特許第5959031号(P5959031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5959031無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5959031
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/06 20060101AFI20160719BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20160719BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20160719BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20160719BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20160719BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20160719BHJP
【FI】
   H04L13/00 305C
   H04M1/00 U
   H04W84/10 110
   H04W92/08 110
   H04W28/04 110
   H04W24/08
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-80153(P2015-80153)
(22)【出願日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】蔵 憲之
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4881454(JP,B2)
【文献】 特開2007−214746(JP,A)
【文献】 特許第5657771(JP,B2)
【文献】 特開2014−163879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/06
H04M 1/00
H04W 24/08
H04W 28/04
H04W 84/10
H04W 92/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信手段を搭載した無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする無線通信機器であって、
前記送信データに適用するプロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用するプロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である無線通信機器。
【請求項2】
無線通信を行うための複数のプロトコルを搭載した無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする無線通信機器であって、
前記送信データに適用するプロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用するプロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である無線通信機器。
【請求項3】
近距離無線通信を行うための複数のプロトコルを搭載した近距離無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする近距離無線通信機器であって、
前記送信データに適用するプロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用するプロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である近距離無線通信機器。
【請求項4】
Bluetooth(登録商標)近距離無線通信方式の複数のプロファイルを搭載した近距離無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする近距離無線通信機器であって、
前記送信データに適用する前記プロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用する前記プロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である近距離無線通信機器。
【請求項5】
前記送信データは
音声帯域信号からなるDTMF(Dial Tone Multiplexed Frequency)信号を用いて構成され、
前記応答データは
肯定応答を示すACK(Acknowledgement)信号または否定応答を示すNAK(Negative Acknowledgement)信号を用いて構成される
ことを特徴とする請求項に記載の近距離無線通信機器。
【請求項6】
複数の通信手段を用いる無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする無線通信方法であって、
前記送信データに適用するプロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用するプロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である無線通信方法。
【請求項7】
無線通信を行うための複数のプロトコルを用いる無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする無線通信方法であって、
前記送信データに適用するプロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用するプロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である無線通信方法。
【請求項8】
近距離無線通信を行うための複数のプロトコルを用いる近距離無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする近距離無線通信方法であって、
前記送信データに適用するプロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用するプロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である近距離無線通信方法。
【請求項9】
Bluetooth(登録商標)近距離無線通信方式の複数のプロファイルを用いる近距離無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする近距離無線通信方法であって、
前記送信データに適用する前記プロファイルがA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)であり、
前記応答データに適用する前記プロファイルがAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)である近距離無線通信方法。
【請求項10】
前記送信データは
音声帯域信号からなるDTMF(Dial Tone Multiplexed Frequency)信号を用いて構成され、
前記応答データは
肯定応答を示すACK(Acknowledgement)信号または否定応答を示すNAK(Negative Acknowledgement)信号を用いて構成される
ことを特徴とする請求項9に記載の近距離無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信技術の代表例であるBluetooth(登録商標)技術を適用した近距離無線通信機器としては、例えば、ヘッドセット/イアホン/スピーカ等の音響機器と、このような音響機器に再生音楽を送信する携帯音楽プレーヤ(携帯電話機等を含む)や、あるいは、無線リモコン等の操作機器と、このような操作機器により操作される側の対向機器であるTV、音楽プレーヤ、携帯端末等の機器がある。
【0003】
前記音響機器用の近距離無線通信プロファイル(プロトコル)としては、特許文献1の特開2010−4485号公報「リモコン制御方法、装置およびリモコン制御システム」等に記載れているように、ステレオ音質の音響データをストリーミング配信するためのA2DPプロファイル(Advanced Audio Distribution Profile)が一般的であり、また、前記無線リモコン用の近距離無線通信プロファイル(プロトコル)としては、対向機器をリモート操作するためのAVRCPプロファイル(Audio/Video Remote Control Profile)が一般的である。
【0004】
これらの一般的な近距離無線通信用のプロファイル(プロトコル)を備えた近距離無線通信機器であっても、該近距離無線通信機器(例えば、音響再生機能+リモコン機能を備えたヘッドセット)と対向情報機器(例えば、携帯電話機やタブレット端末等の携帯情報端末)との間でのデータ通信をBluetooth上で行うことは、通常できない。しかし、例えば、該ヘッドセットが備える機能の初期設定や設定変更を別の情報機器から行おうとする場合等には、ヘッドセットとその別の情報機器(対向情報機器)との間でデータ通信を行うことが必要となる。このようなデータ通信をBluetooth上で行うためには、仮想シリアルポートを設定したPC(Personal Computer)を接続するSPP(Serial Port Profile)プロファイルやマスタ・スレーブPC間の無線接続を行うPAN(Personal Area Networking Profile)プロファイルといったデータ通信専用のプロファイルが必要であり、データ通信用のSPP/PAN(Serial Port Profile/Personal Area Networking Profile)等のプロファイルを新たに該近距離無線通信機器に実装しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−4485号公報(第3−4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、音響機能や映像機能や携帯情報機能等を備えた一般的な近距離無線通信機器(例えば、音響再生機能+リモコン機能を備えたヘッドセット)に、通常のBluetoothプロファイルとして一般的なA2DPやAVRCPのような近距離無線通信プロファイル(プロトコル)を備えていても、何らかのデータ通信を行うためには、たとえ簡易的なデータ通信であっても、SPP/PAN等のプロファイルをさらに追加して実装することが必要であり、或る程度のコストアップを避けることができない。
【0007】
また、SPP/PAN等のようなデータ通信専用のBluetoothプロファイルは、現状、Bluetooth対応のTV、音楽プレーヤ、携帯電話機やタブレット端末等の携帯情報端末を含む全ての機器に搭載されているわけではなく、近距離無線通信機能を搭載する市場出荷品に対してのカバー率が十分ではないので、たとえ簡易的なデータ通信を行なおうとしても、既存のBluetooth対応機器の多くを改造することが必要になってしまう。
【0008】
したがって、一般的な近距離無線通信機器には通常実装済みになっている一般的なプロファイル(A2DP/AVRCP)を利用した簡易的なデータ通信方法の実現が望まれる。しかし、現状のBluetooth通信においては、A2DP/AVRCPプロファイルを利用してデータ通信を行う場合、そのデータ通信は、マスタ機器→スレーブ機器、または、スレーブ機器→マスタ機器というように、一方的なデータ送信方向でのみ行われている。そこで、このような既存の機器間で行われているデータ通信では、送信データの信頼性に問題があり、通信の正当性を確保することが困難である。
【0009】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、送信データの信頼性、正当性を確保することが可能な無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明による無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0011】
(1)本発明による無線通信機器は、複数の通信手段を搭載した無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、該送信データの受信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、該送信データの送信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0012】
(2)本発明による無線通信機器は、無線通信を行うための複数のプロとコルを搭載した無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0013】
(3)本発明による近距離無線通信機器は、近距離無線通信を行うための複数のプロとコルを搭載した近距離無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0014】
(4)本発明による近距離無線通信機器は、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルを搭載した近距離無線通信機器であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、該送信データの受信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、該送信データの送信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、前記対向情報機器から受信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0015】
(5)本発明による無線通信方法は、複数の通信手段を用いる無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用された通信手段とは異なる通信手段を用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0016】
(6)本発明による無線通信方法は、無線通信を行うための複数のプロトコルを用いる無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0017】
(7)本発明による近距離無線通信方法は、近距離無線通信を行うための複数のプロトコルを用いる近距離無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロトコルとは異なるプロトコルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【0018】
(8)本発明による近距離無線通信方法は、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルを用いる近距離無線通信方法であって、
対向情報機器とのデータ通信が可能な状態になった場合、
前記対向情報機器からの送信データを受信した後に、
該送信データの受信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、受信した該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器に送信するという受信と送信との動作を交互に繰り返すか、
または、
前記対向情報機器に対して送信データを送信した後に、
該送信データの送信に適用されたプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、
前記対向情報機器から受信するという送信と受信との動作を交互に繰り返すか
のいずれかの動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0020】
本発明においては、例えば、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルを搭載したスレーブ側の近距離無線通信機器にマスタ側の対向情報機器が近接した位置に存在して、相互のデータ通信が可能な状態になった場合、送信データを、マスタ側の対向情報機器からスレーブ側の近距離無線通信機器への下り回線またはスレーブ側の近距離無線通信機器からマスタ側の対向情報機器への上り回線に送信し、該送信データに適用するプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、スレーブ側の近距離無線通信機器からマスタ側の対向情報機器への上り回線またはマスタ側の対向情報機器からスレーブ側の近距離無線通信機器への下り回線に返送する、という動作を交互に繰り返すことを実現している。而して、送受信データの交互監視を実現することができ、近距離無線通信機器、対向情報機器の双方で送受信するデータの信頼性・正当性を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る近距離無線通信機器の一構成例を示すブロック構成図である。
図2図1に示すスレーブ側の近距離無線通信機器とマスタ側の対向情報機器との間の信号の送受信シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
図3図1に示すマスタ側の対向情報機器が音声データ1信号として送信する数値データの一例を示すテーブルである。
図4図1に示すスレーブ側の近距離無線通信機器とマスタ側の対向情報機器との間で正常な音声データ1信号の送受信が行われた場合の信号シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
図5図1に示すスレーブ側の近距離無線通信機器とマスタ側の対向情報機器との間で音声データ1信号の再送が行われた場合の信号シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による無線通信機器、近距離無線通信機器、無線通信方法および近距離無線通信方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による近距離無線通信機器の一例として、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルを搭載した近距離無線通信機器について説明するが、NFC(Near Field Communication)方式やRFID(Radio Frequency IDentification)方式等における複数の近距離無線通信用のプロトコルを搭載した近距離無線通信機器についても、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルの代わりに、複数の近距離無線通信用のプロトコルを用いることにより、Bluetooth近距離無線通信方式の近距離無線通信機器の場合と全く同様に適用することができる。さらには、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)や公衆無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の複数の無線通信用の通信手段を搭載した無線通信機器や、FTP(File Transfer Protocol)、HTTP(Hyper-Text Transport Protocol)、MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)、CoAP(Constrained Application Protocol)等の複数の無線通信用のプロトコルを搭載した無線通信機器についても、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルの代わりに、それぞれ、複数の通信手段、複数のプロトコルを用いることにより、Bluetooth近距離無線通信方式の近距離無線通信機器の場合と同様に適用することができることも言うまでもない。また、以下の各図面に付した参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0023】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、例えば、Bluetooth近距離無線通信の上り回線と下り回線とで異なるプロファイルを用いてデータ通信を行うことにより通信の信頼性・正当性を確保可能にすることを主要な特徴としている。より具体的には、例えば、殆どの携帯電話機やタブレット端末等の情報機器に近距離無線通信手段として搭載されているBluetooth通信のA2DP/AVRCPプロファイルをデータ通信の交互監視用のプロファイルとして利用することによって、信頼性の高いデータ通信を行うことができるのみならず、機器の適用可能範囲を示すカバー率を大幅に向上させることができ、また、A2DPプロファイルは、音楽再生用の一般的なプロファイルであるので、汎用の音響機器にも搭載されており、安価に入手することが可能であることを特徴の一つとしている。
【0024】
例えば、Bluetooth通信のA2DP/AVRCPプロファイルを搭載している近距離無線通信機器の機器A(例:音響再生機能+リモコン機能を備えたヘッドセット)と対向情報機器の機器B(例:携帯情報端末)との間の機器間通信として、以下に示すように、上り回線と下り回線とのそれぞれで異なるプロファイル(通信手段)を用いることによって、双方向のデータ通信(例えば、携帯情報端末により、ヘッドセットが備える機能の一つである初期設定や設定変更をするためのデータ通信)を行うことができる。
【0025】
以下に本発明の実施形態を挙げ、本発明を一層詳しく説明するが、この実施形態では、双方向のデータ通信における下り回線および上り回線として、具体的には次の例を挙げて説明している。
1)下り回線(機器A(例:ヘッドセット)←対抗機器B(例:携帯情報端末))
:A2DPプロファイルを適用して、音声帯域信号であるDTMF(Dial
Tone Multiplexed Frequency)信号(1〜9、0、*、#、A、B、C、
D)を用いて、データを送信する。
2)上り回線(機器A(例:ヘッドセット)→対抗機器B(例:携帯情報端末))
:AVRCPプロファイルを適用して、ACK(Acknowledgement:肯定応
答)、NAK(Negative Acknowledgement:否定応答)等の応答データ
を送信する。
【0026】
(実施形態例の構成例)
次に、本発明に係る近距離無線通信機器の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る近距離無線通信機器の一構成例を示すブロック構成図である。
【0027】
図1に示す近距離無線通信機器10は、A2DP/AVRCPプロファイルを保有するBluetoothモジュール11、および、CPU(Central Processing Unit)12を、備えて構成されており、Bluetoothモジュール11とCPU12とは、直接接続されている。Bluetoothモジュール11は、一般的なA2DP/AVRCPプロファイルを実装するものであり、汎用品として、現在、市場において容易に入手することが可能である。ここで、近距離無線通信機器10は、例えば、音響再生機能+リモコン機能を備えたヘッドセットである。
【0028】
A2DP/AVRCPプロファイルを用いたBluetooth通信が可能な携帯電話機やタブレット端末などの対向情報機器20が近接した位置に存在する際に、Bluetoothモジュール11は、該対向情報機器20をマスタ(Master)として、A2DP/AVRCPプロファイルを用いてデータ通信を行うことが可能になる。ここで、対向情報機器20は、例えば、携帯電話機やタブレット端末等の携帯情報端末である。
【0029】
つまり、マスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10へ向かう下り回線には、図1に破線で示すように、A2DPプロファイル31を適用して、音声帯域信号であるDTMF(Dial Tone Multiplexed Frequency)信号(1〜9、0、*、#、A、B、C、D)やモデム信号等を用いたデータ信号が送信され、Bluetoothモジュール11は、A2DPプロファイルを用いて対向情報機器20からの該データ信号を受信する。
【0030】
また、スレーブ側の近距離無線通信機器10からマスタ側の対向情報機器20へ向かう上り回線には、図1に実線で示すように、AVRCPプロファイル32を適用して、Bluetoothモジュール11は、ACK(Acknowledgement:肯定応答)、NAK(Negative Acknowledgement:否定応答)等の応答データや対向情報機器20の動作を制御するための制御信号を送信する。
【0031】
CPU12は、直接接続されているBluetoothモジュール11から、マスタ側の対向情報機器20から受信した音声帯域信号からなるデータ信号を受け取り、該データ信号を解析して、数値化するとともに、その解析結果に基づく応答として、Bluetoothモジュール11の応答信号(ACK、NAK)を生成したり、対向情報機器20を制御するための制御信号(例えば、対向情報機器20が音響機器であった場合には、音楽の早送り・巻き戻し・再生・停止等のコマンド)を生成したりして、Bluetoothモジュール11に送る。
【0032】
(実施形態の動作例の説明)
次に、図1に示した近距離無線通信機器10の動作について、その一例を詳細に説明する。ここで、前述したように、スレーブ側の近距離無線通信機器10のCPU12は、マスタ側の対向情報機器20からBluetoothモジュール11を介して受け取った音声帯域信号からなるデータ信号を解析して数値化することが可能であり、かつ、Bluetoothモジュール11を直接制御して、AVRCPプロファイルの2つ以上のコマンドを、Bluetooth通信を利用して、マスタ側の対向情報機器20に対して制御信号として送信することが可能である。
【0033】
図2は、図1に示すスレーブ側の近距離無線通信機器10とマスタ側の対向情報機器20との間の信号の送受信シーケンスの一例を示すシーケンス図であり、基本制御方式として、基本的な制御信号のやり取りを示している。なお、図2のシーケンス図の凡例(図上部の枠内)に示すように、破線で示す信号は、A2DPプロファイルを利用した音声帯域信号(DTMF信号など)によるデータ信号(音声データ信号)であり、実線で示す信号は、AVRCPプロファイルを利用した制御信号(コマンド信号)である。
【0034】
ここで、図2においては、マスタ側の対向情報機器20から受け取った音声データ信号に対する応答信号として、AVRCPプロファイルを利用したコマンド信号を用い、一つをACK信号として、また、他の一つをNAK信号として割り当てている。つまり、図2のシーケンス図は、スレーブ側の近距離無線通信機器10から返送する応答信号により、マスタ側の対向情報機器20からの送信データの正当性を、マスタ側の対向情報機器20に対して通知することにより、送信データ信号と応答信号との交互監視動作としての相互確認を行いながら、データの送受信を行う場合を示している。
【0035】
図2のシーケンス図において、まず、マスタ側の対向情報機器20が、A2DPプロファイルを利用して、DTMF信号からなる音声データ1信号を、スレーブ側の近距離無線通信機器10に対して送信する(シーケンスSeq1)。該音声データ1信号は、例えば、図3に示すような数値データをDTMF信号からなる音声帯域信号に変換したものを用いているものとする。図3は、図1に示すマスタ側の対向情報機器20が音声データ1信号として送信する数値データの一例を示すテーブルであり、図3(A)が、該数値データの構成を説明するテーブルであり、図3(B)が、数値データの一例を示すテーブルである。
【0036】
図3(A)に示すように、数値データは、シーケンス番号やデータ長やチェックサムを含む既存のパケット形式のデータ構成であって、4ビット(オクテット)単位に区切られた可変長のデータからなり、先頭の第1オクテット目がシーケンス番号、次の第2オクテット目がデータ長、その次の第3オクテット目以降に可変長のデータが続き、最後の2オクテットに、チェックサム(上位)とチェックサム(下位)とが設定される構成となっている。ここで、チェックサム(上位)、チェックサム(下位)には、例えば、チェックサムを除く数値データの総和の下位8ビットを4ビットずつ割り当てるものとする。
【0037】
例えば、図3(B)に示す数値データの場合、16進数表示で示しているが、先頭の第1オクテット目のシーケンス番号が[1]、次の第2オクテット目のデータ長が[4]、その次の第3オクテット目から第6オクテット目までの4オクテットが送信すべきデータを示す[A6B4]であり、最後の第7、第8オクテット目のチェックサム(上位)、チェックサム(下位)が[2]、[4]であり、マスタ側の対向情報機器20が音声データ1信号として送信すべき数値データが、[1,4,A,6,B,4,2,4]の8オクテットのパケットである場合を例示している。
【0038】
マスタ側の対向情報機器20が音声データ1信号として送信するDTMF信号は、前述のように、4ビットで表現される信号であり、マスタ側の対向情報機器20は、図3(B)に示したような4ビットずつに区切られた数値データを、先頭から4ビット単位ずつ順番にDTMF信号に変換して、音声データ1信号として連続的に送信している。
【0039】
図2のシーケンス図に戻って、スレーブ側の近距離無線通信機器10のCPU12は、Bluetoothモジュール11を介して、マスタ側の対向情報機器20から送信されてきたDTMF信号からなる音声データ1信号を受け取ると、該音声データ1信号を順次解析して、元の数値データに変換する。しかる後、CPU12は、変換した数値データが、使用するプロトコルを満足しているか否かを確認し(図3(B)の例においては、チェックサムによるチェック結果が正しいか否かを確認し)、満足している場合には、正常なデータを受け取った旨を示すACK応答を生成して、Bluetoothモジュール11を介して、AVRCPプロファイルを利用して、マスタ側の対向情報機器20に対して返送する(シーケンスSeq2)。
【0040】
この結果、マスタ側の対向情報機器20とスレーブ側の近距離無線通信機器10との間の通信データの正当性が確立される。したがって、マスタ側の対向情報機器20は、図4に示すように、次のデータ(DTMF信号から成る音声データ信号)を、音声データ2信号として送信することが可能な状態になる(シーケンスSeq3)。図4は、図1に示すスレーブ側の近距離無線通信機器10とマスタ側の対向情報機器20との間で正常な音声データ1信号の送受信が行われた場合の信号シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【0041】
他方、CPU12は、音声データ1信号を受け取り、該音声データ1信号を順次解析して、元の数値データに変換したとき、変換した数値データが、使用するプロトコルを満足しないときは、該音声データ1信号が異常であると判定する。このとき、CPU12は、正常なデータを受け取ることができなかった旨を示すNAK応答を生成して、Bluetoothモジュール11を介して、AVRCPプロファイルを利用して、マスタ側の対向情報機器20に対して返送する(シーケンスSeq2)。NAK応答を受け取ったマスタ側の対向情報機器20は、スレーブ側の近距離無線通信機器10に対するデータ送信に失敗したことを認識して、図5に示すように、再送動作に移り、同じデータを再送用の音声データ1信号として、スレーブ側の近距離無線通信機器10に対して再送する(シーケンスSeq11)。このように、マスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10へ送信した音声データ1がプロトコルを満足していることをCPU12が確認し、その確認の結果としてマスタ側の対向情報機器20がACK信号を受信するまでは、マスタ側の対向情報機器20は音声データ信号2を送信しない。このような手順を経ることにより、マスタ側の対向情報機器20とスレーブ側の近距離無線通信機器10との間の通信データの信頼性を確保することができる。図5は、図1に示すスレーブ側の近距離無線通信機器10とマスタ側の対向情報機器20との間で音声データ1信号の再送が行われた場合の信号シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【0042】
なお、前述の実施形態においては、マスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10への下り回線にA2DPプロファイルを適用してデータ信号を送信し、該データ信号を受信したスレーブ側の近距離無線通信機器10からマスタ側の対向情報機器20への上り回線にAVRCPプロファイルを適用して該データ信号の解析結果に応じた応答信号を返送する動作例を説明したが、送信データ信号と応答信号との送受信方向が逆方向であってもよい。
【0043】
すなわち、スレーブ側の近距離無線通信機器10からマスタ側の対向情報機器20への上り回線にA2DPプロファイルを適用してデータ信号を送信し、該データ信号を受信したマスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10への下り回線にAVRCPプロファイルを適用して該データ信号の解析結果に応じた応答信号を返送するように動作することも可能である。
【0044】
また、前述の実施形態においては、マスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10への下り回線にデータ信号を送信するためのA2DPプロファイルを適用し、スレーブ側の近距離無線通信機器10からマスタ側の対向情報機器20への上り回線に応答信号を送信するためのAVRCPプロファイルを適用する場合について説明したが、本発明はかかる場合のみに限るものではない。
【0045】
すなわち、例えば、HSPプロファイル(Handset Profile)やHIDプロファイル(Human Interface Device Profile)やPANプロファイル(Personal Area Networking Profile)等も利用して、下り回線に適用するプロファイルと上り回線に適用するプロファイルとにおいて、互いに異なるプロファイルを用いて、双方向のデータ通信を可能にし、送信データ信号と応答信号との交互の送受信動作を可能にするものであれば、如何なるプロファイルを用いても差し支えない。
【0046】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果が得られる。
【0047】
本実施形態においては、Bluetooth近距離無線通信方式の複数のプロファイルを搭載したスレーブ側の近距離無線通信機器10にマスタ側の対向情報機器20が近接した位置に存在して、相互のデータ通信が可能な状態になった場合、送信データを、マスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10への下り回線またはスレーブ側の近距離無線通信機器10からマスタ側の対向情報機器20への上り回線に送信し、該送信データに適用するプロファイルとは異なるプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、スレーブ側の近距離無線通信機器10からマスタ側の対向情報機器20への上り回線またはマスタ側の対向情報機器20からスレーブ側の近距離無線通信機器10への下り回線に返送する、という動作を交互に繰り返すことを実現している。而して、マスタ側の対向情報機器20とスレーブ側の近距離無線通信機器10との双方で交互監視する動作が行われ、送受信するデータの信頼性・正当性を確実に確保することができる。
【0048】
より具体的には、図1のブロック構成図および図2のシーケンス図に示したように、マスタ側の対向情報機器20からのA2DPプロファイルを利用したDTMF信号(音声帯域信号)からなる音声データの送信動作(シーケンスSeq1)、スレーブ側の近距離無線通信機器10からのAVRCPプロファイルを利用した応答データの送信動作(シーケンスSeq2)を交互に繰り返すことによって、または、逆方向に、スレーブ側の近距離無線通信機器10からの音声データの送信動作とマスタ側の対向情報機器20からの応答データの送信動作とを交互に繰り返すことによって、両者間のデータ通信の正当性、信頼性を確保することが、Bluetoothモジュール11として一般的なA2DP/AVRCPプロファイル搭載の汎用的なモジュールを用いるだけで可能になる。つまり、Bluetoothモジュール11として市場に数多く出回っている廉価なBluetoothモジュールを用いるだけでDTMF信号等という音声帯域信号を利用した簡易的なデータ通信を行うことが可能になると同時に、データ通信の正当性、信頼性を確保することも可能になる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形、変更が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0050】
10 近距離無線通信機器
11 Bluetoothモジュール
12 CPU(Central Processing Unit)
20 対向情報機器
31 A2DPプロファイル
32 AVRCPプロファイル
【要約】
【課題】送信データの信頼性、正当性を確保可能な無線通信機器、例えばBluetooth方式の近距離無線通信機器を提供する。
【解決手段】Bluetooth方式の近距離無線通信機器10は、マスタ側の対向情報機器20が近接した位置に存在して、データ通信が可能な状態になった場合、マスタ側の対向情報機器20からのA2DPプロファイル適用の送信データをDTMF信号として受信した後、AVRCPプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データとしてACK信号またはNAK信号を、マスタ側の対向情報機器20に返送するか、または、マスタ側の対向情報機器20に対してA2DPプロファイル適用の送信データを送信した後、AVRCPプロファイルを用いて、該送信データの解析結果を示す応答データを、マスタ側の対向情報機器20から受信する、という交互監視動作を交互に繰り返す。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5