(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、改良土砂の一種である流動化処理土に関し、その製造プラントの数は全国的に極めて少ない状況にある。現時点において、例えば、北陸地方には流動化処理土の製造プラントが存在しないため、工事現場で流動化処理土が必要であれば、東海又は関西地方にあるプラントで製造した流動化処理土を陸送せねばならない状況にある。
【0005】
このように主要都市部は別として、そこから離れた地方地域にあっては、流動化処理土を利用するにしても、その製造プラントが工事現場所在地となる県内に存在せず、その隣接県にも存在しないケースが多数見受けられる。
【0006】
また、近隣地域に改良土砂の製造プラントが不在である地方地域にあっては、流動化処理土の陸送コストは、同一県内からの陸送が可能な主要都市部に比べて多額に上るケースも間々あり、結果、工事計画の初期段階から流動化処理土などの高品質の改良土砂の使用を断念せざるを得ないことも決して稀ではない。
【0007】
このため、改良土砂の供給先となる工事現場又はその近隣地にて、改良土砂を簡易的に製造できる設備が求められるところであるが、改良土砂に要求される品質や性能を確保するには、その製造に必要となる複数種類の原料を、所定の重量割合で配合調整することが厳格に求められている。
【0008】
例えば、上記した流動化処理土に関しては、その原料となる調整泥水、原料土砂、固化材などを配合する重量割合が厳格に定められており、その他の改良土砂に関しても所期の性能及び品質を確保するには所定の配合割合が重量値に基づいて定められている。
【0009】
このため、特定の製造プラント以外の場所では、改良土砂の製造が行われ難く、ましてや工事現場やその近隣地などの場所に、改良土砂の簡易製造設備を仮設し、そこで原料の配合重量を厳密に管理した上で、必要な改良土砂を工事現場へ迅速に供給するようなことは行われていない。
【0010】
こうした背景には、上記したように改良土砂の原料配合が重量割合をベースに行われているため、特に、改良土砂が大量(例えば、1回分の供給量が数十トン程度)に必要となる大規模工事現場では、その大量な原料の重量を一度に測定できる簡易設備もなく、改良土砂の原料の重量割合を管理するため、例えば、大量の各種原料を小分けにして重量測定する必要も生じてくる。
【0011】
ところが、このような各種原料を小分けにして重量測定するようなことは極めて煩雑であるため、実際の工事現場では行われておらず、一般的には、原料の体積量からその重量を概算的に換算している。例えば、所定の仮設ヤードに、数十トン程度に及ぶ大量の原料土砂を山積みし、その高さ、幅及び奥行から原料土砂の体積量を求め、この体積量が重量換算されている。
【0012】
しかしながら、このような原料土砂の体積量から換算された重量値は、当然のことながら原料土砂の単位体積当りの密度によって大きく変動するものであり、特に、仮設ヤードに山積みされた原料土砂の締固め度の大小により顕著に変動してしまう。
【0013】
また、仮設ヤードに山積みされる原料土砂の締固め度が均一になるように転圧を試みたとしても、自ずと、山積みされた原料土砂は、その締固め度が表面部分と深部部分とで高低することは否めず、結果、原料土砂のより正確な重量値を、その体積量から換算することは極めて困難であった。
【0014】
そこで、本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、改良土砂の各種原料について、その重量測定を行って混合量を調整しつつ、各種原料を混合して製造することができ、且つ、工事現場又はその近隣地に仮設できる、改良土砂の簡易製造設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために請求項1の改良土砂の簡易製造設備は、改良土砂の各種原料を混合装置により混合して製造するためのものであり、改良土砂の各種原料を混合するために収容する収容空間を有した製造容器と、その製造容器が載置可能に形成されその製造容器及び内容物の重量に対する支持力を有し、その重量により当該製造容器の下面が圧接され当該製造容器の下面との間に摩擦抵抗を伴って当該製造容器の下面を面支持する容器支持面と、その容器支持面から上方に分離離間した空中位置で前記製造容器を載上支持する支持板を有し、その支持板を、前記空中位置と前記製造容器の下面から下方に分離離間した退避位置との間で昇降移動させる昇降装置と、その昇降装置によって前記製造容器を前記空中位置まで上昇させた状態で、前記支持板を介して前記昇降装置に作用する垂直荷重を測定する荷重測定手段とを備えている。
【0016】
請求項2の改良土砂の簡易製造設備は、請求項1の改良土砂の簡易製造設備において、前記昇降装置は、前記容器支持面に凹設される凹所内に収容設置されている。
【0017】
請求項3の改良土砂の簡易製造設備は、請求項1又は2の改良土砂の簡易製造設備において、前記昇降装置は、前記支持板に対して当接可能かつ離間可能に形成され当該支持板を下方から支持するとともに上下方向へ昇降する出没部を備えており、前記荷重測定手段は、前記支持板を介して前記昇降装置に作用する荷重を検出するため、前記昇降装置における前記支持板と前記出没部との間に介装される荷重センサを備えており、前記支持板は、この荷重センサの上方に掩覆される掩蓋として兼用されるものである。
【0018】
これらの本発明に係る改良土砂の簡易製造設備によれば、改良土砂の各種原料を製造容器内で混合装置により混合する場合、製造容器が容器支持面に載置されて面支持される。このとき、昇降装置の支持板は製造容器の下面から下方に分離離間した退避位置に下降移動させられ、製造容器から切り離される。これによって、支持板を介した製造容器と昇降装置との連結状態が切断される。
【0019】
ここで、容器支持面は、製造容器及びその内容物の重量による荷重に対する支持力を具備している。このような支持力を具備すれば容器支持面は改良土砂の供給先となる工事現場又はその近隣地にある土質材料で形成された地面であっても良く、かかる場合には、工事現場又はその近隣地に製造容器を設置できるので、改良土砂を工事現場へ迅速かつ安価に供給することができる。
【0020】
また、容器支持面は、製造容器単体の重量又は製造容器及びその内容物の重量により容器支持面に圧接され、この圧接により製造容器の下面との間に摩擦抵抗を生じるため、各種原料を製造容器内で混合する際に、混合装置の一部が製造容器に衝突等して衝撃が加わったとしても、製造容器が容器支持面の上でズレ動くことを抑制できる。
【0021】
これに対し、改良土砂やその各種原料など、製造容器の内容物の重量を測定するときは、昇降装置の支持板が、製造容器の下面から下方に分離離間した退避位置から上昇されて、製造容器の下面に当接して更に上昇されて、製造容器を持上げて、かかる製造容器を容器支持面から上方に分離離間させた空中位置まで上昇移動させる。この結果、製造容器は、昇降装置の支持板上に載上された格好で、空中位置にて空中支持される。
【0022】
このように製造容器が空中位置で空中支持されると、製造容器が容器支持面から離間されるので、製造容器の重量又は製造容器及びその内容物の重量は、支持板を介して昇降装置に対する垂直荷重として直接作用することとなり、この垂直荷重を荷重測定手段により測定することによって、製造容器の重量又は製造容器及びその内容物の重量が算出可能となる。
【0023】
例えば、ある原料の投入前と投入後とのそれぞれの時点で、製造容器を昇降装置により空中位置で空中支持して荷重測定手段により垂直荷重を測定して、その各時点で測定された垂直荷重の差分を求めれば、この差分値を、当該ある原料を投入した重量として算出できるのである。
【0024】
さすれば、各種原料を製造容器内で掻き混ぜて混合する合間に、その混合を実際に行っている現場で、各原料の投入重量を確認でき、その配合調整が行えるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明における改良土砂の簡易製造設備によれば、製造容器を昇降装置によって容器支持面から離間させて空中位置で支持することによって、実際に改良土砂を製造している途中で、当該改良土砂の原料となる各種物質の重量測定を行える。このため、各種原料の配合重量を用いて製造現場で調整でき、より高品質の改良土砂を製造できるという効果がある。
【0026】
しかも、各種原料の投入及び重量測定を行った後は、昇降装置の支持板を空中位置から退避位置へ下降させることによって、製造容器を、空中位置から容器支持面まで下降させて載置し、その場所で即座にこの製造容器内にある各種原料を混合装置により混合できることから、改良土砂の製造処理を迅速に行えるという効果がある。
【0027】
そのうえ、製造容器は、単に容器支持面に載置されるものに過ぎず、容器支持面に対して敢えて固定する必要もないことから、工事現場での改良土砂の製造が不要となった折には、その設置場所から容易に撤去することもでき、また、その設置場所となる容器支持面への設置作業も簡易に行えるという効果がある。
【0028】
さらに、製造容器が容器支持面に載置された状態にあっては、昇降装置の支持板は、製造容器の下面から分離離間されるので、各種原料を製造容器内で混合する際に、混合装置の一部が製造容器に衝突等して衝撃が加わったとしても、かかる衝撃が昇降装置や荷重検出手段に加わることを防止でき、その結果これらの損傷や故障を抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施例(実施形態)について、添付図面を参照して説明する。
図1から
図7に示すように、本発明の一実施例である改良土砂製造設備1は、各種原料を混合して改良土砂を製造するため、工事現場やその近隣地に簡易的に設置される仮設設備である。この改良土砂製造設備1は、製造容器2と、混合装置3と、容器支持面4と、複数の昇降ユニット5と、複数のロードセル6と、加算回路7と、荷重測定器8とを備えている。
【0031】
図1は、改良土砂製造設備1の平面図である。
図2は、改良土砂製造設備1の正面図である。
図3は、改良土砂製造設備1の側面図である。
図1から
図3に示すように、製造容器2は、改良土砂の各種原料を混合するために収容する収容空間2aを有した容器である。例えば、製造容器2は、上部全面が開口した有底無蓋の扁平直方体状の鋼製又はFRP製のタンクである。この製造容器2は、その上部開口に連通した内周部に扁平直方体状をした収容空間2aが設けられている。
【0032】
また、製造容器2は、改良土砂製造設備1が工事現場又はその近隣地などに仮設される設備であることから、その設置及び撤去に伴う運搬の便宜を考慮して、大型自動車による積載運搬が可能なサイズに形成されている。例えば、製造容器2が全高2m程度、全長5m程度で、全幅2m程度の寸法サイズであれば、大型自動車により陸送できる。また、かかる寸法サイズの製造容器2ならば20立方メートル程度の内容量が確保される。
【0033】
そこで、例えば、製造容器2の内容量を20立方メートルとし、その重量を3.5トン程度と仮定した場合、改良土砂の水に対する比重が1.6で、1立方メートルの水の重量が1トンならば、その内容量に相当する改良土砂の重量が約32(=20×1×1.6)トンとなることから、製造容器2と改良土砂とを合わせた総重量は35.5トン程度となる。
【0034】
ただし、製造容器2に各種原料を収容して混合装置3により混合する場合、収容空間2aから内容物がへ溢れ出ることを防止するため、実際には、内容物の容量を、概ね製造容器2の全高の1/2〜2/3程度とすれば、製造容器2による改良土砂の一回分当りの製造量は、概ね10〜13立米(16〜21トン程度)となる。
【0035】
なお、製造容器2の寸法サイズや形状は、必ずしも上記した数値や形状に限定されるものではなく、工事現場に供給される改良土砂の必要量や、製造容器2を陸送運搬する自動車等の積載サイズを考慮して、適宜変更しても良い。
【0036】
混合装置3は、製造容器2内で改良土砂の各種原料を掻き混ぜて混合するための装置である。ここで、混合装置3は、攪拌羽根を備えた大型ミキサーであっても良いが、例えば、図示するように工事現場で使用される油圧ショベルなどの建設機械を、簡易的に使用したものである。
【0037】
このような建設機械を用いた混合装置3によれば、そのアーム3aの先端部にバケットなどのアタッチメント3bを装着し、このアタッチメント3bによって製造容器2の収容空間2a内の改良土砂又はその原料の混合物が掻き混ぜられる。
【0038】
図4(a)は、製造容器2内に改良土砂が収容された状態を示した改良土砂製造設備1の縦断面図である。
図4(a)に示すように、製造容器2及び容器支持面4は、互いに当接し合う面同士がいずれも平坦面状に形成されており、製造容器2と容器支持面4とが全面的に面接触するように形成されている。
【0039】
この容器支持面4は、例えば、土砂などの土質材料で形成されており、改良土砂を収容した製造容器2が及ぼす荷重(重量)を安定的に支持する支持力(締固め度)を有している。また、この容器支持面4は、製造容器2の重量による荷重(内容物の重量を含む。以下同じ。)を垂直抗力として受けることで製造容器2の下面2bと圧接して、製造容器2との間に摩擦抵抗(摩擦力)を発生する。
【0040】
このため、各種原料を製造容器2内で混合する場合、混合装置3の一部、例えば、アーム3aやアタッチメント3bが製造容器2に衝突等して、製造容器2に衝撃が加わったとしても、容器支持面4との間の摩擦抵抗によって、製造容器2が容器支持面4上でズレ動くことが抑制される。
【0041】
なお、この容器支持面4は、ぬかるんだ液状又は泥土状の地面や、転圧不足で崩落の危険性のある軟弱盛土の地面のように、製造容器2の重量による荷重で崩れるような軟弱地盤でなければ、盛土や切土などの造成処理が施された造成地の地面でも、このような造成処理が未施工の未造成地の地面であっても良い。
【0042】
また、容器支持面4は、上記したように土砂などの土質材料で形成されるので、そこに載置された製造容器2の重量を受けることで当該製造容器2を少なからずめり込ませ、かかるめり込みにより製造容器2のズレ動きを抑制することもできる。
【0043】
図5は、昇降ユニット5の設置状態を示した平面図であり、図中では製造容器2を2点鎖線で図示するとともに、容器支持面4の範囲にハッチングを付している。
【0044】
図5に示すように、複数の昇降ユニット5は、製造容器2の直下、即ち、容器支持面4における製造容器2の下面2bとの対向範囲(図中の2点鎖線で囲んだ範囲)内の複数地点(例えば6地点)に点在した格好で配置されており、容器支持面4に所定深さで凹設された凹所である設置ピット9内にそれぞれ設置されている。
【0045】
例えば、各設置ピット9は、縦横0.4m程度の正方形状の開口部を有した凹所となっており、平面視横長長方形状の製造容器2の四隅に対応する4箇所と、その各長辺沿いの中央部分にそれぞれ1箇所ずつ、合計6箇所設けられており、製造容器2の全長方向(
図5の左右方向)に昇降ユニット5が等間隔ピッチで設置されている。
【0046】
各設置ピット9は、その底面が容器支持面4より一段低位置にあり、その内部にロードセル6を装備した昇降ユニット5が1基ずつ配設されている。設置ピット9の底面には、昇降ユニット5を設置するための上面が平坦面状をした反力盤10が形成されている。
【0047】
反力盤10は、製造容器2を空中支持する場合に、各昇降ユニット5に作用する垂直荷重を受けて、この垂直荷重に対する地盤からの反力を昇降ユニット5に対して伝えるものである。この反力盤10は、設置ピット9の元々の底面である地盤面上に敷設される耐圧盤又は鉄板等の剛性板により形成されている。
【0048】
なお、設置ピット9の底面となる地面が、昇降ユニット5に作用する製造容器2の荷重に対する支持力を強固な地盤面である場合には、かかる地盤面そのものを反力盤10として用いても良い。
【0049】
複数の昇降ユニット5は、製造容器2を容器支持面4から離間させて容器支持面4より上方の空中位置で空中支持するとともに、その空中にある製造容器2を下方へ下降させて容器支持面4へと載置し直すため、その製造容器2を昇降させるものである。各昇降ユニット5は、上記した設置ピット9にそれぞれ1基ずつ設置されている。
【0050】
図6は、各設置ピット9内に配設される昇降ユニット5を示した拡大縦断面図であって、
図1の各VI−VI線における縦断面を図示したものである。
図6に示すように、昇降ユニット5は、設置ピット9内に収容設置されており、主に、支持架台11と、油圧ジャッキ12とを備えている。
【0051】
昇降ユニット5の支持架台11は、設置ピット9内にて、容器支持面4上に載置された製造容器2の下面2bより低位置に設置されている。この支持架台11は、反力盤10の上面に載置される基礎板11aと、その基礎板11aの上方に対向配置され製造容器2の下面2bに対し接離される支持板11bと、その支持板11b及び基礎板11aの四隅同士を連結する複数本の支柱11cとを備えている。
【0052】
支持架台11の支持板11bは、製造容器2の下面2bに対向配置されており、油圧ジャッキ12のロッド12aにより押動されることで製造容器2の下面2bに対して当接可能かつ離間可能に形成されている。また、支持板11bは、複数本の支柱11cを介して、容器支持面4より低位置の退避位置(
図8(a)及び
図8(c)参照。以下同じ。)まで下降可能であって、容器支持面4より高位置の空中位置(
図8(b)参照。以下同じ。)まで上昇可能に形成されている。
【0053】
また、複数本の支柱11cは、支持板11bに上端が連設固定されている芯棒部11c1と、基礎板11aに下端が連設固定されて芯棒部11c1を内周部に摺動可能に挿嵌されている外筒部11c2とを備えており、かかる外筒内で芯棒部11c1が軸方向に摺動することで伸縮自在に形成されている。
【0054】
また、この支持架台11における基礎板11aと支持板11bとの間には、複数本の各支柱11cが短くなって支持板11bが退避位置にある状態にあっても、所定高さの内部スペース11dが確保されるようになっている。この内部スペース11dは、油圧ジャッキ12を配置収容する空間である。
【0055】
この構成された支持架台11によれば、内部スペース11d内に収容された油圧ジャッキ12によって、その支持板11bが製造容器2の下面2bに当接した状態で空中位置まで上昇することで、製造容器2を容器支持面4から離間した空中位置まで持ち上げる一方、その支持板11bが製造容器2の下面2bから分離離間した退避位置まで下降することで、製造容器2と昇降ユニット5との連結状態を切断して、製造容器2のみを容器支持面4に載置できる。
【0056】
油圧ジャッキ12は、油圧ポンプ等の油圧源(図示せず。)から供給される圧油を作動流体とした油圧式アクチュエータであり、支持架台11の支持板11bを上下方向に昇降するために出没されるロッド12aと、このロッド12aを出没させる油圧力を発生するシリンダ12bとを備えている。
【0057】
この油圧ジャッキ12は、シリンダ12bからロッド12aが出没する単動形式のものであり、圧油が油圧源からシリンダ12bへ供給されることによってロッド12aのシリンダ12b外への突出動作が行われる一方、シリンダ12b内に装填されたスプリングの弾性復元力によってロッド12aのシリンダ12b内への没入動作が行われる。
【0058】
かかる油圧ジャッキ12は、上記した支持架台11とともに設置ピット9内に設置されている。この油圧ジャッキ12は、支持板11bが退避位置にある状態で、ロッド12aの上端部が支持板11bから下方に離間した状態で対向配置され、かつ、容器支持面4に載置された製造容器2の下面2bよりも低位置に配置されている。
【0059】
また、油圧ジャッキ12は、そのシリンダ12bの基端部(下端部)が支持架台11の基礎板11a上に固定リブを介して固定されており、この基礎板11aから垂直姿勢で立設されている。また、このシリンダ12bの基端部には、油圧源からの圧油がホース13を介して供給される圧油ポート12cが設けられている。
【0060】
ロードセル6は、油圧ジャッキ12のロッド12aと支持架台11の支持板11bとの間に介在して配設されている。このロードセル6は、当該ロードセル6に作用する圧縮荷重(垂直荷重)に比例した電圧信号(以下「荷重信号」という。)を出力する圧縮型の荷重センサである。このロードセル6は、その上方が支持板11bによって掩覆されており、かかる支持板11bがロードセル6の掩蓋となって防護されている。
【0061】
このロードセル6は、固定治具14を介してロッド12aの上端部に本体部6aが取着固定されており、この本体部6aの上端中央に配設される接触子6bを備えている。接触子6bは、その球面状の表面が本体部6aの上端面から露出しており、かかる球面状の表面を介して支持板11bの下面に点接触するようになっている。
【0062】
ここで、ロードセル6は、支持架台11の支持板11bに比べて平面積が小さく形成されており、支持板11bの平面中央部に配置され、支持板11bの下方に全体が覆い隠された格好となっている。このように支持板11bがロードセル6の直上に覆設されることで、ロードセル6は、製造容器2の下面2bとは非接触状態となり、その接触子6bも製造容器2の下面2bから隔絶された状態となっている。
【0063】
また、ロードセル6の本体部6aは、円柱状の外形を有しており、その内部には、接触子6bに作用する圧縮荷重に比例した荷重信号を検出信号として出力する歪みゲージを備えた検出回路(図示せず。)が内蔵されている。なお、本実施例では、荷重検出手段としてロードセル6を用いて説明しているが、荷重検出手段は必ずしもこれに限定されるものではなく、他の圧電素子を用いた検出回路を内蔵したもの等であっても良い。
【0064】
また、ロードセル6の本体部6aには、接続端子6cが設けられており、この接続端子6cを介して、検出回路に駆動電力が供給されるとともに、検出回路から出力された荷重信号が外部へ出力されるようになっている。例えば、このロードセル6には、容量(定格測定荷重)が200kNである東京測器社製の圧縮型ロードセル6「CLP−200KNB」を使用しても良い。
【0065】
このロードセル6によれば、油圧ジャッキ12によって支持板11bが空中位置で支持された状態になると、製造容器2に内容物が未収容(空荷)である場合には、製造容器2の重量及び支持板11bの重量の合計と等価である垂直荷重が作用し、製造容器2に内容物が収容される場合には、製造容器2及びその内容物の重量並びに支持板11bの重量の合計と等価である垂直荷重が作用し、その作用した垂直荷重(圧縮荷重)に比例した荷重信号が出力される。
【0066】
図7は、改良土砂製造設備1の電気的構成を示したブロック図である。
図7に示すように、この改良土砂製造設備1は、上記した複数の昇降ユニット5にそれぞれ併設されるロードセル6を複数備えており、この複数のロードセル6の接続端子6cは、いずれも接続線15を介して加算回路7に複数設けられるロードセル用端子7aにそれぞれ接続されている。
【0067】
加算回路7は、複数のロードセル6から複数のロードセル用端子7aへと入力された複数の荷重信号の和(以下「荷重和信号」という。)を、出力電圧信号として測定器用端子7bへ出力する機器である。この加算回路7の測定器用端子7bには、接続線16を介して荷重測定器8の接続端子6cが接続されている。
【0068】
荷重測定器8は、加算回路7から出力される荷重和信号を増幅変換することによって、全てのロードセル6に作用した垂直荷重の合計値を測定する機器である。この荷重測定器8は、主に、加算回路7の測定器用端子7bに接続される接続端子8aと、その接続端子8aに入力される荷重和信号を増幅する増幅回路8bと、その増幅回路8bにより増幅された荷重和信号を垂直荷重の測定値に変換する演算処理を行うCPUなどの演算回路8cと、その演算回路8cにより演算処理された垂直荷重の測定値を表示するLCDなどの表示部8dとを備えている。
【0069】
なお、荷重測定器8には、例えば、東京測器社製のハンドヘルドデータロガー「TC−32K」を使用しても良い。
【0070】
次に、
図8を参照して、上記した改良土砂製造設備1を用いた改良土砂の製造方法について説明する。
図8は、改良土砂の製造方法中の各工程における改良土砂製造設備1の状態を図示した説明図である。
【0071】
図8に示すように、改良土砂製造設備1を用いた改良土砂の製造方法は、改良土砂の各種原料を製造容器2内に投入する投入工程(
図8(a)参照。)と、その投入工程の前後で製造容器2の重量を測定する計量工程(
図8(b)参照。)と、製造容器2内で原料を攪拌混合する混合工程(
図8(c)参照。)とを備えている。
【0072】
以下、改良土砂として、初期の流動性と経時後の硬化性とを兼ね備えた流動性改良土を製造する場合について説明する。
【0073】
ここで、流動性改良土は、主として、調整泥水と、原料土砂と、固化材とを混合調整することで製造される改良土砂であり、必要に応じて所定量の混和剤、細骨材などの添加剤が加えられもする。例えば、流動性改良土は、いわゆる流動化処理土を含むものである。
【0074】
ここで、調整泥水は、細粒土であるシルト、粘土などの泥土又はその他の泥状土(以下単に「泥状土」という。)を、水に混合調整した材料である。また、原料土砂は、粘土やシルトなどの細粒土に加えて、粗粒の砂礫を多く含んだ土質系の材料であり、砂礫質の建設発生土や土取場から採取した砂礫質土である。
【0075】
また、固化材は、セメント系固化材若しくは、石灰系固化材のいずれか若しくは、これらを複合したもの又は、これらのいずれかに更に必要な混和剤を添加したものである。
【0076】
図8(a)に示すように、投入工程では、製造容器2が容器支持面4上に載置され、かかる載置状態にある製造容器2の収容空間2a内へその上部開口から原料が投入される。このとき、全ての昇降ユニット5は待機状態となっている。
【0077】
ここで、待機状態とは、昇降ユニット5の油圧ジャッキ12への作動圧油の供給が停止され、油圧ジャッキ12のロッド12aが没入され、支持架台11の支持板11bが容器支持面4より低位置の退避位置にあり、支持板11bが製造容器2の下面2bから分離離間して、製造容器2と昇降ユニット5との連結状態が切断された状態をいう。
【0078】
このように待機状態では、支持板11bが製造容器2の下面2bから分離離間されることから、製造容器2から昇降ユニット5が物理的に分離され、かかる両者の連結状態が切断されるので、製造容器2内に各種原料を投入する際の衝撃力が昇降ユニット5に伝わることが防止される。よって、昇降ユニット5に併設されるロードセル6に過荷重することが回避され、ロードセル6の破損や故障が防止される。
【0079】
ここで、各種原料の投入工程は、人間による手動投入、又は、機械装置による機械投入のどちらでも良い。例えば、機械装置が用いる場合、調整泥水はポンプ装置により製造容器2へ投入することができ、原料土砂や固化材はコンベア装置や油圧ショベルなどの建設機械により製造容器2へ投入することができる。
【0080】
ところで、流動性改良土の原料のうち、調整泥水については、その原料となる水分と泥状土成分とを別々に製造容器2へ投入するようにしても良い。かかる場合、調整泥水の水分はポンプ装置により、調整泥水の泥状土はコンベア装置や油圧ショベルなどの建設機械により、それぞれ別々に製造容器2内へ投入され、製造容器2内で調整泥水の混合調整を行うこともできる。
【0081】
なお、調整泥水の水分と泥状土とを別々に投入してその混合調整を製造容器2内で行う場合は、その水分の重量を計量工程と、その泥状土の重量の計量工程とが、それぞれ別々に行うことで、調整泥水の水分と泥状土との配合調整も行える。もっとも、調整泥水の各成文を別々に製造容器2内へ投入する場合には、かかる各成分一つ一つを改良土砂の原料であるとみなしても良い。
【0082】
図8(b)に示すように、計量工程では、原料の種類ごとに、その原料の投入前後の荷重測定が行われる。具体的には、ある原料の投入後に荷重測定器8により測定された荷重測定値から、その原料の投入前に荷重測定器8により測定された荷重測定値を差し引いた値が、当該原料を投入した重量として算出される。そして、この原料の重量に基づいて、改良土砂の製造に必要となる当該原料の重量割合が調整される。
【0083】
また、この計量工程では、製造容器2の下面2bが容器支持面4から上方に離間されて、複数の昇降ユニット5によって空中位置で支持された状態となる。このとき、全ての昇降ユニット5は駆動状態となっている。
【0084】
ここで、駆動状態とは、昇降ユニット5の油圧ジャッキ12に油圧源から作動圧油が供給され、各油圧ジャッキ12のロッド12aが突出され、各支持架台11の支持板11bが容器支持面4より低位置にある退避位置から上昇して製造容器2の下面2bに当接(連結)され、製造容器2が容器支持面4より高位置の空中位置で静止支持された状態をいう。
【0085】
なお、複数の油圧ジャッキ12は、制御装置(図示せず。)によりそれぞれのロッド12aの突出量が調節されることによって、製造容器2を水平に保ちつつ上昇させるようになっている。
【0086】
このように駆動状態では、複数の昇降ユニット5によって製造容器2が容器支持面4から離間した空中位置に持ち上げられる結果、製造容器2の重量又は、製造容器2及びその内容物の重量は垂直荷重となって各昇降ユニット5に分散して作用することとなる。
【0087】
そこで、原料ごとに、その原料の製造容器2への投入前と投入後との各時点で、全ての昇降ユニット5に作用した垂直荷重を合計した測定値を荷重測定器8により測定し、投入後の測定値から投入前の測定値を減算した差分を求めれば、この差分値を、投入された原料の重量として算出することができるのである。
【0088】
なお、全てのロードセル6に作用した垂直荷重の合計した測定値は、上記した駆動状態において荷重測定器8の表示部8dに表示される数値に相当する。
【0089】
図8(c)に示すように、混合工程では、投入工程により投入された各種原料が製造容器2内で混合装置3により混合される。このとき、全ての昇降ユニット5は駆動状態から待機状態へと変更される。これによって、製造容器2は、投入工程の場合と同様に、その下面2bが容器支持面4の上に載置さて容器支持面4により面支持される。
【0090】
このように混合工程では全ての昇降ユニット5が待機状態となることから、製造容器2から昇降ユニット5が物理的に分離され、かかる両者の連結状態が切断されて、製造容器2内で各種原料を攪拌混合する際に混合装置3の一部が製造容器2に衝突しても、その衝撃力が昇降ユニット5に伝わることが防止される。よって、昇降ユニット5に併設されるロードセル6に過荷重することが回避され、ロードセル6の破損や故障が防止される。
【0091】
以上、具体的な実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0092】
例えば、容器支持面が形成される場所は屋外でも屋内であっても良い。また、容器支持面4を設けた場所に仮設の屋根を設けて屋内化しても良い。また、昇降ユニット5の基数は必ずしも6基に限定されるものではなく、油圧ジャッキ12の耐荷重に応じて基数を増減しても良い。
【0093】
例えば、上記実施例において、製造容器2の下面2b及び容器支持面4の形態は、
図4(a)に示すようにいずれも平坦面状であったが、これらの形態は必ずしもこれらに限定されるものではなく、
図4(b)から
図4(d)に示すような変形例を適用したものであっても良い。
【0094】
ここで、
図4(b)から
図4(d)は、
図4(a)に示した製造容器2又は容器支持面4の変形例を図示した縦断面図であり、
図4(b)は、凹凸面状の下面2bを有した製造容器2を、
図4(c)は、盛土高台で形成された容器支持面4を、
図4(d)は、製造容器2の下面2bの断面形状に適合した凹陥部4aを有した容器支持面4を、それぞれ図示したものである。
【0095】
例えば、製造容器2の下面2bは、
図4(b)に示すように、凹凸面状に形成されたものであっても良い。かかる場合、製造容器2の下面2bの凸部が容器支持面4に食込むようにめり込んで引っ掛かることで、容器支持面4上で水平方向にズレ動くことがより積極的に抑制される。
【0096】
また、容器支持面4は、
図4(c)に示すように、工事現場やその近隣地の一画に盛土で特設された高台の上面であって、当該高台の上面を転圧により締め固めたものであっても良い。かかる場合、当該高台が設けられた元々の地面を反力盤10としても良い。
【0097】
また、容器支持面4には、
図4(d)に示すように、製造容器2の底部を所定深さ分だけめり込んだように嵌合固定させるため、製造容器2の下面2bの断面形状に合致した凹陥部4aを凹設するようにしても良い。
【0098】
また、容器支持面4の上面を、地面上に敷設されて製造容器2の下面2bに面接触させられるゴム製等の滑り止め用のシート材で形成しても良い。