特許第5958882号(P5958882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5958882金網フィルター付きガスケットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958882
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】金網フィルター付きガスケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20160719BHJP
   F16J 15/12 20060101ALI20160719BHJP
   B01D 39/12 20060101ALI20160719BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   F16J15/10 A
   F16J15/12 H
   B01D39/12
   B01D46/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-118604(P2012-118604)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-245726(P2013-245726A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107320
【弁理士】
【氏名又は名称】高塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩司
【審査官】 佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−313835(JP,A)
【文献】 特開2009−273982(JP,A)
【文献】 特開2006−242214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
B01D 39/12
B01D 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金網(1)の両面に環状のポリアミド樹脂層(3)を直接一体成形する工程と、前記ポリアミド樹脂層(3)の外側に環状のゴム状弾性材製ガスケット(2)を一体成形する工程と、前記ガスケット(2)の外周側に位置する前記金網(1)を前記ガスケット(2)の外周面に沿って環状に打ち抜く工程とを含む金網フィルター付きガスケットの製造方法。
【請求項2】
前記金網(1)が、ロール状に巻き取られた材料を使用することを特徴とする請求項1記載の金網フィルター付きガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金網フィルター付きガスケットの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、自動車、産業機械器具、ガスコンロ等の家庭用機器に幅広く利用される金網フィルター付きガスケットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金網フィルター付きガスケットは、金属薄板にプレス加工により微細孔(メッシュ)を形成し、この微細孔(メッシュ)を形成した金属薄板の外周にゴム状弾性材製ガスケットを一体成形する方法により製作していた。
【0003】
この為、金属薄板にプレス加工により微細孔(メッシュ)を形成する事に経費が嵩むと同時に、金属薄板とゴム状弾性材製ガスケットを一体化する為に、金属薄板の表面に接着剤を塗布する手間が必要となった。
【0004】
特に、金属薄板の表面に接着剤を塗布する工程において、金属薄板全体を接着剤浴の中に浸す方法が、作業効率の観点から望ましいが、接着剤が微細孔を塞ぐ問題を惹起した。
【0005】
この為、手作業である刷毛塗りにより、金属薄板の表面に接着剤を塗布する方法を採らざるを得ず、作業効率が大きく低下した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−155817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
接着剤の塗布を不要とする事により、製造コストを低く抑えると共に、信頼性が高い金網フィルター付きガスケットを安価に提供できることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、金網の両面に環状のポリアミド樹脂層を直接一体成形する工程と、前記ポリアミド樹脂層の外側に環状のゴム状弾性材製ガスケットを一体成形する工程と、前記ガスケットの外周側に位置する前記金網を前記ガスケットの外周面に沿って環状に打ち抜く工程とを含む金網フィルター付きガスケットの製造方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明の金網フィルター付きガスケットの製造方法によれば、製造コストを低く抑えると共に、信頼性が高い金網フィルター付きガスケットを安価に提供出来る。
更に、請求項2記載の発明の金網フィルター付きガスケットの製造方法によれば、金網が、ロール状に巻き取られた材料を使用することにより、連続生産が可能になり、より低コストで生産出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明により得られた金網フィルター付きガスケットの平面図。
図2図1のA−A断面図。
図3】本発明の金網フィルター付きガスケットの製造に使用される金網の平面図。
図4図3の金網に環状のポリアミド樹脂層を一体成形した図。
図5図4のポリアミド樹脂層の外側にゴム状弾性材製ガスケットを一体成形した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明により得られた金網フィルター付きガスケット4は、図1及び図2に示す様に、円盤状の金網1と、この金網1の外周に一体形成した環状のゴム状弾性材製ガスケット2より成る基本構成を備えている。
そして、このガスケット2は、環状のポリアミド樹脂層3を介して金網1と一体化されている。
【0013】
図2に示す様に、ポリアミド樹脂層3は、金網1の表裏両面に、金網1を挟み込む形で、金網1と一体化している。
また、ゴム状弾性材製ガスケット2は、ポリアミド樹脂層3の外周側を包み込む様に、断面コ字形状を成している。
そして、金網1は、ポリアミド樹脂層3及びゴム状弾性材製ガスケット2を横断する形で存在する。
【0014】
ポリアミド樹脂は、アミド結合の繰り返し単位を備えた線状高分子で、代表的なポリアミド樹脂として6ナイロン、6,6ナイロン等が有る。
この種ポリアミド樹脂は、接着剤無しで直接、金網や金属薄板と接着一体化出来ると共に、ゴム状弾性材とも接着剤無しで直接接着一体化出来る為、接着剤処理工程を省くことが出来る。
この為、製造コストを低く抑えると共に、信頼性が高い金網フィルター付きガスケット4を安価に提供出来る。
【0015】
また、この種ポリアミド樹脂層3に、接着性添加剤成分を含ませる事により、金網やゴム状弾性材との接着力をより高める事が出来る。
この為、より信頼性が高い金網フィルター付きガスケット4とすることが出来る。
【0016】
ガスケット2に使用されるゴム状弾性材料としては、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、水添加ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、アクリル酸エステルゴム(ACM)等が適宜選択して用いられる。
【0017】
ついで、本発明に係る金網フィルター付きガスケット4の製造方法につき、図3乃至図4に基づき説明する。
まず、図3に示す様な金網1が準備される。この金網1には、一切の接着剤処理は施されていない。
また、この金網1を、ロール状に巻き取られた材料とする事により、連続生産が可能になり、より低コストで生産出来る。
【0018】
ついで、図4に示す様に、この金網1の両面に環状のポリアミド樹脂層3を直接一体成形する。
通常、金型を使用して、射出成形を利用する事により、容易にポリアミド樹脂層3を金網1の両面に設ける事が出来る。
【0019】
ついで、図5に示す様に、このポリアミド樹脂層3の外側に環状のゴム状弾性材製ガスケット2を一体成形する。
【0020】
最後に、ガスケット2の外周側に位置する金網1をガスケット2の外周面に沿って環状に打ち抜く事により、図1及び図2に示す金網フィルター付きガスケット4が得られる。
【0021】
この様に、接着剤処理工程を省くことが出来る為、製造コストを低く抑えると共に、信頼性が高い金網フィルター付きガスケットを安価に提供出来る。
【0022】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る金網フィルター付きガスケットは、自動車、産業機械器具、ガスコンロ等の家庭用機器に幅広く利用される。
【符号の説明】
【0024】
1 金網
2 ガスケット
3 ポリアミド樹脂層
4 金網フィルター付きガスケット
図1
図2
図3
図4
図5