【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.セールス・カンファレンス 開催日: 平成25年10月22日(22〜24日) 開催場所: ロイヤル・バークシャー・カンファランス・センター(Royal Berkshire Conference Centre)英国バークシャー アールジー2 0エフエル リーディング マディスキー・スタジアム(Madejski Stadium,Reading,Berkshire RG2 0FL,England) 2.2014AWフットウェアー商談会 展示日: 平成25年11月7日(7〜8日) 展示場所: プリンスホテル会場 東京都港区高輪4丁目10−30 品川プリンスホテル メインタワー28F エメラルド28 3.’14年−’15年秋冬 スポーツ&ゴルフ新製品発表展示会 展示日: 平成26年1月15日(15〜17日) 展示場所: インテックス大阪5号館 大阪府大阪市住之江区南港北1−5−102 4.’14年−’15年秋冬 スポーツ&ゴルフ新製品発表展示会 展示日: 平成26年1月22日(22〜23日) 展示場所: TRC・東京流通センター 第一展示場 東京都大田区平和島6丁目1−1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した各公報に記載のものでは、ソール前足部単体の可撓性または屈曲性を向上させることを主眼としており、運動時の前後方向の動きのみに着目している。ところが、サッカーやラグビー等のスポーツにおいては、横方向の動きも重要であり、運動時に素早いターン(方向転換)が要求される。
【0004】
そこで、本願発明者は、まず、ターンを行う人のターンの際の足および脚の動きに注目した。ターンの際には、通常、ターンを行う方向(進行方向)とは反対側の脚および足で、ターンを行う方向とは反対方向に蹴り出す動作が行われる。この場合において、ターンを行う人は、ターンを行う方向への地面反力を大きくするために、アウトソール底面を地面に十分に接地させてグリップ力を確保しつつ、ターンを行う方向に脚を傾斜させている。そして、ターンを行う人の動作を分析した結果、素早いターンを実現するためには、アウトソール底面の地面に対するグリップ力が大きく、かつ、ターンを行う方向への脚の傾斜角度が大きい状態であるのが好ましいことが分かった。
【0005】
一方、従来のソール構造においては、ソール中足部領域が屈曲および捩れを生じないように、ソール中足部領域からソール踵部領域にかけて前後方向に延びるリブがアウトソールに形成されている(例えば特開2012−61308号公報の
図3参照)。すなわち、従来のソール構造では、ターンの際に脚を傾斜させた場合に、ターンを行う人の足の中足部領域の関節の動きに応じたアウトソール変形ができない構造になっている。このため、アウトソール底面と地面との接地領域すなわちグリップ力を確保するために、ターンを行う人が採る手段は実質的に、足首を屈曲させること(内反)に限られる。この場合、地面に対するアウトソールのグリップ力が十分でないため、ターンを行う方向とは反対側の脚および足で蹴り出す際の地面反力を十分に得られず、その結果、素早いターンを行うことができなかった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、ターンを行う方向への地面反力を十分に得ることにより、素早いターンを行うことが可能なスポーツシューズ用アウトソールプレート構造を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスポーツシューズ用アウトソールプレート構造は、着用者の足の前足部領域から踵部領域にかけて延設されたアウトソールプレート本体を備え、アウトソールプレート本体の底面において、足の拇指球部領域、子指球部(小指球部)領域および踵骨の載距突起部分にそれぞれ対応する位置を結んでできる三角形状領域またはその内部に
、外甲側から内甲側に向かうにしたがい斜め後方に延びる複数本の溝を形成し
、複数本の溝を子指球部領域の近傍を通るように配置するとともに、隣り合う各溝の間隔を外甲側から内甲側に向かうにしたがい広くしている(請求項1参照)。
【0008】
本発明によれば、足の拇指球部領域、子指球部領域および踵骨の載距突起部分にそれぞれ対応する位置を結んでできる三角形状領域にまたはその内部の一部の領域に溝を形成したことにより、当該三角形状領域の屈曲性が向上している。そのため、アウトソールプレート本体の拇指球部領域が踵部領域に対して捩れやすくなっており、言い換えれば、アウトソールプレート本体の中足部領域が回外を起こしやすくなっている。これにより、ターンを行う際には、アウトソールプレート本体の底面を地面に対して十分に接地させることができ、地面に対するグリップ力を大きくできるとともに、ターンを行う方向への脚の傾斜角度を大きくできる。このようにして、ターンを行う方向への地面反力を十分に得ることができ、素早いターンを実現できるようになる。
【0009】
また、本発明では、溝
が外甲側から内甲側に向かうにしたがい斜め後方に延びている
ので、アウトソールプレート本体の拇指球部領域の踵部領域に対する屈曲性(つまり捩じれやすさ)をさらに向上でき、アウトソールプレート本体の中足部領域の回外をさらに助長でき、これにより、ターンを行う方向への地面反力を大きくでき、より素早いターンを実現できるようになる。
【0010】
さらに、本発明では、複数本の溝が子指球部領域の近傍を通るように配置されるとともに、外甲側から内甲側に向かうにしたがい、隣り合う各溝の間隔が徐々に広くなっているので、ターン動作時にアウトソールプレート本体の拇指球部領域が踵部領域に対して屈曲する際に、後方側の溝から前方側の溝にかけて段階的に徐々に屈曲することができ、これにより、アウトソールプレート本体の屈曲をスムーズに発生させることができる。
【0011】
本発明では、複数本の溝がアウトソールプレート本体の内甲側縁部まで延びている(請求項2参照)。この場合には、アウトソールプレート本体の拇指球部領域の踵部領域に対する屈曲性(捩じれやすさ)をより一層向上でき、アウトソールプレート本体の中足部領域の回外をより一層助長でき、これにより、ターンを行う方向への地面反力をさらに大きくでき、より一層素早いターンを実現できるようになる。
【0012】
本発明では、
複数本の溝
が子指球部領域またはその近傍領域に対応する位置を起点として内甲側に向かうにしたがい扇状に分布している(請求項
3参照)。この場合には、アウトソールプレート本体の拇指球部領域が踵部領域に対して屈曲する際に、子指球部領域またはその近傍領域に対応する位置の回りに徐々に屈曲するので、アウトソールプレート本体の屈曲をよりスムーズに発生させることができる。
【0013】
本発明では、前記三角形状領域の外甲側領域には、当該三角形領域の剛性よりも剛性が高い高剛性領域が設けられている(請求項
4参照)。この場合には、前記三角形状領域がその外甲側の高剛性領域よりも相対的に屈曲しやすくなっており、前記三角形状領域の屈曲性が相対的に向上している。これにより、アウトソールプレート本体の拇指球部領域が踵部領域に対してさらに捩れやすくなっており、アウトソールプレート本体の中足部領域がさらに回外を起こしやすくなっている。
【0014】
本発明では、前記高剛性領域が、着用者の足の中足部領域の部位に対応する位置から踵部領域の部位に対応する位置まで配設されている(請求項
5参照)。この場合には、アウトソールプレート本体の拇指球部領域の踵部領域に対する屈曲性をより一層向上でき、アウトソールプレート本体の中足部領域の回外をより一層助長できる。
【0015】
本発明では、当該スポーツシューズがクリーツシューズ(スパイクシューズ)である(請求項
6参照)。
【0016】
本発明では、
複数本の溝が、クリーツシューズにおいてクリーツが配置されていない個所に形成されている(請求項
7参照)。この場合には、クリーツが前記三角形状領域の屈曲を妨げることはなく、クリーツシューズにおいて当該三角形状領域の屈曲性を確保できる。
【0017】
本発明では、クリーツシューズのクリーツが着用者の足の拇指球部領域および子指球部領域に対応する位置にそれぞれ配置されており、
複数本の溝
が、各クリーツの位置の間のいずれかの部位を起点として内甲側に向かうにしたがい扇状に分布している(請求項
8参照)。
【0018】
この場合には、アウトソールプレート本体の拇指球部領域が踵部領域に対して屈曲する際には、足の拇指球部領域に対応する位置および子指球部領域に対応する位置にそれぞれ配置された各クリーツの間のいずれかの部位の回りに徐々に屈曲するので、アウトソールプレート本体の屈曲をスムーズに発生させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、足の拇指球部領域、子指球部領域および踵骨の載距突起部分にそれぞれ対応する位置を結んでできる三角形状領域またはその内部に溝を形成したので、当該三角形状領域の屈曲性が向上しており、アウトソールプレート本体の拇指球部領域が踵部領域に対して屈曲しやすくなっており、アウトソールプレート本体の中足部領域が回外を起こしやすくなっている。これにより、ターンを行う際には、アウトソールプレート本体の底面を地面に対して十分に接地させることができ、地面に対するグリップ力を大きくできるとともに、ターンを行う方向への脚の傾斜角度を大きくできる。このようにして、ターンを行う方向への地面反力を大きくでき、素早いターンを実現できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし
図6は本発明の一実施例によるスポーツシューズ用アウトソールプレート構造を示している。ここでは、スポーツシューズとして、サッカーやラグビー、アメフト(アメリカンフットボール)、野球等のスポーツに用いられるクリーツシューズを例にとる。
【0022】
図1ないし
図3に示すように、本実施例によるアウトソールプレート構造は、アウトソールプレート本体1を有している。アウトソールプレート本体1は、着用者の足の前足部領域、中足部領域および踵部領域にそれぞれ対応する前足部領域F、中足部領域Mおよび踵部領域Hを有しており、当該前足部領域Fから中足部領域Mをへて踵部領域Hまで前後方向に延設されている。アウトソールプレート本体1は、接地面となる底面1Aと、その逆側に配置され、着用者の足裏当接側に配置される足裏当接側面1Bとを有している。
【0023】
アウトソールプレート本体1は、薄肉のプレート状部材であって、その外周縁部に沿って上方(
図2紙面手前側および
図3右方)に立ち上がる立ち上り部1Cが全周にわたって形成されている。立ち上がり部1Cの内側面には、スポーツシューズのアッパー(図示せず)の下部外側面が固着されるようになっている。
【0024】
アウトソールプレート本体1は、好ましくは硬質弾性部材から構成されており、具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミド(PA)、ポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂等や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂から構成されている。
【0025】
アウトソールプレート本体1の底面1Aには、複数のクリーツが配設されており、前足部領域Fの内甲側にクリーツ10、10’が、外甲側にクリーツ11、11’、11”が、幅方向中央部分にクリーツ12、12’がそれぞれ配置され、踵部領域Hの内甲側にクリーツ13が、外甲側にクリーツ13’がそれぞれ配置されている。アウトソールプレート本体1の足裏当接側面1Bには、これらのクリーツに対応する位置に凹部がそれぞれ形成されている。
図2では、各凹部の参照符号を、当該各凹部にそれぞれ対応する各クリーツの参照符号の後に「a」を付与することで表している。なお、これらの凹部は必須のものではない。
【0026】
アウトソールプレート本体1の底面1Aには、複数の溝21〜25からなる溝2が形成されている。各溝21〜25は、
図1に示すように、前足部領域Fの後方(同図下方)側領域において外甲寄りの部位を起点として内甲側に向かうにしたがい概略扇状に分布しており、各クリーツとオーバラップすることなく、各クリーツを避けつつ配設されている(
図1参照)。各溝21〜25は、外甲側から内甲側に向かうにしたがい、徐々に湾曲しつつ延びており、曲線状または概略直線状の溝になっている。隣り合う各溝の間隔は、外甲側領域よりも内甲側領域の方が広くなっており、外甲側から内甲側に向かうにしたがい、徐々にまたは段階的に広くなっている。
【0027】
図4は、本実施例によるアウトソールプレート構造と足の骨格構造との位置関係を示す底面概略図である。同図において、第1趾基節骨PP
1と第1趾中足骨MB
1との間の第1中足趾節関節MP
1の周囲に分布する円形状の一点鎖線領域が拇指球部領域TEであり、同様に、第5趾基節骨PP
5と第5趾中足骨MB
5との間の第5中足趾節関節MP
5の周囲に分布する円形状の一点鎖線領域が子指球部(小指球部)領域TEである。また、踵骨CCの載距突起部分STを円形の斜線領域で示している。なお、同図中、CUは立方骨を示し、NAは舟状骨を示している。
【0028】
溝2は、足の拇指球部領域TE内の部位、子指球部領域HE内の部位および踵骨CCの載距突起部分STにそれぞれ対応する位置を結んでできる三角形状領域TR(一点鎖線参照)に配置されている。
図4に示す三角形状領域TRは、好ましい例として、拇指球部領域TE内の後方(同図下方)側に位置する部位TE
1(円形の斜線領域参照)と、子指球部領域HE内の中央部の部位と、載距突起部分STの中央部の部位とを結んで形成されている。
【0029】
溝2は、三角形状領域TR内において、外甲側から内甲側に向かうにしたがい斜め後方に延びている。溝2は、この例では、三角形状領域TRの内部の一部の領域に分布しているが、三角形状領域TRの全域に分布させるようにしてもよい。また、溝2は、この例では、アウトソールプレート本体1の内甲側縁部まで(つまり内甲側の立ち上がり部1Cの上端縁部まで)延びているが、溝2の内甲側の終端は、アウトソールプレート本体1の内甲側縁部の手前(つまり内甲側の立ち上がり部1Cの手前)に配置するようにしてもよい。
【0030】
溝2の起点は、この例では、子指球部領域HEの近傍において三角形状領域TRの外側に配置されているが、三角形状領域TRの境界線上またはその内部、あるいは子指球部領域HEの内部に配置するようにしてもよい。
【0031】
図4から分かるように、前足部領域Fにおいて内甲側のクリーツ10’は拇指球部領域TEに対応する位置に、外甲側のクリーツ11’は子指球部領域HEに対応する位置にそれぞれ配置されており、踵部領域Hにおいて内甲側のクリーツ13は載距突起部分STの近傍に配置されている。溝2の起点は、クリーツ10’および11’の間のいずれかの部位に配置されている。この例では、溝2の起点は、外甲側のクリーツ11’と幅方向中央部のクリーツ12’との間の部位に配置されている。
【0032】
溝2の横断面形状については、内甲側領域では、
図1のV-V線断面である
図5に示すように、各溝21〜25が概略三角形状を有しており、外甲側領域では、
図1のVI-VI線断面である
図6に示すように、各溝21〜25が概略円弧形状を有しているが(
図5、
図6ではハッチング省略)、内甲側領域および外甲側領域の双方において、同一の横断面形状を有するようにしてもよい。各溝21〜25の深さは、この例では、内甲側領域および外甲側領域においていずれもdとなっているが、双方の領域で深さを変えるようにしてもよい。
【0033】
図4に示すように、三角形状領域TRの外甲側領域には、当該三角形状領域TRの剛性よりも剛性の高い高剛性領域部3Aおよび3Bが設けられている。この高剛性領域部は、
図1および
図2に示すように、アウトソールプレート本体1の底面1A側では領域部3Aおよび3Bで表され、足裏当接側面1B側では領域3として表されているが、これらはいずれも同一の部材である。
図2に示すような外周形状を有するプレート状の高剛性領域部3をインサートとしてアウトソールプレート本体1の成形時にインサート成形したことで、アウトソールプレート本体1の底面1A側では、高剛性領域部3のそれぞれ一部である領域部3Aおよび3Bが現れている。高剛性領域部3は、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mの外甲側領域から踵部領域Hの幅方向中央部にかけての領域に配設されている。
【0034】
高剛性領域部3は、好ましくは硬質弾性部材から構成されており、具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミド(PA)、ポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂等や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂から構成されている。また、高剛性領域部3は、炭素繊維やアラミド繊維、ガラス繊維等を強化用繊維とし、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化プラスチック(FRP)から構成するようにしてもよい。高剛性領域部3は、アウトソールプレート本体1と異なる素材を用いることにより、またはアウトソールプレート本体1と同じ素材であっても肉厚を厚くすることなどによって、アウトソールプレート本体1よりも剛性が高くなっている。
【0035】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
本アウトソールプレート構造においては、上述したように、足の拇指球部領域TE内の部位、子指球部領域HE内の部位および踵骨CCの載距突起部分STにそれぞれ対応する位置を結んでできる三角形状領域TRに溝2を形成したことにより(
図4参照)、当該三角形状領域TRの屈曲性が向上しており、足の拇指球部領域TEに対応するアウトソールプレート本体1の領域が踵部領域Hに対して屈曲しやすくなっており、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mが回外を起こしやすくなっている。これにより、ターンを行う際には、アウトソールプレート本体1の底面1Aを地面に対して十分に接地させることができ、地面に対するグリップ力を大きくできるとともに、ターンを行う方向への脚の傾斜角度を大きくできる。このようにして、ターンを行う方向への地面反力を十分に得ることができ、素早いターンを実現できるようになる。
【0036】
ここで、三角形状領域TRの後方側の頂点として、載距突起部分STに着目したのは、ターンの際に足の踵部領域で踏ん張っている際、地面に対する荷重位置が載距突起部分STに対応しているからである。そして、載距突起部分STの前方側領域については、溝2を形成して屈曲性を向上させる一方、載距突起部分STの後方側領域については、溝2を形成しないことで堅い構成とするとともにクリーツ13を配置したことにより、足の踵部領域での踏ん張り時にクリーツ13で安定して踏ん張ることができるのである。
【0037】
また、ターンを行う方向と反対方向への蹴り出し時には、着地していた側のアウトソールプレート本体1の前足部領域Fを使うが、このとき、前足部領域Fの内甲側の各クリーツ10、10’に凹面10b、10’bが形成されているので(
図1参照)、これらのクリーツ10、10’により地面を蹴るとき、各凹面10b、10’bによって地面を十分に捉えることができ、地面に対するトラクション効果を向上できる。
【0038】
また、本実施例においては、溝2が外甲側から内甲側に向かうにしたがい斜め後方に延びていることにより、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域の踵部領域Hに対する屈曲性(捩じれやすさ)をさらに向上でき、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mの回外をさらに助長できる。これにより、ターンを行う方向への地面反力を大きくでき、より素早いターンを実現できるようになる。
【0039】
本実施例においては、溝2がアウトソールプレート本体1の内甲側縁部まで延びていることにより、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域の踵部領域Hに対する屈曲性(捩じれやすさ)をより一層向上でき、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mの回外をより一層助長でき、これにより、ターンを行う方向への地面反力をさらに大きくでき、より一層素早いターンを実現できるようになる。
【0040】
本実施例においては、溝2が複数本形成されるとともに、隣り合う各溝21〜25の間隔が外甲側から内甲側に向かうにしたがい徐々に広くなっていることにより、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域が踵部領域Hに対して屈曲する際に、後方側の溝25から前方側の溝21にかけて段階的に徐々に屈曲することができ、これにより、アウトソールプレート本体1の屈曲をスムーズに発生させることができる。
【0041】
本実施例においては、溝2が複数本形成されるとともに、子指球部領域HEの近傍領域に対応する位置(本実施例ではさらに、子指球部領域HEに対応する位置のクリーツ11’と、幅方向中央部のクリーツ12’との間の位置)を起点として内甲側に向かうにしたがい扇状に分布していることにより、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域が踵部領域Hに対して屈曲する際には、子指球部領域HEの近傍領域に対応する位置の回りに徐々に屈曲するので、アウトソールプレート本体1の屈曲をよりスムーズに発生させることができる。
【0042】
さらに、本実施例においては、三角形状領域TRの外甲側領域に当該三角形領域TRの剛性よりも剛性が高い高剛性領域3が設けられていることにより、三角形状領域TRがその外甲側の高剛性領域3よりも相対的に屈曲しやすくなっており、三角形状領域TRの屈曲性が相対的に向上している。これにより、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域が踵部領域Hに対してさらに捩れやすくなっており、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mがさらに回外を起こしやすくなっている。
【0043】
本実施例においては、高剛性領域3が、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mの外甲側領域から踵部領域Hの幅方向中央部にかけての領域に配設されていることにより、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域の踵部領域Hに対する屈曲性をより一層向上でき、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mの回外をより一層助長できる
【0044】
以上、本発明に好適な実施例について説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が含まれる。以下に変形例のいくつかの例を挙げておく。なお、各変形例を示す図面において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0045】
<第1の変形例>
前記実施例では、溝2が外甲側から内甲側にかけて斜め後方に配設されている例を示したが、溝2の傾きとしては種々のものが考えられる。
図7は、本発明の第1の変形例によるアウトソールプレート構造において、溝の傾きを説明するための概略図である。同図において、一点鎖線Lは、アウトソールプレート本体の前後方向中心線を示しており、これは足長方向と一致している。
【0046】
図7では、溝gが前後方向中心線Lに対して角度αだけ傾斜している状態が示されている。この傾斜角αは、前記実施例に示したような鋭角(0<α<90°)の場合が好ましいが、これには限定されず、鈍角(90°<α<180°)であってもよく、またα=0°やα=180°、さらにはα=90°の場合をも含み得る。したがって、αがとり得る範囲としては、前記実施例の場合も含めて、0°≦α≦180°となる。また、溝gは、前後方向中心線Lを跨いで配設されていなくてもよく、前後方向中心線Lを挟んでいずれか一方の領域(つまり内甲側領域または外甲側領域)に配設されていてもよい。
【0047】
また、前記実施例では、溝2が溝21〜25の5本の溝で構成された例を示したが、溝2の本数は、これに限定されず、5本より多くても少なくてもよく、また
図7に示すような1本の溝gで構成されていてもよい。
【0048】
<第2の変形例>
前記実施例では、隣り合う各溝の間隔が、外甲側から内甲側に向かうにしたがい広くなっている例を示したが、各溝の間隔はこれに限定されない。
図8は、本発明の第2の変形例によるアウトソールプレート構造において、各溝の配列を説明するための概略図である。同図に示すように、各溝g
1〜g
5は互いに平行に配設されており、隣り合う各溝の間隔は、外甲側から内甲側にかけて一定である。この場合、各溝g
1〜g
5は、足長方向Lに対していずれも同一の傾斜角をなしている。
【0049】
<第3の変形例>
前記実施例では、溝2を構成する各溝21〜25が、外甲側から内甲側に向かうにしたがい徐々に湾曲する曲線状の溝になっている例を示したが、各溝21〜25はいずれも直線状に配設されていてもよい。
【0050】
図9は、本発明の第3の変形例によるアウトソールプレート構造において、各溝の配列を説明するための概略図である。同図に示すように、各溝g
1〜g
5は、点Oを起点として内甲側に向かって直線状に放射状に延びており、扇状に分布している。
【0051】
<第4ないし7の変形例>
前記実施例では、溝2を構成する各溝21〜25が、内甲側領域において概略三角形状の横断面形状を有し、外甲側領域において概略円弧形状の横断面形状を有するものを示したが、溝2の横断面形状はこれに限定されない。
図10ないし
図13は、溝2の横断面形状の変形例を示している。なお、各図においては、ハッチングを省略している。
【0052】
図10に示すものでは、溝2Aは、複数の鋸歯状の突起2Apの間に形成された複数の三角形状の溝2Agから構成されている。
図11に示すものでは、溝2Bは、複数の山形状の突起2Bpの間に形成された複数の谷形状の溝2Bgから構成されている。
図12に示すものでは、溝2Cは、複数の矩形状突起2Cpの間に形成された複数の矩形状の溝2Cgから構成されている。
図13に示すものでは、溝2Dは、複数の波形状突起2Dpの間に形成された複数の波形状の溝2Dgから構成されている。
【0053】
<第8の変形例>
前記実施例では、
図1ないし
図4に示したように、前足部領域Fに7個のクリーツを配置し、踵部領域Hに2個のクリーツを配置した例を示したが、クリーツの個数や配置は、前記実施例に示されたものには限定されない。
【0054】
図14は、クリーツの個数や配置が前記実施例と異なる場合のアウトソールプレート構造の一例を示している。同図に示す例では、前記実施例における前足部領域Fの内甲側のクリーツ10’のかわりにクリーツ10'
1、10’
2が、外甲側のクリーツ11の前方にクリーツ11
1がそれぞれ配置され、前記実施例における踵部領域Hの内甲側のクリーツ13のかわりにクリーツ13
1、13
2が、外甲側のクリーツ13’のかわりにクリーツ13’
1、13’
2がそれぞれ配置されている。クリーツ10'
1、10’
2は、拇指球部領域TEに対応する位置に配置され、クリーツ13
1は、載距突起部分STに対応する位置に配置されている。なお、
図14に示すものにおいても、前記実施例と同様の溝2が配設されており、各溝の配置、分布領域および配列は前記実施例と同様であり、その横断面形状についても、
図14のV-V線断面およびVI-VI線断面は、前記実施例の
図5および
図6に示したとおりである。
【0055】
この場合においても、前記実施例と同様に、アウトソールプレート本体1において拇指球部領域TEに対応する領域が踵部領域Hに対して屈曲しやすくなっており、言い換えれば、アウトソールプレート本体1の中足部領域Mが回外を起こしやすくなっている。これにより、ターンを行う際には、アウトソールプレート本体1の底面1Aを地面に対して十分に接地させることができ、地面に対するグリップ力を大きくできるとともに、ターンを行う方向への脚の傾斜角度を大きくできる。このようにして、ターンを行う方向への地面反力を十分に得ることができ、素早いターンを実現できるようになる。
【0056】
<第9の変形例>
前記実施例では、好ましい例として、アウトソールプレート本体1において三角形状領域TRの外甲側に高剛性領域部3を設けた例を示したが、この高剛性領域部3は省略することも可能である。三角形状領域TRに溝2を形成することで、当該三角形状領域TRの剛性を相対的に低下させることが可能だからである。