(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959159
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】管の溶接補助装置
(51)【国際特許分類】
B23K 37/02 20060101AFI20160719BHJP
B23K 9/028 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B23K37/02 C
B23K9/028 D
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-107985(P2011-107985)
(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公開番号】特開2012-236221(P2012-236221A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2014年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062982
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】新井 延幸
(72)【発明者】
【氏名】木井 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】柾谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−184672(JP,A)
【文献】
特開平05−084572(JP,A)
【文献】
特開昭54−054936(JP,A)
【文献】
特開2011−073023(JP,A)
【文献】
米国特許第03890482(US,A)
【文献】
実開昭58−085495(JP,U)
【文献】
特開2005−334916(JP,A)
【文献】
実開昭50−140922(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/02
B23K 9/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に継合する管の半自動溶接における下管の外周面に周方向に沿って設けた環状のガイドレールと、
上記ガイドレールを移動自在に設けられ、溶接作業員が、手で操作する溶接装置の溶接トーチを支持させて該溶接トーチを移動させることにより、上記ガイドレールを移動する、水平板よりなる溶接トーチ支持台とよりなることを特徴とする管の溶接補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の溶接補助装置及び溶接方法、特に、鋼管杭の半自動溶接を補助する装置及びその溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上下に継合する鋼管杭の継手部分を溶接する際、半自動溶接においては、溶接装置の溶接トーチの操作は溶接作業員の手で行うが、溶接トーチを支える装置は使用されていなかった。
【0003】
このような半自動溶接としては、例えば、公知文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−102739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半自動溶接における溶接トーチの動かし方は、重要かつ繊細な動作であり、溶接作業員の手ブレが原因で不均一溶接が発生し、溶接部の品質低下を招く恐れがあった。
【0006】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管の溶接補助装置は、上下に継合する管の半自動溶接における下管の外周面に周方向に沿って設けた環状のガイドレールと、上記ガイドレールを移動自在に設けられ、溶接作業員が、手で操作する溶接装置の溶接トーチを支持させ
て該溶接トーチを移動させることにより、上記ガイドレールを移動する
、水平板よりなる溶接トーチ支持台とよりなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の管の溶接方法は、上下に継合する管の溶接における下管の外周面に沿って設けた環状のガイドレールを移動自在な溶接トーチ支持台に溶接装置の溶接トーチを支持し、上記溶接トーチ支持台に支持した上記溶接トーチを移動させることにより上記下管と上管とを溶接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶接作業者が、管の円周方向に移動自在な溶接トーチ支持台に溶接トーチを支持させることができ、溶接作業員の溶接時の上下方向の手ブレを防止することができ、溶接部の品質を一定に保つことができるという大きな利益がある。
【0010】
また、長時間連続作業における溶接作業員の腕の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の管の溶接補助装置の要部の斜視図である。
【
図3】本発明の管の溶接補助装置のガイドレールの説明用分解斜視図である。
【
図4】本発明の管の溶接補助装置の溶接補助架台の斜視図である。である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1及び
図2は、本発明の管の溶接補助装置を示し、1は、例えば、地面2に鉛直方向に打設された下鋼管杭を示し、この下鋼管杭1の杭頭には、予め当てパイプ3が溶接されている。
【0014】
4は、上記下鋼管杭1に継合される、上記下鋼管杭1と同径の上鋼管杭を示し、この上鋼管杭4は、上記下鋼管杭1の当てパイプ3に挿入することにより、上記下鋼管杭1の上端に重ねあわされ、上記当てパイプ3と上記上鋼管杭4の継手部分5は溶接装置6により溶接される。
【0015】
7は、例えば、上記下鋼管杭1の上記継手部分5の近傍の外周面に水平に周方向に沿って着脱自在に取り付けた円環状の架台を示す。この架台7は、
図1及び
図3に示すように、2体に分割した半円弧状の分割ガイドレール8a,8aよりなるガイドレール8と、上記各分割ガイドレール8aの両端部にそれぞれ直角方向内側に設けた板状の接続部9と、上記分割ガイドレール8aを上記下鋼管杭1に対して所望の間隔をあけて同軸に位置させるための、上記各分割ガイドレール8aの内周面に沿って離間して複数設けた足部10と、上記各接続部9の先端及び上記各足部10の端部にそれぞれ設けた、上記下鋼管杭1の外周面に合致した形状の湾曲板状の当接部11と、上記当接部11の内側に設けたゴムパッキン等のクッション部材12とよりなる。
【0016】
そして、上記分割ガイドレール8a,8aの接続部9、9は、例えばボルトなどの締結具(図示せず)により締め付けられて、上記下鋼管杭1に強固に固定されるようになる。
【0017】
なお、2体に分割した半円弧状の分割ガイドレールを用いる代わりに、3体以上に分割した弧状の分割ガイドレールを用いて、円環状の架台7を形成するようにしてもよい。
【0018】
13は、上記ガイドレール8を移動自在な溶接補助架台を示し、この溶接補助架台13は、
図4に示すように、上記ガイドレール8を移動自在な移動部材14と、この移動部材14の上端に固定した、水平板よりなる溶接トーチ支持台15とよりなる。
【0019】
また、上記移動部材14は、矩形状の垂直板16と、上記垂直板16の背面の左右にそれぞれ設けられると共に、上記ガイドレール8の上下の縁をそれぞれ上下方向から挟持する上部ローラ17と下部ローラ18とよりなる。
【0020】
本発明の管の溶接補助装置は上記のような構成であるから、まず、溶接作業者は、上記溶接トーチ支持台15上に、上記溶接装置6の溶接トーチ部分6aの下端を支持させる。
【0021】
これにより、上記溶接作業者は、自ら上記ガイドレール8に沿って移動すると共に、上記溶接トーチ部分6aを架台
13に支持させることにより、上記架台
13が上記ガイドレール8上を水平方向に移動して、上記継手部分5を溶接できるようになる。
【0022】
本発明によれば、溶接トーチ支持台15上に溶接装置の溶接トーチ部分6aを支持させながら、溶接を行うため、溶接作業員の溶接時の上下方向の手ブレを防止することができ、溶接部の品質を一定に保つことができるという大きな利益がある。
【0023】
また、長時間連続作業における溶接作業員の腕の負担軽減を図ることができる。
【0024】
また、上記溶接補助架台13はローラを用いているので、水平方向に円滑に動かすことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 下鋼管杭
2 地面
3 当てパイプ
4 上鋼管杭
5 継手部分
6 溶接装置
6a 溶接トーチ部分
7 架台
8 ガイドレール
8a 分割ガイドレール
9 接続部
10 足部
11 当接部
12 クッション部材
13 溶接補助架台
14 移動部材
15 トーチ支持台
16 垂直板
17 上部ローラ
18 下部ローラ