【実施例】
【0147】
以下の実施例は、特許請求された発明を説明するために提供されるが、限定するものではない。本明細書に記載される実施態様は、説明に役立つ目的のみのためであり、それらを考慮した様々な改変又は変更は、当業者に示唆され、そして本出願の精神及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されるということが理解される。
【0148】
メチロトローフ酵母、Pichia pastorisの遺伝子レパートリーの拡大
非天然アミノ酸でのタンパク質変異誘発の実用性を増大させるために、メチロトローフ酵母Pichia pastorisにおける組み換え発現系を開発した。前もってSaccharomyces cerevisiaeにおいて非天然アミノ酸に対して特異的であるようにしておいたアミノアシル−tRNA合成酵素/サプレッサtRNA(aaRS/tRNA
CUA)対を、真核生物転写制御エレメント間に挿入し、そしてP.pastorisゲノム中に安定に組み入れた。Escherichia coliチロシル−及びロイシル−RS/tRNA
CUA対の両方がP.pastorisにおいて直交性である
ことが示され、これらをアンバーコドンに応じて8つの非天然アミノ酸を高い収率及び忠実性で組み入れるために使用した。一例により、ケトアミノ酸(p−アセチルフェニルアラニン)を含有する(
図6b、構造1)組み換えヒト血清アルブミン変異体がこの系において効率良く発現され得、そしてオキシム連結により、ε−(2−(アミノオキシ)アセチル)−L−リジン残基を含有する治療用ペプチド模倣物に選択的に接合され得ることが示された。さらに、メチロトローフ酵母における非天然アミノ酸発現を、震盪フラスコ中過剰の150mg/Lで変異ヒト血清アルブミンを、S.cerevisiaeにおいて報告されているよりも良好な1桁多い大きさで発現させるように、aaRSレベルの変調により体系的に最適化した。この方法論は、その発現が既存の系では実用的でない、非天然アミノ酸を含む複雑なタンパク質の高収量の産生を可能にするはずである。
【0149】
近年、原核生物及び真核生物の両方において新規な特性(フルオロフォア、金属イオンキレート剤、光ケージ化及び光架橋する基、NMR、結晶学的及びIRプローブ、並びに翻訳後修飾されたアミノ酸を含む)を有する多種多様な非天然アミノ酸を遺伝的にコードすることを可能にする方法論が開発された(Xie&Schultz(2006)「A chemical toolkit for proteins−−an expanded genetic code」Nat Rev Mol Cell Biol 7:775−782;Chin et al.(2003)「An expanded eukaryotic genetic code」Science 301:964−967;Wang et al.(2006)「Expanding the genetic code」Annu Rev Biophys Biomol Struct 35:225−249)。これは、所望の非天然アミノ酸をナンセンスコドン又はフレームシフトコドンに応じて選択的に挿入するよう設計された、直交性アミノアシル−tRNA合成酵素/サプレッサtRNA(aaRS/tRNA
CUA)対の開発により達成される。これまでこの方法論は、40より多くの非天然アミノ酸をEscherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、及びいくつかの哺乳動物細胞系統の遺伝子レパートリーに加えるために使用されてきた(Chin et al.(2003)「An expanded eukaryotic genetic code」Science 301:964−967;Wang et al.(2006)「Expanding the genetic code」Annu Rev Biophys Biomol Struct 35:225−249;Liu et al.(2007)「Genetic incorporation of unnatural amino acids into proteins in mammalian cells」Nat Methods 4:239−244)。これらの系における直交性は、相異なるtRNA同一性エレメントを有する直交性aaRS/tRNA
CUA対を、宿主アミノアシル化機構と移植されたaaRS/tRNA対との間に交差アミノアシル化が起こらないように(一方で翻訳における機能は維持したまま)、宿主生物に移植することにより達成される。現在の系において、これにより、Methanococcus jannaschiiチロシル−RS/tRNA
CUA対から誘導されたaaRS/tRNA
CUA対をE.coliにおいて使用して(Wang et al.(2001)「A general approach for the generation of 直交性tRNAs」Chem Biol 8:883−890)及びE.coliチロシル−又はロイシル−RS/tRNA
CUA対をS.cerevisiaeにおいて使用して(Chin et al.(2003)「An expanded eukaryotic genetic code」Science 301:964−967;Chin et al.(2003)「Progress toward an expanded eukaryotic genetic code」Chem Biol 10:511−519)又は哺乳動物細胞において使用して(Liu et al.(2007)「Genetic incorporation of unnatural amino acids into proteins in mammalian cells」Nat Methods 4:239−244)、最も成功することが証明されている。次いで指向性進化(Directed evolution)を使用して、直交性aaRSの特異性を、それが目的の非天然アミノ酸を認識し、かつ内因性アミノ酸を認識しないように変更する。
【0150】
この方法論を細菌宿主において容易に発現されないタンパク質を大量に産生するために適用するために、組み換え系は、低コスト、拡張可能性、及び複雑な翻訳後修飾されたタンパク質を産生する能力を伴うことが所望される。1つのこのような宿主はPichia pastorisであり、これはE.coliの収率に匹敵する収率で哺乳動物タンパク質を産生することができる(Cereghino et al.(2000)「Heterologous protein expression in the methylotrophic yeast Pichia pastoris」FEMS Microbiol Rev 24:45−66)。腫瘍壊死因子(TNF)、破傷風毒素フラグメントC(TTC)、及びヒト血清アルブミン(HSA)のような治療用タンパク質は、 高密度発酵において>10gL
-1の発現レベルを生じている(Shekhar(2008)「Pichia power:India’s biotech industry puts unconventional yeast to work」Chem Biol 15:201−202;Clare et al.(1991)「High−level expression of tetanus toxin fragment C in Pichia pastoris strains containing multiple tandem integrations of the gene」Biotechnology(New York) 9:455−460;Ohya et al.(2005) Optimization of human serum albumin production in methylotrophic yeast Pichia pastoris by repeated fed−batch fermentation」Biotechnol Bioeng 90:876−887;Sreekrishna et al.(1989)「High−level expression、purification、and characterization of recombinant human tumor necrosis factor synthesized in the methylotrophic yeast Pichia pastoris」Biochemistry 28:4117−4125)。このような収率でタンパク質を産生するP.pastorisの能力は、公知の最も高度に調節され、かつ最も強いプロモーターの1つであるそのアルコールオキシダーゼ1(
alcohol
oxidase
1)プロモーター(P
AOX1)に起因する(Cos et al.(2006)「Operational strategies、monitoring and control of heterologous protein production in the methylotrophic yeast Pichia pastoris under different promoters:a review」Microb Cell Fact 5:17)。さらに、P.pastorisにはE.coliにおいて発現される治療用タンパク質に混入し得る内毒素が無く、S.cerevisiaeが生成するような抗原性のα1,3グリカン連結を生成しない(Cregg et al.(1993)「Recent advances in the expression of foreign genes in Pichia pastoris」Biotechnology(New York) 11:905−910)。さらに、シアリル化の制御を含む、P.pastorisにおけるグリコシル化パターンを調節することが今や可能である(Li et al.(2006)「Optimization of humanized IgGs in glycoengineered Pichia pastoris」Nat Biotechnol 24:210−215)。これらの理由から、本発明者らは、非天然アミノ酸がP.pastorisにおいて遺伝的にコードされることを可能にする方法論の開発に着手した。ここで本発明者らは、8つの非天然アミノ酸が、この宿主において高い収率及び忠実性で発現された組み換えヒト血清アルブミン(rHSA)中に部位特異的に導入されたことを報告する。
【0151】
材料
本明細書に記載される実験を行うために使用されるDNAプライマー(例えば、表1及び以下に列挙されるもの)をIntegrated DNA Technology(San Diego、CA)から購入した。以下に記載される構築物を製造するために使用される制限酵素をNew England Biolabs(Beverly、MA)から購入した。pPIC3.5kベクター(マップはhttp://tools.invitrogen.com/content/sfs/manuals/ppic3.5kpao_man.pdfで入手可能)並びに酵母適格性、形質転換、及び培地配合のプロトコルをInvitrogen(Carlsbad、CA)から購入した。Multi−Copy Pichia発現キットバージョンFマニュアル(Invitrogen Life、T.、Vol.K1750−01、Edn.F 85(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA 92008;2005))は
http://tools.invitrogen.com/content/sfs/manuals/pichmulti_man.pdfで入手可能である。DNAはE.coli DH10B(Invitrogen)、又は示されている場合は、プラチナpfxを使用するPCR(Invitrogen)で増幅した。rHSA遺伝子(受入番号BC034023)をMammalian Gene Collection(National Institutes of Health、Bethesda、MD)から得た。全てのDNA構築物を、DNA配列決定(Genomics Institute of the Novartis Research Foundation、La Jolla、CA)により確認した。二重栄養要求性Pichia pastoris株、GS200(his4、arg4)、及びpBLARGベクターは親切にもJames Cregg研究室(Keck Graduate Institute、Claremont、CA)から贈与されたものであった。P.pastoris及びE.coliの形質転換は、2及び1mmのエレクトロポレーションキュベット(Fisher Scientific、Rochester、NY)を使用してGenePulser Xcell(Bio−Rad、Hercules、CA)で行った。タンパク質分析のためのTris−グリシン(4−20%)SDS−PAGEゲルをInvitrogenから購入した。RNAをPurelink miRNA単離キット(Invitrogen)又はRibo−pure−yeastキット(Ambion、Austin、TX)に添付のプロトコル及び試薬により採取した。全ての相対的ゲルバンド密度をPhotoshop CS2(Adobe、San Jose、CA)を使用して決定した。
【0152】
2遺伝子カセット発現系の設計
P.pastorisにおいて自発的に複製するプラスミドの相対的な不安定性に起因して(Higgins et al.(1998)「Introduction to Pichia pastoris」Methods Mol Biol 103:1−15)、目的の標的遺伝子(例えば、rHSA)及びaaRS/tRNA
CUA対が2つの別個のプラスミド上のカセットにおいてコードされ、そしてゲノムに安定に組み込まれている系を考え出した。
図1は、P.pastorisにおいてアンバー抑制のためのカセットを構築するために使用したベクターを示す。各プラスミド上の選択可能なマーカーは白い矢印で示されている。複製起点は黒い矢印で示される。プロモーター及び転写終結エレメントは縦縞の矢印で示される。二重栄養要求性P.pastoris株GS200(arg4、his4)をタンパク質発現の宿主株として使用し、そして目的の遺伝子、例えば、HSAを市販のpPIC3.5kプラスミド(HIS4、Gen
R)(
図1a)(Invitrogen Life、T.、Vol.K1750−01、Edn.F 85(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA 92008;2005))中に挿入した。
【0153】
短寿命の治療用ポリペプチドの血清半減期を増大する融合タンパク質又はペプチドバイオコンジュゲート(bioconjugates)の製造におけるその有用性を鑑みて、rHSAをモデルタンパク質として使用した(Kim et al.(2003)「Development and characterization of a glucagon−like peptide 1−albumin conjugate:the ability to activate the glucagon−like peptide 1 receptor in vivo」Diabetes 52:751−759;Huang et al.(2008)「Preparation and characterization of a novel exendin−4 human serum albumin fusion protein expressed in Pichia pastoris」J Pept Sci 14:588−595;Chuang et al.(2002)「Pharmaceutical strategies utilizing recombinant human serum albumin」Pharm Res 19:569−577)。rHSAのE.coli及びS.cerevisiaeにおける発現は、タンパク質の複雑なジスルフィド架橋に起因して実用的でない。しかし、このような翻訳後修飾をP.pastorisでは行うことができる。さらに、HSAの24個のアミノ酸の哺乳動物「プレ−プロ」リーダー配列(
図1e)はP.pastorisにおける発現と十分に適合性であり、成熟蛋白質の培地への排出を可能にする(Kobayashi(2006)「Summary of recombinant human serum albumin development」Biologicals 34:55−59)。プレ−プロリーダーペプチドは、輸送の間に切断されて成熟蛋白質(例えば、rHSA
E37X)を生じる。配列番号1と比較してrHSAにおける37番目の残基は、アンバーコドンに応じて組み入れられた非天然アミノ酸を示す。
【0154】
最初に、GS200を形質転換するために使用され得るrHSA
WT及びrHSA
E37Xをコードするカセットを準備した。pPIC3.5K−rHSA(野生型rHSA)構築物を以下のように製造した:野生型rHSA遺伝子をMammalian Gene Collection(NIH)、遺伝子受入番号BC034023から入手した。pPIC3.5k直線化(Invitrogen Life、T.、Vol.K1750−01、Edn.F 85(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA 92008;2005))との適合性のために、BglII部位を、修正したQuik Change変異誘発(Stratagene)プロトコル(Zheng et al.(2004)「An efficient one−step site−directed and site−saturation mutagenesis protocol」Nucleic Acids Res 32:e115)によりプライマー(IDT):BglII
781について、−BglII 1F、5’−GAC AGA CCT TAC CAA AGT CCA CAC GGA ATG CTG CCA TG−3'及び−BglII 1R、5’−GGT AAG GTC TGT CAC TAA CTT GGA AAC TTC TGC AAA CTC AGC TTT GGG−3'、並びにBglII
817について−BglII 2F、5’−CAT GGA GAC CTG CTT GAA TGT GCT GAT GAC AGG GCG G−3'及び−BglII 2R、5’−CAA GCA GGT CTC CAT GGC AGC ATT CCG TGT GGA C−3'を使用してrHSAから除去してrHSA
WTを形成した。rHSA
WTを、プライマー:HSA Forward、5’−ATC CGA GGA TCC AAA CGA TGA AGT GGG TAA CCT TTA TTT CCC TTC TTT TTC−3'及びHSA Reverse、5’−GCT AAC GAA TTC ATT ATA AGC CTA AGG CAG CTT GAC TTG CAG C−3'を使用して増幅し、EcoRI及びBamHI(NEB)で消化し、そして同様に消化されたpPIC3.5kベクター(Invitrogen、ベクターマップはhttp://tools.invitrogen.com/content/sfs/manuals/ppic3.5kpao_man.pdfにおいて入手可能)に連結してpPIC3.5k−rHSA
WT(又はpPIC3.5k−rHSA
E37X、以下に記載されるとおり)を作製した。構築物をDNA配列決定により確認してE.coli DH10B(Invitrogen)で増幅した。
【0155】
Glu37TAG変異体rHSA(rHSA
E37X)構築物をPCR変異誘発により生成した。Glu37コドンを、修正したQuik Changeプロトコール及びプライマー:Glu37 F’、5’−GAT TGC CTT TGC TCA GTA TCT TCA GCA GTG TCC ATT TTA GGA TCA T−3'及びGlu37 R’、5’−GTT TTT GCA AAT TCA GTT ACT TCA TTC ACT AAT TTT ACA TGA TCC TAA AAT GG−3'を使用してアンバーコドンTAGと置き換えた。Glu37は溶媒がアクセス可能ならせんであり、これはこの部位に導入された化学的に反応性の非天然アミノ酸(すなわち、p−アセチルフェニルアラニン、
図6b、構造1)に対するペプチドの接合を容易にし、かつ天然のタンパク質構造及び折り畳みを最小限にしか乱さない比較的嵩高い基の組み入れを確実にする。次いでrHSA
E37Xをプライマー:HSA Forward、5’−ATC CGA GGA TCC AAA CGA TGA AGT GGG TAA CCT TTA TTT CCC TTC TTT TTC−3'及びHSA Reverse、5’−GCT AAC GAA TTC ATT ATA AGC CTA AGG CAG CTT GAC TTG CAG C−3'を使用して増幅し、EcoRI及びBamHI(NEB)で消化し、そしてHSA
WTについて上で記載したように、同様に消化されたpPIC3.5kベクターに連結し、AOX1プロモーター及びターミネーターの転写制御下にHSA
E37Xを配置した。rHSA
E37X構築物、pPIC3.5k−rHSA
E37Xを上記のように、DNA配列決定により確認した。
【0156】
pPIC3.5k−rHSA
E37X又はpPIC3.5k−rHSA
WTの5’AOX1プローモーターにおける直線化により、形質転換されたカセットの1つ又はそれ以上のコピーのゲノム組み込みが可能となり;一般的にはより多くのコピーは標的タンパク質をより高い全収率で生じる(Buckholz et al.(1991)「Yeast systems for the commercial production of heterologous proteins」Biotechnology(NY)9:1067−1072)。このやり方での組み込みは、AOX1遺伝子をインタクトなままにし、メタノールを迅速に利用する酵母の能力を維持する(Mut
+表現型)。あるいは、遺伝子置き換えを、AOX1遺伝子のいずれかの側で直線化して、pPIC3.5kベクターによるAOX1遺伝子の置き換えを生じることにより行うことができる(Invitrogen Life、T.、Vol.K1750−01、Edn.F 85(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA 92008;2005))。AOX1を欠く酵母は、メタノール利用をより弱いAOX2遺伝子に依存し、これは表現型的にはmut
sである。rHSAの発現は一般的にはmut
s酵母により行われるので(Kupcsulik et al.(2005)「Optimization of specific product formation rate by statistical and formal kinetic model descriptions of an HSA producing Pichia pastoris Mut(S) strain」Chem Biochem Eng Q 19:99−108)、pPIC3.5k HSA
E37X及びpPIC3.5k−rHSA
WTを直線化し、そしてAOX1遺伝子を置き換えるために使用してGS200−rHSA
E37X又はGS200−rHSA
WTを得た(両方の系統はHIS4、arg4、Gen
R、mut
sである)。成功した形質転換体は、通常はヒスチジンを含まない最少培地プレート、及び0.25mg/mLまでのアミノグリコシド抗生物質Geneticin(登録商標)を含有する富栄養培地(rich media)プレートで増殖した。
【0157】
GS200をpPIC3.5k HSA
E37X又はpPIC3.5k−rHSA
WTカセットで形質転換するために、pPIC3.5k−rHSA
E37X又はpPIC3.5k−rHSA
WT 20μgをBglII(NEB)で直線化し、エタノール沈降により10μlまで濃縮し、新鮮な(freshly)コンピテントGS200 80μlに2mmエレクトロポレーションキュベット(Fisher)で加え、そしてP.pastoris設定(2000V、25μF、200Ω)を用いてGenePulser Xcell(BioRad)でエレクトロポレーションを行った。細胞を1ml冷1Mソルビトール中に回収した。回収した細胞250μlを4mg ml
-1 L−アルギニン(arg)を追加した再生デキストロースBacto寒天(RDB)プレート(15cm)上にプレーティングし、そして30℃でインキュベートした。3日後、酵母ペプトンデキストロース(YPD)培地1mlを含む96ウェル2mlブロック(Nunc)培地中に採取し、そして終夜増殖させた(29.2℃、300r.p.m.)。培養物を1:100希釈し、そして1−2μlのレプリカを、0.25mg ml
-1 Geneticin(登録商標)(Invitrogen)を含有するYPD寒天プレート上にプレーティングして30℃でインキュベートした。4日後、GS200−rHSA
E37X形質転換体G3は良好な増殖を示し、選別してコンピテントにした。良好な増殖を示したGS200−rHSA
WTクローンも選別した。
【0158】
直交性aaRS/tRNA
CUA対をゲノムに組み込むために、S.cerevisiaeにおける最適化されたアンバー抑制及び組み換え過剰発現のために以前に開発した
【数1】
ベクター(Chen et al.(2007)「An improved system for the generation and analysis of mutant proteins containing unnatural amino acids in Saccharomyces cerevisiae」J Mol Biol 371:112−122)(
図1b)を一部変更した。前もってS.cerevisiaeで進化させた(evolved)(Zhang et al.(2003)「A new strategy for the site−specific modification of proteins in vivo」Biochemistry 42、6735−6746)、p−アセチルフェニルアラニン−(pApa、
図6b、構造1)特異的アミノアシル−tRNA合成酵素(pApaRS)を、その発現について検定するために、アルコールデヒドロゲナーゼ1プロモーター(P
ADH1)とターミネーター(T
ADH1)の間にHis
6−タグと共に挿入した。
【0159】
P.pastorisゲノムへの組み込みのためにaaRS/tRNA
CUA対を準備するため、pApaRSを有する
【数2】
ベクター(Chen et al.(2007)「An improved system for the generation and analysis of mutant proteins containing unnatural amino acids in Saccharomyces cerevisiae」J Mol Biol 371:112−122)をPCRにより増幅し、TRP及び2μ起始領域を除いて、制限部位KpnI及びHindIIIをプライマー:pESC F、5’−TAC CAC TAG AAG CTT GGA GAA AAT ACC GCA TCA GGA AAT TGT AAA CGT−3'及びpESC R、5’−GTG AGG GCA GGT ACC GTT CTG TAA AAA TGC AGC TCA GAT TCT TTG TTT G−3’を用いて加え、そしてHindIII及びKpnI(NEB)で消化した。ARG4コード領域をpBLARG(James Cregg研究室、Keck Graduate Institute、Claremont、CAから贈与)からプライマー:ARG4 F new、5’−AAA TAT GGT ACC TGC CCT CAC GGT GGT TAC GGT−3'及びARG4 R new、5’− CAT TTC AAG CTT CTA GTG GTA GGA ATT CTG TAC CGG TTT AC−3'を用いて増幅し、KpnI及びHindIIIで消化し、そして同様に消化された
【数3】
PCR産物に連結して組み換え真核生物ARG4ベクター、pREAV−P
ADH1−pApaRSを生成した。pREAV−P
ADH1−pApaRSをPCRにより増幅し、P
ADH1−pApaRS−T
ADH1領域を除いて制限部位AscI及びAflIIをプライマー:pESC−AOX−KETO F、5’−ATC GTA CTT AAG GAA AGC
GTA CTC AAA CAG ACA ACC ATT TCC−3'及びpESC−AOX−KETO R、5’−TTC TCA GGC GCG CCA TCG CCC TTC CCA ACA GTT GCG−3'を用いて加えた。構築物をサイズマッピング及び配列決定により確認した。
【0160】
5’CCAを欠いた同族E.coli
【数4】
を3つのタンデム反復としてホスホグリセレートキナーゼ1プロモーター(P
PGK1)の後方に挿入した。転写後プロセシングにおいて補助するために、tRNAに酵母サプレッサtRNA遺伝子、SUP4からの領域を、以前に記載されたように隣接させた(Chen et al.(2007)「An improved system for the generation and analysis of mutant proteins containing unnatural amino acids in Saccharomyces cerevisiae」J Mol Biol 371:112−122)。真核生物下流プロセシングにより、tRNA機能に必要な5’CCAが加えられた。
【数5】
の2μ起点及びホスホリボシルアントラニル酸イソメラーゼ(isolmerase)(TRP)マーカーをアルギニノコハク酸分解酵素(ARG4)コード領域で置き換えて組み換え真核生物ARG4ベクター(pREAV−P
ADH1−pApaRS)(
図1c)を得た。このカセットの増殖は、それが真核生物複製起点を欠いているためゲノム組み入れの場合にのみ可能である。GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
ADH1−pApaRSを作製するための形質転換を、L−ヒスチジン及びアルギニンを欠いたRDBプレートに、回収した細胞をプレーティングしたことを除いて、コンピテントG3(例えばコンピテントGS200−rHSA
E37X形質転換体)を用いて上に記載されたプロトコルを使用して行った。3日後にコロニーを96ウェル2mlブロック中に採取し、そして0.25mg ml
-1Geneticin(登録商標)に対する耐性について上記ののように再スクリーニングした。GS200−rHSA
WT/pREAV P
ADH1−pApaRS(HIS4、ARG4、Gen
R、mut
s)を、同じやり方で作製してコロニーF2を単離した。従って、pREAV−P
ADH1−pApaRSのARG4コード領域における直線化、及びその後のGS200−HSA
E37X及びGS200−HSA
WTへの形質転換により、十分に原栄養体性のP.pastoris GS200−HSA
E37X/pREAV−P
ADH1−pApaRS及びGS200−HSA
WT/pREAV−P
ADH1−pApaRS系統をそれぞれ得た(両方の系統がHIS4、ARG4、Gen
R、mut
sである)。
【0161】
P.pastorisにおけるアンバー抑制
全てのタンパク質発現実験は、Multi−Copy Pichia発現キットにおいて見出されるmut
sについてのプロトコルに従った(Invitrogen Life、T.、Vol.K1750−01、Edn.F 85(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA 92008;2005))。GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
ADH1−pApaRS又はGS200−rHSA
WT/pREAV−P
ADH1−pApaRSについて14のコロニーを、0.25mg ml
-1 Geneticin(登録商標)を含有するプレートから採取し、そして飽和近く(OD
600≒12−18)まで緩衝化グリセロール複合培地(BMGY)10ml中で増殖させた(29.2℃、300r.p.m.)。培養物を1500gで遠心分離し(10分)、そして緩衝化メタノール複合培地(BMMY)2ml中に2mM pApaアミノ酸(SynChem、Des Plaines、IL)と共に再懸濁した。メタノールを0.5%まで24時間ごとに補給しながら増殖を6日間続けた。培地又は滅菌水200μl(10%培養体積)を、蒸発分に相当するように24時間ごとに加えた。培地50μlを24時間ごとに取り出し、そして3000gでの遠心分離(5分)により細胞を除いた。清澄化した培地25μlをSDSローディングバッファ12.5μl中に加え、1分間95℃で加熱し、そしてSDS−PAGEゲル(Invitrogen)で展開した(150V1時間)。
【0162】
アンバー抑制は、メタノール及びpApaアミノ酸(pApa AA)を用いて増殖されたの両方のベクターを含む酵母においてのみ起こる。GS200−HSA
WT/pREAV−P
ADH1−pApaRSから単離されたクローンは、メタノール誘導条件下で増殖させた場合に2〜3日後に、クーマシー染色(40%メタノール、10%酢酸、50%水、0.1%(w/v)クーマシーブリリアントブルーR250(Sigma−Aldrich))によりドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル−電気泳動(SDS−PAGE)ゲル上で可視化される全長rHSA
WT(66.5kDa)を産生した。rHSA
WTの発現は6日後がピークであった。GS200−rHSA
WT/pREAV−P
ADH1−pApaRSについてのクローンF2−wtは最も高い発現を示し、そしてこれをさらなる比較に使用した。対照的に、GS200−HSA
E37X/pREAV−P
ADH1−pApaRSからのクローンは、主要炭素源としてのメタノール及びpApaアミノ酸補給とともに6日間増殖させた場合に全長rHSA
E37pApaを産生しなかった(例えば、
図2b;レーン2はGS200であり;レーン3はGS200−HSA
E37Xであり;レーン4はGS200−pREAV−P
AOX1−pApaRSであり;レーン5−7はGS200−HSA
E37X/pREAV−P
AOX1−pApaRSであり;そしてレーン8はGS200−HSA
WT/pREAV−P
ADH1−pApaRSである)。
【0163】
全ての構築物のゲノム組み込みをゲノムPCRで確認した(
図7;4つのクローンを1つの形質転換から選択し、1〜4とラベルをつけた)。期待されたPCR産物はrHSA(1851bp)、pApaRS(1317bp)、及びtRNAカセット(1100bp)であった。クローン2においてpApaRA増幅が欠けているのは技術的な人為的なものと思われる。
図2aの下側のゲルは、S.cerevisiae+pPR1−P
PGK1−3SUP4−tRNA(レーン1)及びP.pastoris+pREAV−P
ADH1−pApaRS(レーン2)におけるtRNA
CUA発現を検定するために行ったノーザンブロットの結果を示す。ネガティブコントロールについては、レーン3及び4はそれぞれベクターを欠いているS.cerevisiae及びP.pastorisであった。
図2aの上側のゲルは、内因性セリンtRNAについてのノーザンブロットを示し、そして全てのサンプルにおける同等のmiRNA製造を説明する。
【0164】
簡単には、tRNA
CUAの転写を確認するためのノーザンブロットを以下のように行った:2つのP.pastorisクローン、G3−2及びGS200、並びに2つのS.cerevisiaeクロン、SCY4−pPR1−P
PGK1+2SUP4−tRNA、及びSCY4をそれらの個別の条件下で増殖させ、そしてミクロRNA(miRNA)を採取した。各サンプルからのRNA 2μgを6% Novex TBE−尿素ゲル(Invitrogen)にロードし、そして180Vで1時間展開した。RNAをBiodyne Bナイロン膜(Pall Life Science)に0.5xTBE緩衝液(Invitrogen)中でXCell surelock mini−cell(Invitrogen)及び添付のプロトコルを使用して移した。これらの膜をUV Stratalinker 2400(Stratagene、La Jolla、CA)を用いて自己架橋させた。ハイブリダイゼーション及び検出を、North2South chemiluminescent hybridization and detection kit(Pierce、Rockford、IL)に見出されるプロトコル及び試薬を用いて行った。1つのブロットをtRNA
serに特異的なビオチン化プローブ:tRNAser cere 1、5’−/5Biosg/CAT TTC AAG ACT GTC GCC TTA ACC ACT CGG CCA T−3'、tRNAser cere 2、5’−/5Biosg/GAA CCA GCG CGG GCA GAG CCC AAC ACA TTT CAA G−3'、tRNAser pich 1、5’−/5Biosg/CTG CAT CCT TCG CCT TAA CCA CTC GGC CAT CGT A−3'、tRNAser pich 2、5’−/5Biosg/ACA CGA GCA GGG TTC GAA CCT GCG CGG GCA GAG C−3'とともにインキュベートし、そして第二のブロットを
【数6】
に特異的なビオチン化プローブ:tRNA 5’ biot、5’−/5Biosg/GGA AGG ATT CGA ACC TTC GAA GTC GAT GAC GG−3'及びtRNA 3’ biot、5’−/5Biosg/TCT GCT CCC TTT GGC CGC TCG GGA ACC CCA CC−3'と共にインキュベートした。プローブを終夜55℃でインキュベートし、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)接合体に結合させて、ルミノール/エンハンサー−安定な過酸化物溶液(Pierce)を用いて検出した(
図2a)。相対的なtRNAの量をバンドの密度から決定した。
図2の結果は、tRNA
CUAの転写がS.cerevisiaeにおける同じカセットよりもP.pastoris+pREAV−P
ADH1−pApaRSにおいて約1.5倍高いということがノーザンブロット分析によりわかったということを示す(
図2a)。
【0165】
これらの結果にもかかわらず、pApaRSは、GS200−HSA
E37X/pREAV−P
ADH1−pApaRS株におけるHis
6x−についてはウェスタンブロットにより検出可能ではなかった(
図8)。単一の形質転換からの4つの別々のクローンを試験した。これらの結果は、アンバー抑制がないことがpApaRSの不十分な組み入れと関連付けられるということを示した。(ウェスタンブロットは本明細書の他所に記載されるように行った)。
【0166】
pApaRSの不十分な発現に対処するため、強力なP
AOX1プロモーターでpApaRSの発現が促進されるようにpREAVを改変し、そしてKozak コンセンサス配列(ACCATGG)(Kozak(1990)「Downstream secondary structure facilitates recognition of initiator codons by eukaryotic ribosomes」Proc Natl Acad Sci USA 87:8301−8305)をpApaRS遺伝子の5’末端に加えることによりpApaRS発現をさらに増強した。最終構築物pREAV−P
AOX1−pApaRS(
図1d)において、ADH1ターミネーター(T
ADH1)もまたAOX1ターミネーター(T
AOX1)で置き換えた。pREAV−P
AOX1−pApaRSを作製するために、AOX1プロモーター及びターミネーター配列をpPIC3.5kから誘導した。pApaRSをプライマー:KETO−Koz−F、5’−TTC TGA GAA TTC ACC ATG GCA AGC AGT AAC TTG ATT AAA CAA TTG C−3'及びKetoRS R 6xHis、5’−TAG GCT CGG CCG CTT AGT GGT GGT GGT GGT GGT GTT TCC AGC AAA TCA GAC AGT AAT TCT TTT TAC−3'を用いて増幅し、EcoRI及びNotI(NEB)を用いて消化し、そして同様に消化したpPIC3.5kに連結してpPIC3.5k−pApaRSを作製した。P
AOX1−pApaRS−T
AOX1コード領域をpPIC3.5k−pApaRSからプライマー:pPIC−keto AOX5 F、5’−ATC GTA CTT AAG AGA TCT AAC ATC CAA AGA CGA AAG GTT GAA TGA AAC−3'及びpPIC−keto AOXTT R、5’−TGC ACA GGC GCG CCA AGC TTG CAC AAA CGA ACT TCT CAC TTA ATC TTC−3'を用いて増幅し、AscI及びAflII(NEB)で消化し、そして 同様に消化したpREAV−P
ADH1−pApaRS PCR産物に連結してpREAV−P
AOX1−pApaRSを作製した。構築物を上記のように、サイズマッピング及び配列決定により確認した。
【0167】
GS200−pREAV−P
AOX1−pApaRS(his4、ARG4、Gen
R、mut
s)系統を、pREAV−P
AOX1−pApaRSをGS200に形質転換することにより構築したが、4mg ml
-1ヒスチジンを追加したRDBプレートにプレーティングし、そしてGeneticin(登録商標)耐性についてはさらにスクリーニングしなかった。GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
AOX1−pApaRS(HIS4、ARG4、Gen
R、mut
s)を作製するための形質転換を、回収した細胞をL−ヒスチジン(His)及びArgを含まないRDBプレートにプレーティングしたこと以外は上記のプロトコールを使用してコンピテントG3(例えば、GS200−rHSA
E37X)を用いて行った。この形質転換からのクローンは、メタノール及びpApaアミノ酸の存在下でのみ、rHSA
WTを含む同一クローン約10〜20%のレベルで全長rHSA
E37pApaを産生した。タンパク質は、メタノール誘導の2〜3日後にSDS−PAGEゲルにより可視化され、そして0.5%までのメタノール補給を24時間ごとに行いながら、発現の6日後がピークであった(
図2b)。pREAVカセット、pPIC3.5kカセット、メタノール補給、又はpApaアミノ酸の無い酵母は、クーマシー染色で検出可能なタンパク質を産生できなかった。pApaアミノ酸の不在下でタンパク質発現が無いことは、交差アミノアシル化が
【数7】
対と内因性アミノアシル化機構との間で起こらないことを示している。pApaのrHS
A
E37Xへの部位特異的組み入れをトリプシン消化、LC−MS/MSにより確認した(
図2c)。pApa(
図2cにおいてE*と示される)を成熟rHSA
E37pApaの残基37に組み入れた。この置換はフラグメントイオン系列が観測されたことにより明確に支持される。
【0168】
LC−MS/MS分析を行うために十分なrHSA
E37pApaタンパク質を発現させるために、上記のタンパク質発現分析条件を変更した。簡単には、1LのBMGYにYPD中の飽和G3−2培養物20mlを播種し、OD
600≒12−18まで増殖させた(約24時間、29.2℃、300r.p.m.)。培養物を1500gで遠心分離し、そして10%BMMY及び2mM pApaを追加された緩衝化最少メタノール(BMM)200ml中に再懸濁した。増殖(29.2℃、300r.p.m.メタノール及び体積補充をしながら)の6日後に培養物を3000gで遠心分離し、細胞を廃棄し、そして上清を0.22μmフィルター(Milipore、Billerica、MA)に通した。上清にNH
4SO
4をゆっくりと撹拌しながら4℃で飽和の50%まで(58.2g)加えて硫酸アンモニウム(NH
4SO)沈降させて、20,000gで20分間遠心分離し、そして再びNH
4SO
4を飽和の75%まで(31.8g)加え、そして20,000gで20分間遠心分離した。二度目の沈殿はrHSA
E37pApaを含有しており、これをFPLC緩衝液A(25mM Tris−HCl、25mM塩化ナトリウム、1mM EDTA、1xプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、Basel、CH)、pH=8.5)に再懸濁した。再可溶化されたタンパク質をMonoQ 5/5カラム(GE Healthcare)を用いてAKTA purifier FPLC(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)で精製した(20−35%緩衝液B(緩衝液A+1 M NaCl)で溶出)。フラクションをSDS−PAGEゲルで分析して混合し、30 MWCO透析カセット(Pierce)を用いてPBSに対して透析し、そしてSuperdex 200 10/300 GL(GE Healthcare)を用いてAKTA purifier FPLCで精製した(PBS中0.5ml min
-1で14分後に溶出)。フラクションをSDS−PAGEゲルにより分析し、混合し、そしてC8 Vydac HPLCカラム(300mm、200Å、5μm、Grace)を用いてDynamax HPLC(Rainin、Oakland)で精製した(水中40−46%MeCN、0.1%TFAで溶出)。フラクションをSDS−PAGEゲルで分析し、そしてrHSA
E37pApaを含有するフラクションを急速冷凍し、そして凍結乾燥して白色粉末とした。F2−wtからのrHSA
WTの精製を類似のやり方で行った。
【0169】
トリプシン消化及びナノ−RP LC−MS/MSを行うために、精製したrHSA
E37Xをトリプシンを用いて終夜還元条件下(10mM TCEP、1MグアニジンHCl、100mMトリエタノールアミンHCl、pH=7.8)で消化した。消化物をSep−Pak、C18、(Waters、Milford、MA)を用いた逆相固相抽出により精製し、そして凍結乾燥した。システインのシステイン酸ヘの酸化及びメチオニンのメチオニンスルホンへの酸化を、凍結乾燥したペプチドを過ギ酸(9部の濃ギ酸+1部の30%H
2O
2)(Matthiesen et al.(2004)「Use of performic acid oxidation to expand the mass distribution of tryptic peptides」Analytical chemistry 76、6848−6852)とともに1時間氷上でインキュベートすることにより行った。過剰のメルカプトエタノールを加えることにより反応をクエンチし、水で20x希釈した。ナノ−RP LC−MS/MSを、LTQ Orbitrapハイブリッド質量分析計(ThermoElectron、Rochester、NY)を備えたHPLCシステム(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を用いて行った。トリプシン消化物をベント付きカラム設定(Licklider et al.(2002)「Automation of nanoscale microcapillary liquid chromatography−tandem mass spectrometry with a vented column」Analytical chemistry 74:3076−3083)のプレカラム(4cm、100μm内径、5μm、Monitor C18、Column Engineering、Chicago、IL)に約2μl 分
-1の流量でロードした。10分のロード/洗浄期間の後、グラジエント溶出を、プレカラムを直列の(in line)分析用カラム(10cm、75μm内径、5μm C18)と切り替えることにより開始した。クロマトグラフィープロフィールは、100%溶媒A(0.1%酢酸水溶液)から50%溶媒B(アセトニトリル中0.1%酢酸)を40分で約100nl分
-1であった。データ依存MS/MS収集をトップ(top)10スキームにしたがって行い、ここで質量分析計は、最初に高分解能Orbitrapスキャン(m/z 500−2,000)、続いて10のデータ依存性MS/MSスキャン(相対的衝突エネルギー=35%;3Da分離窓(isolation window))を記録するようにプログラムされていた。生データをSwissProt 51.6データベースに対してMASCOT(Matrixscience、London、UK)を使用して、可変修飾としてpApaを含むタンパク質の同定のために検索した。
【0170】
発現の最適化
rHSA
E37pApaの発現を最適化するために、GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
AOX1−pApaRS(HIS4、ARG4、Gen
R)急速メタノール利用(Mut
+)変異体を、pPIC3.5k−rHSA
E37XをAOX1遺伝子座の5’領域(これはAOX1遺伝子の完全性を保持している)に挿入することにより作製した。このやり方でのゲノム挿入は、多量体化をもたらし得、Geneticin(登録商標)耐性マーカー及び目的の遺伝子の両方のタンデムコピーを生じる(Cereghino et al.(2000)「Heterologous protein expression in the methylotrophic yeast Pichia pastoris」FEMS Microbiol Rev 24:45−66)。GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
AOX1−pApaRS(HIS4、ARG4、Gen
R、Mut
+)を作製するために、pPIC3.5k−rHSA
E37X 20μgをSacI又はSalI(NEB)を用いて直線化し、そして以前に記載されるように新鮮なコンピテントGS200に形質転換した。細胞を冷1Mソルビトール1ml中に回収し、そして0.4mg ml
-1アルギニンを追加したRDBプレートにプレーティングした。コロニーを1ml YPDを含む2ml 96ウェルブロック中に取り、飽和まで増殖させ(29.2℃、300r.p.m.)、1:100に希釈して、レプリカを0〜3.0mg ml
-1Geneticin(登録商標)を含有するプレートにプレーティングした。1.0mg ml
-1までのGeneticin(登録商標)で生存していたクローン1D12をコンピテントにし、pREAV−P
AOX1−pApaRSを用いて以前に記載されたように形質転換し、そしてArg及びHisを含まないPDBプレートにプレーティングした。コロニーを1ml 96ウェルブロックに取り、飽和まで増殖させて、1:100に希釈し、そしてGeneticin(登録商標)1.0mg ml
-1プレートで再スクリーニングした。14の生存しているクローンを選び、そしてrHSA
E37pApa発現についてpApaアミノ酸及びメタノールの存在下で試験した。mut
sプロトコルを上記のように使用した。クローンK5は最も高いタンパク質発現を示し、試験発現におけるG3−2に匹敵していた(
図9)。GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
AOX1−pApaRS(mut
+)培養物(
図9、レーン1)及びGS200−rHSA
E37X/pREAV−P
AOX1−pApaRS(mut
S)培養物(
図9、レーン2)からの清澄化した培地25μlをSDS−PAGEゲルで分析し、そしてクーマシーで染色した。得られたクローンK5は、1mg ml
-1までのGeneticin(登録商標)に対する耐性を示したが;一方、上述のmut
sクローンG3−2は0.25mg ml
-1を超えるGeneticin(登録商標)で死滅し、このカセットの複数のコピーの組み入れと一致した(Cereghino et al.(2000)「Heterologous protein expression in the methylotrophic yeast Pichia pastoris」FEMS Microbiol Rev 24:45−66;Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA 92008;2005)。メタノール及びpApaアミノ酸の存在下での単離されたクローンからの全長rHSA
E37pApa発現の分析により、mut
sカウンターパートよりも約1.5〜2.0倍多いタンパク質が産生されたことが示された(
図9)。タンパク質の相対量はバンド密度により決定した。
【0171】
rHSA
E37pApaの収率をさらに増加させるために、6つの異なるプロモーター(P
AOX1を含む)を、pREAVベクターにおけるpApaRS転写を促進するそれらの能力について比較した。転写mRNAレベル、pApaRSタンパク質レベル、及び全体のrHSA
E37pApa収率を検定した。酵母、GTP結合タンパク質I(YPT1)(Sears
et al.(1998)「A versatile set of vectors for constitutive and regulated gene expression in Pichia pastoris」Yeast 14:783−790;Segev et al.(1988)「The yeast GTP−binding YPT1 protein and a mammalian counterpart are associated with the secretion machinery」Cell 52:915−924);グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)(Cos et al.(2006)「Operational strategies、monitoring and control of heterologous protein production in the methylotrophic yeast Pichia pastoris under different promoters:a review」Microb Cell Fact 5:17;Waterham et al.(1997)「Isolation of the Pichia pastoris glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase gene and regulation and use of its promoter」Gene 186:37−44)から誘導された2つの構成的プロモーター;アルコールオキシダーゼII(AOX2)(Ohi et al.(1994)「The positive and negative cis−acting elements for methanol regulation in the Pichia pastoris AOX2 gene」Mol Gen Genet 243:489−499)、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼI(FLD1)(Cos et al.(2006)「Operational strategies、monitoring and control of heterologous protein production in the methylotrophic yeast Pichia pastoris under different promoters:a review」Microb Cell Fact 5:17);及びイソクエン酸リアーゼI(ICL1)(Cos et al.(2006)「Operational strategies、monitoring and control of heterologous protein production in the methylotrophic yeast Pichia pastoris under different promoters:a review」Microb Cell Fact 5:17)由来の3つのメタノール誘導性プロモーターを、メタノール誘導とのそれらの適合性に基づいて選択した。2つのレプレッサ結合配列のうち1つを欠失させることによりプロモーターを増強するP
AOX2の切断バージョンを使用した(Ohi et al.(1994)「The positive and negative cis−acting elements for methanol regulation in the Pichia pastoris AOX2 gene」Mol Gen Genet 243:489−499)。いくらか弱いP
YPT1及びP
GAPプロモーターの使用(Sears et al.(1998)「A versatile set of vectors for constitutive and regulated gene expression in Pichia pastoris」Yeast 14:783−790)は、合成酵素の過剰産生が酵母に対して毒性であるか、又は細胞エネルギーをrHSA
E37Xの産生から隔離する際に有用であり得る。
【0172】
全てのプロモーターを、PCRによりP.pastorisゲノムDNAからそれらの非翻訳5’領域と共に増幅した(
図10)。P
AOX2、P
YPT1、P
ICL1、P
FLD1、及びP
GAPを、PCRによりゲノムDNA(P.pastoris GS200)からそれぞれ以下のプライマーを使用して別々に増幅した:PAOX2 F、5’−GTA TCG CTT AAG TCC AAG ATA GGC TAT TTT TGT CGC ATA AAT TTT TGT C−3’及びPAOX2 R、5’−CGT TAG CCA TGG TTT TCT CAG TTG ATT TGT TTG TGG GGA TTT AGT AAG TCG−3';PYPT1 F、5’−GTA TCG CTT AAG CAT ATG ATG AGT CAC AAT CTG CTT CCA CAG ACG AG−3'及びPYPT1 R、5’−CGT TAG CCA TGG GAC TGC TAT TAT CTC TGT GTG TAT GTG TGT ATT GGG C−3';PICL1 F、5’−GTA TCG CTT AAG GAA TTC GGA CAA ATG TGC TGT TCC GGT AGC TTG−3'及びPICL1 R、5’−CGT TAG CCA TGG TCT TGA TAT ACT TGA TAC TGT GTT CTT TGA ATT GAA AG−3';PFLD1 F、5’−GTA TCG CTT AAG GCA TGC AGG AAT CTC TGG CAC GGT GCT AAT GG−3'及びPFLD1 R、5’−CGT TAG CCA TGG TGT GAA TAT CAA GAA TTG TAT GAA CAA GCA AAG TTG G−3';PGAP1 F、5’−GTA TCG CTT AAG GGA TCC TTT TTT GTA GAA ATG TCT TGG TGT CCT CGT C−3'及びPGAP1 R、5’−CGT TAG CCA TGG TGT GTT TTG ATA GTT GTT CAA TTG ATT GAA ATA GGG AC−3'。
図10は、臭化エチジウム染色したゲルを1kb+のはしご形(ladder)でPCR産物を挟んで示す。PCR産物の期待される長さは、PAOX2 342bp、PYPT1 508bp、PICL1 683bp、PFLD1 597bp、及びPGAP 493bpである。PCRで増幅されたフラグメントをAflII及びNcoI(NEB)で消化し、そして同様に消化されたpREAV−P
AOX1−pApaRSに連結して(P
AOX2コード領域をアガロースゲル精製により除去した後)、pREAV−P
Promoter−pApaRSを作製した。
【0173】
配列を確認した後、各プロモーターをP
AOX1の代わりにpApaRSのpREAVベクター5’にクローン化し、そして以前に作製されたMut
+ GS200−HSA
E37Xに形質転換した。ターミネーターはT
AOX1のままであった。
図3aは、変更されるプロモーター領域を説明するpREAV−P
Promoter−pApaRSの直線マップを提供する。プロモーターを(その結果が
図7に示される実験のように)ゲノムDNAからPCR増幅した。プラスミド(以前に記載された構築物pREAV−P
AOX1−pApaRSと同様)をAatIIで直線化し、新鮮なコンピテントGS200−rHSA
E37X(クローン1D12)に形質転換し、そしてGS200−rHSA
E37X/pREAV−P
Promoter−pApaRS(HIS4、ARG4、Gen
R、Mut
+)を作製するために以前に記載したように、Arg及びHisを含まないRDBプレートにプレーティングした。生存しているクローンをGeneticin(登録商標)耐性について0.75及び1.0mg ml
-1
でスクリーニングした。各プロモーターに対応する48のクローンをBMGYを含有する1mL 96ウェルブロックに取り、そして飽和まで増殖させた(29.2℃、24時間、300r.p.m.)。飽和した培養物を1500gで10分間遠心分離し、そして細胞を200μL BMMY+2mM pApaアミノ酸中に再懸濁した。6日後(29.2℃、300r.p.m.、補給しながら)、培地を3000gで10分間遠心分離することにより清澄化し、そして清澄化した培地1〜2μLを、96ウェルピンツールを使用して0.45ミクロンニトロセルロース膜(Bio−Rad)にスポッティングした。この膜を、HSA抗体[1A9]HRP接合体(Abcam)を用いて標準的なウェスタンブロット技術(Burnette(1981)「Western blotting:electrophoretic transfer of proteins from sodium dodecyl sulfate−−polyacrylamide gels to unmodified nitrocellulose and radiographic detection with antibody and radioiodinated protein A」Anal Biochem 112:195−203)を使用して精査し、そしてECL HRP化学発光検出試薬及びプロトコル(GE Healthcare)を用いて検出した。各プロモーターに対応する2つの最も高く発現したクローン(AOX2:A6及びB7;YPT1:D11及びB7;ICL1:E5、及びH3;FLD1:E11及びF3;GAP:B7及びB10;並びにAOX1:E3及びE7)を平行試験発現のために選択した(
図3及び4)。
【0174】
P−
Promoter−pApaRS発現レベルをノーザンブロット及びウェスタンブロットによりメタノール誘導の6日後にモニタリングし、そしてP
AOX1−pApaRSと比較した(
図3b)。P.pastorisに固有の発現変動性に起因して、2つのクローンをウェスタンブロット分析のために選択した。GS200−rHSA
E37XのpREAV−P
Promoter−pApaRSを用いた各形質転換からの2つのクローンを、主要炭素源としてメタノールを用いて6日間増殖させ、溶解し、SDS−PAGEゲルで分離した(
図3b、上側のゲル)。等しいローディングを検証するためにゲルをクーマシーで染色した。溶解物をウェスタンブロットによりpApaRs−His
6xについて分析した(
図3b、下側のゲル)。
【0175】
ウェスタンブロットを行うために、クローンAOX2:A6及びB7;YPT1:D11及びB7;ICL1:E5及びH3;FLD1:E11及びF3;GAP:B7及びB10;並びにAOX1:E3及びE7を試験発現条件下で培養し、ペレット化し(3000g、10分)、そして2ml YeastBuster(Novagen、Gibbstown、NJ)+10mM β−メルカプトエタノール及びComplete Protease Inhibitor Cocktailタブレット(Roche)を用いて溶解した。サンプルを20,000gで清澄化し、そして溶解物15μlを4−20% SDS−PAGEゲル(1:15時間、150V)で展開した。タンパク質を0.45ミクロンニトロセルロース膜(Bio−Rad)にTrans−Blot SD semi−dry transfer cell(Bio−Rad)を使用してTobinの転写緩衝液(24mMトリス塩基、192mMグリシン、20%エタノール)中で移した(2時間、20 V、100 mAmp)。ゲル上の残留タンパク質をクーマシーで染色して(
図3b、上側)等しいローディングを確認した。膜を標準的なウェスタンブロット技術(Burnette(1981)「Western blotting:electrophoretic transfer of proteins from sodium dodecyl sulfate−polyacrylamide gels to unmodified nitrocellulose and radiographic detection with antibody and radioiodinated Protein A」Anal Biochem 112:195−203)を使用して抗His
6x−HRP接合抗体(Sigma−Aldrich)を用いてブロットし、そしてECL(GE Healthcare)HRP化学発光検出試薬及びプロトコルを用いて検出した(
図3b、下側)。相対的発現率をバンド密度により決定した。
【0176】
P
FLD1は、pApaRS転写をmRNAレベルでP
AOX1よりも4倍よく促進し、そして5倍多くpApaRSタンパク質を産生した。P
GAP、P
YPT1、P
ICL1、及びP
AOX2は全てP
FLD1よりも低いpApaRS発現を示した。この結果と一致して、全体のアンバー抑制は、培地中へのrHSA
E37pApa発現により測定した場合にP
FLD1−pApaで最も高かった(
図4)。
図4に示されるように、各プロモーター系からの2つのクローンは、主要炭素源としてのメタノール及びpApaアミノ酸を用いて6日間独立して増殖させた。清澄化した培地25μlを変性SDS−PAGEゲルで展開し、そしてクーマシーで染色した。rHSA
WT(レーン15)は、BSAコントロールを用いてバンド密度により351.6mg l
-1と計算された。密度により、P
FLD1(レーン9及び10平均)は43%に等しいタンパク質、すなわち151.2mg l
-1を発現した。最大収率は>150mg L
-1、すなわち約43%のrHSA
WT収率(352mg L
-1)であった(
図11)。
図11は、pApaRS産生を促進するプロモーターの関数としてrHSA
E37pApaにおけるアンバー抑制を示す、
図4を棒グラフで表現したものを提供する。タンパク質産生を、
図4に示されるSDS−PAGEゲル上でのクーマシーバンド密度により決定した。
図4におけるrHSA
WTタンパク質を、以下に記載されるように定量した:BSA標準又は試験タンパク質発現からの未精製rHSA
WT培地25μlをSDS−PAGEゲル展開した(
図12を参照のこと)。レーン7はrHSA
WT試験タンパク質発現培地の1:1希釈であった。BSA標準のバンド密度(レーン2〜5)をプロットし、そして線形フィッティングした。rHSA
WTバンド(2xレーン7及びレーン8)の密度は平均して83.33又は、351.55mg ml
-1となった。非天然タンパク質の収率(他の図面においてrHSA
E37X)を同じrHSA
WTサンプルのパーセントとして決定した。
【0177】
図3bにおいて最も多くのタンパク質を産生したクローンをノーザンブロットによりpApaRS mRNA転写について分析した(
図3c下側のゲル)。ノーザンブロットを行うために、上側の発現しているクローンAOX2、B7;YPT1、D11;ICL1、H3;FLD1、E11;GAP、B7;及びAOX1、E3を試験発現条件下で6日間増殖させた。3x10
8個の細胞(OD
600=1.0で2.5ml)を採取し、そして全RNAをRiboPure−Yeastキット(Ambion)試薬及びプロトコルにより単離した。各RNAサンプル13μgを2%ホルムアルデヒドゲル(2%アガロース、20mM MOPS、8mM酢酸ナトリウム、2.2mMホルムアルデヒド、pH=7.0)にロードした。3体積のNorthernMaxホルムアルデヒドロード色素(load dye)(Ambion)を1体積のRNAと混合し、65℃に15分間加熱し、そしてロードする前に5分間氷上で冷却した。ゲルを電気泳動し(50V2時間)、そし等しいローディングとRNA完全性を18S及び28S rRNAの臭化エチジウム染色により確認した(
図3c、上側)。RNAをBiodyne Bナイロン膜(Pall Life Science)上に10xSSC緩衝液(1.5M塩化ナトリウム、0.15Mクエン酸ナトリウムpH=7.0)中に標準的なブロッティング装置により取り出した。この膜を2xSSC緩衝液でリンスし、乾燥し、そしてUV Stratalinker 2400(Stratagene)を用いて自己架橋させた。ハイブリダイゼーション及び検出をNorth2South Chemiluminescent Hybridization and Detection Kit(Pierce)からのプロトコル及び試薬により行った。簡単には、ビオチン化プローブ400−500μg:ketoRS3 biot 5’−/5Biosg/TGA GAC GCT GCT TAA CCG CTT C−3'及びketoRS4 biot 5’−/5Biosg/TAA AGA AGT ATT CAG GAT CGG ACT G−3を終夜55℃でインキュベートし、ストレプトアビジン−HRP接合体に結合させ、そしてルミノール/エンハンサー−安定過酸化物溶液(Pierce)を用いて検出した(
図3c、下側)。相対的mRNA力価をバンド密度により決定した。
【0178】
rHSAE37pApaへのオキシム連結
生理活性ペプチドのためのキャリアとしてのこの修飾rHSAの有用性を実証するために、オキシム連結をrHSA
E37pApaの独特のケト側鎖と抗血管新生ペプチドABT−510との間で行った(
図5)。この連結反応の略図を
図5aに提供する。ABT−510ペプチドはε−(2−(アミノオキシ)アセチル)−L−リジンを6番目の残基として有する。以下にさらに詳細に記載されるように、75μM rHSA
E37pApa(
図5a、上側の反応)を2.25mMペプチドと共に終夜37℃にてインキュベーションすることにより、オキシム連結が形成する。同じ条件下でrHSA
WTとの反応は起こらない(
図5a、下側の反応)。このトロンボスポンジン−1(TSP−1)プロペルジン1型反復模倣物は、強力な抗腫瘍活性をヒトにおいて示すが、静脈内投与された場合の腎臓による急速なクリアランスという欠点を有する(Hoekstra et al.(2005)「Phase I safety、pharmacokinetic、and pharmacodynamic study of the thrombospondin−1−mimetic angiogenesis inhibitor ABT−510 in patients with advanced cancer」J Clin Oncol 23:5188−5197;Yang et al.(2007)「Thrombospondin−1 peptide ABT−510 combined with valproic acid is an effective anti−angiogenesis strategy in neuroblastoma」 Cancer Res 67:1716−1724;Reiher et al.(2002)「Inhibition of tumor growth by systemic treatment with thrombospondin−1 peptide mimetics」Int J Cancer 98:682−689)。9つのアミノ酸のペプチド模倣物を、6番目のL−ノルバリン残基の代わりに独特なε−(2−(アミノオキシ)アセチル)−L−リジンUAAを用いて合成した(Anaspec、San Jose、CA)。このペプチドの配列は:Ac−Sar−Gly−Val−D−aloIle−Thr−Lys(Aoa)−Ile−Arg−Pro−NEt MWz1097.3Da)であった。TSP−1の既知の構造−活性の関係に基づいて、この位置における修飾は生物学的活性を有意に変更しないと予想される(Haviv et al.(2005)「Thrombospondin−1 mimetic peptide inhibitors of angiogenesis and tumor growth:design、synthesis、and optimization of pharmacokinetics and biological activities」J Med Chem 48:2838−2846)。オキシム連結を行うために、2.25mM(0.5mg)のペプチドを、オキシム連結緩衝液(1.5M塩化ナトリウム、500mM酢酸ナトリウム、pH=4.4)200μl中で75μM rHSA
E37pApa又はrHSA
WT(1.0mg)に加え、そして終夜37℃でインキュベートした。pH<5にてアミノオキシ基はpApaのケト基との選択的オキシム連結を受けてABT−510ペプチドをrHSA
E37pApaの残基37に共有結合で連結する(
図5a、上側の反応)。反応混合物をC8 Vydac HPLCカラム(300mm、200Å、5μm、Grace)を用いてDynamax HPLC(Rainin)(溶出40−46%水中アセトニトリル、0.1%)で精製した。フラクションを集めて混合し、クーマシー染色したSDS−PAGEゲルにより分析した。インタクトなタンパク質の質量測定を行い、そしてrHSA
E37pApaのペプチドでの誘導体化の程度を、リニアMALDI−TOF MS Biflex III(Burker Daltonics、Billerica、MA)機器を使用してシナピン酸マトリックスを用いてマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析を行った(
図5b)。rHSA
WTの質量は、タンパク質の処理の前後でごくわずかしか変化せず、rHSA
WT(残基37にグルタミン酸)をアミノ−オキシ修飾ABT−510ペプチドで同じ条件下で処理した場合に、接合がMALDI質量分析により観測されないということを示す。
【0179】
rHSA
WT+ペプチドとrHSA
E37pApa+ペプチドとの間の質量差異は、E37pApa変異に起因して60Daより小さく(905Daより60Da小さい=845Da)、これを連結効率(約77%)を決定するために使用した。以前の接合プロトコルは、アニリン触媒を効率的な連結のために使用したが(Dirksen et al.(2006)「Nucleophilic catalysis of oxime ligation」Angew Chem Int Ed Engl 45:7581−7584;Dirksen et al.(2006)「Nucleophilic catalysis of hydrazone formation and transimination:implications for dynamic covalent chemistry」J Am Chem Soc 128:15602−15603);しかし、rHSA
E37pApaへのオキシムカップリングは、約75μM rHSA
E37pApa及び30倍過剰のペプチドを使用する終夜反応においてアニリンを使用する事無く約77%の収率で進行した。
【0180】
遺伝子レパートリーへの8つのUAAの付加
この新たに作製された組み換え発現系の一般性を説明するために、S.cerevisiae方法論により進化された非天然aaRSsをpREAV−P
FLD1に挿入した。
図6aは、E.coliチロシル−RS遺伝子(aaRS)及びチロシルサプレッサtRNAカセット(tRNA
CUA)を含む最適化されたpREAV−
PFLD1ベクターの概略図を提供する。p−ベンゾイルフェニルアラニン(pBpa、光架橋剤、
図6b、構造3、Chin et al.(2003)「An expanded eukaryotic genetic code.「Science 301:964−967);p−アジドフェニルアラニン(pAzapa、光架橋剤、化学的に反応性、
図6b、構造4、Deiters et al.(2003)「Adding amino acids with novel reactivity to the genetic code of Saccharomyces cerevisiae」J Am Chem Soc 125:11782−11783);p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン(pPpa、化学的に反応性、
図6b、構造5、Deiters et al.(2003)「Adding amino acids with novel reactivity to the genetic code of Saccharomyces cerevisiae」J Am Chem Soc 125:11782−11783);p−メトキシフェニルアラニン(pMpa、構造/機能プローブ、
図6b、構造6、Chin et al.(2003)「An expanded eukaryotic genetic code.「Science 301:964−967);及びp−ヨードフェニルアラニン(pIpa、重原子、
図6b、構造7、Chin et al.(2003)「An expanded eukaryotic genetic code」 Science 301:964−967)に特異的なaaRSを全て、最適化されたpREAV−P
FLD1ベクター中のP
FLD1の後方に挿入した(
図6a及び6b)。比較のために、野生型E.coliチロシル−RS(wt、
図6b、構造2)も新しい発現ベクターに挿入した。チロシン(wt)、pBpa、pAzapa、pPpa、pMpa、及びpIpaに特異的な非天然aaRSを、プライマー:KETO−Koz−F及びKetoRS R 6xHis(上記)を使用してPCRにより増幅し、NcoI及びEagI(NEB)を用いて消化し、そして同様に消化したpREAV−P
FLD1−pApaRSに(アガロースゲル精製によりpApaRS領域を除去した後)連結した。配列を確認した後、プラスミドをGS200−rHSA
E37Xクローン1D12に以前に記載されたように形質転換して、GS200−rHSA
E37X/pREAV−P
FLD1−(合成酵素
tyr)(HIS4、ARG4、Gen
R、Mut
+)を作製した。12クローンを各形質転換から選択し、そして以前に記載されるように96ウェル形式でドットブロットによりスクリーニングした。最良の産生株を各々から(tyr、A9;pBpa、B7;pAzapa C9;pPpa、D6;pMpa、E6;及びpIpa、F6)選択し、そしてFLD1(すなわち、pREAV−P
FLD1−pApaRSを有する系統)E11と上記のようにrHSA発現実験において比較し、rHSA
E37x(ここでXは非天然アミノ酸として定義される)中の位置37におけるアンバー変異を、非天然アミノ酸1、3−7の存在下(+)及び存在しない場合(−)においてそれらの対応するaaRSを用いて抑制するそれらの能力を決定した。これらの実験の結果を
図6cに示す。未精製の清澄化した培地25μlをSDS−PAGEゲルで展開し、そしてクーマシー染色した。レーン2は野生型(wt)チロシル−RSを用いたrHSA
E37Y発現である。レーン15はrHSA
WTの発現である。抑制収率は、pApa及びpAzapa変異体と同様であり(rHSA
WTの収率の40〜45%);pIpa以外の全ての他の変異体がrHSA
WTの収率の>20%で発現された(
図6c)。相対的なタンパク質収率をバンド密度により決定した。同族アミノ酸が存在しない場合はタンパク質発現が観測されず、この新しい系の高い直交性が実証された。
【0181】
近年、第二の直交性E.coliロイシル誘導RS/tRNA
CUA対(LeuRSと示されるaaRS)が、さらなる非天然アミノ酸をS.cerevisiaeにおいてタンパク質に組み入れるために生成された(Lemke et al.(2007)「Control of protein phosphorylation with a genetically encoded photocaged amino acid」Nat Chem Biol 3:769−772;Summerer et al.(2006)「A genetically encoded fluorescent amino acid」Proc Natl Acad Sci U S A 103:9785−9789)。新しいP.pastoris発現系においてこの直交性対から誘導された非天然LeuRSを適応させるために、pREAV−P
FLD1プラスミドのtRNA領域を修正した。P
PGK1の下流に存在する
【数8】
カセットを切除し、そして以前に記載されたように、5’CCAを欠き、そしてSUP4セグメントにより隔てられた
【数9】
の3つのタンデム反復に対応するコード領域で置き換えてpREAV
leu−P
FLD1を作製した。4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルセリン(DMNB−S、光ケージ化セリン、
図6e、構造8、Lemke et al.(2007)「Control of protein phosphorylation with a genetically encoded photocaged amino acid」Nat Chem Biol 3:769−772)及び2−アミノ−3−(5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1スルホンアミド)プロパン酸(ダンシルアラニン、ダンシルフルオロフォア、
図6e、構造9、Summerer et al.(2006)「A genetically encoded fluorescent amino acid」Proc Natl Acad Sci U S A 103:9785−9789)に特異的なLeuRS変異体をP
FLD1の後方に挿入してpREAV
leu−P
FLD1−LeuRSを作製した(
図6d及び6f)。
【0182】
図6dは、E.coliロイシル−RS遺伝子及びロイシルサプレッサtRNAカセット(leu−tRNA(CUA)を含む最適化されたpREAV
leu−P
FLD1ベクターの
概略図を提供する。pREAV
leu−P
FLD1を作製するために、5’CCAを欠き、そしてSUP4セグメントで隔てられた
【数10】
の3つのタンデム反復に対応する部分を合成し(DNA 2.0、Menlo Park、CA)、そしてプライマー:Leu tRNA F、5’−AAG GAA GCT AGC CTC TTT TTC AAT TGT ATA TGT G−3'及びLeu tRNA R、5’−CGT ACA CGC GTC TGT ACA GAA AAA AAA GAA AAA TTT G−3'を使用してPCR増幅した。得られた643塩基対の産物をNheI及びMluI(NEB)で消化し、そして同様に消化されたpREAV−P
FLD1−pApaRS(チロシルtRNAをアガロースゲル精製により除去した後)に連結して、pREAV
leu−P
FLD1−pApaRSを作製した。DMNB−S及びダンシル非天然アミノ酸に対する特異性を有するaaRSを、プライマー:LeuRS F、5’−ATT CAC ACC ATG GAA GAG CAA TAC CGC CCG GAA GAG−3'及びLeuRS R、5’−TTA ATT CGC GGC CGC TTA GCC AAC GAC CAG ATT GAG GAG TTT ACC TG−3'を使用して増幅し、NcoI及びNotI(NEB)で消化し、そして同様に消化されたpREAV
leu−P
FLD1−pApaRS(アガロースゲル精製によりpApaRSコード領域を除去した後)に連結してpREAV
leu−P
FLD1−DMNB−S又はpREAV
leu−P
FLD1−ダンシルを作製した(
図6d)。配列を確認した後、プラスミドをGS200−rHSA
E37X(クローン1D12)に形質転換し、そして96ウェルドットブロット形式で記載されるようにスクリーニングした。クローンA:A5(DMNB−S)及びB:G12(ダンシル)を、試験発現条件下で緩衝化(buffer)最少メタノール(BMM)培地中で誘導後3日間増殖して成功した産生株と同定した。rHSA
WTをBMMY中で3日間、比較のために発現させた(
図6f)。
図6fは、rHSA
E37Xの発現を非天然アミノ酸の存在下(+)及び存在しない場合(−)で試験するために行った実験の結果を提供する。各タンパク質発現からの未精製の清澄化した培地25μlをSDS−PAGEゲルで分析し、クーマシー染色した。レーン4は3日後のrHSA
WTの発現である。
【0183】
DMNB−Sに特異的なLeuRS変異体は、DMNB−Sのシステイン類似体(DMNB−C)を容認することが最近示され、これはより容易な合成の利便性に起因してこれらの発現実験において使用された。少量の全長タンパク質(DMNB−SについてrHSA
E37DMNB-Sの35%及びダンシルについてrHSA
E37dansylの6%のバックグラウンド)が、同族アミノ酸の存在しない場合に産生され、トリプシン消化のLC−MS/Mにより対応する非天然アミノ酸の存在下での系の高い忠実性が確認された(
図13)。
図13に示されるように、
図6fのレーン2からのrHSA
E37DMNB-Cタンパク質をトリプシン消化にかけて、続いて消化においてキモトリプシンでトリプシンを置き換えたこと以外は上記のようにLC−MS/MSを行った。一番上のクロマトグラム(黒色)は、24.45分と60.05分の間で行ったLC−MS/MSの全イオンカウント(TIC)を示す。3番目と4番目のクロマトグラムは、キモトリプシンペプチド、XDHVKLVNEVTEF、[ここでX(rHSAの37番目の残基)はDMNB−Cである(ピーク下の全面積、「MA」=224582204)]に対応する、それぞれ2+及び3+に荷電した化学種についてのイオン抽出である。5番目及び6番目のクロマトグラムは、キモトリプシンペプチド、XDHVKLVNEVTEFである[ここでXはロイシンのイソロイシン(isoleucine of leucine)(ピーク下の全面積「MA」=20029397)]に対応する、それぞれ2+及び3+に荷電した化学種についてのイオン抽出である。以下のように計算を行った:E37DMNB−Cのパーセント=224582204/(224582204+20029397)*100=91.8%及びE37Lのパーセント=20029397/(224582204+20029397)*100=8.2%。Xにおける他の天然アミノ酸の組み入れに対応するイオン種は、感知される量では検出されなかった。
【0184】
実際に、ナンセンスコドンの非特異的読み過しは、アミノアシル化サプレッサtRNAの存在によりしばしば抑制される。抑制収率は、発現の3日後にrHSA
E37DMNB-CについてrHSA
WTの約37%そしてrHSA
E37dansylについてrHSA
WTの収率の23%であった。
【0185】
非天然アミノ酸を含むタンパク質の発現をS.cerevisiaeにおいて最適化しようとする以前の試みは、モデル系において8〜15mg L
-1の最大収率という、本明細書で開発されたP.pastoris系で実証されたよりも1桁も少ないという結果となった。Wang研究室における研究は、酵母におけるナンセンス変異媒介mRNA分解(NMD)経路のノックダウンがタンパク質発現を2倍まで増加させ得るということを最近示した(Wang and Wang(2008)「New methods enabling efficient incorporation of unnatural amino acids in yeast」J Am Chem Soc 130:6066−6067)。tRNA
CUA転写を促進するためのSNR52から誘導されたプロモーターの使用と相まって、これらは以前にS.cerevisiaeで産生された変異体タンパク質(約15mg L
-1)の収率よりも300倍高い収率を達成することができた(Wang and Wang(2008)「New methods enabling efficient incorporation of unnatural amino acids in yeast」J Am Chem Soc 130:6066−6067)。従って、NMD経路のUPF1遺伝子のノックアウト及びSNR52−tRNA
CUAプロモーター系の使用は、P.pastorisにおける収率をさらに増加させるかもしれない。さらに、Kobayashi研究室における研究は、P.pastorisからのrHSA
WTの収率が、標準的な震盪フラスコよりも流加発酵において発現された場合に1桁よりも多くなる(>10gL
-1)ことを実証した(Ohya(2005)「Optimization of human serum albumin production in methylotrophic yeast Pichia pastoris by repeated fed−batch fermentation」Biotechnol Bioeng 90:876−887)。
【0186】
要約すると、本発明者らは、非天然アミノ酸のメチロトローフ酵母への生合成的組み入れの方法論を拡大した。2つのaaRS/tRNA
CUA対は、P.pastorisにおいて直交性であることが示され、そしてrHSA
E37Xの残基37におけるアンバーコドンに応じて8つの異なる非天然アミノ酸を有する変異タンパク質を発現するために使用された。変異タンパク質は震盪フラスコにおいて優れた忠実性で高レベルに発現された。これらの結果は、この発現系がS.cerevisiaeにおいて現在進化される合成酵素を用いて多くの他の非天然アミノ酸に影響を受けやすく、そして本明細書で考察される非天然アミノ酸又はaaRS/tRNA
CUAに限定されないということを示唆する。この新しい系の高い収率及び忠実性により、独特の生物学的及び薬理学的特性を有する有用な量の治療用タンパク質を得ることが可能となる。例えば、オキシム連結又は銅触媒1,3−付加環化反応のような化学(「クリック化学」)は、タンパク質を部位特異的にPEG化するか又は架橋するために利用され得、金属イオン結合アミノ酸は放射性同位体を結合するために組み入れられ得、そしてペプチド、毒素又はsiRNA接合体は、HSAのようなキャリアタンパク質又は抗体のような標的化タンパク質から作製され得る。さらに、上述のrHSA
E37pApa−ABT−510接合体は、インビトロ抗血管新生アッセイにおいて試験されているところである。内因性日免疫原性キャリアとしてのrHSA
E37pApaの使用は、他の急速にクリアされるペプチド(グルカゴン様ペプチド1模倣物(GLP−1)
及び副甲状腺ホルモン(PTH)ペプチドを含む)に適用され得る。
【0187】
前述の発明は明確化及び理解の目的のためにいくらか詳細に記載されてきたが、形態及び詳細における種々の変更が本発明の真の範囲から逸脱することなく為され得るということは、本開示を読めば当業者に明らかだろう。例えば、上記の全ての技術及び装置は、様々な組み合わせで使用され得る。本出願において引用される全ての刊行物、特許、特許出願及び/又は他の書類は、各々個々の刊行物、特許、特許出願及び/又は他の書類が本明細書において参照により加入されると個別に示されると同じ程度まで本明細書においてそれら全体が参照により加入される。
【0188】
成熟HSAのアミノ酸配列(シグナル配列又はプロペプチド配列を含まない) 配列番号1
DAHKSE VAHRFKDLGE ENFKALVLIA FAQYLQQCPF
EDHVKLVNEV TEFAKTCVAD ESAENCDKSL
HTLFGDKLCT VATLRETYGE MADCCAKQEP ERNECFLQHK DDNPNLPRLV RPEVDVMCTA
FHDNEETFLK KYLYEIARRH PYFYAPELLF FAKRYKAAFT ECCQAADKAA CLLPKLDELR
DEGKASSAKQ RLKCASLQKF GERAFKAWAV ARLSQRFPKA EFAEVSKLVT DLTKVHTECC
HGDLLECADD RADLAKYICE NQDSISSKLK ECCEKPLLEK SHCIAEVEND EMPADLPSLA
ADFVESKDVC KNYAEAKDVF LGMFLYEYAR RHPDYSVVLL LRLAKTYETT LEKCCAAADP
HECYAKVFDE FKPLVEEPQN LIKQNCELFE QLGEYKFQNA LLVRYTKKVP QVSTPTLVEV
SRNLGKVGSK CCKHPEAKRM PCAEDYLSVV LNQLCVLHEK TPVSDRVTKC CTESLVNRRP
CFSALEVDET YVPKEFNAET FTFHADICTL SEKERQIKKQ TALVELVKHK PKATKEQLKA
VMDDFAAFVE KCCKADDKET CFAEEGKKLV AASQAALGL
【0189】
成熟TSP−1のアミノ酸配列(シグナル配列を含まない) 配列番号2
NR IPESGGDNSV FDIFELTGAA RKGSGRRLVK GPDPSSPAFR IEDANLIPPV
PDDKFQDLVD AVRAEKGFLL LASLRQMKKT RGTLLALERK DHSGQVFSVV SNGKAGTLDL
SLTVQGKQHV VSVEEALLAT GQWKSITLFV QEDRAQLYID CEKMENAELD VPIQSVFTRD
LASIARLRIA KGGVNDNFQG VLQNVRFVFG TTPEDILRNK GCSSSTSVLL TLDNNVVNGS
SPAIRTNYIG HKTKDLQAIC GISCDELSSM VLELRGLRTI VTTLQDSIRK VTEENKELAN
ELRRPPLCYH NGVQYRNNEE WTVDSCTECH CQNSVTICKK VSCPIMPCSN ATVPDGECCP
RCWPSDSADD GWSPWSEWTS CSTSCGNGIQ QRGRSCDSLN NRCEGSSVQT RTCHIQECDK
RFKQDGGWSH WSPWSSCSVT CGDGVITRIR LCNSPSPQMN GKPCEGEARE TKACKKDACP
INGGWGPWSP WDICSVTCGG GVQKRSRLCN NPTPQFGGKD CVGDVTENQI CNKQDCPIDG
CLSNPCFAGV KCTSYPDGSW KCGACPPGYS GNGIQCTDVD ECKEVPDACF NHNGEHRCEN
TDPGYNCLPC PPRFTGSQPF GQGVEHATAN KQVCKPRNPC TDGTHDCNKN AKCNYLGHYS
DPMYRCECKP GYAGNGIICG EDTDLDGWPN ENLVCVANAT YHCKKDNCPN LPNSGQEDYD
KDGIGDACDD DDDNDKIPDD RDNCPFHYNP AQYDYDRDDV GDRCDNCPYN HNPDQADTDN
NGEGDACAAD IDGDGILNER DNCQYVYNVD QRDTDMDGVG DQCDNCPLEH NPDQLDSDSD
RIGDTCDNNQ DIDEDGHQNN LDNCPYVPNA NQADHDKDGK GDACDHDDDN DGIPDDKDNC
RLVPNPDQKD SDGDGRGDAC KDDFDHDSVP DIDDICPENV DISETDFRRF QMIPLDPKGT
SQNDPNWVVR HQGKELVQTV NCDPGLAVGY DEFNAVDFSG TFFINTERDD DYAGFVFGYQ
SSSRFYVVMW KQVTQSYWDT NPTRAQGYSG LSVKVVNSTT GPGEHLRNAL WHTGNTPGQV
RTLWHDPRHI GWKDFTAYRW RLSHRPKTGF IRVVMYEGKK IMADSGPIYD KTYAGGRLGL
FVFSQEMVFF SDLKYECRDP
【0190】
ABT−510ペプチドのアミノ酸配列 配列番号3
(N−Ac−Sar)−Gly−Val−(D−alloIle)−Thr−Nva−Ile−Arg−(Pro−NHEt)