特許第5958915号(P5958915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958915
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】点火ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F42B 3/13 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   F42B3/13
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-72960(P2013-72960)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196875(P2014-196875A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390034382
【氏名又は名称】昭和金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴広
(72)【発明者】
【氏名】中久喜 潔
(72)【発明者】
【氏名】井上 直己
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 利一
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−500602(JP,A)
【文献】 特表2003−534523(JP,A)
【文献】 特開2008−138931(JP,A)
【文献】 特開2010−251758(JP,A)
【文献】 特表2007−519531(JP,A)
【文献】 特開2008−138949(JP,A)
【文献】 特開2006−138510(JP,A)
【文献】 特表2007−537967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 3/12 − 3/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体の発熱に基づいて点火薬が点火する点火ユニットの製造方法において、
部と電気的に接続される電極接続体及びこの電極接続体同士を連結して通電時に発熱する前記発熱体からなる発熱材料部を、半導体部上に形成し
前記発熱体を包囲するようにして前記発熱材料部上に周壁部を形成し
この周壁部に囲まれた空間に点火薬を収容し
前記半導体部は、前記点火薬が前記周壁部に囲まれた空間に収容された後、ダイシング
されてチップ状となることを特徴とする点火ユニットの製造方法
【請求項2】
発熱体の発熱に基づいて点火薬が点火する点火ユニットの製造方法において、
チップ状の半導体部上に、外部と電気的に接続される電極接続体及びこの電極接続体同士を連結して通電時に発熱する前記発熱体からなる発熱材料部を形成し、
前記発熱体を包囲するようにして前記発熱材料部上に周壁部を形成し、
この周壁部に囲まれた空間に点火薬を収容し、
前記点火薬は、火薬スラリーであって、スクリーン印刷によって前記周壁部に囲まれた
空間に収容されることを特徴とする点火ユニットの製造方法
【請求項3】
請求項1に記載された点火ユニットの製造方法において、
前記点火薬は、火薬スラリーであって、スクリーン印刷によって前記周壁部に囲まれた
空間に収容されることを特徴とする点火ユニットの製造方法
【請求項4】
請求項2又は3に記載された点火ユニットの製造方法において、
前記火薬スラリーは、水系スラリーであることを特徴とする点火ユニットの製造方法
【請求項5】
請求項4に記載された点火ユニットの製造方法において、
前記水系スラリーを構成するバインダーは、ゴム液若しくはポリビニルアルコールであ
ることを特徴とする点火ユニットの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な用途に使用される火工品を構成するための点火ユニットの製造方法に関し、特に、大量生産に適した方法により構成される点火ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火薬を塗布し、圧填し又はポッティングし、若しくは火薬を浸漬させて構成した電橋部を備え、この電橋部に通電して火薬に点火する小型の点火ユニットが公知である。最近では、半導体技術を活用して電橋部を形成し、この電橋部に火薬をポッティングし、通電し、電橋部を発熱させて火薬に点火する構成の点火ユニットが登場している。例えば、下記特許文献1では、半導体基板上に絶縁層と点火部ブリッジ層とからなる電橋部を備えて構成される半導体ブリッジに係る発明が提案されている。この発明により、着火時間、すなわち、半導体ブリッジの応答性能が改善したとされている。
【0003】
なお、下記特許文献2では、火薬式マイクロシステムに係る発明において、点火薬をスクリーン印刷により基板上に堆積させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4902542号公報
【特許文献2】特表2007−519531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で提案された発明に関連し、半導体技術を活用して電橋部を形成し、この電橋部に火薬をポッティングする半導体ブリッジ及び、このような半導体ブリッジを備えた点火ユニットでは、小型であるために火薬のポッティング操作に困難性があって生産性に劣ると指摘されている。特許文献2では、火薬をスクリーン印刷により基板上に堆積させる技術が開示されるが、火薬がスラリー化した状態にあるため、小さい半導体チップ上で、所望の位置にピンポイントに印刷することが難しいという問題がある。特に、スラリー化した火薬が乾燥してくると摩擦によって発火する可能性が高まるので、安全に扱いたいという要望もある。すなわち、安全、容易な方法で、かつ、大量生産に適した方法により、点火ユニットを製造することが求められている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み提案され、様々な用途で使用される火工品を構成するための点火ユニットに関し、特に、大量生産に適した方法で構成されながら、優れた発火性能を具備する点火ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、発熱体の発熱に基づいて点火薬が点火する点火ユニットの製造方法において、外部と電気的に接続される電極接続体及びこの電極接続体同士を連結して通電時に発熱する前記発熱体からなる発熱材料部を、半導体部上に形成し、前記発熱体を包囲するようにして前記発熱材料部上に周壁部を形成し、この周壁部に囲まれた空間に点火薬を収容し、前記半導体部は、前記点火薬が前記周壁部に囲まれた空間に収容された後、ダイシングされてチップ状となることを特徴とする。
上記点火ユニットの製造方法において、前記点火薬は、火薬スラリーであって、スクリーン印刷によって前記周壁部に囲まれた空間に収容されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、発熱体の発熱に基づいて点火薬が点火する点火ユニットの製造方法において、チップ状の半導体部上に、外部と電気的に接続される電極接続体及びこの電極接続体同士を連結して通電時に発熱する前記発熱体からなる発熱材料部を形成し、前記発熱体を包囲するようにして前記発熱材料部上に周壁部を形成し、この周壁部に囲まれた空間に点火薬を収容し、前記点火薬は、火薬スラリーであって、スクリーン印刷によって前記周壁部に囲まれた空間に収容されることを特徴とする。
【0009】
前記火薬スラリーは、水系スラリーであることが好ましい。前記水系スラリーを構成するバインダーは、ゴム液若しくはポリビニルアルコールであることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る点火ユニットは、外部の電極や端子と電気的に接続する電極接続体及び、この電極接続体同士を連結して通電時に発熱する発熱体を有して半導体部上に形成されている発熱材料部の発熱体を包囲するように、発熱材料部上に周壁部が形成されている構成である。さらに、この周壁部に囲まれた空間に点火薬が収容される。すなわち、本発明に係る点火ユニットでは、周壁部が形成されている構成により、発熱体上の一箇所(周壁部に囲まれた空間)に点火薬を必ずポッティングすることができる。したがって、確実な発火性能を期待でき、優れた発火性能を備えた点火ユニットを提供することが可能である。周壁部は、半導体技術を活用すれば容易に形成可能であるので、大量生産に適した構造である。
【0011】
また、本発明では、点火薬が周壁部に囲まれた空間に収容された後に、半導体ウエハをダイシングし、半導体部をチップ状とする構成により、点火ユニットの完成品を一度に大量生産することができる。さらに、点火薬を火薬スラリーとすることで、印刷技術を使って点火薬をポッティングすることができる。特に、周壁部が形成される構成であるので、この周壁部を目印とすることで、スクリーン印刷によって周壁部に囲まれた空間に容易かつ確実に火薬スラリーを収容することができ、大量生産に益々適した点火ユニットを構成することができる。
【0012】
さらに、周壁部に囲まれた空間に点火薬が収容されているので、ダイシングする箇所に火薬が存在することがなく、ダイシング時の誤発火が抑止される。電極接続体上に火薬が存在することもないので、外部の電極や端子と電気的、機械的に接続する際にも誤発火が防止される。したがって、本発明では、安全、容易な方法で、かつ、大量生産に適した方法により、点火ユニットを製造することができる。
【0013】
このほか、火薬スラリーを水系スラリーとすることで、点火薬の乾燥に時間を要するため、摩擦によって生産中(製造中)に発火する可能性を抑えることができ、安全に扱いたいという要望に対応することができる。水系スラリーを構成するバインダーを、ゴム液若しくはポリビニルアルコールとすることで、点火薬スラリーの周壁部に囲まれた空間へのスクリーン印刷をより安定的に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る点火ユニットの概略を示す概略斜視図である。
図2】本発明に係る点火ユニットの概略を、周壁部を除いた平面形態で示し、チップ状の半導体部上に形成された発熱材料部の形状を説明する概略平面図である。
図3図1のX−X断面図である。
図4】本発明に係る点火ユニットが半導体ウエハに形成されている状態を説明する説明図である。
図5】(a)は、本発明に係る点火ユニットを適用した火工品の概略構成を説明する説明図であり、(b)は、(a)において点火ユニットが存在する部分を拡大して描いた要部拡大説明図である。
図6】点火薬スラリーの溶媒乾燥曲線を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。この一実施形態は、本発明の一つの構成を詳述した例示であって、これに限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0016】
本発明は、図1に示すように、発熱材料部2の発熱体(図1において示されていない。)を包囲するように周壁部3が形成され、この周壁部3で囲まれた空間に点火薬(点火薬スラリーB)がポッティングにより収容されて構成され、発熱体の発熱に基づいて点火薬が点火する点火ユニットAに係る。
【0017】
点火ユニットAは、図1図3に示すように、チップ状の半導体部1と、この半導体部1上に、外部の電極や端子と電気的に接続する電極接続体21及び、この電極接続体21同士を連結して通電時に発熱する発熱体22を有して平面視略H字状に一体として形成される発熱材料部2と、絶縁材料、例えば、ガラスにより、発熱体22を包囲するようにして発熱材料部2上に形成される周壁部3とから構成されている。発熱材料部2の電極接続体21には、外部の電極や端子との電気的な接続を容易かつ確実にする電極パット4が設けられている。
【0018】
半導体部1は、図1又は図3に示すように、例えば、チップ状のシリコン基板からなり、n型p型の両方の性質を有して構成されている。本実施形態では、発熱材料部2と接続する部分をp型シリコン11とし、その他の部分をn型シリコン12とした構成である。また、半導体部1の表面であって、略H字状の発熱材料部2に接していない表面部分は、例えば、二酸化ケイ素の絶縁層13で覆われる等、絶縁処理されていることが好ましい。
【0019】
発熱材料部2は、特に図2に示すように、外部と電気的に接続する電極接続体21及び、この電極接続体21同士を連結して通電時に発熱する発熱体22から平面視略H字状に一体形成されて構成されている。発熱材料部2の材質には、例えば、ニッケル、クロム、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、ポリシリコン、金、白金等を用いることができる。また、これらの材質から1又は2以上が選ばれた合金により構成することもできる。
【0020】
周壁部3は、ガラスなどの絶縁材料からなり、発熱体22を包囲するようにして発熱材料部2上、具体的には、図1又は図3に示すように、電極接続体21上に積層されて形成されている。特に、周壁部3に囲まれた空間が電極パット4と接触しない、すなわち、周壁部3に囲まれた空間に収容される点火薬スラリーBと、発熱材料部2の電極接続体21とが接触しないようにして周壁部3が設けられることが好ましい。さらに詳述すれば、図3に示すように、周壁部3に囲まれた空間の直下に発熱体22が位置するようにし、周壁部3の直下に電極接続体21が位置するようにする。また、周壁部3の外壁下面で凹む段部31を設け、この段部31と電極接続体21との間に、電極パット4が挟まれた形態とするのである。これにより、外部と電気的、機械的に接続する際の誤発火の防止に資するものとなる。このほか、周壁部3は、導電性材料、半導体材料から、その表面を絶縁処理した構成のものを用いることができる。
【0021】
そして、本発明では周壁部3により、発熱材料部2を構成する発熱体22上の一箇所(周壁部3に囲まれた空間)に点火薬スラリーBを必ず固定することができる構成となるので、確実な発火性能を期待でき、優れた発火性能を備えた点火ユニットを提供することが可能となる。
【0022】
点火薬は、公知の火薬を溶剤又は、バインダーとしてゴム液やポリビニルアルコール溶液に分散させてスラリーとした点火薬スラリーBからなる。点火薬スラリーBは、周壁部3に囲まれた空間へ、後述するようにスクリーン印刷によって収容されることになる。
【0023】
以下、本発明に係る点火ユニットの製造方法を簡単に説明する。
【0024】
図4に示すように、半導体技術を活用し、pn接合を内包するシリコン半導体ウエハCについて、その表面に発熱材料部2及び電極パッド4、周壁部3を形成する。次に、スクリーン印刷により点火薬スラリーBを周壁部3に囲まれた空間に収容する。その後、シリコン半導体ウエハCをダイシングしてチップ状とする。これにより、チップ状の半導体部1上に発熱材料部2及び周壁部3が形成され、周壁部3内に点火薬スラリーBが収容されて点火ユニットAを製造することができる。
【0025】
なお、通常のウエハサイズであれば、1枚のシリコン半導体ウエハCから、2.5mm×1.5mmのサイズで約2000個の点火ユニットAを一度に製造することが可能である。印刷技術を活用するので、シリコン半導体ウエハC上の約2000個の半導体部1に対して一度で、周壁部3に囲まれた空間に点火薬スラリーBを収容することができ、大量生産に適している。
【0026】
製造した点火ユニットAは、図5(a)に示すように、所定の位置に収容されて火工品が完成する。火工品内での電気的接続は、点火ユニットAの電極パッド4と、火工品に設けられた電気通電用端子Dとを、例えば、図5(b)に示すようにワイヤーボンディングEや、その他の接続手段によって接続すればよい。その他、図示を省略したが、はんだ付け等によっても、導線性接着剤によっても接続可能である。そして、本発明は、エアバッグ、シートベルトのプリテンショナー、その他の各種の火工品に適用可能である。特に、大量生産に適した構成であるから、汎用的な火工品に備えられることが好適である。
【0027】
ここで、本発明における点火薬スラリーBは、バインダーとしてゴム液やポリビニルアルコール溶液を用いた水系スラリーであることが好ましい。水系スラリーを使用すれば、図6に示すように、溶剤系スラリーに比べて乾燥に時間を要することとなるが、乾燥するまでの時間は摩擦によって発火する可能性が低くなるので、溶剤系スラリーに比べて長時間にわたってより安全に扱うことができるからである。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
n型p型の両方の性質を有する2シリコンからなる6インチの半導体ウエハ上に、チップサイズが2.5mm×1.5mmとなるようにして、材質を白金とした発熱材料部を蒸着法により構成した。さらに、発熱材料部で構成する電極接続体に電極パットを設け、併せて、発熱材料部で構成する発熱体を覆うようにして、外寸1.5mm×1.5mm、内寸1.2mm×1.2mm、高さ0.5mmのガラスからなる周壁部を発熱材料部上に構成した。
【0029】
一方、トリニトロレゾルシン鉛とゴム液により水系点火薬スラリーを作成し、半導体ウエハ上に形成されている周壁部に囲まれた空間へスクリーン印刷で塗布し、乾燥させた。ダイシングにより、カッティング線でカットし、チップ状の点火ユニットを形成した。
【0030】
この点火ユニットを、電気通電用端子の付いた基台上に載せ、電気通電用端子と電極バッドをはんだにより固定した。なお、はんだに代えて導電性接着剤で固定してもよい。電気通電用端子間に所定の電圧をかけて発熱体を通電し、火薬が着火するかどうかを確認すると、通電から点火までの時間が50μsとなって、問題なく着火した。
【0031】
(実施例2)
n型p型の両方の性質を有する2シリコンからなる6インチの半導体ウエハ上に、チップサイズが2.5mm×1.5mmとなるようにして、材質をポリシリコンとした発熱材料部を蒸着法により構成した。さらに、発熱材料部で構成する電極接続体に電極パットを設け、併せて、発熱材料部で構成する発熱体を覆うようにして、外寸1.5mm×1.5mm、内寸1.2mm×1.2mm、高さ0.5mmのシリコンからなる周壁部を発熱材料部上に構成した。また、周壁部を構成するシリコンの表面に対し、電気的に絶縁とするために酸化処理を施した。
【0032】
一方、ジルコニウム粉末と過塩素酸カリウム粉末とポリビニルアルコール溶液とにより水系点火薬スラリーを作成し、半導体ウエハ上に形成されている周壁部に囲まれた空間へスクリーン印刷で塗布し、乾燥させた。また、点火薬を保護するため、点火薬が収容されている周壁部へ向けてスクリーン印刷で被膜液を塗布し、その後、乾燥させた。ダイシングにより、カッティング線でカットし、チップ状の点火ユニットを形成した。
【0033】
この点火ユニットを、電気通電用端子の付いた基台上に載せ、電気通電用端子と電極バッドを導電性接着剤により固定した。なお、導電性接着剤に代えてはんだで固定してもよい。電気通電用端子間に所定の電圧をかけて発熱体を通電し、火薬が着火するかどうかを確認すると、通電から点火までの時間が50μsとなって、問題なく着火した。
【0034】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は、上記一実施形態に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。例えば、上記実施例で記載した周壁部の形状、サイズは例示であって、その縦、横、高さのサイズ及び点火薬を収容する容量については、求められる発火の強度等から任意に調整することができる。半導体部のサイズも例示である。その形状も半導体ウエハからダイシングされて得られるチップ状であるかぎり、矩形、丸形等の別を問わない。発熱材料部は上記実施形態において、平面視略H字状のものを例示したが、平面視で略Z字状、略N字状のほか、通電を通じて発熱体が発熱し、点火薬に点火可能な各種の形状のものを採用することができる。なお、本発明は、水系スラリーを用いることが好ましいが、溶剤系スラリーから構成した点火薬スラリーを周壁部内へ収容して構成した点火ユニットを除外するものではない。
【符号の説明】
【0035】
1・・半導体部
11・p型シリコン
12・n型シリコン
13・絶縁層
2・・発熱材料部
21・電極接続体
22・発熱体
3・・周壁部
31・段部
4・・電極パット
A・・点火ユニット
B・・点火薬スラリー
C・・半導体ウエハ
D・・電気通電用端子
E・・ワイヤーボンディング
図1
図2
図3
図4
図5
図6