(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続部は、前記光電変換素子から前記メモリ回路までの電気的に接続された経路において、前記光電変換素子と前記増幅トランジスタの間、前記増幅トランジスタと前記クランプ容量の間、前記クランプ容量と前記トランジスタの間、または前記トランジスタと前記メモリ回路の間に配置されることを特徴とする請求項12に記載の固体撮像装置。
前記接続部は、前記第1の基板の表面に形成された第1の電極と、前記第2の基板の表面に形成され、前記第1の電極と貼り合わされた第2の電極とを有することを特徴とする請求項13に記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。以下の詳細な説明は、一例として特定の詳細な内容を含んでいる。以下の詳細な内容にいろいろなバリエーションや変更を加えたとしても、そのバリエーションや変更を加えた内容が本発明の範囲を超えないことは、当業者であれば当然理解できる。したがって、以下で説明する各種の実施形態は、権利を請求された発明の一般性を失わせることはなく、また、権利を請求された発明に対して何ら限定を加えることもない。
【0018】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態による撮像装置の構成を示している。本発明の一態様に係る撮像装置は、撮像機能を有する電子機器であればよく、デジタルカメラのほか、デジタルビデオカメラ、内視鏡等であってもよい。
【0019】
図1に示す撮像装置は、レンズ201と、撮像部202と、画像処理部203と、表示部204と、駆動制御部205と、レンズ制御部206と、カメラ制御部207と、カメラ操作部208とを備えている。
図1にはメモリカード209も示されているが、このメモリカード209を撮像装置に対して着脱可能に構成することによって、メモリカード209は撮像装置に固有の構成でなくても構わない。
【0020】
図1に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU、メモリ等の電気回路部品や、レンズ等の光学部品、ボタン、スイッチ等の操作部品など各種部品で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現できるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによって色々な形態で実現できることは、当業者であれば当然理解できる。
【0021】
レンズ201は、固体撮像装置(固体撮像素子)を構成する撮像部202の撮像面に被写体の光学像を結像するための撮影レンズである。撮像部202は、レンズ201によって結像された被写体の光学像を光電変換によりデジタルの画像信号に変換して出力する。画像処理部203は、撮像部202から出力される画像信号に種々のデジタル的な画像処理を施す。この画像処理部203は、画像信号を記録用に処理する第1画像処理部203aと、画像信号を表示用に処理する第2画像処理部203bとを備えている。
【0022】
表示部204は、画像処理部203の第2画像処理部203bにより表示用に画像処理された画像信号に基づき画像を表示する。この表示部204は、静止画像を再生表示することができると共に、被撮像範囲の画像をリアルタイムに表示する動画(ライブビュー)表示を行うことができるようになっている。駆動制御部205は、カメラ制御部207からの指示に基づいて撮像部202の動作を制御する。レンズ制御部206は、カメラ制御部207からの指示に基づいて、レンズ201の絞りや焦点位置を制御する。
【0023】
カメラ制御部207は、撮像装置全体を制御する。カメラ制御部207の動作は、撮像装置が内蔵するROMに格納されているプログラムに規定されている。カメラ制御部207は、このプログラムを読み出して、プログラムが規定する内容に従って、各種の制御を行う。カメラ操作部208は、ユーザが撮像装置に対する各種の操作入力を行うための操作用の各種部材を有し、操作入力の結果に基づく信号をカメラ制御部207へ出力する。カメラ操作部208の具体例として、撮像装置の電源をオン・オフするための電源スイッチ、静止画撮影を指示するためのレリーズボタン、静止画撮影モードを単写モードと連写モードの間で切り替えるための静止画撮影モードスイッチなどが挙げられる。メモリカード209は、第1画像処理部203aにより記録用に処理された画像信号を保存するための記録媒体である。
【0024】
図2は、撮像部202の構成を示している。撮像部202は、複数の画素1を有する画素部2と、垂直走査回路3と、列処理回路4と、水平読み出し回路5と、出力アンプ6と、制御回路7とを有する。
図2に示す各回路要素の配置位置は実際の配置位置と必ずしも一致するわけではない。
【0025】
画素部2では、複数の画素1が2次元の行列状に配列されている。
図2では、10行×12列の120個の画素1が配列されているが、
図2に示す画素の配列は一例であり、行数および列数は2以上であればよい。本実施形態では、撮像部202が有する全画素からなる領域を画素信号の読み出し対象領域とするが、撮像部202が有する全画素からなる領域の一部を読み出し対象領域としてもよい。読み出し対象領域は、少なくとも有効画素領域の全画素を含むことが望ましい。また、読み出し対象領域は、有効画素領域の外側に配置されているオプティカルブラック画素(常時遮光されている画素)を含んでもよい。オプティカルブラック画素から読み出した画素信号は、例えば暗電流成分の補正に使用される。
【0026】
垂直走査回路3は、例えばシフトレジスタで構成されており、行単位で画素1の駆動制御を行う。この駆動制御には、画素1のリセット動作、蓄積動作、信号読み出し動作等が含まれる。この駆動制御を行うため、垂直走査回路3は、行毎に設けられている制御信号線8を介してそれぞれの画素1へ制御信号(制御パルス)を出力し、画素1を行毎に独立して制御する。垂直走査回路3が駆動制御を行うことによって、列毎に設けられている垂直信号線9へ画素1から画素信号が出力される。
【0027】
列処理回路4は、列毎の垂直信号線9に接続されており、画素1から出力された画素信号に対してノイズ除去や増幅等の信号処理を行う。水平読み出し回路5は、例えばシフトレジスタで構成されており、画素信号を読み出す画素列を選択して、選択した画素列に係る列処理回路4を順次選択し、列処理回路4から画素信号を順次水平信号線10へ出力することにより画素信号を読み出す。出力アンプ6は、水平信号線10へ出力された画素信号に対して信号処理を行い、出力端子11を介して外部へ画素信号を出力する。制御回路7は、垂直走査回路3、列処理回路4、水平読み出し回路5等の動作の基準となるクロック信号や制御信号等を生成し、垂直走査回路3、列処理回路4、水平読み出し回路5等へ出力する。
【0028】
図3は撮像部202の断面構造(
図3(a))および平面構造(
図3(b))を示している。撮像部202は、画素1を構成する回路要素(光電変換素子や、トランジスタ、容量等)が配置された2枚の基板(第1基板20、第2基板21)が重なった構造を有する。画素1を構成する回路要素は第1基板20と第2基板21に分配して配置されている。第1基板20と第2基板21は、画素1の駆動時に2枚の基板間で電気信号を授受可能なように電気的に接続されている。
【0029】
第1基板20の2つの主面(側面よりも相対的に表面積が大きい表面)のうち、光Lが照射される側の主面側に光電変換素子が形成されており、第1基板20に照射された光は光電変換素子に入射する。第1基板20の2つの主面のうち、光Lが照射される側の主面とは反対側の主面には、第2基板21との接続用の電極である多数のマイクロパッド22が形成されている。1画素毎あるいは複数画素毎に1つのマイクロパッド22が配置される。また、第2基板21の2つの主面のうち、第1基板20と対向する側の主面において、マイクロパッド22と対応する位置には、第1基板20との接続用の電極である多数のマイクロパッド23が形成されている。
【0030】
マイクロパッド22とマイクロパッド23の間にはマイクロバンプ24が形成されている。第1基板20と第2基板21は、マイクロパッド22とマイクロパッド23が互いに対向するように重ねて配置され、マイクロパッド22とマイクロパッド23間がマイクロバンプ24によって電気的に接続されるように一体化されている。マイクロパッド22、マイクロバンプ24、マイクロパッド23は、第1基板20と第2基板21を接続する接続部を構成する。第1基板20に配置されている光電変換素子で発生した信号電荷に基づく信号は、マイクロパッド22、マイクロバンプ24、マイクロパッド23を介して第2基板21へ出力される。
【0031】
第1基板20の2つの主面のうち、光Lが照射される側の主面とは反対側の主面の周辺部には、マイクロパッド22と同様の構造を有するマイクロパッド25が形成されている。第2基板21の2つの主面のうち、第1基板20と対向する側の主面において、マイクロパッド25と対応する位置には、マイクロパッド23と同様の構造を有するマイクロパッド26が形成されている。マイクロパッド25とマイクロパッド26の間にはマイクロバンプ27が形成されている。第1基板20に配置された回路要素、または第2基板21に配置された回路要素を駆動するための電源電圧等は、マイクロパッド25、マイクロバンプ27、マイクロパッド26を介して第1基板20から第2基板21へ、または第2基板21から第1基板20へ供給される。
【0032】
第2基板21の2つの主面のうち一方の主面の周辺部には、第1基板20、第2基板21以外の系とのインターフェースとして使用されるパッド28が形成されている。パッド28に代えて、第2基板21を貫通する貫通電極を設け、貫通電極を外部接続用の電極として使用してもよい。
図3に示す例では第1基板20と第2基板21の主面の面積が異なるが、第1基板20と第2基板21の主面の面積が同じであってもよい。また、マイクロバンプを設けずに、第1基板20の表面に設けたマイクロパッド(第1の電極)と、第2基板21の表面に設けたマイクロパッド(第2の電極)とを直接貼り合わせることにより第1基板20と第2基板21を接続してもよい。
【0033】
画素1を構成する回路要素は第1基板20と第2基板21に分散して配置されている。画素1以外の垂直走査回路3、列処理回路4、水平読み出し回路5、出力アンプ6、制御回路7に関しては、それぞれ第1基板20と第2基板21のどちらに配置されていてもよい。また、垂直走査回路3、列処理回路4、水平読み出し回路5、出力アンプ6、制御回路7のそれぞれを構成する回路要素が第1基板20と第2基板21に分散して配置されていてもよい。画素1以外の構成についても第1基板20と第2基板21の間で信号の授受が必要となる場合があるが、画素1と同様にマイクロパッドとマイクロバンプを使用して第1基板20と第2基板21を接続したり、マイクロパッド同士を直接接続して第1基板20と第2基板21を接続したりすることが可能である。
【0034】
図4は画素1の回路構成を示している。画素1は、光電変換素子101と、転送トランジスタ102と、FD(フローティングディフュージョン)103と、FDリセットトランジスタ104と、第1増幅トランジスタ105と、負荷トランジスタ106と、クランプ容量107と、サンプルトランジスタ108と、アナログメモリリセットトランジスタ109と、アナログメモリ110と、第2増幅トランジスタ111と、選択トランジスタ112とを有する。
図4に示す各回路要素の配置位置は実際の配置位置と必ずしも一致するわけではない。
【0035】
光電変換素子101の一端は接地されている。転送トランジスタ102のドレイン端子は光電変換素子101の他端に接続されている。転送トランジスタ102のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、転送パルスΦTXが供給される。FD103の一端は転送トランジスタ102のソース端子に接続されており、FD103の他端は接地されている。FDリセットトランジスタ104のドレイン端子は電源電圧VDDに接続されており、FDリセットトランジスタ104のソース端子は転送トランジスタ102のソース端子に接続されている。FDリセットトランジスタ104のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、FDリセットパルスΦRSTが供給される。
【0036】
第1増幅トランジスタ105のドレイン端子は電源電圧VDDに接続されている。第1増幅トランジスタ105の入力部であるゲート端子は転送トランジスタ102のソース端子に接続されている。負荷トランジスタ106のドレイン端子は第1増幅トランジスタ105のソース端子に接続されており、負荷トランジスタ106のソース端子は接地されている。負荷トランジスタ106のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、電流制御パルスΦBiasが供給される。
【0037】
クランプ容量107の一端は第1増幅トランジスタ105のソース端子および負荷トランジスタ106のドレイン端子に接続されている。サンプルトランジスタ108のドレイン端子はクランプ容量107の他端に接続されている。サンプルトランジスタ108のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、サンプルパルスΦSHが供給される。
【0038】
アナログメモリリセットトランジスタ109のドレイン端子は電源電圧VDDに接続されており、アナログメモリリセットトランジスタ109のソース端子はサンプルトランジスタ108のソース端子に接続されている。アナログメモリリセットトランジスタ109のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、クランプ&メモリリセットパルスΦCLが供給される。
【0039】
アナログメモリ110の一端はサンプルトランジスタ108のソース端子に接続されており、アナログメモリ110の他端は接地されている。第2増幅トランジスタ111のドレイン端子は電源電圧VDDに接続されている。第2増幅トランジスタ111の入力部を構成するゲート端子はサンプルトランジスタ108のソース端子に接続されている。選択トランジスタ112のドレイン端子は第2増幅トランジスタ111のソース端子に接続されており、選択トランジスタ112のソース端子は垂直信号線9に接続されている。選択トランジスタ112のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、選択パルスΦSELが供給される。上述した各トランジスタに関しては極性を逆にし、ソース端子とドレイン端子を上記と逆にしてもよい。
【0040】
光電変換素子101は、例えばフォトダイオードであり、入射した光に基づく信号電荷を生成(発生)し、生成(発生)した信号電荷を保持・蓄積する。転送トランジスタ102は、光電変換素子101に蓄積された信号電荷をFD103に転送するトランジスタである。転送トランジスタ102のオン/オフは、垂直走査回路3からの転送パルスΦTXによって制御される。FD103は、光電変換素子101から転送された信号電荷を一時的に保持・蓄積する容量である。
【0041】
FDリセットトランジスタ104は、FD103をリセットするトランジスタである。FDリセットトランジスタ104のオン/オフは、垂直走査回路3からのFDリセットパルスΦRSTによって制御される。FDリセットトランジスタ104と転送トランジスタ102を同時にオンにすることによって、光電変換素子101をリセットすることも可能である。FD103/光電変換素子101のリセットは、FD103/光電変換素子101に蓄積されている電荷量を制御してFD103/光電変換素子101の状態(電位)を基準状態(基準電位、リセットレベル)に設定することである。
【0042】
第1増幅トランジスタ105は、ゲート端子に入力される、FD103に蓄積されている信号電荷に基づく信号を増幅した増幅信号をソース端子から出力するトランジスタである。負荷トランジスタ106は、第1増幅トランジスタ105の負荷として機能し、第1増幅トランジスタ105を駆動する電流を第1増幅トランジスタ105に供給するトランジスタである。負荷トランジスタ106のオン/オフは、垂直走査回路3からの電流制御パルスΦBiasによって制御される。第1増幅トランジスタ105と負荷トランジスタ106はソースフォロワ回路を構成する。
【0043】
クランプ容量107は、第1増幅トランジスタ105から出力される増幅信号の電圧レベルをクランプ(固定)する容量である。サンプルトランジスタ108は、クランプ容量107の他端の電圧レベルをサンプルホールドし、アナログメモリ110に蓄積するトランジスタである。サンプルトランジスタ108のオン/オフは、垂直走査回路3からのサンプルパルスΦSHによって制御される。
【0044】
アナログメモリリセットトランジスタ109は、アナログメモリ110をリセットするトランジスタである。アナログメモリリセットトランジスタ109のオン/オフは、垂直走査回路3からのクランプ&メモリリセットパルスΦCLによって制御される。アナログメモリ110のリセットは、アナログメモリ110に蓄積されている電荷量を制御してアナログメモリ110の状態(電位)を基準状態(基準電位、リセットレベル)に設定することである。アナログメモリ110は、サンプルトランジスタ108によってサンプルホールドされたアナログ信号を保持・蓄積する。
【0045】
アナログメモリ110の容量は、FD103の容量よりも大きな容量に設定される。アナログメモリ110には、単位面積当たりのリーク電流(暗電流)の少ない容量であるMIM(Metal Insulator Metal)容量やMOS(Metal Oxide Semiconductor)容量を使用することがより望ましい。これによって、ノイズに対する耐性が向上し、高品質な信号が得られる。
【0046】
第2増幅トランジスタ111は、ゲート端子に入力される、アナログメモリ110に蓄積されている信号電荷に基づく信号を増幅した増幅信号をソース端子から出力するトランジスタである。第2増幅トランジスタ111と、垂直信号線9に接続された、負荷となる電流源(図示せず)とはソースフォロワ回路を構成する。選択トランジスタ112は、画素1を選択し、第2増幅トランジスタ111の出力を垂直信号線9に伝えるトランジスタである。選択トランジスタ112のオン/オフは、垂直走査回路3からの選択パルスΦSELによって制御される。
【0047】
図4に示す回路要素のうち、光電変換素子101は第1基板20に配置され、アナログメモリ110は第2基板21に配置され、他の回路要素は第1基板20と第2基板21のいずれかに配置される。
図4の破線D1は第1基板20と第2基板21の境界線を示している。第1基板20には、光電変換素子101と、転送トランジスタ102と、FD103と、FDリセットトランジスタ104と、第1増幅トランジスタ105とが配置されている。第2基板21には、負荷トランジスタ106と、クランプ容量107と、サンプルトランジスタ108と、アナログメモリリセットトランジスタ109と、アナログメモリ110と、第2増幅トランジスタ111と、選択トランジスタ112とが配置されている。
【0048】
第1基板20の第1増幅トランジスタ105から出力された増幅信号は、マイクロパッド22、マイクロバンプ24、およびマイクロパッド23を介して第2基板21へ出力される。また、電源電圧VDDは、マイクロパッド25、マイクロバンプ27、およびマイクロパッド26を介して第1基板20と第2基板21の間で授受される。
【0049】
図4では、マイクロパッド22、マイクロバンプ24、マイクロパッド23を含む接続部が第1増幅トランジスタ105のソース端子と、負荷トランジスタ106のドレイン端子およびクランプ容量107の一端との間の経路に配置されているが、これに限らない。接続部は、光電変換素子101からアナログメモリ110までの電気的に接続された経路上のどこに配置されていてもよい。
【0050】
図5は、第1基板20と第2基板21の境界線の例を示している。破線D1〜D5は、第1基板20と第2基板21の境界線として可能な例を示している。第1基板20と第2基板21の境界線は、破線D1〜D5のいずれであってもよく、これら以外もあり得る。破線D1については上述した通りである。破線D2が示す例では、光電変換素子101の他端と転送トランジスタ102のドレイン端子との間の経路に接続部が配置される。破線D3が示す例では、転送トランジスタ102のソース端子と、FD103の一端、FDリセットトランジスタ104のソース端子、および第1増幅トランジスタ105のゲート端子との間の経路に接続部が配置される。
【0051】
破線D4が示す例では、クランプ容量107の他端と、サンプルトランジスタ108のドレイン端子との間の経路に接続部が配置される。破線D5が示す例では、サンプルトランジスタ108のソース端子と、アナログメモリリセットトランジスタ109のソース端子、アナログメモリ110の一端、および第2増幅トランジスタ111のゲート端子との間の経路に接続部が配置される。
【0052】
次に、
図6を参照し、画素1の動作を説明する。
図6は、垂直走査回路3から行毎に画素1に供給される制御信号を示すと共に、全行の画素1に一括して(同時に)供給される電流制御パルスΦBiasと、水平読み出し回路5から水平信号線10に信号を読み出すための読み出しパルスとを示している。以下では、制御信号に対して、行番号を示す添え字を付加して説明を行う。例えば、1行目の画素1へ出力される転送パルスΦTXをΦTX-1と示す。また、任意の行の制御信号を示す場合、行番号を示す添え字としてiを付加して説明を行う。例えば、全行の画素1すなわち全ての画素1(以下、全画素と記載する)へ出力される転送パルスΦTXを代表してΦTX-iと示す。
【0053】
時刻t1において、全画素へ出力される転送パルスΦTX-iが“L”(Low)レベルから“H”(High)レベルに変化することで、全画素の転送トランジスタ102がオンとなる。同時に、全画素へ出力されるFDリセットパルスΦRST-iが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素のFDリセットトランジスタ104がオンとなる。これによって、光電変換素子101がリセットされる。
【0054】
続いて、時刻t2において、全画素へ出力される転送パルスΦTX-iおよびFDリセットパルスΦRST-iが“H”レベルから“L”レベルに変化することで、全画素の転送トランジスタ102およびFDリセットトランジスタ104がオフとなる。これによって、全画素の光電変換素子101のリセットが終了し、全画素の露光(信号電荷の蓄積)が一括して(同時に)開始される。
【0055】
露光期間内の時刻t3において、全画素へ出力されるFDリセットパルスΦRST-iが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素のFDリセットトランジスタ104がオンとなる。これによって、全画素のFD103がリセットされる。同時に、全画素へ出力される電流制御パルスΦBiasが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素の負荷トランジスタ106がオンとなる。これによって、第1増幅トランジスタ105に駆動電流が供給され、第1増幅トランジスタ105が増幅動作を開始する。
【0056】
同時に、全画素へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-iが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素のアナログメモリリセットトランジスタ109がオンとなる。これによって、全画素のアナログメモリ110がリセットされる。同時に、全画素へ出力されるサンプルパルスΦSH-iが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素のサンプルトランジスタ108がオンとなる。これによって、クランプ容量107の他端の電位が電源電圧VDDにリセットされると共に、サンプルトランジスタ108がクランプ容量107の他端の電位のサンプルホールドを開始する。
【0057】
続いて、全画素へ出力されるFDリセットパルスΦRST-iが“H”レベルから“L”レベルに変化することで、全画素のFDリセットトランジスタ104がオフとなる。これによって、全画素のFD103のリセットが終了する。FD103のリセットを行うタイミングは露光期間中であればよいが、露光期間の終了直前のタイミングでFD103のリセットを行うことによって、FD103のリーク電流によるノイズをより低減することができる。
【0058】
続いて、露光期間内の時刻t4において、全画素へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-iが“H”レベルから“L”レベルに変化することで、全画素のアナログメモリリセットトランジスタ109がオフとなる。これによって、全画素のアナログメモリ110のリセットが終了する。この時点でクランプ容量107は、第1増幅トランジスタ105から出力される増幅信号(FD103のリセット後の増幅信号)をクランプしている。
【0059】
続いて、時刻t5において、全画素へ出力される転送パルスΦTX-iが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素の転送トランジスタ102がオンとなる。これによって、全画素の光電変換素子101に蓄積されている信号電荷が、転送トランジスタ102を介してFD103に転送され、FD103に蓄積される。
【0060】
続いて、時刻t6において、全画素へ出力される転送パルスΦTX-iが“H”レベルから“L”レベルに変化することで、全画素の転送トランジスタ102がオフとなる。これによって、全画素の露光(信号電荷の蓄積)が一括して(同時に)終了する。
図6に示すように、時刻t2から時刻t6までの期間が露光期間(信号蓄積期間)である。
【0061】
続いて、時刻t7において、全画素へ出力されるサンプルパルスΦSH-iが“H”レベルから“L”レベルに変化することで、全画素のサンプルトランジスタ108がオフとなる。これによって、サンプルトランジスタ108がクランプ容量107の他端の電位のサンプルホールドを終了する。同時に、全画素へ出力される電流制御パルスΦBiasが“H”レベルから“L”レベルに変化することで、全画素の負荷トランジスタ106がオフとなる。これによって、第1増幅トランジスタ105への駆動電流の供給が停止され、第1増幅トランジスタ105が増幅動作を停止する。
【0062】
図7は、垂直走査回路3から1行目の画素1に供給される制御信号を示すと共に、FD103の一端の電位、第1増幅トランジスタ105のソース端子の電位、およびアナログメモリ110の一端の電位を示している。
【0063】
FD103のリセットが終了した後に光電変換素子101からFD103に信号電荷が転送されることによるFD103の一端の電位の変化をΔVfd、第1増幅トランジスタ105のゲインをα1とすると、光電変換素子101からFD103に信号電荷が転送されることによる第1増幅トランジスタ105のソース端子の電位の変化ΔVamp1はα1×ΔVfdとなる。
【0064】
アナログメモリ110とサンプルトランジスタ108の合計のゲインをα2とすると、光電変換素子101からFD103に信号電荷が転送された後のサンプルトランジスタ108のサンプルホールドによるアナログメモリ110の一端の電位の変化ΔVmemはα2×ΔVamp1、すなわちα1×α2×ΔVfdとなる。ΔVfdは、信号電荷の転送によるFD103の一端の電位の変化量であり、FD103をリセットすることにより発生するリセットノイズを含んでいない。したがって、サンプルトランジスタ108がサンプルホールドを行うことによって、光電変換素子101で発生するノイズの影響を低減することができる。アナログメモリ110のリセットが終了した時点のアナログメモリ110の一端の電位は電源電圧VDDであるため、光電変換素子101からFD103に信号電荷が転送された後、サンプルトランジスタ108によってサンプルホールドされたアナログメモリ110の一端の電位Vmemは以下の(1)式となる。(1)式において、ΔVmem<0、ΔVfd<0である。
Vmem=VDD+ΔVmem
=VDD+α1×α2×ΔVfd ・・・(1)
【0065】
また、α2は以下の(2)式となる。(2)式において、CLはクランプ容量107の容量値であり、CSHはアナログメモリ110の容量値である。ゲインの低下をより小さくするため、クランプ容量107の容量値CLはアナログメモリ110の容量値CSHよりも大きいことがより望ましい。
【0067】
時刻t7以降、アナログメモリ110に蓄積されている信号電荷に基づく信号が行毎に順次読み出される。時刻t7〜t8の期間では、1行目の画素1から信号が読み出される。まず、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオンとなる。これによって、(1)式に示した電位Vmemに基づく信号が選択トランジスタ112を介して垂直信号線9へ出力される。続いて、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオフとなる。
【0068】
続いて、1行目の画素1へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1のアナログメモリリセットトランジスタ109がオンとなる。これによって、1行目の画素1のアナログメモリ110がリセットされる。続いて、1行目の画素1へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、1行目の画素1のアナログメモリリセットトランジスタ109がオフとなる。
【0069】
続いて、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオンとなる。これによって、アナログメモリ110をリセットしたときのアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号が選択トランジスタ112を介して垂直信号線9へ出力される。続いて、選択パルスΦSEL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、選択トランジスタ112がオフとなる。
【0070】
列処理回路4は、(1)式に示した電位Vmemに基づく信号と、アナログメモリ110をリセットしたときのアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号との差分をとった差分信号を生成する。この差分信号は、(1)式に示した電位Vmemと電源電圧VDDとの差分に基づく信号であり、光電変換素子101に蓄積された信号電荷がFD103に転送された直後のFD103の一端の電位と、FD103の一端がリセットされた直後のFD103の電位との差分ΔVfdに基づく信号である。したがって、アナログメモリ110をリセットすることによるノイズ成分と、FD103をリセットすることによるノイズ成分とを抑圧した、光電変換素子101に蓄積された信号電荷に基づく信号成分を得ることができる。
【0071】
列処理回路4から出力された信号は、水平読み出し回路5によって水平信号線10へ出力される。出力アンプ6は、水平信号線10へ出力された信号を処理し、出力端子11から画素信号として出力する。以上で、1行目の画素1からの信号の読み出しが終了する。
【0072】
時刻t8〜t9の期間では、2行目の画素1から信号が読み出される。2行目の画素1から信号を読み出す動作は、1行目の画素1から信号を読み出す動作と同様であるので、説明を省略する。2行目以降の画素1についても、同様の動作が行毎に行われる。時刻t10〜t11の期間では、最終行目(n行目)の画素1から信号が読み出される。この動作も、1行目の画素1から信号を読み出す動作と同様であるので、説明を省略する。全画素から信号を読み出す動作が終了した後、時刻t1からの動作が再度行われる。
図6では、全画素から信号を読み出す動作が終了した後、時刻t1からの動作が再度行われるが、全画素から信号を読み出す動作が終了した後、画素1に係る動作を終了してもよい。
【0073】
図6に示した動作は、全画素一括で光電変換素子101の露光を行うグローバルシャッタによる動作である。グローバルシャッタの動作では、全画素一括で光電変換素子101からFD103に転送された信号電荷をFD103が各画素1の読み出しタイミングまで保持していなければならない。FD103が信号電荷を保持している期間中にノイズが発生すると、FD103が保持している信号電荷にノイズが重畳され、信号品質(S/N)が劣化する。
【0074】
FD103が信号電荷を保持している期間(以下、保持期間と記載)中に発生するノイズの主な要因は、FD103のリーク電流による電荷(以下、リーク電荷と記載)と、光電変換素子101以外の部分に入射する光に起因する電荷(以下、光電荷と記載)である。単位時間に発生するリーク電荷と光電荷をそれぞれqid、qpnとし、保持期間の長さをtcとすると、保持期間中に発生するノイズ電荷Qnは(qid+qpn)tcとなる。
【0075】
FD103の容量をCfd、アナログメモリ110の容量をCmemとし、CfdとCmemの比(Cmem/Cfd)をAとする。また、前述したように、第1増幅トランジスタ105のゲインをα1、アナログメモリ110とサンプルトランジスタ108の合計のゲインをα2とする。露光期間中に光電変換素子101で発生した信号電荷をQphとすると、露光期間の終了後にアナログメモリ110に保持される信号電荷はA×α1×α2×Qphとなる。
【0076】
光電変換素子101からFD103に転送された信号電荷に基づく信号は時刻t7までにサンプルトランジスタ108によってサンプルホールドされ、アナログメモリ110に格納される。したがって、FD103に信号電荷が転送されてからアナログメモリ110に信号電荷が格納されるまでの時間は短く、FD103で発生したノイズは無視することができる。アナログメモリ110が信号電荷を保持している期間に発生するノイズを上記と同じQnと仮定すると、S/NはA×α1×α2×Qph/Qnとなる。
【0077】
一方、特許文献2に記載された従来技術のように、容量蓄積部に保持された信号電荷を、増幅トランジスタを介して画素から読み出す場合のS/NはQph/Qnとなる。したがって、本実施形態のS/Nは従来技術のS/NのA×α1×α2倍となる。A×α1×α2が1よりも大きくなるようにアナログメモリ110の容量値を設定する(例えば、アナログメモリ110の容量値をFD103の容量値よりも十分大きくする)ことによって、信号品質の劣化を低減することができる。
【0078】
上述したように、本実施形態によれば、画素を構成する回路要素を2枚の基板のそれぞれに配置し、増幅回路(第1増幅トランジスタ105)から出力された増幅信号をデジタル化せずに信号蓄積回路(アナログメモリ110)に蓄積することによって、チップ面積の増大を抑制することができる(多画素化も容易となる)。さらに、信号蓄積回路(アナログメモリ110)を設けたことによって、信号品質の劣化を低減することができる。
【0079】
また、画素の全ての回路要素を1枚の基板に配置する場合と比較して、第1基板の光電変換素子の面積を大きくすることが可能となるため、感度が向上する。さらに、アナログメモリを用いることによって、第2基板に設ける信号蓄積用の領域の面積を小さくすることができる。
【0080】
また、全画素の光電変換素子101が一括して露光(信号電荷の蓄積)を開始することで画像内の被写体の歪みを低減することができる。さらに、全画素の光電変換素子101が一括して露光(信号電荷の蓄積)の開始および終了を行うグローバルシャッタを実現することができる。
【0081】
図6に示した動作では、第1増幅トランジスタ105の増幅動作が必要な期間のみ電流制御パルスΦBiasを“H”レベルとし、負荷トランジスタ106を活性化しているが、第1増幅トランジスタ105の増幅動作が必要な期間だけでなく、第1増幅トランジスタ105の増幅動作が必要でない期間でも負荷トランジスタ106を活性化してもよい。本実施形態のように一部の期間のみ負荷トランジスタ106を活性化することによって、消費電力を小さくすることができる。
【0082】
また、アナログメモリ110の容量値をFD103の容量値よりも大きくする(例えば、アナログメモリ110の容量値をFD103の容量値の5倍以上にする)ことによって、アナログメモリ110が保持する信号電荷が、FD103が保持する信号電荷よりも大きくなる。このため、アナログメモリ110のリーク電流による信号劣化の影響を小さくすることができる。
【0083】
また、クランプ容量107およびサンプルトランジスタ108を設けることによって、第1基板20で発生するノイズを低減することができる。第1基板20で発生するノイズには、第1増幅トランジスタ105に接続される回路(例えばFDリセットトランジスタ104)の動作に由来して第1増幅トランジスタ105の入力部で発生するノイズ(例えばリセットノイズ)や、第1増幅トランジスタ105の動作特性に由来するノイズ(例えば第1増幅トランジスタ105の回路閾値のばらつきによるノイズ)等がある。
【0084】
また、アナログメモリ110をリセットしたときの信号と、光電変換素子101からFD103へ信号電荷を転送することによって発生する第1増幅トランジスタ105の出力の変動に応じた信号とを時分割で画素1から出力し、画素1の外部で各信号の差分処理を行うことによって、第2基板21で発生するノイズを低減することができる。第2基板21で発生するノイズには、第2増幅トランジスタ111に接続される回路(例えばアナログメモリリセットトランジスタ109)の動作に由来して第2増幅トランジスタ111の入力部で発生するノイズ(例えばリセットノイズ)等がある。
【0085】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の構成は第1の実施形態の構成と同様であるので、構成の説明を省略する。以下、
図8を参照し、画素1の動作を説明する。
図8は、垂直走査回路3から行毎に画素1に供給される制御信号を示すと共に、全行の画素1に一括して(同時に)供給される電流制御パルスΦBiasと、水平読み出し回路5から水平信号線10に信号を読み出すための読み出しパルスとを示している。ΦTX-1等の表記は
図6の表記と同様である。
【0086】
図6と異なるのは、時刻t7以降のアナログメモリ信号読み出し期間におけるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-iの駆動タイミングである。以下では、時刻t7以降の動作のみ説明する。
【0087】
時刻t7以降、アナログメモリ110に蓄積されている信号電荷に基づく信号が行毎に順次読み出される。時刻t7〜t8の期間では、1行目の画素1から信号が読み出される。まず、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオンとなる。これによって、第1の実施形態の(1)式に示した電位Vmemに基づく信号が選択トランジスタ112を介して垂直信号線9へ出力される。続いて、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオフとなる。
【0088】
続いて、1行目の画素1へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1のアナログメモリリセットトランジスタ109がオンとなる。これによって、1行目の画素1のアナログメモリ110がリセットされる。
【0089】
アナログメモリ110がリセットされている状態で、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオンとなる。これによって、アナログメモリ110をリセットした状態のアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号が選択トランジスタ112を介して垂直信号線9へ出力される。続いて、選択パルスΦSEL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、選択トランジスタ112aがオフとなる。続いて、1行目の画素1へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、1行目の画素1のアナログメモリリセットトランジスタ109がオフとなる。
【0090】
図9は、時刻t7以降のクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1とアナログメモリ110の一端の電位(アナログメモリ端子電圧)を示している。クランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“H”レベルとなり、アナログメモリリセットトランジスタ109によりアナログメモリ110がリセットされている間、アナログメモリ110の一端の電位にリセットノイズが重畳する。クランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“L”レベルとなり、アナログメモリ110のリセットが終了すると、寄生容量等の影響により、アナログメモリ110の一端の電位が変化する。
【0091】
アナログメモリ110の一端の電位は、アナログメモリ110のリセット終了時(
図9の時刻t20)の電位を基準にして変化する。リセット中のアナログメモリ110の一端の電位は、リセットノイズにより変動するため、リセット終了後のアナログメモリ110の一端の電位は、アナログメモリ110のリセットタイミングに応じてばらつくことになる。
図6の動作のように、リセット終了後のアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号が垂直信号線9へ出力される場合、上記のようなばらつきに基づく成分を含む信号が垂直信号線9へ出力される。
【0092】
これに対して、
図8の動作では、リセット中のアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号が垂直信号線9へ出力される。リセット中のアナログメモリ110の一端の電位は、リセットノイズにより変動するが、第2増幅トランジスタ111が増幅機能に加えて、いわゆる低域フィルタとしての機能も有するため、リセット中のアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号のばらつきは第2増幅トランジスタ111の帯域によって制限される。このため、
図6の動作と比較して、信号中のノイズをより低減することができる。
【0093】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態の構成は、画素1の構成を除いて、第1の実施形態の構成と同様である。
図10は本実施形態の画素1の回路構成を示している。
図4の構成と異なるのは、サンプルトランジスタ108と第2増幅トランジスタ111との間にスイッチトランジスタ120が設けられていることである。他の構成については
図4と同じであるので、説明を省略する。
【0094】
スイッチトランジスタ120のドレイン端子はサンプルトランジスタ108のソース端子およびアナログメモリ110の一端に接続されており、スイッチトランジスタ120のソース端子は、第2増幅トランジスタ111の入力部を構成するゲート端子およびアナログメモリリセットトランジスタ109のソース端子に接続されている。スイッチトランジスタ120のゲート端子は垂直走査回路3に接続されており、スイッチパルスΦSWが供給される。スイッチトランジスタに関しては極性を逆にし、ソース端子とドレイン端子を上記と逆にしてもよい。
【0095】
スイッチトランジスタ120は、アナログメモリ110の信号を第2増幅トランジスタ111に伝えるトランジスタである。スイッチトランジスタ120のオン/オフは、垂直走査回路3からのスイッチングパルスΦSWによって制御される。
図10では、スイッチトランジスタ120は第2基板21に配置されている。
【0096】
以下、
図11を参照し、画素1の動作を説明する。
図11は、垂直走査回路3から行毎に画素1に供給される制御信号を示すと共に、全行の画素1に一括して(同時に)供給される電流制御パルスΦBiasと、水平読み出し回路5から水平信号線10に信号を読み出すための読み出しパルスとを示している。ΦTX-1等の表記は
図6の表記と同様である。
図6と異なるのは、スイッチトランジスタ120のオン/オフを制御するスイッチングパルスΦSW-iが追加されていること、および時刻t7以降のアナログメモリ信号読み出し期間におけるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-i、選択パルスΦSEL-iの駆動タイミングである。
【0097】
露光期間内の時刻t3において、全画素へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-iおよびスイッチングパルスΦSW-iが“L”レベルから“H”レベルに変化することで、全画素のアナログメモリリセットトランジスタ109およびスイッチトランジスタ120がオンとなる。これによって、全画素のアナログメモリ110がリセットされる。その他の動作は、クランプ&メモリリセットパルスΦCL-iが“H”レベルから“L”レベルに変化するのと同時にスイッチングパルスΦSW-iが“H”レベルから“L”レベルに変化する点を除いて、
図6の動作と同じであるので説明を省略する。
【0098】
時刻t7以降、アナログメモリ110に蓄積されている信号電荷に基づく信号が行毎に順次読み出される。時刻t7〜t8の期間では、1行目の画素1から信号が読み出される。まず、1行目の画素1へ出力されるクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1のアナログメモリリセットトランジスタ109がオンとなる。これによって、1行目の画素1のアナログメモリリセットトランジスタ109の入力部がリセットされる。このとき、スイッチングトランジスタ120がオフであるので、アナログメモリ110はリセットされない。
【0099】
続いて、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオンとなる。これによって、第2増幅トランジスタ111の入力部をリセットしたときの信号が選択トランジスタ112を介して垂直信号線9へ出力される。続いて、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオフとなる。
【0100】
続いて、1行目の画素1へ出力されるスイッチングパルスΦSW-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1のスイッチングトランジスタ120がオンとなる。続いて、1行目の画素1へ出力される選択パルスΦSEL-1が“L”レベルから“H”レベルに変化することで、1行目の画素1の選択トランジスタ112がオンとなる。これによって、(1)式に示した電位Vmemに基づく信号が選択トランジスタ112を介して垂直信号線9へ出力される。続いて、選択パルスΦSEL-1が“H”レベルから“L”レベルに変化することで、選択トランジスタ112がオフとなる。
【0101】
図12は、時刻t7以降のクランプ&メモリリセットパルスΦCL-1、スイッチングパルスΦSW-1、および第2増幅トランジスタ111の入力部の電位(第2増幅トランジスタ入力電圧)を示している。クランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“H”レベルとなり、アナログメモリリセットトランジスタ109により第2増幅トランジスタ111の入力部がリセットされている間、第2増幅トランジスタ111の入力部の電位にリセットノイズが重畳する。クランプ&メモリリセットパルスΦCL-1が“L”レベルとなり、第2増幅トランジスタ111の入力部のリセットが終了すると、寄生容量等の影響により、第2増幅トランジスタ111の入力部の電位が変化する。
【0102】
第2増幅トランジスタ111の入力部の電位は、第2増幅トランジスタ111の入力部のリセット終了時(
図12の時刻t30)の電位を基準にして変化する。リセット中の第2増幅トランジスタ111の入力部の電位は、リセットノイズにより変動するため、リセット終了後の第2増幅トランジスタ111の入力部の電位は、第2増幅トランジスタ111の入力部のリセットタイミングに応じてばらつくことになる。さらに、スイッチングパルスΦSW-1が“H”レベルとなり、アナログメモリ110の一端と第2増幅トランジスタ111の入力部とが接続されると、第2増幅トランジスタ111の入力部の電位が変化する。
【0103】
第2増幅トランジスタ111の入力部の電位は、
図12の時刻t31の電位を基準にして、第1の実施形態で説明したΔVmem(=α1×α2×ΔVfd)だけ変化する。時刻t31における第2増幅トランジスタ111の入力部の電位は、リセットノイズにより変動するが、第2増幅トランジスタ111の入力部をリセットしたときの第2増幅トランジスタ111の入力部の電位に基づく信号と、アナログメモリ110の一端と第2増幅トランジスタ111の入力部とが接続された後の第2増幅トランジスタ111の入力部の電位に基づく信号との差分をとった後の信号では、リセットタイミングに応じた第2増幅トランジスタ111の入力部の電位のばらつきはキャンセルされる。
【0104】
図4の構成を用いた
図6の動作では、光電変換素子101からFD103に信号電荷が転送された後、サンプルトランジスタ108によってサンプルホールドされたアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号が垂直信号線9へ出力される。その後、アナログメモリ110をリセットしたときのアナログメモリ110の一端の電位に基づく信号が垂直信号線9へ出力される。アナログメモリ110をリセットしたときのアナログメモリ110の一端の電位は、リセットノイズにより変動するため、垂直信号線9へ出力された2種類の信号の差分をとった信号には、リセットノイズによるばらつきが含まれる。
【0105】
これに対して、
図10の構成を用いた
図8の動作では、第2増幅トランジスタ111の入力部をリセットしたときの第2増幅トランジスタ111の入力部の電位に基づく信号が垂直信号線9へ出力される。その後、アナログメモリ110の一端と第2増幅トランジスタ111の入力部とが接続された後の第2増幅トランジスタ111の入力部の電位に基づく信号が垂直信号線9へ出力される。垂直信号線9へ出力された2種類の信号の差分をとった信号では、上記のように、リセットタイミングに応じた第2増幅トランジスタ111の入力部の電位のばらつきが低減される。このため、
図4の構成を用いた
図6の動作と比較して、信号中のノイズをより低減することができる。
【0106】
本発明に係る増幅回路(増幅トランジスタ)は例えば第1増幅トランジスタ105に対応し、本発明に係る信号蓄積回路(メモリ回路)は例えばアナログメモリ110に対応し、本発明に係る出力回路(出力トランジスタ)は例えば選択トランジスタ112に対応する。また、本発明に係るリセット回路は例えばFDリセットトランジスタ104に対応し、本発明に係る負荷回路は例えば負荷トランジスタ106に対応する。また、本発明に係るノイズ低減回路は例えばクランプ容量107およびサンプルトランジスタ108に対応し、本発明に係るクランプ部(クランプ容量)は例えばクランプ容量107に対応し、本発明に係るサンプルホールド部(トランジスタ)は例えばサンプルトランジスタ108に対応する。
【0107】
また、本発明に係る第1のリセット回路は例えば転送トランジスタ102およびFDリセットトランジスタ104に対応し、本発明に係る第2のリセット回路は例えばFDリセットトランジスタ104に対応し、本発明に係る転送回路は例えば転送トランジスタ102に対応し、本発明に係る第2の増幅回路は例えば第2増幅トランジスタ111に対応し、本発明に係る第3のリセット回路は例えばアナログメモリリセットトランジスタ109に対応し、本発明に係る差分処理回路は例えば列処理回路4に対応し、本発明に係るスイッチ回路は例えばスイッチトランジスタ120に対応する。
【0108】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。上記では、2枚の基板が接続部で接続されている固体撮像装置の構成を示したが、3枚以上の基板が接続部で接続されていてもよい。3枚以上の基板が接続部で接続される固体撮像装置の場合、3枚以上の基板のうち2枚の基板が第1の基板と第2の基板に相当する。
【0109】
例えば、本発明の一態様に係る固体撮像装置は、
「画素を構成する回路要素が配置された第1の基板と第2の基板とが電気的に接続されている固体撮像装置であって、
前記画素は、
前記第1の基板に配置された光電変換手段と、
前記光電変換手段で発生した信号を増幅して増幅信号を出力する増幅手段と、
前記第2の基板に配置され、前記増幅手段から出力された前記増幅信号を蓄積する信号蓄積手段と、
前記信号蓄積手段に蓄積された前記増幅信号を前記画素から出力する出力手段と、
を有することを特徴とする固体撮像装置。」
であってもよい。
【0110】
例えば、本発明の一態様に係る撮像装置は、
「画素を構成する回路要素が配置された第1の基板と第2の基板とが電気的に接続されている撮像装置であって、
前記画素は、
前記第1の基板に配置された光電変換手段と、
前記光電変換手段で発生した信号を増幅して増幅信号を出力する増幅手段と、
前記第2の基板に配置され、前記増幅手段から出力された前記増幅信号を蓄積する信号蓄積手段と、
前記信号蓄積手段に蓄積された前記増幅信号を前記画素から出力する出力手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。」
であってもよい。
【0111】
上述した各構成要素や各処理プロセスの任意の組合せを実現するコンピュータプログラムプロダクトも本発明の態様として有効である。コンピュータプログラムプロダクトとは、プログラムコードが記録された記録媒体(DVD媒体,ハードディスク媒体、メモリ媒体など)、プログラムコードが記録されたコンピュータ、プログラムコードが記録されたインターネットシステム(例えば、サーバとクライアント端末を含むシステム)など、プログラムコードが組み込まれた記録媒体、装置、機器やシステムをいう。この場合、上述した各構成要素や各処理プロセスは各モジュールで実装され、その実装されたモジュールからなるプログラムコードがコンピュータプログラムプロダクト内に記録される。
【0112】
例えば、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムプロダクトは、
「画素を構成する回路素子が配置された第1の基板と第2の基板とが電気的に接続されている固体撮像装置の前記画素から信号を読み出す処理をコンピュータに実行させるためのプログラムコードが記録されたコンピュータプログラムプロダクトであって、
前記第1の基板に配置された光電変換素子で発生した信号を増幅回路により増幅して増幅信号を出力するモジュールと、
前記増幅回路から出力された前記増幅信号を、前記第2の基板に配置された信号蓄積回路に蓄積するモジュールと、
前記信号蓄積回路に蓄積された前記増幅信号を前記画素から出力するモジュールと、
を含むプログラムコードが記録されたコンピュータプログラムプロダクト。」
であってもよい。
【0113】
上述した実施形態による各構成要素や各処理プロセスの任意の組合せを実現するためのプログラムも本発明の態様として有効である。このプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることで、本発明の目的を達成することができる。
【0114】
ここで、「コンピュータ」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0115】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能を、コンピュータに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した各構成要素や各処理プロセスとして、色々な代替物、変形物、等価物を用いることができる。本明細書に開示された実施形態において、1または複数の機能を実行するために、1つの部品を複数の部品と置き換えてもよいし、複数の部品を1つの部品で置き換えてもよい。このような置換が、本発明の目的を達成するために適切に作用しない場合を除き、このような置換は、本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決められるものではなく、請求項により決められるべきであり、均等物の全範囲も含まれる。請求項において、明示的に断らない限り、各構成要素は1またはそれ以上の数量である。請求項において「〜のための手段」のような語句を用いて明示的に記載する場合を除いて、請求項がミーンズ・プラス・ファンクションの限定を含むものと解してはならない。
【0117】
本明細書に使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を制限しようとするものではない。本明細書においては、単数形で用語が使用されている場合でも、複数形を排除することが文脈で明確に示されていない限り、その用語は複数形をも同様に含む。