【実施例】
【0019】
表2に示すように、外気温が10℃、20℃、30℃、40℃の場合、取入れられる大気の風量(風速)が強、中、弱強、弱と変化するとき、冷却器としての熱交換器の表面温度は0℃、−1.5℃、−4℃、−5℃とすることによって、効率のよい熱交換器の冷却能力を得ることを経験値として知った。
また、外気温が0℃以下の場合は、除霜ランプが点灯し、30分後にコンプレッサーをOFFにし、吸気ファンを強運転で10分行うようにした。
【0020】
図2は取水方法を示す経路である。
本発明では、外気温と熱交換器による冷却温度との温度差によって大気を冷却し、水滴を生成する。この水分は貯水タンク10(14リットル)に一旦貯水され、一定量貯水後、逆浸透膜浄水器15に加圧ポンプ13で送出し、ろ過浄水後、温水タンク16又は冷水タンク18に送水される。適宜飲料水として供給口17より85〜95℃の温水として取出せるようにし、また供給口19から冷水5〜15℃を取り出せるようにした。
【0021】
5は熱交換器で、コンプレッサー22の起動により、冷媒を圧縮して冷媒パイプで熱交換器5へ送出し、ステンレスフィンの表面を冷却し、大気中から吸気ファン6により取入れられた空気を冷却して水滴をつくる。
10は貯水タンクで、水滴を約14リットル貯水できる。フロートスイッチ付きである。
【0022】
12は携帯バケツなどの水容器で、手動切替バルブ11を作動して、災害時などに取水
を取り出せるようにした。
13は加圧ポンプで、貯水タンクの水を逆浸透膜浄水器15に送り、ろ過させる。
【0023】
14はプレフィルターで、10ミクロンセディメントフィルターと5ミクロンカーボンフィルターによって粗ごみを処理する。
【0024】
15は逆浸透膜浄水器で、メンブレンは0.0001ミクロンの微細孔を持つ複合膜であり、バクテリア、ウイルス、重金属などの有害物を限りなく除去する。最後にはポストカーボンを設け、前記フィルターと共に4層構造のフィルターとなっている。
16は温水タンクで、タンク周縁に460Wのヒートバンド16aを設けて加熱可能とし、85〜95℃の熱湯を得る。
【0025】
18は冷水タンクで、周縁には冷却パイプ18aを設け、冷媒を送り、冷水を得るようになっている。
冷水タンク18には、温水タンク16の熱湯が電磁弁(H)を介してポンプ20により冷水タンクへ移入され、熱湯殺菌することができる。なお、タイマーで3分程度殺菌してから、貯水タンク10へ流入させリサイクルさせる。
【0026】
リサイクルは、一日一回熱湯殺菌方式を採用できる。これは深夜時間(例えば午前1時)になると、冷水タンク18下の電磁弁(S)を開放して全ての貯水を放出する(時間設定。次に満水状態(HL)にある温水タンク16のヒーター16aをONにし、タンク内の温水を再沸騰させ、例えば80〜90℃に達すると電磁弁(H)をONとし、ポンプ20により、温水タンク16から冷水タンク18へ送水する。温水タンク16で、温水がレベルLLになったことを検知後、電磁弁とポンプをOFFとする。
【0027】
設定時間後(例30分)、コンプレッサーを起動させ、冷却パイプ18aに冷媒を送り、熱交換器のステンレスフィンが冷却され大気から冷水を造る。一度殺菌された水は、水温9℃以下になると菌の増殖が極端に低くなる。冷水タンク18内に流入する水は逆浸透膜浄水器によりろ過されているので、菌は除去されており、リサイクルが支障なく行われる。
【0028】
逆浸透膜浄水器から生じる排水は、コンプレッサー22に巻付けた銅管の中を通すことによりコンプレッサーを冷却し、熱交換器が安定的な冷却温度を維持し、安定した効率によって大気中から水滴を作り出すようになっている。なお、コンプレッサーの位置は貯水タンク10と同レベルにあり、逆浸透膜浄水器の排水がコンプレッサー22の銅管24内に循環するようになり、コンプレッサーの冷却を継続するようになっている。
【0029】
以下、殺菌方法について説明する。
【0030】
5〜15℃の冷水タンク部分で、一般細菌が多く発生するが、本製品では温水タンクからの熱水を冷水タンクに移送して行う熱湯殺菌と逆浸透膜浄水器による浄水作用を用いているので、ほぼ完全に菌の発生を1cc/100個以内という水道法基準以下が得られ、ほぼ0にすることに成功した。
殺菌手段としては、塩素殺菌、熱湯殺菌がもっとも有効であり、銀、UVなどから比べると、数段殺菌能力がある。
【0031】
本発明では、取水機構により取出された大気中の水分を一旦貯水タンクに貯留し、加圧
ポンプで逆浸透膜浄水器へ送り、ろ過し浄水する手段と、ろ過された浄水を温水タンク又
は冷水タンクへ送水する手段と、必要に応じて温水又は冷水として供給口から取出す手段
と、冷水タンクに移送された浄水は、一定時間後又は随時電磁弁を経て貯水タンクへ還元
するリサイクル手段と、前記逆浸透膜浄水器からの排水を廃棄することなく、熱交換器の
コンプレッサーの外周に巻きつけた銅管を通して、コンプレッサーを冷却する手段とから
成り、熱交換器の冷却能力を効率よく制御することを特徴としている。
【0032】
本発明の取水方法によると、100% のリサイクルが実現できた。通常飲料水として使用する場合、(20リットル/日)で、一切捨て水が発生しないようになっている。
通常は大気中から熱交換器によって、水温25℃、湿度70%で12から14リットル、また水温10℃、湿度40%で8から10リットルを生成するが、災害非常時には、家庭用の災害救済手段を搭載し、池、一般河川、風呂の残り湯等を飲料水にするシステムを付設することができる。
【0033】
この場合、水温25℃の場合、200ml/min x 60 x 24時間 で、288リットルが生成される。2リットルペットボトルに換算すると。144本分に匹敵する。
図中の符号25は、熱交換器から冷却されて出てくる水滴を受けて貯水タンクに貯めるときのフィルターを示している。
【0034】
本製品では、給水工事が一切不要であり、電源があれば、大気中より水を作ることができる。また災害時用の給水口を設けておけば、水道水を足して使用することができる。この場合、水道水と直結させるような水道工事を一切不要とした。従って、場所を選ばず、どこでも設置可能である。
【0035】
本製品の原水は、熱交換器によって、温度差を利用して大気中から水分を取出しているので、蒸留水のようにカルシュウム、マグネシュウムのような硬度分が極めて少ない水であり、軟水である。軟水は、逆浸透膜の除去性能に与える負荷を大幅に軽減し、リサイクルを可能としている。
【0036】
表1に示すように、本発明の原水は大気中の水分として常に10PPM程度の水となる。原水を97%除去率の逆浸透膜浄水器を使用してろ過した場合、排水は原水に1.8を掛けた数値となる。
冷水タンク又は温水タンクへ送られた飲料水は、排水のリサイクルを繰返して行なっても、原水の逆浸透膜浄水器による浄水と同じ値となり、リサイクル回数を延ばすことができる。
【表1】
【表2】
【0037】
また、逆浸透膜の負担係数は300PPM以上になると、負荷が大幅に大きくなるので、リサイクル回数を6回程度に限定するのが普通であるが、本発明の場合は、原水が大気中の水分であり、雑菌を除いて逆浸透膜浄水器でろ過した場合、6回にとどまらずリサイクル回数を延ばすことを可能とした。
【0038】
大阪市の水道水は100PPM 程度であり、排水は一回目で1.8を掛けた180PPMとなるので、2回目のリサイクルで324PPMになる。従って、リサイクルは無理である。
【0039】
本発明では、原水が蒸留水の総溶解固形物、無機イオン(TDS)と比較して値が低い水
であるので、繰り返しリサイクル可能となっている。なお、リサイクルの途中で、大気中
から取水するので、排水が希釈され理論値では、リサイクルは何回でも問題なく行われる
こととなる。
【0040】
外気温の変化に対してもっとも効率よく取水するには、冷却コントローラーを設けて中
央処理装置により熱交換器による冷却温度を制御する。取水機構に取入れられた大気の風
量(風速)が、強、中、弱強、弱と変化するのに対応して、冷却器としての熱交換器の表
面温度は0℃〜−5℃とすることが、効率のよい熱交換器の冷却能力を最良であることを
知った。(表2参照)
【0041】
表3は本発明で逆浸透膜浄水器からの排水を、コンプレッサーの外周に巻きつけた銅管
の中を通すことにより、コンプレッサーを冷却した場合、取水が増量されることを示す表
である。
【表3】
【0042】
熱交換器 : ケイワイ技研製(ステンレスフィン仕様)
冷媒 : 代替フロンR134a
コンプレッサー: ハイリー(海立)製BSA645CR-RIENC
銅管 : 7重巻き (6Φ)
【0043】
表3は環境条件1,2,3のいずれの場合にも、温度センサーによって感知した外気温
に対して、逆浸透膜浄水器からの排液を利用してコンプレッサーを冷却した場合(本発明
)と利用しない場合との取水効果の比較表である。いずれの場合も取水の増量が明らかで
ある。冷却ファンによる風速(4m/sec)を一定として得たデータである。
【0044】
外気温9.3℃で得られた水分の量は、17%の増量が認められ、外気温25℃前後で
20〜25%の増量が認められた。