(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
包袋保持手段は、左右方向に同時かつ対称的に可動する一対の懸架ピンを備え、包袋の左右の側シール部に穿設された一対の懸架孔に、各々前記懸架ピンを差し込むことにより、包袋保持手段に包袋が懸架保持されるようにしてある請求項3または請求項4に記載の充填包装装置。
ガス置換ノズルは、内管とそれを囲繞する外管とからなる二重管構造としてあり、内管または外管のいずれか一方はエア吸引手段に繋がり、他の一方はガス供給手段に繋がる請求項3から請求項5のいずれかに記載の充填包装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2003−11919号公報(特許文献1)に記載されたガス置換包装方法とその装置は、容器内をガス置換する際に、予め容器内のエアを除去することなく容器内にガスを導入するものであり、つまり、導入するガスで容器内のエアを押し出す方法と装置であるため、容器内にエアが残存し易く、ガス置換を高置換率で行うことは困難である。
また、特開2008−7139号公報(特許文献2)に記載された充填包装方法も、包装袋内のエアを予め除去することなく包装袋内にガスを導入するものであるため、包装袋内にエアが残存し易く高置換率でのガス置換は難しい。
【0006】
さらに、特開2003−231506号公報(特許文献3)に記載された脱気包装装置については、仮包装袋内の脱気が終了し、仮包装袋内からノズルを抜出する場合に、仮包装袋の開口部とそこに挿入されたノズルには、一対の圧着片による挟圧力が加えられているため、ノズルを抜出する際に、ノズルが仮包装袋の内壁面を傷つけてしまう恐れがある。包装袋の内壁面が傷つくと、包装袋にピンホールが空く原因となるばかりでなく、包装袋の微細な切粉が生ずる場合があるため、例えば、直接人体の血管内に入れる点滴用の薬剤等を包装する目的へは使用することができないといった問題点があった。
【0007】
本発明は前記先行技術の問題点を解決すべく、被包装物を充填した包袋内の不活性ガス等によるガス置換を高置換率で行うことができ、さらに、包袋の内壁面を傷つける事のない充填包装方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は請求項1に記載の通り、
包袋内に被包装物を充填しガス置換して密封する充填包装方法において、
包袋の開口部から包袋内に被包装物を充填した後、前記開口部にガス置換ノズルを挿入し、そのまま
前記開口部の全域を
一対のシールバーにより挟圧密閉して、
該シールバーのシール面に設けられた溝部に装着された耐熱性のパッキンによって、前記開口部のうち
前記ガス置換ノズルが挿入された部分
を囲繞して密閉しつつ該部分へのシールバーの熱の伝導を防いでシールせずに未シール部とし、その他の部分をシールすると共に、前記ガス置換ノズルにより包袋内のエアを吸引除去した後にガスを送入し、前記開口部に対する挟圧密閉を解除した状態で包袋から前記ガス置換ノズルを抜出し、包袋の前記未シール部をシールすることにより包袋を密封する充填包装方法である。
【0009】
このように、包袋の開口部にガス置換ノズルを挿入したまま開口部の全域を挟圧密閉するため、ガス置換ノズルにより包袋内のエアを吸引除去する際に、包袋内に外気が侵入することなく、効率よく確実にエアを除去することができる。したがって、エアを十分に除去した後に不活性ガス等のガスを送入することにより、包袋内のガス置換を高置換率で行うことができる。
また、包袋の開口部のうちガス置換ノズルが挿入された部分を除くその他の部分をシールするため、ガス置換ノズルにより包袋内にガスを送入する際に、既に開口部に対する挟圧密閉を解除していても、送入したガスは包袋外に漏出し難く殆ど無駄にならない。
さらに、包袋の開口部のうちガス置換ノズルが挿入された部分はシールせず、また、開口部に対する挟圧密閉を解除した状態で包袋からガス置換ノズルを抜出するため、ガス置換ノズルは包袋からスムーズに抜けて、包袋の内壁面を傷つけることがない。
【0010】
次に、本発明は請求項2に記載の通り、包袋からガス置換ノズルを抜出した直後に包袋の未シール部を閉止し、その後前記未シール部をシールすることにより包袋を密封する請求項1に記載の充填包装方法である。
【0011】
本発明において閉止とは、包袋の未シール部を構成する前後2枚の合成樹脂シートをピンと張って重ね合わせ、未シール部の開口を閉じた状態をいう。したがって、シールのように完全に密封した状態ではない。
このように、包袋の未シール部を、ガス置換ノズルを抜出した直後に閉止するので、未シール部を完全にシールするまでの暫くの間、包袋内からのガスの漏出と包袋内への外気の侵入を防ぐことができる。
【0012】
次に、本発明は請求項3に記載の通り、
包袋を保持する包袋保持手段と、
包袋の開口部から包袋内に被包装物を充填する充填手段と、
前記開口部に対し挿入および抜出自在とされ、エア吸引手段およびガス供給手段に繋がるガス置換ノズルと、
前記開口部の全域を挟圧密閉すると共に、前記開口部のうち前記ガス置換ノズルが挿入された部分をシールせずに未シール部とし、その他の部分をシールする開口部密閉および第1シール手段と、
包袋の前記未シール部をシールする第2シール手段を備え、
前記開口部密閉および第1シール手段は、一対のシールバーを具備し、該シールバーのシール面には、これらが相対接近して前記開口部を挟圧密閉する際に、該開口部に挿入された前記ガス置換ノズルを収容するための空隙を形成する溝部が設けてあり、
該溝部には、前記開口部のうち前記ガス置換ノズルが挿入された部分を囲繞して密閉すると共に、該部分への前記シールバーの熱の伝導を防ぐ耐熱性のパッキンが装着されており、
前記包袋保持手段により開口保持された包袋内に、前記充填手段により被包装物を充填した後、前記開口部に前記ガス置換ノズルを挿入し、そのまま
前記開口部を前記開口部密閉および第1シール手段
の一対のシールバーにより挟圧密閉しつつ、
前記開口部の前記未シール部を除くその他の部分をシールすると共に、前記ガス置換ノズルにより包袋内のエアを吸引除去した後にガスを送入し、前記開口部密閉および第1シール手段による前記開口部の挟圧密閉を解除した状態で包袋から前記ガス置換ノズルを抜出し、前記第2シール手段により包袋の前記未シール部をシールすることにより包袋を密封する構成の充填包装装置である。
【0013】
このような構成により、包袋の開口部の挟圧密閉と第1シールを同じ手段により同時に行えるため、装置の機構を簡略化でき、製造効率を向上させることができる。
また、開口部密閉および第1シール手段によって、包袋の開口部にガス置換ノズルを挿入したまま開口部の全域を挟圧密閉するため、ガス置換ノズルにより包袋内のエアを吸引除去する際に、包袋内に外気が侵入することなく、効率よく確実にエアを除去することができる。したがって、エアを十分に除去した後に不活性ガス等のガスを送入することにより、包袋内のガス置換を高置換率で行うことができる。
さらに、開口部密閉および第1シール手段によって、包袋の開口部のうちガス置換ノズルが挿入された部分を除くその他の部分をシールするため、ガス置換ノズルにより包袋内にガスを送入する際に、既に開口部に対する挟圧密閉を解除していても、送入したガスは包袋外に漏出し難く、殆ど無駄にならない。
また、開口部密閉および第1シール手段によって、包袋の開口部のうちガス置換ノズルが挿入された部分はシールせず、また、開口部に対する挟圧密閉を解除した状態で包袋からガス置換ノズルを抜出するため、ガス置換ノズルは包袋からスムーズに抜けて、包袋の内壁面を傷つけることがない。
【0015】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、一対のシールバーで包袋の開口部の挟圧密閉と第1シールを行うことができるため、装置の機構を簡略化でき、製造効率を向上させることができる。
また、シールバーの溝部にパッキンが装着されているため、包袋開口部の挟圧密封を確実にできると共に、シールバーがヒートシールバーである場合には、パッキンが断熱材として機能することにより、包袋開口部のガス置換ノズルが挿入された部分へのシールバーの熱の伝導を防ぎ、包袋を構成する合成樹脂製シートを融解させることなく、未シール部を確実に形成することができる。
【0016】
次に、本発明は請求項
4に記載の通り、包袋保持手段は、包袋からガス置換ノズルを抜出した直後に未シール部を閉止するための、包袋を張架状態にする機構を備える請求項
3に記載の充填包装装置である。
【0017】
このように、包袋保持手段には包袋を張架状態にする機構が備わるので、包袋の未シール部を構成する前後2枚の合成樹脂製シートをピンと張って重ね合わせ、未シール部の開口を閉じた状態にすることができる。したがって、未シール部を、ガス置換ノズルを抜出した直後に閉止できるので、未シール部を完全にシールするまでの暫くの間、包袋内からのガスの漏出と包袋内への外気の侵入を防ぐことができる。
【0018】
次に、本発明は請求項
5に記載の通り、包袋保持手段は、左右方向に同時かつ対称的に可動する一対の懸架ピンを備え、包袋の左右の側シール部に穿設された一対の懸架孔に、各々前記懸架ピンを差し込むことにより、包袋保持手段に包袋が懸架保持されるようにしてある請求項3
または請求項4に記載の充填包装装置である。
【0019】
このように、包袋の懸架孔に懸架ピンを差し込んで包袋を懸架保持する構成により、包袋が大型で重い場合や包袋の材質が滑り易いものであっても、正確な位置で確実に保持することができる。
また、一対の懸架ピンは、左右方向に同時かつ対称的に可動するため、一対の懸架ピンの間隔を狭めて懸架保持する包袋を弛緩させて開口したり、間隔を拡げて包袋をピンと張った張架状態にしたりしても、包袋保持手段に対する包袋の中心位置がずれないため、包袋への被包装物の充填、ガス置換やシール等の一連の処理を精度高く行うことができる。
【0020】
次に、本発明は請求項
6に記載の通り、ガス置換ノズルは、内管とそれを囲繞する外管とからなる二重管構造としてあり、内管または外管のいずれか一方はエア吸引手段に繋がり、他の一方はガス供給手段に繋がる請求項3から請求項
5のいずれかに記載の充填包装装置である。
【0021】
このような構成により、包袋内のエアの吸引除去と不活性ガス等のガスの送入を1本のノズルで行うことができ、特に二重管とすることにより、エアの吸引除去とガス等の送入という逆の動作を、別個の経路で行うことができるため、一度ノズル内に吸引したエアが逆流して包袋内に戻ったり、ノズル内でエアとガスが混合したりすること防ぐことができ、包袋内のガス置換率を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の充填包装方法および装置によれば、被包装物を充填した包袋内の不活性ガス等によるガス置換を高置換率で行うことができ、さらに、包袋の内壁面を傷つける事のない充填包装方法および装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態の説明を行う。尚、本発明の趣旨に反しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
本発明の充填包装装置の一実施形態を
図1および
図2に示す。
充填包装装置1は、機台10上に設置されたスプロケット13aおよび13bに回動可能に嵌合する搬送チェン14と、搬送チェン14に略等間隔に装着された12個の包袋保持ユニット9と、作業者Hによって供給される空の包袋15を包袋保持ユニット9に懸架保持させる給袋ステーション2と、包袋15をカッター34により開封する開封ステーション3と、開封された包袋15を開口して包袋15内に不活性ガス(窒素)を送入する開口ステーション4と、包袋15内に所定量の被包装物(粉体)を充填する充填ステーション5と、包袋15内を不活性ガス置換し、かつ部分シールを行うガス置換ステーション6と、包袋15を完全密封する密封ステーション7と、包袋15のシールされた上縁部を冷却する冷却ステーション8を具備している。
【0026】
スプロケット13aおよび13bは、それぞれ機台1上に立設された軸受け11aおよび11bに貫装された2本の回転軸12の各々の上端に固着されている。これら2本の回転軸のうちスプロケット13aが固着された回転軸12は、機台10内部に設置された図示しないモーターの動作により間欠的に回転するため、同時にスプロケット13aが矢印A2方向に間欠回転し、スプロケット13aおよび13bに嵌合する搬送チェン14も矢印A1方向に間欠的に回動する。したがって、搬送チェン14に装着された包袋保持ユニット9は間欠搬送されて、2〜8の各ステーションの所定位置に所定時間停止するため、その間に、各包袋保持ユニット9に懸架保持された各包袋15が各ステーションによる処理を受け得るように構成されている。そして、各包袋15に対する各ステーションの処理が完了すると、また搬送チェン14の回動が開始し、各包袋15は次の各ステーションまで移動して次の処理を受け、この間欠搬送動作が繰り返されるようになっている。
【0027】
次に、
図3から
図6を参照しつつ、本発明の充填包装方法と充填包装装置の構成および動作を説明する。
図3(a)は、給袋ステーション2で行われる空の包袋15を包袋保持ユニット9に取り付ける方法と、給袋ステーション2の概略構成を図示したものである。
図3(a)に示す包袋15は、本実施形態にかかる充填包装装置1に好適に適用できる包袋の一態様であり、矩形の2枚のオレフィン系合成樹脂製シートの4縁辺をヒートシールして密封状態にしたものである。したがって、包袋15は、例えばこのままレトルト殺菌器等を使って加圧加熱殺菌することにより、その内腔152を無菌状態にできるものである。
【0028】
包袋15の左右の側シール部151の上部には懸架孔16a、16bが穿設されており、それぞれに包袋保持ユニット9の懸架ピン94a、94bを差し込むことで、包袋15を包袋保持ユニット9に懸架保持させるようにしてある。
尚、包袋15を包袋保持ユニット9に保持させる方法として、懸架ピン94a、94bに替えて、左右の側シール部151を挟むクランプ等を用いる方法も考えられるが、特に包袋15が大型で重い場合や、包袋15の材質が滑り易いものである場合には、本実施形態のような懸架孔16a、16bに懸架ピン94a、94bを差し込む方法によれば、正確な位置で確実に懸架保持させることができるため望ましい。
本実施形態における包袋15の包袋保持ユニット9の懸架ピン94a、94bへの懸架作業は、作業員Hの人手により行われているが、機械化することも可能である。
【0029】
ここで、包袋保持手段の一実施形態である包袋保持ユニット9の構成は、
図7および
図8に示すとおり、上端に包袋15を懸架保持する懸架ピン94a、94bが突設された相互に略対称形状の左右のアーム91a、91bと、搬送チェン14に固着され左右のアーム91a、91bを枢支軸92a、92bにより軸支するブラケット98と、左右のアーム91a、91bの下端に連結された引きばね95と、左側アーム91aの下部から左下方向に延設されたレバー96と、レバー96の下端に回動自在に取り付けられたローラ97とからなる。さらに、左右のアーム91a、91bには、それぞれブラケット98に軸支される略中央部において、左側アーム91aからは右方向に、右側アーム91bからは左方向に、互いに対向して噛合する扇形ギヤ93a、93bが延設されている。
【0030】
この包袋保持ユニット9は、搬送チェン14による間欠搬送に伴って、左右のアーム91a、91bが左右方向に同時かつ対称的に可動し、その上端に突設された懸架ピン94aと94bとの間隔が制御されている。より詳しくは、レバー96の下端のローラ97は、機台10上に包袋保持ユニット9の搬送軌道に沿って設置された図示しないカムのカム面に接触しており、包袋保持ユニット9の間欠搬送に伴ってカム面を移動し、カム面の高低差を上下動作としてレバー96に伝達する。次いで、レバー96の上下動作は、レバー96が延設された左側アーム91aにおいて左右動作に変換され、さらに、扇形ギヤ93aから噛合する扇形ギヤ93bに伝達されることにより、右側アーム91bは、左側アーム91aと同時かつ対称的に左右方向に揺動する。そのため、左右のアーム91a、91bの上端の懸架ピン94aと94bとの間隔が適宜に開閉するものである。
【0031】
上記のとおり、包袋15の包袋保持ユニット9への懸架保持作業が終了すると、搬送チェン14の回動が開始され、当該包袋15は次工程である開封ステーション3まで搬送される。
図3(b)および
図6(b)は、開封ステーション3で行われる包袋15の開封処理の方法と、開封ステーション3の概略構成を図示したものである。
【0032】
包袋保持ユニット9に懸架保持された包袋15が開封ステーション3まで搬送され所定位置に停止すると、包袋15の上縁部を押圧バー33と吸引函31とで前後方向から挟圧して固定する。次いで、カッター34が、包袋15の上縁のシール部分の少し下部を矢印A3方向に移動しつつ切断し、包袋15を開封する。
その際、カッター34による包袋15の切断により微細な切粉が生じる場合があるが、そのような切粉が包袋15の内腔152に入り込むと、製品の異物混入事故の原因となるため除去する必要がある。
【0033】
本実施形態において吸引函31は、その前面の包袋15に当接する部分が水平方向の全体に開口しており、カッター34による包袋15の開封動作により生じた切粉は、即座にその開口部から吸引函31内に吸引されるようになっている。このように、吸引函31内は陰圧となっており吸引力を生じるが、これは、吸引函31に接続された吸引管32を介し、図示しない真空ポンプの動作により吸引函31内の空気が吸引除去されることによる。
【0034】
カッター34は、エアシリンダ35aおよび35bに連結されており、エアシリンダ35aの動作によって包袋15に接近し或いは離れる方向に移動し、エアシリンダ35bの動作によって包袋15を切断する矢印A3方向とその逆方向に移動する。
エアシリンダ35a、35bは、図示しないエアコンプレッサから送気管38を介して送気される圧縮空気を動力源としており、また、これらのエアシリンダ35a、35bの動作は、二方弁37a、37bと減圧弁36a、36bによって制御される。
以上のとおり、包袋15の開封動作が終了した後、搬送チェン14の回動が再開し、当該包袋15は次工程である開口ステーション4まで搬送される。
【0035】
次に、
図3(c)および
図6(c)は、開口ステーション4で行われる包袋15の開口の方法と、開口ステーション4の概略構成を図示したものである。
包袋保持ユニット9に懸架保持された包袋15が開口ステーション4まで搬送され所定位置に停止すると、図示しないアクチュエータの動作により、吸盤42aと42bとが包袋15に向かって相対接近し、各々包袋15の前後のシートに吸着する。その際、吸盤42a、42bの吸着力は、各々に連結される吸引管41a、41bを介して図示しない真空ポンプの動作により付与される。
次いで、吸盤42aと42bとを離隔する矢印A4a、A4bの方向に移動させ、包袋15の前後のシートを引き離すと同時に、左右の懸架ピン94aと94bの間隔を狭める方向(矢印A5aおよびA5bの方向)に移動させることにより、包袋15の上部の開封部位を開いて開口部17を形成する。
【0036】
その後、包袋15の開口部17に給気ノズル43を下降させて挿入し、包袋15内に不活性ガスを送入する。これにより、包袋15の内腔152をより大きく拡げるとともに、製品のガス置換率をより向上させることができる。その際、給気ノズル43には、図示しない不活性ガス供給源(窒素ガスボンベ)から給気管44を介して不活性ガスが供給される。
包袋15内への不活性ガスの送入が終了すると、給気ノズル43を包袋15外まで上昇させるが、この給気ノズル43の下降および上昇は、図示しないエアコンプレッサから送気管48を介して送気される圧縮空気で作動するエアシリンダ45により行われ、二方弁47と減圧弁46によって制御される。
以上の包袋15の開口作業が終了すると、搬送チェン14の回動が再開し、包袋15は開口が維持された状態のままで充填ステーション5まで搬送される。
【0037】
図3(d)および
図6(d)は、充填ステーション5で行われる包袋15への紛体Pの充填方法と、充填手段の一実施形態である充填ステーション5の概略構成を図示したものである。
包袋保持ユニット9に懸架保持された包袋15が充填ステーション5まで搬送され所定位置に停止すると、包袋15の開口部17内に充填ノズル53を下降させて挿入し、包袋15内に所定量の粉体Pを充填する。
【0038】
充填ノズル53は、円筒形の内管54とそれを取り囲むように位置する円筒形の外管56とからなる二重管構造としてあり、内管54はオーガー式粉体充填機51の粉体吐出口と連通しており、外管56は吸引管58を介して図示しない真空ポンプに繋がれている。
尚、本実施形態においては、粉体充填機51としてオーガー式粉体充填機を採用し、スクリューの回転数により充填量を制御するものとしているが、他の任意の型式の充填機を採用することも可能である。
【0039】
粉体充填機51から所定量吐出された粉体Pは、充填ノズル53の内管54内を落下し、下端の吐出開口55から包袋15内に吐出される。その際、包袋15内で粉体Pの微粒子が粉塵となって舞い上がるが、かかる粉塵が包袋15の内側の開口部17周辺に付着すると、包袋15を密封シールする際の妨げとなる場合があるため好ましくない。
そこで、包袋15内への粉体Pの吐出直後に、充填ノズル53の外管56下端にリング形状に開口する吸引開口57から、包袋15内の粉塵が浮遊しているエアを吸引除去する。吸引開口57から外管56内に吸引された粉塵を含む気体は、図示しない真空ポンプの動作により吸引管58を介して移送され、図示しないフィルタにより粉塵が取り除かれた後に空気中に排気される。
包袋15内の粉塵の吸引除去に要する時間は、包袋15の内腔152の容積や充填される粉体Pの量により異なるが、通常は数秒程度である。
【0040】
包袋15内への粉体Pの充填と粉塵の吸引除去が終了すると、充填ノズル53を包袋15外まで上昇させるが、この充填ノズル53の下降および上昇は、図示しないエアコンプレッサから送気される圧縮空気で作動するエアシリンダ59により行われる。
充填ノズル53が所定位置まで上昇すると、搬送チェン14の回動が再開し、当該包袋15は開口が維持された状態のままでガス置換ステーション6まで搬送される。
【0041】
図4(e)、(f)、(g)および
図6(e)は、ガス置換ステーション6で行われる包袋15のガス置換方法と部分シール方法、およびガス置換ステーション6の概略構成を図示したものである。
包袋保持ユニット9に懸架保持された包袋15がガス置換ステーション6まで搬送され所定位置に停止すると、図示しないエアコンプレッサからの圧縮空気によりエアシリンダ69aが作動してガス置換ノズル61が下降し、包袋15の開口部17の略中央に挿入される。
【0042】
ガス置換ノズル61は、円筒形の内管62とそれを囲繞する円筒形の外管64とからなる二重管構造としてあり、内管62は図示しない吸引管を介してエア吸引手段としての真空ポンプに繋がっており、内管62の下端の円形の吸引開口63から包袋15内のエアを吸引除去するように構成され、また、外管64は給気管66を介して図示しないガス供給手段としての窒素ガスボンベに繋がっており、その下端のリング形状の給気開口65から包袋15内に不活性ガス(窒素ガス)を送入するように構成されている。
【0043】
尚、本実施形態のガス置換ノズル61は、包袋内の不活性ガス置換率を向上するために二重管構造としてあるが、それほど高い不活性ガス置換率を必要としない場合には、包袋15に対するガスの吸引と送入を弁の切り替えにより同一の管で行う一重管構造にしても良い。
また、本実施形態のガス置換ノズル61において、その内管62はエア吸引手段としての真空ポンプに繋がり、外管64はガス供給手段としての窒素ガスボンベに繋がるが、逆に、内管62がガス供給手段に繋がり、外管64がエア吸引手段に繋がる形態としても差し支えない。
【0044】
ガス置換ノズル61が包袋15の開口部17に挿入されると、開口部密閉および第1シール手段の一実施形態として、図示しないエアコンプレッサからの圧縮空気によりエアシリンダ69bが作動して、第1シールバー67aと67bとが包袋15の前後方向から相対接近し、包袋15の開口部17の全域と開口部17の略中央に挿入されたガス置換ノズル61を一緒に挟圧する。
【0045】
第1シールバー67a、67bには、
図9〜
図11に示すとおり、各々の部分シール面671の中央部に断面半円形の溝部673が設けてあり、さらに溝部673には、
図12および
図13に示す耐熱性シリコンゴム製の半割筒状パッキン681が装着されている。
したがって、第1シールバー67aと67bとをそれらの部分シール面671同士を相対接近して包袋15を挟圧する場合、第1シールバー67aと67bの各々の溝部673に装着された半割筒状パッキン681同士が向い合せに接近して、相対する半割筒状パッキン681により囲まれた円筒形の空隙が形成されるが、この空隙は、円筒形のガス置換ノズル61を囲繞し略隙間なく収容できる大きさとしてある。
【0046】
すなわち、この円筒形の空隙の内径は、ガス置換ノズル61の外径と略等しいため、第1シールバー67aと67bとで包袋15とその開口部17に挿入されたガス置換ノズル61をそのまま一緒に挟圧する場合、包袋15の上縁部のうち、第1シールバー67aと67bの相対する部分シール面671の間に挟圧される部分と、半割筒状パッキン681の内周面とガス置換ノズル61の外周面との間に挟圧される部分とが生ずるが、いずれの部分においても挟圧密閉されるため、結果として包袋15は、その内部がガス置換ノズル61と連通している点を除いて密閉状態が確保された状態となる。
【0047】
ここで、第一シールバー67a、67bは、アルミ合金により形成されており、内部を横方向に貫通して設けられたヒーター孔672に嵌装されたヒーター(図示せず。)により、各々の部分シール面671が加熱されるようになっている。
したがって、第1シールバー67a、67bにより包袋15とその開口部17の略中央に挿入されたガス置換ノズル61とを挟圧した場合、包袋15の上縁部のうち、相対する部分シール面671の間に挟圧された部分は、加熱により包袋15の合成樹脂製シートが融着して第1シール部(部分シール部)153となる。このように、第1シール部153を形成するためのヒートシール条件としては、包袋15の材質や厚さ等によって異なるが、例えば包袋15の材質がオレフィン系合成樹脂で、シートの厚さが0.1〜0.5mm程度である場合には、部分シール面671の設定温度を120〜170℃程度にして、包袋15の挟圧時間を1〜4秒程度にすれば良い。
【0048】
一方、包袋15の上縁部のうち、第1シールバー67a、67bに装着された半割筒状パッキン681の内周面とガス置換ノズル61の外周面との間に挟圧された部分は、耐熱性シリコンゴム製の半割筒状パッキン681により第1シールバー67a、67bの熱が遮断されるため、包袋15の樹脂シートは融けることなく未シール部18となる。
【0049】
半割筒状パッキン681を第1シールバー67a、67bに装着するには、第1シールバー67a、67bが加熱され高温になることから、合成樹脂製の接着剤等を使用することは好ましくない。
したがって、本実施形態では、第1シールバー67の溝部673の中央に、断面形状が底部に向かって拡がる台形の凹条部674を縦方向に設け、また、半割筒状パッキン681の背面中央に、断面形状が頂部に向かって拡がる台形の凸条部682を縦方向に設けて、これら第1シールバー67の凹条部674と、半割筒状パッキン681の凸条部682とを嵌合することにより、接着剤等を使用することなく、半割筒状パッキン681を部分シールバー67の溝部673に固定して装着してある。
【0050】
尚、本実施形態においては、第1シールバー67aおよび67bに半割筒状パッキン681を装着してあるが、
図14のごとく、ガス置換ノズル61に、その外面を囲繞するように筒状パッキン683を装着するようにしても良い。
また、本実施形態においては、第1シール部153を形成するためのシール方法として、ヒートシールを採用しているが、超音波シールなどの他のシール方法を採用することも可能である。
【0051】
上記のとおり、第1シールバー67a、67bによって包袋15とその開口部17に挿入されたガス置換ノズル61とを一緒に挟圧密閉する際には、第1シール部153を形成するが、併せて、ガス置換ノズル61から包袋15内のエアを吸引除去(脱気)する。
ガス置換ノズル61は、上記のとおり、円筒形の内管62とそれを囲繞する外管64とからなり、内管62は図示しない吸引管を介して真空ポンプに繋がっており、その下端の吸引開口63から包袋15内のエアを吸引除去する。この場合に、包袋15はガス置換ノズル61と連通している点を除いて密閉状態が確保されているので、包袋15内のエアをガス置換ノズル61の内管62から吸引除去する際に、包袋15内に開口部17等から外気が流入することがなく、確実に効率良く吸引除去することができる。
【0052】
このように、包袋15内のエアの吸引除去中は、第1シールバー67a、67bで包袋15の上縁部とガス置換ノズル61を挟圧し続ける必要があるので、吸引除去に要する時間は、第1シール部153の形成に要する時間と同じか或いは短くする必要がある。かかる時間調整は、包袋15内のエアを吸引除去する際の真空ポンプの能力や、第1シール部153を形成する際のヒートシール温度等を適宜調整することにより行うことができる。
【0053】
包袋15内のエアの吸引除去が終了すると、ガス置換ノズル61の外管64を通じて給気開口65から包袋15内に不活性ガスを送入する。不活性ガスの送入量は、包袋15の大きさにより異なるが、エアの吸引除去により包袋15内の粉体Pが圧縮されて固まったような場合に、ほぐし崩せる空間を確保できる程度の送入量で充分である。
不活性ガスの送入時には、包袋15内は陽圧になるため、包袋15を密閉状態にしておかなくても外気は流入しない。したがって、第1シールバー67a、67bによって包袋15とその開口部17に挿入されたガス置換ノズル61とを挟圧密閉しておく必要はない。
本実施形態では、包袋15内への不活性ガスの送入開始後すぐに、第1シールバー67a、67bを包袋15から離すように制御されている。
【0054】
不活性ガスの送入が終了すると、エアシリンダ69aを作動させガス置換ノズル61を上昇させて包袋15から抜出し、次いで、包袋保持ユニット9の懸架ピン94aと94bをそれらの間隔が開く矢印A6aとA6bの方向に移動させ、懸架孔16a、16bにより懸架されている包袋15を左右方向に引っ張りその上縁部をピンと張った張架状態にする。これにより、包袋15の上縁部のガス置換ノズル61を抜出した部分である未シール部18が閉じて閉止されるため、包袋15内から不活性ガスが漏出し難くなり、さらに包袋15内に外気が流入し難くなる。
【0055】
本実施形態において閉止とは、包袋15を横方向に引っ張ることにより、未シール部18を構成する前後2枚の合成樹脂シートをピンと張って重ね合わせ、未シール部18の開口を閉じた状態をいい、シールのように完全に密封した状態ではない。したがって、包袋15内の不活性ガスの漏出や包袋15内への外気の流入を完全に防ぐことはできないため、なるべく早く次工程の未シール部18の完全シールを行うことが望ましい。
以上のとおり、包袋15内のガス置換作業が終了した後、搬送チェン14の回動が再開し、当該包袋15は、未シール部18が閉止された状態のままで次工程の密封ステーション7まで搬送される。
【0056】
図4(h)および
図6(h)は、密封ステーション7で行われる包袋15の上縁部の完全シール方法と、密封ステーション7の概略構成を図示したものである。
包袋保持ユニット9に懸架保持された包袋15が密封ステーション7まで搬送され所定位置に停止すると、第2シール手段の一実施形態として、図示しないエアコンプレッサからの圧縮空気によりエアシリンダ72が作動して、第2シールバー71aと71bとが包袋15の前後方向から相対接近し、包袋15の上縁部の未シール部18を挟圧する。
【0057】
第2シールバー71a、71bは、アルミ合金により形成されており、各々図示しないヒーターによりシール面が加熱されるようにしてあるため、これらで包袋15の未シール部18を挟圧すると、包袋15の合成樹脂シートが加熱により融着して第2シール部(完全シール部)154が形成される。包袋15は、第2シール部154が形成されることにより完全に密封される。
尚、第2シール部154を形成する温度や時間等のヒートシール条件は、上記の第1シール部153を形成する加熱条件と略同じである。
第2シール部154の形成が終了すると、第2シールバー71a、71bが包袋15から離れ、次いで搬送チェン14の回動が再開し、当該包袋15は次工程である冷却ステーション8まで搬送される。
【0058】
図5(i)は、冷却ステーション8で行われる包袋15の上縁シール部の冷却方法と、冷却ステーション8の概略構成を図示したものである。
包袋保持ユニット9に懸架保持された包袋15が冷却ステーション8まで搬送され所定位置に停止すると、図示しないエアコンプレッサからの圧縮空気によりエアシリンダが作動し、冷却バー81aと81bとが包袋15の前後方向から相対接近し、包袋15の第1シール部153および第2シール部154の両方を挟圧する。
この冷却ステーション8における各シール部の冷却処理は、本願発明において必ずしも必要な処理ではない。しかし、第1シール部153と第2シール部154は、ガス置換ステーション6と密封ステーション7において融着形成されたばかりなので、未だ合成樹脂が完全に固まっていない可能性があり、冷却バー81aと81bとで挟圧して冷却処理することにより、各シール部の融着強度を向上させ、包袋のピンホールの発生等を防ぐことができるため好ましい。
【0059】
冷却に要する時間は、包袋を形成する合成樹脂の種類や合成樹脂シートの厚さにより異なるが、概ね1秒間程度冷却バー81a、81bにより各シール部を挟圧すれば良い。
尚、冷却バー81はアルミ合金により形成されており放熱性に優れるが、さらに冷却バーを強制的に冷却する装置等を取り付けることも可能である。
各シール部の冷却が終了すると、冷却バー81a、81bが包袋15から離れ、次いで搬送チェン14の回動が再開し、当該包袋15は給袋ステーション2まで搬送される。
【0060】
図5(j)は、給袋ステーション2で行われる充填包装処理済みの包袋15を包袋保持ユニット9から取り外す方法を図示したものである。
全ての処理を終了した包袋15が、包袋保持ユニット9に懸架保持されて再度給袋ステーション2まで搬送され所定位置に停止すると、作業員Hが、包袋保持ユニット9の懸架ピン94a、94bから包袋15を取り外す。
尚、本実施形態においては、懸架ピン94a、94bからの包袋15の取り外し作業は人手により行われるが、機械化することも可能である。
【0061】
以上の本実施形態における全ての処理を終え、粉体Pが充填され窒素ガス置換を施された包袋15は、窒素チャンバー等を用いず通常の空気環境下で少量の窒素を用いて製造されたにもかかわらず、包袋内の窒素置換率として96〜98%を達成しており、本願発明の効果の顕著性を示すものである。