特許第5959119号(P5959119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5959119ハイブリッドコーティングを有する光源、ハイブリッドコーティングを有する光源を備える装置及び/又はこれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959119
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ハイブリッドコーティングを有する光源、ハイブリッドコーティングを有する光源を備える装置及び/又はこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/24 20060101AFI20160719BHJP
   C09D 185/00 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20160719BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20160719BHJP
   H01L 33/44 20100101ALI20160719BHJP
【FI】
   B05D7/24 302Y
   C09D185/00
   C09D7/12
   C09D201/06
   B05D1/26 Z
   H01L33/44
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-532788(P2013-532788)
(86)(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公表番号】特表2014-500783(P2014-500783A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】US2011001659
(87)【国際公開番号】WO2012047263
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年8月21日
(31)【優先権主張番号】12/923,833
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593005002
【氏名又は名称】ガーディアン・インダストリーズ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100123733
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーラサミ ヴィジャヤン エス.
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァレズ ジェムシー
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−253985(JP,A)
【文献】 特開2001−316620(JP,A)
【文献】 特開2009−007247(JP,A)
【文献】 特開2007−121426(JP,A)
【文献】 特開2007−332262(JP,A)
【文献】 特開平11−242101(JP,A)
【文献】 特開平08−112879(JP,A)
【文献】 特開2002−240205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
C09D 7/12、201/00
H01L 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングを支持する基板を包含し、光源を有する被覆物品の製造方法であって、
チタン系前駆体を供給する工程と、
キレートを供給する工程と、
前記チタン系前駆体を前記キレートと反応させてキレートチタン含有物質を形成する反応工程と、
有機樹脂材料を供給する工程と、
前記キレートチタン含有物質を前記有機樹脂材料と架橋することで有機無機ハイブリッド溶液を形成する工程と、
コーティングを形成する際に前記有機無機ハイブリッド溶液を前記基板上に配置する配置工程と、
前記コーティングの屈折率が1.8以上となるように、前記有機無機ハイブリッド溶液を250℃未満の温度で乾燥させ、前記有機無機ハイブリッド溶液を300℃以上の温度で硬化させる工程と、
を含む被覆物品の製造方法。
【請求項2】
前記配置工程が前記有機無機ハイブリッド溶液をスロットダイ塗布することを含む、請求項1に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項3】
前記有機無機ハイブリッド溶液をラミネート媒体に導入する工程を更に含み、前記ラミネート媒体が前記配置工程中に前記基板に配置される、請求項1又は2に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項4】
前記配置工程が、前記基板上に前記ラミネート媒体を押出成形することによって行われる、請求項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項5】
前記ラミネート媒体がEVAである、又は前記ラミネート媒体がEVAを含有する、請求項3又は4に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項6】
前記ラミネート媒体がシリコーンを含む、請求項からのいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項7】
前記チタン系前駆体がチタンアルコキシドである、請求項1からのいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項8】
前記反応工程によって、チタンアルコキシド中の四配位Ti種を反応性の低い六配位Ti種へ転化してキレート化ポリ(チタン酸ジブチル)を作製する、請求項1からのいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項9】
前記キレートがサリチル酸である、請求項1からのいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項10】
前記有機樹脂がヒドロキシ含有有機樹脂である、請求項1からのいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項11】
前記有機無機ハイブリッド溶液に1種以上の別の無機材料を導入して前記コーティングの屈折率を調節する工程を更に含む、請求項1から1のいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項12】
前記有機無機ハイブリッド溶液に光散乱要素及び/又は熱放散要素を導入する工程を更に含む、請求項1から1のいずれか1項に記載の被覆物品の製造方法。
【請求項13】
コーティングを支持する基板を包含し、光源を有する被覆物品の製造方法であって、
有機無機ハイブリッド溶液を供給する工程であって、前記有機無機ハイブリッド溶液を、
チタン系の前駆体をキレートと反応させてキレート化物質を形成する工程と、
前記キレート化物質を有機材料と架橋させて前記有機無機ハイブリッド溶液を形成する工程と、
によって作製する工程と、
(a)前記有機無機ハイブリッド溶液を前記基板に湿式塗布する工程、又は(b)前記有機無機ハイブリッド溶液をキャリア媒体に導入した後、前記キャリア媒体を前記基板に押出成形する工程と、
前記有機無機ハイブリッド溶液により形成される前記コーティングの屈折率が1.8以上となるように、前記有機無機ハイブリッド溶液を前記基板に配置した際に250℃未満の温度で乾燥させ、前記有機無機ハイブリッド溶液を300℃以上の温度で硬化させる工程と、
を含む被覆物品の製造方法。
【請求項14】
光源を少なくとも1つ備えコーティングを有する電子デバイスの製造方法であって、
基板を供給する工程と、
少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を前記基板上に配置する工程と、
有機無機ハイブリッド溶液を供給する工程であって、前記有機無機ハイブリッド溶液を、
チタン系の前駆体をキレートと反応させてキレート化物質を形成する工程と、
前記キレート化物質を有機材料と架橋させて前記有機無機ハイブリッド溶液を形成する工程と、
によって作製する工程と、
(a)前記有機無機ハイブリッド溶液を前記基板上の少なくとも1つのLEDの上に湿式塗布する工程、又は(b)前記有機無機ハイブリッド溶液をキャリア媒体に導入した後、前記キャリア媒体を前記基板上の少なくとも1つのLEDの上に押出成形する工程と、
前記有機無機ハイブリッド溶液により形成される前記コーティングの屈折率が1.8以上となるように、前記基板に配置した時点で前記有機無機ハイブリッド溶液を250℃未満の温度で乾燥させ、前記有機無機ハイブリッド溶液を300℃以上の温度で硬化させる工程と、
を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記キャリア媒体が、EVA、シリコーン又はアラミドである、請求項14に記載の電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、光源、光源を備える装置及びこれらの製造方法に関する。特に、本発明の一実施形態は光源の性能(例えば、効率、発色及び/又は発光等)を高める手法に関するものであり、光源はランバート型(Lambertian)であっても非ランバート型(non-Lambertian)であってもよい。一実施形態において、これは、(1)有機無機ハイブリッド材料をLED上に供給する工程(有機無機ハイブリッド材料は、一実施形態において、高屈折率材料であってよい)、(2)LEDの光散乱性能を(例えば、フラクタルエンボス加工若しくはパターニング等によって及び/又はランダムに分散された要素をその上に供給することによって)高める工程、並びに/或るいは(3)最新冷却技術によって性能を改善する工程によって達成される。
【背景技術】
【0002】
米国内で毎年生産される電力の大部分(25%程度と試算されることもある)は照明に費やされる。そのため、エネルギー効率が更に優れた照明を供給することが必要とされている。発熱電球が非常にエネルギー効率の悪い光源であることは周知である。消費電力の約90%は光よりもむしろ熱として放出される。蛍光電球は白熱電球よりも高効率である(例えば、約10倍)が、発光ダイオード等の固体発光体に比べると効率はまだ低い。
【0003】
また、固体発光体(例えば、発光ダイオード)の通常の寿命に比べて、白熱電球の寿命は比較的短く、一般には約750〜1,000時間である。これに対し、例えば発光ダイオードの一般的な寿命は50,000〜70,000時間である。蛍光灯の寿命は白熱電球よりは長い(例えば、10,000〜20,000時間)が、色再現はあまり好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
色再現は一般に、特定のランプで照らしたときの物体表面の色の変化を表す相対測定である演色評価数(Color Rendering Index(CRI Ra))を用いて測定される。CRI Raは、8色の基本色を照射した場合に、照明系の演色が、基準発光体の演色にどの程度合致するかを表す測定結果の修正平均である。照明系で照らされた試験色群の色座標が基準発光体で照らされた同一試験色の色座標と同一であれば、CRI Raは100である。日光のCRIは高く(CRI Ra約100)、白色電球も比較的それに近い(CRI Ra95超)が、蛍光灯の精度はあまり高くない(一般にCRI Ra70〜80)。ある種の特殊な照明のCRI Raは非常に低い。例えば、水銀灯又はナトリウム灯のCRI Raは約40程度又はそれ未満である。新たな照明系の開発が抱えるもう一つの課題は、どうすれば高CRIを達成できるかである。
【0005】
従来の照明器具が抱えている別の課題は、点灯装置(例えば、電球等)を定期的に交換する必要があることである。この課題は、手が届きにくい場合(例えば、吹き抜けの天井、橋、高層ビル、トンネル等)及び/又は交換費用が非常に高くつく場合に特に問題となる。従来器具の一般的な寿命は約20年であり、発光装置を少なくとも約44,000時間使用することに相当する(例えば、1日6時間で20年使用することに基づく)。発光装置の寿命は一般にかなり短いので、定期的に交換する必要が生じる。そのため、更なる課題は、ダウンタイムを縮小するための長寿命の実現にある。
【0006】
現存するLED部品パッケージと他の電子機器から器具を組み立てる設計が提供されている。このような設計では、放熱部(heat sink)に取り付けられた基板に内蔵LEDを実装し、前記放熱部(heat sink)を、必須駆動回路と共に器具ハウジングに取り付ける。多くの場合、追加の光学部品(パッケージ部品に対して補助的なもの)もまた、均一な照射を生みだすのに必要である。光学部品以外に、LEDも光を扇状に広げる点光源として働く。LEDは、特にダイスレベルでは本来ランバート型である。
【0007】
「発光ダイオード」という語句は、基本的な半導体ダイオード構造(例えば、チップ)を指すのに用いられる場合がある。一般に認識されかつ(例えば)電器店で販売されている市販の「LED」は、典型的には、多数の部品から構成される「内蔵」装置を表す。この内蔵装置には一般に、(限定されないが)米国特許第4,918,487号、同第5,631,190号及び同第5,912,477号(これらはそれぞれ全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているもののような半導体をベースとする発光ダイオードと、様々な配線接続と、発光ダイオードを収容するパッケージとが収容されている。
【0008】
他の光源、例えば白熱電球の代わりに発光ダイオードを使用する際に、内蔵LEDは従来の照明器具、例えば凹レンズと当該レンズに取り付けられたベースプレートとを包含する器具と共に使用され、ベースプレートは、電源と電気接続された1つ以上の接点を有する従来のソケットハウジングを有している。例えば、電気回路と、電気回路に実装された複数の内蔵LEDと、電気回路に取り付けられておりかつ照明器具のソケットハウジングと接続するのに適した接続ポストとを備えるLED電球が構成されており、こうすることで複数のLEDを電源によって照らすことができる。
【0009】
図1は、LED光源と接続する際に有用な、無着色の成形フレキシブルシリコーンゴム拡散ライトガイドアレイ102である。例えば図1の例は、例えばフロントパネルアセンブリ内のバックライティングキーパッド及びインジケータウィンドウと接続する際に使用されてよい。ライトガイドアレイ102には、様々なサイズ及び/又は形状のライトパイプ要素104、106及び108を設けてよい。LEDランプは、中身の詰まったライトガイド104、106及び108の底部に取り付けてもよく、又は中空のライトガイド要素内部に収容してもよい。ライトパイプアレイ102をLEDランププリント基板アセンブリの上に配置して、バックライティングユニットを形成してもよい。
【0010】
図2は、LED電球付きパネルアセンブリ200の簡略図である。内部に電球が配されたこのパネルは、両面プリント基板204に表面実装された非着色の非拡散性SMT超小型LEDランプ202であるHLMP−650Xを利用する。両面に最大金属被覆を使用することで周囲への低熱抵抗が達成され、また、図2には金属被覆ビア206も示されている。LEDランプ202をパネル(ガラス基板208を含む)全体に分布させることで所望の照明効果が達成される。LEDランプ202からの光線はパネル内で重なり合って、パネル200前面の照明領域を介してほぼ均一な照明を生じさせる。前記照明領域は、薄い白色透明塗料層で拡散されかつ覆われている。日中は、LEDランプ202を消しており、照射領域210は周囲の光を反射することで白色に見える。夜間には、前記領域はLEDランプ202によって内部から照らされて、LED光と同じ色に見える。パネル200の外面には白色反射塗料を塗装するが、内部から照らされるパネル前面の前記領域は塗らないでおく。黒色の耐引掻性塗料からなるオーバーコートを付与することで外装仕上げ212が形成される。パネル全体の厚さは5.84mmである。
【0011】
発光ダイオードの開発は、いろいろな意味で、照明産業に革命をもたらしてきたが、発光ダイオードの特徴にはまだ課題を残している部分があり、その一部はまだ完全に対処されていない。例えば、任意の特定の発光ダイオードの発光スペクトルは一般にほぼ単一の波長に集中しており(発光ダイオードの組成及び構造で決定される通りである)、これは一部の用途には好ましいが、用途によっては、例えば発光スペクトルが非常に低いCRI Raをもたらすような照明を提供する場合には好ましくない。
【0012】
そのため、当該技術分野では、改良された光源/器具であって、前記問題点のうち1つ以上及び/若しくはその他の問題点を克服するもの、並びに/又はこれらの製造方法が必要であることが分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態において、コーティングを支持する基板を包含する被覆物品の製造方法が提供される。上記被覆物品の製造方法では、チタン系前駆体を供給する。上記被覆物品の製造方法では、キレートを供給する。上記被覆物品の製造方法では、チタン系前駆体をキレートと反応させてキレートチタン含有物質を形成する。上記被覆物品の製造方法では、有機樹脂材料を供給する。上記被覆物品の製造方法では、キレートチタン含有物質を有機樹脂材料と架橋させて有機無機ハイブリッド溶液を形成する。上記被覆物品の製造方法では、コーティングを形成する際に有機無機ハイブリッド溶液を基板上に配置する。
【0014】
一実施形態において、コーティングを支持する基板を包含する被覆物品の製造方法が提供される。上記被覆物品の製造方法では、有機無機ハイブリッド溶液を供給する。ここで、有機無機ハイブリッド溶液は、チタン系前駆体及び/又はジルコニウム系前駆体をキレートと反応させてキレート物質を形成し、当該キレート物質を有機材料と架橋させて有機無機ハイブリッド溶液を形成することによって作製されたものである。上記被覆物品の製造方法では、(a)有機無機ハイブリッド溶液を基板上に湿式塗布するか、又は(b)有機無機ハイブリッド溶液をキャリア媒体に導入した後、キャリア媒体を基板上に押出成形する。上記被覆物品の製造方法では、有機無機ハイブリッド溶液は、基板上に配置した時点で硬化させる。
【0015】
一実施形態において、電子デバイスの製造方法が提供される。上記電子デバイスの製造方法では、基板を供給する。上記電子デバイスの製造方法では、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を基板上に配置する。上記電子デバイスの製造方法では、有機無機ハイブリッド溶液を供給する。ここで、有機無機ハイブリッド溶液は、チタン系及び/又はジルコニウム系前駆体をキレートと反応させてキレート物質を形成し、キレート物質を有機材料と架橋させて有機無機ハイブリッド溶液を形成することによって作製されたものである。上記電子デバイスの製造方法では、(a)有機無機ハイブリッド溶液を基板上の少なくとも1つのLEDの上に湿式塗布するか、又は(b)有機無機ハイブリッド溶液をキャリア媒体に導入した後、キャリア媒体を基板上の少なくとも1つのLEDの上に押出成形する。上記電子デバイスの製造方法では、有機無機ハイブリッド溶液は、基板上に配置した時点で硬化させる。
【0016】
一実施形態において、装置が提供される。上記装置では、第1基板を供給する。上記装置では、第1基板でミラーを支持する。上記装置では、プリント基板は複数の発光ダイオード(LED)を支持している。上記装置では、第2基板を供給する。上記装置では、ラミネートは、複数のLEDを支持するプリント基板に面した第2基板の第1主面で支持されている。ここで、ラミネートは、第1有機無機ハイブリッド溶液から形成され、当該ラミネートの屈折率は少なくとも約1.8である。
【0017】
一実施形態において、装置が提供される。上記装置では、第1ガラス基板を供給する。上記装置では、薄膜ミラーコーティングは第1基板で支持する。上記装置では、フレキシブルプリント回路(FPC)は、その上にフリップチップ実装された複数の発光ダイオード(LED)を支持している。上記装置では、第2ガラス基板を供給する。上記装置では、ラミネートは、複数のLEDを支持するプリント基板に面した第2ガラス基板の第1主面で支持されており、それと同時にラミネートが第1基板と第2基板を貼り合わせる。
【0018】
一実施形態において、装置が提供される。上記装置では、第1ガラス基板を供給する。上記装置では、第1基板で薄膜ミラーコーティングを支持する。上記装置では、フレキシブルプリント回路(FPC)は、その上にフリップチップ実装された複数の発光ダイオード(LED)を支持している。上記装置では、ポリマー系絶縁体層をミラーとFPCの間に挿入する。ここで、絶縁体層は、第1有機無機ハイブリッド溶液から形成する。上記装置では、第2ガラス基板を供給する。上記装置では、ラミネートは、複数のLEDを支持するプリント基板に面した第2ガラス基板の第1主面で支持されており、それと同時にラミネートが第1基板と第2基板を貼り合わせる。
【0019】
一実施形態において、LED装置の製造方法が提供される。上記LED装置の製造方法では、基板を供給する。上記LED装置の製造方法では、基板上に複数のLEDを形成する。上記LED装置の製造方法では、LED上及び/又は1層以上のLED層内にランダムなパターンを形成する。ここで、ランダムなパターンは、LEDが放出する光に光散乱効果を付与する。一実施形態において、LED装置が提供される。
【0020】
一実施形態によれば、ランダムなパターンは、フラクタルパターンを発生させる工程であって、フラクタルパターンはランダムなフラクタルパターンであるか又はフラクタルパターンにランダム性が導入されたものである工程と、発生したフラクタルパターンを1層以上のLED層へ移動させる工程とによって作製されてよい。
【0021】
一実施形態によれば、ランダムなパターンは、ナノスケール又はミクロンスケールの要素の水溶液を供給する工程と、前記溶液をLED上のある領域に直接的に又は間接的に配置することでLED上に要素をランダムに分布させる工程とによって作製されてよい。
【0022】
一実施形態において、装置が提供される。上記装置では、第1ガラス基板及び第2ガラス基板を供給する。ここで、第1ガラス基板及び第2ガラス基板は実質上平行でかつそれらの間に空洞を形成するように間隔が空いている。上記装置では、第1ガラス基板と第2ガラス基板の間には複数のピラーを配置する。上記装置では、第1ガラス基板及び/又は第2ガラス基板の周辺にはエッジシールを設ける。上記装置では、第1基板に面した第2基板の内面に少なくとも1つの導電性バスバーを配置する。上記装置では、少なくとも1つのn型素子(n-leg)及び少なくとも1つのp型素子(p-leg)は少なくとも1つのバスバーと接触している。上記装置では、少なくとも1つの導体は少なくとも1つのn型素子及び少なくとも1つのp型素子に接続している。上記装置では、少なくとも1つのLEDは少なくとも1つの導体で支持されている。一実施形態において、前記装置の製造方法が提供される。
【0023】
一実施形態において、装置が提供される。上記装置では、第1ガラス基板及び第2ガラス基板を供給する。ここで、第1ガラス基板及び第2ガラス基板は、実質上平行でかつ間に空洞を形成するように間隔が空けられている。上記装置では、第1ガラス基板と第2ガラス基板の間には複数のピラーを配置する。上記装置では、第1ガラス基板及び/又は第2ガラス基板の周辺にはエッジシールを設ける。上記装置では、第1基板に面した第2基板の内面に少なくとも1つの導電性バスバーを配置する。上記装置では、複数の熱電(TE)モジュールが少なくとも1つのバスバーと接触しており、前記TEモジュールにはそれぞれ導体によって互いに接続されたn型素子及びp型素子が収容されている。上記装置では、複数のTEモジュールの導体上には複数のILEDを配置する。一実施形態において、前記装置の製造方法が提供される。
【0024】
本明細書に記載する特徴、態様、利点及び実施態様例は、更に追加的な実施態様を実現するためにどの好適な組み合わせ又はサブコンビネーションで組み合わされてもよい。
前記及び他の特徴及び利点は、図面と併せて以下の例示的な実施態様例の詳細な説明を参照することで、更に好ましくかつ更に完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】

図1】LED光源と接続する際に有用な、成形されたフレキシブルシリコーンゴム製の非着色拡散ライトガイドアレイ102である。
図2】LED電球付きパネルアセンブリの簡略図である。
図3】一実施形態による無機有機ポリマーマトリックス系から調製された0.30μm厚及び0.23μm厚の高屈折性整合層における透過率対波長を表すグラフである。
図4】一実施形態によるハイブリッド高屈折性フィルムの製造プロセス例を表すフローチャートである。
図5図4の製造プロセス例に関する基本構成、架橋工程及び硬化工程を表す。
図6】一実施形態の薄膜フラクタルエンボス加工によって光散乱が改良された又は改良されていないAlGaAsダイオードの発光効率を表すグラフである。
図7A】一実施形態によるフラクタルパターンを用いて高CRIを実現するのに役に立つ非ランバート型広帯域散乱を達成するのに有用なプロセス例を表すフローチャートである。
図7B】一実施形態による散乱要素を用いて高CRIを実現するのに役に立つ非ランバート型広帯域散乱を達成するのに有用なプロセス例を表すフローチャートである。
図8】一実施形態によるILEDマトリックスラミネートの断面図である。
図9】一実施形態によるAlGaAsをベースとしたILED構造例である。
図10】一実施形態による熱電モジュールを用いた、フリップチップ実装されたLEDアレイの強制放熱技術例を示す断面図である。
図11】一実施形態による、電気的には直列に接続されかつ熱的には平行に連結されたILED構造の平面図である。
図12】一実施形態によるフリップチップサブマウントウェハの断面図である。
図13】一実施形態によるLED内蔵VIGの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一実施形態は、平坦な及び/若しくは湾曲したマニホールド用のガラスに埋め込まれた又は積層されたLEDシステムの2次元アレイに基づく実質上平坦な固体照明、並びに/又はその製造方法に関する。一実施形態において、光取り出し(light out-coupling)技術を用いて前記光システムの効率を更に向上させる。前記装置は、一実施例では低い電流密度域値で動作することができ、その結果、熱問題が軽減される。現在、無機LED(LED又はILED)はそれぞれプラスチック(場合により、エポキシ)パッケージングに内蔵されている。LEDは先に述べたように点光源なので、光強度が距離XcosΩの平方に反比例して変化する。近年、LCD TVパネル用のバックライトのように光をガラスの縁に結合できる様々なシステムでは、LEDを線形アレイ状に並べる傾向がある。このような装置では、光を取り出す(couple the light out)ために特別なディフューザを使用する。
【0027】
既知のように、ランバート型ソースは、光源が投影される最大放射輝度方向に対して光源の放射輝度が角度の余弦に正比例するというランバートの余弦則に従う光源である。LEDはランバート型ソースに近い。というのも、LEDはビームの広がりが大きくかつ球体に近い放射パターンを有する傾向があるためである。一実施形態は、ランバート型光源及び/又は非ランバート型光源を包含してよい。一実施形態において、ランバート型光源は、非ランバート型光源に、非ランバート光源に近接した取り出し測光ディフューザ(例えば、アセタール、二酸化ケイ素等からなるもの又はそれらを含むもの)を付与してランバート効果又はランバート様効果を達成することで実現されてもよい。ランバート(及び非ランバート)光源に言及してきたが、光源が実質上ランバート型(実質上非ランバート型)であったとしても、光源はランバート型(又は非ランバート型)であると考えられることが分かるであろう。
【0028】
高性能の発光ダイオード(LED)は、例えばディスプレイ、プリンター、短距離通信、光電子コンピュータ相互接続等のような多くの用途に求められている。しかし残念なことに、LEDの内部効率と外部効率の間にはギャップがある。高品質二重ヘテロ構造体の内部量子収率は99%を超える可能性がある。他方、通常の内蔵LEDの効率は普通、ほんの数パーセントである。この低効率の理由の一つは、例えば光の逃散円錐が狭いので光が高屈折率半導体から逃散し難いことである。屈折率n=3.5の半導体における内部光の逃散円錐は、スネルの法則によると、ほんの−16°である。
【0029】
自然放射のための前記狭い逃散円錐は、立体角Ω≒1/4n×4πステラジアンに及ぶ。内部で発生した光のうちのほんの2%が自由空間へ逃散でき、残りは全反射されて再吸収の虞がある。多くの構想では、屈折率が合致した(matching index)半球体ドームを用いて半導体ダイオードから光を取り出すという考えに基づいて、この問題の一部は克服されている。しかし、完全に合致する場合以外は、逃散立体角はΩ≒n/4n×4πステラジアンである。
【0030】
用いられるパッケージングのほとんどはプラスチック製であり、その屈折率は半導体製のものほど大きくない(nc<<ns)。エポキシは封止材としてよく用いられるが、それでもその屈折率は、LEDによく用いられる材料であるGaAsやGaNほど大きくない。
【0031】
前記式は、特定のレンズ形状を基準とせずに統計力学的位相空間論から導き出されることから、実際には大まかな上限値である。したがって、これは、反Winston集光器及び他のタイプの光学方式に適用される。適合する屈折率では、「レンズ」構造は厚い透明な半導体層であってもよいが、厚い透明な半導体層はコストを増大させる場合がある。当該技術分野の現状では、厚い透明な半導体上層を用いたAlGaAs系LEDの外部効率は−30%であり、基板全体が特に低損失の光学構造でエッチングされる。逃散する確率を高める一つの方法は、逃散円錐に辿りつく多くの機会を光子に与えることである。
【0032】
一実施形態は、基板から剥離されるか又はフリップチップ形式で供給される剥き出しのLEDアレイを含んでいる。例えば、一実施形態は、薄膜LEDを基板から(例えば、エピタキシャルリフトオフによって)剥離する工程と、薄膜LEDを予め導電性バスバーでコーティングされたガラス基板上に線形の2方向のアレイ状に傾ける工程とを含んでいてよい。一実施形態は、LEDをフレキシブルPCBに直接実装する工程を含んでいてよい。前記PCBは、熱の消散を助ける導電性コーティングを有するガラス基板に接着されていてよい。LEDアレイは透明な高屈折率層でオーバーコートしてもよい。このような配置例は、有利なことに、LED構造からの光の逃散を容易にし、その結果、吸収を軽減する。一実施形態では、薄膜表面を様々な技法を用いてナノ構造化することによって、光線力学がカオスとなり、そして光学的位相空間分布が「エルゴード的に」なり、より多くの光が逃散円錐に辿りつけるようになる。前記技術例のシミュレーションによれば、この原則例を用いたGaAs LEDは、少なくとも30%の外部効率を示した。
【0033】
前記装置のアクティブ回路と空気又は低屈折率のパッケージング層との間に透明な高屈折率コーティング層を適用することで、その性能を更に向上させてもよい。例えば、高屈折率のアクティブ回路から空気又は低屈折率のパッケージ層までの段階的変化が大きいと、装置への光の取り込み又は装置からの光の取り出しをより効率良くすることができ、その結果、装置の効率及び/又は画質が向上し得る。効率が高まるにつれて、装置はより強力になると同時に、エネルギー消費が低減する可能性がある。前記光学装置は屈折率が約2.5〜3.5程度の半導体材料から作製される場合があるので、前記透明コーティング層の所望の屈折率は可視領域全域で少なくとも1.8、好ましくは1.9超である。
【0034】
ポリマーは、少なくとも加工が容易でかつ潜在的に低コストであるため、屈折率が十分に高ければコーティング材料として選択するのに適している。残念ながら、そのようなポリマーは存在しない。現在世界で最も高い屈折率のポリマーの屈折率は約1.76であると考えられ、日東電工のサダヨリ氏とホッタ氏が開発したものである。
【0035】
一実施形態において、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウム(例えば、超格子ナノ結晶ジルコニア)等の遷移金属酸化物のような高屈折率でかつ透明性の高い無機材料を使用してもよい。
【0036】
例えば、ゾルゲルコーティング及びナノ粒子複合材料等の金属酸化物含有材料のような溶液から調製されるコーティングは、脆弱でしかも亀裂が生じ易く、その用途も、その比較的複雑な製造過程、保存安定性及び信頼性によって制限される場合がある。このようなコーティングは一般に、高い加工温度(例えば、約400℃以上)にはあまり適しておらず、大抵の半導体装置には不利である。
【0037】
スパッタ法は、高屈折性の薄膜を前記金属酸化物及び/又は他の金属酸化物から形成するのに現在用いられているもう一つの技法である。しかし残念なことに、スパッタ法は一般に比較的高コストでかつスループットアプローチが低いことが知られているので、光学装置製造業者らは更に費用効率の良い別の方法を探し求めることがある。
【0038】
一実施形態は、二酸化チタンポリマー及び/又はジルコニアポリマーをベースとする系をベースとしたハイブリッドコーティング系を含む。有機無機ハイブリッドポリマー溶液は、先ずチタンアルコキシドをキレート剤と反応させて、反応性の高い四配位チタン種を反応性の低い六配位種へ転化させることによって調製される。その後、前記以外の望ましいポリマー成分を、安定化したチタン含有溶液に加えて十分に混合してよい。安定化を受けて、ハイブリッドポリマー溶液は、色及び粘度がほとんど変化することなく室温で6カ月まで安定である可能性がある。ハイブリッドポリマー溶液は、所望の厚さとなるまで基材にスピンコーティング又は垂直スロットコーティングされてよい。
【0039】
二酸化チタンを多く含むフィルムは、ハイブリッドコーティングを約250℃未満の高温で熱分解することで生成された。得られた乾燥フィルムの厚さは、0.2μm程度でかつ最大約4μm以上であってよい。このようなフィルムは、硬化温度が300℃以上の場合、透明性に優れ、しかも全可視領域での屈折率が約1.90以上であり得る。1回塗布することによって厚さ300nmにわたって亀裂のないフィルムが得られた。より厚いフィルムを得るために複数回塗布することも可能であり、2回分の導電性コーティングの間の接合部分はSEM断面画像でも認められなかった。ハイブリッド高屈折率フィルムは、力学的堅牢性があり、熱及びUVの両方に暴露したときも安定であり、しかも多種多様な光学用途に適用可能である。この材料は半導体材料とも相性が良い。
【0040】
一実施形態において、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、シリコーン、アラミド等のような有機無機ハイブリッドポリマーを積層可能な媒体に導入してもよい。これにより、オートクレーブを用いない場合でも、真空接着又は脱気を利用することができる。
【0041】
選択された有機ポリマーは、複数のヒドロキシ官能価を含有していた。前記ポリマーは、ポリマーと二酸化チタン層の間の一次又は二次化学結合が層親和性及び高い分散度を促進させるように選択された。キレート化ポリ(チタン酸ジブチル)ポリマーと有機ポリマーは、その高い透明性及び屈折率分散曲線からも分かるように、溶液及び硬化フィルムのいずれにおいても全ての割合又は実質上全ての割合で相溶性を示す。一般に厚さ0.4μmの場合、550nmにおける屈折率は1.9以上である。任意の無機発光ダイオード上に堆積する場合、0.4μm程度の薄いフィルムでも、一般に70%の増加範囲で高屈折率材料からの光の取り出しを有意に劇的に改善する。
【0042】
図3は、一実施形態による無機有機ポリマーマトリックス系から調製された0.30μm厚及び0.23μm厚の高屈折率整合層における透過率対波長を表すグラフである。0.30μm厚及び0.23μm厚の高屈折率整合層を、サファイア基板及び石英基板にそれぞれ堆積させた。図3から分かるように、透過率は可視スペクトル全体で少なくとも約80%であった。一実施形態では更に高い透過率を有する場合があり、例えば少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、そして場合によりそれ以上であってよい。
【0043】
図4は、一実施形態によるハイブリッド高屈折性フィルムの製造プロセス例を表すフローチャートである。工程S402では、無機系前駆体を供給する。一実施形態では、無機系前駆体は、例えばチタンアルコキシド、チタン系リン酸複合体等のようなチタン系前駆体であってよい。無機系前駆体は、一実施形態ではLED上に、及び/又はガラス基板上に、直接的に又は間接的に堆積されてよい。例えば一実施形態において、チタンアルコキシド系前駆体は原子層成長法(atomic layer deposition、ALD)によって堆積されてよく、チタン系リン酸複合体層は印刷されてよい、等。一実施形態において、他の高屈折性無機材料を、チタンの代わりに、又はチタンに加えて用いてもよいことは当然分かるであろう。
【0044】
工程S404では、キレートを形成してよく、また、有機成分を任意の添加物と共に添加してもよい。一実施形態において、キレートはサリチル酸であってよい。一実施形態において、有機成分は樹脂、シリコーン、ポリイミド及び/又はポリアミド等であってよい。
【0045】
任意の添加物を導入してもよい。例えば、他の無機材料(例えば、チタン系前駆体の代わりに又はそれに加えて)を導入して屈折率を調節してもよい。実際、屈折率は、ジルコニア、シリカ及び/又はケイ酸塩等を選択的に含ませることによって、高く調整されること、又は低く調整されることができる。光散乱要素及び/又は熱放散要素を導入してもよい。光散乱剤及び熱放散剤の両方の機能を果たす材料の一例は、窒化ホウ素である。一実施形態において、可塑剤を包含してもよい。
【0046】
S406では、キレートチタン系前駆体と有機成分を架橋することで有機無機ハイブリッド溶液を作製してよい。一例では、チタンアルコキシドをキレート剤と反応させて四配位Ti種を反応性の低い六配位種へ転化することで、例えばキレート化ポリ(チタン酸ジブチル)を作製することができる。本発明の別の実施態様では当然、他のチタン酸塩を作製及び/又は使用してもよい。一実施形態において、ハイブリッドポリマーは、キレート化ポリ(チタン酸ジブチル)をヒドロキシ含有有機樹脂と混合することで生成してもよい。一実施形態において、有機成分と無機成分を等しい重量割合で供給してよい。一実施形態において、有機成分と無機成分を60/40の重量比で供給してよい。本発明の別の実施態様では当然、他の比率及び/又は割合を使用してもよい。
【0047】
一実施形態において、ハイブリッド溶液は完全な液体(liquidous)であってよい。液体のハイブリッド溶液は、LED間でのその「浮かぶ」又は「浮遊する」能力のために一部の実施例で好都合なことがある。このような場合、ハイブリッド溶液を、湿式塗布、垂直スロットコーティング又は他の方法によって所望の厚さまで供給してよい。しかし、一実施形態において、例えば押出成形が可能な粘性の高いハイブリッドラミネート(例えば、EVA、シリコーン、アラミド等の有機バインダー中に無機材料及び/又は他の材料を包含するもの)を供給することが望ましいこともある。粘性の高いハイブリッドラミネートは、「他の物質が入り難い」塗布又は「面倒でない」塗布という点で有利なこともある。ハイブリッドポリマー又はラミネートの塗布は工程S408に示されている。
【0048】
工程S410では、コーティングされたハイブリッドポリマー又はラミネートを乾燥及び/又は硬化する。乾燥及び/又は硬化は、溶媒及び水を除去するのに役立ち、一実施形態では有機材料よりも無機材料を多く残すことができる。乾燥は約250℃未満の第1の高温で行うことができるのに対し、硬化は約300℃以上の第2の高温で行うことができる。一実施形態は、前記温度及び/又は任意の他の好適な温度での乾燥と硬化のいずれか一方又は両方を包含していてよい。
【0049】
図5は、図4のプロセス例に関する基本配合、架橋工程及び硬化工程を表す。図5から分かるように、工程S502では、キレートTi系前駆体を樹脂バインダーと接触させる。工程S504では、樹脂バインダーとキレートTi系前駆体を架橋させる。工程S506では、加熱工程によって溶媒を蒸発させて、硬化フィルムを基板(例えば、フィルム、硬質表面、ガラス等)に接着させる。
【0050】
一実施形態は、例えば散乱層を用いたLED(ILED)アレイからの光の散乱を増強させることに関する。一実施形態において、散乱層は、ILEDアレイからの光の取り出しを向上させ、及び/又は高CRIを達成する際に有用な非ランバート広帯域散乱の実現に役立つことがある。実験からは、内部光学波長の半分の規模の表面構造が、半導体フィルム中の光線を高度に(そして場合により更に完全に又は実質上完全に)内部角ランダム化させ得ることが分かった。これは、天然リソグラフィー又は任意の他の好適な方法で行われてもよい。
【0051】
光散乱層の作製は、例えば、発光領域への直接的に又は間接的に薄膜フラクタルエンボス加工を包含してよい。一実施形態において、この工程段階は、薄膜を移動及び接着してから行ってもよい。一実施形態において、光散乱に好適な空隙率(例えば、一実施例では空隙率10〜30%)を有するフラクタルパターンをLEDの発光領域に直接的に又は間接的に配置してもよい。フラクタルパターンへのランダム性の導入は、任意の好適な方法で行われてよい。例えばランダム性は、例えば、充填された単位正方形から始めて、シェルピンスキー(Sierpinski)ガスケット構造を変更し、前記正方形のうち無作為に選択された四分の一を取り除き、残りの正方形のうち無作為に選択された四分の一を取り除くこと等により、自己相似的分布の利用が導入されてもよい。ランダム性をフラクタル構造に付与する別の方法は、例えば正確な増減を規定するよりもむしろ、パターン一つ一つを反復毎に設定範囲から選択されたランダム分だけ増減することによる統計学的な自己相似性を含む。ランダムなフラクタルはまた、例えばブラウン運動の軌道、レヴィフライト、フラクタルランドスケープ、ブラウンツリー等のような確率過程によって作り出されてもよい。
【0052】
上記及び/又は他の方法を用いて、適切な特徴を持ったテンプレートを作り出してもよい。次に、テンプレートを対象領域に移動してよい。一実施形態において、テンプレート自体が散乱を行ってもよい。しかし、一実施形態において、テンプレートはマスクの役割を果たすこともあり、所望の光散乱特徴を作り出せるようにその一部を(例えば、フォトリソグラフィー処理や化学物質等によって)エッチング除去してもよく、また、場合によりテンプレートを除去してもよい。一実施形態において、前記特徴が、発光ダイオード又は任意の好適なインターフェースに付与されてもよい。一実施形態において、インターフェース、チップ、ポリマー、半導体層等をテクスチャー加工することで、所望の光散乱効果を得るのに役立つこともある。
【0053】
光散乱は、ランダムに密集したアレイのLEDの表面をコーティングするのに用いられる半径0.2μmのポリスチレン球を利用して得てもよい。このような実施例では、前記と同様の空隙率を利用してよい。ポリスチレン球は、浸漬過程での水溶液からの表面力によって、及び/又は水溶液からのスピン塗布等によって付着されてよい。このような方法は球をランダムに配置することができる。球は、n層及び/又は他のAlGaAs層に深さ約10〜300nm、好ましくは深さ10〜170nmのCl支援Xe+イオンビームエッチングを行う場合のエッチマスクの役割を果たすこともある。プラズマを利用して前記エッチングを行ってもよい。これらのエッチング法を前記フラクタルパターニング態様で使用してもよい。一実施形態ではポリスチレン球に関して記載してきたが、本発明の別の実施態様では、他の材料及び/又は他の形状を利用してもよいことが分かるであろう。
【0054】
改良型AlGaAsダイオード及び非改良型AlGaAsダイオードにおけるLEDの総発光対注入電流を表すグラフを図6に示す。したがって、図6は、一実施形態の薄膜フラクタルエンボス加工によって光散乱が改良された又は改良されていないAlGaAsダイオードの発光効率を表すグラフであると考えられる。較正は光ダイオード電流とLED電流との比によって、光ダイオードの量子効率を少し補正しながら確立されてよい。前記LEDからの光の角度分布はランバート型である。図6の線形フィッティングはブロードな最適電流範囲を示しているが、これは、上限での加熱と下限での非放射再結合とで制限される場合があり得る。四角形及び菱形は、同一ウェハから作製された2つの装置であって、最終テクスチャー加工工程まで同時に加工されたものを表している。
【0055】
図7Aは、一実施形態によるフラクタルパターンを用いて高CRIを実現する際に有用な非ランバート型広帯域散乱を構築するのに役立つプロセス例を表すフローチャートである。工程S701では、ランダムなフラクタルパターン又はランダム性が導入されたフラクタルパターンを有するテンプレートを形成する。工程S703では、テンプレートを、LED上の領域又はLED領域へ直接的に又は間接的に移動する。例えば、一実施形態において、前記領域はLEDの最外層、LEDの半導体層、LED装置アセンブリ内のインターフェース等であってよい。次に工程S705では、テンプレートを用いて前記領域にテクスチャー加工、エッチング又はエンボス加工を施す。テクスチャー加工及び/又はエッチングの実施態様では、テンプレートを、(例えば、感光性基材から形成する場合は)フォトリソグラフィーパターニング、プラズマエッチング及び/又は湿式エッチング等のためのマスクとして用いてよい。一実施形態において、工程S707においてテンプレートを除去してもよい。また一方、本発明の別の実施態様では、テンプレートを定位置に残してもよい。LED装置の製造は工程S709で完了してよい。
【0056】
図7Bは、一実施形態による散乱要素を用いて高CRIを実現する際に有用な非ランバート型広帯域散乱を構築するのに役立つプロセス例を表すフローチャートである。工程S711では、ナノスケール又はミクロンスケールの要素の水溶液を形成する。例えば、球体、眼形状、立方体及び/又はその他の形状の物体を用いてよい。一実施形態において、前記物体の外径又は距離は約0.01〜1μmの範囲であってよい。要素のサイズ及び数は、LED上の領域に水溶液を直接的に又は間接的に適用したときに目標とする空隙率が得られるように(例えば、上記に従って)選択されてよい。前記溶液は、工程S713において、例えばスピン塗布法、ロール塗布法、浸漬塗布法、スロットダイ塗布法及び/又はその他の塗布法で適用されてよい。このような塗布法は、要素をLED上にランダムに、例えば目標とする空隙率で分布させるのに役立つことがある。工程S715では、適用された溶液を、場合により乾燥させる。一実施形態において、要素をエッチマスクとして使用することで、工程S717において、例えばフォトリソグラフィー法でプラズマ等を用いてLEDをエッチング又はパターニングすることができる。一実施形態において、要素を除去してもよい。LED装置の製造は工程S719で完了してよい。
【0057】
一実施形態は、ILEDアレイの「強制放熱」法にも関する。前記強制放熱法は、効率を高めて製品の寿命を延ばすのに役立つことがある。チップ製造業者らは現在、水平方向での射出成型を利用するLED設計であって、電流集中に左右されるものを採用することで、あらゆるLEDにおいて周知の問題である電極での強い寄生吸収を軽減しようと努めている。ダイオード電流は、2つの抵抗接点間の中心の領域に集中するが、接点同士は適度に離れている。この設計法は、抵抗接点での寄生光学吸収を軽減するが、残念なことに局所加熱を悪化させる。
【0058】
固体照明及び他の高輝度用途におけるLED(例えばInGaN及び/又はAlGaAs等)の使用は、従来のLEDで達成されるよりも光出力の大きなLEDの開発の利益を享受するものである。従来のInGaN LEDは、半透明の電流波及p型層接触部(p-contact)の付いた350ミクロンチップを有しており、典型的には5mmランプに内蔵される。先に説明したように、光の抽出効率は、半透明接点での光吸収のせいで低い。その上、5mmランプの高い耐熱性(150℃/W)が最大駆動電流を制限している。その結果、屈折力及びルーメン出力はかなり低い。
【0059】
epi-up構造の従来のInGaN LEDパッケージングとは対照的に、一実施形態は、下向きに成長するepi-down構造のLEDのフリップチップパッケージングを含んでいる。この構造例は、LEDの耐熱性を低下させるのに役立つことがある。この構造例はまた、一実施例では、LEDを更に高い電流で駆動できる可能性もある。計算からは、半透明接点を反射式p型層接触部に置き換えずに熱電強制放熱を使用し、そしてフリップチップ構造を使用することで、有利なことに光抽出効率が約160〜300%に増加することが分かる。これは、従来の出力に比べると優れた結果である。しかも本明細書に記載したのと同じ種類又は同様の種類の強制放熱法を実行する実施態様例では、LEDの寸法及び/又はLEDの駆動電流が更に向上することがある。これは有利なことに、光出力及びルーメン出力を更に増加させる。
【0060】
図8は、一実施形態による平坦なILEDマトリックスラミネートの断面図である。図8のアセンブリには、第1ガラス基板及び第2ガラス基板802及び804が収容されている。第1ガラス基板802は、一実施形態では上層であると考えてよい。高屈折性ラミネート806は上層の第1基板802で支持されている。一実施形態において、ラミネート806は前記有機無機ハイブリッド材料から形成されていてよく、例えば押出成形されたものであってよい。一実施形態において、ラミネート806の内面806aがテクスチャー加工されていてもよい。一実施形態において、ラミネート806が第1基板及び第2基板802及び804をまとめて覆っている。
【0061】
低屈折性絶縁体808は第2基板804で支持されていてよい。一実施形態において、低屈折性絶縁体808は低屈折性の類の前記有機無機ハイブリッド材料であってよく、例えば押出成形されたものであってよい。したがって、一実施形態において、ラミネート806及び低屈折性絶縁体808は、それぞれの屈折率がそれぞれの目的に合わせて調節されるのであれば、同様のハイブリッド有機無機材料から形成されてもよい。一実施形態において、ラミネート806の屈折率は高く、例えば少なくとも約1.7、より好ましくは少なくとも約1.8、場合により1.9以上であってよく、また、絶縁体808の屈折率は低く、例えば約1.8未満、より好ましくは約1.7未満、更により好ましくは1.6〜1.65以下であってよい。
【0062】
ラミネート806とLED810を支持するフレキシブルPCBとの間に高屈折性の層812を配置してもよい。一実施形態に好適なフレキシブルPCBsは、Minco製であるか又はMincoから供給されたものであってよい。高屈折性の層812は、例えば酸化チタン(例えば、TiO又は他の好適な化学量論組成のもの)、酸化ジルコニウム(例えば、ZrO又は他の好適な化学量論組成のもの)等からなる有機層であってよい。一実施形態において、高屈折性の層812は前記ハイブリッド有機無機材料から形成されてよい。ただし、一実施形態において、有機要素の大部分又は全ては、液状である間に、又は(例えば、1種類以上の高温で乾燥及び/又は硬化することによって)少なくとも一度最初に加熱されたときに、そこから除去されて、屈折率をなお更に増加させてもよい。一実施形態において、隣接するLED部品間のギャップを液体材料が埋めて、しかもLEDが上に配置されたフレキシブルPCB810に液体材料がしっかりと接触するように、前記材料を湿式塗布又はスロットダイ塗布してもよい。一実施形態において、無機層812の表面をテクスチャー加工してもよい。一実施形態において、1層以上のラミネート806、絶縁層808及び高屈折性の層812は、それぞれの層がハイブリッド溶液中の添加物によって調節された屈折率を有する場合、有機無機ハイブリッド材料(又は複数の有機無機ハイブリッド材料それぞれ)から形成されてよい。
【0063】
一実施形態において、ミラー814を絶縁体808と第2基板804との間に配置してもよい。一実施形態において、ミラー814は、例えば第2基板804から順にSn、Ag(例えば厚さ約1000オングストローム)及びCu(例えば厚さ約350オングストローム)といった複数の薄膜層から構成されていてもよい。当然、本明細書に列挙した材料例の代わりに又はそれらに加えて、他の材料を使用してもよい。本発明の別の実施態様例では、別の種類のミラーを使用してもよい。ミラー814は、有利なことに放熱部(heat sink)として機能するので、アセンブリ内のLEDの性能を高めるのに役立つこともある。
【0064】
1層以上の任意の層を上層のガラス802上に設けてよい。一実施形態において、CRI整合層816を上層のガラス802上に設けてよい。CRI整合層は、例えばCdTeナノ結晶や量子ドットマトリックス等のCd系材料から構成されてよい。一実施形態において、ディフューザ及び/又は反射防止(AR)複合層を上層のガラス802上に設けてよい。一実施形態において、AR層は3層ARコーティングであってよい。例えば、米国出願番号12/923,146を参照し、この内容を全て参照として本明細書に組み込む。
【0065】
一実施形態において、蛍光体を上層のガラス802上の層の中に埋め込む又は配置してよい。LEDからのUV放射によって蛍光体を発光させてよい。
【0066】
一実施形態において、薄い(例えば厚さ1mm)第1低鉄ガラス基板を供給してよい。一実施形態において、その上に透明導電性コーティング(TCC)を含むアノード層を、例えば湿式塗布によってブランケット塗布してもよい。一実施例では、イオンビームを用いてOCLSを平坦化することが特定の実施例において有利なことがある。ブランケット塗布されたアノード層に好適な電気回路をレーザでパターンニングしてもよい。TCCと屈折率を整合させるために用いられる取り出し層スタック(out-coupling layer stack (OCLS))を、第1ガラス基板とアノード層との間に挿入してもよい。一実施形態において、例えば本明細書に記載した類の熱伝導性樹脂層を用いて、パターニングされたアノード層の封止を行ってよい。上述の通り、このことはLEDの内部結合温度に対処するのに有効なので、効率が高まり、そしてあらゆる固体の(又はいずれも実質上固体の)中間物品又は最終製品を提供することができる。一実施形態において、第2ガラス基板はミラーコーティング(例えば、Al又はCuミラーコーティング)を支持してよい。基板をエッチングして孔を空けてもよく、そして前記孔に乾燥剤を入れてもよい。このような配置例でOLED及び/又はILEDを用いてよい。一実施形態において、アノードとカソードの位置を入れ替えてもよい。
【0067】
図9は、一実施形態によるAlGaAsをベースとしたILED構造例である。図9に示すILED構造には複数の層が収容されている。層には、第2基板804から順に、AlGaAsからなる又はAlGaAsを含有するp層902(例えば、厚さ約0.3μmのもの)、GaAsからなる又はGaAsを含有するp層904(例えば、厚さ約0.2μmのもの)、AlGaAsからなる又はAlGaAsを含有するn層906(例えば、厚さ約0.04μmのもの)及び/又はGaAsからなる又はGaAsを含有するn層908(例えば、厚さ約0.03μmのもの)が包含されてよい。一実施形態において、p型層接触部910は、p層902上にp層902と接触させて設けられてよく、n型層接触部912は、1層以上のn層の上にn層と接触させて最上層として設けられてよい。上述のように、一実施形態において、1層以上のn層及び/又は他の層を粗面化処理又はエッチング処理してもよい。また、上述のように、一実施形態において、構造化、エッチング処理及び/又はパターニング等はウェハレベルで行われてよい。図9はAlGaAs型のILEDを示しているが、本発明の別の実施態様ではAlGaNヘテロ構造を使用してもよいことが分かるであろう。
【0068】
先に示唆したように、本出願の発明者らは、最新の冷却法を施すことによってLED照明システムの効率を向上できること、及びこれを達成する方法が熱電池を利用していることを見出した。熱電池は熱電効果に依存しており、熱電効果は一般に温度変化を電圧に変換すること又はその逆を指す。このようなシステムにおいて原子スケールでは、与えられた温度勾配が材料中で電荷キャリア(例えば、電子又は正孔)を高温側から低温側へ拡散させる。このように互いの温度が異なると、熱電素子が電圧を生成する。こうしてこの効果を利用して発電を行う。一実施形態は、熱電(TE)モジュールを、超断熱性でしかも光を透過する真空絶縁ガラス(VIG)ユニット技術と共に利用した、LEDをベースとするアレイの性能改良方法を提供する。
【0069】
一実施形態において、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットを、電気的に直列でかつ熱的に並列である熱電接点アレイを太陽側に収容する高い熱抵抗を有する(R>12)媒体として用いる。一実施形態によれば、R値は好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも12、また、場合により12超である。このような高いR値は、いまのところ、本発明の譲渡人が製造するVIGユニットで得ることができる。このようなユニットは一般に、焼成ピラーと、低Eコーティングとを内蔵している。確かに、一般的なアルゴン及び/又はキセノン充填型IGユニットはR値約4をもたらし、TEのメリット係数Zが好適なレベル、例えば以下に更に詳細に説明するようなレベルまで上昇すれば、一実施形態に関して使用されてよい。いずれにしても、R値10はΔT約400℃を条件とし、また、R値約12はΔT約600℃を条件とする。
【0070】
単位面積当たりの接点の数は、好ましくは、曲線因子が20%未満となるようなレベルで付与される。既知の通り、曲線因子は、実際に利用可能な最大出力と理論上の出力との比(パーセントで表される)を指す。曲線因子は上述と同様に当然、Z値と均衡を保ち得ることが分かるであろう。したがって、Z値が約10以上の場合、曲線因子は約10%以下まで下げてよい。
【0071】
一実施形態において、VIGユニットは多くの目的に役立つ可能性がある。例えば、VIGユニットはTE接点に支持を提供することができ、TE接点はVIGに一体化されていてもよい。別の例として、VIGユニットは、VIGユニット自体にTE装置を内蔵することで、高温接点と低温接点との間に非常に大きな温度差を与えることもある。大きなΔTは、結果として、TE効率を実質上高めるのに有効であり得る。更に別の例として、VIGユニットは、フリップチップ実装されたLED又は別の方法で実装されたLEDへの支持を付与することがある。更に別の例として、VIGユニットは、LED装置を熱絶縁するのに役立ち、しかもそのLEDの可能性を、その運転効率を下げ得る温度に達することで小さくすることもある。
【0072】
図10は、一実施形態による熱電モジュールを用いた、フリップチップ実装されたLEDアレイの強制放熱技術例を表す断面図である。従来のVIGユニットと同様に、図10の実施態様例は、外側基板1002及び内側基板1004を包含している。本発明の一実施形態において、外側基板1002及び内側基板1004の一方又は両方がガラス基板であってよい。基板は、実質上平行に供給され、お互いの間に間隔が空いており、そして複数のピラー1006が外側基板1002と内側基板1004との間の距離を保つのに役立っている。本発明の一実施形態において、ピラー1006はサファイアピラーであってよい。周囲にエッジシール1008を設けてVIGユニットを密封することで、例えば外側基板1002と内側基板1004の間の空洞を大気圧未満の圧力まで減圧する及び/又はガス(例えばアルゴン及び/又はキセノン等のようなもの)で充満することができる。本発明の別の実施態様では、外側基板1002及び内側基板1004のサイズは同じであっても異なってもよい。
【0073】
各熱電モジュールは、n型素子1010a及びp型素子1010bを包含しており、任意の好適な材料から作製されてよい。例えば、熱電モジュールは、ビスマス系(例えば、BiTe、BiSe等)、スクッテルダイト材料(例えば、(Co,Ni,Fe)(P,Sb,As)等の形態のもの)、酸化物(例えば、(SrTiO(SrO)等)等であってよい。一実施形態において、熱電材料にドーピングをしてもよい。TE材料にドーピングをする場合、例えばドーピングは、高温接点の最も近くのドーピングが増加するように傾斜を付けてもよい。
【0074】
前記モジュールのn型素子1010aとp型素子1010bは導体10112で接続されていてよく、前記導体は、たとえ光がまだ透過できたとしても、使用される材料のせいで黒色導体と呼ばれることがある。一実施形態において、導体1012は銅系材料(Cu、CuO等)、フリット(例えば、DAG等のカーボンブラック等からなるもの)、CNT系インク等であってよい。本発明の一実施形態において、熱電モジュールをスクリーン印刷してもよい。各モジュールのサイズは、所望の曲線因子と関連付けて選択されてよい。20%の曲線因子を使用する場合、例えば、約1インチ×1インチのほぼ正方形のモジュールサイズを使用してもよいが、別のサイズ及び/又は形状も前記曲線因子及び/又は他の曲線因子と関連して利用可能である。一実施形態において、ピラー1006は、TE材料をスクリーン印刷してから配置してもよい。
【0075】
一実施形態において、TEモジュールは内部基板1004と直接接触していない。それどころか、一実施形態において、内側基板1004の内面(表面3)と熱電材料との間にバスバー1014を設ける。バスバーは透明であってよいことから、例えばAg、ITO、AZO、インジウム−ガリウム−酸化物などからなる又はそれらを含有する透明導電性コーティングのような任意の好適な材料からなるものであっても又はそれらを含有してもよい。導電性コーティングは、CNT系、グラフェン系等であってもよい。CNT系導電性コーティング/装置及びそれらの製造方法は、例えば米国出願番号12/659,352に開示されており、その開示内容を本明細書に参照として組み込み、また、グラフェン系導電性コーティング/装置及びそれらの製造方法は、例えば米国出願番号12/654,269に開示されており、その開示内容を本明細書に参照として組み込む。電力伝送を促進させるために、銀又は他の導電性フリット(図示せず)を、VIGユニットの縁の最も近くにバスバー1014と直接的に又は間接的に接触させて設けてもよい。一実施形態において、エッジシール1008自体は、導電性材料から形成され得ることから、好適な接続部として機能することもある。
【0076】
フリップチップ実装されたLED1016を導体1012上に配置してもよい。フリップチップ実装されたLED1016のより具体的な詳細を、例えば図12と関連付けて以下に記載する。
【0077】
図11は、一実施形態による、電気的には直列に接続されかつ熱的には平行に連結されたILED構造の平面図である。第1モジュール内のn型素子が横列の末端又は縦列の末端まで第2モジュール内のp型素子等と接続される(又はその逆となる)ようにTEモジュールを電気的に直列に接続した後、隣接する横列又は縦列をつなげ、新たな列に沿ってパターンを反復させる。TEモジュールは、それらが全てVIGユニットの空洞内に配置されるので、熱的には平行に接続される。VIGユニットの側面にはそれぞれ、少なくとも1つの正極と、少なくとも1つの負極とが収容されている。そのため、上述の銀フリットは、VIGユニットの実質上周囲全体に、前記極を付与する予定の位置等に設けてよい。図11から分かるように、TEモジュールは、所定の曲線因子を満足する(この実施例では約20%)ように空間を占有する。
【0078】
TEモジュールに関する更なる詳細は、例えば米国出願番号12/801,257に見出すことができ、この内容を全て本明細書に参照として組み込む。
【0079】
図12は、一実施形態によるフリップチップサブマウントウェハの断面図である。一般に、フリップチップ実装法は、集積回路(IC)チップ等の半導体装置に用いられる実装方法の1種であり、これによりワイヤーボンディングの必要性が軽減される。最終ウェハ加工段階ではチップパッドにはんだバンプを堆積させて、関連した外部電気回路と直接接続する。フリップチップの加工は、従来のIC製造と同様である。フリップチップ製造法の終点付近で、取付パッドを金属化してはんだとの適合性を高める。この金属化は一般に幾つかの処理を包含している。小さな点状のはんだを各パッドに堆積させる。チップを、従来通りウェハから切り出す。一般にそれ以上加工する必要がなく、また、一般に機械的なキャリアは全く存在しない。フリップチップを回路に取り付ける場合、フリップチップを逆さまにして点状のはんだを下層の電子機器又は回路基板の上の導体へ移動させる。次にはんだを再溶融させて電気接続を形成する。これにより、チップの電気回路と下層実装との間に小さな空間が残る。大抵の場合、次に電気絶縁接着剤を用いて更に強力な機械的結合を形成して熱橋を形成し、そして確実にはんだ接合するのに、チップと残りのシステムを選択加熱することによりストレスを受けない。得られた完成アセンブリは従来のキャリアをベースとするシステムよりもかなり小さい。チップは回路基板上に据え付けられており、面積及び高さが共にキャリアよりもかなり小さい。
【0080】
図12を再び参照すると、基板1202は、例えばウェハから切り出された状態で供給される。一実施形態において、基板1202はサファイア、石英又は任意の他の好適な材料であってよい。一実施形態において、外面1202aを、例えば上述のようにテクスチャー加工、パターニング、エンボス加工等してもよい。基板1202は、例えばn型GaN層1204を包含する複数の薄膜層を支持してもよい。その結果、n型GaN層1204は、例えばその周囲のn型層接触部1206部を支持してもよい。一実施形態において、n型GaN層1204の中央に複数の追加の薄膜層及び/又は他の層を設けてもよい。例えば、活性領域1208、p型GaN層1210及びp型層接触部1212を設けてよい。n型層接触部1206及びp型層接触部1212はそれぞれ、はんだボール1214及び1216によってサブマウントウェハ1218に接続されてよい。一実施形態において、GaN層及び/又は他の層はInGaN層であってよい。
【0081】
図13は、一実施形態によるLED内蔵VIGの一例である。図13には、実質上平行でかつ間隔を空けて配置された第1ガラス基板1302と第2ガラス基板1304が包含されている点で、図13図10に似ている。複数のピラー1306は、第1基板1302及び第2ガラス基板1304を正確に配向させたままにするのに役立ち、また、エッジシール1308は空洞1310を密封する。いずれにしても、一実施形態において、複数のLED1312が第2基板で支持されている。
【0082】
一実施形態において、空洞1310を大気圧未満の圧力まで減圧してもよい。一実施形態において、空洞1310に好適なガス(例えば、例としてはAr、Kr、Xe、Ne、He等のような不活性ガス)を「埋め込み注入」してもよい。Heは良好な熱伝導材料であることから、一実施形態に関して特に有利であることが分かった。そのため、一実施形態において、例えばHeを格納したVIGを熱電対の代わりに供給してもよい。
【0083】
上記技術は、図13の実施態様例に関して利用され得る。例えば、LED上に高屈折性の層を設けてもよい。一実施例では、図13の実施態様例に関して、前記ハイブリッド層から全て又は実質上全ての有機材料を(例えば硬化時に)除去することが有利なことがある。エンボス加工、パターニング及び/又は他の技術を用いてもよい。図示していないが、LED1312は、フレキシブルPCB(図示せず)上に供給されてもよく、例えば一実施形態において、LED1312はフリップチップ実装されてもよい。一実施形態において、LED1312をラミネート(図示せず)に埋め込んでもよい。
【0084】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットは当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第5,664,395号、同第5,657,607号及び同第5,902,652号、米国出願公開番号2009/0151854、同2009/0151855、同2009/0151853、同2009/0155499、同2009/0155500、並びに米国出願番号第12/453,220及び同12/453,221を参照し、これらの開示内容を全て参照として本明細書に組み込む。前記文献に記載のエッジシール、送り出し及び/又は他の技術/構造を、本発明の一実施形態と関連して使用してもよい。
【0085】
本明細書に記載の技術は有利なことに、改善された比色分析結果(colormetrics)を提供するのに役立つことがある。分かるように、LEDを予め内蔵している及び/又はLEDを大量に購入する場合には比色分析結果が一致しないこともある。本明細書に記載した特定の技術例は、このような問題を軽減する(そして場合によっては問題を取り除く)のに役立つこともある。
【0086】
一実施形態は照明製品について記載してきた。しかし、本明細書に記載の技術は、例えばディスプレイ製品(例えば、LCD及び/又は他のフラットパネル設計におけるバックライト用)、モバイル機器、装飾要素(例えば、窓、ドア、天窓、サイドウィンドウ等)等のような他の用途と関連して使用してもよい。
【0087】
一実施形態において、ランバート型又は非ランバート型の光源を平坦な基板、実質上平坦な基板又は湾曲基板に配置してもよい。したがって、照明装置はこのような平坦な基板、実質上平坦な基板又は湾曲基板を収容していてよいことが分かるであろう。
【0088】
本明細書で使用するとき、「上に(on)」及び「で支持されている(supported by)」等の用語は、格段の定めをした場合を除き、2つの要素が互いに直接隣接していることを表すものと解釈すべきではない。言い換えれば、たとえ1層以上の層が間に存在する場合でも、第1の層は第2の層の「上に」ある又は第2の層「で支持されている」と記載することがある。
【0089】
本発明は、最も実用的で好ましい実施態様であると現在考えられるものについて記載してきたが、本発明は、開示された実施態様に限定されるものではなく、一方で、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に包含される様々な変更点及び同等の配置をも網羅するものと解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
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図12
図13