(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959203
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/06 20060101AFI20160719BHJP
F24H 1/18 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
F24H9/06 301B
F24H1/18 G
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-1673(P2012-1673)
(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公開番号】特開2013-142484(P2013-142484A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】小川 英朗
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−158128(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3134017(JP,U)
【文献】
特開平10−22646(JP,A)
【文献】
特開2005−167065(JP,A)
【文献】
実開昭55−94081(JP,U)
【文献】
特開2004−74592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/06
F24H 1/18
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクユニットに熱源ユニットを連結してなる本体を備える貯湯式給湯装置であって、
前記タンクユニットは、外部の加熱手段により加熱された湯を溜める貯湯タンクと、該貯湯タンクから延出する複数の配管類とを収容するタンク用筐体を備え、
前記熱源ユニットは、熱源機と、該熱源機の下方に延出する複数の配管類を収容して該熱源機を下方から支持する支持台とを備え、
前記タンク用筐体の底部と前記支持台の底部とによって形成される前記本体の底部の外周面に、該本体を床面に固定する複数の床面固定部材が着脱自在に連結され、
各床面固定部材は、床面に沿う形状の床面固定板と、該床面固定板に一体に連設され且つ起立して設けられて前記本体に螺子部材を介して着脱自在に連結する本体連結板と、該本体連結板に形成されて螺子部材が貫通する水平方向に延びる長孔である螺子貫通孔とを備えることにより、前記本体の底部の外周面に設けられた複数の床面固定部材連結部に選択的に連結されることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記複数の床面固定部材のうちの少なくとも一つは、前記本体連結板の一側端縁に一体に連設されて水平方向に延びる延設片を備え、
前記本体は、前記延設片を挿入することにより前記床面固定部材連結部に対して前記床面固定部材を位置決めする位置決め穴を備えることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクユニットに熱源ユニットを連結することによって構成された貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ等の加熱手段を用いて生成された湯を貯湯タンクに貯めておき、貯湯タンクの湯切れが生じた場合に、ガス給湯器等の補助熱源を用いて加熱出湯するようにした貯湯式給湯装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この貯湯式給湯装置は、その本体がタンクユニットと熱源ユニットとで構成される。タンクユニットは、貯湯タンクと、貯湯タンクから延出する複数の配管類とを備え、貯湯タンク及び配管類はタンク用筐体に収容されている。熱源ユニットは、所謂ガス給湯器である熱源機と、熱源機の下方に延出する複数の配管類とを備え、熱源機を支持台上に載置して連結すると共に支持台の内部に熱源機の下方に延出する複数の配管類を収容している。そして、熱源ユニットはタンクユニットに隣接して組み付けられ、一体的な複合ユニットとして本体を形成している。
【0004】
ところで、例えば、マンションのバルコニー等のコンクリート床面に貯湯式給湯装置を設置するときには、コンクリート床に打ち込んだアンカーボルトに本体を連結する。このとき、従来では、本体の下部に設けられた支持脚の下端をアンカーボルトで固定している(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−158128号公報
【特許文献2】特開2010−112587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本体の支持脚をアンカーボルトに連結する場合には、支持脚の位置とアンカーボルトの位置とを一致させる必要があり、支持脚の位置とアンカーボルトの位置とが一致していないときには貯湯式給湯装置の設置が困難となる。また、床の状態等に影響されて部分的にアンカーボルトが打ち込めない場合があるため、この場合には、所望の位置に貯湯式給湯装置を設置することができない不都合がある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、所望の位置に設置して床と本体とを確実に連結することができる貯湯式給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、タンクユニットに熱源ユニットを連結してなる本体を備える貯湯式給湯装置であって、前記タンクユニットは、外部の加熱手段により加熱された湯を溜める貯湯タンクと、該貯湯タンクから延出する複数の配管類とを収容するタンク用筐体を備え、前記熱源ユニットは、熱源機と、該熱源機の下方に延出する複数の配管類を収容して該熱源機を下方から支持する支持台とを備え、前記タンク用筐体の底部と前記支持台の底部とによって形成される前記本体の底部の外周面に、該本体を床面に固定する複数の床面固定部材が着脱自在に連結され、各床面固定部材は、
床面に沿う形状の床面固定板と、該床面固定板に一体に連設され且つ起立して設けられて前記本体に螺子部材を介して着脱自在に連結する本体連結板と、該本体連結板に形成されて螺子部材が貫通する水平方向に延びる長孔である螺子貫通孔とを備えることにより、前記本体の底部の外周面に設けられた複数の床面固定部材連結部に選択的に連結されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記複数の床面固定部材連結部に対して選択的に床面固定部材を連結することができる。これにより、床に設けられたアンカーボルトに対応する位置の床面固定部材連結部に、床面固定部材を連結し、アンカーボルトの位置と床面固定部材の位置とを容易に合致させることができる。従って、貯湯式給湯装置を所望の位置に設置することができ、本体を床上に確実に固定することができる。
【0010】
また、本発明において、前記複数の床面固定部材のうちの少なくとも一つ
は、前記本体連結板の一側端縁に一体に連設されて水平方向に延びる延設
片を備え、前記本体は、前記延設片を挿入することにより前記床面固定部材連結部に対して前記床面固定部材を位置決めする位置決め穴を備えることが好ましい。
【0011】
これによれば、延設片を本体の位置決め穴に挿入するだけで、本体の床面固定部材連結部に対する床面固定部材の位置決めが容易に行え、本体に床面固定部材を連結する際の作業効率を向上させることができる。しかも、位置決め穴に挿入された延設片を介して本体と床面固定部材との一体的な連結状態を形成することができ、本体を床面に固定したときに本体の姿勢を強固に安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態を示す貯湯式給湯装置の平面図。
【
図2】本実施形態の貯湯式給湯装置の本体を示す側面図。
【
図6】本実施形態の貯湯式給湯装置の下端部の説明的斜視図。
【
図8】床面固定部材の床面への固定状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の貯湯式給湯装置は、
図1に平面視して示すように、タンクユニット1と熱源ユニット2とが前後方向に連結され、その左右両側が化粧カバー3により覆われて貯湯式給湯装置の本体4を形成している。
【0014】
なお、貯湯式給湯装置は、外部に図示しないヒートポンプ等の加熱手段が接続される。タンクユニット1は、この加熱手段により加熱生成された湯を溜めるために設けられるものであり、熱源ユニット2は、給湯時にタンクユニット1の湯切れが生じた場合に、給湯設定温度まで加熱して出湯するために設けられるものである。
【0015】
図2は化粧カバー3を取り外した状態を示しており、
図3は化粧カバー3を装着した状態を示している。化粧カバー3は、本体4から容易に取り外すことができるようになっている。
【0016】
図2に示すように、タンクユニット1は、角柱状のタンク用筐体5に、貯湯タンク6、及び図示しない配管類や電装品等を収容することにより構成されている。
図2に示すように、タンク用筐体5は、上部覆板7と下部覆板8とによって側面が閉塞されている。上部覆板7と下部覆板8とは、タンクユニット1から取り外すことができるようになっている。
【0017】
上部覆板7により閉塞される上部空間には、図示しない電装品等が収容される。下部覆板8により閉塞される下部空間には、図示しない配管類が収容される。そして、上部空間及び下部空間の奥側には円柱状の貯湯タンク6が収容されている(
図1参照)。
【0018】
また、タンク用筐体5の底部には平面視矩形状の第1接地枠9が設けられている。第1接地枠9は、タンク用筐体5の支柱の下端に連結され、タンクユニット1の荷重を支えている。第1接地枠9の外周には複数の床面固定部材10が設けられている。
【0019】
熱源ユニット2は、
図2に示すように、熱源機11と、熱源機11の底部を支持する支持台12とで構成され、支持台12の内部には図示しない配管類が収容されている。支持台12の底部には平面視矩形状の第2接地枠13が設けられている。第2接地枠13は、支持台12の支柱の下端に連結され、熱源機11及び支持台12の荷重を支えている。第2接地枠13の外周には第1接地枠9に用いられているものと同種の複数の床面固定部材10が設けられている。
【0020】
熱源機11は、単体で使用することができる所謂ガス給湯器であり、ケース14の内部に図示しないガスバーナや熱交換器等が収容されている。ケース14は、一側面を開放面とする箱形状の器体15と、器体15の開放面を閉塞する蓋体16とを備えている。蓋体16からは、排気筒18が突出している。
【0021】
化粧カバー3は、
図3に示すように、上部カバー部19と下部カバー部20との上下2つで構成されている。上部カバー部19は、本体4の側面のうち上部側を覆う第1パネル21と、第1パネル21の前側端縁に取り付けられた第1前側モール22と、第1パネル21の後側端縁に取り付けられた第1後側モール23とを備えている。下部カバー部20は、本体4の側面のうち下部側を覆う第2パネル24と、第2パネル24の前側端縁に取り付けられた第2前側モール25と、第2パネル24の後側端縁に取り付けられた第2後側モール26とを備えている。上部カバー部19の下端と下部カバー部20の上端とはその境界線27において図示しない連結手段によって互いに取り外し自在に連結されている。
【0022】
図2に示すように、タンク用筐体5の底部の第1接地枠9と支持台12の底部の第2接地枠13とは、本体4の接地する底部を構成している。第1接地枠9と第2接地枠13との外周面は、第1接地枠9と第2接地枠13とが隣接する面を除き、
図3〜
図5に示すように、化粧カバー3の下方に露出している。この露出する第1接地枠9及び第2接地枠13の縦面には、床面固定部材10を螺子止め連結するための床面固定部材連結部28が複数設けられている。各床面固定部材10は、各床面固定部材連結部28のうち、何れかの位置に選択的に螺子部材29(
図8参照)により着脱自在に連結される。
【0023】
また、
図6に示すように、床面固定部材10として、その形状は取り付け位置に応じて3種のものが用意されている。即ち、第1床面固定部材10Aは、
図7(a)に示すように、床面に沿う形状の床面固定板41と、床面固定板41の一端縁から垂直に起立する本体連結板42とを備えている。
【0024】
本体連結板42には螺子部材を貫通させる複数の螺子貫通孔43が形成されている。螺子貫通孔43は水平方向に延びる長孔で、各床面固定部材連結部28の螺子孔に対して横方向に位置ずれが生じていても、螺子止めが可能となる。
【0025】
床面固定板41には、マンションのバルコニー等の設置床面に設けられたアンカーボルト50(
図8参照)を貫通させる凹状のボルト受け部44が形成されている。床面固定板41の両側には一対の補強曲げ部45が形成されており、これにより床面固定板41の曲げ強度を向上させている。
【0026】
更に、本体連結板42の一側端縁には、第1延設片46が一体に連設されている。第1床面固定部材10Aの第1延設片46は、
図6に示すように、本体4の第2接地枠13(及び第1接地枠9)の一方角部に形成されている第1位置決め穴47に挿入して位置決めされる。なお、第1接地枠9と第2接地枠13との夫々の対角線上に第1位置決め穴47が設けられている。
【0027】
第2床面固定部材10Bは、
図7(b)に示すように、第1床面固定部材10Aの第1延設片46と異なる向きの第2延設片48を備え、それ以外は第1床面固定部材10Aと同様である。第2床面固定部材10Bの第2延設片48は、
図6に示すように、本体4の第1接地枠9(及び第2接地枠13)の他方角部に形成されている第2位置決め穴49に挿入して位置決めされる。第2位置決め穴49は、第1接地枠9と第2接地枠13との夫々の第1位置決め穴47と異なる対角線上にが設けられている。
【0028】
第3床面固定部材10Cは、
図7(c)に示すように、第1延設片46も第2延設片48も備えず、それ以外は、第1床面固定部材10A及び第2床面固定部材10Bと同様の構成を有している。第1床面固定部材10A及び第2床面固定部材10Bは第1接地枠9及び第2接地枠13の角部に対応するのに対し、第3床面固定部材10Cは、第1接地枠9及び第2接地枠13の何れの位置であっても取り付けることができる。
【0029】
第1床面固定部材10Aは、第1延設片46を第1位置決め穴47に挿入して位置決めすることにより、床面固定部材連結部28への取り付け作業が容易となり、取り付け状態も強固となる。同じく、第2床面固定部材10Bも、第2延設片48を第2位置決め穴49に挿入して位置決めすることにより、床面固定部材連結部28への取り付け作業が容易となり、取り付け状態も強固となる。
【0030】
第3床面固定部材10Cは、延設片を備えないが、それによって、何れの位置の床面固定部材連結部28であっても容易に取り付けることができる。
【0031】
これらの床面固定部材10(10A ,10B,10C)は、
図8に示すように、マンションのバルコニー等の設置床面にアンカーボルト50によって固定される。アンカーボルト50は、コンクリート床51に形成した穴内に挿入したアンカー部材52と、アンカー部材52に螺着させる固定ボルト53とで構成される。そして、床面固定部材10を固定するときには、ボルト受け部44に固定ボルト53を挿入した後、固定ボルト53にワッシャ54を介してナット55を螺着させる。これにより、設置床面に床面固定部材10が強固に連結され、本体4を設置床面に固定することができる。なお、床面固定部材10を床面に連結するアンカーボルトは、上記の構成に限るものではない。
【0032】
このように、床面固定部材10を着脱自在とし、複数の床面固定部材連結部28に選択的に連結させることができるようになっているので、例えば、アンカーボルトの位置に合わせて床面固定部材10を自由に設けることができる。従って、貯湯式給湯装置を所望の位置に強固に設置することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…タンクユニット、2…熱源ユニット、4…本体、5…タンク用筐体、6…貯湯タンク、10…床面固定部材、11…熱源機、12…支持台、28…床面固定部材連結部、
29…螺子部材、41…床面固定板、42…本体連結板、
43…螺子貫通孔、46…第1延設片(延設片)、47…第1位置決め穴(位置決め穴)、48…第2延設片(延設片)、49…第2位置決め穴(位置決め穴)。