特許第5958900号(P5958900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5958900-カム駆動アクチュエータ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958900
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】カム駆動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   H02K7/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-156646(P2012-156646)
(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公開番号】特開2014-23177(P2014-23177A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229645
【氏名又は名称】日本パルスモーター株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 光司
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−144741(JP,A)
【文献】 特開平3−277150(JP,A)
【文献】 特開2011−234512(JP,A)
【文献】 特開平9−275660(JP,A)
【文献】 特開昭51−17773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング本体内に、励磁コイルが設けられたステータと、該ステータの内側に前記コイルの励磁によって回動可能に配設された中心に軸孔を有する回転子とを備えたモータ駆動手段と、
前記ケーシング本体のフロント側部を形成するフロントケーシング内に、底部と円筒状の筒部とで断面視略コ字状に形成され、該筒部に所定のカム面が形成されたカム体と、該カム体内の中心に所定の筒内空間を存して配置され、前記カム面に沿って係合する係合片を介して従動する進退移動可能な従動軸とを備えたカム手段とからなるカム駆動アクチュエータであって、
前記従動軸は、先端側がフロントケーシングに軸受されてその前面から出没する出力軸部と、該出力軸部の後端側に延出され前記カム体の底部に軸受されてその底面から突出する廻り止め軸部とに区分け形成させて構成する一方、
前記カム体は、上カム面を形成する上筒と下カム面を形成する下筒とを一対として、上筒を要否に応じて用いられるよう分割形成し、上筒を用いた際に、上カム面と下カム面とを、前記従動軸と共にその係合片の周回を可能とする環状のカム溝を形成するよう対向離間せしめて、フロントケーシング内に組付けセット可能に構成すると共に、
前記カム体底部から突出せしめた前記廻り止め軸部の基端側を、前記軸孔内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入し、前記回転子の回動に直接的に連動連結させた状態で前記フロントケーシングをケーシング本体に装着せしめることで、
前記従動軸を、前記回転子の回動と一体して回転しつつ、モータ駆動手段の出力軸としてカム駆動すべく構成したことを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記回転子の軸孔内には、前記カム体の底部側となる内周面に廻り止め部が設けられていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項3】
請求項2において、前記廻り止め軸部は、前記廻り止め部から前記回転子の軸孔内に入り込む長さを有することを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記係合片は、前記従動軸に穿設した取付け孔に挿入されて取着されていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記従動軸には、前記出力軸部と廻り止め軸部との区分け域に、その外周面がカム面に近接離間するよう形成された円柱状の基盤を設け、前記係合片は、前記基盤を介して前記カム溝に係合するよう取着されていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のカム体内の中心に筒内空間を存して配設させた細径の従動軸を、カム面の形状に沿って進退移動可能に従動するよう構成してなるカム駆動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械カム手段には、主軸(モータ出力軸)、カム体及び従動軸(従節)から構成され、カム体を、回転運動を直線運動に変える一つの手段として、1回転中における所望の動作カーブ(変位曲線)に対応したカム面の周上に従動軸を配設し、カム体を回転させることで所望の直線運動を得ることにより、主軸の回転を機械的に従動軸の進退移動変位に変換するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1のものは、回転子(4)の回動を直接連動連結させた筒径の大きなカム体(5)を用いて、その中心にカム面(53)との間に筒内空間を存して細径の従動軸(6)を配設し、さらに、従動軸(6)の基端側に案内軸(81a)を延出形成して、回転子(4)の挿通孔(41)に非接触で挿入させることで、先端側をフロントキャップ(22)の軸受部(222)と、基端側をカム体底部(51)の軸受部(8a)との2点間でそれぞれ軸受させて、従動軸(6)が軸受部(222)から外部へ出没する、所謂ワーク体に連動連結される一般的なモータ出力軸として機能できるようにしたものとなっている(図4参照)。
【0004】
しかしながら、このものは、カム体(5)を回転子(4)と一体成形して、その回動を直接連動連結し、カム体底部(51)の軸受部(8a)で従動軸(6)を軸受するようになっているため、上カム面(532)と下カム面(531)とのカム溝(53a)を有するカム体(5)を用いる場合には、筒部(52)を一体成形する必要があり(図5参照)、基端側を軸受部(8a)に軸受させた状態から係合片(61)をカム溝(53a)に係合させて従動軸(6)をケーシング内に組付けセットする作業が極めて難しいという構造上の問題点を有するだけでなく、カム体(5)の回転運動を従動軸(6)に伝達することで従動軸(6)を直線運動に変換する、所謂2系統によりカム駆動する構成となっているため、基端側の軸受部(8a)は、カム体(5)の回転と従動軸(6)の進退移動とを許容する軸受構成としなければならず、その配設構成に制約を受け、しかも、カム体(5)は、高速回転させるとブレを発生し易いという要因を有しており、この回転ブレは小型のものでは許容されるが高精度が求められる大型のものでは許容することができない。
【0005】
つまり、回転するカム面(53)上を摺接する係合片(61)との間に負荷荷重が加わるため、このものでは、カム体(5)の外周面を保持体(72)により摺接支持することで回転ブレを抑止できるものであるが、従動軸(6)に大きな駆動力を必要とするワーク体を連動連結させた際には、カム体(5)の外周面を保持体(72)により高精度に軸受させる必要が生じるなど、各部材の組付けや製作が難しくなり、当該構造を大型のカム装置にそのまま採用することへの困難性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−144741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、筒状のカム体内の中心に筒内空間を存して配設させた細径の従動軸を、筒状カム体のカム面に沿ってカム駆動させるものでありながら、上筒、係合片が取着された従動軸、下筒の3者を、フロントケーシング内に、従動軸の先端側をフロントケーシング前面部で軸受させ、基端側をカム体の底部で軸受させた状態で、回転子の回動に連動連結しない別工程で容易に組付けセットすることができ、しかも、この組付けセット後に、カム体底部から突出する廻り止め軸部を、手動回転操作により分割された上筒と下筒との最適なカム溝状態やカム駆動状態の動作確認を行うことができ、その後、基端側を、回転子の軸孔内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入するだけで、回転子の回動と直接的に連動連結を行うことが可能となり、容易にモータ駆動手段との一体化を図ることができるようにし、組立時における軸芯ズレ規制や同軸度の確保が容易に行え、部品点数の削減や各部材の組付け構成が簡素化されて製作の容易化と、構造の簡略化を図ると共に、従動軸の軸芯ブレや回転振動などの発生が回避された最適なカム駆動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が採用した技術手段は、ケーシング本体内に、励磁コイルが設けられたステータと、該ステータの内側に前記コイルの励磁によって回動可能に配設された中心に軸孔を有する回転子とを備えたモータ駆動手段と、前記ケーシング本体のフロント側部を形成するフロントケーシング内に、底部と円筒状の筒部とで断面視略コ字状に形成され、該筒部に所定のカム面が形成されたカム体と、該カム体内の中心に所定の筒内空間を存して配置され、前記カム面に沿って係合する係合片を介して従動する進退移動可能な従動軸とを備えたカム手段とからなるカム駆動アクチュエータであって、前記従動軸は、先端側がフロントケーシングに軸受されてその前面から出没する出力軸部と、該出力軸部の後端側に延出され前記カム体の底部に軸受されてその底面から突出する廻り止め軸部とに区分け形成させて構成する一方、前記カム体は、上カム面を形成する上筒と下カム面を形成する下筒とを一対として、上筒を要否に応じて用いられるよう分割形成し、上筒を用いた際に、上カム面と下カム面とを、前記従動軸と共にその係合片の周回を可能とする環状のカム溝を形成するよう対向離間せしめて、フロントケーシング内に組付けセット可能に構成すると共に、前記カム体底部から突出せしめた前記廻り止め軸部の基端側を、前記軸孔内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入し、前記回転子の回動に直接的に連動連結させた状態で前記フロントケーシングをケーシング本体に装着せしめることで、前記従動軸を、前記回転子の回動と一体して回転しつつ、モータ駆動手段の出力軸としてカム駆動すべく構成したことを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【発明の効果】
【0009】
本発明におけるカム駆動アクチュエータは、筒状のカム体内の中心に筒内空間を存して配設させた細径の従動軸を、筒状カム体のカム面に沿ってカム駆動させるものでありながら、上筒、係合片が取着された従動軸、下筒の3者を、フロントケーシング内に、従動軸の先端側をフロントケーシング前面部で軸受させ、従動軸の基端側をカム体の底部で軸受させた状態で、回転子の回動に連動連結しない別工程で容易に組付けセットすることができるばかりか、この組付けセット後に、カム体底部から突出する廻り止め軸部を、手動回転操作により分割された上筒と下筒との最適なカム溝状態やカム駆動状態の動作確認を行うことができ、その後、基端側を、回転子の軸孔内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入するだけで、回転子の回動と直接的に連動連結を行うことが可能となり、容易にモータ駆動手段との一体化を図ることができると共に、軸孔内を廻り止め軸部の移動ストローク域として利用でき、殊更、フロントケーシング側にスプライン等による連結ストローク域を設ける必要がない。その結果、フロントケーシング内において、非回転で装着されたカム体は、その外周面を摺接支持する必要性が一切無くなり、上筒と下筒とに分割形成した配設が可能となり、従動軸のみを、回転子の回動に連動連結しない別工程で、予め回転自在かつ軸方向移動自在に両端支持させた軸受構造をもって組付けすることができ、組立時における軸芯ズレ規制や同軸度の確保が容易に行え、部品点数の削減や各部材の組付け構成が簡素化されて製作の容易化と、軸受構造を含むアクチュエータ自体の構造の簡略化を図ることができる。しかも、従動軸は、係合片を非回転カム面を案内面として、係合(摺接、転動)負荷や軸芯ズレを生じることなく、直角度を維持した最適な係合案内関係が確保され、係合片を片持ち配置させても常に安定した推力をもって案内従動することができ、従動軸に大きな推力を要するワーク体への連動連結や、従動軸を高速回転させるなどの大型化を伴う高精度の軸受構造を必要とするカム装置であっても、従動軸の軸芯ブレや回転振動などの発生が回避された最適なものとして提供することができる。さらに、固定されたカム体は、その外周面に対する摺接支持構造を考慮する必要が無く、単にその外径を大きく、溝カムの筒部を長くしてスパイラル状に周回する長ストロークのカム面の形成も容易に行え、種々のバリエーション化の図られたカム形状のものを容易に採用することができ、ワーク体の要求に応じて最適なカム駆動を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】カム駆動アクチュエータの縦断全体構成図である。
図2】カム手段側となるカム駆動アクチュエータの前側面図である。
図3】モータ駆動手段側となるカム駆動アクチュエータの後側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、好適な実施の形態として例示するカム駆動アクチュエータを図面に基づいて詳細に説明する。
図1はカム駆動アクチュエータの縦断全体構成図、図2は前側面図、図3は後側面図である。これら図に示すように、1はカム駆動アクチュエータであって、該カム駆動アクチュエータ1は、ハイブリッド型ステッピングモータ、DCブラシレスモータ等のモータ駆動手段1aと、カム手段1bとにより一体的に構成される。
【0012】
本実施例におけるモータ駆動手段1aは、励磁コイル22(捲線)を備える筒状胴部としてのステータ2(固定子)と、該ステータ2とその両側に配設されたエンド側部111、フロント側部112とからなるケーシング本体11と、ステータ2の内周側に配設され、永久磁石31を挟持し軸方向に磁化された回転子3とを備え、回転子3は、その中心(軸芯)に軸孔32aを有するよう配設された筒軸32を備え、この筒軸32をエンド側部111とフロント側部112とで回転可能に軸受4により軸支され、コイル22の励磁によって回転駆動する、所謂、ハイブリッド型ステッピングモータにて構成される。
また、軸孔32aの先端側(フロント側部112側)には、従動軸6の基端側(廻り止め軸部62)を廻り止め状態で挿入するための筒状部材が設けられ廻り止め部321が形成されている。
【0013】
カム手段1bは、円盤形状の底部51と、その外周から軸線方向に向けて延出する筒部52とによって、断面視コ字状(凹状)の円筒形状に成形され、筒部52に所定の起伏形状を有するカム面53が形成されたカム体5と、該カム体5内の中心に所定の筒内空間を存して配置され、カム面53に沿って係合する係合片63を介して従動する進退移動可能な従動軸6とを備えて、ケーシング本体11のフロント側部を形成するフロントケーシング12内に収容される。
【0014】
カム体5は、その筒部52において、上カム面53aを形成する上筒5aと下カム面53bを形成する下筒5bとを一対(組)として、それぞれ中心に挿通孔を有して断面視コ字状に分割形成され、上カム面53aと下カム面53bとにより、係合片63が周回できるよう所定の間隔を存して対向離間する環状のカム溝531を形成している。この様にカム体5を分割型に形成すると、上筒5aを要・不要に応じて使い分け配設すれば良く、容易に下筒5bのみとした端面カムを形成することができ、その際、軸受部材7と係合片63との間に上筒5aに替えてコイルバネを介在して従動軸6を常時後退方向に弾発付勢させておけば良く、さらに、中間筒を介在した3分割としてスパイラル溝とすることもできる。
また、上筒5aは、フロントケーシング12内の前側にセットし、その側面から予めビス固定しておけば良く、単に円筒形状としても良い。下筒5bの底部51の中心とフロントケーシング12の中心には、それぞれ軸受部材7(ブッシュ)が設けられ、フロントケーシング12は、その基端部側を、モータ駆動手段1aのフロント側部112に底部51を面接させた状態で外嵌させ、底部51から延出する外周側面をビス固定させて装着されている。
【0015】
従動軸6は、細径の円柱状に形成され、フロントケーシング12の前面部に設けられた軸受部材7より回転自在かつ軸方向移動自在に軸受されて、フロントケーシング12の前面より出没する先端側の出力軸部61と、該出力軸部61の後端側に、円柱軸の外周対向面をD字状(円弧状)に2面切欠きした断面視太鼓状に延出形成されており、カム体5の底部51に設けられた軸受部材7より回転自在かつ軸方向移動自在に軸受されて、その底面から外方へ突出する長さを有した廻り止め軸部62とに区分け形成させ、さらに、出力軸部61の基端側となる廻り止め軸部62に近接した部位に穿設した取付け孔6aに挿入取着された係合片63とにより構成される。底部51の底面から突出する廻り止め軸部62は、これに対応する筒形状の回転子3の廻り止め部321を介して軸孔32a内に廻り止め接触状態で回転かつ進退移動可能に挿入され、その挿入長さは、カム面53の起伏による最大移動ストローク量を超えても、嵌挿解離されない長さに設定されて回転子3の回動と直接的に連動連結されている。
【0016】
なお、係合片63は、カム体5の筒径が大きくなりカム面53が従動軸6の外周面と筒部52の内周面との筒内空間を要する場合に、特許文献1に開示された如くその外周面がカム面53に近接離間するよう形成された円柱状の基盤を、出力軸部61と廻り止め軸部62との区分け域(出力軸部61側、廻り止め軸部62側、または両者)の部位に設けて、この基盤を介してカム溝531に係合するようにしても良い。このように係合すると、細径の係合片63の延出長さを短く設定し、係合負荷を分散軽減した状態で摺接係合できる。この場合、係合片63を取付け孔6aに回転可能に軸支させることにより、カム体5との摩擦を軽減することも可能である。また、係合片63に替えて、先端にカム面53上を転動するローラを有する軸部(スタッド)よりなるカムフォロアを用いても良い。
これにより、回転子3の回動と直接的に連動連結された従動軸6は、その先端側の出力軸部61と基端側の廻り止め軸部62との二点間で軸受部材7により回転自在かつ軸方向移動自在に高精度に両端支持する軸受構造によって案内されながら、従動軸6の回転に伴ってカム面53の起伏形状に沿って回転しつつ従動し、出力軸部61がフロントケーシング12の前面より外部へ出没する、所謂ワーク体に連動連結されるモータ出力軸として機能するようになっている。
【0017】
次に、カム手段1bのモータ駆動手段1aへの組み付け方法を説明する。先ず、上筒5aをフロントケーシング12内にセットしてビス固定により装着し、従動軸6の出力軸部61先端側をフロントケーシング12の軸受部材7に挿入軸支させ、係合片63を上カム面53aに係合させた状態で、従動軸6の廻り止め軸部62基端側を下筒5bの底部51の軸受部材7に挿入軸支しつつ、下筒5bをフロントケーシング12内にセットする。その際、カム溝531が上カム面53aと下カム面53bとの最適な対面関係(起伏面を一致させるなど)や溝幅となる位置を、下筒5bの底部51から突出する廻り止め軸部62を手動操作で回転させながらカム駆動動作や位置合わせを確認し、下筒5bをビス固定により装着する。なお、予め筒部52の外周面に案内溝を刻設し、フロントケーシング12の内周面に案内片を設けておけば、位置合わせ作業を容易に行うことができる。
その後、下筒5bの底部51から突出する廻り止め軸部62を、回転子3の廻り止め部321を介して軸孔32a内に挿入させ、回転子3の回動と直接的に連動連結し、フロントケーシング12の基端側をフロント側部112に底部51を面接させた状態で外嵌させ、その外周側面をビス固定させて装着すれば組み立ては完成する。
【0018】
このように、組み立て構成されたカム駆動アクチュエータ1におけるカム手段1bの従動軸6は、フロントケーシング12の前面に設けられた軸受部材7と、下筒5bの底部51に設けられた軸受部材7とによって、しっかりと軸受されてフロントケーシング12内に収容された状態で、廻り止め軸部62が、回転子3の廻り止め部321に進退移動可能に挿入されて、回転子3の回動に直接連動され、軸孔32a内を移動ストローク域として回転しつつ進退移動し、係合片63がカム体5の環状のカム面53に沿って周回案内されることにより、フロントケーシング12の前面に設けられた軸受部材7より回転しつつ出没してカム駆動する。つまり、従動軸6は、モータ駆動手段1aの駆動制御により、カム起伏が上り勾配となる場合には下カム面53b上を、下り勾配となる場合には上カム面53a上を、それぞれ係合片63がガイドされながら周回して、従動軸6をモータ駆動手段1aの出力軸としてカム駆動するようになっている。
【0019】
叙述の如く構成された本発明の実施例の形態において、いま、フロントケーシング12内に収容させたカム手段1bを構成する従動軸6は、連結されたモータ駆動手段1aの回転子3の回動に連動して、カム体5に形成されたカム面53に沿ってカム駆動するのであるが、本発明におけるカム駆動アクチュエータ1は、筒状のカム体5を非回転としてフロントケーシング12内に収容させ、従動軸6は、先端側がフロントケーシング12に軸受されてその前面から出没する出力軸部61と、該出力軸部61の後端側に延出されカム体5の底部51に軸受されてその底面から突出する廻り止め軸部62とに区分け形成させて構成する一方、カム体5は、上カム面53aを形成する上筒5aと下カム面53bを形成する下筒5bとを一対(組)として、上筒5aを要否に応じて使い分け可能に分割形成し、上筒5aを用いた際に、上カム面53aと下カム面53bとを、従動軸6と共にその係合片63の周回を可能とする環状のカム溝531を形成するよう対向離間せしめて、フロントケーシング12内に個別に組付けセット可能に構成すると共に、カム体5の底部51から突出せしめた廻り止め軸部62の基端側を、回転子3の軸孔32a内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入し、回転子3の回動に直接的に連動連結させた状態でフロントケーシング12をケーシング本体11に装着せしめて、従動軸6を、回転子3の回動と一体して回転しつつ、モータ駆動手段1aの出力軸としてカム駆動すべく構成されている。
【0020】
この様に構成すると、筒状のカム体5内の中心に筒内空間を存して配設させた細径の従動軸6を、筒状のカム体5のカム面53に沿ってカム駆動させるものでありながら、上筒5a、係合片63が取着された従動軸6、下筒5bの3者を、フロントケーシング12内に、従動軸6の先端側をフロントケーシング12の前面部で軸受部材7により軸受させ、従動軸6の基端側をカム体5の底部51で軸受部材7により軸受させた状態で、回転子3の回動に連動連結しない別工程で容易に組付けセットすることができるばかりか、この組付けセット後に、カム体5の底部51から突出する廻り止め軸部62を、手動回転により分割された上筒5aと下筒5bとの最適なカム溝531状態やカム駆動状態の動作確認を行うことができ、その後、基端側を、回転子3の軸孔32a内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入するだけで、回転子3の回動と直接的に連動連結を行うことが可能となり、容易に個別に構成されたモータ駆動手段1aとの一体化を図ることができると共に、軸孔32a内を廻り止め軸部62の移動ストローク域として利用でき、殊更、フロントケーシング12側にスプライン等による連結ストローク域を設ける必要がない。
【0021】
その結果、フロントケーシング12内において、非回転で装着されたカム体5は、その外周面を摺接支持する必要性が一切無くなり、上筒5aと下筒5bとに分割形成した配設が可能となり、従動軸6のみを、回転子3の回動に連動連結しない別工程で、予め回転自在かつ軸方向移動自在に軸受部材7により、両端支持させた軸受構造をもって組付けすることができ、組立時における軸芯ズレ規制や同軸度の確保が容易に行え、部品点数の削減や各部材の組付け構成が簡素化されて製作の容易化と、軸受構造を含むアクチュエータ自体の構造の簡略化を図ることができる。しかも、従動軸6は、係合片63を非回転カム面53の全幅を走行案内面として、カム面53上を均等に面接しながら係合(摺接、転動)負荷や軸芯ズレを生じることなく、直角度を維持した最適な係合案内関係が確保され、係合片63を片持ち配置させても常に安定した推力をもって案内従動することができ、従動軸6に大きな推力を要するワーク体への連動連結や、従動軸6を高速回転させるなどの大型化を伴う高精度の軸受構造を必要とするカム装置であっても、従動軸6の軸芯ブレや回転振動などの発生が回避された最適なものとして提供することができる。さらに、固定されたカム体5は、その外周面に対する摺接支持構造を考慮する必要が無く、単にその外径を大きく、溝カムの筒部を長くしてスパイラル状に周回する長ストロークのカム面53の形成も容易に行え、種々のバリエーション化の図られたカム形状のものを容易に採用することができ、ワーク体の要求に応じて最適なカム駆動を適用することができる。
【0022】
また、回転子3の軸孔32a内には、カム体5の底部51側となる内周面に廻り止め部321が設けられているので、廻り止め部321をフロント側部112から視認でき、カム体5の底部51から突出する廻り止め軸部62の挿入作業を容易に行うことができるばかりか、組付け後に底部51の軸受部材7と近接対面された配置構成となって、軸受された廻り止め軸部62に対してトルク損失のない回転伝達を行うことができる。
【0023】
また、廻り止め軸部62は、廻り止め部321から回転子3の軸孔32a内に入り込む長さを有するので、廻り止め軸部62は、従動軸6の前進移動時に、その基端部が、廻り止め部321(筒軸32)内に入り込むことなく、常に廻り止め部321全長が接触した状態で廻り止め案内されながら、回転しつつ進退移動することができ、しかも、軸孔32a内全長を移動ストローク域として利用できるので、廻り止め軸部62を長尺に設定でき、カム面53のストローク長さ設定や、出力軸部61の長さ設定に自由度を持たせて容易に製作することができる。
【0024】
また、係合片63は、従動軸6の出力軸部61基端側となる廻り止め軸部62に近接した部位に穿設した取付け孔6aに挿入されて取着されているので、係合片63を、カム面53に対して片持ち係合させるか、両端係合させるかの長さ設定の異なるものでも容易に切換え取着することができる。
【0025】
また、従動軸6には、出力軸部61と廻り止め軸部62との区分け域に、その外周面がカム面53に近接離間するよう形成された円柱状の基盤(図示しない)を設け、係合片63は、この基盤を介してカム溝531に係合するよう取着されているので、カム体5の直径が大きくなりカム面53が軸芯からの筒内空間の距離を要する場合に、係合片63の長さを短く設定することができ、負荷を分散軽減した状態で摺接係合できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
従動軸6を、フロントケーシング12とカム体5の底部51に設けられた軸受部材7間で軸受させ、かつ、係合片63を、カム溝531間に係合した状態で、フロントケーシング12内に配設したものでありながら、上筒5a、係合片63が取着された従動軸6、下筒5bの3者を、フロントケーシング12内に容易に組付けセットでき、セット後に、底部51から突出する廻り止め軸部62を、軸孔32a内に廻り止め状態で回転かつ進退移動可能に挿入するだけで、回転子3の回動と直接的に連動連結を行うことができ、ワーク体に連動連結されるモータ出力軸として利用することができ、カム駆動、大きな推力、高速回転、回転ブレ規制などの高精度が求められるワーク体の要求に応じて、小型のものから大型のものまで適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 カム駆動アクチュエータ
1a モータ駆動手段
11 ケーシング本体
111 エンド側部
112 フロント側部
1b カム手段
12 フロントケーシング
2 ステータ
22 励磁コイル
3 回転子
31 永久磁石
32 筒軸
32a 軸孔
321 廻り止め部
4 軸受
5 カム体
51 底部
52 筒部
53 カム面
5a 上筒
53a 上カム面
5b 下筒
53b 下カム面
531 カム溝
6 従動軸
61 出力軸部
62 廻り止め軸部
63 係合片
6a 取付け孔
7 軸受部材
図1
図2
図3