(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の水虫治療具においては、加熱体を含む水虫治療片を熱伝導率が大きな銅で形成するため、ヒーターへの通電を少しの時間止めただけでも加熱体の温度が大きく下がってしまい、加熱体が冷めやすい。また、水虫治療片の基端にヒーターを巻付け、これら両者の外面を保護筒で覆うため、保護筒の直径が大きくなるのを避けられず、使用時の使い勝手が悪い。
【0006】
また、特許文献1の水虫治療具においては、棒状の水虫治療片の殆どの部分が空気中に露出しているため、ヒーターの熱が先端の加熱体に伝導するまでの間に、熱の一部が水虫治療片の表面から空気中へ放出されてしまう。つまり、特許文献1の水虫治療具は、ヒーターの熱の利用効率の点で問題がある。
【0007】
特許文献2のマッサージ器においては、マッサージローラーを回転自在に支持する中空軸の内部にヒーターを配置し、ヒーターが発する熱を、中空軸を介してマッサージローラーへ伝導している。しかし、ヒーターと中空軸との間に熱伝導率の低い空気が介在しているため、ヒーターの熱を中空軸へ効率良く伝導できない。
【0008】
また、特許文献2のマッサージ器においては、中空軸の内部にヒーターと温度センサーが近接した状態で配置してあるため、ヒーターの熱を温度センサーが直接的に感知して、ヒーターへの給電状態が切換えられる。そのため、マッサージローラーが充分に加熱されていない状態であるにも拘らず、ヒーターに対する給電が停止され、あるいは、ヒーターの温度が一定以下になると給電が再開されるなど、給電状態が短いサイクルで頻繁に切換えられる。そのため、肝心なマッサージローラーの温度状態を適温に維持し、安定させることが困難となる。
【0009】
本発明の目的は、熱源の熱を加熱体へ効率良く伝導して、加熱体を温度むらの無い状態で均一に加熱でき、さらに使用時における加熱体の温度状態を好適化し安定させることができる温熱器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る温熱器具において、加熱ヘッド2は、肌面に接触する加熱体20と、加熱体20の内部の発熱空間25に収容されて、加熱体20を加熱する熱源22とを含む。発熱空間25の内部に、熱源22の熱を加熱体20に熱伝導作用で伝導する伝熱体21を配置することを特徴とする。
【0011】
伝熱体21を、発熱空間25の内面に密着する軟質材で構成する。
【0012】
熱源22の発熱部53の全体を、伝熱体21の内部に埋設する状態で封入する。
【0013】
発熱部53の全体を、板状の発熱体で構成する。
【0014】
伝熱体21は、複数の分割体40・41を接合して構成する。分割体40・41の接合面の間に設けた熱源装填部50に熱源22を配置する。
【0015】
加熱ヘッド2は温度センサー23を含み、温度センサー23の検知信号に基づいて熱源22の発熱状態を制御する。温度センサー23のセンサー本体59を、伝熱体21の内部に設けた装着部61に装着する。
【0016】
発熱空間25を、温熱器具の本体部1で支持される加熱体20の基端部から、加熱体20の先端部の内部にわたって、上下に長い凹穴として形成する。発熱空間25に装填した伝熱体21の上端部側に設けた装着部61にセンサー本体59を配置し、伝熱体21の下半側に設けた熱源装填部50に熱源22を配置する。
【0017】
センサー本体59から導出されるセンサーリード60を、伝熱体21の周面に凹み形成した導出部62に沿って、発熱空間25の外へ導出する。
【0018】
装着部61は、伝熱体21の周面で開口する。導出部62は、伝熱体21の周面に凹み形成される導出溝64と、装着部61と導出溝64とを接続する導出穴63とで構成する。センサーリード60を、装着部61および導出穴63に挿通して、センサー本体59が装着部61に装填された状態で、センサーリード60を折り曲げて導出溝64に沿わせる。
【0019】
伝熱体21を構成する分割体40・41のひとつに、熱源装填部50から発熱空間25の外へ向かって絶縁用のリブ44を突設する。熱源22の一対の端子部54・54を、リブ44を間にして分離配置する。
【0020】
伝熱体21と熱源22とをユニット部品化する。
【0021】
熱源22の発熱部53の全体を板状の発熱体で構成して、伝熱体21と熱源22のユニット部品を発熱部53の厚み方向へ湾曲する。中心線が湾曲する発熱空間25の内部に、前記ユニット部品を湾曲する状態で配置する。
【0022】
伝熱体21に、感温変色性材を含む温度表示部67を設ける。温度表示部67を、温熱器具の本体部1から加熱ヘッド2に至る間の器具外面に露出させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る温熱器具においては、加熱体20の発熱空間25に伝熱体21を配置し、熱源22の熱が伝熱体21を介して加熱体20に熱伝導作用で伝わるようにした。このように、熱伝導媒体である伝熱体21を発熱空間25に収容すると、発熱空間25を中空とする場合(空気を熱伝導媒体にし、さらに熱源22の放射作用で熱伝導を行う場合)に比べて、熱源22の熱を加熱体20へ効率良く伝導して、加熱体20を温度むらの無い状態で均一に加熱することができる。また、発熱空間25に伝熱体21を配置すると、発熱空間25を中空とする場合に比べて、加熱ヘッド2の全体の熱容量を大きくすることができるので、熱源22への通電を停止したときに加熱体20が冷めにくくなり、温熱器具がオフになってからしばらくの間は、加熱体20の表面温度が適温近くに保持される。従って、温熱器具の使用終了後のオフ時間が短い場合には、再び温熱器具をオンにしてすぐに、その使用を再開することができる。
【0024】
発熱空間25の内面に密着する軟質材で伝熱体21を構成すると、加熱体20と伝熱体21との密着面積を大きくできるので、伝熱体21から加熱体20へより効率良く熱を伝導できる。また、伝熱体21の熱を全ての密着面において加熱体20に伝導して、加熱体20をむらなく均一に加熱することができる。さらに、温熱器具の落下などによって加熱体20に衝撃が作用する場合に、その衝撃を軟質材からなる伝熱体21で吸収して熱源22を保護することができる。
【0025】
熱源22の発熱部53の全体を、伝熱体21の内部に埋設する状態で封入すると、熱源22で生成した熱のほぼ全量を、伝熱体21を介して加熱体20に伝導できるので、熱源22の熱の利用効率を向上することができる。これにより、最小限の生成熱量で加熱体20を適温まで加熱できるので、温熱器具の消費電力を低減化できる。なお、発熱部53を伝熱体21の内部に埋設する方法としては、伝熱体21を複数の分割体40・41で構成し、分割体40・41の接合面の間に発熱部53を配置するサンドイッチ構造や、熱源22を金型内に配置して行うインサート成形を挙げることができる。
【0026】
発熱部53の全体を板状の発熱体で構成すると、これを螺旋コイル状などに形成する場合に比べて、発熱部53をコンパクト化して、伝熱体21における熱源22の収容スペースを小さくすることができる。これは、発熱部53の発熱量を一定とし、板状の発熱体の厚みと線状の発熱体の直径とが同じである場合には、線状の発熱体の全長寸法が長くなり、占有するスペースが大きくなるからである。熱源22の収容スペースを小さくすると、伝熱体21の外形寸法を小型化することができるので、伝熱体21を収容する発熱空間25を小型化して、加熱体20をコンパクト化することができる。また、板状の発熱体で構成した熱源22は、発熱部53の断面が略矩形状であるため、これが円形である場合に比べて伝熱体21との接触面積が大きくなる。従って、熱源22の熱を伝熱体21へより効率良く伝導することができる。
【0027】
伝熱体21を複数の分割体40・41で構成し、これら分割体40・41の接合面の間に熱源22を配置するサンドイッチ構造によれば、熱源22の形状にかかわらず発熱部53を伝熱体21に埋設することができる。一方、上述のインサート成形による方法は、熱源22が比較的小型の場合には適用できない。
【0028】
温度センサー23の検知信号に基づいて熱源22の発熱状態を制御すると、ユーザー自らが熱源22を発熱制御する必要が無く、ユーザーにとって使い勝手の良い温熱器具を提供できる。また、温度センサー23のセンサー本体59を、伝熱体21の内部に設けた装着部61に装着すると、伝熱体21の温度状態を的確に検知し、その検知信号に基づいて熱源22の発熱状態を制御して、伝熱体21を適温に保持することができる。熱伝導媒体である伝熱体21は、熱源22の温度と加熱体20の温度との中間の温度状態になる。この伝熱体21を一定の温度に保持することにより、伝熱体21からの熱伝導作用で加熱される加熱体20の表面温度を安定化できる。
【0029】
伝熱体21の上端部側の装着部61にセンサー本体59を配置し、伝熱体21の下半側の熱源装填部50に熱源22を配置して、温度センサー23と熱源22を上下に分離配置すると、温度センサー23が熱源22の熱を直接的に感知するのを避けて、加熱体20の先端部に近い伝熱体21の上端部の温度状態を的確に検知できる。従って、温度センサー23の検知信号に基づいて熱源22の発熱状態を制御して、伝熱体21の上端部を一定の温度に保持することができ、これにより、使用頻度の高い加熱体20の先端部の表面温度をより確実に安定化できる。
【0030】
センサー本体59から導出されるセンサーリード60を、伝熱体21の周面に凹み形成した導出部62に沿って、発熱空間25の外へ導出すると、発熱空間25においてセンサーリード60を伝熱体21の外郭線内に収容することができる。従って、センサーリード60を伝熱体21の外郭線の外側に配置する場合に比べて、伝熱体21と温度センサー23のユニット部品を小型化できるので、その分だけ発熱空間25を小型化して、加熱体20をコンパクト化することができる。
【0031】
センサーリード60を装着部61および導出穴63に挿通して、センサー本体59が装着部61に装填された状態で、センサーリード60を折り曲げて導出溝64に沿わせる。この組み付け形態によれば、センサーリード60を折り曲げることで、センサー本体59を装着部61に確りと固定でき、逆に、センサー本体59でセンサーリード60を導出溝64に保持固定できる。これらの相互作用によって、伝熱体21に対する温度センサー23の装着状態を維持できるので、別途固定構造を設ける必要が無く、組み付け工程を簡便化できる。
【0032】
熱源22の一対の端子部54・54を、リブ44を間にして分離配置すると、端子部54・54同士が接触してショートするのを確実に防止できる。また、伝熱体21を構成する分割体40・41のひとつにリブ44を突設すると、リブ44を伝熱体21と別体にする場合に比べて部品点数を減らして、加熱ヘッド2の製造コストを削減できる。また、端子部54・54の絶縁構造を本体部1の側に設ける必要が無くなるので、本体部1の構造を簡素化することができる。
【0033】
伝熱体21と熱源22とをユニット部品化すると、加熱体20に対して伝熱体21および熱源22を最小限の手間で迅速に組み付けることができる。
【0034】
熱源22の発熱部53の全体を板状の発熱体で構成すると、発熱部53を問題なく湾曲させて、伝熱体21と熱源22のユニット部品を湾曲変形できる。これによれば、加熱体20の発熱空間25が湾曲していても、その湾曲形状に合致するようにユニット部品を湾曲変形させて、発熱空間25に収容することができる。このように、ユニット部品が湾曲変形可能であると、発熱空間25の湾曲度合が異なる複数種の加熱体20に対し、1種類のユニット部品を用意するだけで足りるので、加熱ヘッド2の製造コストを削減できる。
【0035】
感温変色性の温度表示部67を伝熱体21に設けると、伝熱体21の温度状態を温度表示部67の呈色状態の違いとして表示できる。ユーザーは、器具外面に露出する温度表示部67の色合いを目視するだけで、伝熱体21の温度状態、すなわち加熱体20の温度状態を、その表面に実際に触れることなく知ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施例)
図1ないし
図8は、本発明を唇用の美容器具に適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において美容器具は、上下に長い筒状の本体部1と、本体部1の上端から上向きに突出する状態で設けた加熱ヘッド2と、加熱ヘッド2の外面を覆うキャップ3などで構成してある。本体部1およびキャップ3の外形の横断面は、左右方向を長軸方向とする楕円形状に形成してある。本体部1の前面には、美容器具の運転状態を切り換え操作するためのスイッチノブ4と、運転状態を表示する表示部5とが設けてある。本体部1の内部には、加熱ヘッド2などに対して駆動電流を供給する電池6と、回路基板7などが収容してある。回路基板7には、スイッチノブ4で切り換え操作されるスイッチ素子や、加熱ヘッド2に対する給電状態を制御する制御回路、および表示部5の光源となるLEDなどが実装してある。電池6は、1次電池と2次電池のどちらであってもよい。
【0038】
図3において本体部1は、グリップを兼ねる本体ケース10と、本体ケース10に組付けられる保持ケース11とで構成してあり、保持ケース11の上端に先の加熱ヘッド2が組付けてある。本体ケース10は、上面が開口する有底筒状に形成してあり、その内部に保持ケース11の下半部が収容してある。本体ケース10の前面の上端部にはU字状の切欠12が形成してあり、保持ケース11を本体ケース10に組付けた状態において、スイッチノブ4が切欠12に入り込むようにしてある。保持ケース11は、前ケース13と後ケース14とを蓋合わせ状に接合して構成してあり、前後ケース13・14の接合面の間に回路基板7が挟持固定してある。前ケース13の下半部には電池ホルダー15が一体に設けてあり、保持ケース11を本体ケース10から抜外した状態において、電池6を電池ホルダー15に着脱することができる。
【0039】
図1において加熱ヘッド2は、上下に長い丸筒状の加熱体20と、加熱体20の内部に収容される伝熱体21と、加熱体20を加熱する熱源22と、加熱体20の温度状態を検知する温度センサー23とを備える。加熱体20は、アルミニウム製の丸棒に旋削加工と研削加工とを施して形成してあり、伝熱体21を収容するための下向きに開口する発熱空間25を備えている。発熱空間25は断面が円形の上下に長い凹穴として形成してある。
【0040】
加熱体20の先端部に伝熱部26が形成してある。伝熱部26は、加熱体20の上半部を占めており、その上端に設けた半球状のマッサージ面27と、マッサージ面27の下側に連続する断面円形の肌摺接面28とで砲弾状に形成してある。肌摺接面28は、リップクリームを唇表面に塗り伸ばすための展伸面として機能し、さらに唇をマッサージするためのマッサージ面として機能する。発熱空間25の上端はマッサージ面27の内側に至っており、マッサージ面27および肌摺接面28における厚み(各面27・28から発熱空間25の内面までの距離)は略均一である。これによれば、伝熱部26の全体をむら無く加熱して、マッサージ面27および肌摺接面28の表面温度を略均一化できる。
【0041】
図4において、加熱体20の基端部には、加熱体20を保持ケース11に装着するための装着軸30が丸軸状に形成してあり、装着軸30の下側に連続する加熱体20の下端には、装着軸30よりも外径寸法の大きいフランジ部31が左右に張り出してある(
図4参照)。前後ケース13・14の上端の対向面に設けた軸受部32で装着軸30を軸支することにより、加熱体20は保持ケース11で支持される。また、保持ケース11に対する加熱体20の回転を規制するための回り止め構造が、保持ケース11と加熱体20の間に設けてある。
図1において回り止め構造は、フランジ部31の前後2個所に設けた切欠33と、前後ケース13・14に1個ずつ設けた規制片34とで構成してあり、各規制片34が切欠33に入り込むことにより、保持ケース11に対する加熱体20の回転が規制される。
【0042】
伝熱体21は、熱源22の熱を加熱体20に熱伝導作用で伝導する。
図4および
図5において伝熱体21は、全体として上下に長い円柱状に形成してあり、大小2個の分割体40・41を連結した連結体で構成してある。各分割体40・41は、熱伝導性および絶縁性に優れた軟質のシリコーンゴムの成形品からなり、両分割体40・41を連結してなる伝熱体21の外郭寸法は、加熱体20の発熱空間25よりも僅かに大きく設定してある。そのため伝熱体21は、発熱空間25に対して、その内面に密着する状態で収容される。
【0043】
図5において大型の分割体(以下、大分割体と言う。)40は、上側の円柱部42と、下側の半円柱部43と、上下に長いリブ44とを一体に備えている。半円柱部43は、円柱の左半部を切り欠いた半円柱状に形成してあり、半円柱部43の左面の前後方向中央にリブ44が突設してある。リブ44の上端と円柱部42との間には上下方向の隙間が形成してあり、リブ44の下部は半円柱部43の下面よりも下方へ突出している。リブ44の突端面には、半円柱部43の下端面よりも上側の部分に、上下一対の凸部44a・44aが突設してある。
【0044】
小型の分割体(以下、小分割体と言う。)41は、大分割体40の半円柱部43と同径の半円柱状に形成してある。小分割体41と半円柱部43を接合することにより、円柱部42と同径の円柱体を形成して、全体として上下に長い円柱状の伝熱体21を形成することができる。小分割体41における半円柱部43との接合面には、リブ44と係合する上下に長い溝45が形成してある。リブ44の突端面と対向する溝45の底面には、リブ44の凸部44a・44aと係合する上下一対の凹部45a・45aが凹設してある。小分割体41の上端面と、これに臨む円柱部42の下端面とには、互いに係合する係合突起46と係合凹部47が形成してある。
図4に示すように、両分割体40・41を接合した伝熱体21においては、リブ44と溝45の上端面どうしを当接し、さらに上下一対の凸部44a・44aと凹部45a・45aを係合することにより、大分割体40と小分割体41の上下方向の位置ずれを防止している。また、係合突起46と係合凹部47を係合することにより、大分割体40と小分割体41の左右方向の位置ずれを防止して、小分割体41と半円柱部43の接合面どうしが離れることを防止している。
【0045】
半円柱部43の外周面の下端には、径方向へ突出する前後一対の突起48・48が形成してあり、各突起48は、伝熱体21を発熱空間25に収容した状態において、加熱体20のフランジ部31に設けた切欠33に係合する(
図1参照)。伝熱体21を加熱体20に組み付ける際に、突起48と切欠33の位置を合わせることにより、加熱体20に対する伝熱体21の周方向の位置決めを行うことができる。また、突起48と切欠33が係合することにより、加熱体20に対する伝熱体21の回転を規制することができる。なお、伝熱体21と発熱空間25の間に生じる摩擦力によっても、加熱体20に対する伝熱体21の回転を規制することができる。
【0046】
図1および
図5において熱源22は、一筆書き状に形成した発熱部53と、発熱部53の両端にそれぞれ設けた端子部54・54とを備える板状の発熱体で構成してあり、両端子部54・54に通電することによって発熱部53が発熱する。発熱部53は、つづら折り状に形成した一対の屈曲部55・55と、両屈曲部55・55の一端どうしを繋ぐ直線状の接続部56とを備えており、各屈曲部55の他端は端子部54に連続している。屈曲部55および接続部56の断面は略矩形状である。端子部54は、屈曲部55および接続部56よりも幅広の平板状に形成してある。発熱部53および端子部54は、その厚み方向に湾曲変形できる。この熱源22は、例えば1枚のステンレス板材にエッチング加工を施して形成することができる。
【0047】
熱源22と、後述する温度センサー23とを伝熱体21に組み付けて、伝熱体21と熱源22と温度センサー23の三者がユニット部品化してある。このユニット部品においては、熱源22の発熱部53の全体が、伝熱体21の内部に埋設する状態で封入される。詳しくは、半円柱部43と小分割体41との接合面の間に熱源装填部50が設けてあり、発熱部53の全体と各端子部54の上部とが熱源装填部50に封入してある。封入された状態の発熱部53は、半円柱部43と小分割体41とでサンドイッチ状に挟み保持される。
【0048】
各端子部54の下半部は、半円柱部43および小分割体41の下端面から、保持ケース11内へ下向きに突出しており、リード線57を介して回路基板7に接続してある。一対の端子部54・54の間、および発熱部53の両屈曲部55・55の間には、これらの上下方向の全長にわたって、半円柱部43に設けたリブ44が配置してあり、これにて端子部54・54どうし、および屈曲部55・55どうしが分離され絶縁されている。発熱部53の接続部56は、リブ44の上端と円柱部42の間の隙間に収容されている。熱源22は、伝熱体21の中心軸を通る平面上に配置されている。
【0049】
大分割体40に熱源22と小分割体41とを記載順に組み付けることにより、熱源22と伝熱体21を一体化できる。熱源22を組み付ける際は、一対の端子部54・54、および屈曲部55・55の間にリブ44が入り込み、接続部56がリブ44と円柱部42の間の隙間に入り込むようにする。リブ44は、大分割体40に対して熱源22を位置決めする役割と、端子部54・54どうし、および屈曲部55・55どうしを絶縁する役割と、小分割体41の溝45に係合して両分割体40・41を位置決めし連結する役割とを兼ねる。
【0050】
図4において温度センサー23は、チップ状のNTCサーミスタからなるセンサー本体59と、センサー本体59から導出されるセンサーリード60とで構成されて、伝熱体21の大分割体40に組み付けてある。詳しくは、大分割体40には、センサー本体59を装着するための装着部61と、センサーリード60を発熱空間25の外へ導出するための導出部62とが連続状に形成してある。装着部61は、大分割体40の円柱部42の上下方向略中央部に配置してあり、左右方向(伝熱体21の径方向)を軸方向とする丸穴状に形成してある。装着部61の左端は、伝熱体21の周面で発熱空間25の内面へ向かって開口しており、右端は導出部62に連通している。導出部62は、装着部61よりも小径の左右に長い導出穴63と、大分割体40の右側の周面に沿って上下方向(伝熱体21の軸方向)へ伸びる導出溝64とで構成してある。導出穴63の左端は装着部61の右端に連通しており、導出穴63の右端は導出溝64の上端に連通している。導出溝64は、大分割体40の周面に凹み形成した断面コ字状の溝からなり(
図7参照)、導出穴63の右端から半円柱部43の下端にわたって形成してある。
【0051】
温度センサー23は、大分割体40に対して次のように組み付ける。
図6に示すように、センサーリード60を装着部61の開口から装着部61および導出穴63に挿通し、導出穴63から外方へ突出したセンサーリード60を引っ張って、センサー本体59を装着部61内へ引き寄せる。センサー本体59の全体が装着部61に装填された状態で、導出穴63と導出溝64の境界部分においてセンサーリード60を下向きに折り曲げて導出溝64に沿わせる。この組み付け形態によれば、センサーリード60を折り曲げることで、センサー本体59を装着部61に確りと固定でき、逆に、センサー本体59でセンサーリード60を導出溝64に保持固定できる。これらの相互作用によって、伝熱体21に対する温度センサー23の装着状態を維持できる。
【0052】
温度センサー23の組み付けは、大分割体40に対する熱源22および小分割体41の組み付けの前後に行う。伝熱体21、熱源22および温度センサー23を一体化したユニット部品を、加熱体20の発熱空間25に収容すると、加熱ヘッド2を構成する加熱体20、伝熱体21、熱源22、および温度センサー23の四者を一体化できる。
【0053】
発熱空間25の外へ導出されたセンサーリード60は、保持ケース11内で回路基板7に接続してある。回路基板7の制御回路は、温度センサー23の検知信号を受けて熱源22の発熱状態を制御し、伝熱部26の表面温度を36℃以上45℃以下の任意の温度、例えば40℃に保持する。伝熱部26の表面温度が36℃未満であると、化粧料のパラフィン成分を軟化させるのが難しくなり、化粧料を塗り伸ばすのに多くの時間が掛かる。また、伝熱部26の表面温度が45℃を越えると、唇の肌面が弱いユーザーの場合に低温やけどを生じるおそれがある。
【0054】
装着部61を丸穴で構成して、温度センサー23のセンサー本体59を伝熱体21の内部に装着すると、伝熱体21の温度状態を的確に検知できる。また、伝熱体21の大分割体40の円柱部42にセンサー本体59を配置し、半円柱部43と小分割体41の間の熱源装填部50に熱源22を配置して、センサー本体59と熱源22を上下に分離配置すると、センサー本体59が熱源22の熱を直接的に感知するのを避けて、円柱部42すなわち伝熱体21の上端部の温度状態を的確に検知できる。従って、温度センサー23の検知信号に基づいて熱源22の発熱状態を制御して、伝熱体21の上端部を一定の温度に保持することができ、これにより、加熱体20の上端部すなわち伝熱部26の表面温度を安定化して、肌面に直接作用する部位である伝熱部26の表面温度を常に適温に保持することができる。
【0055】
センサー本体59用の装着部61を丸穴で構成し、センサーリード60用の導出部62を導出穴63と導出溝64とで構成すると、発熱空間25においてセンサー本体59およびセンサーリード60を伝熱体21の外郭線内に収容することができる。これによれば、伝熱体21の外郭線の外側に温度センサー23を配置する場合に比べて、伝熱体21と温度センサー23のユニット部品を小型化できるので、その分だけ発熱空間25を小型化して、加熱体20をコンパクト化することができる。導出溝64を大分割体40の周面に配置し、熱源装填部50を半円柱部43と小分割体41の接合面の間に配置すると、導出溝64に収容したセンサーリード60と熱源22を伝熱体21の径方向に隔てて、熱源22の熱でセンサーリード60が損傷するのを確実に防止できる。なお、センサーリード60には絶縁皮膜が施してあり、導出溝64に収容したセンサーリード60と加熱体20が導通することはない。
【0056】
次に、本実施例に係る美容器具の使用法について説明する。スイッチノブ4をオン操作すると、スイッチ素子のオン信号を受けた制御回路によって、電池6の電力が熱源22に供給されて、熱源22が発熱し始める。加熱体20が適温になるまでの時間(約30秒)を利用して、唇にリップクリームをたっぷりと塗布する。次に、加熱体20が唇と正対するように本体部1を持った状態で、加熱体20の肌摺接面28を唇の表面に接触させて、唇の中央から側端へ向かって加熱体20を繰返し往復させてリップクリームを塗り伸ばす。このとき、加熱体20から伝動される熱によって、リップクリームに含まれるパラフィン油脂類やワックス類が軟化して液状化するため、
図8に示すように、唇に縦皺が形成されていたとしても、皺の内部にまでリップクリームを染込ませることができる。このとき、肌摺接面28に接触する唇に、摺擦作用による動的な刺激と温熱を与えられるため、血行の促進効果を発揮することができる。
【0057】
上記のように、リップクリームを唇の肌面に沿って均等に塗り伸ばした後に、マッサージ面27を唇の表面にあてがって、円を描くようにして温熱を加えながら唇全体のマッサージを行う。さらに、唇の輪郭線に沿って円を描くようにマッサージ面27を動かして、唇の輪郭部分のマッサージを行う。最後に、唇の周辺、あるいは唇の肌面に付着したリップクリームを軽くティッシュオフして唇のケアを終了する。唇のケアを行ったのちに口紅を塗布することにより、口紅の塗布状態を滑らかで潤いに富んだ状態に仕上げることができる。
【0058】
半球状のマッサージ面27と、断面円形の肌摺接面28とで砲弾状に形成した伝熱部26によれば、マッサージ面27と肌摺接面28を使い分けて、唇をマッサージし、あるいは化粧料を塗り伸ばすことができる。また、断面が円形の肌摺接面28で化粧料を塗り伸ばすので、肌面と接触する肌摺接面28の部位の変更を円滑に行うことができ、従って、肌摺接面28による化粧料の塗り伸ばし作業をさらに簡便に行うことができる。さらに、加熱体20の突端のマッサージ面27を肌面や唇に押付けた状態でマッサージを行うことにより、肌面に対してより綿密にしかも的確にマッサージ刺激を与えることができるので、マッサージ効果を増進して肌面の血行を促進できる。なお、ユーザーによっては、リップクリームを塗り伸ばすためにマッサージ面27を使用することが想定され、従ってマッサージ面27と肌摺接面28の機能の使い分けはユーザーの好みに委ねることとなる。
【0059】
以上のように、本実施例に係る美容器具によれば、リップクリームを唇の肌面に沿って塗り伸ばした後に、加熱体20を唇の表面にあてがって、温熱を加えながら唇全体のマッサージを行うことにより、唇の状態を良好な状態に整えることができる。具体的には、唇の肌面がマッサージによって動的に刺激される効果と、温熱が加えられることによる皮膚細胞の活性化を促す効果とが得られるので、動的な刺激効果と活性効果との相乗効果で唇の血行を促進できる。これに伴い、唇の肌面の色合いを自然な状態に回復し、唇の表面状態を艶やかでふっくらとした状態に整えることができる。さらに、唇のケアを行ったのちに口紅を塗布することにより、口紅の塗布状態を滑らかで潤いに富んだ状態に仕上げることができる。
【0060】
食後や退社前などの化粧直しなどの際には、口紅をティッシュペーパーで拭取った後、リップクリームを塗り伸ばし、あるいは唇のマッサージを行った後、口紅を塗布すればよい。また、出勤前のメイク時には、就寝前に塗布したリップクリームを軽くティッシュオフした後、再度リップクリームを塗布して塗り伸ばし、あるいは唇のマッサージを行った後、口紅を塗布すればよい。このように、上記構成の美容器具によれば、一連のメイク作業を短時間で行うことができ、従って唇の肌面のケアをどこでも手軽に行える。なお、本実施例に係る美容器具は、唇以外にも、顔などの肌面のケアに使用することができる。
【0061】
図9は、唇用の美容器具の別の実施例を示す。そこでは、伝熱体21の温度状態を表示するための温度表示部67を設けた。温度表示部67は、可逆的に変色する感温変色性材を混合した樹脂で形成してあり、その温度が上昇するにつれて、呈色状態が寒色系から暖色系に変化する。温度表示部67は、伝熱体21の小分割体41と一体に形成してあり、小分割体41の下端から片持ち状に横向きに伸びる棒状体で構成してある。温度表示部67の先端は、保持ケース11に形成した貫通穴68を介して、保持ケース11の外側へ露出している。
【0062】
このような温度表示部67を設けると、ユーザーは、保持ケース11の外面に露出する温度表示部67の先端の色合いを目視するだけで、伝熱体21の温度状態、すなわち加熱部20の温度状態を、その表面に実際に触れることなく知ることができる。また、温度状態を寒色系および暖色系の呈色状態で表示すると、ユーザーは一目で直感的に温度状態を理解することができる。これ以外の部分は、先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じ扱いとする。
【0063】
なお、本発明に係る加熱体20は、アルミニウムやステンレス、銅合金などの金属に限らず、必要があればプラスチック成形品、あるいはガラス成形品などで構成することができる。加熱体20の少なくとも一部を透明体で形成すると、伝熱体21に感温変色性材を混合するだけで、加熱体20の外側から目視可能な温度表示部67を構成することができる。また温度表示部67は、温度センサー23で検知した温度を、ユーザーに対して数値や目盛などでグラフィック表示するものであってもよい。
【0064】
図10は、本発明を加熱型のまつ毛整形具に適用した実施例を示す。そこでは、加熱ヘッド2の加熱体20が、耐熱性の硬質プラスチック成形品からなる第1ケース71と第2ケース72を蓋合わせ状に接合して構成してあり、第2ケース72の側へ突状に湾曲する中空枠状に形成してある。各ケース71・72には、櫛歯73・74を備える整形面75・76が形成してある。第1ケース71の第1整形面75に設けられる櫛歯73は、第2ケース72の第2整形面76に設けられる櫛歯74に比べて、歯長が短く、しかも隣接間隔が大きく設定してある。
【0065】
加熱体20の発熱空間25の内部に、伝熱体21、熱源22、および温度センサー23の三者を一体化したユニット部品が収容してある。本実施例では、先の実施例と同様に、伝熱体21が軟質のシリコーンゴムの成形品で構成され、熱源22が板状の発熱体で構成されている。ユニット部品は、発熱空間25の湾曲形状に合致するように湾曲した状態で、発熱空間25に収容してある。ユニット部品が湾曲変形可能であると、発熱空間25の湾曲度合が異なる複数種の加熱体20に対し、1種類のユニット部品を用意するだけで足りるので、加熱ヘッド2の製造コストを削減できる。
【0066】
図11は、本発明を美顔用のマッサージ器に適用した実施例を示す。そこでは、グリップを兼ねる本体部1の一端に、加熱ヘッド2の加熱体20が回転自在に支持してある。加熱体20は、有底容器状の筒体81と、筒体81の開口を閉じる蓋体82とで構成されるアルミニウム製の円筒体からなり、筒体81および蓋体82で囲まれる発熱空間25に、伝熱体21、熱源22、および温度センサー23の三者を一体化したユニット部品が収容してある。熱源22は、先の実施例と同様に板状の発熱体で構成するが、端子部54と発熱部53が略同幅である点が先の実施例と相違する。
【0067】
蓋体82の中央には通口83が形成してあり、蓋体82と対向する筒体81の底壁の中央にも通口84が形成してある。両通口83・84の外側周縁には、本体部1に設けた軸受85で軸支されるボス86・87が突設してある。熱源22の端子部54・54は、蓋体82の通口83およびボス86の内側を介して、発熱空間25から本体部1内へ導出してある。通口83およびボス86の内周面は、伝熱体21と一体に設けた丸筒状の被覆体88で覆われており、これにて蓋体82およびボス86と端子部54・54とが絶縁されている。温度センサー23のセンサー本体59用の装着部61は、その開口が筒体81の底壁の通口84に臨む丸穴で構成してある。センサーリード60は、通口84およびボス87の内側を介して本体部1内へ導入してある。
【0068】
このマッサージ器によれば、熱源22で温めた加熱体20を肌面に軽く押当て、肌面に沿って加熱体20を転動させることにより、肌面に温熱を与えながら刺激を加えることができる。本実施例に示すように加熱体20は、本体部1に対して回転するものであってもよい。また本実施例では、熱源22の両端子部54・54を、蓋体82の通口83から本体部1内へ導出したが、このうち一方の端子部54を、筒体81の底壁の通口84から本体部1内へ導出してもよい。
【0069】
以上のように、本発明の各実施例に係る温熱器具においては、加熱体20の発熱空間25に、シリコーンゴム成形品からなる伝熱体21を配置し、熱源22の熱が伝熱体21を介して加熱体20に熱伝導作用で伝わるようにした。このように、伝熱体21を発熱空間25に収容すると、発熱空間25を中空とする場合(空気を熱伝導媒体にし、さらに熱源22の放射作用で熱伝導を行う場合)に比べて、熱源22の熱を加熱体20へ効率良く伝導して、加熱体20を温度むらの無い状態で均一に加熱することができる。また、発熱空間25を伝熱体21で満たすと、発熱空間25を中空とする場合に比べて、加熱ヘッド2の全体の熱容量を大きくすることができるので、熱源22への通電が停止したときに加熱体20が冷めにくくなり、温熱器具がオフになってからしばらくの間は、加熱体20の表面温度が適温近くに保持される。従って、温熱器具の使用終了後のオフ時間が短い場合には、再び温熱器具をオンにしてすぐに、その使用を再開することができる。
【0070】
発熱空間25の内面に密着する軟質のシリコーンゴムの成形品で伝熱体21を構成すると、加熱体20と伝熱体21との密着性を向上して、伝熱体21から加熱体20へより効率良く熱を伝導できる。また、伝熱体21の熱を全ての密着面において加熱体20に伝導して、加熱体20をむらなく均一に加熱することができる。さらに、温熱器具の落下などによって加熱体20に衝撃が作用する場合に、その衝撃を伝熱体21で吸収して熱源22を保護することができる。
【0071】
本発明において、熱源22の発熱部53は、必ずしも伝熱体21の内部に配置する必要は無く、伝熱体21の表面に接触する状態で配置することもできるが、上記各実施例のように発熱部53を伝熱体21の内部に配置すると、熱源22で生成した熱のほぼ全量を、伝熱体21を介して加熱体20に伝導できるので、熱源22の熱の利用効率を向上することができる。これにより、最小限の生成熱量で加熱体20を適温まで加熱できるので、温熱器具の消費電力を低減化できる。
【0072】
伝熱体21において、リブ44を小分割体41に設け、溝45を大分割体40の半円柱部43に設けることができる。係合突起46を大分割体40の円柱部42に設け、係合凹部47を小分割体41に設けることができる。加熱体20に設けた切欠33に係合する突起48を、小分割体41あるいは両方の分割体40・41に設けることができる。
【0073】
伝熱体21の全体を発熱空間25に収容する必要は無く、例えばその一端部が発熱空間25の開口から外側へ突出していてもよい。一対の分割体40・41を、ヒンジなどで互いに接離自在に連結することができる。また伝熱体21は、3個以上の分割体や1個の柱状体で構成することができる。1個の柱状体で伝熱体21を構成する場合は、例えば伝熱体21にスリットを形成して、そのスリットに熱源22の発熱部53を収容することができる。さらに伝熱体21は、シリコーンゴムなどの成形品以外に、発熱空間25に充填して固めた熱伝導グリスや、ゲル状体などで構成することができる。場合によっては、発熱空間25を密閉空間として、その内部に封入した液状体、例えば液状シリコーンゴムを伝熱体21としてもよい。
【0074】
センサー本体59用の装着部61と、センサーリード60用の導出部62は、小分割体41に形成することもできる。伝熱体21を径方向に貫通する穴で装着部61を構成して、導出部62を導出溝64のみで構成することができる。導出部62は、伝熱体21を軸方向に貫通する穴であってもよい。装着部61は、開口を持たない穴や、伝熱体21の上端面などに形成した溝であってもよい。また装着部61は、例えば発熱空間25の内奥など、加熱体20に設けることもできる。装着部61を加熱体20に設ける場合は、温度センサー23と伝熱体21を加熱体20に対して別々に組み付けることができる。