定に保つことができる。
【0034】
コントローラ12は、上側反転点15の空気バネ23の位置エネルギ予測に基づいて能動回復段階66を終了させる。例えば、主ドライブ22による更なるサポートもなく位置エネルギが目標値に達することになる時に、主ドライブ22は停止される。これは、主ドライブ22を停止した時間71の時点で、位置エネルギが目標値の一部を既に達成し、上側反転点15までの打撃子4の支配的な運動エネルギをこれまで欠けていた目標値の一部に転換するという事実を考慮に入れている。この転換損失は、コントローラ12に格納されたテーブル72によって考慮することができる。目標値は、例えば、打撃子4の打撃エネルギの25%から40%の範囲、少なくとも30%、高々37%である。
【0035】
予測ユニット73は、打撃機構2の作動状態を連続的に比較する。予測の例は、圧力測定に基づくものである。予測ユニット73は、圧力センサ74の信号を受信する。測定圧力は、閾値と比較される。圧力が閾値を超えると、予測ユニット73は、コントローラ12に制御信号59を出力する。制御信号59は、主ドライブ22を直ちに停止すると位置エネルギが目標値に達することになることを信号で伝える。コントローラ12は、能動回復段階66を終了する。
【0036】
予測ユニット73は、好ましくは保存したルックアップテーブル72から閾値を読み取る。ルックアップテーブル72は、まさしく1つの閾値を含むことができるが、好ましくは異なる作動状態に対して決定された複数の閾値を予め格納している。例えば、空気チャンバ34の異なる温度の閾値を格納することができる。圧力センサ74の信号に加えて、予測ユニット73は、温度センサ75の信号も受信する。閾値は、後者の関数として選択される。
【0037】
これに加えて、予測ユニット73は、圧力変化に基づいて打撃子4の速度を推測することができる。ルックアップテーブル72は、異なる速度に対する支配的な圧力の様々な閾値を含むことができる。より速い打撃子4ほどより大きく空気バネ23を圧縮する傾向があるので、より速い速度の閾値は、より低い速度の閾値よりも低い。速度又は圧力変化の関数としての閾値の選択により、目標値の再現性を改良することができる。
【0038】
能動回復段階66の終了と同時に静止段階67が始まる。コントローラ12は、電流48の目標値60をゼロに設定する。切換可能磁場38は閉鎖され、主ドライブ22は停止する。永久磁場37は、打撃子4に作用するが、永久磁場37は、移動軸3に沿って基本的に一定の磁場強度を有するので、打撃子4にはほとんど又は全く力を加えない。
【0039】
電流48を0に下げずに、目標値60に関して静止段階67中に電流48を負の値に設定することができる。それによって打撃子4の残留磁気が消える。逆転移動に干渉しないように目標値60の電流量と比較すると電流量48は低く、例えば、目標値60の10%未満である。静止段階67中に打撃子4は、空気バネ23によって減速されて停止する。打撃子4が停止する前、すなわち、上側反転点15では、空気バネ23の位置エネルギは、打撃子4の運動エネルギの一部分によって増加する。
【0040】
能動回復段階66と静止段階67のシーケンスは、試験が行われた打撃機構の上部構造において、特に能動回復段階66の終了後に電流48を0にして終了した時にエネルギ効率が著しく高いことを証明した。主ドライブ22の効率は、上側反転点15から打撃子4までの距離35の減少と共に低くなる。主ドライブ22が効率よく作動している限り、打撃子4は高速に加速される。主ドライブ22なしで打撃子4が望ましい上側反転点15に到達することになると予測が示せば、益々非効率的になる主ドライブ22を停止させることになる。1つの代わりとして、電流48をゼロまで連続的に下げるか、又はいくつかの区分で下げる。上側反転点に達する打撃子4の軌跡の適応調節は、効率を犠牲にすればここで実行することができる。この代替において、好ましくは上側反転点に達する前に静止段階67が続く。
【0041】
能動回復段階66の持続時間は予測に由来する。持続時間は、作動により又は1つの打撃から次の打撃によって結果的に異なる場合がある。例えば、リベット打ちヘッド13が打撃の前にその基本位置16に達しないと、打撃子4は、次の打撃のためにより大きい距離を進まなければならない。能動回復段階66の持続時間が一定な場合に、その結果として打撃子4に吸収される運動エネルギは、空気バネ23の力に対抗して望ましい上側反転点15に達するには不十分になるであろう。
【0042】
上側反転点15への到達に基づいて、コントローラ12は、静止段階67を終了させる。加速段階68は、静止段階67の終了と共に始まる。打撃子4の戻りの移動に基づいて、コントローラ12は、加速段階68の開始をトリガする。位置センサ又は移動センサは、直接打撃子4の逆転する移動を検出することができる。逆転移動の検出は、間接的な空気チャンバ34の圧力の変化に基づいている。
【0043】
圧力センサ74は、空気チャンバ34に接続している。例えば、圧力センサ74は、ピエゾ抵抗圧力センサ74である。圧力センサ74は、空気チャンバ34に配置するか、又は空気ダクトを通して空気チャンバ34に接続することができる。
【0044】
圧力センサ74は、好ましくは閉鎖器30内部又はその上に配置される。評価ユニット76は、好ましくは圧力センサ74に割り当てられる。評価ユニット76は、空気チャンバ34の圧力変化をモニタする。圧力変化が負の値であり、すなわち、圧力が減少していると直ちに、評価ユニット76は、コントローラ12に打撃子4が上側反転点15に達したことを示す制御信号77を送出する。
【0045】
上側反転点15に達したか又はより正確には越したかを検出する処理に起因して、圧力変化の解析は、必然的に軽微な遅延をもたらす。圧力は絶対値によっても検出することができ、閾値と比較することができる。圧力が閾値に達すると、制御信号77の出力がトリガされる。空気チャンバ34の圧力は、上側反転点15で測定することができ、評価ユニット76内のテーブル内の閾値として保存することができる。閾値は、様々な作動状態、特に空気チャンバ34の温度の関数として格納することができる。評価ユニット76は、例えば、温度センサを測定して支配的な作動状態を決定し、テーブルからそれぞれの閾値を読み取る。これらの2つの方法は、冗長性を得るために組合せて、互い別々に制御信号77を出力することができる。
【0046】
制御信号77を受け取ると、コントローラ12は加速段階68を開始する。コントローラ12は、電流48の目標値60を第2の値78に設定する。下側磁気コイル47の下側磁場50が案内管27内部の永久磁場37に強め合うように重ね合わされるように、第2の値78の信号を選択する。従って、結果として案内管27の下側部分41は、高い磁場強度になる。加速段階68中に電流48は、下側磁気コイル47に、好ましくは上側磁気コイル46に流される。上側部分39の永久磁石37は、好ましくは弱めるか、又は案内管27内部の上側磁気コイル46の磁場38によって完全に打ち消し合う方法で相殺される。打撃子4は、下側部分41のより強い磁場に引き寄せられる。打撃子4は、加速段階68中に常に打撃方向5に加速される。衝撃点14までに達成された運動エネルギは、ほぼ打撃子4の打撃エネルギになる。
【0047】
上側反転点15達成の代わりの又は追加の決定は、打撃子4の移動に基づいて上側磁気コイル46に案内された電圧の変化に基づいている。打撃子4は、上側反転点に達する前でも、既に上側ヨークリング56と重なっている場合がある。上側領域39において、磁場49は、空隙のないほぼ閉回路で打撃子4を超えて上側ヨークリング56へ流れる。磁場50は、大きな空隙を超えて下側領域41の下側ヨークリング57へ流れる。反転点15までの打撃子4の移動中に、下側領域41で空隙が更に増加するので上側領域の磁束が比例して増加する。打撃子4が反転点15で逆転すると直ちに、上側領域39の磁束の比率は低下する。磁束の変化は、上側磁気コイル46に電圧を誘導する。誘導電圧の変化の兆候は、反転点15の特徴である。反転点15に達する前に電流源51は、好ましくは静止段階67を維持するために電流48を調節してゼロにする。制御ループは、誘導電圧に対して電流48をゼロに保つために操作変数64を連続的に適応させる。制御ループ62は、誘導電圧の変化の兆候に対して、明らかにより大きい操作変数64で応答する。従って、制御信号77は、例えば、閾値を超えると操作変数64によってトリガすることができる。
【0048】
上側磁場49は、破壊的に永久磁場37と相殺するか、又はその磁場強度の少なくとも10%にまで減少するように第2の値78の量は好ましくは調節される。磁気コイル46、47の電流48は、加速段階68の開始時に目標値60へ増加する。1つの切換フランクは、例えば、磁気コイル46、47のインダクタンスと打撃子のフィードバック効果に基づいて得られる時定数のみで定義される。コントローラ12は、加速段階68中に目標値60を好ましくは連続的に第2の値78に保つ。
【0049】
空気バネ23は、打撃方向5の打撃子4の加速をサポートする。その際に空気バネ23に保存された位置エネルギの大部分は、打撃子4の運動エネルギに変換される。衝撃点14で空気バネ23は、好ましくは完全に緩和される。衝撃点14の近くで通気口36は、打撃子4によって開放される。通気口36は、結果として空気バネ23を弱めるが、打撃子4に対するその影響を完全に低減してゼロになることはない。しかし、この時点で、既に空気バネ23は90%を超えるその位置エネルギを打撃子4に移している。
【0050】
電流源51によって供給される下側磁気コイル47の電流48及び/又は電流48の増加79に基づいて、コントローラ12は、加速段階68の終了をトリガする。打撃子4が移動中に、これは、結果として下側磁気コイル47を通じた電磁誘導に起因して電圧を低下させ、電流源51は、この電圧低下に対して電流48を供給する。電圧低下は、打撃及び打撃子4の静止と共に急に消える。調節した電流源51が電流48を目標値60に再び調節するまで、電流48は、短時間増加する。
【0051】
電流センサ80は、下側磁気コイル47を循環する電流48を検出することができる。それぞれの弁別器81は、測定電流48を閾値と比較し、閾値を超えると終了信号82を出力する。終了信号82は、コントローラ12に打撃子4がリベット打ちヘッド13を打撃したことを通知する。閾値は、例えば、第2の値78、すなわち、加速段階68の目標値60の関数として選択される。閾値は、第2の値78よりも5%から10%大きくすることができる。絶対電流48を検出することに代えて又はこれに加えて、電流48の変化率を電流センサ80で検出し、弁別器81によって変化率の閾値と比較することができる。
【0052】
コントロール回路61の電流源51は、回路83の電流48の増加79を弱める。操作変数64は、この処理中に変化する。電流48の変化の代わりに又はそれに加えて、操作変数64をモニタすることができる。絶対値に好ましくは操作変数64の変化率を加えたものは、閾値と比較することができ、これに応答して終了信号82を出力することができる。
【0053】
終了信号82を受信すると、コントローラ12は、加速段階68を終了する。目標値60はゼロに設定される。従って、電流源51の電流の送出は、電流48をゼロにまで減少する。打撃子4は、打撃方向5へ更に加速されない。
【0054】
コントローラ12は、次に、加速段階68の直後又は休止の後に次の能動回復段階66を開始することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 手持ち式電気チゼル
2 磁気−空気打撃機構
3 移動軸
4 打撃子
5 打撃方向
図1
図2
図3.6】
図4
図5