(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959178
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】増毛用材料の保持具
(51)【国際特許分類】
A41G 5/00 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
A41G5/00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-231933(P2011-231933)
(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公開番号】特開2013-87402(P2013-87402A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】594116219
【氏名又は名称】湊 英次
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100092576
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 久男
(72)【発明者】
【氏名】湊 英次
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−228130(JP,A)
【文献】
特開平06−235107(JP,A)
【文献】
特開平09−268414(JP,A)
【文献】
特開平05−156506(JP,A)
【文献】
特開平08−027608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の毛材を束ねた増毛用材料の一部に、後に縮小可能なループ部を設け、そのループ部を被増毛者の産毛の毛根部付近に結び付けるための複数のループ付増毛用材料の保持具であって、
矩形状の基材シートと、
矩形状であって、その一辺が前記基材シートの1つの長辺又は1つの短辺に連接されたカバーシートと、
前記基材シートの長辺方向の一端側に短辺方向に平行に設けられ、前記ループ部が挿入され、前記増毛用材料が所定の間隔で多数配置される棒状部材と、
前記棒状部材の少なくとも1端を前記基材シートに着脱自在に保持する保持部材と、
前記棒状部材の表面の長手方向に設けられ、前記ループ部を前記棒状部材に仮固定する少なくとも1つの吸着部材と、
を備えた増毛用材料の保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の増毛用材料の保持具において、
前記棒状部材に挿入された前記増毛用材料の前記ループ部を表面側から覆うカバー部材をさらに備えること、
を特徴とする増毛用材料の保持具。
【請求項3】
請求項1に又は請求項2に記載の増毛用材料の保持具において、
前記棒状部材は、円筒状の部材であり、
前記保持部材は、前記円筒の端部に挿入される鉤状の部材であること、
を特徴とする増毛用材料の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増毛用材料の保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば、増毛に使用する一端にループを設けた多数の増毛用材料を保持し、保管、持ち運び、増毛作業時に使用するための増毛用材料の保持シートが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3206879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、産毛の毛根部付近に毛材を結び付けたいという要請があるが、産毛に結束する増毛用材料は、産毛が一般に疎らに生えているので、1本の産毛が担う毛材の数が増えてしまう。毛材の本数が、例えば、4本で中間にループ部を設け、開放端側では8本になってしまう。このため、特許文献1のものは、増毛用保持部が面ファスナーであるので、多数本の毛材がまとわりついてしまい、作業がしづらいという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、毛材の本数が増えても、まとわりつくことがなく、増毛用材料を1束ずつ分離することができる増毛用材料の保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、複数本の毛材を束ねた増毛用材料(20)の一部に、後に縮小可能なループ部(21)を設け、そのループ部を被増毛者の産毛の毛根部付近に結び付けるための複数のループ付増毛用材料の保持具であって、矩形状の基材シート(11)と、
矩形状であって、その一辺が前記基材シートの
1つの長辺又は
1つの短辺に連接されたカバーシート(11)と、前記基材シートの
長辺方向の一端側に
短辺方向に平行に設けられ、前記ループ部が挿入され、前記増毛用材料が所定の間隔で多数配置される棒状部材(13)と、前記棒状部材の少なくとも1端を前記基材シートに着脱自在に保持する保持部材(14)と、前記棒状部材の表面の長手方向に設けられ、前記ループ部を前記棒状部材に仮固定する少なくとも1つの吸着部材(15)と、を備えた増毛用材料の保持具である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の増毛用材料の保持具において、前記棒状部材に挿入された前記増毛
用材料の前記ループ部を表面側から覆うカバー部材(16)をさらに備えること、を特徴とする増毛用材料の保持具である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の増毛用材料の保持具において、前記棒状部材は、円筒状の部材であり、前記保持部材は、前記円筒の端部に挿入される鉤状の部材であること、を特徴とする増毛用材料の保持具である。
以上、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明したが、これに限定されるものではない。なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、毛材の本数が増えても、まとわりつくことがなく、増毛用材料を1束ずつ分離することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による増毛用材料の保持具の実施形態を示す平面図である。
【
図2】本実施形態による増毛用材料の保持具の保持部材付近(保持状態)を示す部分拡大斜視図である。
【
図3】本実施形態による増毛用材料の保持具の保持部材付近(開放状態)を示す部分拡大斜視図である。
【
図4】本実施形態による増毛用材料の保持具の棒状部材を示す拡大断面図である。
【
図5】本発明による増毛用材料の保持具の他の実施形態の棒状部材を示す拡大断面図である。
【
図6】本実施形態のループ付増毛用材料を被増毛者の産毛に結びつける経過についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明による増毛用材料の保持具の実施形態を示す平面図である。
この増毛用材料の保持具10は、複数本の毛材を束ねた増毛用材料20の一部に、後に縮小可能なループ部21を設け、そのループ部21を被増毛者の産毛の毛根部付近に結び付けるための複数のループ付増毛用材料20の保持具であって、基材シート11と、カバーシート12と、棒状部材13と、保持部材14(14A,14B)と、吸着部材15と、カバー部材16等とを備えている。
【0010】
基材シート11とカバーシート12は、紙や樹脂製の矩形状をした1枚のシートを中央の折線12aで2つ折りしたものであり、折線12aの上端付近には、スリット12bが形成されている。また、カバーシート12は、使用時にスリット12bの長さの部分を曲げ起こすための折線12cが形成されている(
図2参照)。
基材シート11は、下端のほぼ中央にスリット11aが形成されており、スリット11aの端部には、円形孔11bが形成されている。
【0011】
棒状部材13は、基材シート11の上端側に設けられ、ループ部21が挿入され、増毛用材料20が所定の間隔で多数配置される部材であり、この実施形態では、ストロー状の円筒部材が用いられている。
【0012】
保持部材14(14A,14B)は、棒状部材13の両端を基材シート11に着脱自在に保持する部材であり、この実施形態では、基材シート11に接着される基部14aと、基部14aに連接され楔状をした鉤部14bとからなり、鉤部14bは、円筒状の棒状部材13の端部に挿入されることにより、棒状部材13を基材シート11に保持している。
【0013】
吸着部材15は、棒状部材13の表面の長手方向に設けられ、ループ部21を棒状部材13に仮固定する弱粘着性のテープ部材である(
図4参照)。
【0014】
カバー部材16は、棒状部材13に挿入された増毛材料20のループ部21を表面側から覆って保持する部材である。この実施形態では、
図3に示すように、ストロー状の円筒部材の母線方向にスリットが形成されたものを使用しており、棒状部材13よりも若干径が大きいものを使用している。カバー部材16を被せると、ループ部21間の吸着部材15がカバー部材16の内側に着いてくれるので、ループ部21を安定して仮固定できる。そして、カバー部材16が棒状部材13にピタット嵌まるので、保管、持ち運び時等に、強い力がかかったような場合にも、増毛材料20がずれてしまう、というような不都合はなくなる。
【0015】
増毛用材料20は、ループ部21が棒状部材13に所定の間隔で多数配置され、吸着部材15で仮り固定されている。また、中央付近で紐11cにより束ねられ、その先端は、基材シート11のスリット11aを通して、孔11bに挿入される。この上から、カバーシート12が被せられる。
この保持具10は、この状態で、保管、持ち運びされるが、各増毛用材料20が所定間隔を保持できるとともに、先端部が互いに絡みつくことがない。
増毛作業時には、
図3に示すように、カバー部材16のスリットの部分を開いて矢印A方向に外し、棒状部材13の一端を保持部材14から外し、矢印B方向に抜き、棒状部材13を図示しない台座に対して鉤の字(逆さL字)に曲げられた円柱棒に差し込んで、使用する。
【0016】
(他の実施形態)
図5は、本発明による増毛用材料の保持具の他の実施形態の棒状部材を示す拡大断面図である。
この実施形態では、吸着部材15の他に、吸着部材15Aを棒状部材13の表面の長手方向に設けたものである。このため、ループ部21を確実に固定することができる。
【0017】
図6は、本実施形態のループ付増毛用材料20を被増毛者の産毛30に結びつける経過についての説明図である。
先ず、
図6(a)に示すように、複数本(この例では3本)の産毛30(31,32,33)をループ部21の輪に潜らせる。次に、増毛材料20を左手でつかみ、ループ部21の輪から引き出した産毛30をピンセット(例えば、毛抜きピンセット)41で挟み、D方向に引っ張ると、
図6(b)に示すように、ループ部21が産毛30の毛根近くで縮まる。産毛30は、2〜3mmでも、つかむことができるため、短い産毛も結着することができる。
【0018】
ここで、
図6(c)に示すように、産毛31の先端をピンセット41でつかみ、矢印Eのように、折り返して、
図6(d)に示すように、増毛用材料20のループ部21の輪に再度潜らせる(矢印F)。最後に、
図6(e)に示すように、増毛用材料20のループ部21の結束した部分に人体用の接着剤42を用いて、接着する。こうすることで、産毛が重なりあい、3本が6本のかたまりとなるため、接着の範囲と太さがでるので、強度が増す。
【0019】
本発明によれば、産毛は、1本の自毛(髪の毛)より細く柔らかで短いが、3〜4本に集中すると、1本の髪より太く丈夫になる。その産毛に6〜12本の増毛用材料20を結着し、接着剤で固定することにより、見た目に産毛で薄毛になった箇所に髪が生えたような自然さがよみがえる。
【0020】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)カバーシート12は、基材シート1の長辺側に連接された例で説明したが、短辺に連接するようにしてもよい。
(2)カバー部材16に代えて、棒状部材13に挿入された増毛材料20のループ部21を表面側から仮固定する表面側吸着部材を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0021】
11:基材シート
12:カバーシート
13:棒状部材
14(14A,14B):保持部材
15:吸着部材
16:カバー部材
20:増毛用材料
21:ループ部