(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ディスプレイコントロール回路は、複数の色についてのスペクトル反射情報を記憶し、そして前記ディスプレイコントロール回路は、そのスペクトル反射情報に基づいてピクセルデータを調整する、請求項9に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
電子装置、例えば、セルラー電話、メディアプレーヤ、コンピュータ、セットトップボックス、ワイヤレスアクセスポイント及び他の電子装置は、ディスプレイを備えている。ディスプレイは、視覚情報及び状態データを与えるのに使用され、及び/又はユーザ入力データを収集するのに使用される。
【0013】
周囲光適応ディスプレイが設けられるタイプの例示的電子装置が
図1に示されている。この電子装置10は、コンピュータ、例えば、コンピュータモニタのようなディスプレイに一体化されるコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、若干小さなポータブル装置、例えば、リストウオッチ装置、ペンダント装置、或いは他のウェアラブル又は小型装置、セルラー電話、メディアプレーヤ、タブレットコンピュータ、ゲーム機、ナビゲーション装置、コンピュータモニタ、テレビジョン、又は他の電子装置である。
【0014】
図1に示したように、装置10は、ディスプレイ14のようなディスプレイを備えている。ディスプレイ14は、容量性タッチ電極又は他のタッチセンサコンポーネントを合体するタッチスクリーンであるか、或いはタッチ感知でないディスプレイである。ディスプレイ14は、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、プラズマセル、電気泳動ディスプレイ要素、エレクトロウエッティングディスプレイ要素、液晶ディスプレイ(LCD)コンポーネント、或いは他の適当な画像ピクセル構造体から形成された画像ピクセルを含む。有機発光ダイオードピクセルを使用してディスプレイ14を形成する構成をここでは時々一例として説明する。しかしながら、これは、単なる例示に過ぎない。ディスプレイ14を形成するのに、必要に応じて、任意の適当な形式のディスプレイ技術が使用されてもよい。
【0015】
装置10は、ハウジング12のようなハウジングを有する。時々、ケースとも称されるハウジング12は、プラスチック、ガラス、セラミック、繊維組成物、金属(例えば、ステンレススチール、アルミニウム、等)、他の適当な材料、或いは2つ以上のそれら材料の組み合わせで形成される。
【0016】
ハウジング12は、ハウジング12のある部分又は全部が単一構造体として加工され又は成形されるユニボディー構成を使用して形成されるか、或いは複数の構造体(例えば、内部フレーム構造体、ハウジング外面を形成する1つ以上の構造体、等)を使用して形成される。
【0017】
図1に示すように、ハウジング12は、複数の部分を有する。例えば、ハウジング12は、上部12A及び下部12Bを有する。上部12Aを下部12Bに対して回転軸16の周りで回転できるようにするヒンジを使用して、上部12Aが下部12Bに結合される。ハウジングの部分12Bにはキーボード18のようなキーボード及びタッチパッド20のようなタッチパッドがマウントされる。
【0018】
図2の例では、装置10は、ユーザの手の中に適合するに充分なほど小さいハウジングを使用して実施されている(例えば、
図2の装置10は、セルラー電話のようなハンドヘルド電子装置である)。
図2に示すように、装置10は、ハウジング12の前部にマウントされたディスプレイ14のようなディスプレイを備えている。ディスプレイ14は、アクティブな表示ピクセルで実質的に埋められるか、又はアクティブな部分及びインアクティブな部分を有する。ディスプレイ14は、ボタン22を収容する開口及びスピーカポート24を収容する開口のような開口(例えば、ディスプレイ14のインアクティブ又はアクティブな部分の開口)を有する。
【0019】
図3は、電子装置10がタブレットコンピュータの形態で実施された構成の電子装置10の斜視図である。
図3に示すように、ディスプレイ14は、ハウジング12の上面(前面)にマウントされる。ディスプレイ14には、ボタン22を収容するための開口が形成される。
【0020】
図4は、コンピュータモニタへと一体化されたコンピュータの形態で電子装置10が実施された構成の電子装置10の斜視図である。
図4に示すように、ディスプレイ14は、ハウジング12の前面にマウントされる。スタンド26は、ハウジング12を支持するのに使用される。
【0021】
図5は、装置10の概略図である。
図5に示したように、電子装置10は、ストレージ及び処理回路40のようなコントロール回路を備えている。ストレージ及び処理回路40は、1つ以上の異なる形式のストレージ、例えば、ハードディスクドライブストレージ、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又は他の電気的にプログラム可能なリードオンリメモリ)、揮発性メモリ(例えば、スタティック又はダイナミックランダムアクセスメモリ)、等を含む。ストレージ及び処理回路40の処理回路は、装置10の動作をコントロールするのに使用される。処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、基本帯域プロセッサ集積回路、特定用途向け集積回路、等に基づく。
【0022】
1つの適当な構成では、ストレージ及び処理回路40は、装置10のソフトウェア、例えば、インターネットブラウジングアプリケーション、eメールアプリケーション、メディアプレイバックアプリケーション、オペレーティングシステム機能、画像捕獲及び処理のためのソフトウェア、センサデータの収集及び処理に関連した機能を実施するソフトウェア、ディスプレイの輝度及びタッチセンサの機能の調整を行うソフトウェア、等を実行するのに使用される。
【0023】
外部装置との相互作用をサポートするために、ストレージ及び処理回路40は、通信プロトコルを実施するのに使用される。ストレージ及び処理回路40を使用して実施される通信プロトコルは、インターネットプロトコル、ワイヤレスローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、WiFi(登録商標)とも称されるIEEE 802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)プロトコルのような他の短距離ワイヤレス通信リンクのためのプロトコル、等を含む。
【0024】
入力/出力回路32は、ユーザ又は外部装置から装置10へ入力を供給できるようにすると共に、装置10からユーザ又は外部装置へ出力を供給できるようにするために使用される。
【0025】
入力/出力回路32は、ワイヤード及びワイヤレス通信回路34を含む。この通信回路34は、1つ以上の集積回路で形成された高周波(RF)トランシーバ回路、電力増幅回路、低ノイズ入力増幅器、受動的RFコンポーネント、1つ以上のアンテナ、及びRFワイヤレス信号を取り扱うための他の回路を含む。ワイヤレス信号は、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)送信することもできる。
【0026】
入力/出力回路32は、入力/出力装置36、例えば、
図2のボタン22、ジョイスティック、クリックホイール、スクロールホイール、タッチスクリーン(例えば、
図1、2、3又は4のディスプレイ14は、タッチスクリーンディスプレイである)、他のタッチセンサ、例えば、トラックパッド又はタッチセンサベースのボタン、バイブレータ、オーディオコンポーネント、例えば、マイクロホン及びスピーカ、画像捕獲装置、例えば、画像センサ及びそれに対応するレンズシステムを有するカメラモジュール、キーボード、状態インジケータライト、トーンジェネレータ、キーパッド、並びにユーザ又は他の外部ソースから入力を収集し及び/又はユーザ又は外部装置のための出力を発生する他の装置を含む。
【0027】
図5のセンサ38のようなセンサ回路は、周囲光に関する情報を収集するための周囲光センサ、接近センサコンポーネント(例えば、光ベースの接近センサ及び/又は他の構造に基づく接近センサ)、加速度計、ジャイロスコープ、磁気センサ、及び他のセンサ構造体を含む。
図5のセンサ38は、例えば、1つ以上のマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、マイクロホン、力センサ、圧力センサ、容量性センサ、又はマイクロエレクトロメカニカルシステム装置を使用して形成された他の適当な形式のセンサ)を含む。
【0028】
図6は、装置10のユーザのための画像をディスプレイ14のピクセルアレイ92に表示するのに使用される例示的回路を示す装置10の図である。
図6に示すように、ディスプレイ14は、アレイ92のデータラインDへデータ信号(アナログ電圧)を駆動する列ドライバ回路120を有する。ゲートドライバ回路118は、アレイ92のゲートラインGへゲートライン信号を駆動する。データライン及びゲートラインを使用して、表示ピクセル52は、ユーザのためにディスプレイ14に画像を表示するように構成される。ゲートドライバ回路118は、ガラス又はプラスチックディスプレイ基板のようなディスプレイ基板に薄膜トランジスタ回路を使用して実施されるか、或いはディスプレイ基板にマウントされ又は柔軟な印刷回路又は他の接続層によってディスプレイ基板に取り付けられる集積回路を使用して実施される。列ドライバ回路120は、ディスプレイ基板にマウントされる1つ以上の列ドライバ集積回路を使用して実施されるか、又は他の基板にマウントされた列ドライバ回路を使用して実施される。
【0029】
装置10の動作中に、ストレージ及び処理回路40は、ディスプレイ14に表示されるべきデータを発生する。この表示データは、グラフィック処理ユニット124を使用してタイミングコントローラ集積回路126のようなディスプレイコントロール回路へ供給される。
【0030】
タイミングコントローラ126は、経路128を使用して列ドライバ回路120へデジタル表示データを供給する。列ドライバ回路120は、タイミングコントローラ126からデジタル表示データを受け取る。列ドライバ回路120内のデジタル/アナログコンバータ回路を使用して、列ドライバ回路120は、それに対応するアナログ出力信号を、アレイ92の表示ピクセル52の列に沿って延びるデータラインDに供給する。
【0031】
ストレージ及び処理回路40、グラフィック処理ユニット124、及びタイミングコントローラ126は、総体的に、ディスプレイコントロール回路30と称される。このディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14の動作をコントロールするのに使用される。
【0032】
各ピクセル52は、必要に応じて、赤(R)ピクセル、緑(G)ピクセル、青(B)ピクセル、白(W)ピクセル、又は別の色のピクセルのようなカラーピクセルである。カラーピクセルは、特定の色の光を透過するカラーフィルタエレメントを含むか、又は所与の色の光を放射する放射エレメントで形成される。ピクセル52は、適当な色のピクセルを含む。例えば、ピクセル52は、シアン、マゼンタ及びイエローピクセルのパターンを含むか、或いは他の適当なカラーパターンを含む。ここでは、ピクセル52が赤、緑及び青ピクセルのパターンを含む構成を、時々、一例として説明する。
【0033】
ディスプレイ14に関連したディスプレイコントロール回路30及びその関連薄膜トランジスタ回路は、ピクセル52を動作する(例えば、ピクセル52をターンオン及びオフし、ピクセル52の強度を調整し、等々)ためのデータ信号及びゲートライン信号のような信号を発生するのに使用される。動作中に、ディスプレイコントロール回路30は、データ信号及びゲート信号の値をコントロールして、各表示ピクセルに関連した光の強度をコントロールし、それにより、ディスプレイ14に画像を表示する。
【0034】
ディスプレイコントロール回路30は、所与のピクセルにより表示されるべき色に対応する赤、緑及び青のピクセル値(RGB値又はデジタル表示コントロール値とも称される)を得る。RGB値は、各ピクセルの輝度をコントロールするためのアナログ表示信号へ変換される。RGB値(例えば、0から255までの範囲の値をもつ整数)は、各ピクセルの望ましいピクセル強度に対応する。例えば、0のデジタル表示コントロール値は、「オフ」ピクセルを生じ、一方、255のデジタル表示コントロール値は、利用可能な最大電力で動作するピクセルを生じる。
【0035】
これらは、各カラーチャンネルが8つの専用ビットを有する例に過ぎないことが明らかである。別の実施形態では、カラーチャンネル当たりより多数のビット又はより少数のビットが使用される。例えば、各色は、必要に応じて、6つの専用ビットを有してもよい。このタイプの構成では、RGB値は、0から64までの範囲の1組の整数である。各カラーチャンネルが8つの専用ビットを有する構成は、ここでは、一例として説明される。
【0036】
図6に示したように、ディスプレイコントロール回路30は、入力/出力回路32から情報を収集し、周囲光条件に基づいて表示光をどのように調整するか適応的に決定する。例えば、ディスプレイコントロール回路30は、色感知周囲光センサ42のような1つ以上の光センサ(例えば、周囲光センサ、光メータ、カラーメータ、色温度計、及び/又は他の光センサ)からの光情報、クロック、カレンダー、及び/又は他の時間ソースからの時間情報、位置検出回路(例えば、グローバルポジショニングシステム受信回路、IEEE802.11トランシーバ回路又は他の位置検出回路)からの位置情報、タッチスクリーン(例えば、タッチスクリーンディスプレイ14)又はキーボードのようなユーザ入力装置からのユーザ入力情報、等を収集する。ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14から放射される表示光を入力/出力回路32からの情報に基づき調整する。
【0037】
カラー光センサ及びカメラのような光センサは、異なる方向からの光を検出するために、必要に応じて、電子装置10上の異なる位置に分散される。加速度計及び/又はジャイロスコープのような他のセンサは、異なる光センサからのセンサデータをどのように重み付けするか決定するのに使用される。例えば、電子装置10がディスプレイ14を上に向けてテーブルに平らに配置されたことをジャイロスコープセンサのデータが指示する場合には、電子装置10は、(例えば、電子装置10の裏面における)後部光センサによって収集される光センサデータを使用してはならないと決定する。
【0038】
ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14からの出力を、周囲光条件に基づいて適応的に調整するように構成される。ディスプレイ14からの出力を調整する際に、ディスプレイコントロール回路30は、人間の視覚系統の色彩適応機能を考慮に入れる。これは、例えば、ユーザの目が曝される光の特性を決定することを含む。
【0039】
図7は、人間の視覚の色彩適応を考慮しない従来のディスプレイを使用する作用を示す図である。シナリオ46Aでは、ユーザ44は、発光体50(例えば、太陽光)のもとでペーパー48のような外部物体を見ている。ユーザ44の視覚は、周囲光条件の色及び輝度に適応する。発光体50のもとでは、ペーパー48は、ユーザ44にとって白く見える。シナリオ46Bは、ユーザが発光体54(例えば、寒色系の白い光を放射する蛍光灯光源)の周囲光に適応した後にペーパー48から反射する光及び装置100のディスプレイ140からの光をどのように認知するか示している。ペーパー48は、ユーザ44にとって依然白く見えるが、装置100が人間の視覚の色彩適応を考慮していないので、ディスプレイ140は、ユーザ44にとって変色して(例えば、赤みを帯びて)醜く見える。
【0040】
ディスプレイ14の認知される変色を回避するため、
図6のディスプレイコントロール回路30は、周囲光条件に基づいてディスプレイ14からの出力を調整し、ユーザの視覚が異なる周囲光条件に適応するときでも望ましい認知見掛けを維持するようにする。
【0041】
ディスプレイコントロール回路30は、周囲光のみによって照明される拡散反射物体の見掛けを模擬するようにディスプレイ14から放射される光の色及び輝度を調整する。あるシナリオでは、ディスプレイ14は、ペーパーの印刷シートと区別がつかない。
【0042】
周囲光で物体を見るときに、ユーザの目に到達する光のスペクトルは、周囲発光体及び物体の反射スペクトルの関数である。従って、周囲光によって照明される拡散反射物体の見掛けを模擬するために、ディスプレイコントロール回路30は、色感知光センサ42(
図6)を使用して周囲光の輝度及び色を決定する。次いで、ディスプレイが再現を試みる色の既知の反射振舞い(例えば、装置10に記憶された既知の反射データ)を使用して、ディスプレイコントロール回路30は、表示画像が拡散反射物体の見掛けを模擬するように表示光の色及び輝度を調整する。
【0043】
ある周囲光条件では、拡散反射物体の見掛けを模擬することが望まれない。例えば、表示光がユーザの周りの主たる照明源であるような低い光レベルでは、屋内光源の見掛けを模擬することが望ましい。明るい照明条件では、読み易さを最大にすることが望ましい。
【0044】
これらの異なるシナリオに対処するため、ディスプレイコントロール回路30は、周囲光条件に基づいて異なるモードでディスプレイ14を動作する。所与の表示モードにおいて、ディスプレイコントロール回路30は、所与の結果を達成するように表示光を調整する。
【0045】
図8は、周囲光条件に基づきディスプレイ14を異なるモードでどのように動作するか示す図である。
図8のx軸は、照度(illuminance)(例えば、ディスプレイ14又はペーパーの断片のような物体に入射する周囲光の強度)を表す。
図8のy軸は、輝度(luminance)を表す。曲線60は、発光体の強度が変化するときにペーパーのような拡散反射物体の輝度がどのように変化するか示す。曲線62は、発光体の強度が変化するときにディスプレイ14の輝度がどのように変化するか示す。
【0046】
ディスプレイ14に入射する周囲光の強度は、電子装置10の光センサ、例えば、
図6の色感知光センサ42又は装置10の他の適当な光センサにより測定される。ディスプレイコントロール回路30は、光センサの情報(例えば、周囲光強度情報)を使用して、ディスプレイ14をどんなモードで動作すべきか決定する。ディスプレイコントロール回路30は、次いで、その決定された表示モードに基づき到来する表示データに色及び/又は強度調整を適用する。
【0047】
ここで時々例示的な例として説明される1つの適当な構成では、ディスプレイコントロール回路30は、周囲光レベルがL0とL1との間にあることを光センサ42が指示するときには「低光モード」で、周囲光レベルがL1とL2との間にあることを光センサ42が指示するときには「ペーパーモード」で、そして周囲光レベルがL2より高いことを光センサ42が指示するときには「明光モード」で、ディスプレイ14を動作する。
【0048】
L1は、約8.4 lux、約8.5 lux、約8.5 lux、8.0 luxより高い、又は8.0 luxより低い。L2は、約850 lux、約900 lux、約800 lux、800 luxより高い、又は800 luxより低い。
【0049】
ペーパーモードでは、ディスプレイコントロール回路30は、表示画像の見掛けがペーパーのような拡散反射物体の見掛けを模擬するように表示光を調整する。これは、例えば、色感知光センサ42を使用して周囲光の輝度及び色を決定し、次いで、ディスプレイが再現を試みる色の既知の反射振舞いを使用して、表示光の色及び輝度を調整し、表示画像が拡散反射物体の見掛けを模擬するようにすることを含む。
図8に示すように、周囲光レベルL1とL2との間で、ディスプレイ14の輝度に対応する曲線62は、所与の発光体のもとでペーパーの輝度に対応する曲線60に厳密に一致する。
【0050】
ほとんどの周囲光条件では(例えば、照度値L1とL2との間)、印刷ペーパーの見掛けを模擬するようにディスプレイ14を動作することは、望ましい動作モードである。しかしながら、薄暗い照明条件又は非常に明るい照明条件では、ディスプレイ14で他の効果を達成することが望ましい。これらの異なる周囲光条件を考慮するために、ディスプレイコントロール回路30は、周囲光レベルがL1より低いときには低光モードで、そして周囲光レベルがL2より高いときには明光モードで、ディスプレイ14を動作する。
【0051】
低光モードでは、印刷ペーパーの見掛けを模擬することは望ましくない。というのは、周囲光が表示画像を充分に照明するには暗過ぎるからである。例えば、周囲光レベルがL1より下がると、ペーパーの輝度がD0に接近する。又、薄暗い周囲光においてディスプレイ14もD0に接近する場合には、ユーザは、ディスプレイ14のテキストを読んだり画像を見たりすることが困難であると分かる。むしろ、ディスプレイ14から放射される光がユーザ付近の主たる照明源でありそして適応すべき外部照明源がないので、ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14を自己照明の低光モード(時々「ランプモード」とも称される)へ移行させる。低光モードでは、ディスプレイ14の白ポイントは、望ましい白ポイントにセットされ、そして表示輝度レベルは、D1のような望ましい最小値又はそれ以上に保持される。D1は、例えば、約2.4 nit、約2.5 nit、約3.0 nit、3.0 nitより高い、又は3.0 nitより低い。
【0052】
ディスプレイの白ポイントは、通常、ディスプレイがフルパワーで全ての利用可能な表示色を発生するときにディスプレイにより発生される色を表す1組の色度座標により定義される。校正中の修正の前に、ディスプレイの白ポイントは、そのディスプレイの「ネーティブ白ポイント」と称される。ディスプレイ間の製造上の相違のために、ディスプレイのネーティブ白ポイントは、ディスプレイを校正する前は、ディスプレイの望ましい(ターゲット)白ポイントとは異なる。ターゲット白ポイントは、基準の白(例えば、標準ディスプレイにより発生される白、インターナショナル・コミッション・オン・イルミネーション(CIE)のD65発光体のような標準発光体に関連した白、ディスプレイの中心に発生される白)に関連した1組の色度値によって定義される。一般的に、任意の適当な白ポイントがディスプレイのためのターゲット白ポイントとして使用される。
【0053】
図8の表示モードを使用して、ターゲット白ポイントは、必要に応じて、ディスプレイ14の動作中に動的に調整される。例えば、ターゲット白ポイントに関連した色度値は、周囲光の色及び輝度に基づいてシフトする。従って、低光モードの白ポイントは、ペーパーモードの白ポイントとは異なり、及び/又は明光モードの白ポイントとも異なる。低光モードの白ポイントは、ユーザの好みに基づいて決定され(例えば、ユーザにより手動でセットされ)、及び/又は他の情報に基づいて決定される。
【0054】
必要に応じて、低光モードの白ポイントは、人間の概日リズムに対する有益な効果を達成するように調整される。人間の概日系統は、異なる光波長に対して異なる応答をする。例えば、ユーザが特定範囲内のピーク波長を有する青い光に曝されると、ユーザの概日系統が活性化され、そしてメラトニンの発生が抑制される。他方、ユーザがこの波長範囲外の光に曝されるか、又は青い光が抑制されるときには(例えば、赤い光に比して)、ユーザのメラトニン発生が高まり、夜間であることを身体に知らせる。
【0055】
従来のディスプレイは、人間の概日リズムのスペクトル感度を考慮していない。例えば、あるディスプレイは、1日の時刻に関わらず概日系統をトリガーするスペクトル特性を有する光を放射し、これは、次いで、睡眠の質に悪影響を及ぼす。
【0056】
対照的に、周囲光がレベルL1より下がったときに(例えば、夜にユーザが屋内にいるときに)ディスプレイを低光モードで動作することにより、ディスプレイ14の中性ポイントは、暗い周囲光条件において暖色系となる(例えば、スペクトルの黄色部分への傾向となる)。従って、ユーザが夕刻に家にいる(例えば、暖色系の周囲光で読書している)ときには、ディスプレイ14から放射される青い光は、ディスプレイが周囲光条件に適応するときに抑制される。青い光の減少は、次いで、ユーザのメラトニン発生の抑制を減少し(又はあるシナリオでは、ユーザのメラトニン発生を高め)、良い睡眠を促進する。
【0057】
しかしながら、これは、単なる例示に過ぎない。一般的に、ディスプレイ14の白ポイント、及びディスプレイ14により表示される中性色の特性は、低光モードにおいて望ましい形態で調整される。外部光源からの周囲光は、ユーザの視覚の色彩適応に著しい効果を与えるほど充分に明るいものではないから、ディスプレイ14の色及び輝度は、自由に調整される(例えば、ユーザの好みに基づき、1日の時刻に基づき、等々)。
図8に示すように、L1より低い周囲光レベルにおけるディスプレイ14の輝度は、L1より低い周囲光レベルにおけるペーパーの輝度より高い。
【0058】
明るい周囲光(例えば、屋外、直射日光、等)では、ディスプレイ14の動作モードをペーパーモードから異なる動作モードへ変更することも望まれる。例えば、L2より上の周囲光レベルでは、ペーパーの輝度は、D2を越えるが、ペーパーの見掛けに一致させるためにディスプレイ14で輝度D2を越えることは望ましくなく又は実際的でない。むしろ、ディスプレイコントロール回路30は、表示画像の輝度及びコントラストを高めることにより読み易さを最大にするようにディスプレイ14を動作する。あるシナリオでは、これは、周囲光レベルがL2を越えるときにD2以下の輝度レベルでディスプレイ14を動作することを含む。D2は、約240 nit、約250 nit、約230 nit、230 nitより低い、又は230 nitより高い。
【0059】
図9は、周囲光条件に基づきディスプレイ14からの出力を調整するのに含まれる例示的ステップのフローチャートである。
【0060】
ステップ300において、ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14により表示されるべき表示色を指示する到来ピクセル値を受け取る。これは、例えば、表示データのフレームにおいてピクセルにより表示されるべき色に対応する赤、緑及び青のピクセル値(RGB値又はデジタルディスプレイコントロール値とも称される)を含む表示データのフレームを受け取ることを含む。
【0061】
ステップ302において、ディスプレイコントロール回路30は、
図6の色感知光センサ42のような1つ以上の光センサ(例えば、周囲光センサ、光メータ、カラーメータ、色温度計、及び/又は他の光センサ)からの光情報を収集する。これは、例えば、光センサ42を使用して周囲光の輝度及び色特性を測定することを含む。
【0062】
ステップ304において、ディスプレイコントロール回路30は、周囲光の輝度に基づいて表示モードを決定する。周囲光レベルがスレッシュホールド輝度より低い(例えば、
図8の照度値L1より低い)ときには、ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14を低光モードにセットし、そして処理は、ステップ306へ進む。
【0063】
ステップ306において、ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14を低光モードで動作する。低光モードでは、ディスプレイ14から放射される光が、ユーザ付近の主たる照明源であり、適応すべき外部照明源はない。ステップ306は、ディスプレイ14のターゲット白ポイントに関連した色度値を調整することを含む。低光モードでは、ディスプレイ14のターゲット白ポイントは、望ましい白ポイントにセットされ、そして表示輝度レベルは、暗い照明条件でも読み易さを保証するために望ましい最小値以上に(例えば、
図8の輝度値D1より高く)保持される。低光モードの白ポイントは、ユーザの好みに基づいて決定され(例えば、ユーザにより手動でセットされ)、及び/又は他の情報に基づいて決定される。
【0064】
必要に応じて、低光モードの白ポイントは、人間の概日リズムに対する有益な効果を達成するように調整される。これは、例えば、薄暗い周囲光条件においてディスプレイ14の中性ポイントをより暖色系となるように調整することを含む(例えば、スペクトルの黄色部分への傾向となる)。低光モードの中性ポイントは、ディスプレイ14から放射される光が典型的な屋内光源の色及び輝度特性に一致するように(例えば、白熱電灯又は他の望ましい光源の見掛けを模擬するように)調整される。従って、ユーザが夕刻に家にいる(例えば、暖色系の周囲光で読書している)ときには、ディスプレイ14から放射される青い光は、ディスプレイが周囲光条件に適応するときに抑制される。青い光の減少は、次いで、ユーザのメラトニン発生の抑制を減少し(又はあるシナリオでは、ユーザのメラトニン発生を高め)、良い睡眠を促進する。
【0065】
しかしながら、これは、単なる例示に過ぎない。一般的に、ディスプレイ14の白ポイント、及びディスプレイ14により表示される中性色の特性は、低光モードにおいて望ましい形態で調整される。外部光源からの周囲光は、ユーザの視覚の色彩適応に著しい効果を与えるほど充分に明るいものではないから、ディスプレイ14の色及び輝度は、望ましい照明効果を達成するように自由に調整される(例えば、ユーザの好みに基づき、1日の時刻に基づき、等々)。
【0066】
ステップ304において周囲光レベルが所与の値範囲内にある(例えば、
図8の照度値L1とL2との間にある)と決定された場合には、ディスプレイコントロール回路30がディスプレイ14をペーパーモードにセットし、そして処理はステップ308へ進む。
【0067】
ステップ308において、ディスプレイコントロール回路30は、印刷ペーパーの見掛けを模擬するように表示光を調整する。ユーザが拡散反射物体を認知する仕方は、周囲光の色及び輝度、並びに物体のスペクトル反射率に依存するが、ディスプレイコントロール回路30は、ステップ302で収集された周囲光の輝度及び色情報に基づくと共に、ディスプレイ14が再現しようとする色の既知の反射率振舞いに基づいて(例えば、ステップ300で受け取られるピクセルデータに基づくと共に、記憶されたスペクトル反射データに基づいて)表示光を調整する。
【0068】
異なる色の反射率振舞いを示す反射率情報は、電子装置10(例えば、記憶及び処理回路40)に記憶され、そしてステップ308において表示光をどのように調整すべきか決定するのに使用される。例えば、印刷ペーパー断片上の赤い画像から反射する光は、第1形式の発光体のもとでの第1の色特性及び第2形式の発光体のもとでの第2の色特性を有する。この形式のスペクトル反射情報を使用して、ディスプレイコントロール回路30は、所与の発光体のもとで拡散反射物体を模擬するように表示色をどのように調整すべきか決定する。これは、例えば、第1組のRGBピクセル値を使用して第1の発光体のもとで所与の画像を表示すること、及び第2組のRGBピクセル値を使用して第2の発光体のもとで同じ画像を表示することを含む。第1及び第2の発光体は、同じ輝度を有するが、若干異なる色特性を有し、これは、センサ42により検出されそしてステップ308で考慮される。
【0069】
ステップ304において、周囲光レベルが所与のスレッシュホールド(例えば、
図8の輝度値L2)を越えると決定された場合には、ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14を明光モードにセットし、そして処理は、ステップ310へ進む。
【0070】
ステップ310において、ディスプレイコントロール回路30は、ディスプレイ14上の画像のコントラスト及び輝度を高めることで読み易さを最大にするように表示光を調整する。
【0071】
一実施形態によれば、ディスプレイの表示ピクセルのアレイに画像を表示する方法において、ディスプレイコントロール回路で、ディスプレイにより発生されるべき色を示すピクセルデータを得;色感知光センサで、周囲光の色及び強度を決定し;記憶されたスペクトル反射データを使用してディスプレイにより発生されるべき色のターゲット反射率特性を決定し、そのターゲット反射率特性は、周囲光の色及び強度に特有のものであり;及びディスプレイコントロール回路で、周囲光の色、周囲光の強度、ディスプレイにより発生されるべき色、及びターゲット反射率特性に基づいてピクセルデータを調整する;ことを含む方法が提供される。
【0072】
別の実施形態によれば、前記スペクトル反射データは、ペーパーに印刷される色の反射スペクトルを表す。
【0073】
別の実施形態によれば、前記方法は、調整されたピクセルデータを表示ピクセルのアレイに与え;及び表示ピクセルのアレイで、その調整されたピクセルデータを受け取るのに応答して色を発生する;ことを含む。
【0074】
別の実施形態によれば、表示ピクセルのアレイにより発生される色は、ペーパーに印刷される色の見掛けを模擬する。
【0075】
別の実施形態によれば、前記方法は、前記色感知光センサで、周囲光の強度がスレッシュホールド強度より低いことを検出し;及び前記ディスプレイコントロール回路で、周囲光の強度がスレッシュホールド強度より低いことを検出するのに応答して、表示モードを第1の動作モードから第2の動作モードへ切り換える;ことを含む。
【0076】
別の実施形態によれば、前記表示モードを第1の動作モードから第2の動作モードへ切り換えることは、ディスプレイの白ポイントを調整することを含む。
【0077】
別の実施形態によれば、前記ディスプレイの白ポイントを調整することは、ユーザの好みに基づいてディスプレイの白ポイントを調整することを含む。
【0078】
別の実施形態によれば、前記ディスプレイの白ポイントを調整することは、ディスプレイの白ポイントを第1の白ポイントから第2の白ポイントへシフトすることを含む。
【0079】
別の実施形態によれば、第2の白ポイントは、第1の白ポイントよりも黄色に近い。
【0080】
別の実施形態によれば、ディスプレイが第2の動作モードで動作するときにディスプレイから放射される光は、白熱光源から放射される光の見掛けを模擬する。
【0081】
一実施形態によれば、表示ピクセルのアレイを有するディスプレイと、周囲光の色及び強度を測定する色感知光センサと、表示ピクセルのアレイにより発生されるべき色を示すピクセルデータを得、そして周囲光の色、周囲光の強度、及び表示ピクセルのアレイにより発生されるべき色に基づいてピクセルデータを調整するディスプレイコントロール回路とを備えた電子装置が提供される。
【0082】
別の実施形態によれば、ディスプレイコントロール回路は、複数の色についてのスペクトル反射情報を記憶し、そしてディスプレイコントロール回路は、そのスペクトル反射情報に基づいてピクセルデータを調整する。
【0083】
別の実施形態によれば、表示ピクセルのアレイにより発生される色は、ペーパーに印刷される色の見掛けを模擬する。
【0084】
別の実施形態によれば、ディスプレイは、異なる表示モードで動作でき、ディスプレイコントロール回路は、周囲光の強度に基づきどのモードでディスプレイを動作するか決定し、そしてディスプレイのターゲット白ポイントは、表示モードごとに異なる。
【0085】
別の実施形態によれば、ディスプレイコントロール回路は、周囲光の強度が第1のスレッシュホールド強度より低いときには第1の表示モードで、周囲光の強度が第1のスレッシュホールド強度と第2のスレッシュホールド強度との間であるときには第2の表示モードで、そして周囲光の強度が第2のスレッシュホールド強度より高いときには第3の表示モードで、ディスプレイを動作する。
【0086】
一実施形態によれば、ディスプレイの表示ピクセルのアレイに画像を表示する方法において、ディスプレイコントロール回路で、ディスプレイを第1の表示モードで動作することを含み、該第1の表示モードでのディスプレイの動作は、ペーパーに印刷される色の見掛けを模擬するように色を表示することを含み;及びディスプレイコントロール回路で、ディスプレイを第2の表示モードで動作することを含み、該第2の表示モードでのディスプレイの動作は、白熱光源を模擬するようにディスプレイから放射される光の色を調整することを含む。
【0087】
別の実施形態によれば、前記方法は、色感知周囲光センサで、周囲光の強度を決定し;及びディスプレイコントロール回路で、ディスプレイを第1表示モードで動作するか又は第2表示モードで動作するかを周囲光の強度に基づいて決定する;ことを含む。
【0088】
別の実施形態によれば、前記方法は、周囲光の強度がスレッシュホールド強度より高いとの決定に応答して、ディスプレイを第1の表示モードで動作することを含む。
【0089】
別の実施形態によれば、前記方法は、周囲光の強度がスレッシュホールド強度より低いとの決定に応答して、ディスプレイを第2の表示モードで動作することを含む。
【0090】
別の実施形態によれば、前記方法は、ディスプレイのターゲット白ポイントを第1の表示モードにおいて第1組の色度座標にセットし;及びディスプレイのターゲット白ポイントを第2の表示モードにおいて第2組の色度座標にセットする;ことを含み、前記第2組の色度座標は、前記第1組の色度座標とは異なる。
【0091】
以上、本発明の原理を例示したが、当業者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱せずに種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。以上の実施形態は、個々に具現化されてもよいし、又は組み合わせて具現化されてもよい。