(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、上記樹脂製の通水路形成部材を上下方向に貫くように形成された貫通孔に挿入され且つ上記通水路形成部材の貫通孔と対向するように上記金属製の台座部材に形成されたねじ孔に螺合されるねじ部材を有する請求項1記載の湯水混合水栓装置。
更に、上記スパウトを形成すると共に上記樹脂製の通水路形成部材の外周部を覆うカバー部材を有し、このカバー部材は、上記通水路形成部材との間に所定の隙間を形成する請求項1又は2に記載の湯水混合水栓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の湯水混合水栓装置に用いられている樹脂製の通水路形成部材においては、給湯源から供給される湯や給水源から供給される水による圧力(一次圧力)が、樹脂製の通水路形成部材の内部に常時作用しているため、これらの水圧の負荷や通湯路の湯と通水路の水との温度差による負荷にも耐え得る比較的高い剛性が要求されているにもかかわらず、金属製の通水路形成部材よりも剛性が低く破損しやすいという問題がある。
また、この樹脂製の通水路形成部材の下方部分がカウンターやキッチンシンク、洗面ボウルなどの取付部の取付穴の中に延びているため、万一、この樹脂製の通水路形成部材が破損した場合には、取付部の上面に漏水するばかりではなく、取付部の取付穴の下方にも漏水する可能性がきわめて高く、シンク下や床面までも水浸しになる等の漏水被害が拡大する可能性があるという問題がある。
特に、水栓のような住宅設備機器は使用期間が20年を超えることも珍しくなく、長期に亘る信頼性の確保が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、漏水を取付部の上面のみに留めて漏水被害の拡大を防ぐことができ、早期に漏水を発見しやすくすることができる湯水混合水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水を混合して湯水を吐止水する湯水混合水栓装置であって、湯水を吐水する吐水口を形成するスパウトと、取付部を上下方向に貫く取付穴を覆うように上記取付部上に取り付けられ且つ給湯源から供給される湯が通過する通湯孔と給水源から供給される水が通過する通水孔を形成する金属製の台座部材と、この台座部材と上記取付部の取付穴との間に設けられたシール部材と、
上記給湯源から延びて上記取付部より上方で上記台座部材に挿入される給湯ホースと、上記給水源から延びて上記取付部より上方で上記台座部材に挿入される給水ホースと、上記台座部材に取り付けられ且つ上記台座部材の通湯孔及び通水孔のそれぞれと連通する通湯路及び通水路をそれぞれ形成する樹脂製の通水路形成部材と、上記通水路形成部材の通湯路及び通水路の下流側に設けられて上記通水路形成部材の通湯路及び通水路のそれぞれから供給された湯と水を混合すると共に、上記通水路形成部材の通湯路及び通水路から供給される湯水を通水状態又は止水状態に切り替える湯水混合バルブユニットと、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、給湯源から金属製の台座部材の通湯孔を通過した湯が流入する樹脂製の通水路形成部材の通湯路と、給水源から金属製の台座部材の通水孔を通過した水が流入する樹脂製の通水路形成部材の通水路のそれぞれには、湯水混合バルブユニットの作動状況にかかわらず、常時水圧がかかった状態となっているが、万一、樹脂製の通水路形成部材の通湯路や通水路が破損し、その外部への漏水が生じたとしても、カウンター上に取り付けられた台座部材が金属製であるため、台座部材までもが破壊して漏水被害が拡大することを防ぐことができる。また、万一、樹脂製の通水路形成部材が破損して漏水した場合であっても、台座部材とカウンターの取付穴との間がシール部材により密封されているため、漏水をカウンター上のみに留め、漏水がカウンターの取付穴から台座部材の下方に漏出することを防ぐことができるため、早期に漏水を発見しやすくすることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、更に、上記樹脂製の通水路形成部材を上下方向に貫くように形成された貫通孔に挿入され且つ上記通水路形成部材の貫通孔と対向するように上記金属製の台座部材に形成されたねじ孔に螺合されるねじ部材を有する。
このように構成された本発明においては、ねじ部材を樹脂製の通水路形成部材の貫通孔に挿入して金属製の台座部材のねじ孔に螺合させることにより、材質が互いに異なる樹脂製の通水路形成部材と金属製の台座部材とを確実に締結することができる。また、ねじ部材が挿入される通水路形成部材の貫通孔が上下方向に延びるように形成されているため、通水路形成部材の外径寸法を抑え、装置全体を小型化することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、更に、上記スパウトを形成すると共に上記樹脂製の通水路形成部材の外周部を覆うカバー部材を有し、このカバー部材は、上記通水路形成部材との間に所定の隙間を形成する。
このように構成された本発明においては、樹脂製の通水路形成部材とこの樹脂製の通水路形成部材の外周部を覆うカバー部材との間に所定の隙間を形成することにより、万一、樹脂製の通水路形成部材が破損して通水路形成部材の外部に漏水が生じたとしても、この隙間がカウンター上への漏水の抜け道となり、漏水がカバー部材の下部からカウンター上に流出するため、早期に漏水を発見しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の湯水混合水栓装置によれば、漏水をカウンター上のみに留めて漏水被害の拡大を防ぐことができ、早期に漏水を発見しやすくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置について説明する。
まず、
図1は、本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水を混合し、1つの操作ハンドル2を操作することにより湯水の流量と温度を調整した湯水をスパウト4の吐水口4aから吐止水することができる、いわゆる、シングルレバー式の湯水混合水栓装置である。
【0012】
すなわち、湯水混合水栓装置1は、台所のシンク又は洗面台のカウンター6
(取付部)上に配置され、操作ハンドル2を上方(
図1に示されている矢印「開」の方向)に回動操作した場合には、スパウト4の吐水口4aから吐出される湯水を吐水状態に設定することができるようになっており、操作ハンドル2をより上方に回動させた位置に設定する程、スパウト4の吐水口4aから吐出される湯水の流量を大きく設定することができるようになっている。一方、操作ハンドル2を下方(
図1に示されている矢印「閉」の方向)に回動操作した場合には、スパウト4の吐水口4aから吐出される湯水を止水状態に設定することができるようになっている。
また、操作ハンドル2を
図1に示されている右方向(
図1に示されている矢印「C」の方向)に回動操作した場合には、スパウト4の吐水口4aから吐出される湯水の温度を低温側に設定することができるようになっている。一方、操作ハンドル2を
図1に示されている左方向(
図1に示されている矢印「H」の方向)に回動操作した場合には、スパウト4の吐水口4aから吐出される湯水の温度を高温側に設定することができるようになっている。
【0013】
また、スパウト4は、その基端部に形成されて湯水混合水栓装置1の内部構造の一部(詳細は後述する台座部材8及び通水路形成部材10の一部)の外周を取り囲むカバー部
材4bを備え、このカバー部
材4bは、湯水混合水栓装置1の鉛直方向に延びる中心軸線Aを中心に
図1に示されている右方向(
図1に示されている矢印「R」の方向)及び
図1に示されている左方向(
図1に示されている矢印「L」の方向)に回動可能になっており、スパウト4の全体を湯水混合水栓装置1の中心軸線Aを中心に旋回することができるようになっている。
【0014】
つぎに、
図2〜
図10により、本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置の内部構造について説明する。
図2は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置を示す背面断面図であり、
図3は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置を示す側面断面図であり、
図4は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置を示す分解斜視図である。
図2〜
図4に示すように、湯水混合水栓装置1は、カウンター6を上下方向に貫く取付穴6aの上縁に密封して取り付けられるシール部材であるシートパッキン12と、このシートパッキン12の上面に取り付けられた金属製の台座部材8と、馬蹄形状の固定金具14と、この固定金具14に締結される締付金具16と、台座部材8の上方に取り付けられる樹脂製の通水路形成部材10と、この通水路形成部材10を台座部材8上に固定する一対のねじ部材18と、この通水路形成部材10の上方に取り付けられる湯水混合バルブユニット20と、この湯水混合バルブユニット20の外周を取り囲む円筒部材22と、この円筒部材22の内側に取り付けられるほぼ円環状の押さえ部材24と、この押さえ部材24の3箇所に形成された取付孔24aのそれぞれに取り付けられるビス部材26と、円筒部材22の外周を取り囲む本体カバー28とを備えている。
【0015】
つぎに、
図5は、本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置の台座部材を示す斜視図である。
図2〜
図5に示すように、湯水混合水栓装置1の金属製の台座部材8は、カウンター6の取付穴6aの表側(上側)に取り付けられたシートパッキン12を介して常時カウンター6の上面よりも上側に位置し、カウンター6の取付穴6aの上方を覆っている。また、台材部材8は、カウンター6の裏側(下側)から取り付けられた固定金具14と共にカウンター6を挟み込んだ状態で締付金具16を締め付けることにより、カウンター6上に固定されるようになっている。また、万一、樹脂製の通水路形成部材10が破損して漏水した場合であっても、台座部材8とカウンター6の取付穴6aとの間
がシートパッキン12により密封されているため、漏水をカウンター6上のみに留め、漏水がカウンター
6の取付穴
6aから台座部材8の下方に漏出することを防ぐことができ、早期に漏水を発見しやすくすることができるようになっている。
【0016】
さらに、
図2〜
図5に示すように、金属製の台座部材8においては、給湯源(図示せず)から延びる給湯ホース30が接続され且つこの給湯ホース30から供給される湯が通過する通湯孔8aが形成されている。また、給水源(図示せず)から延びる給湯ホース30が接続され且つ給水ホース32から供給される水が通過する通水孔8bが形成されている。また、給湯ホース30の接続部30a及び給水ホース32の接続部32aは、それぞれに対応する台座部材8の通湯孔8a及び通水孔8bに平パッキン34を介して接続されている。
【0017】
つぎに、
図6は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置の通水路形成部材及びねじ部材を示す斜視図であり、
図7は
図2のVII−VII線に沿った断面図であり、
図8は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置の通水路形成部材及びナットホルダ部材を示す分解斜視図である。
図2〜
図8に示すように、湯水混合水栓装置1の樹脂製の通水路形成部材10は、台座部材8の上方に取り付けられた状態で台座部材8の通湯孔8a及び通水孔8bのそれぞれと連通する通湯路10a及び通水路10bを内部にそれぞれ形成すると共に、これらの通湯路10a及び通水路10bのそれぞれを通過させて湯水混合バルブユニット20の湯水混合室20a内で混合された湯水をスパウト4に流出させる湯水混合路10cを内部に形成している。
【0018】
また、
図2〜
図8に示すように、樹脂製の通水路形成部材10には、上下方向に貫くように貫通孔10dが形成されており、これらの貫通孔10dのそれぞれにねじ部材18を挿入し、台座部材8に形成された
ねじ孔である雌ねじ孔8cにねじ部材18の下端部を螺合させることにより、材質が互いに異なる樹脂製の通水路形成部材10と金属製の台座部材8とを締結することができるようになっている。
【0019】
また、
図2〜
図4に示すように、樹脂製の通水路形成部材10と金属製の台座部材8とが接続された状態では、通水路形成部材10の給湯路10a及び給水路10bとそれぞれに対応する台座部材8の通湯孔8a及び通水孔8bとの接続部は、Oリング36が取り付けられて液密的にシールされている。
【0020】
つぎに、
図9は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置のナットホルダ部材を示す平面図であり、
図10は本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置の湯水混合バルブユニット、円筒部材、押さえ部材及びビス部材を示す分解斜視図である。
図6〜
図10に示すように、通水路形成部材10の外周には、樹脂製のナットホルダ部材38が着脱可能に取り付けられている。このナットホルダ部材38は、その一部に切欠き38aが形成されたほぼ円環形状であり、三箇所に金属製のナット40が固定されている。
また、ナットホルダ部材38は、通水路形成部材10にナットホルダ部材38を着脱する際、切欠き38aの水平方向の幅が伸縮するように弾性変形可能であり、ナットホルダ部材38の全体について、樹脂製の通水路形成部材10に対して着脱可能な弾性を保持しつつ、剛性を備えた材料で形成されている。なお、
図9に示すナットホルダ部材38においては、弾性変形前後のそれぞれの状態を実線及び破線でそれぞれ示している。
さらに、通水路形成部材10の外周にナットホルダ部材38が取り付けられた状態では、通水路形成部材10の上面の三箇所から下方に延びるように形成された3つのビス取付孔10eのそれぞれが、ナットホルダ部材38のナット40の取付孔40aのそれぞれと上下方向に対向して互いに一致するようになっている。
【0021】
また、
図2〜
図10に示すように、押さえ部材24の取付孔24aに取り付けられたビス部材26のそれぞれは、通水路形成部材10の各ビス取付孔10eを貫いてナットホルダ部材38の各ナット40に螺合されるようになっている。さらに、ビス部材26が、樹脂製の通水路形成部材10とは別部材であるナットホルダ部材38の金属製のナット40に締結されるため、ビス部材26が樹脂製の通水路形成部材10に直接的に締結される場合に比べて締結強度を高めることができるようになっている。また、ビス部材26がナット40に締結された状態では、押さえ部材24が、円筒部材22の内周側の中間部分よりも上方に形成されて内方に突出する保持部22aの上面に上方から押し付けられ、円筒部材22が通水路形成部材10に対して固定されるようになっている。
【0022】
さらに、
図2〜
図9に示すように、ナットホルダ部材38を通水路形成部材10に取り付けた状態では、ナットホルダ部材38の外周面が通水路形成部材10の外周面(外径)よりも外側に突出し、このナットホルダ部材38の外周部の下面がスパウト4のカバー部
材4bの上端に当接しており、スパウト4のカバー部
材4bの上下方向の移動が規制されるようになっている。
【0023】
また、スパウト4のカバー部
材4bの内周面と通水路形成部材10の外周面との間には、所定の隙間が形成され、この隙間により、スパウト4のカバー部
材4bが湯水混合水栓装置1の鉛直方向に延びる中心軸線Aを中心に
図1に示されている右方向(
図1に示されている矢印「R」の方向)及び
図1に示されている左方向(
図1に示されている矢印「L」の方向)に回動可能になっている。さらに、スパウト4のカバー部
材4bの内周面と通水路形成部材10の外周面との間の隙間により、万一、樹脂製の通水路形成部材10が破損して通水路形成部材10の外部に漏水が生じたとしても、この隙間がカウンター6上への漏水の抜け道となり、漏水がスパウト4のカバー部
材4bの下部からカウンター6上に流出し、早期に漏水を発見しやすくすることができるようになっている。
【0024】
さらに、
図2〜
図10に示すように、押さえ部材24の中央穴24aの周縁は、円筒部材22の保持部22aの内周縁よりも内側に突出しており、押さえ部材24が湯水混合バルブユニット20のケーシング部材42の段部42aに当接し、湯水混合バルブユニット20が通水路形成部材10の上面に固定されるようになっている。
【0025】
また、
図2〜
図4及び
図10に示すように、円筒部材22の外周面の一部には、円筒部材22の上端から下方に延びてその下端がほぼ水平方向に屈曲するように形成されたキー溝22cが形成されている。一方、本体カバー28の内周面の一部には、円筒部材22のキー溝22cに係止可能な係止突起28aが形成され、このキー溝22cに円筒部材22の係止突起28aを係止させることにより、本体カバー28が円筒部材22に固定されるようになっている。
【0026】
さらに、
図2〜
図4に示すように、本体カバー28の上方の開口部28bにおいては、湯水混合バルブユニット20の可動弁体44を操作する湯水混合バルブユニット20の操作軸部材46が上方に貫いた状態となっており、この操作軸部材46に操作ハンドル2の軸受け部2aが固定して取り付けられている。
【0027】
つぎに、
図2〜
図4及び
図10に示すように、本実施形態の湯水混合水栓装置1に組み込まれている湯水混合バルブユニット20の構造については、周知の湯水混合バルブユニットの構造と同様であるため、詳細な説明は省略するが、湯水混合バルブユニット20は、ケーシング部材42と、このケーシング部材42の下端に固定されて固定弁体48を下側から固定する固定弁体保持部材50と、固定弁体48と、この固定弁体48の上部に摺動及び回転可能に配置された可動弁体44と、この可動弁体44の可動を操作する操作軸部材46によって構成されている。
【0028】
また、
図2及び
図3に示すように、固定弁体保持部材50には、通水路形成部材10の通湯路10aから供給される湯と通水路形成部材10の通水路10bから供給される水の各々が流入する通湯路50a及び通水路50bがそれぞれ形成されている。これらの通湯路50a及び通水路50bのそれぞれを通過した湯と水は、固定弁体48及び可動弁体44を介して通水路形成部材10の通湯路10a及び通水路10bのそれぞれと湯水混合路10cとを連通させる湯水混合室20aで混合され、この混合された湯水の流量と温度が調整されるようになっている。湯水混合室20aで調整された湯水は、固定弁体保持部材50に形成されている湯水混合路50cから通水路形成部材10の湯水混合路10cへ流出するようになっている。さらに、通水路形成部材10の湯水混合路10c内の湯水は、スパウト4の流入口4cから吐水口4aに向って流れるようになっている。
【0029】
つぎに、上述した本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置1の動作(作用)について説明する。
湯水混合水栓装置1を使用する際、
図1に示すように、操作ハンドル2を矢印「開」の方向に引き上げ、必要に応じて、操作ハンドル2を矢印H又は矢印Cの方向に回動操作を行うと、通水路形成部材10の通湯路10a及び通水路10bのそれぞれと湯水混合路10cとが連通するように可動弁体44が摺動及び又は回転移動し、通水路形成部材10の通湯路10a及び通水路10bのそれぞれから湯と水が流出し、固定弁体保持部材50の通湯路50a及び通水路50bを経て湯水混合室20a内に流入する。そして、この湯水混合室20a内で混合されて所定の流量で所定の温度に調整された湯水は、固定弁体保持部材50の湯水混合路50cを経て通水路形成部材10の湯水混合路10cからスパウト4の流入口4cに流入し、吐水口4aから吐水される。
また、スパウト4の吐水口4aの水平方向の位置を変更したい場合には、スパウト4のカバー部
材4bを湯水混合水栓装置1の中心軸線Aを中心に
図1に示されている右方向(
図1に示されている矢印「R」の方向)又は
図1に示されている左方向(
図1に示されている矢印「L」の方向)に回動させ、スパウト4の全体を湯水混合水栓装置1の中心軸線Aを中心に旋回させる。
【0030】
上述した本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置1によれば、給湯源である給湯ホース30から金属製の台座部材8の通湯孔8aを通過した湯が流入する樹脂製の通水路形成部材10の通湯路10aと、給水源である給水ホース32から金属製の台座部材8の通水孔8bを通過した水が流入する樹脂製の通水路形成部材10の通水路10bのそれぞれには、湯水混合バルブユニット20の作動状況にかかわらず、常時水圧がかかった状態となっているが、万一、樹脂製の通水路形成部材10の通湯路10aや通水路10bが破損し、通水路形成部材10の外部への漏水が生じたとしても、カウンター6上に取り付けられた台座部材8が金属製であるため、台座部材8までもが破壊して漏水被害が拡大することを防ぐことができる。また、万一、樹脂製の通水路形成部材10が破損して漏水した場合であっても、台座部材8とカウンター6の取付穴6aとの間
がシートパッキン12により密封されているため、漏水をカウンター6上のみに留め、漏水がカウンターの取付穴から台座部材8の下方に漏出することを防ぐことができるため、早期に漏水を発見しやすくすることができる。
【0031】
また、本実施形態による湯水混合水栓装置1によれば、ねじ部材18を樹脂製の通水路形成部材10の貫通孔10dに挿入して金属製の台座部材8の雌ねじ孔8cに螺合させることにより、材質が互いに異なる樹脂製の通水路形成部材10と金属製の台座部材8とを確実に締結することができる。また、ねじ部材18が挿入される通水路形成部材10の貫通孔10dが上下方向に延びるように形成されているため、通水路形成部材10の外径寸法を抑え、湯水混合水栓装置1の全体を小型化することができる。
【0032】
さらに、本実施形態による湯水混合水栓装置1によれば、樹脂製の通水路形成部材10とこの樹脂製の通水路形成部材10の外周部を覆うスパウト4のカバー部
材4bとの間に所定の隙間を形成することにより、万一、樹脂製の通水路形成部材10が破損して通水路形成部材10の外部に漏水が生じたとしても、この隙間がカウンター6上への漏水の抜け道となり、漏水がスパウト4のカバー部
材4bの下部からカウンター6上に流出するため、早期に漏水を発見しやすくすることができる。
【0033】
なお、上述した本発明の一実施形態による湯水混合水栓装置1においては、一例として、樹脂製の通水路形成部材10の内部に通湯路10a、通水路10b及び湯水混合路10cが形成された形態について説明したが、このような形態に限定されず、湯水混合路10cを省略した通水路形成部材の形態についても適用可能である。