特許第5959138号(P5959138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959138
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】半導体ウェハ操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20160719BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01L21/68 L
   G01B11/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2008-558497(P2008-558497)
(86)(22)【出願日】2007年3月5日
(65)【公表番号】特表2009-529248(P2009-529248A)
(43)【公表日】2009年8月13日
(86)【国際出願番号】US2007063345
(87)【国際公開番号】WO2007103896
(87)【国際公開日】20070913
【審査請求日】2010年3月5日
【審判番号】不服2014-8394(P2014-8394/J1)
【審判請求日】2014年5月7日
(31)【優先権主張番号】60/779,707
(32)【優先日】2006年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/779,478
(32)【優先日】2006年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/779,463
(32)【優先日】2006年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/779,609
(32)【優先日】2006年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/779,684
(32)【優先日】2006年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/784,832
(32)【優先日】2006年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/746,163
(32)【優先日】2006年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/807,189
(32)【優先日】2006年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/823,454
(32)【優先日】2006年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】キーレイ,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ファン,デル,ミューレン,ぺーター
(72)【発明者】
【氏名】パネッセ,パトリック,ディー
(72)【発明者】
【氏名】ブーザン,フォレスト
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,ポール,イー
【合議体】
【審判長】 平岩 正一
【審判官】 栗田 雅弘
【審判官】 刈間 宏信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−270672(JP,A)
【文献】 特開2005−93807(JP,A)
【文献】 特開2001−338969(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/114739(WO,A1)
【文献】 特表2005−531150(JP,A)
【文献】 特開昭64−48443(JP,A)
【文献】 特開2002−124557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/67
G01B11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハ操作装置であって、
1つの内部と1つの移送用ロボットと複数の入口とを含む移送用のロボット式操作モジュールであって、該移送用ロボットが、1つの回転軸を有し、及び半導体ウェハを移送するよう構成されている、移送用のロボット式操作モジュールと、
複数のセンサであって、その各センサが、前記移送用ロボットの前記回転軸を中心とした少なくとも一回転を含む該移送用ロボットの運動中に前記内部内の所定の場所における半導体ウェハの存在を検出することが可能なものである、複数のセンサと
を備えており、
該複数のセンサが、
該複数のセンサのうちの2つのセンサが、前記入口の各々毎に配設され、及び該複数のセンサが、前記移送用ロボットによる前記半導体ウェハの運動中に前記内部の全体内で該半導体ウェハの各位置毎に少なくとも2つのセンサが移送用ロボット上に配置された該半導体ウェハを検出するように、該移送用ロボット及び該内部に対して配置され、及び、
少なくとも前記入口の各々に配設された前記センサとは異なる他のセンサが、該移送用ロボットの前記回転軸を中心とした該半導体ウェハの回転運動を直ちに検出するように、該半導体ウェハが前記複数の入口のうちの1つを介して前記内部内に完全に通過した際に該半導体ウェハの外側に該半導体ウェハの直径よりも長い間隔をおいて該内部内に配置される
ように配設されている、半導体ウェハ操作装置。
【請求項2】
前記ロボット式操作モジュールの前記内部への前記複数の入口の各々に隣接して2つのセンサが配設され、及び該半導体ウェハ操作装置が、1つ又は2つ以上のロボットからのエンコーダデータに基づく前記半導体ウェハの中心位置の判定に拡張カルマンフィルタによるウェハ位置の推定を適用するよう構成されたプロセッサを含む第2のシステムを更に含む、請求項1に記載の半導体ウェハ操作装置。
【請求項3】
前記入口を、4つ、7つ、又は8つ備えている、請求項1に記載の半導体ウェハ操作装置。
【請求項4】
実質的に円形のウェハを操作するための半導体ウェハ操作装置であって、
複数の入口を介してアクセス可能な1つの内部と、
複数のセンサであって、その各センサが、前記内部内の所定の場所における実質的に円形のウェハの存在を検出することが可能なものである、複数のセンサと
を備えており、
該複数のセンサが、
該複数のセンサのうちの2つのセンサが、前記入口の各々毎に配設され、及び該複数のセンサが、前記移送用ロボットによる前記円形のウェハの運動中に前記内部の全体内で該円形のウェハの各位置毎に少なくとも2つのセンサが該移送用ロボット上に配置された該円形のウェハを検出するように、該移送用ロボット及び該内部に対して配置され、及び、
少なくとも前記入口の各々に配設された前記センサとは異なる他のセンサが、該移送用ロボットが該内部内に位置している場合に該移送用ロボットの中心軸を中心とした該円形のウェハの回転運動を直ちに検出するよう該円形のウェハの直径の外側に配置される
ように配設されており、
前記入口の各々毎に配設された前記センサが、該円形のウェハが該それぞれの入口を介して前記内部内に完全に通過した際に該円形のウェハを検出するよう配置され、該円形のウェハの回転運動を直ちに検出する前記他のセンサが、該円形のウェハが前記複数の入口のうちの1つを介して前記内部内に完全に通過した際に該円形のウェハの直径のすぐ外側に位置する、
半導体ウェハ操作装置。
【請求項5】
前記入口を、4つ、7つ、又は8つ備えている、請求項4に記載の半導体ウェハ操作装置。
【請求項6】
前記複数のセンサが光センサを含む、請求項4に記載の半導体ウェハ操作装置。
【請求項7】
前記複数のセンサが少なくとも1つの発光ダイオードを含む、請求項6に記載の半導体ウェハ操作装置。
【請求項8】
前記移送用ロボットが、前記内部内に前記中心軸を有するロボットアームを含み、該ロボットアームが前記円形のウェハを操作するためのエンドエフェクタを含む、請求項4に記載の半導体ウェハ操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、以下の米国出願について優先権を主張するものである:2006年3月5日出願の米国仮出願第60/779,684号、2006年3月5日出願の米国仮出願第60/779,707号、2006年3月5日出願の米国仮出願第60/779,478号、2006年3月5日出願の米国仮出願第60/779,463号、2006年3月5日出願の米国仮出願第60/779,609号、2006年3月21日出願の米国仮出願第60/784,832号、2006年5月1日出願の米国仮出願第60/746,163号、2006年7月12日出願の米国仮出願第60/807,189号、及び2006年8月24日出願の米国仮出願第60/823,454号。
【背景技術】
【0002】
半導体製造では、ウェハその他の基板がロボット式ハンドラを使用して様々なプロセスチャンバ間で移送される。ウェハ操作の恒久的な課題は、かかるプロセスチャンバ内での正確な配置及びプロセスを可能にする十分な精度で複数のウェハ又は1つのウェハの中心を見出す必要があることにある。一般に、半導体製造システムは、様々なビーム破壊センサ装置を使用して、通過するウェハをストライプ状にしてウェハ縁部を検出する。次いでこのデータを使用して、ロボット式ハンドラに対するウェハの中心を見出すことができ、これにより、それ以降の移動及び配置を一層正確に制御することが可能となる。中心の検出は、作製にとって十分に重要なものであるため、このプロセスが常に較正され及び各ウェハのプロセス全体を通して繰り返される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体製造プロセスでウェハの中心を定めるために様々な物理的なセンサ及び処理アルゴリズムが考案されてきたが、必要となるセンサの個数を削減し又は中心検出計算の単純さ及び/又は精度を改善する改良されたウェハ中心検出技術の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本書では、半導体製造で用いられる既存の技術を改良した、幾つかのウェハ中心検出方法及びシステムが開示される。
【0005】
一態様では、内部と複数の入口とを有する装置内でウェハの中心を検出するための方法が提供され、前記内部がロボットアームを含み、前記装置が複数のセンサを含み、該センサの各々が、前記装置の前記内部内の所定の場所におけるウェハの存在を検出するよう構成されており、該方法は、前記複数の入口のうちの第1の入口を介して前記内部の外側からウェハを取り出し、該ウェハを前記内部内に引き込み、前記複数のセンサのうちの第1のセンサを用いて前記ウェハの存在を検出し、前記ロボットアームを回転させ、該ウェハを前記複数の入口のうちの第2の入口を介して前記内部の外側へと延伸させ、前記複数のセンサのうちの前記第1のセンサを用いて前記ウェハの不存在を検出し、及び前記複数のセンサからのセンサデータ及び前記ロボットアームからの位置データを使用して該ロボットアームに対する前記ウェハの中心の場所を判定する、という各ステップを含む。
【0006】
前記複数のセンサは、光センサを含むことが可能である。前記複数のセンサは、発光ダイオードを含むことが可能である。前記複数のセンサは、オートフォーカス式フォトダイオード検出器を含むことが可能である。場所の判定は、前記ロボットアームからの位置データにカルマンフィルタを適用することを含むことが可能である。本方法は、前記センサデータに基づいてカルマンフィルタを更新させることを含むことが可能である。前記ウェハは、ほぼ円形とすることが可能である。前記ウェハは、位置合わせ用ノッチを含むことが可能である。前記複数のセンサは、発光ダイオードに対向して配置された少なくとも1つの検出器を含むことが可能であり、該発光ダイオードから該光検出器への光路が前記内部内の所定の位置を含むようにすることが可能である。前記複数のセンサは、発光ダイオードからの光が所定の場所でウェハから反射された際に該光を検出するよう配置された少なくとも1つの検出器を含むことが可能である。前記引き込みステップは、直線運動での引き込み動作を含むことが可能である。前記延伸ステップは、直線運動での延伸動作を含むことが可能である。前記回転ステップは、前記ロボットアームの中心軸を中心とした回転を含むことが可能である。
【0007】
別の態様では、1つの内部と複数の入口とを有する装置内でウェハの中心を検出するための本書で開示される方法では、前記内部がロボットアームを含み、前記装置が複数のセンサを含み、該センサの各々が前記装置の前記内部内の所定の場所におけるウェハの存在を検出するよう構成されており、該方法が、前記複数の入口のうちの第1の入口を介して前記内部の外側からウェハを取り出し、該ウェハを前記内部内に引き込み、前記ロボットアームを回転させ、前記ウェハを前記複数の入口のうちの第2の入口を介して前記内部の外側へと延伸させ、前記引き込み、回転、及び延伸ステップ中に少なくとも1つのセンサの所定の場所におけるウェハの存在を検出し、これによりセンサデータを提供し、該センサデータ及び前記ロボットアームからの位置データを使用して該ロボットアームに対する前記ウェハの中心の場所を判定する、という各ステップを含む。
【0008】
前記複数のセンサは、光センサを含むことが可能である。前記複数のセンサは、発光ダイオードを含むことが可能である。前記複数のセンサは、オートフォーカス式フォトダイオード検出器を含むことが可能である。場所の判定は、前記ロボットアームからの位置データにカルマンフィルタを適用することを含むことが可能である。本方法は、前記センサデータに基づいてカルマンフィルタを更新させることを含むことが可能である。前記ウェハは、ほぼ円形とすることが可能である。前記ウェハは、位置合わせ用ノッチを含むことが可能である。前記複数のセンサは、発光ダイオードに対向して配置された少なくとも1つの検出器を含むことが可能であり、該発光ダイオードから該光検出器への光路が前記内部内の所定の位置を含むようにすることが可能である。前記複数のセンサは、発光ダイオードからの光が所定の場所でウェハから反射された際に該光を検出するよう配置された少なくとも1つの検出器を含むことが可能である。前記引き込みステップは、直線運動での引き込み動作を含むことが可能である。前記延伸ステップは、直線運動での延伸動作を含むことが可能である。前記回転ステップは、前記ロボットアームの中心軸を中心とした回転を含むことが可能である。前記ウェハの存在の検出ステップは、前記複数のセンサのうちの1つにおけるウェハの不存在から存在への第1の遷移を検出し、及び前記複数のセンサのうちの前記1つにおけるウェハの存在から不存在への第2の遷移を検出することを含むことが可能であり、この場合、該第1の遷移から該第2の遷移への前記ウェハの経路は非直線的である。該経路は、前記ウェハの回転の結果として生じる少なくとも1つの弧を含むことが可能である。
【0009】
別の態様では、本書で開示されるウェハを操作するための装置は、複数の入口を介して進入することができる内部と、該複数の入口の各々に2つずつ配設される複数のセンサとを含み、各センサは、前記内部内の所定の場所におけるウェハの存在を検出することが可能なものであり、前記複数のセンサは、該複数のセンサのうちの少なくとも2つが前記内部内全体の何れかのウェハ位置でウェハを検出するように配置されている。
【0010】
前記複数の入口は、4つの入口を含むことが可能である。前記複数の入口は、7つの入口を含むことが可能である。前記複数の入口は、8つの入口を含むことが可能である。前記複数のセンサは、光センサを含むことが可能である。前記複数のセンサは、少なくとも1つの発光ダイオードを含むことが可能である。前記装置は、前記内部内に中心軸を有するロボットアームを含むことが可能であり、該ロボットアームはウェハを操作するためのエンドエフェクタを含む。
【0011】
別の態様では、本書で開示されるウェハを操作するための装置は、複数の入口を介して進入することができる内部と、該複数の入口の各々に2つずつ配設される複数のセンサとを含み、各センサは、前記内部内の所定の場所におけるウェハの存在を検出することが可能なものであり、前記複数のセンサの配置は、第1の一対のセンサが前記複数の入口の各々を介して直線的に入ってくるウェハを検出し、及び第2の一対のセンサが前記複数の入口の各々を介して直線的に入ってくるウェハの最大直径の実質的にすぐ外側に位置するようになっており、前記複数の入口の各々が、前記第1の一対のセンサ及び前記第2の一対のセンサの一方を、前記複数の入口のうちの隣接する各入口と共有する。
【0012】
前記複数の入口は、4つの入口を含むことが可能である。前記複数の入口は、7つの入口を含むことが可能である。前記複数の入口は、8つの入口を含むことが可能である。前記複数のセンサは、光センサを含むことが可能である。前記複数のセンサは、少なくとも1つの発光ダイオードを含むことが可能である。前記装置は、前記内部内に中心軸を有するロボットアームを含むことが可能であり、該ロボットアームはウェハを操作するためのエンドエフェクタを含む。
【0013】
別の態様では、本書で開示されるウェハを操作するための装置は、4つの入口を介して進入することができる内部と、前記内部内の所定の場所におけるウェハの存在を各々が検出することができる8つのセンサとを含み、該センサが、前記内部の中心を中心とする2つの正方形アレイへと配列され、その大きさは、該正方形アレイのうちの第1の正方形アレイが、該正方形アレイのうちの第2の正方形アレイよりも小さくなっており、その向きは、2つの正方形アレイの対向する頂点における1グループをなす4つのセンサが同一直線上に位置するようになっている。
【0014】
前記8つのセンサは、光センサを含むことが可能である。前記8つのセンサは、少なくとも1つの発光ダイオードを含むことが可能である。前記装置は、前記内部内に中心軸を有するロボットアームを含むことが可能であり、該ロボットアームは、ウェハを操作するためのエンドエフェクタを含む。
【0015】
別の態様では、本書で開示される装置は、ウェハを操作するためのロボットアームであって、該ロボットアームの1つ又は2つ以上の構成要素の位置を識別するエンコーダデータを提供する1つ又は2つ以上のエンコーダを含む、ロボットアームと、前記エンコーダデータに対して拡張カルマンフィルタを適用して前記ウェハの位置を推定するよう構成されたプロセッサとを含むことが可能である。
【0016】
前記位置は、ウェハ中心及び/又はウェハ半径を含むことが可能である。前記位置は、前記ロボットアームのエンドエフェクタに関連して判定することが可能である。前記位置は、前記ロボットアームの中心軸に関連して判定することが可能である。前記プロセッサは、新たなエンコーダデータが受信される度に前記位置を再計算することが可能である。該新たなエンコーダデータは約2kHzで受信することが可能である。前記プロセッサは、ロボット式ウェハハンドラ内の1つ又は2つ以上の所定の場所におけるウェハの存在を検出する1つ又は2つ以上のセンサからの遷移データを使用してカルマンフィルタの1つ又は2つ以上の方程式を更新するよう構成することが可能である。
【0017】
別の態様では、本書で開示される方法は、ウェハ操作装置の内部内に複数のセンサを配置し、該複数のセンサの各々が、前記内部内の所定の場所におけるウェハの存在と不存在との間の遷移を検出することが可能なものであり、ロボットアームを使用してウェハを操作し、該ロボットアームが、該ロボットアームの1つ又は2つ以上の構成要素の位置を識別するエンコーダデータを提供する1つ又は2つ以上のエンコーダを含み、該エンコーダデータを拡張カルマンフィルタに適用してウェハの推定位置を提供する、という各ステップを含む。
【0018】
本方法は、前記複数のセンサのうちの1つにおける遷移を検出してウェハの実際の位置を提供し、その実際の位置と前記推定位置との誤差を求め、該誤差に基づき、拡張カルマンフィルタのための1つ又は2つ以上の変数を更新する、という各ステップを含むことが可能である。該エンコーダデータの適用は、0.5ms毎にウェハ位置を計算することを含むことが可能である。ウェハの推定位置は、ウェハの中心を含むことが可能である。ウェハの推定位置は、ウェハの半径を含むことが可能である。
【0019】
別の態様では、本書で開示される装置は、少なくとも1つのウェハを通過させるための形状及び大きさに形成された複数の入口を有する内部チャンバと、前記内部内のウェハを走査するよう配置されたコンタクトイメージセンサと、ウェハを操作するためのエンドエフェクタを含む前記内部内のロボットであって、前記コンタクトイメージセンサの測定体積内にウェハを移動させ、これにより該ウェハの少なくとも一部のイメージを取得するよう構成されているロボットと、該イメージを処理して前記ウェハの中心を判定するよう構成されているプロセッサとを含むことが可能である。
【0020】
前記ロボットは、前記コンタクトイメージセンサの測定体積を通ってウェハを直線的に移動させることが可能である。該コンタクトイメージセンサの向きは、該ウェハの経路と垂直にすることが可能である。該コンタクトイメージセンサの向きは、ウェハの経路に対して45°の角度をなすようにすることが可能である。前記ロボットは、前記コンタクトイメージセンサの測定体積を通る曲線的な経路でウェハを移動させることが可能である。前記ロボットは、前記コンタクトイメージセンサの測定体積を通る非連続的な経路でウェハを移動させることが可能である。前記ロボットは、前記コンタクトイメージセンサの測定体積内でウェハを回転させることが可能である。前記ロボットは、前記コンタクトイメージセンサの測定体積内へとウェハを上昇させるよう構成することが可能である。前記ロボットは、ウェハを回転させるよう構成されたエンドエフェクタ上に回転チャックを含むことが可能である。該回転チャックは、180°〜360°回転することが可能である。前記装置は、前記エンドエフェクタから前記コンタクトイメージセンサの測定体積内へとウェハを上昇させるよう構成された回転チャックを含むことが可能である。前記コンタクトイメージセンサの長さは、少なくとも300mmとすることが可能である。前記コンタクトイメージセンサは、ウェハの直径を超える長さを有することが可能である。前記コンタクトイメージセンサは、前記内部への前記複数の入口のうちの1つに配置することが可能である。前記装置は、複数のコンタクトイメージセンサを含むことが可能であり、該複数のコンタクトイメージセンサの各々は、前記内部への前記複数の入口に1つずつ配置される。前記コンタクトイメージセンサは、前記内部の中心と交差するよう配置することが可能である。前記装置は、第2のコンタクトイメージセンサを含むことが可能であり、この場合、前記コンタクトイメージセンサ及び該第2のコンタクトイメージセンサは、同一直線上に配置される。前記コンタクトイメージセンサ及び前記第2のコンタクトイメージセンサは、前記内部への前記複数の入口のうちの1つに配置することが可能である。前記装置は、前記内部への前記複数の入口の各々に配置された複数対の同一直線上のコンタクトイメージセンサを含むことが可能である。前記装置は、第2の一対の同一直線上のコンタクトイメージセンサを含むことが可能であり、この場合、該第2の一対の同一直線上のコンタクトイメージセンサは、前記内部の中心と交差するように配置される。前記複数の入口は、4つの入口を含むことが可能である。前記複数の入口は、8つの入口を含むことが可能である。前記プロセッサは、ウェハ上の位置合わせ用ノッチを識別するよう更に構成することが可能である。前記プロセッサは、ウェハの半径を判定するよう更に構成することが可能である。
【0021】
別の態様では、本方法は、ロボット式ウェハハンドラの内部からイメージデータを捕捉するようコンタクトイメージセンサを位置決めし、前記コンタクトイメージセンサによりウェハの少なくとも一部を通過してイメージを取得し、該イメージに基づいて前記ウェハの中心を判定する、という各ステップを含む。コンタクトイメージセンサによりウェハの少なくとも一部を通過する前記ステップは、コンタクトイメージセンサの測定体積を通って直線的にウェハを通過することを含むことが可能である。
【0022】
別の態様では、本書で開示される装置は、ロボットチャンバ内のロボットアームであって、ウェハを操作するよう構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、前記ロボットチャンバの内部内の電荷結合素子の直線アレイであって、前記ロボットチャンバ内の1つ又は2つ以上の所定の場所における測定体積からイメージデータを取得するよう位置決めされる電荷結合素子の直線アレイとを含む。
【0023】
前記装置は、前記直線アレイを照明する外部照明源を含むことが可能である。前記装置は、前記直線アレイに誘導的に電力を供給する無線電力結合を含むことが可能である。前記装置は、前記直線アレイとデータを無線交換するためのワイヤレストランシーバを含むことが可能である。該ワイヤレストランシーバは、前記ロボットチャンバの外部に配置することが可能である。前記データは、前記イメージデータを含むことが可能である。前記直線アレイは、1×n電荷結合素子アレイとすることが可能である。前記直線アレイは、電荷結合素子の二次元アレイを含むことが可能である。前記装置は、前記内部内の異なる場所でイメージデータをそれぞれ捕捉する複数の直線アレイを含むことが可能である。前記ロボットアームは、前記直線アレイの測定体積内でウェハを回転させるよう構成された前記エンドエフェクタ上のチャックを含むことが可能である。前記ロボットアームは、前記直線アレイの測定体積内へウェハを上昇させるよう構成することが可能である。前記チャックは、180°〜360°回転することが可能である。前記装置は、前記エンドエフェクタから前記直線アレイの測定体積内へとウェハを上昇させるよう構成された回転チャックを含むことが可能である。前記装置は、前記イメージデータを使用してウェハの中心を判定するよう構成されたプロセッサを含むことが可能である。前記装置は、前記イメージデータを使用してウェハの半径を判定するよう構成されたプロセッサを含むことが可能である。前記装置は、前記イメージデータを使用してウェハ上の位置合わせ用ノッチを識別するよう構成されたプロセッサを含むことが可能である。
【0024】
別の態様では、本書で開示する装置は、ロボットチャンバ内のロボットアームであって、ウェハを操作するよう構成されたエンドエフェクタを含むロボットアームと、該エンドエフェクタ上に載置されたウェハから縁部データを捕捉するよう位置決めされた該エンドエフェクタ上の電荷結合素子の直線アレイとを含むことが可能である。
【0025】
前記装置は、前記直線アレイを照明するための外部照明源を含むことが可能である。前記装置は、前記直線アレイに誘導的に電力を供給する無線電力結合を含むことが可能である。前記装置は、前記直線アレイとデータを無線交換するためのワイヤレストランシーバを含むことが可能である。該ワイヤレストランシーバは、前記ロボットチャンバの外部に配置することが可能である。前記直線アレイは、1×n電荷結合素子アレイとすることが可能である。前記直線アレイは、電荷結合素子の二次元アレイを含むことが可能である。前記ロボットアームは、前記直線アレイの測定体積内でウェハを回転させるよう構成された前記エンドエフェクタ上のチャックを含むことが可能である。前記装置は、前記エンドエフェクタからウェハを上昇させ及び前記直線アレイの測定体積内で該ウェハを回転させるよう構成された回転チャックを含むことが可能である。前記装置は、前記縁部データを使用してウェハの中心を判定するよう構成されたプロセッサを含むことが可能である。前記装置は、前記縁部データを使用してウェハの半径を判定するよう構成されたプロセッサを含むことが可能である。前記装置は、前記エンドエフェクタの表面上の複数の場所から縁部データを捕捉するよう配置された複数の直線アレイを含むことが可能である。
【0026】
本発明の上述その他のシステム、方法、目的、特徴、及び利点は、以下に示す好適な実施形態の詳細な説明及び図面から当業者には自明となろう。
【0027】
本発明及び以下に示すその特定の実施形態の詳細な説明は、図面を参照することにより理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下の説明は、位置合わせ用ノッチを有するほぼ円形の半導体基板の中心の検出に焦点を絞ったものである。しかし、以下で説明する技術の多くに対して適当な適応を行って、楕円、半円、正方形、及び長方形といった他の形状の中心を検出することが可能である、ということが理解されよう。更に、半導体製造は、本書で説明する技術を使用するための重要な分野ではあるが、以下で説明する中心検出技術は、広範な適用可能性を有するものであり、例えば、広範なマシンビジョン及びロボット用途において使用することが可能である、ということが理解されよう。
【0029】
本書で用いる用語「ウェハ」は、半導体製造システムにより操作することが可能な全ての基板その他の材料を簡略化して表したものである。以下の説明は、ウェハに対して適用可能なものであり、及び幾つかの実例となる実施形態では特にウェハについて言及するが、ウェハ製造、ウェハ検査、ウェハ洗浄、及びウェハ較正等を含む半導体設備内で、様々な他の物体を操作すること、並びに正方形又は長方形の基板といった様々な形状を有する基板を含む他の基板(例えば、レチクル、磁気ヘッド、及びフラットパネル等)を操作することが可能である、ということが理解されよう。全てのかかる被加工物は、異なる意味が明示的に提示され又は文脈から明らかでない限り、本書で用いる用語「ウェハ」の範囲内のものであることが意図されている。
【0030】
図1は、移送用のロボット式操作モジュールの平面図を示している。該モジュール110では、ほぼ円形のウェハ120は、中心軸160を有するロボット(図示せず)により操作することが可能であり、該ウェハ120の存在(又は不存在)をセンサが検出する。一般に、該モジュール110は、該モジュール110への様々な入口(図示せず)の間でのウェハ及び前記ロボットの回転運動に適応するのに十分な半径を有するほぼ円形の内部170を有することが可能である。更なる空間を設けることが可能であり、その形状はウェハの運動に適応することができるあらゆる幾何学形状を有することが可能であるが、前記ほぼ円形の形状は、該モジュール110及びその他の関連するハードウェアにより維持される真空環境内の体積を最小限にするという大きな利点を提供するものである。
【0031】
また、一般に、ウェハ120並びにモジュール110の外部に該ウェハ120を配置し及びそれを取り出すために必要となるロボットアームのあらゆる部分を通過させる形状及び大きさに形成された2つ又は3つ以上の入口を、該モジュール110に配設することが可能である。一般に、各入口の大きさは、単一のウェハ並びに操作中に入口を通過しなければならないロボットのエンドエフェクタその他のあらゆる部分に適応するだけの幅及び高さを有するものとなる。この大きさは、ロボットに各入口の中心を通って直線的にウェハを移動させることにより最適化することが可能であり、かかる移動は、真空環境内の貴重な体積を有利に節約するものとなる。半導体ウェハは、工業規格により提供されるように一般にほぼ円形のものである。かかるウェハはまた、プロセス中にウェハの回転方向の位置合わせを維持するための位置合わせ用ノッチを含むことが可能であり、以下で一層詳細に説明するように、このノッチの識別又は評価は、ウェハ中心検出中に更なる処理を必要とし得るものである。一方、より一般的にはウェハは様々な形状及び/又は大きさを有することが可能である。例えば、300mmは現時点でのウェハの標準的な大きさであるが、半導体製造に関する新たな規格は、400mmを超えるウェハ大きさを規定している。更に、基板によっては、フラットパネルに使用される長方形の基板等の他の形状を有することが可能である。よって、ウェハ操作のために設計される構成要素(及び空間)の形状及び大きさは変動し得るものであり、当業者は入口等の構成要素を特定のウェハ寸法に適応させる態様を理解している、ということが理解されよう。
【0032】
一実施形態では、モジュール110は、該モジュール110の各辺に1つずつ配置された4つの入口を含むことが可能である。該モジュール110はまた、2つ又は3つといった異なる個数の入口を含むことが可能である。更に、正方形のモジュール110を示したが、該モジュール110は、長方形または六角形、七角形、及び八角形等の正多角形といった(クラスタプロセスで一般に使用されるような)他の形状を有することが可能である。長方形形状は1つの辺に複数の入口を有することが可能であり、また正多角形は各辺に入口を1つずつ含むことが可能である。このため、各辺に入口を1つずつ有する正方形のモジュール110は半導体製造にとって有用な一般的な構成であるが、多くの他の形状を製造設備で使用するよう適当に適応させることが可能であり、かかる多くの他の形状は本開示の範囲内のものであることが意図されている、ということが理解されよう。
【0033】
既述のように、センサは、ロボットの中心軸160を中心とする2つの正方形アレイ141,142として配列された8つのセンサ131〜138を含むことが可能である。該センサは、該センサのうちの4つのセンサ131〜134が第1の内側アレイ142を形成し、該センサのうちの4つのセンサ135〜138が第2の外側アレイ141を形成するように、配列されている。それらセンサのレイアウトは、図1を参照すれば最もよく分かるが、該レイアウトの他の特徴について以下で説明する。該2つの同心の正方形アレイ141,142は、その頂点が内側アレイ142及び外側アレイ141のセンサ対150を形成するような向きに配置される。該アレイ141,142は更に、該2つの正方形アレイ141,142の対向する頂点の4つのセンサが同一直線上に位置して内部170の中心又はロボットの中心軸160と交差する直線を形成するように回転方向の向きが設定される。この最後の限定事項は、厳密に必要なものではなく、すなわち、ロボットは2つ以上の軸を有することが可能であり、及び該ロボットは、内部170の中心に軸を必要としない様々な回転運動に適応させることが可能である。しかし、それは、360°の運動の自由を提供するロボット式ハンドラのための伝統的かつ現実的なレイアウトである。また、ウェハ120が、一般に各辺の中心に位置する複数の入口のうちの1つから内部170へ最初に入る(又は出る)際、内側アレイ142の2つのセンサが該ウェハを検出することが可能であり、外側アレイ141の2つのセンサは該ウェハ120の直径のすぐ外側に両側で位置する、ということが理解されよう。このように、各入口毎に2つのセンサのみという比を維持する間、ウェハ120が内部170内にある間には常に少なくとも2つのセンサが該ウェハ120を検出し、及び少なくとも1つのセンサが内部170内のウェハ120のあらゆる回転運動を直ちに検出することになる、ということを確実にすることができる。大きな利点として、この構成はまた、例えば、停電の後にモジュール110及びセンサ131〜138の電源が投入された(ウェハ位置に関する先験的データが存在しない)場合であっても、内部内のウェハの存在を常に検出することが可能となる、ということを確実にする。
【0034】
5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の入口を有するモジュールに同様の構成を提供することが可能である。一般に、各入口は、2つのセンサを有することが可能であり、この場合、第1のセンサは、ウェハが入口から内部内へ完全に移動された際に該ウェハを検出するよう配置され、第2のセンサは、該ウェハの直径のすぐ外側に配置される。かかる実施形態では、内側アレイ及び外側アレイのセンサの各対は、隣接する入口、すなわち、その両側にすぐ隣接する入口と共有することが可能である。
【0035】
図1は、センサ131〜138の特定の構成を示しているが、他の基準を用いて適当なセンサの個数及び配置を決定することが可能である。例えば、センサの配置は、ウェハがステーションから取り出されて別のステーション内に配置される場合のあらゆる移動シーケンス中に該ウェハの周囲の少なくとも4つの点を有利に提供することが可能である。中心及び半径を推定するために使用される任意の1グループをなす3つの点は、該少なくとも3つの点の間で60°よりも大きい角度を有用に含み、及び中心及び半径を画定するために使用される任意の3つの点の間に180°未満の角度を有用に含むことが可能である(すなわち、160°の区域でその縁部を画定する点が欠如しているものは存在しないはずである)。追加の点を有利に用いて、直接計算を介した推定を改善し又は計算上の円の正当性を確認することが可能である。センサは、確実にかつ反復してセンサをトリガすることができる基準マークと共に、ロボットアームのリンクの揺動半径内に有利に配置することが可能である。
【0036】
センサの構成はまた、特定のエンドエフェクタに適応させることが可能である。例えば、フォークタイプのエンドエフェクタは、側縁の周りでウェハを支持するが正面では支持しない。従来のウェハ大きさでは、これは、フォークの中間に250mm幅の領域を残すが、側縁を検出に使用することができない。パドルタイプのエンドエフェクタの場合には、直線的な延長部の中心線をまたぐ中心の150mmがセンサの配置のために空いているが、ロボットアームの手根部に向かうウェハの後端は、エンドエフェクタによってセンサから完全にブロックされ得る。
【0037】
センサ131〜138は、一般に、内部170内の所定位置におけるウェハの存在を検出するよう動作する。本書で用いるように、存在の検出は、不存在の検出、並びにウェハの不存在と存在との間の遷移の検出を含むものである、ということが理解されよう。この種の検出には、ウェハが存在する場合に光源に向かって光が反射される反射技術又はウェハが存在する場合に光源とセンサとの間でビームが遮断されるビーム遮断技術といった光センサを含む多数の技術を適当に用いることが可能である。一実施形態では、センサ131〜138は、発光ダイオード又はレーザ光源を使用し、光はオートフォーカス式フォトダイオード検出器へ送られる(これにより取り付け時の位置合わせが容易となる)。上述したセンサは、所定の場所におけるウェハの存在を検出するためのコスト効率の良い解決策の1つであるが、真空の半導体環境に適応させることができるものであれば他の検知技術を同様に用いることが可能である、ということが理解されよう。これは、例えば、ソナー、レーダー、又は他の電磁気又は距離又は位置検知技術を含むことが可能である。
【0038】
内側アレイ142と外側アレイ141との距離、又は各センサ対150の距離は、一般に該システムにより操作されるウェハの大きさによって決まることになる。一実施形態では、センサの位置は、上述した直線的な関係及び対角線方向の関係を維持したまま一層大きな又は一層小さなアレイを形成するよう調節可能とすることが可能である。このようにして、モジュール110を異なる大きさのウェハに容易に適応させることが可能となる。
【0039】
通常の動作時には、センサ131〜138は、円形モデル、(後述するカルマンフィルタ技術のような)直線モデル、又は他のあらゆる適当な数学的技術、ニューラルネットワーク技術、ヒューリスティック技術、又はその他の技術を用いてウェハ120の中心の場所を判定するために使用される。ここで、ウェハの位置及び中心を検出するための方法について一層詳細に説明する。一般に、以下に示す技術は、センサ131〜138からのデータと、ロボット構成要素の位置に関するデータを提供する1つ又は2つ以上のロボット式ハンドラのためのエンコーダからのデータとの組み合わせを使用する。以下の説明は、センサ及びエンコーダデータに焦点を絞ったものであるが、任意の時計又はシステム内の信号により検出されるような時刻もまた明示的又は暗黙的にウェハ中心検出計算で使用することが可能である、ということが理解されよう。
【0040】
図2は、ウェハの位置を検出するための4つのセンサを有するウェハ操作モジュールの平面図を示している。この実施形態では、システム200は、各入口に1つずつのセンサ202のみを使用することが可能である。該センサ202は、上述したあらゆるセンサとすることが可能である。この場合には、センサ202は、好適には、ウェハが入口の何れかを通過する際に少なくとも1つの縁部検出を得ることができるように、各入口の近くでウェハ204の直径の内側に配置される。既述のように、該ウェハ操作モジュール210は、ほぼ正方形であり、4つの入口を含み、その各入口は1つずつセンサ202を有している。
【0041】
図3は、ウェハ中心検出のための一般化されたプロセスを示している。
【0042】
一般に、ロボットアーム(上述した任意のロボットアーム等)は、半導体製造プロセスにおける1つの場所から他の場所へとウェハ(上述した任意のウェハ等)を移送するための多数の操作を行うことが可能である。これは、ステップ302に示すように第1の場所からウェハを取り出し、ステップ304に示すようにロボットアームをモジュール(上述した任意のモジュール等)内へ引き込み、ステップ306に示すように該ロボットアームを該モジュールの他の入口に向かって回転させ、ステップ308に示すように該ロボットアームを該入口を通して延伸させ、及びステップ310に示すようにウェハを第2の場所に配置する、という各ステップを含む多数の操作を含む。前記第1及び第2の場所は、他のロボット式ハンドラ、ロードロック、バッファ又は遷移ステーション、あらゆる種類のプロセスモジュール、及び/又はその他の追加のプロセス(洗浄、計測、走査等)のためのモジュールを含む、製造設備内のあらゆる場所とすることが可能である。図3に示すように、このプロセスは、ウェハが該設備の内外へと移動されて様々なプロセスモジュールにより処理される際に制限なく繰り返すことが可能である。明示的には示さないが、これらの操作中に他のステップ(内部へ入るための隔離バルブの開閉、又は様々なリソースにアクセスするための内部内での待機等)を該システムにより実行することが可能である、ということが理解されよう。様々なロボット操作動作の詳細は当業界で周知のものであり、あらゆるかかるロボットアーム又は操作機能を図3に示すプロセスと共に適当に用いることが可能である。これは、ロボットアームの延伸、引き込み、及び回転、ロボットアームによるz軸方向の運動、及びウェハ操作で有効に用いることができる他のあらゆる操作の様々な組み合わせを含む。
【0043】
ロボットアームがステップ302に示すようなウェハ操作動作で制御されている間に、エンコーダが該ロボットアームの位置に関するデータを直接に又はロボットアームの動作を制御する駆動要素の位置(回転方向の向きを含む)を検出することにより提供する。このデータは、ステップ302に示すようなプロセスのために受信することが可能である。ステップ330に示すように、センサデータは、ロボット式ハンドラ内の所定の場所におけるウェハの存在、不存在、又は存在と不存在との間の遷移を検出する1つ又は2つ以上のセンサ(上述した任意のセンサ等)から受信することが可能である。かかる検知に関する物理的なデータは、光信号の存在、光信号の不存在、光信号の強度、又は上記の何れかをエンコードした二値信号を含む、様々な形態で到来することが可能である、ということが理解されよう。全てのかかる信号は、本書で説明するように、不存在、存在、遷移を検出するために有効に用いることが可能である。
【0044】
ステップ330に示すように、エンコーダデータ及びセンサデータは、ウェハに関する位置データ(アライメント、ウェハ中心等)を計算するために利用することが可能である。ここで、ウェハの位置を計算するための様々なアルゴリズムの詳細について説明する。明示的には示さないが、ウェハ位置を計算するコントローラその他の装置は、このデータをあらゆる様々な方法に適用してロボットアームの更なる運動を制御することが可能である、ということが理解されよう。特に、このデータは、目的場所における正確な配置のために使用することが可能である。該データはまた、その格納を行い、同じウェハが更なる運動のために取り出される際にウェハ位置の初期推定値として使用することが可能である。
【0045】
4つの入口及び4つのセンサを有する図2の実施形態では、(ステップ330で遷移時に取得される)ウェハ縁部データを使用して移送経路に対するウェハの中心を判定し、これによりその検出位置から宛先位置へのウェハの移動が容易となる。センサ位置、ロボット位置、及び目的場所の位置(プロセスチャンバ又はロードロック内等)は、世界座標系で規定され、これによりウェハ操作用ロボット式モジュールを含むウェハ処理システム内の上述その他の要素の相対的な位置を判定するのが容易となる。世界座標系は、センサ位置に関連して有利に定めることが可能である。
【0046】
トレーニングを通して、コントローラは、例えばロボットのエンドエフェクタの特徴を検出するためにセンサデータを使用し及びエンコーダからの同時値を記録して、ロボット位置又はエンコーダデータを世界座標系に関連づけることが可能である。このようにして、該コントローラは、エンコーダ値を世界座標系へマップすることが可能であり、これにより、ロボットが移動した際に該ロボットの世界座標系位置を分かるようになる。該コントローラは、ウェハ処理システム内の他の要素(宛先等)の世界座標を同様に求めて、該ウェハ処理システムの要素の世界座標マップを作成することが可能である。ロボット位置の世界座標系との関連づけは、追加的に又は代替的に、目盛り付きの器具又はロボットにより支持される計測用ツールを用いて手作業で行うことが可能である。上記は、例示のみを目的としたものであり、ロボット位置を世界座標系へ関連づける多くの技術が当業界で知られており、それらを本書で説明するシステムに有効に使用することが可能である、ということが理解されよう。例えば、センサベースの世界座標系は、考え得る1つの手法であるが、エンドエフェクタベースの世界座標系を使用して同様の中心検出機能を実行することが可能である。
【0047】
ロボットアームのトレーニングが適当に行われた後、図3に示すように、ウェハが引き込み/回転/延伸運動を介して操作されている間にセンサデータを取得することが可能となる。ウェハが、所定の場所を有する複数のセンサにわたって非直線的な経路で移動する場合、複数の技術を適当に利用してウェハ位置を求めることが可能である。かかる技術の幾つかを、制限ではなく例示を目的として、以下で詳細に説明する。
【0048】
ウェハの中心及び半径を推定するために、世界座標による縁部ポイントデータを、同時に存在する円の方程式に適用することが可能である。例えば、Linear Algebra and its Applications by Gilbert Strang (Academic Press, Inc. 1980) に記載されているように、それらの方程式を行列形式へ変換し、いわゆる疑似逆を使用して、該行列に対する最小二乗解を提供することが可能である。この解は、円周と検出された縁部ポイントとの間の二乗誤差を最小限にするものである。この解から中心位置及び半径を算出することができる。数学的に言えば、円の一般式を次のように表すことが可能である。
【0049】
(x−xc2+(y−yc2=r2
これは次のように書き換えることが可能である。
【0050】
2+y2+Dx+Ey+F=0
ここで、
D≡−2xc,E≡−2yc,F≡xc2+yc2−r2
円周からのn個のポイントが与えられた場合、n個の方程式の行列を次のように作成することが可能である。
【0051】
【数1】
【0052】
Ax=b
3つのポイントが存在する場合には、行列Aは正方行列であり、その解は行列Aを反転させて次のように表現することが可能である。
【0053】
x=A-1
4つ以上のポイントが利用可能な場合には、上述のように疑似逆を用いて問題に対する最小二乗解を提供することが可能である。これは次のように表すことができる。
【0054】
x=(ATA)-1T
この解は、円周と全てのポイントとの間の二乗誤差を最小限にするものとなる。ベクトルxについての解から、円形のウェハに関する中心位置及び推定半径をD,E,Fより計算することが可能である。
【0055】
ノッチ検出の場合には、計算された中心からの検出された各ポイントの距離を判定することが可能であり、(任意の適当な基準を用いた)所望の円形に適合しないあらゆるポイントを除去し、その後に中心及び半径を再計算することが可能である。このように、位置合わせ用ノッチは、検出された縁部ポイントであって何らかの所定のしきい値又は許容範囲を超えることにより計算された円から外れるものを識別することにより、これらの計算で検出することが可能である。中心検出のため、これらのポイントを除去することが可能である。ウェハ形状に関する一般的な情報も使用して、ウェハではなくロボットの構成要素に関連する可能性のあるポイントを検出する(及びそれ以降の計算から除外する)ことが可能である。一態様では、本システムは、期待される円周に近い特異点(これは位置合わせ用ノッチに起因するものである可能性がある)と、期待される円周から離れている特異点とを区別することが可能であり、これによりウェハの回転方向の位置合わせを回復させることも可能となる。一般に、かかる区別は、変動の相対的な大きさ、並びにロボットアームが予期しないウェハの存在を一般に生じさせることになる間に予期しないウェハの不存在によって位置合わせ用ノッチが特徴付けられるという一般概念に基づくものとすることが可能である。
【0056】
更に、半径方向の変位、直線的な変位、又はその他のエンドエフェクタに対するウェハの単純な又は複雑な運動といった運動中の様々な事象を検出し明らかにし、これを当業者にとって既知の技術に用いることが可能である。
【0057】
ウェハ検出に関連する複数の機能を有用に実行することが可能である。例えば、本書において設計されたシステムは、ロボットアームのリンクのオフセットを計算し、センサの場所を較正し、光センサのためのビーム幅を較正し、エンドエフェクタに対するウェハの中心位置を計算し、所定の場所におけるウェハの存在を検知し、スロットバルブドアが解放され又は遮断されているときを判定し、及びプロセスモジュール、ロードロック、及び製造設備内の他の連結されたモジュール内のウェハの正確な配置を提供することが可能である。複数の関連する処理の例を以下で説明する。
【0058】
上記技術並びにその他の適当な中心検出技術を使用してロボット式ハンドラ及びセンサを動作させてウェハの場所を判定することが可能である。一実施形態では、本システムは、引き込み(ステップ304)及び回転(ステップ306)中にセンサデータを追跡し、延伸(ステップ308)の開始時にウェハ中心の計算を開始する。この実施形態では、前記回転の後に、プロセッサが、瞬時的な半径及びウェハ中心の角度を(例えば上述した最小二乗を用いて)計算し、及び適当な大域座標系(例えばエンドエフェクタ、モジュール等)への変換等によりセンサ位置を計算することが可能である。この推定された半径を期待される値と比較して特異点を検出し除去することが可能である。次いで、後続のセンサの遷移についての測定値から誤差ベクトルを導出して、ウェハの予想される軌道を修正するために該誤差ベクトルを適用することが可能である。このため、一態様では、ロボット式ハンドラは、引き込み及び回転中にセンサデータを収集し、及び延伸中に更なるセンサデータを収集すると共にウェハ位置を計算することが可能である。
【0059】
中心検出計算に他の技術を用いることが可能である。一実施形態では、各センサの遷移事象に関する時間データと共に、リアルタイムで(例えば、2kHzで、0.5ms毎に、50ms毎に、又はその他の適当な周波数又は時間増分で)のエンコーダの更新を用いて、カルマンフィルタを利用することが可能である。
【0060】
図4は、カルマンフィルタを用いたウェハ中心検出方法を示している。一般に、ステップ330に示すようなウェハ位置の計算は、カルマンフィルタを使用して行うことが可能であり、該カルマンフィルタは、エンコーダデータを適用してウェハ位置を判定し及び/又はセンサの遷移を予測する。しかし、図3に示す一般的な方法に対する変形例として、(中心検出用)カルマンモデルを定期的に更新することが可能である。より詳細には、ステップ330に示すように、センサの各遷移時に該遷移の時刻(及び必要に応じてセンサの識別子及び/又は場所)を含むセンサデータを受信する。このデータに基づいて、ステップ410に示すように、前記場所における期待される遷移時刻と測定された遷移時刻との間の誤差を計算することが可能である。次いで、ステップ420に示すように、この誤差データを用いてカルマンフィルタを更新して、それ以降の推定を一層正確なものとすることが可能である。このように、一般に、エンコーダデータを用いてロボットアームの制御のためのウェハ中心データを提供すると共に、実際の検出された遷移を用いて中心検出モデル(例えば拡張カルマンフィルタの方程式)を更新することが可能である。
【0061】
例えば、ウェハが、特定の位置(Xe,Ye)に配置され、及び推定される速度及び加速度V,aで移動する場合には、該モデルは、時刻teでトリガされるセンサを予測し、本システムが、時刻tsで実際の遷移を識別する可能性がある。時刻ts(又は随意選択的にそのタイムスタンプ)で測定されたエンコーダ位置は、次式で表される誤差を生成することが可能である。
【0062】
【数2】
【0063】
次いで、例えばApplied Optimal Estimation by Arthur Gelb(MIT Press 1974)に記載されているように拡張カルマンフィルタ方程式を使用することが可能である。Gelb に記載されている方程式の適用は、システムモデル:
【0064】
【数3】
【0065】
及び測定モデル:
【0066】
【数4】
【0067】
として簡潔に記述することが可能である。
ここで、状態推定伝搬は、
【0068】
【数5】
【0069】
であり、誤差共分散伝搬は、
【0070】
【数6】
【0071】
である。
【0072】
大きな利点として、この一般化された技術は、円形のウェハを識別するために複数(例えば3つ)のポイントを必要とすることなく個々のセンサ事象を増分的に使用することを可能とする。各ステップの特定の順序が図4により示唆されているが、そこに示されている操作はロボット式ウェハハンドラの動作中に繰り返し実行されるものであり、各ステップの特定の順序又はタイミングを推察すべきではない、ということが理解されよう。にもかかわらず、実施形態によっては、エンコーダデータが絶えずリアルタイムで提供される一方、モデル更新を開始させる遷移がウェハがロボットにより移動される際に断続的に生じることになる、ということは一般に真となる。また、拡張カルマンフィルタは、エンコーダデータをウェハ中心情報へと変換するための1つの有用な技術であるが、他のフィルタ又は線形モデリング技術を同様に適用することが可能である、ということが理解されよう。
【0073】
上述の方法及びシステムは、離散位置でのウェハの検出を用いたウェハ中心検出に一般に適用することが可能である。また、ウェハデータを直線的な複数の区分で捕捉するために電荷結合素子又はコンタクトイメージセンサの直線アレイ等の複数の直線的なセンサを用いることが可能である。直線的なセンサを用いた幾つかの装置を以下で説明する。これらの技術では、中心検出は、上述の技術のように複数の離散的なセンサ事象から導出した推論ではなく、イメージデータの直接的な解析を介して一般に達成することが可能である。
【0074】
図5は、通過するウェハからイメージデータを捕捉するための直線的なイメージセンサを有する装置を示している。該装置500は、上面502、底面504、内部506、直線的なイメージセンサ508、光源510、及びウェハ512を含むことが可能である。
【0075】
該装置500は、例えば、ロードロック、バッファ、アライナ、及びロボット式ハンドラといった、半導体製造プロセスで使用される任意の装置とすることが可能である。一実施形態では、装置500は、ウェハを操作するためのエンドエフェクタを有するロボットアーム(図示せず)を含むロボット式ハンドラである。
【0076】
上面502及び底面504は、部分的に内部506を取り囲むことが可能である。図示しないが、装置500はまた、例えば、ウェハを通過させるための複数の入口並びに該装置500の内部506を隔離するためのスロットバルブその他の隔離機構を含むことが可能な側部を有することが可能である、ということが理解されよう。一般に、装置500の様々な表面の形状及び大きさは重要ではないが、その表面の少なくとも1つをウェハの運動の平面に対して平行にし、該表面上にイメージセンサを配置して、内部506を通って移動するウェハからイメージデータを捕捉することができるようにすべきである。
【0077】
直線的なイメージセンサ508は、図示のように装置500の上面502上に又は該装置の底面上に配置することが可能である。一実施形態では、該直線的なイメージセンサ508は、コンタクトイメージセンサとすることが可能である。市販のコンタクトイメージセンサは、一体化された集束レンズ及び光源510(前記直線センサアレイと平行に側方に位置するLED等)を有する複数の検出器(電荷結合素子等)の直線アレイを一般に含む。従来のコンタクトイメージセンサは、赤色、緑色、及び青色のLED又はそれと同様の広域スペクトルの光源を使用するが、ウェハは、単一色の光源(例えば赤色LED)のみを使用して中心検出のために適当にイメージ化することが可能である。一般に、コンタクトイメージセンサは、操作すべき対象物に近接して配置することが可能である。他の実施形態では、直線的なイメージセンサ508は、電荷結合素子(「CCD」又は相補形金属酸化膜半導体「CMOS」)光センサの直線アレイを含む。該直線アレイは、n個のセンサ(例えば128個のセンサ、又はウェハの一部又は全てにまたがる他の適当な個数のセンサ)を含む1×nアレイ、2×nアレイ、又はその他の適当な一次元又は二次元アレイとすることが可能である。一般に、CCD又はCMOSデバイスは、現行のCISデバイスよりも、イメージ化される対象物から一層遠くへ配置することが可能であり、また一層高い解像度を提供することが可能である。しかし、それらは、良好なイメージ捕捉品質のために追加の外部光を必要とする。一方、CISデバイスは、一般的な半導体ウェハの直径を超える長さのものを容易に入手することが可能であり、イメージ捕捉のための安価な代替策を提供し、及び予めパッケージ化されたアレイに高い精度を提供するものとなる。両技術とも、用途に合わせた適当な適応化と共に本書に記載する実施形態での使用に適したものとなるが、その各々は特定の用途に一層適したものになるという利点を提供するものとなる。これら変形例の幾つかについて以下で説明するが、既述のように、それら技術のうちの何れか又はその他の光技術を、本書で用いる用語「直線的なイメージセンサ508」として有効に使用することが可能である。直線的なイメージセンサ508は、イメージデータを捕捉することが可能となる一定の視野又は測定体積を有する。一般に、直線的なイメージセンサ508は、周囲光、イメージの所望の精度、該センサに関連するレンズその他の光学系等といった、複数の因子によって決まる有効測定体積を有することが可能である。
【0078】
ウェハ512は、矢印514によって示すような直線経路で装置500内を通過することが可能である。直線経路は、1つの考え得るウェハの運動であるが、多くの他の運動をロボット式ハンドラによって与えることが可能である、ということが理解されよう。例えば、ウェハは、ロボットの回転運動を伴う曲線経路で移動することが可能であり、又は複数の異なる直線経路及び/又は曲線経路からなる非連続的な経路で移動することが可能である。以下で更に説明するように、ウェハは、追加的に又は代替的にその軸を中心として回転することが可能である。かかる走査から得られたデータが一般に直接解析されてウェハ中心が求められ及びその他のウェハ位置データ(例えば回転方向の向き、半径等)が得られるが、取得されたイメージデータは、該イメージデータを正しく解釈するために、例えばエンコーダデータ又はその他のセンサデータを使用して、ロボットの運動と組み合わせられるべきである、ということが理解されよう。
【0079】
図6は、直線的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出のために使用されるコンタクトイメージセンサの平面図を示している。上述の装置500のうちの何れともすることが可能な装置内で、運動方向606に対して直角に位置決めされた単一のCIS608が、位置合わせ用ノッチ604を有するウェハ602を直線運動(矢印606で示す)で通過することが可能である。一実施形態では、CIS608は、310mmの長さを有する単一のモジュールを含むことが可能であり、及び入口を通って装置の内外へとウェハが移動する際に完全なウェハ検出(ノッチ/位置合わせ検出を含む)を提供するように装置への入口を横切って配置することが可能である。この種のウェハ検出は、実際に、ウェハ602の写真複写を提供し、該写真複写からイメージ分析によって位置合わせ及び寸法を直接取得することが可能である。大きな利点として、この構成は、追加のロボットアームの運動等を必要とすることなく完全なウェハ走査を提供する。このため、該移送装置のスループットは、ロボットその他の制約によってのみ制限される速度で処理を行うことが可能となる。他の実施形態では、複数の入口の各々に(例えば正方形のロボット式ハンドラの4つの入口に)かかるCIS608を1つずつ配置することが可能である。単一のCIS608は、追加的又は代替的に、装置の中心と交差するように配置することが可能である。約450mmのCIS608を使用し、単一のCISを全ての4つの入口に対して45°の角度で配置することが可能であり、該CISは、装置を通る全ての直線的なウェハ運動が捕捉可能となるように該装置の中心と交差する。この構成は、装置を通る全ての運動について全てのウェハ寸法データを捕捉するものではないが、それにもかかわらず、考え得るあらゆる運動についてウェハ中心検出のための十分なデータを提供するものであり、ロボット式ハンドラにより更なる運動を提供してウェハ表面全体の走査を確実に行うことが可能である。
【0080】
図7は、曲線的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出のために使用されるコンタクトイメージセンサの平面図を示している。上述の装置500のうちの何れともすることが可能な装置内で、単一のCIS708が、位置合わせ用ノッチ704を有するウェハ702を曲線運動(矢印706で示す)で通過することが可能である。この構成は、ロボットアームが回転を採用するロボット式ハンドラ内の様々な場所での位置決めに適したものであるが、典型的には結果的に得られるイメージデータが処理されて、ウェハ702がとった非直線経路706が相殺されることになる、ということが理解されよう。。
【0081】

図8は、回転ウェハ運動を用いたウェハ中心検出のために使用されるコンタクトイメージセンサの平面図を示している。上述の装置500のうちの何れともすることが可能な装置内で、位置合わせ用ノッチ804を有するウェハ802を、CIS808のほぼ中心に位置する軸を中心として矢印810で示すように回転させることが可能である。この装置内に、ロボット式ハンドラは、z軸制御及び回転用チャックを含むことが可能である。該ロボット式ハンドラは、CIS808の下方でその中心にウェハ802を位置決めし、次いで随意選択的にウェハ802をCIS808の近くへと上昇させて一層正確なイメージ取得を行うことが可能である。次いで該ウェハを180°(又はそれ以上)回転させて、位置合わせ用ノッチ804を含むウェハ802の完全なイメージを取得することが可能である。CIS808は、装置内の中心(装置の内部の中心軸、装置の内側のロボットアームの中心軸、又は装置内の他の何らかのロボットのホームポジション等)に位置決めすることが可能である。この構成は、回転チャックの半回転で完全な走査を有利に得るものとなり、これは、チャックの設計を単純化し、及び走査時間を短縮することが可能なものである。別の利点として、この構成は、(CIS808の長さにより課せられる制限内で)ウェハの大きさにかかわらず完全なウェハ走査を提供することができる。このため、単一のシステムが様々な形状及び大きさについて完全な縁部検出を提供することが可能である。
【0082】
図9は、直線的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用される一対の直線CCDアレイを示しており、これは、例えば上述した装置500の何れか等の装置への入口に配置することが可能である。この実施形態では、CCDの第1の直線アレイ902及び第2の直線アレイ904は、ウェハ908の直線経路906の一部を横切って配設することが可能である。該アレイ902,904を、例えば、ロボット式ハンドラ等の装置への入口の外側縁部に沿って配置して、該入口をウェハが通過する度にイメージデータを捕捉するようにすることが可能である。同様に、更なるセンサアレイ対を該装置への1つ又は2つ以上の更なる入口に配置することが可能である。この構成は、容易に入手できる市販の短い直線CCDアレイを有利に利用するものであるが、ウェハ908の回転方向の向きを判定するために使用される位置合わせ用ノッチを捕捉することができない可能性のあるものでもある。
【0083】
図10は、回転ウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用される単一のCCDアレイを示している。この実施形態では、単一の直線CCDアレイ1002は、ロボット式ハンドラ又は上述した他の装置500の何れか等の装置の蓋またはその他の適当な内部表面上に配置することが可能である。ウェハ1004がアレイ1002の下方に適当に配置された後、該ウェハ1004が矢印1006で示すフル回転を受けて、位置合わせ用ノッチ1008の位置を含む該ウェハ1004の全ての縁部データを捕捉することが可能となる。この実施形態は、例えば、上述したz軸運動を伴うロボット式ハンドラ及び回転チャックを用いることが可能である。しかし、この実施形態では、回転チャックは、好適には少なくとも360°回転して、縁部データの完全な捕捉を保証するものとなる。別の実施形態では、ウェハ1004の対向する縁部で2つの同一直線上のアレイを用いて、半回転で完全な縁部走査を得ることが可能である。
【0084】
図11は、複合的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用される4つのCCDアレイを示している。既述のように、上述した装置500の何れか等の装置は、2つの同一直線上の交差するラインとして配列されて、図1を参照して上述したものとほぼ同様の態様でウェハ経路をカバーする、4つのCCDアレイ1102を含むことが可能である。ウェハ1104は、直線運動及び曲線運動を含む経路1106に沿って装置の内部を横切ることが可能である。一実施形態では、ウェハ1104は、該ウェハ1104の組み合わせ運動の間の何れかのポイントでの位置合わせ用ノッチ1108の検出を保証するように、中心に向かって十分に引き込むことが可能である。
【0085】
図12は、ロボットアームのエンドエフェクタ上のCCDセンサの平面図を示している。ウェハ操作用のロボットアーム1200は、複数のリンク1202及びエンドエフェクタ1204を含むことが可能である。該エンドエフェクタ1204は、例えばその上に配置されたウェハ1208の4つの縁部位置を識別するために配置された、複数の直線CCDアレイ1206を含むことが可能である。大きな利点として、この構成は、ウェハ1208を直線CCDアレイ1207に非常に近接して配置し、これにより極めて高いイメージ精度が提供される。更に、この設計は、エンドエフェクタ1204による如何なるz軸又は回転運動をも必要としない。しかし、図12から明らかであるように、この構成はまた、ウェハ1208の多くの回転方向の向きについて位置合わせ用ノッチを識別することができない可能性があるものである。
【0086】
図13は、回転チャックを有するエンドエフェクタ1204上の単一のCCDセンサの斜視図を示している。この実施形態では、単一の直線CCDアレイ1302を、エンドエフェクタ1304のほぼ中心に配置されたウェハ1306から縁部データを取得する位置で、該エンドエフェクタ1304上に取り付けることが可能である。該エンドエフェクタはまた、ウェハ1306から完全な縁部データを取得する(位置合わせ用ノッチの検出を含む(該ノッチが存在する場合))ために該ウェハ1306を一周回転させる単一軸回転チャックを含むことが可能である。
【0087】
複数の外部装置1320は、CCDアレイ1302の使用をサポートすることが可能である。例えば、エンドエフェクタ1304が特定の位置にある間にCCDアレイ1302を照明するために装置内に外部光源を配置することが可能である。別の例として、真空環境内でCCDアレイ1302にワイヤレスで給電するために、該CCDアレイ1302に誘導的に結合される電源を配設することが可能である。別の例として、無線周波数その他のワイヤレストランシーバを用いてCCDからイメージデータをワイヤレスに受信することが可能である。かかるワイヤレス構成では、トランシーバ及び電源結合等をCCDアレイから離して(例えばロボットアームの中心軸又は対応するワイヤレスシステムに近い他の何らかの場所に)配置することが可能である。
【0088】
図14は、ロボット式操作モジュール内の単一のCCDセンサを示している。この実施形態では、単一の直線CCDアレイ1402及びあらゆる関連する光源又はその他の発光手段を、ロボット式ハンドラ又は上述した他の装置500の何れか等の装置の内壁上に取り付けることが可能である。動作時に、エンドエフェクタ1404は、ウェハ1406が(エンドエフェクタ1404から分離して)回転チャック1408の中心に配置されてその縁部がCCDアレイ1402上にくるように該ウェハ1406を位置決めすることが可能である。次いで、該エンドエフェクタ1404は、矢印1410で示すようにz軸運動を提供して該ウェハ1406をチャック1408上へと下降させることが可能である。次いで、チャック1408は、該ウェハ1406を完全に一回転させてウェハの周囲全体の走査を提供することが可能である。該ウェハ1406に関する位置データを捕捉することに加えて、この手法は、該ウェハ1406上の位置合わせ用ノッチを検出することにより(該ノッチが存在する場合)、該ウェハ1406の回転方向の向きを捕捉する。図13の実施形態の場合のように、光源、無線電力結合、又は無線データ送受信機といった装置1420を前記内部内に配置し又は前記モジュールの外部の適当な場所に配置して、本書に記載するウェハ中心検出システムの動作を強化することが可能である。
【0089】
上述した実施形態では、ロードロック、ロボット式ハンドラ、又は移送ステーションといった装置内に(又は特定の実施形態ではエンドエフェクタ上に)センサを含むが、上記技術は製造システム内の他の場所に配置することが可能である、ということが理解されよう。例えば、上記技術のうち任意のものをアライナとして使用するよう適当に適応させることが可能である。同様に、数多くの上記技術をロボットハンドラ又は移送ステーション等の他の装置内の測定ステーションとして使用するよう適当に適応させることが可能である。かかる実施形態では、ロボット式ハンドラからの他の入口又は出口経路を妨げない測定ステーションのための空間を提供することにより、又は他のロボット活動からz軸上で変位した場所で測定を行うことにより、測定ステーションがウェハを走査すると同時にロボットが他のウェハ運動を行うことが可能となる。
【0090】
本書で説明するほうほうは、ハードウェア、ソフトウェア、及び半導体製造用ロボットシステムの監視又は制御に適したそれらの任意の組み合わせで実施することが可能である、ということが理解されよう。各プロセスは、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋込型マイクロコントローラ、プログラム可能なディジタル信号プロセッサ又はその他の(1つ又は2つ以上の)プログラム可能な装置、並びに内部及び/又は外部メモリで実施することが可能である。前記プロセスは、追加的に又は代替的に、特定用途集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、又は電気信号を処理するために構成することが可能な他の任意の1つの装置又は複数の装置の組み合わせで実施することが可能である。1つ又は2つ以上のプロセスは、C等の構造化プログラミング言語、C++等のオブジェクト指向言語、又は上記装置のうちの1つでコンパイルし又はインタープリトして実行することができる他の任意の高級又は低級プログラミング言語(データベースプログラミング言語及び技術を含む)を用いて作成されたコンピュータにより実行することが可能なコード、並びにプロセッサ、プロセッサアーキテクチャ、又は様々なハードウェア及びソフトウェアの組み合わせの異種の組み合わせとして実施することが可能である、ということが更に理解されよう。かかる変形の全てを本開示の範囲内に含めることが意図されている。
【0091】
特定の好適な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者には他の実施形態が理解され、かかる他の実施形態もまた本書に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】ウェハの位置を検出するための8つのセンサと共にウェハ操作モジュールの平面図を示している。
図2】ウェハの位置を検出するための4つのセンサと共にウェハ操作モジュールの平面図を示している。
図3】ウェハ中心検出のための一般化されたプロセスを示している。
図4】カルマンフィルタを用いたウェハ中心検出プロセスを示している。
図5】直線イメージセンサを有する装置を示している。
図6】直線的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用されるコンタクトイメージセンサの平面図を示している。
図7】曲線的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用されるコンタクトイメージセンサの平面図を示している。
図8】回転するウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用されるコンタクトイメージセンサの平面図を示している。
図9】直線的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用される一対の直線CCDアレイを示している。
図10】回転するウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用される単一のCCDアレイを示している。
図11】複合的なウェハ運動を用いたウェハ中心検出に使用される4つのCCDアレイを示している。
図12】ロボットアームのエンドエフェクタ上のCCDセンサを示している。
図13】回転チャックを有するエンドエフェクタ上の単一のCCDセンサを示している。
図14】ロボット式操作モジュール内の単一のCCDを示している。
図1
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