【実施例1】
【0015】
以下、
図1−8を参照して本発明に係る胴縁材の製造装置について説明する。
本発明に係る胴縁材の製造装置は、回転刃11、板材支持台17、押圧機構25とからなるものである。
本例において、板材Pの裏面に形成する通気凹部Dは、優れた通気効果を奏するように、平面視略円弧状としてあり、さらには板材Pを垂直方向に立設させた状態で、その表面積において上方を大きく、下方を小さく、かつ大なる上方の深さを深く、小なる下方の深さを浅くして放射状に広がる形状としてある。
【0016】
回転刃11は、
図6、7に示すように、以下の構成からなるものである。板材Pの裏面に形成する通気凹部Dの略半分部位に対して自らの刃先を接触させるように延在する第1切削刃13と、第1切削刃13の刃先に対して
所定の間隙を介して自らの刃先を、通気凹部Dの略半分部位に接触させるように延在する第2切削刃15と、を交互に配してある。
【0017】
このように、回転刃11を第1切削刃13と第2切削刃15とにより多数刃構成とすることにより、板材Pに対する回転刃11の切削時の接触摩擦力を小さくすることができ、回転刃への動力、回転刃の出力、を小さくすることができるばかりか、回転刃自体の耐久性もさほど高くする必要がなく、コスト低減を図ることができる。
【0018】
この回転刃11を
板材表面が上向きとなる方向に、垂直方向から10度から20度の範囲で傾斜した状態で移動可能に配してある。
この回転刃11の配設位置は、被切削体である板材Pの裏面を切削するため、後述の板材
支持台17の裏面側である。
【0019】
さらに、回転刃11は、
板材表面が上向きとなる方向に、垂直方向から略15度傾斜させて移動させる。
このようにパネルソーを垂直方向から略15度
板材表面が上向きとなる方向に傾斜させて被切断体の自重により、前方へ傾倒させて被切断体用指示枠からの脱落を防止するためである。
【0020】
板材支持台17は、
図1−3に示すように、以下の構成からなるものである。板材Pを上
下方向に多数配した状態で
板材表面が上向きとなる方向に垂直方向から10度から20度の範囲の角度で支持するための矩形状の長尺な平板からなるものであり、回転刃11の移動と同様、垂直方向から略15度後方に傾斜立設させてある。
【0021】
この板材支持台17上の板材P設置面に、個々の板材P
を板材表面を上向きに傾斜させるための凸条19を、板材Pと同数配してある。この凸条19により個々の板材P
を板材表面を上向きに傾斜させることができる。
【0022】
加えて、1回の切削後、所定間隔を隔てた位置に通気凹部Dを切削するため、多数の板材Pを前方(
図2において左側)へスライド可能としてある。
【0023】
本例において、スライド機構は、自走式モーター21に、板材Pの後端(
図2において右側端)部位を案内、支持するための支持枠23を、固定した構成とし、自走式モーター21によりこの支持枠23を前方へ移動させて多数の板材Pを移動させる。
【0024】
押圧機構25は、
図4、5に示すように、以下の構成からなるものである。
多数の板材Pを手前側(
図4において右側)から板材支持台17側(
図4において左側)へ押圧する機構であり、板材支持台17の手前側で、前記回転刃11の設置位置と対応する、板材支持台17の手前側の位置としてある。
【0025】
本例において、押圧構造は、略垂直方向(略15度後方に傾斜させた状態で)立設させた上下動棒27の上下中央の3個所に移動アーム29を前方へ延出するように軸支させ、この移動アーム29前面(板材支持台17側の面)に押圧板41を軸支させ、上下動棒27を上方に移動させ、移動アーム29を前方へ延出させることにより、押圧板41を板材支持台17側へ移動させて板材支持台17に配した多数の板材Pを押圧、支持する構造としてある。
【0026】
加えて、多数の板材Pを板材支持台17側へ押圧、支持させる際、個々の板材Pの上部に対応する個所に大径のブッシュ43を、下部に対応する個所に小径のブッシュ45を、それぞれ回転刃11による切削個所の表面両側に位置するように、押圧板41の前面部位に配してある。
【0027】
このため、個々の板材P
の表面を上向きに傾斜させて押圧、支持することができ、表面積において上方を大きく、下方を小さく、かつ大なる上方の深さを深く、小なる下方の深さを浅くして放射状に広がる形状の通気効率が高い通気凹部Dを、板材Pを確実に支持した状態で、切削することができる。
【0028】
すなわち胴縁材の原材料となる板材Pを多数上下平行、かつ
板材表面が上向きとなる方向に、垂直方向から10度から20度の範囲の角度で配設支持させ、その個々の板材Pの下部を手前側に傾斜させて配置させるため、板材の裏面の上下方向に通気凹部を切削する際、その表面積において上方が大きく、下方が小さい凹部、およびその深さにおいて上方が深く、下方が浅い通気凹部を一工程で(一度に)容易に形成することができる。
【0029】
本発明に係る胴縁材の製造装置により、胴縁材を製造する方法を以下に詳述する。
まず、板材Pを板材支持台17に上下平行に多数配設する。
この際、板材支持台17の凸条19により個々の板材Pを
板材表面が上向きとなる方向に傾斜させることができる。
次に、押圧機構25により個々の板材Pを板材支持台側17へ押圧、支持する。
【0030】
この際、押圧機構25の押圧板41に配した大径のブッシュ43および小径のブッシュ45により、個々の板材Pの
表面を上向きに傾斜させて押圧、支持することができ、表面積において上方を大きく、下方を小さく、かつ大なる上方の深さを深く、小なる下方の深さを浅くして放射状に広がる形状の通気効率が高い通気凹部Dを、板材Pを確実に支持した状態で、切削することができる。換言すれば、胴縁材としての品質を格段に向上させることができる。
【0031】
次に、回転刃11の第1切削刃13および第2切削刃15を回転させた状態で
板材表面が上向きとなる方向に(略15度傾斜させた状態で)下降させ、板材支持台17上の板材Pの裏面に通気凹部Dを、その表面積において上方を大きく、下方を小さく、かつ大なる上方の深さを深く、小なる下方の深さを浅くして放射状に広がるように切削する。
【0032】
次に、押圧機構25を元の位置(
図4において右側)へ返戻させて板材Pへの押圧力を解除し、板材支持台17に沿って板材Pを前方へスライド移動させて回転刃11による切削位置に次回の板材P裏面部位を導いて切削するようにする。
【0033】
この際、回転刃11は元の位置である上方に返戻し、次回の作業に備える。
なお、本発明に係る製造方法において、各機構の駆動、停止をコンピューター等の制御機構にて制御することにより、連続して板材Pに通気凹部Dを切削することができる。
【0034】
以上の本発明に係る胴縁材の製造装置によって
図8及び
図9に示す胴縁材1が製造される。
図8は水平方向に配設した胴縁材1には、角材の一面(内面)に通気凹部2を所定間隔をおいて設けた木造家屋3を示している。
【0035】
木造家屋3は柱等の骨材4の外表面に防風層5を付設してなる。この防風層5は必要に応じて通気材若しくは断熱材として機能させることができる。
この防風層5の外表面に所定間隔を置いて胴縁材1を付設し、この胴縁材1の外表面に外壁材6を付設する。
【0036】
以上の木造家屋3に用いられる木造家屋用胴縁材1は、骨材4で構成される木造家屋骨組の外表面に付設した防風層5とこの防風層5の外表面に付設される外壁材6との間に複数の胴縁材1を相互に間隔をおいて介存せしめてこの防風層5とこの外壁材6との間に通気空間7を形成せしめる木造家屋用胴縁材1である。
【0037】
胴縁材1の外壁材6に当接する表面及び防風層5に当接する裏面の少なくとも一方の面に通気凹部2を設ける。この通気凹部2は胴縁材1の短手方向すなわち長手方向と直交する方向の両側面に開口8及び開口9を有する。この両側面の開口8,9は一方が他方よりも大なる開口面積を備える。
木造家屋3では、胴縁材1は長手方向を水平方向と一致させて配設し、かつ防風層5に当接する裏面に設けられた通気凹部2の両開口8,9のうち小なる開口9が地面側、大なる開口8が天井側となるように通気凹部2が地面から天井方向に向かって放射状に広がるように配置する。
すなわち木造家屋3は、両側面の開口8,9が天井方向側面の開口8が地面方向側面の開口9よりも大なる通気凹部2を形成した胴縁材1を長手方向を水平方向と一致させて配設してなる。
【0038】
また胴縁材1の厚さは、開口8,9のうち小なる開口9側の厚さt2が、大なる開口8側の厚さt1よりも大となるようにされている。通気凹部2は内部にいくに従い開口面積が小さくなりかつ通気凹部2底部が平面部2aとなるようにされている。さらに通気凹部2の両開口8,9の輪郭は円弧状領域Aと直線状領域Bによって形成されている。
【0039】
なお、以上の胴縁材1を製造する実施例1の胴縁材の製造装置では回転刃11の移動、板材支持台17の立設、押圧機構25の立設、のそれぞれの角度を垂直方向から略15度後方に傾斜させた角度としてあるが、10度から20度の範囲の角度であればその角度は特に限定されることはない。
【0040】
また、押圧機構25の押圧板41に大径のブッシュ43および小径のブッシュ45を配してあるが、両ブッシュ43,45を省略しても、通気凹部Dをその表面積において上方が大きく、下方が小さい凹部、およびその深さにおいて上方が深く、下方が浅い通気凹部を一工程で(一度に)容易に形成できる効果を奏する。
【0041】
また、通気凹部Dの形状を
通気抜け側方向からの平面視略円弧状としてあるが、必ずしもこの形状に限定されることはない。