【文献】
木村 暢之 他,炉容器コンパクト化に関する流動特性試験-炉内流況の把握と流動適正化方策の考案-,研究開発報告書,日本,核燃料サイクル開発機構大洗工学センター,2003年 3月,NC-TN9400 2003-032,第1-202頁
【文献】
中山 王克 他,炉容器コンパクト化に関する流動特性試験−ディッププレートの2重化とUIS胴の効果−,研究開発報告書,日本,核燃料サイクル開発機構,2005年 3月,JNC-TN9400 2005-032,第1-95頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下方向に延びた複数本の管と、前記管が貫通し、燃料交換機挿入用のスリット部が形成され且つ円板状の多孔板である複数枚のバッフル板と、前記バッフル板のうちの最上段のバッフル板の上方に配設され且つ燃料交換機挿入用の貫通孔を有し、前記管が貫通している円板状の一段の内側波立ち防止板と、下端の吸込み口が前記バッフル板の側方に位置し且つ上方へ延びた少なくとも1本の冷却材吸込み配管と、前記冷却材吸込み配管が貫通している円環状の外側波立ち防止板が設けられている高速増殖炉原子炉容器内の上部プレナム内において、冷却材を整流するための上部プレナム内整流装置であって、
各前記冷却材吸込み配管と前記原子炉容器の内面との間の隙間に設けられ、前記冷却材吸込み配管の吸込み口よりも上方及び下方に延びている少なくとも2本のフローガイドを各前記冷却材吸込み配管ごとに有することを特徴とする高速増殖炉原子炉容器内上部プレナム内整流装置。
【背景技術】
【0002】
新型の原子力発電プラントとして、現在、高速増殖炉型の発電プラント(FBR発電プラント)が開発されている。このFBR発電プラントにおけるFBR原子炉容器の内部は、冷却材(液体金属ナトリウム)が、炉心を通過して炉心上方の上部プレナム内へ噴出した後、上部プレナムに設けられている冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)に吸い込まれる構成になっている。
【0003】
前記上部プレナムの内部における炉心上部機構などの構成を、
図14及び
図15に示す。なお、
図14では波立ち防止板(ディッププレート)を一点鎖線の透視図で示している。
【0004】
図14及び
図15に示すように、上部プレナム1の内部には、上下方向に延びた複数本の管12と、これらの管12が貫通し、燃料交換機挿入用のスリット部2bが形成され且つ円板状の多孔板である複数枚のバッフル板2と、バッフル板2のうちの最上段のバッフル板2の上方に配置され且つ燃料交換機挿入用の貫通孔3aを有する円板状の内側波立ち防止板(内側ディッププレート)3と、下端の吸込み口4aがバッフル板2の側方に位置し且つ上方へ延びた2本の冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4と、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4が貫通した円環状の外側波立ち防止板(外側ディッププレート)5などが設けられている。なお、管12は、制御棒案内管や計装保護管などである。原子炉運転時には、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)3の貫通孔3aに燃料交換機貫通孔プラグ8が挿入されている。
【0005】
また、上部プレナム1内には、冷却材を炉心に供給するための冷却材供給配管(コールドレグ配管)6、冷却材(液体金属ナトリウム)に含まれている不純物を除去するための純化装置であるコールドトラップ7、直接炉心冷却系熱交換器10、燃料出入機案内管9などの炉内構造物が設けられており、これらの炉内構造物は外側波立ち防止板(外側ディッププレート)5を貫通している。
図14及び
図15において、上部プレナム1内に示す矢印は、上部プレナム1内における冷却材の流動状態を示している。
【0006】
なお、FBR原子炉容器の上部プレナムなどが開示されている先行技術文献としては、例えば次のものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図16には、
図14を矢印I方向から見た上部プレナム1内における冷却材の流動状態を示しており、
図17には、
図14を矢印H方向から見た上部プレナム1内における冷却材の流動状態を示している。
【0009】
上部プレナム1内においては、炉心を通過して上部プレナム1内へ噴出した冷却材が、
図16及び
図17に示すような矢印F1及びF2で示す2つの流れとなって、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4に吸込まれる。
【0010】
即ち、一方は、図中に矢印F1で示すような冷却材の下降流である。前述のとおり、炉心を通過して上部プレナム1へ噴出した冷却材は、バッフル板2のスリット部2bや流路孔2aを通って上昇し、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)3の下面に衝突して水平に広がる。その後、この水平に広がった冷却材が、FBR原子炉容器の内面11などに沿って、矢印F1の如く下降し、吸込み口4aから冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4内に吸込まれる。このときの冷却材は、大きな旋回半径を有する旋回流となり、大きな循環を持った流れとなる。
【0011】
もう一方は、図中に矢印F2で示すような冷却材の上昇流である。バッフル板2は炉心から噴出した冷却材が上部プレナム1内を上方に流れる際の流動抵抗としても作用するため、炉心を通過して上部プレナムへ噴出した冷却材の一部は、バッフル板2の下から1段目や2段目などの下段のバッフル板2の下面に沿って水平に広がる。その後、この水平に広がった冷却材が、FBR原子炉容器の内面11などに沿って、矢印F2の如く上昇し、吸込み口4aから冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4内に吸込まれる。このときの冷却材は、大きな旋回半径を有する旋回流となり、大きな循環を持った流れとなる。
【0012】
このため、矢印F1のような大きな循環を有する下降流の冷却材と、矢印F2のような大きな循環を有する上昇流の冷却材が、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4へ吸込み口4aから吸い込まれる際に、当該部近傍に強い液中渦Gが発生し、渦中心部にキャビテーションが発生するおそれがある。
【0013】
この液中渦Gが生じた状態の冷却材が、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4に吸込まれた場合、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)4の内面がキャビテーションにより侵食させるおそれがある。このため、上部プレナム1内に整流装置を設けて、液中渦Gの発生を防止することが必要である。
【0014】
また、FBR原子炉容器に特有の液中渦発生要因として、バッフル板2のスリット部2bがある。スリット部2bは、燃料交換時に燃料交換機を挿入するために必要なスペースである。スリット部2bは流動抵抗が小さいため、スリット部2bを上昇する冷却材は流速が速くなる。従って、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)3の下面に衝突して水平に広がった後にFBR原子炉容器の内面11などに沿って下降する冷却材は、特に大きな循環を持った流れとなるため、これを防止する技術が必要である。
【0015】
従って本発明は上記の事情に鑑み、FBR原子炉容器特有の制約条件に適しており、上部プレナム内に液中渦が発生するのを防止することができる上部プレナム内整流装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する第1発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置は、上下方向に延びた複数本の管と、前記管が貫通し、燃料交換機挿入用のスリット部が形成され且つ円板状の多孔板である複数枚のバッフル板と、前記バッフル板のうちの最上段のバッフル板の上方に配設され且つ燃料交換機挿入用の貫通孔を有し、前記管が貫通している円板状の
一段の内側波立ち防止板と、下端の吸込み口が前記バッフル板の側方に位置し且つ上方へ延びた少なくとも1本の冷却材吸込み配管と、前記冷却材吸込み配管が貫通している円環状の外側波立ち防止板が設けられているFBR原子炉容器内の上部プレナム内において、冷却材を整流するための上部プレナム内整流装置であって、
各前記冷却材吸込み配管と前記FBR原子炉容器の内面と
の間の隙間に設けられ、前記冷却材吸込み配管の吸込み口よりも上方及び下方に延びている少なくとも
2本のフローガイドを
各前記冷却材吸込み配管ごとに有することを特徴とする。
【0017】
また、第2発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置は、第1発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、
前記フローガイドは、前記FBR原子炉容器の炉壁に設けられている熱遮蔽板を折り曲げて形成したものであることを特徴とする。
【0018】
また、第3発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置は、第1又は第2発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、
前記内側波立ち防止板の周縁部から下方に垂れ下がった鍔部を有することを特徴とする。
【0019】
また、第4発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置は、第1〜第3発明の何れか1つのFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、
前記スリット部は、バッフル板の周方向の一部に径方向に向かって該径方向の途中まで切り欠かれて形成されており、
前記内側波立ち防止板の下面から前記スリット部に向かって下方へ垂れ下がり、前記
スリット部の周方向の両側と、前記
スリット部の径方向の内側を仕切る仕切り板を有すること、
又は、前記内側波立ち防止板の下面から前記スリット部に向かって下方へ垂れ下がり、前記
スリット部の周方向の両側と、前記
スリット部の径方向の内側及び外側を仕切る仕切り板を有すること、
を特徴とする。
【0020】
また、第5発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置は、第1〜第3発明の何れか1つのFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、
前記内側波立ち防止板の下面から下方に垂れ下がり、前記スリット部に対応する位置に切欠き部を有し、前記複数の管の周囲を囲む多孔胴を有すること、
又は、前記内側波立ち防止板の下面から下方に垂れ下がり、前記複数の管の周囲全体を囲む多孔胴を有すること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置によれば、上下方向に延びた複数本の管と、前記管が貫通し、燃料交換機挿入用のスリット部が形成され且つ円板状の多孔板である複数枚のバッフル板と、前記バッフル板のうちの最上段のバッフル板の上方に配設され且つ燃料交換機挿入用の貫通孔を有し、前記管が貫通している円板状の
一段の内側波立ち防止板と、下端の吸込み口が前記バッフル板の側方に位置し且つ上方へ延びた少なくとも1本の冷却材吸込み配管と、前記冷却材吸込み配管が貫通している円環状の外側波立ち防止板が設けられているFBR原子炉容器内の上部プレナム内において、冷却材を整流するための上部プレナム内整流装置であって、
各前記冷却材吸込み配管と前記FBR原子炉容器の内面と
の間の隙間に設けられ、前記冷却材吸込み配管の吸込み口よりも上方及び下方に延びている少なくとも
2本のフローガイドを
各前記冷却材吸込み配管ごとに有することを特徴としているため、渦中心に向かった前記FBR原子炉容器の内面に沿う冷却材の流れが前記フローガイドに沿った上下方向の流れのみとすることにより、循環の供給を防止することができる。
即ち、冷却材は、フローガイドに沿って下降することにより、循環の無い流れとなって、冷却材吸込み配管の吸込み口へ向かう。同様に、冷却材は、フローガイドに沿って上昇することにより、循環の無い流れとなって、冷却材吸込み配管の吸込み口へ向かう。このため、冷却材吸込み配管の吸込み口近傍での液中渦の発生を防止することができる。
【0022】
第2発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置によれば、第1発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、前記フローガイドは、前記FBR原子炉容器の炉壁に設けられている熱遮蔽板を折り曲げて形成したものであることを特徴としているため、熱伸びの影響を受けずにフローガイドを設置することができる。
即ち、原子炉運転時と原子炉停止時では温度差が大きいため、原子炉容器と構造物の熱伸びの関係から、原子炉容器の炉壁に構造物を溶接することができない場合がある。この場合にはフローガイドを炉壁に溶接することができない。これに対して、熱遮蔽板を折り曲げてフローガイドを形成する場合には、熱伸びの影響を受けることがなく、確実にフローガイドを設けることができる。
【0023】
第3発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置によれば、第1又は第2発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、前記内側波立ち防止板の周縁部から下方に垂れ下がった鍔部を有することを特徴としているため、鍔部により、冷却材の下降流の旋回半径を小さくして循環を小さくすることができる。
即ち、鍔部を設けない場合、冷却材は、内側波立ち防止板の下面に衝突して水平に広がりながら前記FBR原子炉容器の内面に向かい大きな旋回半径を有する旋回流となり、冷却材吸込み配管に対して循環の大きい下降流となる。
これに対して、鍔部を設けた場合には、内側波立ち防止板の下面に衝突して水平に広がった冷却材の流れを、鍔部によって下方に向けることができる。このため、冷却材の下降流の旋回半径を小さくて循環を小さくすることができる。従って、液中渦の発生を防止することができる。
【0024】
第4発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置によれば、第1〜第3発明の何れか1つのFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、
前記スリット部は、バッフル板の周方向の一部に径方向に向かって該径方向の途中まで切り欠かれて形成されており、前記内側波立ち防止板の下面から前記スリット部に向かって下方へ垂れ下がり、前記
スリット部の周方向の両側と、前記
スリット部の径方向の内側を仕切る仕切り板を有すること、又は、前記内側波立ち防止板の下面から前記スリット部に向かって下方へ垂れ下がり、前記
スリット部の周方向の両側と、前記
スリット部の径方向の内側及び外側を仕切る仕切り板を有することを特徴としているため、仕切り板により、冷却材の下降流の旋回半径を小さくして循環を小さくすることができる。また、スリット部側の冷却材流量と、スリット部と反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
即ち、仕切り板を設けない場合、冷却材は、スリット部を通って内側波立ち防止板の下面まで達し、前記下面に衝突して水平に広がるため、大きな旋回半径を有する旋回流となり、冷却材吸込み配管に対して循環の大きい下降流となる。また、スリット部側へ流出する冷却材流量のほうが、スリット部と反対側へ流出する冷却材流量よりも多くなる。
これに対して、仕切り板を設けた場合には、仕切り板によって冷却材の流れが堰き止められるため、仕切り板内の圧力が高くなる。このため、スリット部を上昇する冷却材は、仕切り板内(内側波立ち防止板の下面)に達する前に水平に(バッフル板の径方向の外側へ)に流出する。従って、冷却材は旋回半径が小さく循環の小さい下降流となるため、液中渦の発生を防止することができる。また、スリット部と反対側へ流出する冷却材の流量が増加するという効果も得られるため、スリット部側の冷却材流量と、スリット部と反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
【0025】
また、第5発明のFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置によれば、第1〜第3発明の何れか1つのFBR原子炉容器内上部プレナム内整流装置において、前記内側波立ち防止板の下面から下方に垂れ下がり、前記スリット部に対応する位置に切欠き部を有し、前記複数の管の周囲を囲む多孔胴を有すること、又は、前記内側波立ち防止板の下面から下方に垂れ下がり、前記複数の管の周囲全体を囲む多孔胴を有することを特徴としているため、内側波立ち防止板の下面に衝突して水平に広がりながら前記FBR原子炉容器の内面に向かう冷却材の強い流れが、多孔胴によって減速されることで、冷却材吸込み配管に吸い込まれる液中渦を弱めることができる。また、スリット部側の冷却材流量と、スリット部と反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
即ち、多孔胴を設けない場合、冷却材は、スリット部を通って内側波立ち防止板の下面まで達し、前記下面に衝突して水平に広がりながら前記FBR原子炉容器の内面に向かい大きな旋回半径を有する旋回流となり、冷却材吸込み配管に対して循環の大きい下降流となる。また、スリット部側へ流出する冷却材流量のほうが、スリット部と反対側へ流出する冷却材流量よりも多くなる。
これに対して、多孔胴を設けた場合には、多孔胴が流動抵抗となるため、スリット部を上昇した冷却材の流れを弱めると同時に、多孔胴に対して周方向の流量分配を均一に近づけることにより、スリット部を上昇し内側波立ち防止板の下面に衝突して水平に広がりながら前記FBR原子炉容器の内面に向かい冷却材吸込み配管に吸い込まれる流れによる循環を抑制する。従って、液中渦の発生を防止することができる。また、スリット部と反対側へ流出する冷却材の流量が増加するという効果も得られるため、スリット部側の冷却材流量と、スリット部と反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
<実施の形態例1>
図1〜
図7に基づき、本発明の実施の形態例1に係る上部プレナム内整流装置について説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態例1の上部プレナム内整流装置が適用されるFBR発電プラントのFBR原子炉容器21は、内部にFBRの炉心(発熱部)22を有しており、炉心22の上側が上部プレナム23、炉心22の下側が下部プレナム24になっている。炉心22の上方には、炉心上部機構25が設けられている。上部プレナム23には冷却材(液体金属ナトリウム)26が溜まっており、この冷却材26の液面26aの上側の空間部27にはアルゴンガスが充填されている。また、図示例のFBR原子炉容器21においては、炉壁21aに熱遮蔽板(サーマルライナ)51が設けられている。
【0030】
図1〜
図3に示すように、上部プレナム23内には、複数本の管31と、複数枚(図示例では5枚)のバッフル板32と、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33と、2本の冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34と、外側波立ち防止板(外側ディッププレート)35などが設けられている。バッフル板32、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33及び管31などは、炉心上部機構25を構成している。
【0031】
バッフル板32は、管31を支持するためのものである。バッフル板32は多数の流路孔32aを有する円板状の多孔板であり、且つ、周方向の一部が径方向の途中まで切り欠かれることによって、燃料交換機挿入用のスリット部32bが形成されている。そして、バッフル板32は上下面が水平になり、互いに上下方向に間隔をあけて重ね合わされ、且つ、互いのスリット部32bの周方向位置が一致するように配設されている。
【0032】
管31は制御棒案内管や計装保護管などであり、上下方向に延びて、バッフル板32及び内側の波立ち防止板(内側ディッププレート)33を貫通している。
【0033】
内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33は円板状のものであり、燃料交換機挿入用の貫通孔33aが形成されている。内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33は、FBR原子炉容器21の上部に設けられているルーフデッキ28から、吊り下げられている。原子炉運転時、貫通孔33aには燃料交換機貫通孔プラグ41が挿入されている。そして、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33は上下面が水平になり、複数枚のバッフル板32のうちの最上段のバッフル板32の上方に位置し、且つ、冷却材26の液面26aよりは下方に位置している。また、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33は、貫通孔33aの周方向位置が、バッフル板32のスリット部32bの周方向位置に対応するように配設されている。
【0034】
冷却材26の液面26aが波立つと、空間部27のアルゴンガスが冷却材26中に巻き込まれることによって、炉心22の出力変動などを招くおそれがある。このため、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33と外側波立ち防止板(外側ディッププレート)35によって、液面26aが波立つのを防止している。
【0035】
燃料交換時には、燃料交換機貫通孔プラグ41を内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の貫通孔33aから引き抜いた後、
図4に示すような伸縮アーム式の燃料交換機52を、貫通孔33aへ挿入し、更にバッフル板32のスリット部32bに挿入することにより、炉心22の燃料交換を行う。また、バッフル板32、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33、管31などから成る炉心上部機構25全体を、鉛直軸回りに回転させることができるため、燃料交換機挿入用の貫通孔33a及びスリット部32bの周方向位置を、炉心22に対して任意に変えることができる。このため、燃料交換機52によって、炉心22の何れ位置の燃料も交換可能である。
【0036】
また、
図1〜
図3に示すように、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34は、FBR原子炉容器21の径方向の両側に1本ずつ設けられている。図示例のFBR発電プラントは1次冷却系が2ループであり、各ループに1本ずつ冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34が設けられている。冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34は、上部プレナム23内において、下端の吸込み口34aがバッフル板32の側方に位置し(図示例では上部プレナム23の上下方向のほぼ中央部に位置し)、上方へ延びている。また、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34は熱応力に対応するため、外管37に挿通された二重管構造になっている。
【0037】
外側波立ち防止板(外側ディッププレート)35は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の周囲を囲む円環状のものであり、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34が貫通している。外側波立ち防止板(外側ディッププレート)35は、ルーフデッキ28から吊り下げられている。
【0038】
また、上部プレナム23内には、冷却材供給配管(コールドレグ配管)42、コールドトラップ43、直接炉心冷却系熱交換器44、燃料出入機案内管45などの構造物も設けられており、これらの構造物も外側波立ち防止板(外側ディッププレート)35を貫通している。
【0039】
冷却材供給配管(コールドレグ配管)42は下部プレナム24に冷却材26を供給するためのものであり、各ループに2本ずつ設けられている。冷却材供給配管(コールドレグ配管)42は、下端の吐出口42aが下部プレナム24内に位置し、上方へ延びている。また、冷却材供給配管(コールドレグ配管)42は熱応力に対応するため、外管46に挿通された二重管構造になっている。コールドトラップ43は、冷却材(液体金属ナトリウム)26に含まれている不純物を除去するための純化装置である。
【0040】
かかる構成のFBR原子炉容器21において、冷却材26は冷却材供給配管(コールドレグ配管)42によって下部プレナム24内に供給された後、炉心22で発生した熱が伝えられる。炉心22を通過した高温の冷却材26は、上部プレナム23内に噴出されて、上部プレナム23内を流動した後、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に吸込まれる。冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に吸込まれた冷却材26は、熱交換器(図示せず)において2次冷却系の冷却材(液体金属ナトリウム)と熱交換する。そして、この2次冷却系の冷却材と、水・蒸気系の水とが蒸気発生器(図示せず)で熱交換することによって蒸気が発生し、この蒸気によって蒸気タービンとともに発電機を回転駆動することによって発電する。
【0041】
このときに上部プレナム23内においては、炉心22を通過して上部プレナム23内へ噴出した冷却材26が、下降流や上昇流となって流動した後、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に吸込まれる。
【0042】
そして、
図1〜
図3及び
図5〜
図7に示すように本実施の形態例2では、上部プレナム23内における冷却材26の流れを整流するための上部プレナム内整流装置として、フローガイド61と鍔部62が設けられている。
【0043】
フローガイド61は横断面形状が三角形状のものであり、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34とFBR原子炉容器21の内面(図示例では炉壁21aに熱遮蔽板51が設けられているため、熱遮蔽板51の内面51a)と間の隙間63に設けられている。図示例のFBR原子炉容器21では炉壁21aに熱遮蔽板51が設けられているため、この熱遮蔽板51を折り曲げることによって、フローガイド61が形成されている。これらのフローガイド61は平行に配置され、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34の吸込み口34aよりも上方及び下方に延びている。
【0044】
なお、図示例では3本のフローガイド61を設けているが、これに限定するものではなく、フローガイド61の本数は1本、2本又は4本以上であってもよい。
フローガイド61の横断面形状も、三角形状(
図6(a))に限定するものではなく、実験などにより、最適な形状となるように適宜調整すればよい。例えば、フローガイド61の横断面形状を、
図6(b)に示すような矩形状にしてもよい。このような矩形状のフローガイド61も、熱遮蔽板51を折り曲げることによって形成することができる。
フローガイド61の寸法(長さ、突起の高さ、幅)についても、実験などにより、最適なものとなるように適宜調整すればよい。
【0045】
鍔部62は、円板状の内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の周縁部に設けられた円環状のものであり、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の周縁部から下方に垂れ下がっている。
【0046】
なお、鍔部62の横断面形状は、図示例のような長方形状に限定するものでなく、適宜、実験などにより、最適な形状に調整すればよい。例えば、鍔部62の横断面形状を、U字状や三角形状などにしてもよい。
鍔部62の寸法(長さ、高さ、幅、厚さ)についても、実験などにより、最適なものとなるように適宜調整すればよい。
【0047】
以上のように、本実施の形態例1の上部プレナム内整流装置によれば、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34とFBR原子炉容器21(熱遮蔽板51)の内面51aと間の隙間63に設けられ、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34の吸込み口34aよりも上方及び下方に延びているフローガイド61を有することを特徴としているため、渦中心に向かったFBR原子炉容器21の内面51aに沿う冷却材の流れがフローガイド61に沿った上下方向の流れのみとすることにより、循環の供給を防止することができる。
【0048】
即ち、
図5に示すように、冷却材26は、矢印F11の如くフローガイド61に沿って下降することにより、循環の無い流れとなって、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34の吸込み口34aへ向かう。同様に、冷却材26は、矢印F12の如くフローガイド61に沿って上昇することにより、循環の無い流れとなって、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34の吸込み口34aへ向かう。このため、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34の吸込み口34a近傍での液中渦の発生を防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態例1の上部プレナム内整流装置によれば、フローガイド61は、熱遮蔽板51を折り曲げて形成したものであることを特徴としているため、熱伸びの影響を受けずにフローガイド61を設置することができる。
即ち、原子炉運転時と原子炉停止時では温度差が大きいため、原子炉容器21と構造物の熱伸びの関係から、原子炉容器21の炉壁21aに構造物を溶接することができない場合がある。この場合にはフローガイドを炉壁に溶接することができない。これに対して、熱遮蔽板51を折り曲げてフローガイド61を形成する場合には、熱伸びの影響を受けることがなく、確実にフローガイド61を設けることができる。
【0050】
また、本実施の形態例1の上部プレナム内整流装置によれば、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の周縁部から下方に垂れ下がった鍔部62を有することを特徴としているため、鍔部62により、冷却材26の下降流の旋回半径を小さくして循環を小さくすることができる。
【0051】
即ち、
図7に示すように、鍔部62を設けない場合、冷却材26は、矢印F14の如く内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に衝突して水平に広がりながらFBR原子炉容器21の内面51aに向かい大きな旋回半径R2を有する旋回流となり、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に対して循環の大きい下降流となる。
これに対して、鍔部62を設けた場合には、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に衝突して水平に広がった冷却材26の流れを、矢印F15の如く鍔部62によって下方に向けることができる。このため、冷却材26の下降流の旋回半径R1を小さくして循環を小さくすることができる。従って、液中渦の発生を防止することができる。
【0052】
<実施の形態例2>
図8〜
図10に基づき、本発明の実施の形態例2に係る上部プレナム内整流装置について説明する。なお、本実施の形態例2の上部プレナム内整流装置を適用するFBR原子炉容器の構成などについては、上記実施の形態例1(
図1〜
図4)の場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、
図8〜
図10において上記実施の形態例1と同様の部分には同一の符号を付しており、重複する詳細な説明は省略する。
【0053】
図8,
図9,
図10(a)及び
図10(b)に示すように、本実施の形態例2では、上部プレナム内整流装置として、上記実施の形態例1と同様のフローガイド61及び鍔部62が設けられていることに加えて、仕切り板71も設けられている。
【0054】
仕切り板71は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面から、バッフル板32のスリット部32bに向かって下方へ垂れ下がり、バッフル板32の周方向の両側と、バッフル板32の径方向の内側を仕切っている。
【0055】
詳述すると、仕切り板71は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に溶接で固定されている(その他の固定手段で固定してもよい)。仕切り板71は正面視(
図10(a)のB1方向矢視)がコ字状のものであり、バッフル板32の周方向の両側に位置する側板71a,71bと、バッフル板32の径方向の内側に位置する内側板71cと、上板71dとを有しており、この上板71dが内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に固定されている。
【0056】
そして、一方の側板71aは、バッフル板32の周方向における一方側を仕切っている。即ち、前記一方側へ向かう冷却材26の流れを、一方の側板71aによって堰き止めている。他方の側板71bは、バッフル板32の周方向における他方側を仕切っている。即ち、前記他方側へ向かう冷却材26の流れを、他方の側板71bによって堰き止めている。また、内側板71cは、バッフル板32の径方向における内側を仕切っている。即ち、前記内側へ向かう冷却材26の流れを、内側板71cによって堰き止めている。
【0057】
なお、上板71dが無く、側板71a,71b及び内側板71cが、直接、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に固定されていてもよい。
【0058】
また、仕切り板71は、正面視がコ字状のものに限定するものではなく、適宜、実験などにより、最適な形状に調整すればよい。例えば、仕切り板71を、
図10(c)〜
図10(h)に示すような形状にしてもよい。
【0059】
図10(c)及び
図10(d)に示す仕切り板71は、
図10(a)及び
図10(b)に示す仕切り板71において、更に外側板71eも有するものである。この仕切り板71を内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に固定した場合、外側板71eは、バッフル板32の径方向の外側に位置する。従って、外側板71eは、バッフル板32の径方向における外側を仕切る。即ち、前記外側へ向かう冷却材26の流れを、外側板71eによって堰き止める。
【0060】
なお、
図8(
図10(a),
図10(b))に示す仕切り板71に外側板71eを設けていないのは、外側板71eを設けた場合、燃料交換機52をスリット部32bへ挿入する際に燃料交換機52が、外側板71eと干渉してしまうためである。従って、燃料交換機の構造が変わることなどにより、燃料交換機と干渉のおそれがない場合には、外側板71eを設けてもよい。
【0061】
図10(e)及び
図10(f)に示す仕切り板71は、正面視(
図10(e)のD1方向矢視)がU字状のものであり、バッフル板32の周方向の両側に位置する側板71a,71bと、バッフル板32の径方向の内側に位置する内側板71cと、円弧状の上板71dとを有しており、この上板71dが内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に固定される。
【0062】
図10(g)及び
図10(h)に示す仕切り板71は、
図10(e)及び
図10(e)に示す仕切り板71において、更にバッフル板32の径方向の外側に位置する外側板71eも有するものである。
【0063】
また、仕切り板71の寸法(長さ、高さ、幅、厚さ)についても、実験などにより、最適なものとなるように適宜調整すればよい。
【0064】
本実施の形態例2におけるその他の構成については、上記実施の形態例1(
図1〜
図7)と同様である。
【0065】
以上のように、本実施の形態例2の上部プレナム内整流装置においても、フローガイド61及び鍔部62を有するため、上記実施の形態例1と同様の効果が得られる。
【0066】
しかも、本実施の形態例2の上部プレナム整流装置によれば、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面からスリット部32bに向かって下方へ垂れ下がり、バッフル板32の周方向の両側と、バッフル板32の径方向の内側を仕切る仕切り板71を有すること、又は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面からスリット部32bに向かって下方へ垂れ下がり、バッフル板32の周方向の両側と、バッフル板32の径方向の内側及び外側を仕切る仕切り板71を有することを特徴としているため、仕切り板71により、冷却材26の下降流の旋回半径を小さくして循環を小さくすることができる。また、スリット部32a側の冷却材流量と、スリット部32bと反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
【0067】
即ち、
図9に示すように、仕切り板71を設けない場合、冷却材26は、スリット部32bを通って内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面まで達し、前記下面に衝突して水平に広がるため、大きな旋回半径を有する旋回流となり、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に対して循環の大きい下降流となる。また、スリット部32b側へ流出する冷却材流量のほうが、スリット部32bと反対側へ流出する冷却材流量よりも多くなる。
これに対して、仕切り板71を設けた場合には、仕切り板71によって冷却材26の流れが堰き止められるため、仕切り板71内の圧力が高くなる。このため、スリット部32bを上昇する冷却材26は、仕切り板71内(内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面)に達する前に水平に(バッフル板32の径方向の外側へ)に流出する。従って、冷却材26は旋回半径が小さく循環の小さい下降流となるため、液中渦の発生を防止することができる。また、スリット部32bと反対側へ流出する冷却材26の流量が増加するという効果も得られるため、スリット部32b側の冷却材流量と、スリット部32bと反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
【0068】
<実施の形態例3>
図11〜
図13に基づき、本発明の実施の形態例3に係る上部プレナム内整流装置について説明する。なお、本実施の形態例3の上部プレナム内整流装置を適用するFBR原子炉容器の構成などについては、上記実施の形態例1(
図1〜
図4)の場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、
図11〜
図13において上記実施の形態例1と同様の部分には同一の符号を付しており、重複する詳細な説明は省略する。
【0069】
図11,
図12及び
図13(a)に示すように、本実施の形態例2では、上部プレナム内整流装置として、上記実施の形態例1と同様のフローガイド61及び鍔部62が設けられていることに加えて、多数の流路孔81aを有する多孔胴81も設けられている。
【0070】
多孔胴81は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面から下方に垂れ下がり、バッフル板32のスリット部32bに対応する位置に切欠き部81bを有しており、複数の管31(即ちバッフル板32を貫通している管群)の周囲を囲んでいる。即ち、多孔胴81は、スリット部32bを除いて、複数の管31(バッフル板32を貫通している管群)の周囲を囲んでいる。
【0071】
詳述すると、多孔胴81は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に溶接で固定されている(その他の固定手段で固定してもよい)。多孔胴81はほぼ円環状のものであり、且つ、周方向の一部が切欠かれて、切欠き部81bを有している。そして、多孔胴81は、切欠き部81bがスリット部32bの真上に位置する状態で内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に固定されている。
【0072】
なお、多孔胴81は、必ずしも切欠き部81bを有するものに限定するものではなく、
図13(b)に示すような切欠き部が無い円環状のものを用いてもよい。この場合、多孔胴81は内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面から下方に垂れ下がり、複数の管31(バッフル板32を貫通している管群)の周囲全体を囲む。
【0073】
また、
図11,
図13(a)に示す多孔胴81に切欠き部81bを設けているのは、切欠き部81bを設けない場合、燃料交換機52をスリット部32bへ挿入する際に燃料交換機52が、多孔胴81と干渉してしまうためである。従って、燃料交換機の構造が変わることなどにより、燃料交換機と干渉のおそれがない場合には、多孔胴81に切欠き部81bが無くてもよい。
【0074】
また、多孔胴81の寸法(長さ、高さ、幅、厚さ)及び形状(開口率、孔径、孔形状)については、実験などにより、最適なものとなるように適宜調整すればよい。
【0075】
本実施の形態例3におけるその他の構成については、上記実施の形態例1(
図1〜
図7)と同様である。
【0076】
以上のように、本実施の形態例3の上部プレナム内整流装置によれば、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面から下方に垂れ下がり、スリット部32bに対応する位置に切欠き部81bを有し、複数の管31の周囲を囲む多孔胴81を有すること、又は、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面から下方に垂れ下がり、複数の管31の周囲全体を囲む多孔胴81を有することを特徴としているため、内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に衝突して水平に広がりながらFBR原子炉容器21の内面51aに向かう冷却材の強い流れが、多孔胴81によって減速されることで、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に吸い込まれる液中渦を弱めることができる。また、スリット部32b側の冷却材流量と、スリット部32bと反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
【0077】
即ち、
図12に示すように、多孔胴81を設けない場合、冷却材26は、スリット部32bを通って内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面まで達し、前記下面に衝突して水平に広がりながら前記FBR原子炉容器の内面に向かい大きな旋回半径を有する旋回流となり、冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に対して循環の大きい下降流となる。また、スリット部32b側へ流出する冷却材流量のほうが、スリット部32bと反対側へ流出する冷却材流量よりも多くなる。
これに対して、多孔胴81を設けた場合には、多孔胴81が流動抵抗となるため、スリット部32bを上昇した冷却材26の流れを弱めると同時に、多孔胴81に対して周方向の流量分配を均一に近づけることにより、スリット部32bを上昇し内側波立ち防止板(内側ディッププレート)33の下面に衝突して水平に広がりながらFBR原子炉容器21の内面51aに向かい冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34に吸い込まれる流れによる循環を抑制する。従って、液中渦の発生を防止することができる。また、スリット部32bと反対側へ流出する冷却材26の流量が増加するという効果も得られるため、スリット部32b側の冷却材流量と、スリット部32bと反対側の冷却材流量のバランスも改善される。
【0078】
なお、上記実施の形態例1〜3では冷却ループが2ループで冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)34が2本ある場合について説明したが、必ずしもこれに限定するものでなく、本発明の上部プレナム内整流装置は、冷却ループが1ループで冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)が1本である場合や、冷却ループが3ループ以上で冷却材吸込み配管(ホットレグ配管)が3本以上である場合にも適用することができる。