(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シーズヒーターのヒーター端子は、通常、雄ねじ部分も含めて略円柱形状で構成されるため、ナットの締め付けが強すぎると雄ねじ部分が回転し、ヒーター端子と抵抗線の接続状態が破断されるおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的は、ヒーター端子と抵抗線の接続状態を維持しやすいシーズヒーターなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシーズヒーターは、円筒部と、円筒部の内部に配置される抵抗線と、抵抗線の両端に接続されたヒーター端子とを備え、ヒーター端子は、ナットとの螺合のために雄ねじ形状を有し一部が円筒部から露出する第1端部と、円柱形状を有し抵抗線の一部が巻き付けられる第2端部を有し、第1端部の先端部の側面であって円筒部から露出する部分には、第1端部の径方向の一つと平行な方向に延びる穴若しくは凹みと、径方向の一つと垂直な平面部の少なくとも一方が設けられる。
【0007】
少なくとも当該平面部が接触するように、ペンチやスパナなどの工具で第1端部の先端部を挟み込み、当該工具を保持すると、保持した工具が回り止めの役割を果たし、ナットによる螺合の際に、ナットを回しすぎても、ヒーター端子が回転しにくくなり、抵抗線とヒーター端子の断線を防止する(ヒーター端子と抵抗線の接続状態を維持しやすくする)ことが可能になる。
また、ヒーター端子が回転しにくい状態になるため、ナットを回しすぎた状態になったかどうかを使用者が認識しやすいメリットもある。
【0008】
また、当該穴(若しくは凹み)に棒状物を挿入し、当該棒状物を保持すると、保持した棒状物が回り止めの役割を果たし、ナットによる螺合の際に、ナットを回しすぎても、ヒーター端子が回転しにくくなり、抵抗線とヒーター端子の断線を防止する(ヒーター端子と抵抗線の接続状態を維持しやすくする)ことが可能になる。
【0009】
好ましくは、第1端子の先端部には、雄ねじ形状部分を構成する雄ねじの谷の径と同等かそれ以下の径を有する円柱部が設けられ、円柱部の先端に、平面部が設けられる。
【0010】
平面部がナットに引っかからずに滑らかにナットを螺合させることが可能になる。
【0011】
また、好ましくは、第1端部の先端部の側面であって円筒部から露出する部分には、平行な位置関係にある2つの平面部が、1組以上設けられる。
【0012】
また、好ましくは、第1端子の先端部には、雄ねじ形状部分を構成する雄ねじの谷の径と同等かそれ以下の径を有する円柱部が設けられ、円柱部の先端に、穴若しくは凹みが設けられる。
【0013】
穴若しくは凹みがナットに引っかからずに滑らかにナットを螺合させることが可能になる。
【0014】
また、好ましくは、円筒部の内部に充填される絶縁粉末を更に備え、ヒーター端子は、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部に挟まれた中間部を有し、第1端部と中間部と第2端部が一体的に構成され、中間部は、横断面が円形以外の形状を有する部分と、第1端部及び第2端部の中心軸の延長線から離れた位置に重心が位置する横断面形状を有する部分の少なくとも一方を含む。
【0015】
ヒーター端子の中間部に、円柱形状と異なる形状の部分などが設けられるため、当該箇所の周りに充填された絶縁粉末が回り止めの役割を果たし、ナットによる螺合の際に、ナットを回しすぎても、ヒーター端子が回転しにくくなり、抵抗線とヒーター端子の断線を防止する(ヒーター端子と抵抗線の接続状態を維持しやすくする)ことが可能になる。
また、ヒーター端子が回転しにくい状態になるため、ナットを回しすぎた状態になったかどうかを使用者が認識しやすいメリットもある。
【0016】
さらに好ましくは、中間部は、横断面が円形以外の形状を有する部分を含むものであり、横断面が円形以外の形状を有する部分は、多角柱形状を有するものであり、多角形形状の横断面の重心から、多角形形状の横断面の外形を形成する辺までの線分の総てが、第2端部の横断面を形成する円の半径よりも長い。
【0017】
さらに好ましくは、多角柱形状の横断面と同じ横断面形状を有し、多角柱形状よりも長い高さを有する柱状物から、第1端部と第2端部に相当する部分を削り出しして、ヒーター端子が形成される。
【0018】
また、好ましくは、中間部は、横断面が円形以外の形状を有する部分を含むものであり、中間部は、第1端部と第2端部よりも直径が大きい円柱形状部分を有し、横断面が円形以外の形状を有する部分は、円柱形状部分の一部を削る若しくは変形することにより形成される。
【0019】
さらに好ましくは、横断面が円形以外の形状を有する部分は、多角柱形状を有する。
【0020】
また、好ましくは、横断面が円形以外の形状を有する部分は、円柱形状部分の一部が押しつぶされた形状を有する。
【0021】
また、好ましくは、中間部は、第1端部及び第2端部の中心軸の延長線から離れた位置に重心が位置する横断面形状を有する部分を含むものであり、中間部は、第1端部と第2端部よりも直径が大きい円柱形状部分を有し、第1端部及び第2端部の中心軸の延長線から離れた位置に中心が位置する横断面形状を有する部分は、円柱形状部分の一部を曲げることにより形成される。
【0022】
また、好ましくは、円筒部は、開口部にはめ込まれた第1絶縁部材を介してヒーター端子の第1端部を保持するものであり、絶縁粉末は記第1端部の一部と、第2端部の全部と、中間部の全部を覆うように充填され、絶縁粉末における第1絶縁部材と対向する部分は、コーキングが施される。
【0023】
本発明に係る負荷試験装置は、円筒部と、円筒部の内部に配置される抵抗線と、抵抗線の両端に接続されたヒーター端子とを有するシーズヒーターを複数備え、複数のシーズヒーターは、乾式負荷試験の抵抗器として用いられるものであり、ヒーター端子は、雄ねじ形状を有し一部が円筒部から露出する第1端部と、円柱形状を有し抵抗線の一部が巻き付けられる第2端部を有し、第1端部の先端部の側面であって円筒部から露出する部分には、第1端部の径方向の一つと平行な方向に延びる穴若しくは凹みと、径方向の一つと垂直な平面部の少なくとも一方が設けられる。
【0024】
好ましくは、円筒部の内部に充填される絶縁粉末を更に備え、ヒーター端子は、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部に挟まれた中間部を有し、第1端部と中間部と第2端部が一体的に構成され、中間部は、横断面が円形以外の形状を有する部分と、第1端部及び第2端部の中心軸の延長線から離れた位置に重心が位置する横断面形状を有する部分の少なくとも一方を含む。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、ヒーター端子と抵抗線の接続状態を維持しやすいシーズヒーターなどを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における乾式の負荷試験装置1は、フレーム10、抵抗部20、冷却部30、接続切り替え部40を備える(
図1〜
図11、
図14〜
図22参照)。
【0028】
なお、方向を説明するために、接続切り替え部40とフレーム10が並べられる水平方向をx方向、x方向に垂直な水平方向をy方向、x方向とy方向に垂直な鉛直方向をz方向として説明する。
【0029】
フレーム10は、上段に抵抗部20を収容し、下段に冷却部30を収容する。また、フレーム10の側部には、接続切り替え部40が設けられ、下部にはキャスターが設けられる。
【0030】
フレーム10の側面(抵抗部20を構成する抵抗器Rのヒーター端子63が見える面)は、ヒーター端子63や、ヒーター端子63に接続されたケーブルや短絡バーや、抵抗器Rを保持する枠21を保護するカバー11が設けられる(
図2参照)。
カバー11は、鉄やアルミニウムなどの導電性材料で構成される。
【0031】
抵抗部20は、y方向に平行な棒状の抵抗器Rがx方向に所定の間隔を空けて複数本並べられた抵抗器列が、z方向に複数段並べられたもので、端子接続部43を介して接続された発電機などの試験対象電源の負荷試験を行うために用いられる。抵抗器Rは試験対象電源からの電力供給を受ける。
【0032】
本実施形態では、抵抗器Rは、x方向に9本並べられた抵抗器列が、z方向に13段並べられる。ただし、各抵抗器列に並べられる抵抗器Rの本数や、抵抗器列が積み重ねられる段数は、これに限るものではない。
【0033】
なお、少なくとも1段の抵抗器列(
図4や
図5で示す例では、最も上段の抵抗器列)の抵抗器Rは、他の抵抗器Rが故障した場合の取り替えなど予備用で、他の段の抵抗器列を構成する抵抗器Rが、第1抵抗器群G1〜第12抵抗器群G12を構成する抵抗器Rとして用いられるのが望ましい。
【0034】
抵抗部20を構成する抵抗器Rにおいて、近接する6本若しくは12本の抵抗器Rを、1つの抵抗器群とし、試験対象電源からの電圧印加を行う抵抗器群の数を変えながら、負荷試験を行う。
【0035】
また、負荷試験対象の電源の種類に応じて、抵抗器群内の接続(抵抗器群内の抵抗器Rの接続状態)を変える。
【0036】
抵抗部20は、第1抵抗器群G1〜第12抵抗器群G12を有する。本実施形態では、定格電圧:400Vで定格容量:1.67kWの抵抗器Rを6本有する第1抵抗器群G1(定格容量:1kW)、定格電圧:116V、定格容量:334Wの抵抗器Rを6本有する第2抵抗器群G2(定格容量:2kW、第3抵抗器群G3も同じ)、定格電圧:116V、定格容量:834Wの抵抗器Rを6本有する第4抵抗器群G4(定格容量:5kW)、定格電圧:116V、定格容量:1.67kWの抵抗器Rを6本有する第5抵抗器群G5(定格容量:10kW、第6抵抗器群G6も同じ)、定格電圧:116V、定格容量:1.67kWの抵抗器Rを12本有する第7抵抗器群G7(定格容量:20kW、第8抵抗器群G8〜第12抵抗器群G12も同じ)が、設けられた例を示す。ただし、抵抗器群Gの数やそれぞれの定格電圧や定格容量は上述の構成に限るものではない。
【0037】
抵抗器(シーズヒーター)Rは、ニクロム線などコイル状の抵抗線61、抵抗線61と電気的に接続され抵抗線61の両端に設けられたヒーター端子(ボビン)63、第1絶縁部材65aを介してヒーター端子63を保持し抵抗線61やヒーター端子63の一部(枠21を構成する壁から外側に露出しない部分)の側面を覆う円筒部(ヒーターパイプ)67を有する(
図6〜
図8参照)。
【0038】
なお、
図7や、後述する
図12、
図14〜
図19の断面構成図は、抵抗線61とヒーター端子63とナット66以外の部材の断面を示し、抵抗線61とヒーター端子63とナット66は側面を示す。
【0039】
円筒部67の側面には、放熱用フィン69が設けられる。
【0040】
ヒーター端子63は、ナット66との螺合のために雄ねじ形状を有し一部が円筒部67から露出する第1端部63a、略円柱形状を有し抵抗線61の一部が巻き付けられる第2端部63b、第1端部63aと第2端部63bに挟まれた中間部63cを有し、第1端部63aと中間部63cと第2端部63bが、一体的に構成される。
【0041】
第1端部63aは、雄ねじ形状部分だけで構成される形態であってもよいが、さらに、雄ねじ形状部分の先端部であって円筒部67から露出する部分に雄ねじの谷の径と同等かそれ以下の径を有する円柱部63a1が設けられ、当該円柱部63a1の先端の側面に、切削加工などにより径方向の一つと垂直な平面部63a2が設けられたものが設けられる形態(
図19〜
図21参照)、若しくは、当該円柱部63a1の先端の側面に、径方向の一つと平行な方向に延びる穴(若しくは凹み)63a3が設けられる形態(
図22参照)であっても良い。
【0042】
少なくとも当該平面部63a2の一部が接触するように、ペンチやスパナなどの工具で第1端部63aの先端部を挟み込み、当該工具を保持すると、保持した工具が回り止めの役割を果たし、ナット66による螺合の際に、ナット66を回しすぎても、ヒーター端子63が回転しにくくなり、抵抗線61とヒーター端子63の断線を防止する(ヒーター端子63と抵抗線61の接続状態を維持しやすくする)ことが可能になる。
【0043】
従って、着実に挟み込みが出来るように、平行な位置関係にある2つの平面部63a2が1組以上設けられるのが望ましい。
図21は、平行な位置関係にある2つの平面部63a2が1組設けられた例を示す。
【0044】
また、当該穴(若しくは凹み)63a3に棒状物を挿入し、当該棒状物を保持すると、保持した棒状物が回り止めの役割を果たし、ナット66による螺合の際に、ナット66を回しすぎても、ヒーター端子63が回転しにくくなり、抵抗線61とヒーター端子63の断線を防止する(ヒーター端子63と抵抗線61の接続状態を維持しやすくする)ことが可能になる。
【0045】
また、ヒーター端子63が回転しにくい状態になるため、ナット66を回しすぎた状態になったかどうかを使用者が認識しやすいメリットもある。
【0046】
なお、雄ねじ形状部分の先端部の側面であって円筒部67から露出する部分に平面部63a2と、穴(若しくは凹み)63a3の少なくとも一方を設ける形態であってもよいが、平面部63a2若しくは穴63a3がナット66に引っかからずに滑らかにナット66を螺合させるためには、雄ねじの谷の径と同等かそれ以下の径を有する円柱部63a1を設け、円柱部63a1に平面部63a2と穴(若しくは凹み)63a3の少なくとも一方を設けるのが望ましい。
【0047】
中間部63cは、第1端部63a及び第2端部63bの中心軸LXと同じ中心軸を有し、第1端部63aと第2端部63bよりも直径が大きい略円柱形状部分63c1と、横断面が円形以外の形状を有する部分63c2を含む。
【0048】
たとえば、横断面が円の柱状物(円柱)から、第1端部63a、第2端部63bに相当する部分を削り出しして、中間部63cにおける横断面が円形以外の形状を有する部分63c2や後述する中心軸LXの延長線から離れた位置に重心が位置する横断面形状を有する部分63c3が形成される前の状態のヒーター端子63が形成される。
【0049】
横断面が円形以外の形状を有する部分63c2は、
図7や
図8に示すように、中間部63cの一部が切削加工やプレス加工などにより形成された略多角柱形状(横断面が多角形)や、
図9に示すように、中間部63cの一部がプレス加工などにより押しつぶされた形状(横断面が略楕円など)で構成される形態が考えられる。
【0050】
この場合、当該円形以外の形状における重心から当該形状の外形を形成する辺または弧までの線分の少なくとも幾つかは、略円柱形状部分63c1の横断面を形成する円の半径よりも短くなるように、当該円形以外の形状が形成される。
【0051】
また、当該円形以外の形状を多角形とし、当該多角形の重心から当該形状の外形を形成する辺までの線分の総てが、第2端部63b及び略円柱形状部分63c1の横断面を形成する円の半径よりも長くなるように、当該円形以外の形状が形成される形態であってもよい(
図10参照)。
【0052】
この場合、断面が多角形の柱状物(多角柱)から、削り出しにより、上下の略円柱形状部分63c1や横断面が円形以外の形状を有する部分63c2を含むヒーター端子63の全体を形成することが出来る。
【0053】
具体的には、多角柱形状の横断面と同じ横断面形状を有し、多角柱形状よりも長い高さ(第1端部63a、第2端部63b、中間部63cの高さ)を有する柱状物から、第1端部63aと第2端部63bと中間部63cの略円柱形状部分63c1に相当する部分を削り出しして、ヒーター端子63が形成される。
【0054】
たとえば、正六角柱の部材から、第1端部63a、第2端部63b、中間部63cの略円柱形状部分63c1に相当する部分を削り出しすれば、横断面が円形以外の形状を有する部分63c2が正六角柱形状を有するヒーター端子63を得ることが出来る。
【0055】
また、横断面が円形以外の形状を有する部分63c2に代えて若しくは加えて、中間部63cは、当該略円柱形状部分63c1の一部が曲げ加工などにより形成され、第1端部63a及び第2端部63bの中心軸LXの延長線から離れた位置に重心が位置する横断面形状を有する部分63c3を含む形態であってもよい(
図11参照)。
【0056】
抵抗線61の一部は、第2端部63bに巻き付けられ、スポット溶接などで固定される。
円筒部67の内部は、マグネシアなどの絶縁粉末64が充填され、圧縮と熱によって固められる。
【0057】
絶縁粉末64は、第1端部63aの一部と、第2端部63bの全部と、中間部63cの全部を覆うように充填される。
絶縁粉末64における第1絶縁部材65aと対向する部分(絶縁粉末64と第1絶縁部材65aの境界部分)や、第1端部63aの雄ねじ形状部分の一部は、シリコーンなどでコーキング62が施される。
コーキング62を介して、第1端部63aの雄ねじ形状部分の一部と絶縁粉末64が固定された状態になる。
【0058】
第1絶縁部材65aと円筒部67を間に挟んだ状態で、ナット66が第1端部63aに螺合される。
【0059】
ヒーター端子63の中間部63cに、角柱形状など、略円柱形状と異なる形状を設けない形態(
図12、
図13参照)では、ナット66による螺合の際に、ナット66を回しすぎると、ヒーター端子63が滑って回転し、抵抗線61とヒーター端子63の接続状態を破断させてしまうおそれがある。
【0060】
本実施形態では、ヒーター端子63の中間部63cに、多角柱形状など、横断面が円形以外の形状を有する部分63c2、若しくは、第1端部63a及び第2端部63bの中心軸LXの延長線から離れた位置に重心が位置する横断面形状を有する部分63c3、すなわち略円柱形状と異なる形状の部分が設けられるため、当該箇所の周りに充填された絶縁粉末64が回り止めの役割を果たし、ナット66による螺合の際に、ナット66を回しすぎても、ヒーター端子63が回転しにくくなり、抵抗線61とヒーター端子63の断線を防止する(ヒーター端子63と抵抗線61の接続状態を維持しやすくする)ことが可能になる。
【0061】
また、ヒーター端子63が回転しにくい状態になるため、ナット66を回しすぎた状態になったかどうかを使用者が認識しやすいメリットもある。
【0062】
また、切削加工やプレス加工などによって、ヒーター端子63の中間部63cにおける略円柱形状の一部を削る若しくは変形させるため、簡単に略円柱形状と異なる形状の部分を形成することが可能になる。
【0063】
また、削り出しの場合は、プレス加工や曲げ加工に比べて、ヒーター端子63の中間部63cの一部箇所に応力を集中させずに、横断面が円形以外の形状を有する部分63c2を含むヒーター端子63を形成することが出来る。
【0065】
抵抗器Rのヒーター端子63は、他の抵抗器Rのヒーター端子63と短絡バーで接続されたり、ケーブルを介して端子接続部43やリレーに接続されたりする。
【0066】
抵抗器Rは、4つの壁で構成された枠21で側面が覆われる。
【0067】
抵抗器Rにおけるヒーター端子63と導通しない箇所(第1絶縁部材65aを介して、ヒーター端子63を保持する円筒部67の両端近傍など)が、第2絶縁部材65bを介して、当該枠21を構成する壁に保持される。
【0068】
図6は、枠21に保持された4つの抵抗器Rの端部であって、その内、2つ(第1端部63aに平面部63a2を含む円柱部63a1が設けられていないもの)は、短絡バーを介してヒーター端子63同士が接続されたものを示す。
【0069】
また、枠21は、下部に設けられた冷却部30からの冷風を上部に流すために、上面と下面が開口する。
【0070】
冷却部30による冷却を効率良く行うために、抵抗器列を構成する抵抗器Rと当該抵抗器Rとx方向に隣接する抵抗器Rの中間の位置に、z方向に隣接する抵抗器列の抵抗器Rが配置されるように、各抵抗器列の抵抗器Rが配列される。
【0071】
抵抗部20の下部(フレーム10の下段)には、冷却ファンを有する冷却部30が設けられる。
【0072】
冷却部30や、抵抗部20における抵抗器群ごとに設けられ、試験対象電源から抵抗器群のいずれかへの電力供給を制御するリレーは、試験対象電源とは別の電源(負荷試験装置駆動用電源)で駆動される(
図3参照)。
【0073】
接続切り替え部40は、操作部41、端子接続部43を有する(
図2、
図3参照)。端子接続部43は、操作部41と離れた位置(例えば、操作部41の背面など)に配置される形態であってもよい。
【0074】
操作部41は、モード切替スイッチ41a、抵抗切替スイッチ41bを有する。
【0075】
モード切替スイッチ41aは、ロータリー式の操作スイッチで、負荷試験装置1のオンオフや、試験対象の電源の種類を選択する(モード切替する)ために使用される。
【0076】
抵抗切替スイッチ41bは、スライド式(若しくはトグル式若しくは押しボタン式)の操作スイッチで、第1抵抗器群G1〜第12抵抗器群G12それぞれのリレーのオンオフ制御を行うためのスイッチである。
第1操作スイッチS1をオン状態にすると、第1抵抗器群G1のリレーがオン状態(導通状態)にされて、第1抵抗器群G1に、端子接続部43を介して負荷試験装置1に接続された試験対象電源からの電流が流れうる状態にされる。
第2操作スイッチS2〜第12操作スイッチS12も、同様で、オン状態にすると、対応する抵抗器群のリレーがオン状態(導通状態)にされて、当該抵抗器群に、端子接続部43を介して負荷試験装置1に接続された試験対象電源からの電流が流れうる状態にされる。
【0077】
モード切替スイッチ41aの回転位置を、試験対象電源の種類に対応した回転位置(動作モード)に合わせた場合に、冷却部30の冷却ファンは駆動され、抵抗切替スイッチ41bの操作状態に基づき第1抵抗器群G1〜第12抵抗器群G12それぞれのリレーのオンオフ制御が行われる。
【0078】
なお、主電源スイッチを設け、主電源スイッチがオン状態で且つモード切替スイッチ41aの回転位置を試験対象電源の種類に対応した回転位置(動作モード)に合わせた場合に、冷却ファンの駆動や第1抵抗器群G1〜第12抵抗器群G12それぞれのリレーのオンオフ制御が行われる形態であってもよい。
【0079】
端子接続部43は、試験対象の電源を接続するための端子で、端子接続部43を介して、試験対象電源と第1抵抗器群G1〜第12抵抗器群G12とが接続可能な状態にされる。
【0080】
次に、抵抗器Rの製造手順について説明する(
図14〜
図18参照)。
【0081】
2つのヒーター端子63の間に抵抗線61を取り付けたものを円筒部67に挿入し、当該円筒部67における開口が鉛直方向を向くように保持し、下方の開口をゴム状のブッシング68で塞いだ状態で、第1端部63aの一部と第2端部63bの全部と中間部63cの全部を覆うように、円筒部67の内部に絶縁粉末64が投入される(
図14参照、充填工程)。
このとき、隙間が無い状態で多くの絶縁粉末64が充填させるため、円筒部67などに振動を与えた状態で、十分に乾燥させた絶縁粉末64を投入するのが望ましい。
【0082】
絶縁粉末64の充填完了後、円筒部67における上方の開口をゴム状のブッシング68で塞いだ状態で、円筒部67の側面を圧縮する減径加工が施される(
図15参照、減径工程)。
【0083】
上下のブッシング68を取り外した状態で、円筒部67に熱が加えられる(
図16参照、加熱工程)。
【0084】
減径工程と加熱工程によって、絶縁粉末64は固まって焼結体となる。
【0085】
絶縁粉末64における円筒部67の開口近傍で露出した部分(ブッシング68と対向していた部分)には、シリコーンなどでコーキング62が施され、その後に、第1絶縁部材65aがはめ込まれる(
図17参照、はめ込み工程)。また、円筒部67に放熱フィン69が取り付けられる。
【0086】
ナット66が第1端部63aに螺合されて、ナット66の間に、第1絶縁部材65aと円筒部67が挟みこまれて、抵抗器Rが完成する(
図18参照、螺合工程)。
第1端部63aに平面部63a2が設けられた場合には、少なくとも当該平面部63a2の一部が接触するように、ペンチやスパナなどの工具で第1端部63aの先端部を挟み込み、当該工具を保持した状態で螺合が行われる。
第1端部63aに穴(若しくは凹み)63a3が設けられた場合には、当該穴(若しくは凹み)63a3に棒状物を挿入し、当該棒状物を保持した状態で螺合が行われる。
【0087】
なお、本実施形態では、中間部63cの一部について、略円柱形状と異なる形状の部分が設けられたヒーター端子63を有する抵抗器(シーズヒーター)Rを乾式の負荷試験装置1に用いる形態を説明したが、シーズヒーターの用途は乾式負荷試験装置に限るものではなく、電熱装置など他の目的で用いる形態であってもよい。
シーズヒーター(抵抗器R)は、円筒部67と、円筒部67の内部に配置される抵抗線61と、抵抗線61の両端に接続されたヒーター端子63とを備える。ヒーター端子63は、ナット66との螺合のために雄ねじ形状を有し一部が円筒部67から露出する第1端部63aと、円柱形状を有し抵抗線61の一部が巻き付けられる第2端部63bを有し、第1端部63aの先端部の側面であって円筒部67から露出する部分には、第1端部63aの径方向の一つと垂直な平面部63a2が設けられる。