(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959107
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】食用油の再生処理用容器
(51)【国際特許分類】
C11B 13/00 20060101AFI20160719BHJP
A23D 9/02 20060101ALN20160719BHJP
【FI】
C11B13/00
!A23D9/02
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-213742(P2012-213742)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-65860(P2014-65860A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】510066329
【氏名又は名称】森山 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕子
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第02/053513(WO,A1)
【文献】
特開2005−237496(JP,A)
【文献】
特開2000−139726(JP,A)
【文献】
特開2011−041528(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3103603(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3072210(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00− 15/00
C11C 1/00− 5/02
A23D 7/00− 9/06
B01J 20/00− 20/34
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の孔を開け、内部に食用油用再生剤を出し入れ可能に収容する筒状の容器本体と、該筒状の容器本体の少なくとも一方の端部の開口部を塞ぐ着脱自在の蓋から構成される食用油の再生処理用容器において、上記容器本体に開けた孔の縁から内側に折り曲げた折曲げ片を形成したことを特徴とする食用油の再生処理用容器。
【請求項2】
上記食用油が、菜種油(キャノーラ油)、サラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油 (ベニバナ油)、ヤシ油(パーム核油)、綿実油、ひまわり油、荏油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油であることを特徴とする請求項1に記載の食用油の再生処理用容器。
【請求項3】
上記筒状の容器本体が、円筒状であることを特徴とする請求項1または2に記載の食用油の再生処理用容器。
【請求項4】
上記容器本体に開けた多数の孔が、軸方向に配向された長孔であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の食用油の再生処理用容器。
【請求項5】
上記蓋を容器本体に固定する手段を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の食用油の再生処理用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用油の再生処理用容器、特に過熱状態の食用油内に投入して、内部に収容した食用油再生用粒剤により食用油を再生処理するための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食用油の再生処理用容器としては、特許文献1に示すように、粒子状の清浄剤を不織布製袋に収容して、この不織布製袋を更に多孔を有するステンレス製ケーシングに入れ、高温の食用油中に出したり入れたりして、食用油を高温度範囲において浄化するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−180500号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された従来の食用油の再生処理用容器は、清浄剤の酸化マグネシウム粒子が106〜500μmの粉状であるため、不織布製袋に入れた状態で多孔のケーシングに収容するように構成されているため、不織布製袋を必要としてコストアップになるだけでなく、収納作業の手間がかかる等の問題点があった。
また、上記従来の容器は、処理効果が低かった。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の食用油の再生処理用容器は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、多数の孔を開け、内部に食用油用再生剤を出し入れ可能に収容する筒状の容器本体と、該筒状の容器本体の少なくとも一方の端部の開口部を塞ぐ着脱自在の蓋から構成される
食用油の再生処理用容器において、上記容器本体に開けた孔の縁から内側に折り曲げた折曲げ片を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
1)
収容する粒剤が、使用中に減径したとしても数mm以上の大きさであるので、不織布製袋を必要とせず、コストダウンになるだけでなく、収納作業の手間がかからない。
2)
容器が筒状であるため、加熱油の対流や、人手等による掻き混ぜ作用により、回転して、収容されている食用油再生用粒剤が良く掻き混ぜられ、再生効率が向上する。
3)
容器に開けた孔の縁から内側に折り曲げ片を形成したので、上記容器本体が回転する際に、内部の粒状の食用油用再生剤がこれに当たって攪拌され、また、上記折曲げ片を長くして、僅かに内側に折り曲げて、容器本体との間に僅かな隙間を形成することにより、上記攪拌効果の他に、隙間を上記粒状の食用油用再生剤より狭くして抜け出ないようにすることにより、上記孔を大きくし、処理される食用油の出入りを多くしたり、強い流れを形成して、上記処理効果を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の食用油の再生処理用容器の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の食用油の再生処理用容器の縦断面図である。
【
図4】中に食用油再生用粒剤を入れた状態の容器の拡大端面図である。
【
図5】容器本体の孔の縁に形成した折曲げ片の二つの実施例(A)および(B)を示す部分拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の食用油の再生処理用容器の一実施例について、図面を参照しながら説明する。図において、1は、内部に食用油用再生剤を出し入れ可能に収容する筒状の容器本体、および、2は、上記容器本体1の端部の開口部を塞ぐ蓋である。
【0009】
上記容器本体1は、例えば、円筒のような筒状に形成されていて、少なくとも一端部に開口部1aを有する。他端部には、容器本体1と一体の底板を設けてもよい。該容器本体1の材料は、高温(例えば200〜300℃)の食用油に耐える材質であればいずれでも良いが、ステンレス鋼が好ましい。
【0010】
また、上記筒状の容器本体1には、多数の孔1bが開設されている。該孔1bの形状や大きさは、内部に収容した食用油用再生剤Gが抜け出ない大きさや形状であれば良い。特に、再生処理作用により再生剤Gが減径しても抜け出ない形状や大きさとする。
【0011】
上記蓋2は、留具3のような固定手段により、上記容器本体1に着脱自在に固定され、上記開口部1aを塞いで、食用油用再生剤Gの排出を防止すると共に、簡単に取り外して、新しい食用油用再生剤Gと速やかに且つ容易に交換できるようにしている。該蓋2は、容器本体1の両端部に設けてもよい。上記留具3には、鎖やワイヤーを連結して、本再生処理用容器を高温の食用油内から安全に取り出すことができる。
【0012】
上記食用油としては、菜種油(キャノーラ油)、サラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油
(ベニバナ油)、ヤシ油(パーム核油)、綿実油、ひまわり油、荏油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油等である。
【0013】
上記食用油用再生剤Gとしては、例えば、水酸燐灰石(hydroxylapatite、ハイドロキシアパタイト)Ca
5(PO
4)
3(OH)、フッ素燐灰石(fluorapatite、フルオロアパタイト)Ca
5(PO
4)
3F、塩素燐灰石(chlorapatite)Ca
5(PO
4)
3Cl、炭酸フッ素燐灰石(carbonate-fluorapatite)Ca
5(PO
4,CO
3)
3F、炭酸水酸燐灰石(carbonate-hydroxylapatite)Ca
5(PO
4,CO
3)
3(OH)等の天然アパタイトを、例えば直径3〜8mmの粒が好ましいが、これに限定するものではなく、使用済みの食用油を酸化防止処理したり、脱臭脱色処理したり、イオン交換機能のいずれかを発揮するものであれば良い。
【0014】
図5は、本発明
の実施例を示すもので、(A)に示すように、上記孔1bの縁から内側に折曲げ片1cを折り曲げて形成し、上記容器本体1が回転する際に、内部の粒状の食用油用再生剤Gがこれに当たって攪拌され、その
攪拌処理効果が向上する。また、(B)に示すように、上記折曲げ片1cを長くして、僅かに内側に折り曲げて、容器本体1との間に僅かな隙間Sを形成することにより、上記攪拌効果の他に、隙間Sを上記粒状の食用油用再生剤Gより狭くして抜け出ないようにすることにより、上記孔1bを大きくし、処理される食用油の出入りを多くしたり、強い流れを形成して、上記処理効果を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0015】
1 容器本体
1a 開口部
1b 孔
1c 折曲げ片
2 蓋
3 留具
G 食用油用再生剤
S 隙間