(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上部加熱器が、断熱材をさらに含み、当該断熱材が、断熱れんが、耐火物、複数の耐火物の混合物、断熱板、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの混合物を含む、請求項25に記載の機器。
上部加熱器が、外側ジャケットをさらに含み、断熱材が、加熱要素と上部加熱器の外側ジャケットとの間に少なくとも部分的に配置されている、請求項26に記載の機器。
【発明の概要】
【0005】
概要
現在のエネルギーの需要および供給の制限の観点から、本発明者は、冶金グレード(MG)シリコン(または、ソーラーグレードより多くの不純物を有する任意の他のシリコン)をソーラーグレードシリコンへと精製するための、よりコスト効率の高い方法の必要性を認識している。この方法は、サファイアのような他の材料に使用され得る。
【0006】
様々な態様において、本発明は、方向性凝固のための機器を提供する。機器は、方向性凝固るつぼを含む。方向性凝固るつぼは、底部を含む。機器はまた、冷却プラットホームも含む。冷却プラットホームは、第一の面を含む。第一の面は、方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成された開口部を規定する。冷却プラットホームはまた、冷却用ダクトも含む。冷却用ダクトは、方向性凝固るつぼの底部の一部に強制空気の一部を供給するように構成されている。
【0007】
1つの例において、方向性凝固るつぼの複数の側壁は、加熱面(hot face)耐火物を含む。
【0008】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部は、伝導性耐火物を含む。
【0009】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部の一部は、強制空気によって1時間あたり約10%の比率で熱を消散する。
【0010】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部の少なくとも一部は、熱を消散するように構成された複数の伝熱フィンを含む。
【0011】
1つの例において、複数の伝熱フィンの少なくとも一部は、方向性凝固るつぼの底部に沿って外向きに延伸している。
【0012】
1つの例において、伝熱フィンは、平棒を含む。
【0013】
1つの例において、伝熱フィンは、ステンレス鋼を含む。
【0014】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部の少なくとも一部は、開口部内に位置するように構成された凸面を含む。
【0015】
1つの例において、開口部は、方向性凝固るつぼの底部の実質的に中心を受け入れる。
【0016】
1つの例において、開口部は、るつぼを冷却プラットホーム上に実質的に水平に置くことによって、方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成されている。
【0017】
1つの例において、開口部は、底部の表面積の約25%を受け入れるように構成されている。
【0018】
1つの例において、開口部は、円形である。
【0019】
1つの例において、開口部は、長方形である。
【0020】
1つの例において、第一の面は、冷却用ダクトの長方形断面を規定するように第二の面と分離されている。
【0021】
1つの例において、冷却用ダクトは、第一の面と共にノズルを規定するように構成された第二の面をさらに含み、ノズルは、開口部によって受け入れられた方向性凝固るつぼの底部の一部に強制空気の一部を供給する。
【0022】
1つの例において、冷却用ダクトは、方向性凝固るつぼの底部の一部に実質的に直角に強制空気の一部を供給するように構成されている。
【0023】
1つの例において、冷却用ダクトは、冷却用ダクトに強制空気を供給するように構成された冷却用ダクト吸入口を含む。
【0024】
1つの例において、冷却用ダクト吸入口は、ファンからの強制空気を受け入れるように構成された少なくとも1つの強制空気吸入口を含む。
【0025】
1つの例において、冷却用ダクトは、方向性凝固るつぼの底部の一部に実質的に均等なパターンで強制空気の一部を供給するように構成されている。
【0026】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部の一部に供給される強制空気の一部は、乱流である。
【0027】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部の一部に供給される強制空気の一部の速度は、少なくとも約16メートル/秒(m/s)である。
【0028】
1つの例において、方向性凝固るつぼの底部の一部に供給される強制空気の一部の体積速度は、少なくとも約5000立方フィート/分である。
【0029】
1つの例において、冷却用ダクト吸入口によって受け入れられる強制空気は、およそ周囲温度である。
【0030】
1つの例において、機器は、少なくとも1つの加熱部材を含む上部加熱器を含むことができ、加熱部材は、加熱要素または誘導加熱器を含む。
【0031】
1つの例において、上部加熱器は、断熱材をさらに含み、断熱材は、断熱れんが、耐火物、耐火物の混合物、断熱板、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの混合物を含む。
【0032】
1つの例において、上部加熱器は、外側ジャケットをさらに含み、断熱材は、加熱要素と上部加熱器の外側ジャケットとの間に少なくとも部分的に配置されている。
【0033】
1つの例において、上部加熱器の外側ジャケットは、ステンレス鋼を含む。
【0034】
1つの例において、方向性凝固るつぼは、外側ジャケットをさらに含み、外側ジャケットは、強制空気の一部を受け入れる方向性凝固るつぼの底部の一部を規定する。
【0035】
様々な態様において、本発明は、方向性凝固のための方法を提供する。当該方法は、第一のシリコンを提供または受け入れる工程および底部を含む方向性凝固るつぼを提供または受け入れる工程を含む。当該方法は、冷却プラットホームを提供または受け入れる工程を含む。冷却プラットホームは、方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成された開口部を規定する第一の面と、方向性凝固るつぼの底部の一部に強制空気を供給するように構成された冷却用ダクトとを含む。当該方法は、方向性凝固るつぼの一部を強制空気で冷却する工程をさらに含む。当該方法は、方向性凝固るつぼ中で第一のシリコンを方向性凝固して、第二のシリコンを提供する工程を含む。
【0036】
1つの例において、当該方法は、加熱要素および誘導加熱器から選択される加熱部材を方向性凝固るつぼの上方に位置付けることを含む、加熱器を方向性凝固るつぼの上方に位置付ける工程をさらに含む。
【0037】
1つの例において、受け入れる工程は、ファンからの強制空気を受け入れることを含む。
【0038】
1つの例において、当該方法は、方向性凝固るつぼの一部に乱流で強制空気を供給する工程をさらに含む。
【0039】
1つの例において、当該方法は、方向性凝固るつぼの一部に直角に強制空気を供給する工程をさらに含む。
【0040】
1つの例において、当該方法は、方向性凝固るつぼの一部の冷却を停止することを含む、第一のシリコンの約80%が第二のシリコンに
方向性凝固したときに第一のシリコンの方向性凝固を実質的に停止する工程をさらに含む。
【0041】
1つの例において、当該方法は、方向性凝固るつぼまたは鋳型の熱プロファイルを制御して第一のシリコンの結晶成長速度を調節する工程をさらに含む。
【0042】
1つの例において、結晶成長速度を調節する工程は、方向性凝固るつぼの一部の冷却を調節する工程を含む。
【0043】
様々な態様において、本発明は、方向性凝固のための機器を提供する。機器は、底部を含む方向性凝固るつぼを含む。当該機器は、冷却プラットホームをさらに含む。冷却プラットホームは、方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成された開口部を規定する第一の面をさらに含む。方向性凝固るつぼの底部は、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせと、熱を消散するように構成された複数の水路(vein)とを含む。冷却プラットホームは、強制空気を受け入れるように構成された第一の面の下の冷却用ダクト吸入口をさらに含む。冷却用ダクト吸入口は、方向性凝固るつぼの底部の一部に乱流で強制空気を供給するように構成された冷却用ダクトを含む。機器は、加熱要素または誘導加熱器を含む加熱部材を含む上部加熱器をさらに含み、加熱要素は、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む。
【0044】
本発明は、以前のシリコンの方向性凝固のための機器および方法に勝る利点を提供する。1つの例において、本発明は、よりコスト効率の高い冷却機器によって、より経済的なシリコンの精製方法を提供することができる。例えば、本発明は、冷媒として空気を使用することによる、経済的により効率のよいシリコンの方向性凝固方法を提供することができる。加えて、本発明のいくつかの態様において存在する上部加熱器は、シリコンを加熱するための、シリコンの温度を維持するための、シリコンの冷却率を制御するための、またはそれらの組み合わせのための簡便で効率的な方法を提供し、これにより温度勾配に対する正確な制御および対応するシリコンの方向性凝固が可能となる。シリコンの方向性凝固の制御の改善は、より純粋な生成物、より均質な生成物、またはそれらの組み合わせをもたらし得る。本発明の機器および方法を使用して、特に、太陽電池で使用するためのシリコン結晶を作製することができる。
【0045】
この概要は、本開示の主題の概略を提供することを意図する。それは、本発明の排他的または包括的な説明を提供することを意図していない。詳細な説明は、本開示に関するさらなる情報を提供するために含められる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
ここで、開示される主題のある特定の実施例について詳細に言及するが、そのいくつかについては添付の図面に示す。開示される主題については、添付の図面と併せて主に説明するが、そのような説明は、開示される主題がそれらの図面に限定されることを意図するものではないことを理解すべきである。むしろ、開示される主題は、特許請求の範囲によって定義されるような、ここで開示される本主題の範囲内に包含され得る代替物、変形例、および等価物のすべてを網羅することが意図される。
【0049】
本明細書において、「1つの態様」、「ある態様」、「例示的態様」等についての言及は、記載される態様が特定の特徴、構造、または特性を包含することができるが、すべての態様が必ずしも当該特定の特徴、構造、または特性を包含する必要がないことを意味する。また、そのような語句は、必ずしも同じ態様を言及しない。さらに、特定の特徴、構造、または特性がある態様と関連して記載される場合、明確に記載されているか否かに関わらず、他の態様と関連して、そのような特徴、構造、または特性に影響が及ぶことは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0050】
本明細書において、特に指定のない限り、「1つ(a)」または「1つ(an)」という用語は、1つまたは複数を含むように使用され、「または(or)」という用語は、非排他的な「または(or)」を指すように使用される。加えて、本明細書において用いられる語句または専門用語は、特に規定しない限り、単に説明を目的としたものであり限定するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書において言及されるすべての刊行物、特許および特許文献は、あたかもそれらが個別に参照により組み入れられるかのように、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書と参照によりそのように組み入れられた文献との間で使用法が矛盾する場合には、組み入れられた参考文献における使用法は、本明細書の使用法に対して補足されるものと考慮されるべきであり、相容れない矛盾に対しては、本明細書における使用法が優先される。
【0051】
本明細書に記載の製造方法において、工程は、時間または操作上の順序が明確に記載される場合を除き、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順番で実施することができる。さらに、特定の工程は、特許請求の文言でこれらが個別に実施されることを明確に記述していなければ、同時に実施することができる。例えば、特許請求されるXを行う工程および特許請求されるYを行う工程は、単一の操作内で同時に実施することができ、その結果のプロセスは、特許請求されるプロセスの文言上の範囲内に含まれる。
【0052】
さらに、特定の工程は、特許請求の文言でこれらが個別に実施されることを明確に記述していなければ、同時に実施することができる。例えば、特許請求されるXを行う工程および特許請求されるYを行う工程は、単一の操作内で同時に実施することができ、その結果のプロセスは、特許請求されるプロセスの文言上の範囲内に含まれる。
【0053】
本発明は、方向性凝固のための機器および方法に関する。当該機器は、シリコンの方向性凝固の間の温度勾配の制御に有利に使用され得る。本発明の機器および方法を使用して、太陽電池で使用するためのシリコン結晶を作製することができる。
【0054】
本発明の態様において、温度勾配を制御することによって、高度に制御された方向性凝固を達成することができる。本発明において、方向性結晶化は、シリコン中でより均一な水平熱場を伴って、概ね底部から上部へと進行し、従って、所望の温度勾配は、底部でより低い温度を有し、上部でより高い温度を有する。温度勾配に対する高度な制御および対応する方向性結晶化は、有利には、より効率的な方向性凝固および良好な析出を可能にし、結果としてより高純度のシリコンを生じる。
【0055】
定義
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他のことを示していない限り、複数形の指示対象を含むことができる。
【0056】
本明細書において使用される場合、いくつかの例において、「第一」、「第二」、「第三」等の用語は、「母液」、「結晶」、「溶融混合物」、「混合物」、「すすぎ液」、「溶融シリコン」等の他の用語に適用されるとき、単に工程間で区別する一般用語として使用され、明確に他のことを示していない限り、それ自体が工程の優先度または工程の順番を示すものではない。例えば、いくつかの例において、「第三の母液」は、一つの要素であり得るが、一方で、第一または第二の母液がその例の要素でない場合もあり得る。他の例では、第一、第二および第三の母液はすべて、1つの例の要素であり得る。
【0057】
本明細書において使用される場合、「導管」は、材料を貫通する管形状の穴を指すことができ、この場合、当該材料は、必ずしも管形状である必要はない。例えば、一塊の材料を貫通する穴が導管であり得る。穴は、直径よりも大きい長さの穴であり得る。導管は、管(パイプを含む)を材料中に内包することによって形成され得る。
【0058】
本明細書において使用される場合、「接触させる」は、物質を、触れさせる、接触させる、または密接させる作用を指すことができる。
【0059】
本明細書において使用される場合、「るつぼ」は、溶融材料を保持することができる容器または鋳型、例えば、材料が溶融して溶融物となるときに当該材料を保持することができる容器、溶融した材料を受け入れて、当該材料をその溶融状態で維持することができる容器、および溶融材料が凝固または結晶化するときに当該溶融材料を保持することができる容器、またはそれらの組み合わせを指すことができる。
【0060】
本明細書において使用される場合、「結晶化フロント」は、固液界面を指すことができる。
【0061】
本明細書において使用される場合、「方向性凝固」または「方向性凝固する」等は、概ね一つの位置で開始し、概ね直線方向(例えば、表面に対して垂直、水平または直角)に進行し、概ね別の位置で終了する、材料の結晶化を指すことができる。この定義で使用される場合、位置は、点、面または湾曲した面(環形状または鉢形状を含む)であり得る。
【0062】
本明細書において使用される場合、「ファン」は、空気を動かすことができる任意の装置または機器を指すことができる。
【0063】
本明細書において使用される場合、「空気」は、空気、水蒸気または他の気体の任意の混合物を指すことができる。
【0064】
本明細書において使用される場合、「フラックス」は、例えばドロス内の不純物の除去を助けるために溶融金属浴に加えられる化合物を指すことができる。フラックス材料を溶融金属浴に加えることによって、フラックス材料は溶融金属浴中で1つまたは複数の材料または化合物と反応してスラグを形成するが、これは除去することができる。
【0065】
本明細書において使用される場合、「加熱炉」は、材料を加熱するための区画を有する、機械、装置、機器または他の構造物を指すことができる。
【0066】
本明細書において使用される場合、「加熱要素」は、熱を生成する1つの材料を指すことができる。いくつかの例において、加熱要素は、電気がその材料を通って流れることができるときに熱を生成し得る。
【0067】
本明細書において使用される場合、「誘導加熱器」は、材料または加熱器中での電流の誘導を介してその材料に熱を加える加熱器を指すことができる。誘導作用は、材料に近接する金属コイルに交流電流を流すことによって発生し得る。
【0068】
本明細書において使用される場合、「インゴット」は、鋳造された材料の塊を指すことができる。いくつかの例では、材料の形状によって、インゴットを比較的容易に輸送することが可能となる。例えば、融点を超えて加熱され、棒またはブロックまで凝固された金属をインゴットと呼ぶ。
【0069】
本明細書において使用される場合、「ライニング」は、るつぼの表面の少なくとも一部に塗布される材料の層を指すことができる。ライニングは、るつぼの内面とるつぼの内部に含有される溶融材料との間のバリアとして作用し得る。
【0070】
本明細書において使用される場合、「溶融(melt)」または「溶融する(melting)」は、十分な熱に曝露されたとき、固体から液体への物質変化を指すことができる。「溶融」という用語はまた、この相転移を受けて溶融液体になった材料を指すこともできる。
【0071】
本明細書において使用される場合、「溶融された」は、溶融された物質を指すことができ、この場合、溶融することは、固体物質が液体に変わる温度(融点と呼ばれる)まで固体物質を加熱するプロセスである。
【0072】
本明細書において使用される場合、「単結晶シリコン」は、欠陥または不純物がほとんどない単一でかつ連続した結晶格子構造を有するシリコンを指すことができる。
【0073】
本明細書において使用される場合、「ポリ結晶シリコン(polycrystalline silicon)」または「ポリ-Si」または「多結晶シリコン(multicrystalline silicon)」は、複数の単結晶シリコン結晶を含む材料を指すことができる。
【0074】
本明細書において使用される場合、「精製する」は、異物または汚染物質からの対象の化学物質の物理的析出または化学的分離を指すことができる。
【0075】
本明細書において使用される場合、「耐火性材料」は、高温、特にシリコンの溶融および方向性凝固に関わる高温で、化学的および物理的に安定な材料を指すことができる。耐火性材料の例としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイトまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
本明細書において使用される場合、「1つの側部(side)」または「複数の側部(sides)」は、1つまたは複数の側部を指すことができ、かつ 他のことを示していない限り、物体の1つまたは複数の上部または底部と対比される、物体の1つの側部または複数の側部を指す。
【0077】
本明細書において使用される場合、「シリコン」は、化学記号Siを有する元素を指し、かつ任意の純度のSiを指すことができるが、概して少なくとも50重量%純粋、75重量%純粋、85重量%純粋、90重量%純粋、95重量%純粋、または99重量%以上純粋であるシリコンを指す。
【0078】
本明細書において使用される場合、「分離する」は、ある物質を別のものから取り出す(例えば、混合物から固体または液体を取り出す)プロセスを指すことができる。当該プロセスは、当業者に公知の任意の適切な技術、例えば、混合物をデカントすること、混合物から1つまたは複数の液体をすくい取ること(skimming)、混合物を遠心すること、混合物から固体を濾過すること、またはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0079】
本明細書において使用される場合、「管」は、空洞のパイプ形状の材料を指すことができる。管は、その外部形状とほぼ一致する内部形状を有し得る。管の内部形状は、円形、方形、または任意の数の側部を有する形状(非対称形状を含む)を含む、任意の適切な形状であり得る。
【0080】
方向性凝固のためのるつぼ
図1は、本開示に係るるつぼ10(例えば、るつぼ)の1つの例を示す。るつぼ10は、シリコンの方向性凝固に使用され得る。例えば、るつぼ10は、加熱炉内でシリコンを溶融するためのるつぼとして使用され得る。1つの例において、材料は、るつぼ10に注ぐ前に加熱炉中で溶融することができる。るつぼ10はまた、方向性凝固が行われる器として使用され得、これはまた、方向性凝固るつぼと呼ぶこともできる。るつぼ10は、シリコンの溶融または溶融シリコンの方向性凝固、またはその両方を提供するように構成されている、少なくとも1つの耐火性材料12から形成され得る。
【0081】
るつぼ10は、底部14と底部14から上方へ延伸している1つまたは複数の側部16を有し得る。るつぼ10は、円形または概ね円形の断面を有し得る厚肉の大きい鉢と類似する形状であり得る。るつぼ10は、特に限定されないが、正方形、または六角形、八角形、五角形、あるいは任意の適切な数の端部を備えた任意の適切な形状を含む、他の断面形状を有し得る。
【0082】
底部14および側部16は、溶融材料、例えば溶融シリコン2を受け入れることができるるつぼ10の内部を規定する。内部はまた、溶融して溶融材料を形成し得る固体材料、例えば固体シリコンを受け入れることができる(図示せず)。耐火性材料12は、内部18と面する内面20を含むことができる。
【0083】
耐火性材料12は、任意の適切な耐火性材料、特に、シリコンの溶融または方向性凝固用のるつぼに適した耐火性材料であり得る。耐火性材料12として使用され得る材料の例としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム(Al
2O
3、アルミナとも呼ばれる)、酸化ケイ素(例えば、SiO
2、シリカとも呼ばれる)、酸化マグネシウム(MgO、マグネシアとも呼ばれる)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2、ジルコニアとも呼ばれる)、酸化クロム(III)(Cr
2O
3、クロミアとも呼ばれる)、シリコンカーバイド(SiC)、グラファイトまたはそれらの組み合わせが挙げられる。るつぼ10は、1つの耐火性材料または2つ以上の耐火性材料を含むことができる。るつぼ10に含まれる1つまたは複数の耐火性材料は混合してもよく、またはこれらはるつぼ10の別々の部位に位置してもよく、またはそれらを組み合わせてもよい。1つまたは複数の耐火性材料12は、層状に配置され得る。るつぼ10は、1つまたは複数の耐火性材料12の2つ以上の層を含むことができる。るつぼ10は、1つまたは複数の耐火性材料12の1つの層を含むことができる。るつぼ10の側部16は、底部14と異なる耐火性材料から形成され得る。側部16は、るつぼ10の底部14と比較して、異なる厚さであってよく、異なる組成の材料を含んでよく、異なる量の材料を含んでよく、またはそれらの組み合わせであってよい。1つの例において、側部16は、加熱面耐火物、例えば酸化アルミニウムを含むことができる。るつぼ10の底部14は、伝導性(例えば、熱伝導性)材料、例えば、シリコンカーバイド、グラファイト、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅またはそれらの組み合わせを含むことができる。1つの例において、側部16は、酸化アルミニウム(アルミナ)耐火性材料を含み、底部14は、リン結合剤と共にシリコンカーバイド耐火物を含む。
【0084】
不純物は、耐火性材料12から溶融シリコン2へと移行し得るので、それによっていくつかの不純物の不純物レベルは、光起電装置でシリコンを使用できる許容範囲よりも高くなる恐れがある。これは、シリコンを精製する方向性凝固段階の間に特に問題となり得る。その理由は、方向性凝固がシリコンの最終精製工程の1つであり得るので、方向性凝固に使用されるるつぼ(例えば、るつぼ10)中のシリコンが、プロセス全体において最も純粋なシリコンである場合があるからである。例えば、ホウ素、鉄、炭素、またはリン不純物が耐火性材料12中に存在し得る。ホウ素、鉄またはリンが極めて小さいレベルであっても、溶融シリコン2との近接およびその温度のために耐火性材料12が被る高温では、ホウ素、鉄、またはリンは、耐火性材料12の外へとかつ溶融シリコン2中へと分散され得る。また、耐火性材料12がアルミナ(Al
2O
3)で作製されるかまたはそれを含有する場合、アルミナは、溶融シリコン2の存在下で還元反応を受けて、溶融シリコン2を汚染し得る金属アルミニウム(Al)を形成し得る。
【0085】
例えば、るつぼ10の耐火性材料12から溶融シリコン2へのホウ素(B)、リン(P)、鉄(Fe)、炭素(C)、およびアルミニウム(Al)等の不純物の移動を介する、あるいは耐火性材料12から溶融シリコン2への不純物または汚染物の反応を介するような溶融シリコン2の汚染を防止または低減するように、ライニング30が構成され得る。ライニング30は、耐火性材料12内に存在し得る汚染物または不純物に対するバリアを提供することができる。
【0086】
1つの例において、るつぼ10は、外側ジャケット22を含むことができる。外側ジャケット22は、断熱層および方向性凝固るつぼを取り囲むための任意の適切な材料を含むことができる。外側ジャケット22は、1つまたは複数の材料を含むことができる。1つの態様において、外側ジャケット22は、鋼を含む。別の態様において、外側ジャケット22は、鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物、またはそれらの組み合わせを含む。外側ジャケット22の異なる部分は、異なる材料、異なる厚さの材料、異なる組成の材料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。外側ジャケット22は、るつぼ10の底部14または側部16を包含することができる。1つの例において、外側ジャケット22は、底部の一部の熱の放散を増大させるために、ジャケット22で覆われていない底部の一部(例えば、
図2、214)を規定する。そのような例において、外側ジャケット22は、側部16を断熱することができるが、底部14の一部は断熱できない。
【0087】
1つの例において、るつぼ10は、約1メートルトン以上の溶融シリコンを保持することができる。1つの例において、当該るつぼは、約1.4メートルトン以上の溶融シリコンを保持することができる。1つの例において、るつぼは、約2.1メートルトン以上の溶融シリコンを保持することができる。1つの例において、るつぼは、少なくとも約1、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.1、2.5、3、3.5、4、4.5、または5メートルトン以上のシリコン溶融物を保持することができる。
【0088】
方向性凝固機器
図2は、本開示に係る方向性凝固機器210の1つの例を示す。機器210は、シリコンまたは任意の他の材料の方向性凝固に使用され得る。機器210は、本明細書に記載するような、るつぼ210、例えば、
図1のるつぼ10を含むことができる。るつぼ210は、冷却プラットホーム216の最上部に置くかまたは冷却プラットホーム216上に位置付けることができる。冷却プラットホーム216は、多数の異なる構成材料(金属、例えばステンレス鋼、コンクリート、鉄筋等を含む)を含むことができる。
【0089】
冷却プラットホーム216は、開口部222を規定する第一の面220を含むことができる。開口部222は、るつぼ212の重量の少なくとも一部に耐えることができるように補強材料を含むことができる。開口部222は、冷却用ダクト218に曝露させるために、中心に方向性凝固るつぼ210の底部の一部214を受け入れるように構成され得る。底部の一部214は、るつぼ210の凸状の外面を含むことができ、それによって底部の一部214を開口部222中に位置させるか、または第一の面220の下に取り付けることができる。1つの例において、開口部222は、底部の溶融シリコンの表面領域と接触している表面の約25%を受け入れることができる。底部の一部214は、方向性凝固るつぼ212の底部の中心を実質的に含むことができる。例えば、底部の中心は、方向性凝固るつぼ212の底部の長手中心または横手中心が開口部214によって受け入れられるように底部の一部を含むことができる。1つの例において、方向性凝固るつぼ212の底部の一部214は、るつぼを冷却プラットホーム216上に実質的に水平に置くことができるように受け入れられ得る。実質的に水平とは、方向性凝固るつぼ212の最上部が前後または左右に水平であることを含むことができる。1つの例において、水平とは、溶融シリコンの表面が水平であるか、または結晶化フロントが水平であることを含むことができる。開口部222は、円形、長方形、六角形等を含む任意の形状であり得る。
【0090】
冷却用ダクト218は、流体、例えば空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の通路または導管を規定するように、第二の面230と分離された第一の面220によって規定され得る。1つの例において、冷却プラットホーム210は、冷却用ダクト218を位置付けるか、または支持するための多数の支持脚228を含むことができる。冷却用ダクト218は、流体の輸送に適した円形断面、長方形断面、または任意の他の断面を含むことができる。1つの例において、第二の面230は、第一の面220に対して、方向性凝固るつぼ212の底部の一部214に、強制空気流、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の一部を供給するノズルを規定するように構成され得る。冷却用ダクト218は、方向性凝固るつぼ212の底部の一部214に実質的に直角(すなわち、Y方向)に強制空気流、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の一部を供給するように構成され得る。そのような例は、特に、改善された温度制御、改善された熱放散を提供することができる。1つの例において、冷却用ダクト218は、方向性凝固212の底部の一部214に、実質的に均等なパターンで、強制空気流、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の一部を供給するように構成され得る。このパターンは、他の部分よりも実質的により多くのまたはより少ない流れを受ける一部214の面積がわずかであるかまたは全くないような、空気流、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体のパターンを含むことができる。例えば、冷却プラットホーム210は、均一な流速場がY方向で鋳型214の底部と接触するように設計され得る。
【0091】
冷却用ダクト218は、ファンからの強制空気を受け入れるように構成された冷却用ダクト吸入口224を含むことができる。空気は、任意の気体、例えば、周囲空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体を含むことができ、これらは、るつぼからの熱放散のための媒体を提供するのに適した比熱容量を有する。1つの例において、ファンは、冷却用ダクト吸入口224によって受け入れられるように導管226を通って空気を押し出すことができる。1つまたは複数のファンは、強制空気を1つまたは複数の導管、例えば226を通って冷却用ダクト吸入口224へ供給する。
【0092】
1つの例において、方向性凝固るつぼ212の底部の一部214に供給される強制空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の一部は、乱流であり得る。例えば、強制空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の一部は、約4000以上のレイノルズ数(Re)を有し得る。方向性凝固るつぼ212の底部の一部214に供給される強制空気の一部は、少なくとも約16m/sのy方向の平均速度を有し得る。
【0093】
図3は、冷却プラットホーム316の1つの例を示す。冷却プラットホーム316は、本明細書に記載するように、開口部322を規定するように構成された第一の面320を含むことができる。第一の面322および第二の面330を含む冷却用ダクト318は、支持脚328によって支持され得る。図示するように、冷却プラットホーム316は、3つの導管226を含むことができるが、態様はそれに限定されない。各導管226は、強制空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体をファンによって押し出すことで供給することができる。導管226は、冷却用ダクト吸入口に強制空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体を供給することができ、これによって、強制空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体を冷却用ダクト318に供給することができる。
【0094】
概略
図4は、底部るつぼ420の上部に位置付けられた上部加熱器部を含む、シリコンの方向性凝固のための機器400のある特定の態様を示す。上部加熱器は、垂直構造部材403の穴402を介して上部加熱器410に連結された鎖401を含む。鎖401は、添ロープを形成し、これによってクレーンを使用して上部加熱器を移動させることができる。当該機器はまた、例えば、機器の底部半体上に上部加熱器を残しながら、機器の底部半体をシザーリフト上に置くことによって移動させることができる。当該機器は、任意の適切な様式で移動させることができる。1つの例において、当該機器は、調節補助機能付きの油圧または機械システムによって移動させることができる。垂直構造部材403は、上部加熱器410の外側ジャケットの下端から上部加熱器410のステンレス鋼製の外側ジャケットの上端へと垂直に延伸している。垂直構造部材は、上部加熱器の外側ジャケットの外側に位置しており、かつ上部加熱器の中心から離れる方向と並行に当該ジャケットから延伸している。上部加熱器はまた、上部加熱器の外側ジャケットの外側に位置し、かつ上部加熱器の中心から離れる方向と並行である方向に当該ジャケットから延伸している、水平構造部材404を含む。上部加熱器はまた、上部加熱器の外側ジャケット一部である縁部405を含む。縁部は、上部加熱器の外側ジャケットから離れるように突き出ている。縁部は、上部加熱器の断熱材を任意の適切な程度で覆うように上部加熱器の中心軸に向かって内向きに延伸していてもよい。代替的に、縁部は、上部加熱器の外側ジャケットの下端を覆うのに十分なだけ内向きに延伸していてもよい。スクリーンボックス406は、上部加熱器の外側ジャケットから突き出ている加熱部材の端部を取り囲み、これらの部材の端部におよびその近傍に存在し得る熱および電気から使用者を保護する。
【0095】
図4に示される特定の態様において、底部るつぼ420からの断熱材411は、上部加熱器410と底部るつぼ420との間にある。底部るつぼの1つまたは複数の断熱層の少なくとも一部は、底部るつぼの外側ジャケットの高さより上に延伸している。底部るつぼは、垂直構造部材412を含む。垂直構造部材412は、底部るつぼの外側ジャケットの外面上にあり、底部るつぼの中心から離れる方向と並行に外側ジャケットから離れるように延伸している。垂直構造部材412は、外側ジャケットの下端から外側ジャケットの上端へと垂直に延伸している。底部るつぼはまた、水平構造部材413を含む。水平構造部材413は、底部るつぼの外側ジャケットの外面上にあり、底部るつぼの中心から離れる方向と並行に外側ジャケットから離れるように延伸している。水平構造部材413は、底部るつぼの周囲を囲むように水平に延伸している。底部るつぼはまた、底部構造部材414および415も含む。底部構造部材414および415は、底部るつぼの中心から離れる方向と並行に外側ジャケットから離れるように延伸している。底部構造部材は、底部るつぼの底部を横断して延伸している。底部構造部材415のいくつかは、これらが、フォークリフトまたは他の機械が機器をリフトするかまたは他の方法で物理的に操作することを可能にするように形作られる。
【0096】
方向性凝固るつぼの底部
図5は、本開示に係る方向性凝固るつぼの底部536のある態様を示す。底部536は、本明細書に記載するように、るつぼ、例えば、るつぼ10または210に含まれ得る。底部536は、底部536を部分的に横断して延伸している構造部材532を含むことができる。構造部材532は、帯、棒、管、または機器に構造支柱を加えるための任意の適切な構造体を含むことができる。構造部材532は、溶接、蝋付けまたは任意の他の適切な方法によって、るつぼ10の外側ジャケット22に取り付けることができる。外側ジャケット10が底部の一部を覆わない1つの例において、
図1と関連させて記載すると、構造部材は、るつぼの底部14にまたは耐火物12に取り付けられたいくつかの他の支持材料に直接取り付けることができる。構造部材532は、機器の輸送および物理的操作を容易にするように適合させることができる。例えば、構造部材532は、特定のフォークリフトまたは他のリフト機が、機器をリフトまたは移動させるか、または他の方法で物理的に操作することができるような、十分なサイズ、強度、方向、間隔またはそれらの組み合わせの管であり得る。
【0097】
底部536は、空冷または熱の放散を容易にするための、るつぼの底部14または外側ジャケットに取り付けられた複数の伝熱フィン534を含むことができる。伝熱フィンは、底部536に沿って外向きに延伸していてもよい。フィンは、底部536にわたって送風することによって、冷却フィンの冷却効果を高めることができる。任意の適切な数のフィンを使用し得る。複数のフィン534は機器の底部からの熱を吸収することができ、かつ空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体による熱の除去を可能にし、それは、フィンの表面積によって促進される。例えば、フィンは、平棒、例えば銅、鋳鉄、鋼、またはステンレス鋼で作製され得る。
【0098】
上部加熱器
様々な態様において、上部加熱器を、るつぼ、例えば、上述のるつぼ10、212、420の上部に含めかつ位置付けて、方向性凝固の間にるつぼ内の溶融シリコンに熱を加えることもできる。上部加熱器は、るつぼの断面形状とほぼ一致する断面形状を有し得る。上部加熱器によるるつぼの加熱は、るつぼ中の溶融シリコンの温度制御を可能にする。上部加熱器はまた、加熱することなくるつぼの上部に位置付けることができ、それによって上部加熱器は、るつぼからの熱の放出を制御するための断熱体として機能することができる。るつぼの温度または熱の放出を制御することによって、所望の温度勾配を提供することができ、より高度に制御された方向性凝固を可能にする。最終的に、温度勾配の制御は、より効果的な方向性凝固を可能にし、結果として得られるシリコンの純度が最大化される。
【0099】
図6は、上部加熱器600の1つの例を示す。上部加熱器600は、1つまたは複数の加熱部材602を含むことができる。1つまたは複数の加熱部材602の各々は、独立して、任意の適切な材料を含むことができる。例えば、1つまたは複数の加熱部材602の各々は、独立して、加熱要素を含むことができ、加熱要素は、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、銅、またはそれらの組み合わせを含むことができ、そして、1つまたは複数の加熱部材602の各々は、代替的に、独立して誘導加熱器を含むことができる。1つの例において、1つまたは複数の加熱部材は、ほぼ同じ高さに位置付けられる。別の例では、1つまたは複数の加熱部材は、異なる高さに位置付けられる。
【0100】
1つの例において、加熱部材602は、ある特定の利点を有し得るシリコンカーバイドを含むことができる。例えば、シリコンカーバイド加熱部材602は、酸素の存在下、高温で腐食する可能性が低い。腐食性材料を含む加熱要素に対する酸素腐食は、真空チャンバーを使用することによって低減させることができるが、シリコンカーバイド加熱部材602は、真空チャンバーなしで腐食を回避することができる。加えて、シリコンカーバイド加熱部材602は、水冷リード線なしで使用することができる。1つの例において、加熱要素を、真空チャンバー内で使用するか、水冷リード線と共に使用するか、または両方と共に使用する。1つの例において、加熱部材602を、真空チャンバーを用いずに、水冷リード線を用いずに、またはその両方とも用いずに使用する。
【0101】
1つの例において、1つまたは複数の加熱部材602は、誘導加熱器である。誘導加熱器602は、1つまたは複数の耐火性材料中に鋳造することができる。次に、1つまたは複数の誘導加熱コイルを含有する耐火性材料を底部るつぼ上に位置付けることができる。耐火性材料は、特に限定されないが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイトまたはそれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料であり得る。別の例では、誘導加熱器602は、1つまたは複数の耐火性材料中に鋳造されない。
【0102】
1つまたは複数の加熱部材602は、少なくとも1つの加熱部材602が故障しても、任意の残りの機能性加熱部材602が電力を受け取って熱を生成し続け得るような、電気システムを有し得る。1つの例において、各加熱部材602は、それ自体の回路を有する。
【0103】
上部加熱器600は、断熱材604を含むことができる。断熱材604は、特に限定されないが、断熱れんが、耐火物、耐火物の混合物、断熱板、セラミックペーパー、高温ウールまたはそれらの混合物を含む、任意の適切な断熱材料を含むことができる。断熱板は、高温セラミック基板を含むことができる。断熱材料604の下端と1つまたは複数の加熱部材602は、ほぼ同じ高さであってもよく、または加熱部材102を断熱材料604の下端の高さより上に位置付けてもよく、または断熱材料604の下端を加熱部材602の高さより上に位置付けてもよい。1つまたは複数の加熱部材602および断熱材料604の他の構成を使用することができ、例えば、1つまたは複数の加熱部材602が誘導加熱器であり、断熱材料604が耐火性材料を含み、ここで当該1つまたは複数の加熱部材602は、耐火性材料604中に内包されている。そのような例として、追加の断熱材料も場合により含むことができ、ここで追加の断熱材料は、耐火性材料であってよく、あるいは追加の断熱材料は、別の適切な断熱材料であってもよい。
【0104】
上部加熱器600は、外側ジャケット606を含むことができる。外側ジャケット606は、特に限定されないが、鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物またはそれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料を含むことができる。断熱材料604は、1つまたは複数の加熱部材602と外側ジャケット606との間に少なくとも部分的に配置することができる。外側ジャケット606の下端は、断熱材料604の下端および1つまたは複数の加熱部材602とほぼ同じ高さであってよく、または外側ジャケット606の下端は、断熱材料604の下端から、または1つもしくは複数の加熱部材602とずれていてもよく、またはその両方であってもよい。1つの例において、断熱材料604の端部を覆う外側ジャケット606の一部は、比較的低い伝導率を有する材料、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、グラファイトまたはそれらの組み合わせ等の適切な耐火物を含むことができる。
【0105】
上部加熱器の外側ジャケット606は、構造部材、例えば、上部加熱器600に強度または剛性を加えることができる部材を含むことができる。構造部材は、鋼、ステンレス鋼、銅、鋳鉄、耐火性材料、耐火性材料の混合物またはそれらの組み合わせを含むことができる。1つの例において、上部加熱器の外側ジャケット606は、上部加熱器600の中心から離れる方向に上部加熱器の外側ジャケット606の外側から延伸しており、かつ上部加熱器600の周囲または外周を囲むように水平に延伸している、1つまたは複数の構造部材を含むことができる。1つまたは複数の水平構造部材は、例えば、上部加熱器の外側ジャケット606の外側の下端に、上部加熱器の外側ジャケット606の外側の上端に、または上部加熱器の外側ジャケット606の外側の下端と上端の間の任意の位置に位置することができる。1つの例において、上部加熱器600は、3つの水平構造部材を含み、1つは上部加熱器の外側ジャケット606の下端に位置し、1つは上部加熱器の外側ジャケット606の上端に位置し、かつ1つは上部加熱器の外側ジャケット606の下端と上端の間に位置する。
【0106】
上部加熱器の外側ジャケット606は1つまたは複数の構造部材を含むことができ、これは上部加熱器の外側ジャケット606の外側に、上部加熱器600の中心から離れる方向に上部加熱器の外側ジャケット606の外側から延伸しており、かつ上部加熱器の外側ジャケット606の外側の底部から上部加熱器の外側ジャケット606の外側の上部に垂直に延伸している。1つの例において、上部加熱器の外側ジャケット606は、8つの垂直構造部材を含むことができる。垂直構造部材は、上部加熱器600の周囲または外周を囲むように等間隔に並べることができる。1つの例において、上部加熱器の外側ジャケット606は、垂直構造部材と水平構造部材の両方を含むことができる。上部加熱器の外側ジャケット606は、上部加熱器の外側ジャケット606の上部を横断して延伸している構造部材を含むことができる。上部の構造部材は、上部加熱器の外側ジャケット606の上部の1つの外縁部から上部加熱器の外側ジャケット606の上部の別の端部に延伸し得る。上部の構造部材はまた、外側ジャケット606の上部を部分的に横断して延伸していてもよい。構造部材は、帯、棒、管、または上部加熱器に構造支柱を加えるための任意の適切な構造体であり得る。構造部材は、溶接、蝋付け、または他の適切な方法によって上部加熱器の外側ジャケット606に取り付けることができる。構造部材は、機器の輸送および物理的操作を容易にするように適合させることができる。例えば、上部加熱器の外側ジャケット606の外側の上部の構造部材は、特定のフォークリフトまたは他のリフト機が上部加熱器をリフトまたは移動させるかまたは他の方法で物理的に操作することができるような、十分なサイズ、強度、方向、間隔、またはそれらの組み合わせの管であり得る。別の例では、上部加熱器の外側ジャケット606の外側に位置しているような上述の構造部材は、代替的にまたは追加的に、上部加熱器の外側ジャケット606の内側に位置することができる。別の例では、上部加熱器600は、クレーンまたは他のリフト機(例えば、油圧式装置)を使用し、上部加熱器600に連結している鎖(上部加熱器の構造部材に連結している鎖または上部加熱器600の非構造部材に連結している鎖を含む)を使用して移動させることができる。例えば、鎖を上部加熱器の外側ジャケット606の上端に連結させて、クレーン用の添ロープを形成し、上部加熱器600をリフトおよび他の方法で移動させることができる。
【0107】
方向性凝固の方法
本発明は、上述の機器を使用した方向性凝固の方法を提供し、当該機器は、当該機器の任意の態様であり得る。方向性凝固の方法は、シリコンを精製して、1つまたは複数のソーラーウェハーへと切断するための1つまたは複数のシリコンインゴットを作製する工程を含むことができる。当該方法は、第一のシリコンを提供または受け入れる工程を含む。第一のシリコンは、任意の適切な純度のシリコンを含むことができる。当該方法は、第一のシリコンを少なくとも部分的に溶融する工程を含むことができる。当該方法は、第一のシリコンを十分に溶融する工程を含むことができる。第一のシリコンを少なくとも部分的に溶融する工程は、第一のシリコンを完全に溶融する工程、第一のシリコンをほぼ完全に溶融する工程(重量で約99%、95%、90%、85%、または80%超が溶融する)、または第一のシリコンを部分的に溶融する工程(重量で約80%未満またはそれ以下が溶融する)を含むことができる。第一のシリコンを溶融する工程は、第一の溶融シリコンを提供する。当該方法は、底部を含む方向性凝固るつぼを提供または受け入れる工程を含む。方向性凝固るつぼは、本明細書に記載したものと実質的に類似し得る。
【0108】
当該方法は、冷却プラットホームを提供または受け入れる工程を含むことができる。冷却プラットホームは、本明細書に記載したものと実質的に類似し得る。当該方法は、方向性凝固るつぼの一部を、強制空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体で冷却する工程を含むことができる。当該一部は、本明細書に記載するように、曝露されるるつぼの底部の外側ジャケットまたは耐火性材料によって内包された一部を含むことができる。
【0109】
当該方法は、第一のシリコンを方向性凝固して、第一の溶融シリコンを提供する工程を含む。方向性凝固において、シリコンの凝固は、方向性凝固るつぼの底部で概ね開始し、かつ方向性凝固るつぼの上部で概ね終了する。方向性凝固は、第二のシリコンを提供する。第二のシリコンの最終凝結部分は、第一のシリコンよりも高い濃度の不純物を含む。最終凝結部分以外の第二のシリコンの部分は、第一のシリコンよりも低い濃度の不純物を含むことができる。
【0110】
第二のシリコンは、シリコンインゴットであり得る。シリコンインゴットは、太陽電池製造用のソーラーウェハーへの切断に適し得る。シリコンインゴットは、例えば、帯鋸、線鋸または任意の適切な切断装置を使用してソーラーウェハーへと切断することができる。
【0111】
いくつかの態様において、当該方法は、真空中、不活性雰囲気中または周囲空気中で実施される。当該方法を真空中または不活性雰囲気中で実施するために、大気圧未満にすることが可能であるチャンバー内に、または周囲空気よりも不活性ガスの濃度が高い大気を充填することが可能であるチャンバー内に機器を置くことができる。1つの例において、るつぼと上部加熱器との間の空間は、真空中または不活性雰囲気中にあり得る。いくつかの態様において、アルゴンを機器内にまたは機器を収容しているチャンバー内に注入して、機器から酸素を排気することができる。加熱要素からの炭素を機器から除去することができる。
【0112】
いくつかの態様において、当該方法は、上述の上部加熱器を方向性凝固るつぼの上方に位置付ける工程を含む。方向性凝固るつぼを含む底部るつぼは、溶融シリコンを加える前に予熱することができる。上部加熱器を使用して、底部るつぼを予熱することができる。底部るつぼを予熱する工程は、るつぼの壁上でシリコンが過剰に急速に凝固するのを防止することに役立ち得る。上部加熱器は、溶融シリコンを加える前に予熱することができる。上部加熱器を使用して、第一のシリコンを溶融することができる。上部加熱器を使用して、シリコンが溶融した後に熱をシリコンに移すことができる。上部加熱器は、シリコンを方向性凝固るつぼ内で溶融する場合、シリコンが溶融した後に、熱をシリコンに移すことができる。上部加熱器を使用して、シリコンの上部の熱を制御することができる。上部加熱器を断熱体として使用して、底部るつぼの上部の熱の損失量を制御することができる。第一のシリコンは、方向性凝固るつぼの外側、例えば加熱炉内で溶融して、次に、方向性凝固るつぼに加えることができる。いくつかの態様において、方向性凝固るつぼの外側で溶融したシリコンは、方向性凝固るつぼに加えた後に上部加熱器を使用して所望の温度までさらに加熱することができる。
【0113】
誘導加熱器を含む上部加熱器を含む態様において、シリコンは底部るつぼに加えられる前に溶融することが好ましい。代替的に、上部加熱器は、誘導加熱器だけでなく加熱要素も含む。誘導加熱は、溶融シリコンにおいてより効果的であり得る。誘導は、溶融シリコンの混合を生じ得る。過剰な混合は不純物の析出を改善し得るが、いくつかの態様において、電力は、混合する量を最適化するために十分に調整され得る。シリコン原料を生成するために、乱流混合は、シリコンの品質を改善し得るが、最終のシリコンインゴットに多孔性または不純物の沈澱のような望ましくない効果ももたらし得る。撹拌の性質および強度は、シリコン液に流体力学的不安定性をもたらさず、かつ凝固フロントを不安定化させないものにすべきである。
【0114】
方向性凝固は、方向性凝固るつぼの底部から熱を除去する工程を含むことができる。熱の除去は、任意の適切な様式で行うことができる。例えば、熱の除去は、方向性凝固るつぼの底部にわたってファンで送風する工程を含むことができる。熱の除去は、ファンを使用せずに、周囲空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体によって、るつぼの底部を冷却する工程を含むことができる。熱の除去は、周囲空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体の他に、方向性凝固るつぼの底部に隣接している管を通って、方向性凝固るつぼの底部を貫通している管を通って、方向性凝固るつぼが載っている材料を貫通する管を通って、またはそれらの組み合わせを通って、冷却液を流す工程を含むことができる。方向性凝固るつぼの底部から熱を除去する工程により、方向性凝固るつぼ内で温度勾配が確立され、その中で概ね方向性凝固るつぼの底部からるつぼの上部へと溶融シリコンの方向性凝固を引き起こす。
【0115】
方向性凝固るつぼの底部から熱を除去する工程は、方向性凝固の期間全体にわたって実施することができる。複数の冷却方法を使用することができる。例えば、方向性凝固るつぼの底部を液体で冷却し、かつファンで冷却することができる。方向性凝固のある部分に対するファン冷却および別の部分に対する液体冷却は、その2つの冷却方法間で任意の適切な量でそれらを重複または欠如させながら行うことができる。方向性凝固のある部分に対する液体による冷却、および別の部分に対する周囲空気、または空気と水蒸気の混合物、または他の気体による単独冷却は、その2つの冷却方法間で任意の適切な量でそれらを重複または欠如させながら行うことができる。冷却した材料のブロック上に方向性凝固るつぼを置くことによる冷却もまた、方向性凝固の任意の適切な期間にわたって行うことができ、これは他の冷却方法と任意の適切な量で重複させた任意の適切な組み合わせを含む。底部の冷却は、熱が上部に加えられている間、例えば、上部の温度を上昇させるために、上部の温度を維持するために、または特定速度での上部の冷却を可能にするために熱が上部に加えられている間に実施することができる。方向性凝固るつぼの上部を加熱する、底部を冷却する、およびそれらの組み合わせを任意の適切な量でそれらを時間的に重複または欠如させたすべての適切な構成および方法は、本発明の態様として包含される。
【0116】
方向性凝固は、上部加熱器を使用して、シリコンを少なくとも約1450℃、1460℃、または1470℃まで加熱し、そしてシリコンの上部の温度をおよそ18〜26時間かけておよそ1450℃、1460℃、または1470℃から1410℃までゆっくり冷却する工程を含むことができる。方向性凝固は、上部加熱器を使用して、シリコンを少なくとも約1450℃まで加熱し、インゴットの重量および高さに応じて、シリコンの上部の温度をおよそ16時間かけておよそ1450〜1460℃の間でほぼ一定に維持する工程を含むことができる。方向性凝固は、上部加熱器をオフにし、シリコンをおよそ4〜8時間冷却させ、次に、方向性凝固るつぼから上部加熱器を取り外す工程を含むことができる。
【0117】
1つの態様において、方向性凝固は、上部加熱器を使用して、シリコンを少なくとも約1450℃まで加熱し、インゴットの重量および高さに応じて、シリコンの上部の温度をおよそ16〜24時間かけておよそ1440〜1460℃の間でほぼ一定に維持する工程を含む。当該態様は、上部加熱器をオフにし、シリコンをおよそ4〜8時間冷却させ、次に、方向性凝固るつぼから上部加熱器を取り外す工程を含むことができる。
【0118】
別の態様において、方向性凝固は、上部加熱器を使用して、シリコンを少なくとも約1450℃、1460℃、または1470℃まで加熱し、シリコンの上部の温度をおよそ10〜16時間かけておよそ1450から1410℃までゆっくり冷却する工程を含む。当該態様は、上部加熱器をオフにし、シリコンをおよそ4〜12時間冷却させ、次に、方向性凝固るつぼから上部加熱器を取り外す工程を含む。
【0119】
別の態様において、方向性凝固は、上部加熱器を使用して、発電機によって生成される全電力の少なくとも約60、70、または80%の電力制御で得られる少なくとも約1450℃、1460℃、または1470℃でシリコンを加熱する工程を含むことができる。この電力は、およそ10〜16時間にわたり約60、70、または80%の電力でほぼ一定に維持することができる。上部加熱器への電力供給を止めて、シリコンをおよそ4〜12時間冷却させることができ、その後、上部加熱器を方向性凝固るつぼから取り外すことができる。
【0120】
別の態様において、方向性凝固は、上部加熱器を使用して、発電機によって生成される全電力の少なくとも約60、70、または80%の電力制御で得られる少なくとも約1450℃、1460℃、または1470℃でシリコンを加熱する工程を含むことができる。シリコンの上部の温度は、およそ10〜16時間かけておよそ1450から1410℃まで冷却することができる。上部加熱器をオフにし、シリコンをおよそ4〜12時間冷却させることができ、その後、上部加熱器を方向性凝固るつぼから取り外すことができる。
【0121】
当該方法は、方向性凝固るつぼから第二のシリコンを取り出す工程を含むことができる。シリコンは、任意の適切な方法で取り出すことができる。例えば、シリコンは、方向性凝固るつぼを反転させて、第二のシリコンを方向性凝固るつぼから脱落させることによって取り出すことができる。別の例では、方向性凝固るつぼを2つの半体を形成するように中央から分割することで、第二のシリコンをるつぼから容易に取り出すことが可能である。
【0122】
当該方法は、最終シリコン液を取り出す工程を含むことができる。凝固の間、液体は、析出によって不純物で飽和されており、最終シリコン液は、方向性凝固るつぼから別の容器に取り出すことができる。第二のシリコンは、凝固後にるつぼまたは鋳型から容易に取り出すことができる。この方法は、インゴットの品質および生産コストを改善することができる。
【0123】
当該方法は、方向性凝固した第二のシリコンから任意の適切な部位を除去する工程を含むことができる。好ましくは、適切な部位の除去は、シリコンインゴットの全体の純度の増加につながる。例えば、当該方法は、方向性凝固した第二のシリコンから最終凝結部位の少なくとも一部分を除去する工程を含むことができる。底部から上部への方向性凝固の間に方向付けられるように、好ましくは、方向性凝固したシリコンの最終凝結部位は、インゴットの上部である。析出によって、最も高い不純物濃度は、概して凝固したシリコンの最終凝結部位において生じる。従って、最終凝結部位を除去する工程は、凝固したシリコンから不純物を除去することができ、結果として、トリミングした第二のシリコンは、第一のシリコンよりも低い濃度の不純物を有する。シリコンのある部位を除去する工程は、帯鋸で固体シリコンを切断する工程を含むことができる。シリコンのある部位を除去する工程は、ショットブラストまたはエッチングする工程を含むことができる。ショットブラストまたはエッチングする工程はまた、概して最終凝結部分だけでなく第二のシリコンの任意の外面を清浄または除去するために使用され得る。
【0124】
当該方法は、カスケードする溶解溶液および洗浄プロセスを使用して、シリコン−アルミニウム複合体からシリコンを精製する工程を含むことができる。溶解溶液は、酸性溶液を含むことができる。溶解溶液は、アルミニウムを含むシリコン中の不純物と反応するかまたはそれを溶解することができる。当該方法は、第一のシリコン−アルミニウム複合体と弱溶解溶液を混合する工程を含む。混合する工程は、第一の複合体が弱溶解溶液と少なくとも部分的に反応することができるように十分に実施される。混合する工程は、第一の混合物を提供する。当該方法はまた、第一の混合物を分離する工程を含む。第一の混合物を分離する工程は、第三のシリコン−アルミニウム複合体および弱溶解溶液を提供する。当該方法はまた、第三のシリコン−アルミニウム複合体と強溶解溶液を混合する工程を含む。混合する工程は、第三の複合体が強溶解溶液と少なくとも部分的に反応することができるように十分に実施される。混合する工程は、第三の混合物を提供する。当該方法はまた、第三の混合物を分離する工程を含む。分離する工程は、第一のシリコンおよび強溶解溶液を提供する。当該方法はまた、第一のシリコンと第一のすすぎ液を混合する工程を含む。混合する工程は、第四の混合物を提供する。当該方法はまた、第四の混合物を分離する工程を含む。第四の混合物を分離する工程は、湿潤精製シリコンおよび第一のすすぎ液を提供する。当該方法はまた、湿潤精製シリコンを乾燥させる工程を含む。湿潤精製シリコンを乾燥させる工程は、乾燥精製シリコンを提供する。
【0125】
追加の態様
本発明は、以下の典型的な態様を提供するが、その番号付けが重要性のレベルを示すものと解釈されるべきではない。
【0126】
態様1は、
底部を含む方向性凝固るつぼ、および
方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成された開口部を規定する第一の面と、方向性凝固るつぼの底部の一部に強制空気の一部を供給するように構成された冷却用ダクトとを含む、冷却プラットホーム
を含む、方向性凝固のための機器を提供する。
態様2
方向性凝固るつぼの複数の側壁が、加熱面(hot face)耐火物を含む、態様1の機器。
態様3
方向性凝固るつぼの底部が、伝導性耐火物を含む、態様1または2の機器。
態様4
方向性凝固るつぼの底部の一部が、強制空気によって1時間あたり約10%の比率で熱を消散させる、態様1〜3のいずれか一つの機器。
態様5
方向性凝固るつぼの底部の少なくとも一部が、熱を消散させるように構成された複数の伝熱フィンを含む、態様1〜4のいずれか一つの機器。
態様6
複数の伝熱フィンの少なくとも一部が、方向性凝固るつぼの底部に沿って外向きに延伸している、態様5の機器。
態様7
伝熱フィンが、平棒を含む、態様5または6の機器。
態様8
伝熱フィンが、ステンレス鋼を含む、態様5〜7のいずれか一つの機器。
態様9
方向性凝固るつぼの底部の少なくとも一部が、開口部内に位置するように構成された凸面を含む、態様1〜8のいずれか一つの機器。
態様10
開口部が、方向性凝固るつぼの底部の実質的に中心を受け入れる、態様1〜9のいずれか一つの機器。
態様11
開口部が、方向性凝固るつぼを冷却プラットホーム上に実質的に水平に置くことによって、方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成されている、態様1〜10のいずれか一つの機器。
態様12
開口部が、底部の表面積の約25%を受け入れるように構成されている、態様1〜11のいずれか一つの機器。
態様13
開口部が、円形である、態様1〜12のいずれか一つの機器。
態様14
開口部が、長方形である、態様1〜12のいずれか一つの機器。
態様15
第一の面が、冷却用ダクトの長方形断面を規定するように第二の面と分離されている、態様1〜14のいずれか一つの機器。
態様16
冷却用ダクトが、第一の面と共にノズルを規定するように構成された第二の面をさらに含み、当該ノズルが、開口部によって受け入れられた方向性凝固るつぼの底部の一部に強制空気の一部を供給する、態様1〜15のいずれか一つの機器。
態様17
冷却用ダクトが、方向性凝固るつぼの底部の一部に実質的に直角に強制空気の一部を供給するように構成されている、態様1〜16のいずれか一つの機器。
態様18
冷却用ダクトが、冷却用ダクトに強制空気を供給するように構成された冷却用ダクト吸入口を含む、態様1〜17のいずれか一つの機器。
態様19
冷却用ダクト吸入口が、ファンからの強制空気を受け入れるように構成された少なくとも1つの強制空気吸入口を含む、態様18の機器。
態様20
冷却用ダクトが、方向性凝固るつぼの底部の一部に実質的に均等なパターンで強制空気の一部を供給するように構成されている、態様1〜19のいずれか一つの機器。
態様21
方向性凝固るつぼの底部の一部に供給される強制空気の一部が、乱流である、態様1〜20のいずれか一つの機器。
態様22
方向性凝固るつぼの底部の一部に供給される強制空気の一部の速度が、少なくとも約16メートル/秒(m/s)である、態様1〜21のいずれか一つの機器。
態様23
方向性凝固るつぼの底部の一部に供給される強制空気の一部の体積速度が、少なくとも約5000立方フィート/分である、態様1〜21のいずれか一つの機器。
態様24
冷却用ダクト吸入口によって受け入れられる強制空気が、およそ周囲温度である、態様18〜23のいずれか一つの機器。
態様25
加熱要素または誘導加熱器を含む少なくとも1つの加熱部材を含む上部加熱器をさらに含む、態様1〜24のいずれか一つの機器。
態様26
上部加熱器が、断熱材をさらに含み、当該断熱材が、断熱れんが、耐火物、複数の耐火物の混合物、断熱板、セラミックペーパー、高温ウール、またはそれらの混合物を含む、態様25の機器。
態様27
上部加熱器が、外側ジャケットをさらに含み、断熱材が、加熱要素と上部加熱器の外側ジャケットとの間に少なくとも部分的に配置されている、態様26の機器。
態様28
上部加熱器の外側ジャケットが、ステンレス鋼を含む、態様27の機器。
態様29
方向性凝固るつぼが外側ジャケットをさらに含み、外側ジャケットが、強制空気の一部を受け入れる方向性凝固るつぼの底部の一部を規定する、態様1〜28のいずれか一つの機器。
態様30
第一のシリコンを提供するまたは受け入れる工程、
底部を含む方向性凝固るつぼを提供するまたは受け入れる工程、および
冷却プラットホームを提供するまたは受け入れる工程
を含む、方向性凝固のための方法。冷却プラットホームは、方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成された開口部を規定する第一の面と、方向性凝固るつぼの底部の一部に強制空気を供給するように構成された冷却用ダクトとを含む。本方法は、方向性凝固るつぼの一部を強制空気で冷却する工程、および方向性凝固るつぼ中で第一のシリコンを方向性凝固して、第二のシリコンを提供する工程をさらに含む。
態様31
加熱要素および誘導加熱器から選択される加熱部材を方向性凝固るつぼの上方に位置付けることを含む、加熱器を方向性凝固るつぼの上方に位置付ける工程
をさらに含む、態様30の方法。
態様32
受け入れる工程が、ファンからの強制空気を受け入れることを含む、態様30または31の方法。
態様33
方向性凝固るつぼの一部に乱流で強制空気を供給する工程をさらに含む、態様30〜32のいずれか一つの方法。
態様34
方向性凝固るつぼの一部に直角に強制空気を供給する工程をさらに含む、態様30〜33のいずれか一つの方法。
態様35
方向性凝固るつぼの一部の冷却を停止することを含む、第一のシリコンの約80%が第二のシリコンに
方向性凝固したときに第一のシリコンの方向性凝固を実質的に停止する工程
をさらに含む、態様30〜34のいずれか一つの方法。
態様36
方向性凝固るつぼまたは鋳型の熱プロファイルを制御して第一のシリコンの結晶成長速度を調節する工程をさらに含む、態様30〜35のいずれか一つの方法。
態様37
結晶成長速度を調節する工程が、方向性凝固るつぼの一部の冷却を調節することを含む、態様36の方法。
態様38
底部を含む方向性凝固るつぼと、冷却プラットホームとを含む、方向性凝固のための機器。冷却プラットホームは方向性凝固るつぼの底部の一部を受け入れるように構成された開口部を規定する第一の面を含む。方向性凝固るつぼの底部は、シリコンカーバイド、グラファイト、またはそれらの組み合わせ、および熱を消散するように構成された複数の水路を含む。冷却プラットホームは、強制空気を受け入れるように構成された第一の面の下の冷却用ダクト吸入口、ならびに方向性凝固るつぼの底部の一部に乱流で強制空気を供給するように構成された冷却用ダクトをさらに含む。本機器は、加熱要素または誘導加熱器を含む加熱部材を含む、上部加熱器をさらに含み、加熱要素は、シリコンカーバイド、二ケイ化モリブデン、グラファイト、もしくはそれらの組み合わせを含む。
【実施例】
【0127】
実施例1
方向性凝固るつぼを冷却プラットホーム上に置いた。溶融シリコンを方向性凝固るつぼに注いだ。上部加熱器をるつぼの上方に置いた。加熱器を1450℃で14時間に設定し、次にオフにした。6時間後、上部加熱器部分を取り外し、シリコンを室温まで放冷し、測定を行った。その結果を
図7および
図8に示す。
【0128】
図7は、経時的に凝固したシリコンのパーセントのプロットを示す。
【0129】
図8は、結晶化フロントの1時間あたりのセンチメートルの経時的速度のプロットを示す。
【0130】
実施例2
強制空気をるつぼの底部に接触させながら、実施例1を繰り返した。測定を行った。その結果を
図9および
図10に示す。
【0131】
図9は、経時的に凝固したシリコンのパーセントのプロットを示す。
【0132】
図10は、結晶化フロントの1時間あたりのセンチメートルの経時的速度をプロットする。
【0133】
実施例3
溶融シリコンを方向性凝固鋳型に注ぎ、複数回の加熱および冷却サイクルに供した。加熱および冷却サイクルを表1にまとめる。冷却は、本明細書に記載されるように冷却プラットホームを用いて達成した。加熱は、本明細書に記載されるように上部加熱器を用いて達成した。6つの別々の加熱および冷却サイクルの間に測定を行った。測定値を
図11にまとめる。
図11は、温度(℃)対時間(分)のプロットを示す。上部プロットはプロセス温度であり、底部プロットは方向性凝固るつぼの底部で測定された温度である。プロットは、表1のサイクル数に対応する6つの区分に分けられる。
【0134】
(表1)加熱および冷却サイクルの条件