(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面形状が四角形からなる上面、前記上面の第1上面辺に沿って形成された複数の第1ボンディングリード、前記上面の前記第1上面辺と対向する第2上面辺に沿って形成された複数の第2ボンディングリード、前記上面とは反対側の下面、および前記下面に形成された複数のバンプランドを有する配線基板と、
平面形状が四角形からなる主面、前記主面の第1主面辺に沿って形成された複数の第1主面辺パッド、前記主面の前記第1主面辺と対向する第2主面辺に沿って形成された複数の第2主面辺パッド、および前記主面とは反対側の裏面を有し、前記裏面が前記配線基板の前記上面と対向し、かつ、平面視において前記第1及び第2主面辺が前記第1及び第2上面辺とそれぞれ並び、かつ、前記複数の第1ボンディングリードおよび前記複数の第2ボンディングリードがそれぞれ露出するように、前記配線基板の前記上面に搭載された第1半導体チップと、
平面形状が四角形からなる表面、前記表面の第1表面辺に沿って形成された複数の第1表面辺パッド、および前記表面とは反対側の背面を有し、前記背面が前記第1半導体チップの前記主面と対向し、かつ、平面視において前記第1及び第2表面辺が前記第1及び第2主面辺とそれぞれ並び、かつ、前記複数の第1主面辺パッドおよび前記複数の第2主面辺パッドがそれぞれ露出するように、前記第1半導体チップの前記主面に搭載された第2半導体チップと、
前記複数の第1主面辺パッドと前記複数の第1ボンディングリードの第1リード群を、それぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤと、
前記複数の第2主面辺パッドと前記複数の第2ボンディングリードを、それぞれ電気的に接続する複数の第2ワイヤと、
前記複数の第1表面辺パッドと前記複数の第1ボンディングリードの第2リード群を、それぞれ電気的に接続する複数の第3ワイヤと、
を含み、
前記複数の第1主面辺パッドは、高周波送信電流信号を外部へ出力するための第1パッドと、高周波受信電流信号を外部から入力するための第2パッドと、を有しており、
前記第1半導体チップは、さらに、第1CPUと、前記第1パッドと電気的に接続される出力トランジスタと、前記第2パッドと電気的に接続される入力トランジスタと、前記第2パッドを介して受信した信号の判別結果が第1の信号であった場合はこの第1の信号に対するデータ処理を前記第1CPUに要求し、前記判別結果が第2の信号であった場合はこの第2の信号に対するデータ処理を前記第2半導体チップの第2CPUに委ねる制御回路と、を有し、
前記出力トランジスタのサイズは、前記入力トランジスタのサイズよりも大きく、
平面視において、前記第1パッドは、前記複数の第1主面辺パッドのうち、前記第2パッドを含む他のパッドよりも前記第2主面辺寄りに配置されており、
平面視において、前記第2半導体チップは、前記第1主面辺に沿って前記第1パッドから離隔する方向に偏倚している半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0017】
〔1〕<送信用パッドを受信用パッドよりもチップの縁辺から遠ざける>
代表的な実施の形態に係る半導体装置(1)は、配線基板(300)の上に、高周波非接触通信のインタフェース制御と通信データのデータ処理とを行う第1半導体チップ(100)が搭載され、前記第1半導体チップの上に、前記通信データの別のデータ処理を行う第2半導体チップ(200)が搭載された構成を基本とする。前記配線基板は、平面形状が四角形からなる上面(315)、前記上面の第1上面辺(311)に沿って形成された複数の第1ボンディングリード(321A,321B,321C,321D)、前記上面の前記第1上面辺と対向する第2上面辺(312)に沿って形成された複数の第2ボンディングリード(322)、前記上面とは反対側の下面、および前記下面に形成された複数のバンプランド(302)を有する。前記第1半導体チップは、平面形状が四角形からなる主面(125)、前記主面の第1主面辺に沿って形成された複数の第1主面辺パッド(131A,131B,131C)、前記主面の前記第1主面辺と対向する第2主面辺(122)に沿って形成された複数の第2主面辺パッド(132)、および前記主面とは反対側の裏面を有し、前記裏面が前記配線基板の前記上面と対向し、かつ、平面視において前記第1及び第2主面辺が前記第1及び第2上面辺とそれぞれ並び、かつ、前記複数の第1ボンディングリードおよび前記複数の第2ボンディングリードがそれぞれ露出するように、前記配線基板の前記上面に搭載される。前記第2半導体チップは、平面形状が四角形からなる表面(215)、前記表面の第1表面辺(221)に沿って形成された複数の第1表面辺パッド(231)、および前記表面とは反対側の背面を有し、前記背面が前記第1半導体チップの前記主面と対向し、かつ、平面視において前記第1表面辺が前記第1主面辺とそれぞれ並び、かつ、前記複数の第1主面辺パッドおよび前記複数の第2主面辺パッドがそれぞれ露出するように、前記第1半導体チップの前記主面に搭載される。前記複数の第1主面辺パッドと前記複数の第1ボンディングリードの第1リード群(321A,321B,321C)は、複数の第1ワイヤ(410A,410B,410C)によってそれぞれ電気的に接続される。前記複数の第2主面辺パッドと前記複数の第2ボンディングリードは、複数の第2ワイヤ(411)によってそれぞれ電気的に接続される。前記複数の第1表面辺パッドと前記複数の第1ボンディングリードの第2リード群(321D)は、複数の第3ワイヤ(412)によってそれぞれ電気的に接続される。前記複数の第1主面辺パッドは、高周波送信電流信号を外部へ出力するための複数の第1パッド(131A)と、高周波受信電流信号を外部から入力するための複数の第2パッド(131B)を有している。前記複数の第1パッドは、前記複数の第1主面辺パッドのうちの他のパッドよりも前記第2主面辺寄りに配置されている。
【0018】
上記半導体装置によれば、第1半導体チップと第2半導体チップの双方に通信データのデータ処理機能を分散させたから双方の半導体チップの大きさが極端に異ならない。更に、上記データ処理機能の分散により、通信データのデータ処理機能が分散された一方の第2半導体チップとして、一つの非接触通信方式のセキュア処理に利用されていた既存のデータ処理用の半導体チップを流用可能になる。また、送信用パッドを受信用パッドよりもチップの縁辺から遠ざけることによって、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファが他の外部入出力バッファのサイズに比べて大きいということによって送信用パッドの配置に関する面積効率が悪化するという事態を回避することが容易になる。また、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファから対応する送信パッドまでの内部配線長さの最適化も容易になる。送信用パッドが他の入出力パッド列からずれていても、送信用パッドを避けるように第2半導体チップを第1半導体チップ上で偏倚させることによって半導体チップの積層と対応パッドの電気的接続の障害を容易に回避することが可能になる。これらにより、異なる複数の高周波非接触通信方式に対応する半導体装置をマルチチップで最適に構成することができる。
【0019】
〔2〕<アンテナへの接続パッド>
項1において、前記第1パッド及び第2パッドは電磁波通信のためのアンテナ(3)への接続に用いられるパッドである。
【0020】
これにより、電磁波通信のためのアンテナへの接続に用いられるパッドは送信用と受信用に個別化されているので、復調の前段でフィルタリングする回路などを外付け配置することが容易になり、また、変調の後段で送信信号をフィルタリングする回路などを外付け配置することが容易になる。
【0021】
〔3〕<出力トランジスタ>
項2において、前記第1パッドに接続する出力トランジスタは前記第2パッドに接続する入力トランジスタよりも大きなトランジスタサイズを有する。
【0022】
これにより、入力トランジスタよりも通常大きなサイズの出力トランジスタが第1パッドに接続される場合にも当然項1と同じ作用効果を奏する。
【0023】
〔4〕<第2半導体チップを偏倚して搭載>
項1において、前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップに対して前記第1主面辺に沿って前記第1パッドから離隔する方向に偏倚して、前記第1半導体チップの前記主面に搭載されている。
【0024】
これにより、第1半導体チップ表面の空きスペースを生かしてその上に第2半導体チップを搭載することができる。
【0025】
〔5〕<前記第2リード群と第1表面辺パッドを夫々偏倚配置>
項4において、前記第2リード群は前記第1上面辺に沿って前記第2半導体チップの偏倚方向に偏倚して配置される。前記第1表面辺パッドは前記第1表面辺に沿って前記第2半導体チップの偏倚方向に偏倚して配置されている。
【0026】
これにより、第2リード群と第1表面パッドとを接続する第3ワイヤ長の短縮に資することができる。
【0027】
〔6〕<通信方式に応じてセキュア処理を第1及び第2半導体チップに分散>
項1において、前記第1半導体チップが高周波非接触通信の対象とする通信信号は搬送波周波数が相互に等しく第1乃至第3のASK変調方式の信号である。第2のASK変調方式の信号は第1のASK変調方式の信号よりも変調度が低く且つ第1のASK変調方式の信号と通信速度が等しい信号である。第3のASK変調方式の信号は第1のASK変調方式の信号よりも変調度が低く且つ第1のASK変調方式の信号よりも通信速度が速い信号である。前記第1半導体チップは、前記高周波非接触通信のインタフェース制御と共に、前記データ処理として第1及び第2のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う。前記第2半導体チップは、前記別のデータ処理として第3のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う。
【0028】
これにより、第1乃至第3のASK変調方式に兼用される半導体装置を提供するとき、新たに開発すべき第1半導体チップには、前記高周波非接触通信のインタフェース制御と共に、第1及び第2のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う機能を搭載すればよい。第3のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う既存の半導体チップがあればそれを第2半導体チップに流用することができる。
【0029】
〔7〕<送信用パッドを受信用パッドよりもチップの縁辺から遠ざける製造方法>
別の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は以下の工程を含む:
(a)平面形状が四角形からなる上面、前記上面の第1上面辺に沿って形成された複数の第1ボンディングリード、前記上面の前記第1上面辺と対向する第2上面辺に沿って形成された複数の第2ボンディングリード、前記上面とは反対側の下面、および前記下面に形成された複数のバンプランドを有する配線基板を準備する工程;
(b)前記(a)工程の後、平面形状が四角形からなる主面、前記主面の第1主面辺に沿って形成された複数の第1主面辺パッド、前記主面の前記第1主面辺と対向する第2主面辺に沿って形成された複数の第2主面辺パッド、および前記主面とは反対側の裏面とを有し、高周波非接触通信のインタフェース制御と通信データのデータ処理とを行う第1半導体チップを、前記第1半導体チップの前記裏面が前記配線基板の前記上面と対向し、かつ、平面視において前記第1及び第2主面辺が前記第1及び第2上面辺とそれぞれ並び、かつ、前記複数の第1ボンディングリードおよび前記複数の第2ボンディングリードが前記第1半導体チップからそれぞれ露出するように、前記配線基板の前記上面に搭載する工程;
(c)前記(b)工程の後、平面形状が四角形からなる表面、前記表面の第1表面辺に沿って形成された複数の第1表面辺パッド、および前記表面とは反対側の背面を有し、前記通信データの別のデータ処理を行う第2半導体チップを、前記背面が前記第1半導体チップの前記主面と対向し、かつ、平面視において前記第1表面辺が前記第1主面辺とそれぞれ並び、かつ、前記複数の第1主面辺パッドおよび前記複数の第2主面辺パッドがそれぞれ露出するように、前記第1半導体チップの前記主面に搭載する工程;
(d)前記(c)工程の後、複数の第1ワイヤを介して前記複数の第1主面辺パッドと前記複数の第1ボンディングリードの第1リード群を、複数の第2ワイヤを介して前記複数の第2主面辺パッドと前記複数の第2ボンディングリードを、複数の第3ワイヤを介して前記複数の第1表面辺パッドと前記複数の第1ボンディングリードの第2リード群を、それぞれ電気的に接続する工程;
ここで、前記第1半導体チップの前記複数の第1主面辺パッドは、高周波送信電流信号を外部へ出力するための複数の第1パッドと、高周波受信電流信号を外部から入力するための複数の第2パッドを有する。前記複数の第1パッドは、前記複数の第1主面辺パッドのうちの他のパッドよりも前記第2主面辺寄りに配置されている。
【0030】
上記製造方法によれば、これに用いる第1半導体チップにおいては、送信用パッドが受信用パッドよりもチップの縁辺から遠ざけられているから、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファが他の外部入出力バッファのサイズに比べて大きいということによって送信用パッドの配置に関する面積効率が悪化するという制約が回避される。また、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファから対応する送信パッドまでの内部配線長も容易に最適化されている。これによって送信用パッドが他の入出力パッド列からずれていても、送信用パッドを避けるように第2半導体チップを第1半導体チップ上で偏倚させることにより、半導体チップの積層と対応パッドの電気的接続の障害を容易に回避することが可能になる。また、第1半導体チップと第2半導体チップの双方に通信データのデータ処理機能が分散されているから双方の半導体チップの大きさは極端に異ならない。更に、上記データ処理機能の分散により、通信データのデータ処理機能が分散された一方の第2半導体チップとして、一つの非接触通信方式のセキュア処理に利用されていた既存のデータ処理用の半導体チップを流用可能になる。したがって、異なる複数の高周波非接触通信方式に対応する半導体装置をマルチチップで小型且つ経済的に製造することができる。
【0031】
〔8〕<アンテナへの接続パッド>
項7において、前記第1パッド及び第2パッドは電磁波通信のためのアンテナへの接続に用いられるパッドである。
【0032】
これによれば、復調の前段で受信信号のフィルタリング等を行う回路を外付け配置することが容易になり、また、変調の後段で送信信号をフィルタリングする回路等を外付け配置することが容易になる。
【0033】
〔9〕<出力トランジスタ>
項8において、前記第1パッドに接続する出力トランジスタは前記第2パッドに接続する入力トランジスタよりも大きなトランジスタサイズを有する。
【0034】
これにより、入力トランジスタよりも通常大きなサイズの出力トランジスタが第1パッドに接続される場合にも当然項7と同じ作用効果を奏する。
【0035】
〔10〕<第2半導体チップを偏倚して搭載>
項7において、前記行程(c)において、前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップに対して前記第1主面辺に沿って前記第1パッドから離隔する方向に偏倚して、前記第1半導体チップの前記主面に搭載される。
【0036】
これにより、第1半導体チップ表面の空きスペースを生かしてその上に第2半導体チップを搭載することができる。
【0037】
〔11〕<前記第2リード群と第1表面辺パッドを夫々偏倚配置>
項10において、前記第2リード群は前記第1上面辺に沿って前記第2半導体チップの偏倚方向に偏倚して配置される。前記第1表面辺パッドは前記第1表面辺に沿って前記第2半導体チップの偏倚方向に偏倚して配置されている。
【0038】
これにより、第2リード群と第1表面パッドとを接続する第3ワイヤ長の短縮に資することができる。
【0039】
〔12〕<通信方式に応じてセキュア処理を第1及び第2半導体チップに分散>
項7において、前記第1半導体チップが高周波非接触通信の対象とする通信信号は搬送波周波数が相互に等しく第1乃至第3のASK変調方式の信号であり、第2のASK変調方式の信号は第1のASK変調方式の信号よりも変調度が低く且つ第1のASK変調方式の信号と通信速度が等しい信号である。第3のASK変調方式の信号は第1のASK変調方式の信号よりも変調度が低く且つ第1のASK変調方式の信号よりも通信速度が速い信号である。前記第1半導体チップは、受信信号の変調方式を判別すると共に、前記データ処理として第1及び第2のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う。前記第2半導体チップは、前記別のデータ処理として第3のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う。
【0040】
これにより第1乃至第3のASK変調方式に兼用される半導体装置を提供するとき、第3のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う既存の半導体チップがあればそれを第2半導体チップに流用することができる。
【0041】
〔13〕<送信用パッドを受信用パッドよりもチップの縁辺から遠ざける>
更に別に実施の形態にかかる半導体装置は、一縁辺に沿って複数のボンディングリードを有する配線基板と、前記配線基板の前記一縁辺に相隣り合う一縁辺に沿って複数のパッドを有し、前記複数のボンディングリードがそれぞれ露出するように、前記配線基板の上に搭載され、高周波非接触通信のインタフェース制御と通信データのデータ処理とを行う前記第1半導体チップを有する。更に、前記第1半導体チップの前記一縁辺に相隣り合う一縁辺に沿って複数のパッドを有し、前記第1半導体チップの複数のパッドがそれぞれ露出するように、前記第1半導体チップの上に搭載され、前記通信データの別のデータ処理を行う前記第2半導体チップと、を有する。前記第1半導体チップの前記パッドと前記複数のボンディングリードの第1リード群は、複数の第1ワイヤによってそれぞれ電気的に接続される。前記第2半導体チップの前記パッドと前記複数のボンディングリードの第2リード群は、複数の第2ワイヤによってそれぞれ電気的に接続される。前記第1半導体チップの前記パッドは、高周波送信電流信号を外部へ出力するための複数の第1パッドと、高周波受信電流信号を外部から入力するための複数の第2パッドを有している。前記複数の第1パッドは、前記第1半導体チップの前記パッドのうちの他のパッドよりも前記第1半導体チップの前記一縁辺からの距離が大きくされる。前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップに対してその前記一縁辺に沿って前記第1パッドから離隔する方向に偏倚して、前記第1半導体チップの上に搭載されている。
【0042】
これによれば、項1及び項4と同様の作用効果を奏する。
【0043】
〔14〕<前記第2リード群と第1表面辺パッドを夫々偏倚配置>
項13において、前記第2リード群は前記配線基板の前記一縁辺に沿って前記第2半導体チップの偏倚方向に偏倚して配置される。前記第2半導体チップの前記パッドはその一縁辺に沿って前記第2半導体チップの偏倚方向に偏倚して配置されている。
【0044】
これによれば、項5と同様の作用効果を奏する。
【0045】
〔15〕<通信方式に応じてセキュア処理を第1及び第2半導体チップに分散>
項13において、前記第1半導体チップが高周波非接触通信の対象とする通信信号は搬送波周波数が相互に等しく第1乃至第3のASK変調方式の信号であり、第2のASK変調方式の信号は第1のASK変調方式の信号よりも変調度が低く且つ第1のASK変調方式の信号と通信速度が等しい信号である。第3のASK変調方式の信号は第1のASK変調方式の信号よりも変調度が低く且つ第1のASK変調方式の信号よりも通信速度が速い信号である。前記第1半導体チップは、受信信号の変調方式を判別すると共に、前記データ処理として第1及び第2のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う。前記第2半導体チップは、前記別のデータ処理として第3のASK変調方式に係る受信データ及び送信データに対するセキュア処理を行う。
【0046】
これによれば、項6と同様の作用効果を奏する。
【0047】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0048】
≪高周波非接触通信システム≫
図1には一実施の形態に係る半導体装置が適用された高周波非接触通信システムが例示される。
【0049】
同図に示される高周波非接触通信システムは、非接触ICカード、非接触ICカード機能を搭載した携帯電話機などの携帯通信端末などに適用され、例えば、半導体装置1、外付け回路2及びアンテナ3が例示される。
【0050】
アンテナ3はコイル10とキャパシタ11を有し、LC共振回路を構成する。
【0051】
外付け回路2は復調用外部回路12及び変調用外部回路13を有する。復調用外部回路12及び変調用外部回路13はモノリシック回路に限らずハイブリッド回路で構成することも可能である。復調用外部回路12は、他の機器から発生されるノイズとアンテナとの競合などによって生ずる高周波ノイズを除去するためのバンドパスフィルタやローパスフィルタなどによって構成される。変調用外部回路13は他の機器から発生される高周波ノイズを除去するためのバンドパスフィルタやローパスフィルタなどによって構成される。
【0052】
半導体装置1は、3種類の高周波非接触通信、例えば前記タイプA、前記タイプB、前記タイプCの何れにも対応する高周波非接触インタフェース機能と通信データに対するデータ処理機能を備えたデバイスである。本実施の形態において、タイプA、タイプB、及びタイプCの何れの通信方式もキャリア周波数が等しく13.56MHzで、受信信号の変調方式はタイプAがASK100%、タオプイBがASK10%,タイプCがASK10%である。通信速度はタイプA及びタイプBが106kbps、タイプCが212kbpsであり、送受信信号のビットコーディングもそれぞれの規格にしたがって決まっている。
【0053】
この半導体装置1の詳細なデバイス構造については後で説明するが、例えば、配線基板の上に2個のモノリシック型半導体集積回路としての半導体チップを重ねて搭載したSIP(System In Package)形態のデバイスとして構成される。これに重ねて搭載された下側の半導体チップは高周波非接触通信のインタフェース制御と通信データのデータ処理とを行う第1半導体チップであり、例えば
図1に示されたRFチップ100である。重ねて搭載された上側の半導体チップは、前記通信データの別のデータ処理を行う第2半導体チップであり、例えば
図1に示されたセキュリティチップ200である。
【0054】
RFチップ100は、特に制限されないが、前記タイプA、前記タイプB、前記タイプCの夫々の高周波非接触通信のインタフェース制御用に、復調回路110、変調回路111、及び非接触制御回路112を有する。非接触制御回路112は内部バス108に接続される。RFチップ11は、通信データのセキュリティ処理を行うために、前記内部バス108に夫々接続される、プログラムを実行する中央処理装置(CPU)101、CPU101のアクセラレータとしての暗号化/復号回路102を有する。更に、CPU101が実行するプログラムなどを格納するROM103、CPU101のワーク領域に用いられるRAM104、電気的に書き換え可能であってパラメータテーブルの保持などに利用されるEEPROM105を有する。更に、RFチップ100は、セキュリティチップ200とのインタフェースなどに利用される通信制御回路、例えばISO/IEC7816−3の規格に準拠した半二重調歩同期式通信インタフェースをRFチップ100との間で行うためのUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)106を有し、内部バス108に接続される。107はRFチップの電源回路である。
【0055】
電源回路107はRFチップ100の外部端子Tr1,Tr2及び半導体装置1の外部端子Td1,Td2を介してアンテナ3に接続され、アンテナ3の両端に生ずる電圧を整流して直流電圧を生成してこれをRFチップ100の動作電源として利用させる。
【0056】
復調回路110はその入力端子がRFチップ100の外部端子Tr3,Tr4及び半導体装置1の外部端子Td3,Td4を介して復調用外部回路12の出力端子に接続される。復調回路110はアンテナ3で受信された電磁波に変調された信号、例えばアンテナ3の両端に生ずる高周波電圧信号を復調する。復調回路110はタイプAとタイプBに対応する低速復調と、タイプCに対応する高速復調とを並行して行い、復調した信号を非接触制御回路112に与える。
【0057】
非接触制御回路112は、復調回路110から与えられた復調信号がASK100%の復調信号であれば、これを前記タイプAの受信信号と判別する。そして、前記タイプAの受信信号に対してデコードやセキュリティ処理などの必要なデータ処理をCPU等に要求する。非接触制御回路112は、復調回路110から与えられた復調信号がASK100%の復調信号でなければ、その復調信号の先頭に付加されている値”0”のパルス幅の長短を判別し、長ければその値”0”のパルス幅を前記タイプBのSOF(Start Of Frame)と認識して当該復調信号をタイプBと判別し、前記タイプBの受信信号に対してデコードやセキュリティ処理などの必要なデータ処理をCPU101等に要求する。そのときのパルス幅が短ければその値”0”のパルス幅をタイプCのプリアンブル(Preamble)と認識して当該復調信号をタイプCと判別し、タイプCの受信信号をセキュリティチップ200に転送する処理をCPU101等に要求する。即ち、タイプCの受信データに対するセキュリティ処理はセキュリティチップ200に委ねられる。尚、受信信号に対する前記タイプA,前記タイプB、前記タイプCの判別手法の詳細については特許文献1に詳しくある。前記タイプA、前記タイプBの受信信号に対するデコードは例えばCPU101が行ってもよいし、非接触制御回路112で行ってもよい。デコードされた受信データに対するセキュリティ処理は、CPU101の制御にしたがってその受信データを暗号化/復号回路102に与えて行えばよい。
【0058】
変調回路111はその出力端子がRFチップ100の外部端子Tr5,Tr6及び半導体装置1の外部端子Td5,Td6を介して変調用外部回路13の入力端子に接続される。変調回路111は、CPU101の制御にしたがって暗号化/復号回路102で暗号化され、送信信号の信号タイプに従って非接触制御回路112でエンコードされた送信データを受け取って、信号タイプにしたがった変調度で変調する。変調されて外部端子Tr5,Tr6から出力された送信信号によってアンテナ3が駆動され、変調された信号が電磁波としてアンテナ3から送信される。
【0059】
セキュリティチップ200は、RFチップ100とのインタフェースなどに利用される通信制御回路として、例えばISO/IEC7816−3の規格に準拠した半二重調歩同期式通信インタフェースをRFチップとの間で行うためのUART206を有する。UART206が接続する内部バス208には、タイプCの通信データのセキュリティ処理を行うために、プログラムを実行する中央処理装置(CPU)201、CPU201のアクセラレータとしての暗号化/復号回路202を有する、更に、CPU201が実行するプログラムなどを格納するROM203、CPU201のワーク領域に用いられるRAM204、電気的に書き換え可能であってパラメータテーブルの保持などに利用されるEEPROM205が接続される。207はセキュリティチップ200の電源回路である。
【0060】
セキュリティチップ200はUART106を用いてタイプCの通信データをRFチップ100との間でやりとりする。通信データの秘匿性を維持するために、RFチップ100とセキュリティチップ200との間でやり取りする通信データは暗号化されたデータである。即ち、送信データの場合にはUART206は暗号化/復号回路202で暗号化されたデータをFRチップ100のUART106に転送する。受信データの場合には、UART206はRFチップ100のUART106から復号されていない状態でタイプCの受信データを受け取る。特に制限されないが、ここではUART206,106は送信と受信で夫々1ビットの非同期データ通信が可能なものとする。Ts7,Ts8はセキュリティチップ200におけるUART206の外部インタフェース端子、Tr7,Tr8はRFチップ100におけるUART106の外部インタフェース端子である。
【0061】
CPU201はRFチップ100からUART206を介してタイプCの受信データを受け取ることによって暗号化/復号回路202に受信データに対して所定の暗号化/復号アルゴリズムに従った復号処理を実行させる。タイプCの送信を行うとき、CPU201は送信データを暗号化/復号回路202で暗号化し、これをタイプCの送信指示と共にUART206を介してRFチップ100に与える。RFチップ100のCPU101は、例えばタイプCの通信指示に対する割込み要求などに応答して、非接触制御回路112に送信データをタイプC用にエンコードさせ、変調回路111で変調させて送信する制御を行う。
【0062】
電源回路107は、特に制限されないが、RFチップ100の外部出力用の電源端子Tr9,Tr10からセキュリティチップ200の電源端子Ts9,Ts10に供給される電源電圧を用いて動作電源を生成する。高周波非接触通信システムに電池電源があれば、RFチップ100の電源回路107はもとよりセキュリティチップ200の電源回路207もその電池電源を動作電源に用いてもよい。
【0063】
以上の如く、タイプA、タイプB、タイプCの何れにも対応可能な高周波非接触通信システムに用いる半導体装置1として、RFチップ100にはタイプA及びタイプBのセキュア処理を割り当て、セキュリティチップ200にはタイプCのセキュア処理を割り当て、通信方式に応じて双方に通信データのセキュアデータ処理機能を分散させた。
【0064】
≪半導体装置≫
次に、
図1で例示した一実施の形態に係る半導体装置1の構成について説明する。
図2は本実施の形態の半導体装置1の上面側を示す平面図、
図3は
図2に示す半導体装置1の下面側を示す平面図、
図4は
図2に示す半導体装置1の封止体を除去した上面側を示す平面図、
図5は
図4のA−A’線に沿った断面図、
図6は
図4のB−B’線に沿った断面図である。
【0065】
本実施の形態の半導体装置1は、基材として配線基板300を用いている。そして、この配線基板300の上面(チップ搭載面)上には、
図4乃至
図6に示すように、接着材(ダイボンド材)550を介して、複数の半導体チップとしての前記RFチップ100とセキュリティチップ200が搭載(積層)される。一方、配線基板300の下面(実装面)には、
図3、
図5及び
図6に示すように、外部端子となる複数の半田ボール(半田材)301が形成された、所謂、チップ積層型のBGA(Ball Grid Array)である。なお、本実施の形態では、
図1に対応して、2つ(2種類)の半導体チップとしてRFチップ100とセキュリティチップ200が配線基板300上に搭載されている構造を一例とするものである。
【0066】
また、本実施の形態では、
図4乃至
図6に示すように、RFチップ100とセキュリティチップ200のうち、外形サイズが大きい半導体チップが1段目に配置され、この1段目の半導体チップよりも外形サイズが小さい別の半導体チップが2段目に配置されている。具体的には、RFチップ100が下段、セキュリティチップ200が上段に配置される。
【0067】
また、
図4乃至
図6に示すように、各半導体チップ100,200は、図示を省略する半導体回路(半導体素子、トランジスタなど)が形成された主面(回路形成面)を上方に向ける、言い換えると、この主面とは反対側の裏面が配線基板の上面と対向するように、それぞれ搭載されている。そして、各半導体チップ100,200は、複数の導電性部材411、412を介して配線基板とそれぞれ電気的に接続されている。なお、本実施の形態の導電性部材411、412は、例えばワイヤである。
【0068】
さらに、本実施の形態では、
図1、
図5及び
図6に示すように、複数の半導体チップ100,200、複数の導電性部材411、412および配線基板300の上面は封止体500で覆われている。そして、この封止体500の表面(上面)の一部のマーク領域501には、製品名などの適宜のマーク502が付与されている。マーク502の付与は、例えばレーザ光照射で行われ、
図5及び
図6に例示されるように、マーク502の表面には凹陥下マーク痕が形成される。
【0069】
≪基材(配線基板、インタポーザ基板)≫
次に、基材(配線基板、インタポーザ基板)の一例である配線基板300について説明する。
【0070】
図7は配線基板300の上面側を示す平面図、
図8は
図7に示す配線基板300の下面側を示す平面図、
図9は
図7のA−A’線に沿った断面図、
図10は
図7のB−B’線に沿った断面図である。
【0071】
基材の一例である配線基板300は、
図9及び
図10に示すように、例えば絶縁層(コア層)の表裏それぞれに配線層が形成された、所謂、多層配線基板である。なお、本実施の形態の絶縁層は、例えばガラス繊維を含む樹脂から成る。配線基板の配線層の数は2層に限らず、さらに多い4層、あるいは6層であってもよい。この場合は、各配線層間に別の絶縁層が配置される。
【0072】
また、配線基板300の上面(チップ搭載面)315の平面形状は、
図4及び
図7などに示すように、四角形から成る。詳細に説明すると、上面は、第1辺(第1上面辺、
図7で言う上辺側)311と、この第1辺(第1上面辺)と対向する第2辺(第2上面辺、
図7で言う下辺側)312と、この第1辺および第2辺と交差する第3辺(第3上面辺、
図7で言う左辺側)313と、前記第3辺と対向する第4辺(第4上面辺、
図7で言う右辺側)314を有している。
【0073】
また、配線基板300における絶縁層の表面(最上層、1層目)に形成された配線層は、導電性部材を介して半導体チップ100,200とそれぞれ電気的に接続される複数の電極パッド(ボンディングリード)321A,321B,321C,321D,322を有している。なお、ボンディングリード321A,321B,321C,321D,322に代表される本実施の形態の電極パッドは、例えば銅(Cu)から成る。詳細に説明すると、本実施の形態では、
図4及び
図7に示すように、基材の上面(チップ搭載面)の第1辺(第1上面辺)311に沿って形成(配置)された複数のボンディングリード(第1ボンディングリード)321A,3321B,321C,321Dを有する。更に、この第1辺と対向する第2辺(第2上面辺)312に沿って形成(配置)された複数のボンディングリード(第2ボンディングリード)322とを有している。そして、複数の電極パッド(ボンディングリード)321A,321B,321C,3321D,322の表面には、図示しない金属層(めっき膜)が形成されており、本実施の形態では、例えば、ニッケル(Ni)上に金(Au)が形成された積層膜である。
【0074】
一方、配線基板300の下面(実装面)の平面形状も、
図3及び
図8に示すように、四角形から成る。詳細に説明すると、下面は、第1辺(第1下面辺、
図8で言う上辺側)331と、この第1辺(第1下面辺)と対向する第2辺(第2下面辺、
図8で言う下辺側)332と、この第1辺および第2辺と交差する第3辺(第3下面辺、
図8で言う右辺側)333と、前記第3辺と対向する第4辺(第4下面辺、
図8で言う左辺側)334を有している。そして、絶縁層の裏面(最下層、2層目)に形成された配線層は、外部端子が形成(接続)される複数の電極パッド(バンプランド)302を有している。なお、上述した複数の外部端子Td1、Td2、Td3,Td4,Td5,Td6(
図1参照)は、この複数の電極パッド(バンプランド)302の一部である。また、この電極パッド302について詳細に説明すると、本実施の形態では、
図3及び
図8に示すように、複数の電極パッド302は各辺(第1、第2、第3および第4辺)に沿って配置(形成)されている。言い換えると、複数の電極パッド302は、平面視において、行列状に配置されている。なお、本実施の形態の電極パッド302は、例えば銅(Cu)から成る。また、複数の電極パッド(バンプランド)302の表面には、図示しない金属層(めっき膜)が形成されており、本実施の形態では、例えば、ニッケル(Ni)上に金(Au)が形成された積層膜である。
【0075】
なお、上面に形成された複数の電極パッド(ボンディングリード)321A,3321B,321C、3321D,322は、図示しない上面および下面のそれぞれに形成された配線(上面側配線パターン、下面側配線パターン)と、図示しない上面および下面のうちの一方から他方に向かって形成された孔(ビア)の内部に形成された配線(ビア配線)を介して、下面に形成された複数の電極パッド(バンプランド)302と、それぞれ電気的に接続されている。
【0076】
また、配線基板300の上面は、複数の電極パッド(ボンディングリード)321A,3321B,321C、321D,322のそれぞれが露出するように、図示しない絶縁膜(ソルダレジスト膜)で覆われている。一方、配線基板300の下面も、複数の電極パッド(バンプランド)302のそれぞれが露出するように、図示しない絶縁膜(ソルダレジスト膜)で覆われている。
【0077】
≪RFチップ≫
次に、RFチップ100について説明する。
図11はRFチップ100の上面を示す平面図である。
【0078】
RFチップ100は、
図4及び
図11に示すように、平面形状が四角形からなる主面(表面、回路形成面)125、前記主面に形成された複数の電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132、および主面とは反対側の裏面(背面)を有している。詳細に説明すると、主面(表面、回路形成面)125は、第1辺(第1主面辺、
図11で言う上辺側)121と、この第1辺(第1主面辺)121と対向する第2辺(第2主面辺、
図11で言う下辺側)122と、この第1辺および第2辺と交差する第3辺(第3主面辺、
図11で言う左辺側)123と、前記第3辺と対向する第4辺(第4主面辺、
図11で言う右辺側)124を有している。
【0079】
RFチップ100には、前述のように外部から入力(受信)した信号(アナログ信号)を別の信号(デジタル信号)に変換する復調回路や、外部へ出力(送信)する信号(デジタル信号)を別の信号(アナログ信号)に変換する変調回路、CPU101、UART106等が形成されていることは言うまでもない。
【0080】
また、
図11に示すように、半導体チップの主面(表面、回路形成面)125に形成された複数の電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132、は、主面125の第1辺(第1主面辺)121に沿って形成(配置)された複数の電極パッド(第1主面辺パッド)131A,131B、131Cと、この第1辺と対向する第2辺(第2主面辺)122に沿って形成(配置)された複数の電極パッド(第2主面辺パッド)132に大別される。言い換えると、本実施の形態では、上記2つの辺(第1主面辺、第2主面辺)121,122以外の辺には電極パッドが形成されていない、所謂、2辺パッド構造である。
【0081】
ここで、RFチップ100の構成について詳細に説明すると、RFチップ100は、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板の上面に、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などが形成され、さらに、この上面上に複数の配線層および複数の絶縁層が交互に積層されている。そして、複数の配線層のうちの最上層の配線層に形成された配線の一部が上記の電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132に相当しており、本実施の形態では、この電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132が形成された面を主面(表面、回路形成面)125と呼んでいる。
【0082】
複数の電極パッド(第1主面辺パッド)131Aは、非接触通信による送信信号(アナログ信号)を、アンテナ3を介して外部へ出力するための複数の電極パッド(第1パッド、送信用パッド)であり、
図1の外部端子Tr5,Tr6に対応される。
【0083】
複数の電極パッド(第1主面辺パッド)131Bは、非接触通信による受信信号(アナログ信号)を、アンテナ3を介して外部から入力(受信)するための複数の電極パッド(第2パッド、受信用パッド)であり、
図1の外部端子Tr3,Tr4に対応される。
【0084】
複数の電極パッド(第1主面辺パッド)131Cは、電源回路107をアンテナ3に接続するパッド(
図1の外部端子Tr1,Tr2に対応する)、電源回路107をセキュリティチップ200に接続するパッド(
図1の外部端子Tr9,Tr10に対応する)、RFチップ100のUART106をセキュリティチップ200のUART206に接続するための複数の電極パッド(通信用パッド)を意味する。尚、第1主面辺パッド131Cの数は、便宜上、実際の数よりも少ない数にて図示している。
【0085】
複数の電極パッド(第2主面辺パッド)132は、
図1では図示を省略した入出力ポートの外部入出端子やクロック入力端子などを意味する。
【0086】
本実施の形態では、
図4及び
図11に示すように、第1辺(第1主面辺)121に沿って配置された複数の電極パッド(第1パッド、送信用パッド)131Aが、他のパッド(第1パッドを除く第1主面辺パッド)131B,131Cよりも第2辺(第2主面辺)122側に配置されている。言い換えると、複数の電極パッド(第1パッド、送信用パッド)131Aの配置列は、他のパッド(第1パッドを除く第1主面辺パッド)131B,131Cの配置列とは異なる(同じライン上ではない)。さらに言い換えると、平面視において、複数の電極パッド(第1パッド、送信用パッド)131Aは、他のパッド(第1パッドを除く第1主面辺パッド)131B,131Cと複数の電極パッド(第2主面辺パッド)132との間に配置されている。すなわち、複数の電極パッド(第1主面辺パッド)131A,131B,131Cは、第1辺(第1主面辺)121に沿って複数列(本実施の形態では2列)に亘って形成(配置)されているのに対し、複数の電極パッド(第2主面辺パッド)132は、第2辺(第2主面辺)122に沿って単数列(1列)で形成(配置)されている。さらに詳細に説明すると、本実施の形態では、複数の電極パッド(第1パッド、送信用パッド)131Aは、第1辺(第1主面辺)121を二等分する中心点を通過する中央線(仮想線)LCvよりも第4辺(
図11で言う右辺側)124に位置している。また、第3辺(第3主面辺)123を二等分する中心点を通過する中央線(仮想線)LChよりも第1辺(
図11で言う上辺側)121に位置している。
【0087】
上記送信用パッド131Aを受信用パッド131Bやその他の電極パッド131Cの列に比べて第1辺121からの距離を大きく採る理由は以下の通りである。すなわち、アンテナ3を駆動する送信信号を出力する送信バッファの駆動の駆動能力は、UART106のシリアル出力バッファやその他の入出力ポートの出力バッファに比べても大きくなり、まして、駆動用に出力トランジスタのサイズは、受信用の入力バッファやその他の入力バッファの入力トランジスタに比べてそのサイズは格段に小さい。サイズの大きなトランジスタは複数個の要素トランジスタを並列接続して構成され、ESD保護回路も個々の要素トランジスタ毎に配置されることになる。したがって、上記送信用パッド131Aに接続する送信バッファのサイズは出力トランジスタサイズが大きいだけでなく其れに応じてESD保護回路も大きくなる。したがって、そのような送信バッファをその他の入出力回路の外部入出力インタフェース回路のアレイと同等のIOセル領域に配置して構成する場合には、面積的な制約を受けたり、送信バッファ回路から送信パッドまでの配線に無駄を生ずる虞がある。これを回避するために、
図11に例示されるようにパッド131B,131Cに接続される外部入出力インタフェース回路用のIOセル領域140に比べて、大きな回路領域141に送信バッファ回路を構成する領域を割り当てて、送信用パッド131Aの配置に関する面積効率が悪化するという事態を回避できるようにした。また、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファから対応する送信パッドまでの内部配線長の最適化も容易化できるようにした。
【0088】
≪セキュリティチップ≫
次に、セキュリティチップ200について説明する。
図12はセキュリティチップ200の上面を示す平面図である。
【0089】
本実施の形態のセキュリティチップ200は、
図4及び
図12に示すように、平面形状が四角形からなる表面(主面、回路形成面)215、前記表面に形成された複数の電極パッド(ボンディングパッド)231、および表面とは反対側の背面(裏面)を有している。詳細に説明すると、表面(主面、回路形成面)は、第1辺(第1主面辺、
図12で言う上辺側)221と、この第1辺(第1表面辺)221と対向する第2辺(第2表面辺、
図12で言う下辺側)222と、この第1辺および第2辺と交差する第3辺(第3表面辺、
図12で言う左辺側)223と、前記第3辺と対向する第4辺(第4表面辺、
図12で言う右辺側)224を有している。
【0090】
セキュリティチップ200には、前述のようにCPU201やUART206などが形成されていることは言うまでもない。
【0091】
図12に示すように、セキュリティチップ200の表面(主面、回路形成面)215に形成された複数の電極パッド(ボンディングパッド)231は、主面の第1辺(第1表面辺)221に沿って形成(配置)されている。言い換えると、本実施の形態では、上記1つの辺(第1表面辺)221以外の辺には電極パッドが形成されていない、所謂、片辺パッド構造である。
【0092】
ここで、セキュリティチップ200の構成について詳細に説明する。セキュリティチップ200は、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板の上面に、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などが形成され、さらに、この上面上に複数の配線層および複数の絶縁層が交互に積層されている。そして、複数の配線層のうちの最上層の配線層に形成された配線の一部が上記の電極パッド(ボンディングパッド)231に相当しており、本実施の形態では、この電極パッド(ボンディングパッド)231が形成された面を表面(主面、回路形成面)215と呼んでいる。
【0093】
複数の電極パッド(第1表面辺パッド)231は、セキュリティチップ200とRFチップ100との間で信号(デジタル信号)の入出力を行うための複数の通信用パッド(
図1の外部端子Ts7,Ts8に対応する)と、外部から電源を入力(受信)するための複数の電源用パッド(
図1のTs9、Ts10に対応する)とに割り当てられている。複数の電極パッド(通信用パッド、電源用パッド)231は、第1辺(第1表面辺)221を二等分する中心点を通過する中央線(仮想線)LCvよりも第3辺(
図12で言う左辺側)223寄りに位置している。また、第3辺(第3表面辺)223を二等分する中心点を通過する中央線(仮想線)LChよりも第1辺(
図12で言う上辺側)221寄りに位置している。
【0094】
≪半導体装置の製造工程≫
図1乃至
図6に示す半導体装置1の製造工程について説明する。
【0095】
半導体装置1の製造法手は、主に、1).基材準備工程、2).チップマウント(ダイボンド)工程、3).ワイヤボンディング工程、4).モールド工程、5).ボールマウント工程、6).切断(ダイシング)工程、7).マーキング工程、及び8).検査工程から成る。
【0096】
1).基材準備工程;
図13は基材(配線基板、インタポーザ基板)の全体構造を示す上面図、
図14は
図13の下面図、
図15は
図13に示すA−A’線に沿った断面図、
図16は
図13のB−B’線に沿った断面図である。
【0097】
まず、基材の準備工程として、
図13乃至
図16に示すような母材(配線基板)400を準備する。本実施の形態で使用する母材400は、
図13乃至
図16に示すように、
図7乃至
図10に示す複数のデバイス領域(パッケージ形成領域)401と、この複数のデバイス領域のうちの互いに隣り合う2つのデバイス領域間、言い換えると、各デバイス領域の周囲に位置するダイシング領域402を有する、所謂、多数個取り基板である。本実施の形態では、
図13及び
図16に示すように、複数のデバイス領域が行列状に配置されている。
【0098】
また、各デバイス領域401は、ダイシングされて分割されることにより前記配線基板300とされ、前述したように、平面形状が四角形(第1辺、第2辺、第3辺および第4辺)から成り、複数の電極パッド(ボンディングリード、バンプランド)が上下面それぞれに形成されている。以下の製造工程に説明において、便宜上、デバイス領域401は配線基板300と同意義で用いるものとする。
【0099】
なお、次の工程からは、1つのデバイス領域のみ抜粋して説明する。
【0100】
2).チップマウント(ダイボンド)工程;
次にチップマウント(ダイボンド)工程について説明する。
図17はチップマウント工程において母材のデバイス領域にRFチップが搭載された状態を示す平面図、
図18は
図17に示すA−A’線に沿った断面図、
図19は
図17のB−B’線に沿った断面図である。
【0101】
図17乃至
図19に示すように、上記したRFチップ100を母材400の各デバイス領域401における上面(チップ搭載面)上に、接着材(ダイボンド材)を介して搭載する。詳細に説明すると、RFチップ100の裏面(背面)が母材(基材)400の上面と対向するように、接着材(ダイボンド材)を介して母材(基材)400の上面に搭載する。このとき、基材400の上面に形成された複数の電極パッド(ボンディングリード)321A,321B,321C,321D,322がRFチップ100から露出するように、第1辺(第1上面辺)311に沿って形成(配置)された複数のボンディングリード(第1ボンディングリード)321A,321B,321C,321Dと、第2辺(第2上面辺)312に沿って形成(配置)された複数のボンディングリード(第2ボンディングリード)322との間にRFチップ100を搭載する。また、
図4及び
図17に示すように、RFチップ100の第1辺(第1主面辺)121、第2辺(第2主面辺)122、第3辺(第3主面辺)123および第4辺(第4主面辺)124が、基材400におけるデバイス領域401の第1辺(第1上面辺)311、第2辺(第2上面辺)312、第3辺(第3上面辺)および第4辺(第4上面辺)とそれぞれ並ぶように、RFチップ100を配置している。
【0102】
なお、本実施の形態の接着材は、例えばフィルム状の接着材であり、絶縁性から成る。しかしながら、ペースト状(流動性を有する)の接着材(流動性を有する接着材)であってもよい。
【0103】
図20はチップマウント工程においてデバイス領域にRFチップ及びセキュリティチップが搭載された状態を示す平面図、
図21は
図20に示すA−A’線に沿った断面図、
図22は
図20のB−B’線に沿った断面図である。
【0104】
図20乃至
図22に示すように、次に、上記セキュリティチップ200をRFチップ100の主面(表面、回路形成面)125上に、接着材(ダイボンド材)を介して搭載する。詳細に説明すると、セキュリティチップ200の背面(裏面)がRFチップ100の主面125と対向するように、接着材(ダイボンド材)を介してRFチップ100の主面125に搭載する。このとき、下段側に位置するRFチップ100の主面125に形成された複数の電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132がセキュリティチップ200から露出するように、第1辺(第1主面辺)121に沿って形成(配置)された複数の電極パッド(第1主面辺パッド)131A,131B,131Cと、第2辺(第2主面辺)122に沿って形成(配置)された複数の電極パッド(第2主面辺パッド)132との間にセキュリティチップ200を搭載する。また、
図4及び
図20に示すように、セキュリティチップ200の第1辺(第1表面辺)221、第2辺(第2表面辺)222、第3辺(第3表面辺)223および第4辺(第4表面辺)224が、RFチップ100の第1辺(第1主面辺)121、第2辺(第2主面辺)122、第3辺(第3主面辺)123および第4辺(第4主面辺)124とそれぞれ並ぶように、セキュリティチップ200を配置している。すなわち、セキュリティチップ200は、セキュリティチップ200の第1辺(第1表面辺)221、第2辺(第2表面辺)222、第3辺(第3表面辺)223および第4辺(第4表面辺)224が、基材400のデバイス領域401の第1辺(第1上面辺)311、第2辺(第2上面辺)312、第3辺(第3上面辺)および第4辺(第4上面辺)とそれぞれ並ぶように、配置されている。
【0105】
ここで、上記したように、RFチップ100の第1辺(第1主面辺)121に沿って配置された複数の電極パッド(第1パッド、送信用パッド)131Aは、他のパッド(第1パッドを除く第1主面辺パッド)131B,131Cよりも第2辺(第2主面辺)122側に配置されている。そのため、
図20に示すように、セキュリティチップ200の中心部がRFチップ100の第4辺(第4主面辺、
図11で言う右辺側)124よりも第3辺(第3主面辺、
図11で言う左辺側)123側に位置するように、セキュリティチップ200をRFチップ100上に配置している。言い換えると、セキュリティチップ200は、RFチップ100の主面において、RFチップ100の第3辺(第3主面辺、
図11で言う左辺側)123側に寄せている。これにより、本実施の形態では、セキュリティチップ200の中心部は、RFチップ100の中心部と重ならない。
【0106】
なお、本実施の形態の接着材は、例えばフィルム状の接着材であり、絶縁性から成る。しかしながら、ペースト状(流動性を有する)の接着材(流動性を有する接着材)であってもよい。
【0107】
3).ワイヤボンディング工程;
図23は母材のデバイス領域に搭載したRFチップ及びセキュリティチップに対するワイヤボンディング工程において下段のRFチップにワイヤボンディングを行った状態を示す平面図、
図24は
図23に示すA−A’線に沿った断面図、
図25は
図23のB−B’線に沿った断面図である。
【0108】
図23乃至
図25に示すように、下段側に位置するRFチップ100の複数の電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132と各デバイス領域401における複数の電極パッド(ボンディングリード、第1リード群)321A,321B,321C,322に対しては、導電性部材である複数のワイヤ410A,410B,410C,411を介してそれぞれ電気的に接続する。
【0109】
詳細に説明すると、まず、ワイヤ410A,410B,410C,411の一部(端部)をRFチップ100の電極パッド(ボンディングパッド)131A,131B,131C,132に接続した後、このワイヤ410A,410B,410C,411の他部を基材401の電極パッド(ボンディングリード)321A,321B,321C,322に接続している。すなわち、本実施の形態では、RFチップ100と基材401とを電気的に接続するワイヤ410A,410B,410C,411は、所謂、正ボンディング方式により形成している。そのため、RFチップ100の電極パッド131A,131B,131C,132上では、
図25に例示されるように、RFチップ100の主面に対してほぼ垂直にワイヤ410A,410B,410C,411が形成されている。また、電極パッド(ボンディングリード)321A,321B,321C,322の表面(図示しない絶縁膜から露出した面)とワイヤ410A,410B,410C,411のなす角度は、電極パッド(ボンディングパッド)321A,321B,321C,322の表面(図示しない絶縁膜から露出した面)とワイヤ410A,410B,410C,411のなす角度よりも小さい。
【0110】
なお、ワイヤ410A,410B,410C,411の一部(端部)には第1ボンドのためのボール部(バンプ)420が形成されており、このボール部420をRFチップ)100の電極パッド(ボンディングパッド)321A,321B,321C,322に接続している。
図23乃至
図25において第1ボンドのための上記ボール部420は一部のみ図示してある。
【0111】
図26は母材400のデバイス領域401に搭載したRFチップ及びセキュリティチップに対するワイヤボンディング工程において上段のセキュリティチップにワイヤボンディングを行った状態を示す平面図、
図27は
図26に示すA−A’線に沿った断面図、
図28は
図26のB−B’線に沿った断面図である。
【0112】
図26乃至
図28に示すように、その次に、上段側に位置するセキュリティチップ200の複数の電極パッド(ボンディングパッド)231と各デバイス領域(基材)401の複数の電極パッド(ボンディングリード、第2リード群)321Dを、導電性部材である複数のワイヤ412を介してそれぞれ電気的に接続する。
【0113】
詳細に説明すると、まず、ワイヤ412の一部(端部)を基材401の電極パッド(ボンディングリード)321Dに接続した後、このワイヤ412の他部をセキュリティチップ200の電極パッド(ボンディングパッド)231に接続している。このとき、本実施の形態では、セキュリティチップ200の電極パッド231には、予め、ワイヤ412の一部からなるボール部(バンプ)430を形成しておき、このボール部(バンプ)430を介して、ワイヤ412の他部と電極パッド(ボンディングパッド)231とを電気的に接続している。ワイヤ412の一部(端部)に形成された第1ボンドのためのボール部(バンプ)420は、基材401の電極パッド(ボンディングリード)321Dに接続される。すなわち、本実施の形態では、セキュリティチップ200と基材401とを電気的に接続するワイヤ412は、所謂、逆ボンディング方式により形成している。そのため、基材401の電極パッド上では、基材401の上面に対してほぼ垂直にワイヤ412が形成されている。また、電極パッド(ボンディングリード)231の表面(図示しない絶縁膜から露出した面)とワイヤ412のなす角度は、電極パッド(ボンディングパッド)231の表面(図示しない絶縁膜から露出した面)とワイヤ412のなす角度よりも大きい。
【0114】
なお、
図26乃至
図28において第1ボンドのための上記ボール部420は一部のみ図示してある。
【0115】
4).モールド工程;
次にモールド工程を説明する。
【0116】
図29は一括モールドを行った後の状態を示す平面図、
図30は
図29に示すA−A’線に沿った断面図、
図31は
図29のB−B’線に沿った断面図である。
【0117】
モールド工程では、図示しない成形金型内に、RFチップ100及びセキュリティチップ200搭載された母材(多数個取り基板)400を配置する。そして、
図29乃至
図31に示すように、RFチップ100、セキュリティチップ200および複数のワイヤ410A,410B,410C,411,412を樹脂で封止して封止体500を形成する。このとき、本実施の形態では、複数のデバイス領域401にそれぞれ配置された複数の半導体チップ100,200を、図示しない成形金型に形成された1つのキャビティで覆い、複数の半導体チップ100,200(またはデバイス領域401)を一括して封止する。これにより、隣り合う2つのデバイス領域401の間に位置するダイシング領域の上面も、樹脂で覆われる。なお、本実施の形態の樹脂は、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂である。
【0118】
5).ボールマウント工程;
図32はボールマウント工程からダイシング工程を経た後の状態を示す平面図、
図33は
図32に示すA−A’線に沿った断面図、
図34は
図32のB−B’線に沿った断面図である。
【0119】
次に、封止体500が形成された基材400を図示しない成形金型から取り出した後、
図32乃至
図34に示すように、各デバイス領域401における下面に形成された電極パッド(バンプランド)302に、外部端子となる半田ボール(半田材)301を形成(接続)する。
【0120】
なお、本実施の形態の半田ボール301は、例えば錫(Sn)と銀(Ag)と銅(Cu)の合金からなる、所謂、鉛フリー半田材を使用している。なお、前記鉛フリー半田材とは、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令に基づいて、鉛(Pb)の含有率が1000ppm(0.1wt%)以下のものを言う。なお、錫(Sn)を含有する半田材を使用した場合には、銅(Cu)が拡散しやすいことから、本実施の形態は、前記鉛フリー半田材に限らず、鉛(Pb)を含有する半田材を使用した場合にも適用することができるが、環境汚染対策を考慮した場合は、本実施の形態のように、鉛フリー半田材を使用することが好ましい。
【0121】
6).切断(ダイシング)工程;
次に、封止体500と母材(多数個取り基板)400を切断することで、各デバイス領域401を母材400から分離する。詳細に説明すると、上記した母材400のダイシング領域内に、図示しないダイシングブレードを走行させることで、外部端子が形成されたデバイス領域401を母材(多数個取り基板)400から分離する。
【0122】
7).マーキング工程;
次に、図示しないトレイに個片化された基材を配置し、
図2に示すように、封止体500の表面に製品名などのマーク502を形成(付与)する。本実施の形態では、例えばレーザを封止体500の表面に照射することで、封止体500の表面にマーク502を刻印している。そのため、
図5及び
図6に示すように、封止体500の表面にはマーク502の痕跡として凹部(溝)が形成される。
【0123】
8).検査工程:
その後、形成したマーク502の外観検査(視認性チェック)や、搭載された半導体チップ100,200の電気試験などを行い、半導体装置1が完成する。
【0124】
≪電子装置(電子システム)について≫
上記の製造工程により完成された半導体装置1(検査工程において良品と判定された半導体装置)は、例えば
図1で説明したように携帯電話機やICカードなどの、図示しない実装基板(マザーボード)に、その他の回路部品と共に実装されて、高周波非接触通信システムを構成することになる。
【0125】
≪実施形態による効果≫
図1などに基づいて説明したように、タイプA、タイプB、タイプCの何れにも対応可能な高周波非接触通信システムに用いる半導体装置1として、上述のように、RFチップ100にはタイプA及びタイプBのセキュア処理を割り当てる。セキュリティチップ200にはタイプCのセキュア処理を割り当てる。このように通信方式に応じて双方に通信データのセキュアデータ処理機能を分散させたから、セキュリティチップに全ての通信方式のセキュアデータ処理機能を負担させる場合に比べて、REチップ100とセキュリティチップ200の大きさが極端に異ならないようになる。したがって、半導体装置1の平面的サイズの小型化、実装基板に対する占有面積の縮小化、という効果を得ることができる。
【0126】
更に、上記セキュアデータ処理機能の分散により、通信データのセキュアデータ処理機能が分散された一方のセキュリティチップ200として、タイプCの非接触通信方式のセキュア処理に利用されていた既存のデータ処理用の半導体チップを流用可能になる。
【0127】
図11に例示されるようにパッド131B,131Cに接続される外部入出力インタフェース回路用のIOセル領域140に比べて、大きな回路領域141に送信バッファ回路を構成する領域を割り当てた。これによって、送信用パッド131Aの配置に関する面積効率が悪化するという事態を回避できる。また、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファから対応する送信パッドまでの内部配線長の最適化も容易化できるようになる。
【0128】
また、送信用パッド131Aを受信用パッド131Bよりもチップの縁辺から遠ざけることによって、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファが他の外部入出力バッファのサイズに比べて大きいということによって送信用パッドの配置に関する面積効率が悪化するという事態を回避することが容易になる。また、高周波出力電流を外部に出力する外部出力バッファから対応する送信パッドまでの内部配線長の最適化も容易になる。
【0129】
送信用パッド131Aが他の入出力パッド列からずれていても、送信用パッド131Aを避けるようにセキュアチップ200をRFチップ100上で偏倚させることによって半導体チップの積層と対応パッドの電気的接続の障害を容易に回避することが可能になる。
【0130】
これらにより、異なる複数の高周波非接触通信方式に対応する半導体装置1をマルチチップで最適に、即ち、高機能化して信頼性を確保しながら小型化を実現することができる。
【0131】
また、上述のようにワイヤボンディングによってそのような半導体装置1を得ることができるから、フリップチップ実装に比べて半導体装置1の低コスト化に資することができる。
【0132】
更に、上段チップ200のワイヤは逆ボンディング方式により形成しているため、半導体装置1の薄型化、あるいはレーザによるマーキングが可能となる。正ボンディングを採用する場合には上段チップ200のパッドから立ち上がるワイヤの立ち上がり長さが長くなり、その分を併せて、レーザマーキングによる表面の凹陥寸法を考慮しなければ、レーザマーキングによる凹陥痕跡部分からワイヤが露出する不良を生ずることになる。
【0133】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0134】
例えば、本実施の形態では、基材(配線基板、インタポーザ基板)の電極パッド(ボンディングリード、バンプランド)の表面(絶縁膜からの露出面)に金属膜(めっき膜)が形成され手いることについて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、各電極パッドの表面には金属膜は形成されていなくてもよい。しかしながら、電極パッド(ボンディングリード、バンプランド)が銅(Cu)から成る場合は、その表面(絶縁膜からの露出面)が酸化し易いため、導電性部材(ワイヤ、半田材)との接合性(密着性)を考慮すると、前記実施の形態のように、金属膜を形成しておくことが好ましい。
【0135】
また、本実施の形態では、半導体チップ(RFチップ)が2辺パッド構造であることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、使用する基材や半導体チップ(RFチップ100、セキュリティチップ200)の大きさによっては、各辺あるいは3つの辺に沿って電極パッドが形成されていてもよい。ただし、各半導体チップ100、200を、複数のワイヤを介して基材と電気的に接続することを考慮すると、下段の半導体チップに形成される電極パッドは、上段の半導体チップで覆われていない、言い換えると、上段の半導体チップから露出していなければならない。
【0136】
また、本実施の形態では、半導体チップ(RFチップ100)の主面の第1辺(第1上面辺)に沿って形成された複数の電極パッド(第1主面辺パッド)が、この半導体チップ(RFチップ100)と半導体チップ(セキュリティチップ200)との間で信号(デジタル信号)の入出力を行うための複数の電極パッド(通信用パッド)を有していることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の電極パッド(通信用パッド)は、前記実施の形態とは異なる辺、すなわち、半導体チップ(RFチップ100)の主面の第2辺(第2上面辺)に沿って形成された複数の電極パッド(第2主面辺パッド)に含まれていてもよい(電源用パッドも同様)。なお、上段に積層される半導体チップ(セキュリティチップ200)の電極パッド(通信用パッド)は、
図4に示すように、基材の第1辺(第1上面辺)側に配置されているため、この電極パッド(通信用パッド)との接続(配線長)を考慮した場合は、前記実施の形態のように、同じ辺側に半導体チップ(RFチップ100)の電極パッド(通信用パッド)を配置しておくことが好ましい。
【0137】
また、下段チップ(RFチップ100)は正ボンディング方式、上段チップ(セキュリティチップ200)は逆ボンディング方式をメイン形態とする。但し、封止体の厚さが大きい場合には、上段チップに対しても正ボンディング方式を採用してもよい。
【0138】
基材(配線基板)の下面に形成されたバンプランドには、外部端子となる半田ボールが形成される。但し、半導体装置の構成としては、半田ボールがバンプランドの表面に形成された、所謂、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置に限らず、半田材がバンプランドの表面に形成された、所謂、LGA(Land Grid Array)型の半導体装置であってもよい。
【0139】
また、前記実施の形態では、複数のデバイス領域が設けられた母材(配線基板)を用いて半導体装置を製造することについて説明したが、これに限定されるものではなく、
図7乃至
図10に示すような1つのデバイス領域のみからなる基材(配線基板)を用いてもよい。
【0140】
また、半導体装置がサポートする高周波非接触インタフェース方式は上記タイプA、タイプB、タイプCに限定されず、その他の通信方式であってもよりことは言うまでもない。さらに、変調方式はASKに限定されず、周波数変調方式などを採用することも可能である。第1半導体チップ及び第2半導体チップはRFチップ及びセキュリティチップに限定されず、夫々の内部回路も上記実施の形態に限定されず適宜変更可能である。