特許第5959233号(P5959233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5959233太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959233
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20140101AFI20160719BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   E04D13/18
   E04D3/40 V
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-45404(P2012-45404)
(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-181325(P2013-181325A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】田澤 浩臣
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西田 和倫
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−270529(JP,A)
【文献】 特開2008−095418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00、13/18
E04D 3/40
H02S 20/10、20/23、20/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水下側、水上側に太陽電池モジュール及び外装材が載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する太陽電池モジュールの設置構造において、
前記レール材の水下側、水上側の少なくとも一方には太陽電池モジュールが敷設され、
前記レール材の水上側に敷設される太陽電池モジュールは、水下側端部の裏面が前記レール材上に載置され、その水下側端部の表面が前記レール材に沿わせたピース状の取付部材にて保持され、前記取付部材は、太陽電池モジュールの水下側端部の表面を保持する保持部と、水下側へ下り傾斜する傾斜面状であって前記レール材の水下端部に沿う前面部とからなり、前記レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、前記前面部から前記レール材に固定具を打ち込んで前記レール材と前記取付部材が一体化され、
前記レール材の水上側に敷設される外装材は、水下側の裏面が前記レール材上に載置され、前記レール材の水下側に敷設される外装材は、水上側を折曲した成形部がレール材の水下端部に係止されていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項2】
レール材は、長さ方向に連続する溝状部を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置構造
【請求項3】
水下側、水上側に太陽電池モジュール及び外装材が載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する太陽電池モジュールの設置方法において、
レール材を所定間隔で配設する第1の工程と、
配設したレール材間に、太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する第2の工程と、
太陽電池モジュールの水下側端部の表面を保持する保持部と、水下側へ下り傾斜する傾斜面状であって前記レール材の水下端部に沿う前面部とからなるピース状の取付部材を上方から前記レール材の水下側端部に配置して前記前面部から固定具を打ち込むことにより、配設した太陽電池モジュールの水下側端部に、前記レール材と前記取付部材とを一体化させ、前記レール材の水下側に敷設する外装材の水下側の裏面をレール材の水上端部に載置すると共に前記レール材の水下側に敷設する外装材の水上側を折曲した成形部をレール材の水下端部に係止する第3の工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な部材の使用によるコスト上昇を招くことなく、太陽電池モジュールの水下側端部を確実に且つ容易に一体状に固定することができる太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールを屋根に設置するに際し、水下側に敷設した太陽電池モジュールの水上側フレームと、水上側に敷設した水下側フレームとを直接的に接続するか、或いは連結部材を介して接続する構造(例えば特許文献1,2など)が各種提案されている。
前記特許文献1は、水上側に敷設される太陽電池パネルの水下側フレーム32に設けた爪状部材34を水下側に敷設される太陽電池パネルの水上側フレーム33上に固定した係止部材37の間隙に押し込んで固定する構造である。
前記特許文献2は、太陽電池モジュール10の水下側フレーム(第1枠体11)の上面に設けた固定溝11bと、水上側フレーム(第2枠体12)の下側に設けた係合部12bとを押え金具28により押えて固定する構造である。
【0003】
また、太陽電池モジュールにフレームを用いない構造(例えば特許文献3,4など)も各種提案されている。
前記特許文献3には、複数の太陽電池パネル5、6の端面部同士を、ベース2と中間ベース3と上部レール4とで構成される支持レール1にて結合し、カバー11にて覆う構造が開示されている。なお、このカバー11は、太陽電池パネルの水下側端部を完全に覆う長さに形成されている。
前記特許文献4には、太陽電池モジュール2の一方の端部に枠体10を、他方の端部に載置部20を備える枠体1を配し、前記載置部20に固定カバー3を押え付けて固定する構造が開示されている。なお、この固定カバ3は、枠体20と略同一長さであって、太陽電池モジュール2の水下側端部を完全に覆う長さに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−285827号公報
【特許文献2】特開2007−231514号公報
【特許文献3】特開2006−132111号公報
【特許文献4】特開2006−120959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、水下側フレーム(32)や水上側フレーム(33)が、前記特許文献2の構造では、水下側フレーム(11)や水上側フレーム(12)が、複雑な形状構成を有するものであるため、これらのフレーム材が特殊になり、コストの上昇を避けられないものであった。
【0006】
また、前記特許文献3の構造では、支持フレーム1が、前記特許文献4の構造では、枠体10と枠体1とが、物理的には固定されておらず、水下側の端部に太陽電池モジュールの水下側端部を覆うカバー11,3を固定することによって一体化されるものであり、モジュール上を流下する雨水がせき止められ、雨水に含まれる土や埃等が堆積し易いものであった。その結果、モジュール表面に汚れが付着し性能低下や、フレーム部の止水材が劣化し易くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、特殊な部材(フレーム)の使用によるコスト上昇を招くことなく、太陽電池モジュールの水下側端部を確実に且つ容易に一体状に固定することができる太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、水下側、水上側に太陽電池モジュール及び外装材が載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する太陽電池モジュールの設置構造において、前記レール材の水下側、水上側の少なくとも一方には太陽電池モジュールが敷設され、前記レール材の水上側に敷設される太陽電池モジュールは、水下側端部の裏面が前記レール材上に載置され、その水下側端部の表面が前記レール材に沿わせたピース状の取付部材にて保持され、前記取付部材は、太陽電池モジュールの水下側端部の表面を保持する保持部と、水下側へ下り傾斜する傾斜面状であって前記レール材の水下端部に沿う前面部とからなり、前記レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、前記前面部から前記レール材に固定具を打ち込んで前記レール材と前記取付部材が一体化され、前記レール材の水上側に敷設される外装材は、水下側の裏面が前記レール材上に載置され、前記レール材の水下側に敷設される外装材は、水上側を折曲した成形部がレール材の水下端部に係止されていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造に関するものである。
なお、「沿わせた」とは、固定具によって取付部材が固定される以前の状態を指す。
【0010】
また、本発明は、前記設置構造において、レール材は、長さ方向に連続する溝状部を有することを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造をも提案する。
【0011】
さらに、本発明は、水下側、水上側に太陽電池モジュールまたは外装材が載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する太陽電池モジュールの設置方法において、レール材を所定間隔で配設する第1の工程と、配設したレール材間に、太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する第2の工程と、太陽電池モジュールの水下側端部に沿う前面部とからなる取付部材を上方からレール材の水下側端部に配置して前面部から固定具を打ち込むことにより、配設した太陽電池モジュールの水下側端部に、レール材と取付部材とを一体化させ、外装材の水下側の裏面をレール材の水上端部に載置すると共に、水上側を折曲した成形部をレール材の水下端部に係止させる第3の工程と、を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、太陽電池モジュールの水下側端部が、レール材、及び取付部材により、一体的に固定されるものであり、使用するレール材も取付部材も極めて簡易な部材であり、前記従来(特許文献1,2)のように特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、前記従来(特許文献3,4)のようにカバー材を用いないので、モジュール上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、モジュール表面を美麗に維持することができ、発電効率等の性能低下を招くこともない。また、太陽電池モジュールを取付部材でレール材に一体化させているため、取付部材を着脱することで、太陽電池モジュールの交換を容易に行うことができる。
特に前面部は、水下側へ下り傾斜する傾斜面状であるから、意匠性に優れ、下段側の太陽電池モジュール上に形成される影を最小限に抑えることができる。また、光透過性を有する素材にて取付部材を形成した場合には、この傾斜面状の前面部は採光性にも優れているため、両面受光(発電)型の太陽電池を用いた場合に好適である。
【0014】
また、レール材が長さ方向に連続する溝状部を有する場合には、仮に太陽電池モジュールの裏面側に雨水が回り込むことがあったとしても該溝状部で雨水を案内して水下側へ流下させることができる。
【0015】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、レール材を配設する第1の工程も、太陽電池モジュールまたは外装材を配設する第2の工程も、取付部材を配設する第3の工程も、それぞれ表面側から極めて容易に実施することができる。特に第3の工程は、取付部材を上方からレール材の水下側端部に沿わせる作業も、固定具を上方又は水下側上方から打ち込む作業も、極めて容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)本発明の太陽電池モジュールの設置構造の一実施例(第1実施例)における取付部材を配設していない一般部を示す側断面図、(b)その要部を示す側断面図である。
図2】第1実施例の太陽電池モジュールの設置構造を、縦葺き屋根状の反射板上に構築した両面受光型の太陽電池モジュールの設置構造の斜視図である。
図3】(a)第1実施例におけるレール材の水上側に一般的な横葺き外装材を配し、水下側に第1実施例の太陽電池モジュールを配した接続部分を示す側断面図、(b)水上側に第1実施例の太陽電池モジュールを配し、水下側に一般的な横葺き外装材を配した接続部分を示す側断面図である。
図4】(a)第2実施例の太陽電池モジュールの設置構造の施工方法を意図的に配設しない部分を形成しつつ示し、第1の工程以前に排水部材を配した状態を示す斜視図、(b)第1の工程においてレール材を配した状態を示す斜視図、(c)第1の工程の後に、捨板及び第2レール材を配設した状態を示す斜視図、(d)第2の工程において太陽電池モジュールを、第3の工程において取付部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図5】継手カバーを取り付けた第2実施例の太陽電池モジュールの設置構造を示す斜視図である。
図6】(a)本発明の太陽電池モジュールの設置構造の他の一実施例(第3実施例)を示す側断面図、(b)他の一実施例(第4実施例)を示す側断面図、(c)他の一実施例(第5実施例)を示す側断面図、(d)他の一実施例(第6実施例)を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、水下側、水上側に太陽電池モジュールまたは外装材が載置可能な支持部を有するレール材が、流れ方向に所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールまたは外装材を敷設する構造において、前記レール材の水下側、水上側の少なくとも一方には太陽電池モジュールが敷設され、前記レール材の水上側に敷設される太陽電池モジュールは、水下側端部の裏面がレール材上に載置され、その表面がレール材に沿わせた取付部材にて保持され、前記取付部材は、太陽電池モジュールの水下側端部の表面を保持する保持部と、レール材の水下端部に沿う前面部とからなり、レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、前面部から固定具を打ち込んでレール材と取付部材が一体化され、レール材の水上側に敷設される外装材は、水下側の裏面がレール材上に載置されると共に水上側を折曲した成形部がレール材の水下端部に係止されていることを特徴とする。
【0018】
前記本発明に用いる太陽電池モジュールは、シリコン系、化合物系、有機系等の太陽電池をパネル化し、モジュールとして周縁(小口)の止水、防水処理を施したものであればよく、モジュールの剛性を高めるためのフレーム等の有無を問うものではないが、太陽電池モジュール表面を流下する雨水をせき止めないように少なくとも流れ方向に交わる方向にはフレーム等の突起がないものが好ましい。また、発電量を増大させるために両面受光(発電)型の太陽電池を用いてもよく、この場合、太陽電池モジュールの下方に反射材を介在させればよい。また、モジュールは、周辺機器の汎用性を高めるためにサイズを小さく(例えば半分程度に)した両面受光セルを用いるようにしてもよい。
そして、その流れ方向の端縁のうち、水下側端部の裏面は、レール材の水上側の支持部に載置され、水下側端部の表面は、レール材に沿わせた取付部材にて保持され、上下から挟着状に一体化(固定)される。
【0019】
前記本発明に用いるレール材は、前記太陽電池モジュールまたは外装材の流れ方向の端縁を支持する水上側支持部、水下側支持部を有し、後述する取付部材の前面部から固定具を打ち込む被固定部を有するが、その具体的構成、並びにそれ以外の構成は特に限定するものではなく、どのような形状又は構成であってもよく、単一部材にて構成されるものでも複数部材にて構成されるものでもよい。
例えば前記水上側支持部、水下側支持部に関し、後述する図示実施例では、太陽電池モジュールが流れ方向に隣接する構成としたので、水上側支持部と水下側支持部とを、高さレベルを太陽電池モジュールの厚さに相当する段差状に形成したが、特に限定するものではない。
【0020】
さらに、これらの水上側支持部と水下側支持部との間に、後述する図示実施例のように溝状部を形成することが望ましい。この溝状部は、長さ方向に連続するので、仮に太陽電池モジュールの裏面側に雨水が回り込むことがあったとしてもこの溝状部から排水部材の排水部へ導いて水下側へ流下させることができる。
また、後述する図示実施例のように、上方が開放する溝状空間である収容部を形成し、該収容部内に、太陽電池モジュールのケーブルを収容することが望ましい。このケーブルの収容部は、単にケーブルの絡まり等を防止するばかりでなく、両面受光タイプの太陽電池モジュールを用いた場合に太陽光を遮断してしまう(モジュール面に影を形成する)ことを防止する役割をも果たす。
【0021】
このレール材は、後述する図示実施例のように長さ方向に同一断面を有する長尺材とすることが望ましい。この場合、使用する太陽電池モジュールの桁行き方向の長さ寸法に応じて適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の太陽電池モジュールも極めて容易に対応することができる。
また、このレール材には、前述の支持部の他に、後述する図示実施例のように水下側へ突出する支持片を有することが望ましい。この構成のレール材では、該支持片上に太陽電池モジュールの水下側縁を載置することができ、太陽電池モジュールの表面を伝う雨水等が、確実に水下側に隣接する太陽電池モジュール上に導かれて排水される。
【0022】
前記本発明に用いる取付部材は、前記レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されるものであって、太陽電池モジュールの水下側端部の表面を保持する保持部と、レール材の水下端部に沿う前面部とを有し、単一部材にて構成されるものでも複数部材にて構成されるものでもよい。
前記前面部は、レール材の水下側端部に設ける被固定部に固定具を打ち込んで固定する固定部を兼ねるので、上方又は水下側上方から固定具を打ち込むことができるように略水平面状又は傾斜面状(水下側へ下り傾斜する傾斜面状)であることが望ましい。
なお、前面部は、特にその形状を限定するものではないが、水下側へ下り傾斜する傾斜面状とした場合には、意匠性に優れ、下段側の太陽電池モジュール上に形成される影を最小限に抑えることができる。しかも、光透過性を有する素材にて取付部材を形成した場合には、この傾斜面状の前面部は角部を有する前面部に比べて採光性に優れているため、両面受光(発電)型の太陽電池を用いた場合に好適である。
【0023】
前記レール材の上端には、後述する図示実施例に示すように捨板を、流れ方向に配して太陽電池モジュールの左右の側端を支持するようにしてもよい。
この捨板としては、後述する図示実施例のように長さ方向に同一断面を有する定尺材とすることが望ましい。この場合、使用する太陽電池モジュールの流れ方向の長さ寸法に応じて適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の太陽電池モジュールも極めて容易に対応することができる。
また、この捨板には、後述する図示実施例のように略中央に隆状部を、その左右に水返し部を、それぞれ長さ方向に沿うように有することが望ましい。この構成の捨板では、太陽電池モジュールを配設した後に、その配設間隔を覆うように継手カバーを取り付ける際に、固定具を打ち付ける箇所として隆状部を用いることができる。また、継手カバーの裏面側に雨水等が浸入しても、左右に形成された水返し部にて、確実に水下側へ雨水等を流下させることができる。
【0024】
なお、この捨板を用いた場合には、前記レール材の水上側支持部、水下側支持部は、直接的に前記太陽電池モジュールの流れ方向の端縁を支持するものではなく、この捨板を介して支持するものとなる。
【0025】
また、太陽電池モジュールの左右の配設間隔には、継手カバーを覆うように配設してもよい。
この継手カバーは、捨板上に配設した左右の太陽電池モジュールの配設間隔を覆うものであって、後述する図示実施例のようにビス等により取り付けられ、平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状が望ましい。この場合、継手カバーを水下側からスライドさせて左右の太陽電池モジュールの配設間隔に配設することができる。
なお、太陽電池モジュールの側縁は、ビス等により直接固定するものであってもよく、この継ぎ手カバーによって挟着されるものであってもよい。
【0026】
また、前記本発明に用いる固定具の保持部は、直接的に太陽電池モジュール1の水下側端部の表面を保持するものに限定されるものではなく、少なくとも厚み方向に弾性を有する保持具を介して太陽電池モジュールの水下側端縁の表面を保持するものでもよい。即ち固定具の保持部と太陽電池モジュールの水下側端部の表面との間に弾性を有する保持具を介在させてもよい。
この保持具は、一箇所に設けるものでも、二箇所以上に設けるものでもよい。
このように厚み方向に弾性を有する保持具を用いた場合には、仮に固定具の打ち込みに不備があった場合に容易に認識することができ、適宜に修繕を施すことができる。例えば第2レール材の被固定部に破損等があっても固定具の打ち込みに支障がない場合には、表面からの目視では判別し難いが、前記保持具を用いた場合には、浮きが生じて固定具の打ち込みが適正に行われなかったことを容易に目視にて確認することができる。さらに、この保持具は、がたつきの解消にも寄与するものとなる。
【0027】
この保持具は、厚み方向に弾性(ゴム弾性やバネ弾性)を有する定形又は不定形の材料(弾性素材)からなるものでも良いし、或いは弾性素材ではないが、所定形状のピース材に成形し、この保持具、又は取り付ける取付部材の反発力を利用して弾性的に嵌合(係合)させるものでもよい。なお、前者の場合、保持具の弾性に抗してこの保持具を取り付ければよく、後者の場合には、保持具又は取付部材の嵌合(係合)部分に反発力が作用する寸法形状又は曲げ形状に成形して弾性的に嵌合(係合)すればよい。さらに、この保持具の取り付けは、固定具の打ち込み以前であれば、取付部材の配設の後に行うようにしてもよく、同時に取り付けるものでもよく、取付部材に予め取り付けておいてもよい。
【0028】
これらの部材から構成される本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、以下の第1〜第3の工程にて施工される。
【0029】
まず、第1の工程では、流れ方向に略直交状にレール材を配設する。このレール材は、下地上に直接的に配設してもよいが、後述する図示実施例のように流れ方向に配した排水部材上に、その端縁が臨むように略直交状に配設してもよい。この場合、仮に雨水等が捨板の裏面側へ回り込むことがあったとしても、回り込もうとする雨水を排水部材の排水部に導いて水下側へ流下させることができる。
なお、下地は、太陽電池モジュールを固定する取付対象を指し、新設の場合、鉄骨やC型鋼等の軽量形鋼等や木材等によって構築された躯体であっても、躯体上に断熱等の下地材を敷設したものであってもよいし、コンクリート造による下地であってもよい。また、既存屋根の屋根表面や既存屋根の下地を取付対象としてもよいし、既存屋根に適宜に下地処理を施したものであってもよい。
【0030】
次に、第2の工程では、配設したレール材間に、太陽電池モジュールまたは外装材を敷設し、上段側のレール材の水下側支持部、下段側のレール材の水上側支持部に、太陽電池モジュールまたは外装材の水上側端部、水下側端部を載置するように支持させる。
【0031】
続いて第3の工程では、取付部材を上方からレール材の水下端部に沿わせ、前面部から固定具を打ち込むことにより、配設した太陽電池モジュールの水下側端部に、レール材と取付部材とを一体化させる。
その結果、太陽電池モジュールの水下側端部が、レール材と取付部材により、一体的に固定されるものとなる。
【0032】
なお、前記構成の捨板を用いる場合には、前記第1の工程の後に以下の工程を実施すればよい。
取り付けたレール材の水下側支持部に捨板の水上側の端縁を受支させると共に水下側に隣接するレール材の水上側支持部に捨板の水下側の端縁を受支させるように取り付ける。このレール材に、前述のように水下側へ突出する支持片が設けられている場合には、捨板を配設する際に、該支持片と水下側支持部との間(空間)に捨板の水上側の端縁を挿入するように配設すればよく、少なくとも捨板の水上側の側縁が浮き上がって外れることはない。
【0033】
なお、前記構成の継手カバーを用いた場合には、前記第3の工程の後に以下の工程を実施すればよい。
敷設した太陽電池モジュールの左右の配設間隔に継手カバーを覆うように配設する。この継手カバーが、前述のように平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状である場合には、水下側からスライドさせることにより、容易に左右に太陽電池モジュールの配設間隔に配設することができる。また、前述のようにレール材に水下側へ突出する支持片が設けられている場合には、この継手カバーの水上側の端縁は、支持片と捨板との間(空間)に挿入状に配設されるので、少なくとも継手カバーの水上側の側縁が浮き上がって外れることはない。
【0034】
このように施工する本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、レール材を配設する第1の工程も、太陽電池モジュールを配設する第2の工程も、取付部材を配設する第3の工程も、それぞれ表面側から行うので、極めて容易に施工できる。特に第3の工程は、取付部材を上方からレール材の水下側端部に沿わせる作業も、固定具を上方又は水下側上方から打ち込む作業も、極めて容易に実施することができる。
【0035】
そして、施工される本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、太陽電池モジュールの水下側端部が、レール材と取付部材により、一体的に固定されるものであり、使用するレール材も取付部材も極めて簡易な部材であり、従来のように特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、従来のようにカバー材を用いないので、モジュール上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、モジュール表面を美麗に維持することができ、発電効率等の性能低下を招くこともない。また、太陽電池モジュールを取付部材でレール材に一体化させているため、取付部材を着脱することで、太陽電池モジュールの交換を容易に行うことができる。
【実施例1】
【0036】
図1〜3に示す太陽電池モジュール1の設置構造の第1実施例は、水下側、水上側に太陽電池モジュール1または外装材7が載置可能な支持部41,42を有するレール材4が、流れ方向に対して所定間隔で配設され、該レール材4,4間に太陽電池モジュール1または外装材7を敷設する構成である。
図1における太陽電池モジュール1は、水下側端部がレール材4上に載置され、その表面がレール材4に沿わせた取付部材6にて保持され、前記取付部材6は、レール材4の長手方向に対して一定間隔で配置すると共に、前面部62からレール材4に固定具6bを水下側上方から打ち込むことにより、レール材4と取付部材6が一体化されている構成である。なお、図中に符号8Aで示す下地である支持部材は、折板屋根状に成形した反射板9の山部9Bの頂部に固定されている。なお、この太陽電池モジュール1は、周辺機器の汎用性を高めるためにサイズを小さくした両面受光セル1を用いている。
図3における外装材7は、水下側の裏面がレール材4上に載置されると共に水上側を折曲した棟側成形部73がレール材4の水下端部に係止される。
【0037】
前記第1実施例に用いる太陽電池モジュール1は、図2に示すように略矩形状の太陽電池10を多面付けにて形成した両面受光(発電)型であり、太陽電池10は両面受光セルであって、下方(裏面側)に配した反射板9にて反射させた太陽光をも受光でき、図1(a),(b)に示すように裏面側に端子ボックス102及びケーブル101を突出させた構成であって、図示しないが、その端縁(小口)に止水、防水処理を施され、原則的にフレーム材を用いない構成である。
【0038】
前記レール材4は、前記太陽電池モジュール1または外装材7の流れ方向の端縁を支持する水上側支持部41、水下側支持部42を有し、後述する取付部材6の前面部62から固定具6bを打ち込む被固定部49を有し、いわゆる横桟に相当する構成であり、レール材本体4と第2レール材4Bとの複数部材にて構成される。
【0039】
図示実施例の水上側支持部41は、水上側を向く横片状であり、水下側支持部42は、水下側に設けられた上方が開放する溝内に弾性材46aが挿着された構成である。
また、この第1実施例におけるレール材4は、水下側へ突出する支持片43を有する構成であり、長さ方向に同一断面を有する長尺材とした。さらに、その水上側及び水下側に下方へ延在する縦片状の脚部44,44、該脚部44,44の下端に下地8Aに接地する接地部45,45、及び長さ方向に延在する溝状部47を、水上側支持部41と水下側支持部42との間に有する構成とした。
前記脚部44のうち、水上側に位置する脚部44を上方に延在させ、上方が開放する溝状空間である収容部48を形成し、該収容部48内に、太陽電池モジュール1の裏面側に位置するケーブル101を収容し、その上方を覆い材4Cにて塞ぐようにした。
また、前記支持片43の裏面側には、下方が開放する溝内に弾性材46bが装着され、前記太陽電池モジュール1または外装材7の水上側端縁を前記水下側支持部42に受支させた際に、上方に配された弾性材46a及び下方に配された弾性材46b間にそれぞれ接触するため、上下から挟み込まれ、弾性作用にて挟着状に取り付けられる。
【0040】
さらに、前記支持片43には、第2レール材4Bが上方からビス止め(ビス43b)にて取り付けられ、該第2レール材4Bの水下端には、水下側下方へ傾斜状の被固定部49が形成されている。
この被固定部49の表面には、後述する取付部材6を固定するための固定具6bの先端が当接する窪み491が設けられている。なお、この傾斜状の被固定部49の下端は、水上側へ折り返して(返し片492)略く字状に延在させている。
また、この第2レール材4Bは、中央より水上側に隆起部を有し、該隆起部の上面には太陽電池モジュール1の裏面を受支するクッション材4dが固着されている。
【0041】
前記取付部材6は、前記レール材4の長手方向に対して一定間隔で配置されるものであって、太陽電池モジュール1の水下側端部の表面を保持する保持部61と、前記レール材4(第2レール材4B)の水下端部(被固定部49)に沿う前面部62とからなり、前面部62から固定具6bを打ち込んでレール材4と一体化されるものである。
【0042】
図示実施例の保持部61は、太陽電池モジュール1の水下側端部の表面に重合状に沿わせる片であり、略へ字状に形成される取付部材6の上側横片である。
また、前面部62は、前記レール材4(4B)の被固定部49の表面に重合状に沿わせる水下側下方へ傾斜片状であって、その表面に形成された窪み621に、固定具6bの先端を当接させて打ち込むことにより、レール材4と取付部材6が一体化される。なお、前面部62の下端を、水上側へ略く字状に折り返して(返し片622)延在させ、該返し片622を被固定部49の下端の返し片492に係合させている。
【0043】
なお、図示実施例では、太陽電池モジュール1,1の左右の配設間隔に、継手カバー5を覆うように配設した。
この継手カバー5は、平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状であり、ビス等の固定具5bを表面側から打ち込んで前記捨板3の隆状部31の頂部に固定される。
【0044】
このような各部材にて施工される本発明の太陽電池モジュール1の設置構造は、太陽電池モジュール1の水下側端部が、レール材4と取付部材6により、一体的に固定されるものであり、使用するレール材4も取付部材6も極めて簡易な部材であり、従来のように特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、従来のようにカバー材を用いないので、モジュール1上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、モジュール表面を美麗に維持することができ、発電効率等の性能低下を招くこともない。また、太陽電池モジュール1を取付部材6でレール材4に一体化させているため、取付部材6を着脱することで、太陽電池モジュール1の交換を容易に行うことができる。
【0045】
また、この第1実施例では、レール材4が、水下側へ突出する支持片43を有し、この支持片43上に太陽電池モジュール1の水下側縁を載置しているので、太陽電池モジュール1の表面を伝う雨水等が、確実に水下側に隣接する太陽電池モジュール1上に導かれて排水される。
さらに、この第1実施例では、レール材4に収容部48を設けて太陽電池モジュール1のケーブル101を収容するようにしたので、ケーブル101の絡まり等を防止するばかりでなく、両面受光タイプの太陽電池モジュールを用いた場合に太陽光を遮断する(モジュール面に影を形成する)ことを防止する役割をも果たす。
また、太陽電池(両面受光セル)10の表裏を効果的に発電に利用することができ、片面受光型セルを配した通常の太陽電池モジュールの設置面積と同じ設置面積で、より大きな発電量を期待できる。さらに、下地面の全面に金属等の反射材を配設した場合には、反射材又は反射部としての加工性が容易になり、コストが低減されると共に、下地面上を金属で全面的に覆うことになるため防火性能にも優れる構造となる。
【0046】
図3には、前記第1実施例における太陽電池モジュール1の水上側、及び水下側に一般的な横葺き外装構造を配した接続部分を示し、少なくとも流れ方向の長さ寸法が前記太陽電池モジュール1と略等しい横葺き外装材7を用いることにより、横葺き外装材7を太陽電池モジュール1と同様に組み合わせて屋根面を構築したものである。
また、前記太陽電池モジュール1とこの横葺き外装材7との何れが水上側になろうとも前記構成のレール材4を用いている。
【0047】
前記横葺き外装材7は、略平坦状の面板部71の水下側の端縁に軒側成形部72を、水上側の端縁に棟側成形部73を形成した構成であり、これらの軒側成形部72と棟側成形部73とは、図示しない接続部分において相互に係合する構成とした。
軒側成形部72は、面板部71の軒縁を下方へ略鉛直状に曲げ、その下端を棟側へ曲げ成形し、続いて上方へ略く字状に屈曲し、さらにその先端を裏面面側へ折り返した構成とした。
棟側成形部73は、面板部71から延在する端縁を表面側へ折り返し状に曲げ成形し、その軒端を下方へ折り曲げた構成とした。
なお、この横葺き外装材7の金属材料素材としては、代表的には概ね0.4〜1.6mm程度の溶融亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板等の防錆処理鋼板、特殊鋼、非鉄金属、ステンレス鋼板、耐候性鋼板、銅板、アルミニウム合金板、鉛板、亜鉛板、チタニウム板などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは殆ど長尺なコイル状形態で供給される。
また、前記横葺き外装材7の裏面側には、結露防止、防音、防火対策上の理由により、ポリエチレンフォーム、グラスウールシート等のバックアップ材7Bが添装されている。
【0048】
そして、この図3(a),(b)に示す前記太陽電池モジュール1と前記横葺き外装材7との接続は、前述のように太陽電池モジュール1の取り付けに関しては、既に説明した通りであるが、前記横葺き外装材7の取り付けに関しては、以下に示すように、前記レール材4を吊子として取り付けるようにした。
図3(a)に示すように横葺き外装材7の軒側成形部72は、レール材4(第2レール材4B)の被固定部49の下端(返し片492)に係合状に取り付けることができる。
図3(b)に示すように横葺き外装材7の棟側成形部73は、レール材4(第2レール材4B)の水下側支持部42に取り付けた弾性材46a上に載置状に支持されると共に、表面側からはレール材4(第2レール材4B)や取付部材6にて押さえ保持することができる。
【0049】
図4及び図5に示す第2実施例の太陽電池モジュール1'の設置構造は、太陽電池モジュール1'を受支するレール材4や取付部材6、固定具6b等の構成は、前記第1実施例と同様であるが、レール材4を配設する下地部分の構成が異なる例である。
この第2実施例に用いる太陽電池モジュール1'は、図4(d)及び図5に示すように略矩形状の太陽電池(片面受光セル)10を多面付けにて形成したものであり、図示しないが、その端縁(小口)に止水、防水処理を施され、原則的にフレーム材を用いない構成である。
また、この第2示実施例(後述する図4(c)の工程)では、前記レール材4の上端に、捨板3を、流れ方向に配して太陽電池モジュール1',1'の左右の側端を支持するようにした。
この捨板3は、略中央に隆状部31を、その左右に複数条の水返し部32を、それぞれ長さ方向に沿うように有する構成であり、長さ方向に同一断面を有する定尺材とした。
【0050】
以下、この第2実施例の太陽電池モジュール1の設置構造の施工手順を図4(a)〜(d)に基づいて説明する。
【0051】
まず、図4(a)に示すように第1の工程に先立ち、流れ方向に沿うように図示しない下地8A上に排水部材2を配設した。この排水部材2は、略平坦状の底面21の左右の側縁を傾斜状に立ち上げた側面22,22の上端を略水平状に内側へ折曲して受部23,23とした構成の連続材である。この排水部材2の底面21は、排水部の底面であり、以下、排水部とする。
【0052】
そして、第1の工程では、図4(b)に示すように配設した排水部材2上に、前記構成のレール材(本体)4の端縁が臨むように略直交状に配設する。
なお、このレール材4は、配設以前に予めその脚部44,44を部分的に削除し、脚部44,44の上方部分が排水部材2の排水部21に臨むように配設する。
また、レール材4に設けた収容部48の上方に、既に覆い材4Cを装着しているが、この覆い材4Cは弾性を有する樹脂成形体で構成されているため、容易に着脱できるため、図示しないケーブル101の配設時に取り外して収容部48の内部に収容した後、取り付けることができる。
【0053】
次に、図4(c)に示すように前記第1の工程で取り付けたレール材4の水下側支持部42に前記構成の捨板3の水上側の端縁を受支させると共に、水下側に隣接するレール材4の水上側支持部41に捨板3の水下側の端縁を受支させるように取り付ける。
この第1実施例のレール材4には、前述のように水下側へ突出する支持片43が設けられているので、捨板3の水上側の端縁を、支持片43と水下側支持部42との間(空間)に挿入状に取り付ければよく、また捨板3の水下側の端縁を、水上側支持部41の上面と支持片43の上面に架け渡すように取り付ける。なお、前述のようにこのレール材4は、本体4と第2レール材4Bにて構成されているが、この時点で第2レール材4Bは、支持片43の表面に遊嵌状に沿わせた状態としているが、前述のように支持片43にビス止めして一体的に固定される。
【0054】
続いて第2の工程では、図4(d)に示すように前記第1の工程で取り付けたレール材4,4間に、太陽電池モジュール1'を敷設し、上段側のレール材4の水下側支持部42、下段側のレール材4の水上側支持部41に、太陽電池モジュール1'の水上側端部、水下側端部を載置するように支持させる。その際、前述のように捨板3を配設しているので、太陽電池モジュール1'の長さ方向の端縁が支持されるように配設する。
この図示実施例では、前述のようにレール材4には、弾性材46a,46bが取り付け得られ、該弾性材46a,46b間に太陽電池モジュール1'の水上側端縁を取り付けるので、該水上側端縁は、上下から挟み込まれ、弾性作用にて挟着状に取り付けられるものとなる。
また、前述のようにレール材4の支持片43の表面には、第2レール材4Bを固定し、該第2レール材4B上にはクッション材4cを固着しているので、太陽電池モジュール1'の水下側端縁は、捨板3の水上側の端縁を介してレール材4の水上側支持部41に支持され、更にその水下側の端縁を、第2レール材4B上のクッション材4cに支持されるものとなる。
【0055】
さらに、第3の工程では、前記構成の取付部材6を上方からレール材4の水下端部に重合状に沿わせ、水下側上方から固定具6bを、前面部62(及びその裏面側の被固定部49)に打ち込むことにより、配設した太陽電池モジュール1'の水下側端部に、レール材4と取付部材6とを一体化させる。
この取付部材6の取り付けは、保持部61を太陽電池モジュール1'の水下側端部の上面に載置するように重合状に沿わせると共に、レール材4(第2レール材4B)の被固定部49に、前面部62を上方から被せるように配設すればよいので、極めて容易に実施できる。また、固定具6bの打ち込みは、前述のように固定具6bの先端を窪み621に当接させ、水下側上方から打ち込めばよいので、極めて容易に実施できる。
その結果、取付部材6の前面部62とレール材4(第2レール材4B)の被固定部49とが重合状に一体化され、太陽電池モジュール1'の水下側端部に、レール材4と取付部材6が一体的に固定されるものとなる。
【0056】
その後、図示実施例(図5)では、前記第3の工程で取り付けた太陽電池モジュール1',1'の左右の配設間隔に前記構成の継手カバー5を覆うように配設した。この第1実施例では、前記構成の捨板3に、前述のように略中央に隆状部31が、その左右に水返し部32が、それぞれ長さ方向に沿うように設けられているので、継手カバー5を配設してビス等の固定具5bを隆状部31に打ち付けて固定することができる。
【0057】
このように施工する本発明の太陽電池モジュール1'の設置方法は、レール材4を配設する第1の工程も、太陽電池モジュール1'を配設する第2の工程も、取付部材6を配設し、固定具6bを打ち込んで固定する第3の工程も、それぞれ表面側から極めて容易に実施することができる。
【0058】
さらに、前記レール材4及び前記捨板3は、前述のようにそれぞれ長さ方向に同一断面を有する構成としたので、使用する太陽電池モジュール1の流れ方向の長さ寸法に応じてレール材4の長さを適宜に成形(切断)することができ、使用する太陽電池モジュール1'の桁行き方向の長さ寸法に応じて捨板3を長さを適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の太陽電池モジュールも極めて容易に対応することができる。
しかも、図示実施例のレール材4には、水上側及び水下側の支持部41,42間に溝状部47を設けたので、仮に太陽電池モジュール1の裏面側に雨水が回り込むことがあったとしてもレール材4の溝状部47から排水部材2の排水部21へ導いて水下側へ流下させることができる。
【0059】
さらに、前記第2の工程にて捨板3を取り付ける作業において、その水上側の端縁を、支持片43と水下側支持部42との間(空間)に挿入状に取り付ければよく、また水下側の端縁を、水上側支持部41の上面と支持片43の上面に架け渡すように取り付ければよいので、施工性にも優れており、更には少なくとも捨板3の水上側の側縁の浮き上がりが、支持片43にて防止される。
また、この第1実施例では、捨板3の略中央に隆状部31を、その左右に水返し部32を、それぞれ長さ方向に沿うように設けたので、継手カバー5を固定する固定具5bを隆状部31に打ち付けることができ、また継手カバー5の裏面側に雨水等が浸入しても水返し部32にて確実に水下側へ雨水等を流下させることができる。
【0060】
図6(a)〜(d)に示す第3〜第6実施例は、それぞれレール材4III〜4VIが単一部材にて構成され、それぞれ取付部材6III〜6VIの各保持部61と太陽電池モジュール1の水下側端部の表面との間に厚み方向に弾性を有する保持具6cを介在させて一体化させたものである。
なお、排水部材2及び排水部21は、前記第2実施例と同様の長尺材である。また、図示省略したが、太陽電池モジュール1、及びレール材4III〜4VIより下方の構成は、前記第1実施例もしくは第2実施例と同構成でも良い。
【0061】
図示実施例の保持具6cは、ゴム弾性を有する定形(略楔状の挿入部を有する形状)材であって、この保持具6cを前記取付部材6III〜6VIの各保持部61の裏面側に配設した状態で太陽電池モジュール1の水下側端部の表面に被せるように取り付け、この状態で上方又は水下側上方から固定具6bを打ち込んで取付部材6III〜6VIを固定する。
【0062】
図6(a)の第3実施例における取付部材6III及び図6(b)の第4実施例における取付部材6IVは、共に略M字状であって、略垂直状に固定具6bを打ち込んでレール材4III,4IVに固定している。
両実施例の相違は、固定具6bを固定する略水平状の横片の長さが後者の方が僅かに長く、固定具6bの下端が弾性材6bの水下側に位置するか、水下側に位置するかの相違であって、仮に固定具6bを伝って雨水が取付部材6III,6IVの裏面側に浸入することがあったとしても、第3実施例では専ら下段側の太陽電池モジュール1上に導いて水下側へ流下させることができ、第4実施例では溝状部47に導いて該溝状部47から排水部材2の排水部21へ導いて水下側へ流下させることができる。
なお、この第3実施例及び第4実施例におけるレール材4III,4IVは、前述のように単一部材からなり、固定具6bを打ち込む前記第1実施例では被固定部49に相当する部位が略水平片状である以外は、符号を付記しないが、収容部48に相当する上方が開放する溝状空間も、太陽電池モジュール1の裏面を受支するクッション材4dも、太陽電池モジュール1の水上側端縁を挟着状に保持する弾性材46a,46bも備えている。
【0063】
図6(c)の第5実施例における取付部材6V及び図6(d)の第6実施例における取付部材6VIは、共に固定具6bを打ち込む部分63',63"が傾斜状であり、該傾斜部分63',63"を支持する被固定部49',49"も傾斜状にレール材4V,4VIに形成されているので、保持具6cを圧縮するため、上方から圧縮する際にも傾斜部分63',63"を被固定部49',49"に当接させた状態で下方へずらせつつ打ち込み作業を行うことができるため、安定に適正位置に固定具6bを打ち込むことができる。
両実施例の相違は、第6実施例の取付部材6VIには、固定具6bの打ち込み部分63"の直上に水上側へく字状に突出する突出部64が設けられているため、傾斜部分63"と被固定部49"との接している距離が長く、より安定に適正位置に固定具6bを打ち込むことができる。
【0064】
そして、これらの第3〜第6実施例では、厚み方向に弾性を有する保持具6cを用いたので、仮に固定具6bの打ち込みに不備があった場合に容易に認識することができ、適宜に修繕を施すことができる。また、これらの第3〜第6実施例における保持具6cは、がたつきの解消にも寄与するものとなる。さらに、保持具6cを介在させて取付部材6III〜6VIを配した状態では、取付部材6III〜6VIは太陽電池モジュール1やレール材4III〜4VIから浮いた状態であるため、固定具6bの打ち込みによりその浮きが解消されていくため、打ち込み作業の目安にもなる。
【符号の説明】
【0065】
1 太陽電池モジュール
10 太陽電池
2 排水部材
21 排水部(底面)
3 捨板
31 隆起部
32 水返し部
4,4III〜4VI レール材
4B 第2レール材
41 水上側支持部
42 水下側支持部
43 支持片
44 脚部
45 接地部
46a,46b 弾性材
47 溝状部
48 収容部
49 被固定部
5 継手カバー
6,6III〜6VI 取付部材
61 保持部
62 前面部
6b 固定具
7 外装材
72 軒側成形部
73 棟側成形部
8A 支持部材
9 反射板
図1
図2
図3
図4
図5
図6