(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記誤差が前記許容誤差範囲内にない場合、投入データ生成に利用する前記統計データの参照範囲を変更する変更手段を備える、請求項3に記載のシミュレーションシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
最初に、本発明の構成の原理について説明する。
【0016】
本発明に係るシミュレーションシステムでは、移動に関するシミュレーションを用いたサービス提供において、適正な対価を得、シミュレーション実行のためのコストを削減するために、対象となるシミュレーションシステムを、マクロ統計層、インジェクション層、およびシミュレーション層の3つの層に分割する。そして、マクロ統計層に入力可能な統計データを用いて、インジェクション層にて計算を行ない、初期入力データとシミュレーション実行中のデータ注入方法を決定する。インジェクション層は、実際にシミュレーション層がシミュレーションを行った場合に得られるであろう第1のシミュレーション結果が、許容誤差範囲内に収まっているかどうかを評価することが出来る評価用シミュレーションを用いる。この評価用シミュレーションによる第2のシミュレーション結果から、シミュレーション層が行なう最終的なシミュレーションによる結果(第1のシミュレーション結果)と統計データとの推定誤差を計算する。その誤差が許容誤差範囲内に収まるように、インジェクション層の調整を行なう。
【0017】
このような構成の本発明では、マクロデータとして入手された統計データを元に生成された初期データを用いてシミュレーション層によって得られた計算結果から集計された統計データ(第1のシミュレーション結果)と、マクロデータとして入手された統計データとの差が最小にとどめられる。さらに、対象となるシミュレーションシステムを、マクロ統計層、インジェクション層、およびシミュレーション層の3つの層に分割し、マクロ統計層とインジェクション層との間で調整を自動的に行なうことにより、従来のようにシミュレーション層で実際にシミュレーションを行なって検証することを繰り返すより、早く適切なシミュレーション層への投入データを生成することができる。
【0018】
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るシミュレーションシステム10は、移動に関するシミュレーションを行うシミュレーションシステムであって、マクロ統計処理装置11と、インジェクション処理装置12と、シミュレーション装置13とから成る。
【0019】
マクロ統計処理装置11は、移動についてのマクロデータを収集し処理する。マクロデータは統計データとも呼ばれる。したがって、マクロ統計処理装置11は、統計データを取得する取得手段として働く。
【0020】
インジェクション処理装置12は、マクロデータからシミュレーションに利用する入力用初期データおよびシミュレーション実行中に注入するデータを生成する。これらデータは、シミュレーション装置13が利用する投入データである。したがって、インジェクション処理装置12は、シミュレーション装置13が利用する投入データを、統計データに基づいて生成する投入データ生成手段として働く。換言すれば、インジェクション処理装置(投入データ生成手段)12は、シミュレーション装置13が利用する投入データを決定する決定手段として働く。
【0021】
シミュレーション装置13は、インジェクション処理装置12によって生成された入力用初期データ(投入データ)を用いてシミュレーションを行なう。シミュレーション装置13は、統計データの元となったデータを採取した地理的範囲と比較して狭い対象領域における移動をシミュレーションするシミュレーション手段として働く。
【0022】
インジェクション処理装置12は、評価用シミュレーションを生成する。そして、この評価用シミュレーションは、生成された入力用初期データを実際にシミュレーション装置13に入力した場合に得られるであろう計算結果を統計処理した値(第1のシミュレーション結果)と、初期投入データとシミュレーション実行中に注入するデータを生成するために利用したマクロ統計データと間の推定誤差が、指定された許容誤差範囲内に収まっているかの評価を行なう。
【0023】
例えば、シミュレーションシステム10(シミュレーション装置13)が、自動車や車の移動を詳細に表現した交通流シミュレーションを行うシミュレーションシステム(シミュレーション装置)であるとする。このようなシミュレーションシステムの場合のインジェクション処理装置は、
図2Aに示されるように、ゾーン(地域)間の移動に関する統計データをマクロ統計データとして入力する場合、移動ネットワークにおいて、ゾーンに対応した内部・境界・外部ゾーンを決定し、最終的に外部ゾーンを境界ゾーンにおける端点に置き換え、対象領域ネットワークを生成する。
【0024】
また、評価用シミュレーションは、
図2Bに示すような、ある間隔の点の集合で表現された道路ネットワークのうち交差点でない点を省略した評価用ネットワークを用い、個々の車や人の実際の移動を考慮せず、各車や人の移動経路の情報と評価用ネットワークの情報から、指定された参照点において求められている交通量が再現できるかどうか等を確認する。
【0025】
次に、
図3の流れ図を参照して、
図1に示したインジェクション処理装置12の動作について説明する。
【0026】
インジェクション処理装置12は、対象領域ネットワーク生成モジュール31と、インジェクションデータ生成モジュール32と、評価モジュール33とからなる。
【0027】
対象領域ネットワーク生成モジュール31は、データ注入を行なうための対象領域にネットワークを生成する。インジェクションデータ生成モジュール32は、シミュレーション装置13が利用する投入データ(初期値およびシミュレーション実行中に注入されるデータ)を作成する。
【0028】
評価モジュール33は、生成された投入データを用いたシミュレーション装置13による計算結果を統計処理した結果(第1のシミュレーション結果)と投入データ生成に用いたマクロ統計データと間の推定誤差が、許容誤差範囲内に入っているかどうかを、評価用シミュレーションを用いて評価する。
【0029】
すなわち、評価用シミュレーションは、投入データが最終的に投入されるべき対象領域に対するシミュレーション装置13が行なう第1のシミュレーション結果が、許容誤差範囲内に収まっているかどうかを評価することが出来るシミュレーションである。
【0030】
具体的には、対象領域ネットワーク生成モジュール31は、シミュレーション対象領域内に要素(例えば移動体)を注入する点と各要素の通過点とのつながりを表現した対象領域ネットワークを生成する。インジェクションデータ生成モジュール32は、最終シミュレーションにおいて統計データからどのように要素(例えば移動体)の出発点・目的点を分散させるかを決定し、投入データを生成する。インジェクションデータ生成モジュール32によって生成された初期値を用いて、評価モジュール33は、評価用シミュレーションを用いて、シミュレーション装置13による計算結果(第1のシミュレーション結果)と初期値生成に利用した統計データとの間の推定誤差が許容誤差範囲内に収まるかどうかを判定する。
【0031】
換言すれば、評価モジュール33は、評価用シミュレーションによる第2のシミュレーション結果から、上記第1のシミュレーション結果と統計データとの推定誤差を計算し、この誤差が許容誤差範囲内であるかを判定する。
【0032】
図4を参照しながら、具体的な例を用いて、各モジュールの動作について以下に詳細に説明する。
【0033】
先ず、対象領域ネットワーク生成モジュール31について説明する。対象領域ネットワーク生成モジュール31は、対象ネットワーク作成装置311と、評価用ネットワーク作成装置312とを含む。
【0034】
図5を用いて、例えば、シミュレーションシステム10(シミュレーション装置13)がシミュレーション領域外から電車やバスなどにより流入・流出がある人流シミュレーションを行うシミュレーションシステム(シミュレーション装置)である場合の対象領域ネットワーク生成モジュール31の動作について説明する。
【0035】
シミュレーションシステム10(シミュレーション装置)13で利用されるネットワークは、ある間隔の通過点の集合で表現された、人などの移動体要素が通過できる経路ネットワークである。統計データは地域間移動に関するデータであり、各地域の範囲は座標で定義され、統計データにおける地域をゾーンと呼ぶ。
【0036】
まず、対象領域ネットワーク生成モジュール31の対象ネットワーク作成装置311は、対象領域のゾーンを決定する。その中で、指定領域に対応したこのゾーン集合を内部領域と呼ぶ。
【0037】
次に、対象ネットワーク作成装置311は、内部領域に含まれるネットワークの通過点を判定する。これらを内部ネットワーク領域と呼ぶ。
【0038】
次に、対象ネットワーク作成装置311は、経路ネットワーク全体におけるシミュレーション領域以外に存在する通過点を判定する。この領域を外部領域と呼ぶ。対象ネットワーク作成装置311は、内部領域の外側に属する通過点のうち、シミュレーションを行なうのに必要な境界領域として適切な数の通過点(例えば、内部領域に存在する通過点から2隣接以内、または、ある距離以下、など)を含む境界領域を設けて、対象領域の切り出しを行なう。
【0039】
次に、対象領域ネットワーク生成モジュール31の評価用ネットワーク作成装置312は、切り出された対象領域の情報を元に、評価用ネットワークを生成する。具体的には、評価用ネットワーク作成装置312は、対象領域上で移動体を移動させるにあたり、それぞれの移動体が移動する経路を与える際に利用する通過点の端の点を端点と呼び、端点を決定する。
【0040】
例えば、端点になる通過点が、境界領域に属し、隣接点のいずれかが内部領域に属する点がある場合、端点の候補になる。また、電車やバスなど対象領域外からの流入・流出がある場合、評価用ネットワーク作成装置312は、境界領域を通過する線路(またはバス路線)に通過点がなければ、追加して端点とする。
【0041】
また、評価用ネットワーク作成装置312は、境界領域を通過する線路(またバス路線)上の通過点が内側のノードからある距離以上ならば、その距離の場所の点を追加して、端点にする。内部領域情報、境界領域情報、端点情報が評価用ネットワークの情報となる。
【0042】
次に、インジェクションデータ生成モジュール32の動作について説明する。インジェクションデータ生成モジュール32は、移動体入力方法作成装置321と、移動体入力作成装置322とを含む。
【0043】
例えば、シミュレーションシステム10(シミュレーション装置13)がシミュレーション領域外から電車やバスなどにより流入・流出がある人流シミュレーションを行うシミュレーションシステム(シミュレーション装置)であるとする。この場合、インジェクションデータ生成モジュール32は、移動体がいつ、どこから、どこへ向かって、どういった経路で移動するかなどの移動体入力情報を初期値として与える。
【0044】
インジェクションデータ生成モジュール32の移動体入力方法作成装置321は、移動体の入力方法を作成する。例えば、移動体入力方法作成装置321は、ゾーン間移動情報から移動体一体一体がいつ、どこへ向かって、どういった経路で移動するかという移動体入力情報を作成する方法を作成する。
【0045】
先ず、インジェクションデータ生成モジュール32の移動体入力作成装置322は、ゾーンとネットワーク点を対応つけるテーブルを作成し、地域間移動情報から各ネットワーク点から出発する移動体の情報として、“領域Aから領域Bに移動する人が100人いた”といった情報から、領域Aに100体の移動体を生成し、それらの移動体が領域Bに向かって、それぞれ決められた経路を通って移動するという情報を生成する。
【0046】
移動体入力作成装置322は、対象領域内部を行き来する人流に関しては、統計データに基づく分布を生成できる確率関数を用いて、内部ゾーンに対応した移動ネットワークにおける点に確率的に分配する。この確率は、移動体入力方法作成装置321が作成した確率分布に従う。
【0047】
さらに、移動体入力作成装置322は、シミュレーション領域外からの人の流入・流出を表現するために、移動体の経路情報の決定を行なう。例えば、移動体入力作成装置322は、外部の出発点・行先点を端点に変更したり、外部の出発点と端点の間の経路に応じて、出発遅延を割り当てるなどの処理を行なう。
【0048】
最後に、評価モジュール33について説明する。
【0049】
評価モジュール33は、生成された投入データを用いたシミュレーション装置13による最終シミュレーション結果(第1のシミュレーション結果)が、許容誤差範囲内に収まるように、評価用ネットワーク情報と、生成されたインジェクション用投入データから、評価用ネットワークを使ったシミュレーションの結果と参考データとの間の推定誤差を計算する。
【0050】
評価モジュール33は、一つもしくは複数の評価関数や評価用シミュレーションを行なう機能を持つ。
【0051】
このとき用いる「評価用シミュレーション」は、生成されたインジェクション用の投入データを実際にシミュレーション装置13に入力した場合に計算して得られるであろう結果を統計処理したもの(第1のシミュレーション結果)と、投入データの生成に使われる統計データとの推定誤差を計算し、その誤差が許容誤差範囲内であるかを判断できるシミュレーションである。
【0052】
評価用シミュレーションは、最終的なシミュレーションを行なうシミュレーション装置13と同じであっても、異なるものであってもよい。
【0053】
たとえば、評価モジュール33は、地域間移動データを使って投入データを生成し、地域における通過量データを使った評価を行う。
【0054】
具体的には、評価モジュール33は、評価用ネットワークを移動する移動体が移動した場合の速度等を考慮し、通過点ごとの流量として測定し、期待する流量からのずれ(誤差)を計算し、ずれ(誤差)が許容誤差範囲にあれば合格とする。
【0055】
許容誤差範囲の条件としては、特定の人の移動についてはチェックポイントの通過時間が過去に測定された基準値に対して10分以内であれば許容するとしたり、単位時間に流れるものの数であれば10以内であれば許容するとしたりすることが考えられる。
【0056】
本第1の実施形態の効果について説明する。
【0057】
第1の効果は、マクロデータとして入手された統計データを元に生成された初期データを用いてシミュレーション装置13によって得られた計算結果から集計された統計データ(第1のシミュレーション結果)と、マクロデータとして入手された統計データとの差が最小にとどめられることである。
【0058】
尚、シミュレーションシステム10は、コンピュータによって実現され得る。コンピュータは、周知のように、中央処理装置(CPU)と、データを格納するRAMなどの記憶装置と、プログラムを格納するプログラム用メモリ(ROM)とを備える。そして、プログラム用メモリ(ROM)に格納されたプログラムを読み出すことにより、CPUは、マクロ統計処理装置11、インジェクション処理装置12、およびシミュレーション装置13の機能を実現する。
【0059】
[第2の実施形態]
次に、発明を実施するための第2実施形態について図面を参照して詳細に
説明する。
【0060】
図6を参照すると、本発明の第2実施形態に係るシミュレーションシステム60は、移動に関するシミュレーションを行なうシミュレーションシステムであって、マクロ統計処理装置61と、インジェクション処理装置62と、シミュレーション装置63とから成る。
【0061】
マクロ統計処理装置61は、マクロデータを収集し処理する。マクロデータは移動についての統計データである。したがって、マクロ統計処理装置61は、移動についての統計データを取得する取得手段として働く。
【0062】
インジェクション処理装置62は、マクロデータ(統計データ)からシミュレーション装置63が利用するインジェクションデータを生成する。インジェクションデータは、投入データとも呼ばれる。したがって、インジェクション処理装置62は、シミュレーション装置63が利用する投入データを、統計データに基づいて生成する投入データ生成手段として働く。換言すれば、インジェクション処理装置(投入データ生成手段)62は、シミュレーション装置63が利用する投入データを決定する決定手段として働く。
【0063】
シミュレーション装置63は、インジェクション処理装置62によって生成された初期入力用データを用いてシミュレーションを行なう。シミュレーション装置63は、統計データの元となったデータを採取した地理的範囲と比較して狭い対象領域における移動をシミュレーションするシミュレーション手段として働く。
【0064】
ここで、マクロデータ(統計データ)とは、例えば地域ごとのパーソントリップ情報を統計処理したパーソントリップデータなどを指す。
【0065】
パーソントリップデータは、ある人が平日のそれぞれの時刻にどこへ、どういった移動手段を用いて移動したかなどの情報であり、個人が特定できない形で地域住民の情報を統計処理したものが公開されている。
【0066】
インジェクション処理装置62は、生成した評価用シミュレーションによるシミュレーション結果(第2のシミュレーション結果)から、生成された初期投入データを用いたシミュレーション装置63から得られるであろう計算結果を統計処理した値(第1のシミュレーション結果)と初期投入データを生成するために利用したマクロ統計データとの推定誤差が、指定された許容誤差範囲内に収まるかどうかの評価を行なう。
【0067】
推定誤差が許容誤差範囲内にないとする。この場合、インジェクション処理装置62は、状況に応じて、次のもの(変更対象)を変更し、生成された初期投入データを用いた最終シミュレーションの計算結果を統計処理したもの(第1のシミュレーション結果)と投入データ生成に用いた統計データとの推定誤差が、許容誤差範囲内に収まるように調整する。
【0068】
変更対象には、次の4つのものが考えられる。1)移動体の生成、2)対象領域ネットワークの生成、3)確率関数を用いた統計データに基づく分布の生成、4)利用する統計データの参照範囲。
【0069】
変更対象が移動体の生成であるとする。この場合、インジェクション処理装置(投入データ生成手段)62は、誤差が許容誤差範囲内にない場合に、投入データを調整する調整手段を備える。具体的には、例えば、調整手段は、ある規則で統計的に割り振られる投入データの値を規則にしたがって振り方を変更する。
【0070】
変更対象が対象領域ネットワークの生成であるとする。この場合、シミュレーションシステム60は、誤差が許容誤差範囲内にない場合、投入データ生成手段であるインジェクション処理装置62(より具体的には、対象領域ネットワーク生成モジュール31(
図3))を変更する変更手段を備える。
【0071】
変更対象が確率関数を用いた統計データに基づく分布の生成であるとする。この場合、シミュレーションシステム60は、誤差が許容誤差範囲内にない場合、投入データ生成手段であるインジェクション処理装置62(より具体的には、インジェクションデータ生成モジュール32(
図3))を変更する変更手段を備える。
【0072】
具体的には、インジェクション処理装置62は、評価用ネットワークを移動する移動体が移動した場合の速度等を考慮し、通過点ごとの流量として測定し、測定した流量に対する期待する流量からのずれ(推定誤差)を計算する。このずれ(推定誤差)が許容誤差範囲内にあれば、インジェクション処理装置62は、投入データを合格とする。一方、ずれ(推定誤差)が許容誤差範囲を超えていた場合、シミュレーションシステム60の変更手段は、移動体を生成する確率分布(分布関数)を変更する。確率分布(分布関数)の変更に関しては、以前の試行とその結果を参考に、誤差が小さくなる変更方向を推定して変更する。換言すれば、シミュレーションシステム60の変更手段は、投入のための規則自体を変更する。具体的には、例えば、シミュレーションシステム60の変更手段は、一様分布だったものをガウス分布に変更する。
【0073】
変更対象が利用する統計データの参照範囲であるとする。この場合、シミュレーションシステム60は、誤差が許容誤差範囲内にない場合に、投入データ生成に利用する統計データの参照範囲を変更する変更手段を備える。すなわち、シミュレーションシステム60の変更手段は、もともと利用する統計データ自体を変更する。具体的には、例えば、シミュレーションシステム60の変更手段は、吹田市の統計データのみを使っていたのを、豊中市と箕面市の統計データをも用いるように変更する。
【0074】
許容誤差範囲の条件としては、特定の人の移動についてはチェックポイントの通過時間が元データに対して10分以内であれば許容するとしたり、単位時間に流れるものの数であれば10以内であれば許容するとしたりすることが考えられる。
【0075】
本第2の実施形態の効果について説明する。
【0076】
第1の効果は、マクロデータとして入手された統計データを元に生成された初期データを用いてシミュレーション装置63によって得られた計算結果から集計された統計データ(第1のシミュレーション結果)と、マクロデータとして入手された統計データとの差が最小にとどめられることである。
【0077】
第2の効果は、従来のようにシミュレーション装置63で実際にシミュレーションを行なって検証することを繰り返すより、早く適切なシミュレーション装置63への投入データを生成することができることである。その理由は、対象となるシミュレーションシステム60を、マクロ統計処理装置61、インジェクション処理装置62、およびシミュレーション装置63の3つの装置に分割し、マクロ統計処理装置61とインジェクション処置装置62との間で調整を自動的に行なっているからである。
【0078】
尚、シミュレーションシステム60は、コンピュータによって実現され得る。コンピュータは、周知のように、中央処理装置(CPU)と、データを格納するRAMなどの記憶装置と、プログラムを格納するプログラム用メモリ(ROM)とを備える。そして、プログラム用メモリ(ROM)に格納されたプログラムを読み出すことにより、CPUは、マクロ統計処理装置61、インジェクション処理装置62、およびシミュレーション装置63の機能を実現する。
【実施例1】
【0079】
次に、具体的な実施例を用いて、本発明を実施するための形態の動作を説明する。第1の実施例について、交通シミュレータへの利用を考える。
【0080】
図7は、交通シミュレーションにおけるインジェクション処理装置62の流れ図である。
【0081】
まず、インジェクション処理装置62は、道路網データから、実際のシミュレーションに利用する初期データ生成に必要なネットワーク構造を抽出するための道路網データを収集する(ステップS71)。
【0082】
インジェクション処理装置62は、収集した道路網のデータを用いて、通過点ネットワークを抽出する(ステップS72)。この時、インジェクション処理装置62は、他のマクロデータ(対象地域の各交差点の1分あたりの交通量)などを元に、ある一定の閾値(たとえば、10台/min以上の交通量のある交差点)を満たすノードのみを抽出しネットワーク化としてもよいし、道路構造のすべての交差点を抽出しネットワーク化してもよい。
【0083】
次に、インジェクション処理装置62は、車や人の出発地、出発時刻、目的地、速度などの情報を抽出されたネットワーク構造に注入し(例えば、各交差点における交通量)(ステップS73)、評価用シミュレーションを行ない(ステップS74)、第1のシミュレーション結果とマクロ統計データとの推定誤差が許容誤差範囲内であるかどうかをチェック(例えば、すべての交差点での統計誤差が2台/minである)する。
【0084】
推定誤差が許容誤差範囲内であれば、インジェクション処理装置62は、投入データをトラフィックデータとして生成し(ステップS75)、シミュレーション処理装置63に渡す。もし、推定誤差が許容誤差範囲内でない場合、インジェクション処理装置63は、ネットワーク生成のためのパラメータ(例えば、10台/min以上の交通量のある交差点)を変更し(例えば、15台/min以上の交通量のある交差点や、7台/min以上の交通量のある交差点)(ステップS77)、同じ処理を行なう。インジェクション処理装置62は、この処理を繰り返し、推定誤差が許容誤差範囲内に収まるネットワークとデータの組み合わせが見つかる、もしくは所定の回数の調整(例えば、10回まで)を行なった結果である投入データを、シミュレーション装置63に渡す。
【0085】
尚、ステップS77における生成パラメータの変更には、端点/ブリッジポイントの変更や、注入点の変更、移動体分配確率関数の変更などがある。
【0086】
図8はトラフィックデータ入力(ステップS73)の具体例を示す図である。
【0087】
まず、インジェクション処理装置62は、出発エリアと行き先エリアの情報をからなるゾーン間移動統計情報を入力し(ステップS731)、そのゾーン間移動統計情報から通過点ネットワーク上で出発地点と目的地点からなる、出発点と目的点の情報を生成する(ステップS732)。
【0088】
図9は通過点ネットワークの例を示す図であり、
図10のようなゾーン情報に通過点ネットワークがマップされる。
【0089】
次に、インジェクションデータ処理装置62は、出発点と目的点の情報において、どこの地点からどこに向かうトラフィックが、どれだけ、いつ発生するかを、移動体の移動情報として生成する(ステップS733)。
【0090】
具体的には、インジェクション処理装置62は、
図10のゾーン情報から、
図11に示すようなゾーンと通過点の関係表を作成する。
【0091】
次に、インジェクション処理装置62は、
図12のように、各ゾーン間を行き来する人々の移動に関する統計情報(出発ゾーン、目的ゾーン、数)を各通過点の統計情報(出発点、目的点、数)として射影する。
【0092】
このとき、インジェクション処理装置62は、ゾーンに存在するすべての通過点を注入点として統計情報を射影してもよいし、
図13のように注入点を抽出して特定の通過点へ射影してもよい。
【0093】
注入点へトラフィックを割り当てる際の配分は、(たとえば近くに大きなビルがあるため、トラヒックの割合が大きいなど、)不均一の配分でもよい。
【0094】
図14に示すように、通過点ネットワークは、実際にシミュレーションするべき対象領域の外側の特定の領域を含む。インジェクション処理装置62は、例えば、通過点ネットワークのうち、対象領域に入るものの一つ外側の通過点まで含むなどの条件をあらかじめ設定する。
【0095】
そして、インジェクション処理装置62は、
図15のような通過点ネットワークを切り出し、上記の手順を行なう。
【0096】
このとき、注入点は対象領域以外から/への流入・流出を行なう点となる。
【0097】
次に、
図16のように対象領域がいくつかの通過点を介して分断されているとする。この場合、インジェクション処理装置62は、
図17のようにブリッジポイントを導入し、
図18のように間の通過点を無視してブリッジポイントにより領域Aと領域Bをつなぐことが考えられる。
【0098】
さらに、領域Aのみがシミュレーション領域であるが、離れた領域Bから/への流入・流出があるとする。この場合、インジェクション処理装置62は、
図19のように、ブリッジポイントを挿入した後、ブリッジポイントを注入点として利用する。
【0099】
また、トラフィックが通過点上で生成できない(例えば、建物の中から出発するようなシミュレーションを行なう)とする。この場合、インジェクション処理装置62は、
図20に示すように、新たな通過点(例えばビル)を追加し、データの注入点として利用し、トラフィックを注入することも出来る。
【0100】
次に、
図21を用いて、インジェクション処理装置62内の評価モジュール33(
図3参照)の動作について説明する。
【0101】
まず、評価モジュール33は、上記の手順で生成されたデータを入力し(ステップS91)、そのデータを用いて、流れ(フロー)のテストを行なう(ステップS92)。
【0102】
このとき、評価モジュール33は、あらかじめ決められた経路、(たとえば、出発点から行先点までのすべての通過点を記述した経路表として与えられている経路)を用いて計算してもよいし、実際にシミュレーションを行なうシミュレータ自体を用いてもよい。
【0103】
次に、評価モジュール33は、得られた計算結果からゾーン間移動統計情報を計算し、実際に入力値を生成したゾーン間移動統計情報との差を調べ、その差が許容誤差範囲であれば“合格”、許容誤差範囲外であれば“不合格”とする(ステップS93)。
【0104】
さらに、評価モジュール33は、参照点における流量情報をチェックし、その差が許容誤差範囲内であれば“合格”、許容誤差範囲外であれば“不合格”とする(ステップS94)。
【0105】
評価モジュール33は、両方の項目が合格であれば合格として結果をシミュレーション装置63に利用し(ステップS95)、不合格の場合はそれぞれの要因に応じて、再調整を行なう(
図22参照)。
【0106】
図22を用いて、不合格であった場合のインジェクション処理装置62の再調整方法(
図7のステップS77参照)について説明する。
【0107】
まず、評価モジュール33から評価結果を受け取ると(ステップS771)、インジェクション処理装置62は、上記差が合格判定条件を満たさない場合(ステップS772のN、ステップS773のN)、それぞれの注入点における入力データの分布を変更する(ステップS774)。
【0108】
分布の変更は、あらかじめ決められた規則に従って変更してもよいし、以前の試行分布とその結果を元に、誤差が小さくなる変更方向を推定し、調整を行なってもよい。ただし、参照点の上流点で調整を行うものとする。
【0109】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。