(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウエブ巻取装置は、ポンプの吸引力により前記ウエブ切断時の粉塵を吸引する粉塵吸引手段と、前記ポンプの吸引力により前記ウエブの切断端を保持する保持手段とを備える、請求項1〜8の何れか一項のウエブ巻取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の装置は、空ボビンにウエブを巻き付ける直前に、カッターにより切断して、切断されたウエブの端部に空気を吹き付けることによりウエブの端部をボビンに押圧するものである。しかし、空気の吹き付けによるため、確実にウエブの端部をボビンに押圧できないおそれがある。
【0005】
また、特許文献2の装置は、カッターによりウエブを切断してから、ウエブの端部をボビンに巻き付けるまでウエブを搬送しなければならない。これでは、ウエブの端部に折れ込みや弛みが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、確実にウエブの端部をボビンに巻き付けることができるウエブ巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)本発明に係るウエブ巻取装置は、ウエブを巻取可能な2つのボビンと、一方の前記ボビン側と他方の前記ボビン側との間を移動可能に設けられ、搬送される前記ウエブを切断するカッターと、搬送される前記ウエブを挟むように前記カッターに対向する位置に設けられ、前記2つのボビンの間を前記カッターと共に移動可能に設けられ、前記カッターと共に前記ウエブを挟圧して切断するカッター受部材として機能し、切断後の前記ウエブの切断端を保持し続けた状態で当該ウエブの切断端を空ボビンに押圧することにより前記ウエブの切断端を前記空ボビンに巻き付けるウエブ押圧部材とを備える。
一方の前記ボビンに前記ウエブが巻き取られている状態において、前記カッター及び前記ウエブ押圧部材は、当該ウエブを切断し、且つ、前記ウエブ押圧部材は、切断後の前記ウエブの切断端を保持する。前記ウエブ押圧部材は、前記ウエブの切断端を保持し続けた状態で、前記ウエブの切断端を他方の前記ボビンである前記空ボビンに巻き付ける。
(請求項2)また、
前記ウエブ巻取装置は、ベッドと、前記ベッドに対して一方の前記ボビン側と他方の前記ボビン側との間でスライド可能に設けられ、前記カッターおよび前記ウエブ押圧部材を支持するスライド体とを備えるようにしてもよい。
(請求項3)また、
前記2つのボビンの回転軸心は、前記ベッドに対して固定されるようにしてもよい。
(請求項4)また、
一方の前記ボビンに前記ウエブが巻き取られている状態において、前記スライド体が一方の前記ボビン側から他方の前記ボビン側の所定位置へ移動した後に、前記カッター及び前記ウエブ押圧部材は、前記ウエブを切断し、前記ウエブ押圧部材は、前記スライド体が前記所定位置に位置する状態において、前記ウエブの切断端を他方の前記ボビンに巻き付けるようにしてもよい。
【0008】
(請求項
5)また、前記2つのボビンは、それぞれの中心軸回りの同方向に自転可能に支持され、前記ウエブ押圧部材は、前記カッターに対して相対的に揺動可能に設けられ、前記空ボビンに前記ウエブの切断端を巻き付ける際に、揺動することにより前記カッターに対して前記空ボビンの自転方向の位相進み側に位置するようにしてもよい。
【0009】
(請求項
6)また、前記カッターは、前記ボビンの回転方向と同方向に自転可能であり、前記ウエブ押圧部材は、前記ボビンの回転方向と反対方向に自転可能であり、前記ウエブ押圧部材を前記空ボビンに近接した所定位置にて前記空ボビンおよびカッターと同期して自転させることにより、前記ウエブ押圧部材は前記カッターにより切断された前記ウエブの切断端を保持し、続いて前記ウエブ押圧部材は前記空ボビンへの前記ウエブの切断端の巻き付けを行うようにしてもよい。
【0010】
(請求項
7)また、前記ウエブ巻取装置は、前記ウエブ押圧部材の背面側に設けられ、前記ウエブ押圧部材に共に移動可能であるローラを備え、前記ローラは、前記ウエブ押圧部材により前記空ボビンへの前記ウエブの切断端の巻き付けを行った後に、前記空ボビンへの前記ウエブの巻き取りの際に前記タッチローラが巻き取られる前記ウエブの外周面を押圧するようにしてもよい。
(請求項8)また、本発明に係るウエブ巻取装置は、ウエブを巻取可能な2つのボビンと、一方の前記ボビン側と他方の前記ボビン側との間を移動可能に設けられ、搬送される前記ウエブを切断するカッターと、搬送される前記ウエブを挟むように前記カッターに対向する位置に設けられ、前記2つのボビンの間を前記カッターと共に移動可能に設けられ、前記カッターと共に前記ウエブを挟圧して切断するカッター受部材として機能し、切断後の前記ウエブの切断端を保持し続けた状態で当該ウエブの切断端を空ボビンに押圧することにより前記ウエブの切断端を前記空ボビンに巻き付けるウエブ押圧部材と、前記ウエブ押圧部材の背面側に設けられ、前記ウエブ押圧部材に共に移動可能であるローラと、を備える。
前記カッターは、前記ボビンの回転方向と同方向に自転可能であり、前記ウエブ押圧部材は、前記ボビンの回転方向と反対方向に自転可能であり、前記ウエブ押圧部材を前記空ボビンに近接した所定位置にて前記空ボビンおよびカッターと同期して自転させることにより、前記ウエブ押圧部材は前記カッターにより切断された前記ウエブの切断端を保持し、続いて前記ウエブ押圧部材は前記空ボビンへの前記ウエブの切断端の巻き付けを行い、前記ローラは、前記ウエブ押圧部材により前記空ボビンへの前記ウエブの切断端の巻き付けを行った後に、前記空ボビンへの前記ウエブの巻き取りの際に巻き取られる前記ウエブの外周面を押圧する。
【0011】
(請求項
9)また、前記ウエブ巻取装置は、ポンプの吸引力により前記ウエブ切断時の粉塵を吸引する粉塵吸引手段と、前記ポンプの吸引力により前記ウエブの切断端を保持する保持手段とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1
〜4)本発明のウエブ巻取装置によれば、ウエブ押圧部材が、カッター受部材として機能する。ここで、カッターによりウエブを切断するためには、ウエブに一定の張力を保持させた状態とする手段か、もしくは、ウエブの両面のうちカッター側の背面側にカッター受部材を配置する手段がある。本発明によれば、後者におけるカッター受部材を用いる手段を適用している。
【0013】
そして、ウエブ押圧部材をカッター受部材として機能させることにより、ウエブ押圧部材は、カッターにより切断されたウエブの切断端を保持することができる。さらに、ウエブ押圧部材は、保持したウエブを空ボビンに押圧する機能も有する。つまり、ウエブ押圧部材は、ウエブの切断端を保持し続けることができるため、その状態を維持しつつウエブの切断端を空ボビンに押圧することができる。
【0014】
そのため、ウエブの切断端は、ウエブ押圧部材によって、空ボビンに巻き付けられる。従って、空気の吹き付けではなく、ウエブ押圧部材によってウエブの切断端を空ボビンに直接押圧するため、確実にウエブの端部を空ボビンに巻き付けることができる。結果として、ボビンに巻き付けられるウエブの端部に折れ込みや弛みが生じることを防止できる。
【0015】
(請求項
5)ここで、カッターおよびウエブ押圧部材が、一方のボビン側と他方のボビン側との間を移動可能に設けられている。つまり、ウエブは、外部から2つのボビンの間に搬送されてきて、どちらかのボビン側へ搬送されて、当該ボビンに巻き取られることになる。そして、2つのボビンの自転方向を同方向にして、ウエブを巻き取ることができれば、2つのボビンに巻き取られるウエブの表裏は一致する。
【0016】
そこで、2つのボビンを同方向に自転可能としつつ、空ボビンにウエブの切断端を巻き付ける際に、ウエブ押圧部材をカッターに対して位相進み側に位置するようにしている。これにより、2つのボビンに巻き取られるウエブの表裏を一致させることができる。さらに、ウエブ押圧部材をカッターに対して相対的に揺動可能に設けることで、カッターとウエブ押圧部材とをそれぞれ1つずつとしたとしても、上記のように、2つのボビンに巻き取られるウエブの表裏を一致させることができる。このことにより、装置の小型化を図ることができる。
【0017】
(請求項
6)カッターおよびウエブ押圧部材を同期して自転させることにより、ウエブを切断したときのウエブ押圧部材におけるウエブの切断端の回転位置から、ウエブの切断端を空ボビンへ巻き付けるときのウエブ押圧部材におけるウエブの切断端の回転位置までの距離を短くすることができる。従って、ウエブの切断端が空ボビンに巻き付けられる前に、ウエブ押圧部材から離脱することを防止できる。つまり、ウエブの切断端を確実に空ボビンに巻き付けることができる。
【0018】
(請求項
7,8)ローラがウエブ押圧部材の背面側に設けられているため、ウエブ押圧部材を自転させることにより、ローラがウエブ側に位置するようになる。そして、このローラが、巻き取られるウエブの外周面を押圧するタッチローラとして機能する。つまり、ウエブ押圧部材を自転させた直後から、ローラによりウエブの外周面が押圧される。従って、ボビンへのウエブの巻き取りが安定して行われる。
【0019】
(請求項
9)同一のポンプを粉塵吸引とウエブの保持とに兼用することで、小型化を図ることができる。さらに、両手段にポンプの吸引力を用いることで、ウエブ押圧部材の構成が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(ウエブ巻取装置の適用対象の例)
本実施形態のウエブ巻取装置は、例えば、リチウム電池の製造において、アルミニウム箔などの薄膜状のシートをロール状にしたものを準備しておき、当該シートを巻出装置によって巻き出して、塗工処理を施して乾燥させた後に再びロール状に巻き取る工程を有する。この製造工程のうち、シートをロール状に巻き取るための装置に、本実施形態のウエブ巻取装置を適用する。つまり、ウエブ巻取装置は、塗工乾燥後に搬送されてきたウエブをロール状に巻き取る。特に、本実施形態のウエブ巻取装置は、搬送されてきたウエブを蓄積する装置を備えることなく、かつ、ウエブの搬送を停止させることなく、ウエブを巻き取ることができる装置である。なお、本実施形態のウエブ巻取装置は、リチウム電池の製造を例に挙げるが、その他にウエブをロール状に巻き取るための装置であれば、適用可能である。
【0022】
(ウエブ巻取装置の外観構成)
本実施形態のウエブ巻取装置の外観構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、ウエブ巻取装置は、全体カバー10により囲まれている。全体カバー10は、ベッド(基台)20に固定される固定カバー11、固定カバー11の正面の左右のそれぞれに開閉可能な2つの開閉カバー12,13を備える。開閉カバー12,13は、ロール状に巻き取られたウエブWを取り出す際に開き、ウエブWが巻き取られている際には閉じている。
図1,2においては、左側の開閉カバー12を開いた状態とし、右側の開閉カバー13を閉じた状態としている。
【0023】
また、
図1の右側からウエブが搬送されてくる。そこで、
図2に示すように、搬送されてくるウエブを内部に入れるための開口窓11aが固定カバー11の右側面に形成されている。
【0024】
(ウエブ巻取装置の内部構成)
次に、ウエブ巻取装置の内部構成について、全体カバー10を取り除いた状態の
図3〜
図7を参照して説明する。ウエブ巻取装置は、第一ウエブ支持装置30、第二ウエブ支持装置40、搬送装置50、切断接合装置60を備える。
【0025】
第一、第二ウエブ支持装置30,40は、支持本体31,41(基台)と、回転芯体32,42と、ボビン33,43と、外周カバー34,44とを備える。支持本体31,41は、ベッド20のうち正面視左右方向の左右それぞれに立設される。支持本体31,41は、ベッド20に固定してもよいし、ベッド20上に前後方向(
図3の紙面垂直方向)に移動可能に設けてもよい。
【0026】
回転芯体32,42は、各支持本体31,41の手前縦壁面に前後方向軸回りに回転駆動可能に設けられる。そして、回転芯体32,42は、それぞれの中心軸回りの同方向(
図3の時計回り)に自転する。各ボビン33,43は、各回転芯体32,42に着脱可能に支持されており、搬送されてくるウエブWを巻き取る。つまり、ボビン33,43は、それぞれの中心軸回りの同方向(
図3の時計回り)に自転するため、両者のウエブWの巻取方向は同一の
図3の時計回りとなる。さらに、ボビン33,43の外周面の一部分には、ウエブWの端部を貼り付けるための両面テープまたは接着剤が付けられている。
【0027】
外周カバー34,44は、各支持本体31,41に回転芯体32,42とは独立して両方向に回転駆動可能に設けられる。外周カバー34,44は、ボビン33,43のそれぞれに巻き付けられたウエブWの外周面の一部を被覆し、周方向開口部を有する。すなわち、外周カバー34,44は、C字型形状に形成されている。そして、外周カバー34,44は、回転することによって、周方向開口部が相互に対向するような位置と、周方向開口部がベッド20側(
図3の下側)を向くような位置に移動できる。さらに、外周カバー34,44の外形は、開閉カバー12,13よりも僅かに小さく形成されている。
【0028】
搬送装置50は、第一搬送ローラ支持体51と、第二搬送ローラ支持体52と、ウエブWを搬送する搬送ローラ51a,51b,52a〜52cとを備える。第一搬送ローラ支持体51は、ベッド20上の左端に立設され、鉛直方向中央部と鉛直方向上端部とにそれぞれ搬送ローラ51a,51bを回転可能に支持する。第二搬送ローラ支持体52は、ベッド20上の左右方向中央に立設され、鉛直方向上端部に搬送ローラ52a〜52cを回転可能に支持する。
【0029】
そして、外部から搬送されてきたウエブWは、搬送ローラ51a,51b,52a,52b,52cの順に搬送される。また、搬送ローラ51a,51b,52a〜52cは自由回転可能なローラとする。また、特に、搬送ローラ52bは、ウエブWのテンション調整機能を有しており、第二搬送ローラ支持体52に対して僅かに移動可能である。なお、搬送ローラ51a,51b,52a〜52cは、自由回転可能なローラとしているが、回転駆動源を設けても良い。
【0030】
切断接合装置60は、第一、第二ウエブ支持装置30,40の左右方向中央部に配置されており、搬送装置50によって外部から第一、第二ウエブ支持装置30,40の左右方向中央部に搬送されてきたウエブWを、ボビン33,43の一方に搬送する。さらに、切断接合装置60は、ボビン33,43の一方が満巻された場合に、ウエブWを切断して、ウエブWの切断端をボビン33,43の他方に巻き付ける。
【0031】
この切断接合装置60は、ガイド部材61と、スライド体62と、回転板63と、導入ローラ64と、カッターユニット65と、ウエブ押圧ユニット66とを備える。ガイド部材61は、ベッド20上であって、支持本体31,41の左右方向中央に設けられ、上面に左右方向に延在するレール61aを有する。このガイド部材61は、第二搬送ローラ支持体52の手前側に配置されている。
【0032】
スライド体62は、ガイド部材61の上面に、レール61aに沿って左右方向にスライド可能に設けられている。つまり、スライド体62は、一方のボビン33側と他方のボビン43側との間を移動可能である。回転板63は、スライド体62の手前縦壁面に前後方向軸回りの両方向に回転駆動可能に設けられる。導入ローラ64は、回転板63の手前面に、前後方向軸回りに自由回転可能に設けられる。この導入ローラ64は、搬送ローラ52cから搬送されるウエブWを受け、ボビン33,43へ向かってウエブWを搬送するローラである。
【0033】
カッターユニット65は、回転板63に支持されており、回転板63に対してボビン33,43の回転方向と同方向(
図3の時計回り)へ自転駆動可能である。つまり、カッターユニット65は、一方のボビン33側と他方のボビン43側との間を移動可能である。カッターユニット65の回転中心は、
図3において、導入ローラ64の回転中心からずれた位置とされている。カッターユニット65は、カッター部材65a、第一、第二ローラ65b,65cを備える。
【0034】
カッター部材65aは、
図6に示すように、径方向外方に円弧凸面を有する。カッター部材65aの円弧凸面は、カッターユニット65の時計回りの自転中心を中心とする円弧面に形成されている。カッター部材65aは、円弧周方向の一端部(自転方向先端側)付近にウエブWを切断するカッターTを有する。このカッターTは、ウエブWの幅よりも長い。第一、第二ローラ65b,65cは、カッター部材65aの背面側に設けられており、自由回転可能に設けられている。
【0035】
ウエブ押圧ユニット66は、回転板63に支持されており、回転板63に対してボビン33,43の回転方向と反対方向(
図3の反時計回り)へ自転駆動可能である。つまり、ウエブ押圧ユニット66は、カッターユニット65と共に、一方のボビン33側と他方のボビン43側との間を移動する。そして、ウエブ押圧ユニット66の回転中心は、
図3において、導入ローラ64およびカッターユニット65の回転中心からずれた位置とされている。また、ウエブ押圧ユニット66は、導入ローラ64から搬送されてきたウエブWをカッターユニット65との間に挟むように、カッターユニット65に対向する位置に設けられている。
【0036】
このウエブ押圧ユニット66は、ウエブ押圧部材66a、第一、第二ローラ66b,66cを備える。ウエブ押圧部材66aは、
図7に示すように、径方向外方に円弧凸面を有する。ウエブ押圧部材66aの円弧凸面は、ウエブ押圧ユニット66の反時計回りの自転中心を中心とする円弧凸面に形成されている。ウエブ押圧部材66aは、円弧周方向の一端部(自転方向先端側)付近に、カッターTの受面としての溝Dを有している。つまり、ウエブ押圧部材66aは、カッター受面として機能する。
【0037】
そして、ウエブ押圧部材66aの円弧凸面は、カッター部材65aの円弧凸面に対して接触もしくはウエブを把持可能な程度の僅か隙間を介するように配置形成されている。つまり、ウエブ押圧部材66aは、カッター部材65aと共にウエブWを挟圧して、カッターTによりウエブWを切断できるように機能する。さらに、ウエブ押圧部材66aは、導入ローラ64に対しても接触もしくはウエブを把持可能な程度の僅かな隙間を介するように配置形成されている。
【0038】
さらに、
図7に示すように、ウエブ押圧部材66aには、溝Dおよび円弧凸面のそれぞれに複数のポンプ吸入孔H1,H2が形成されている。これらのポンプ吸入孔H1,H2は、同一のポンプ(図示せず)に連結されている。そして、溝Dのポンプ吸入孔H1は、当該ポンプの吸引力により、ウエブWの切断時の粉塵を吸引する(粉塵吸引手段)。また、円弧凸面のポンプ吸入孔H2は、当該ポンプの吸引力により切断されたウエブWの切断端を吸着するようにして保持する(保持手段)。もちろん、溝Dのポンプ吸入孔H1も、粉塵吸引機能に併せて、ウエブWの切断端の保持機能を発揮する。このように、同一のポンプを粉塵吸引とウエブWの保持とに兼用することで、小型化を図ることができる。さらに、両手段にポンプの吸引力を用いることで、ウエブ押圧部材66aの構成が容易となる。
【0039】
なお、ウエブWの切断端の保持機能としては、上記のポンプによる吸引力の他に、静電気による吸引力、磁力による吸引力を用いることもできる。ただし、静電気を用いる場合には、例えば、カッター部材65aに樹脂やセラミックスなどの導電率の低い材料を用い、ウエブ押圧部材66aに金属などの導電率の高い材料を用いるとよい。
【0040】
さらに、ウエブ押圧部材66aは、ウエブWの切断端を保持し続けた状態で、円弧凸面を空のボビン33,43に押圧する。そうすると、当該ウエブWの切断端が空のボビン33,43に押圧されて、ウエブWの切断端が空のボビン33,43に巻き付け開始される。
【0041】
ウエブ押圧ユニット66の第一、第二ローラ66b,66cは、ウエブ押圧部材66aの背面側に設けられており、自由回転可能に設けられている。第二ローラ66cは、ウエブWをボビン33,43に巻き付けている間、導入ローラ64からボビン33,43側へ搬送されるウエブWを、ボビン33,43の外周面および巻き付けられたウエブWの外周面に対して、常に一定の角度で巻き取られるように、タッチローラとして機能する。
【0042】
ここで、導入ローラ64、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66は、回転板63にそれぞれ自転可能に支持されている。従って、回転板63を両方向に回転することによって、カッターユニット65を基準として見た場合には、ウエブ押圧ユニット66が揺動するような状態となる。
【0043】
(ウエブ巻取装置におけるウエブ巻取の動作)
次に、ウエブ巻取装置の動作について
図3,
図8〜
図21を参照して説明する。ただし、
図8〜
図10、
図12〜
図21は、一部の構成のみについて図示する。
図3の状態を初期状態とする。ここで、ウエブ巻取装置は、空のボビン33,43にウエブWを巻き付け開始して、当該ボビン33,43にウエブWを満巻状態にする動作(ウエブ巻取動作)と、満巻されたボビン33,43を取り外す動作(ボビン取外動作)とがある。説明を容易にするために、ウエブ巻取動作を説明した後に、ボビン取外動作を説明することにする。
【0044】
(ウエブ巻取装置におけるウエブ巻取動作)
図3においては、左のボビン33にウエブWが巻き取られており、巻取終了の直前である。このとき、スライド体62が、ボビン33,43のほぼ中央に位置している。また、外周カバー34,44は、両者の周方向開口部が対向するように、すなわち周方向開口部を導入ローラ64に向けるように位相決めされている。
【0045】
この初期状態から、ウエブWの搬送を停止することなく、ウエブWを切断すると共に、右の空のボビン43に切断したウエブWの端部を巻き付けるように動作を開始する。まず、初期状態から、
図8に示すように、回転板63を反時計回りに設定された位相となるように回転させて、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66を右のボビン43側を向ける。さらに、スライド体62を右のボビン43側へ移動させて、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66を右のボビン43に近接させる。このとき、ウエブWは、導入ローラ64、カッターユニット65の第一、第二ローラ65b,65cにより、ボビン33側に搬送されている。
【0046】
ここで、右のボビン43は時計回りに自転するため、ウエブ押圧部材66aは、右のボビン43にウエブWの端部を巻き付ける際に、カッター部材65aのカッターTに対して右のボビン43の自転方向の位相進み側に位置している。
【0047】
続いて、
図9に示すように、回転板63を位置決めした状態において、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66が同期して相互に反対方向に回転する。そうすると、ウエブ押圧部材66aの円弧凸面と導入ローラ64とにより、ウエブWを保持する状態になる。
【0048】
続いて、
図10に示すように、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66が同期して相互に反対方向にそれぞれ自転回転する。そうすると、ウエブWは、カッター部材65aの円弧凸面とウエブ押圧部材66aの円弧凸面との間に挟圧されることにより、ウエブ押圧部材66aに保持される。このとき、
図10および
図11に示すように、カッター部材65aのカッターTがウエブ押圧部材66aの溝Dに進入することによって、その間に存在しているウエブWを切断する。つまり、カッター部材65aとウエブ押圧部材66aとにより、切断されたウエブWの切断端が保持される。
【0049】
このとき、ウエブ押圧部材66aに接続されたポンプを駆動することにより、ウエブWの切断時の粉塵がウエブ押圧部材66aの溝Dのポンプ吸入孔H1から吸引される。同時に、ウエブ押圧部材66aの円弧凸面のポンプ吸入孔H2からの吸引力により、切断されたウエブWの切断端を含む端部を吸着するようにして保持する。このように、ウエブ押圧部材66aをカッター受部材として機能させると共にウエブWの保持機能を有させることにより、ウエブ押圧部材66aは、ウエブWの切断端を確実に保持できる。
【0050】
続いて、
図12に示すように、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66が同期して相互に反対方向にさらに回転すると共に、右のボビン43をウエブ押圧ユニット66とは反対方向に同期して回転させる。そうすると、ウエブ押圧部材66aが右のボビン43に対してウエブWの切断端を押圧する。このとき、ウエブ押圧部材66aの位置には、右のボビン43の両面テープもしくは接着剤が位置しているため、ウエブWの切断端は右のボビン43に巻き付け開始される。
【0051】
このように、ウエブ押圧部材66a、ウエブWの切断端の保持機能を有すると共に、ウエブWの右のボビン43への押圧機能を有する。従って、ウエブ押圧部材66aは、ウエブWの切断端を保持した状態を維持しつつ、ウエブWの切断端を右のボビン43に直接押圧することができる。そのため、ウエブWの切断端は、ウエブ押圧部材66aによって、右のボビン43に確実に巻き付けられる。その結果、右のボビン43に巻き付けられるウエブWの端部(切断端を含む端部)に折れ込みや弛みが生じることを防止できる。
【0052】
特に、カッター部材65aおよびウエブ押圧部材66aを同期して自転させることにより、ウエブWを切断したときのウエブ押圧部材66aにおけるウエブWの切断端の回転位置から、ウエブWの切断端を右のボビン43へ巻き付けるときのウエブ押圧部材66aにおけるウエブWの切断端の回転位置までの距離を短くすることができる。従って、ウエブWの切断端が右のボビン43に巻き付けられる前に、ウエブ押圧部材66aから離脱することを防止できる。つまり、ウエブWの切断端を確実に右のボビン43に巻き付けることができる。
【0053】
続いて、
図13に示すように、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66が同期して相互に反対方向にさらに回転することにより、ウエブ押圧部材66aによるウエブWの端部の右のボビン43への押圧を終了する。
【0054】
続いて、
図14に示すように、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66が同期して相互に反対方向にさらに回転し、ウエブ押圧ユニット66の第二ローラ66cが右のボビン43の外周面を押圧する位置にて両ユニット65,66の回転を停止する。そして、右のボビン43にウエブWが巻き取られる際に、巻き取られるウエブWの外周面を押圧している。
【0055】
このように、当該第二ローラ66cが、巻き取られるウエブWの外周面を押圧するタッチローラとして機能する。つまり、ウエブ押圧部材66aを自転させた直後から、第二ローラ66cによりウエブWの外周面が押圧される。従って、右のボビン43へのウエブWの巻き取りが安定して行われる。例えば、空気の巻き込みなどを防止できる。
【0056】
ウエブWの搬送を継続すると、
図15に示すように、右のボビン43にウエブWが満巻状態になる。この間も、第二ローラ66cは右のボビン43に巻き取られるウエブWの外周面に押圧されている。
【0057】
続いて、
図16に示すように、回転板63が回転可能な位置に、スライド体62を左のボビン33側に移動させて、回転板63を時計回りに設定された位相となるように回転させる。そして、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66を、左の空のボビン33側を向ける。さらに、スライド体62を左のボビン33側へ移動させて、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66を左のボビン33に近接させる。
【0058】
その後は、右のボビン43の場合と同様に、順次、
図17〜
図21に示すように行われる。ここで、左のボビン33も、右のボビン43と同様に時計回りに自転するため、ウエブ押圧部材66aは、左のボビン33にウエブWの端部を巻き付ける際に、カッター部材65aのカッターTに対して左のボビン33の自転方向の位相進み側に位置している。
【0059】
このようにすることで、左右のボビン33,43に巻き取られるウエブWの表裏を一致させることができる。さらに、回転板63を回転させることによって、ウエブ押圧部材66aをカッター部材65aのカッターTに対して相対的に揺動可能に設けることで、カッターTとウエブ押圧部材66aとをそれぞれ1つずつとしたとしても、上記のように、左右のボビン33,43に巻き取られるウエブWの表裏を一致させることができる。このことにより、ウエブ巻取装置の小型化を図ることができる。
【0060】
(ウエブ巻取装置におけるウエブ取外動作)
次に、ウエブ巻取装置におけるウエブ取外動作について、
図1、
図12〜
図14、
図18〜
図20を参照して説明する。
図12において、左のボビン33へ搬送されていたウエブWは切断されている。この状態において、
図13に示すように、左の外周カバー34を時計回りに自転して、当該外周カバー34の周方向開口部をベッド20側(下方)に向ける。
【0061】
そうすると、当該外周カバー34は、左のボビン33側と導入ローラ64側(カッターユニット65およびウエブ押圧ユニット66側に相当)とを仕切るように位置する。このとき、外周カバー34は、当該左のボビン33側と、搬送ローラ51a,51b,52a〜52c側とを仕切るようにも位置している。
【0062】
外周カバー34を
図13のように位置決めした後に、
図1に示すように、左の開閉カバー12を開く。そして、作業者は、ウエブWが満巻された左のボビン33を、回転芯体32から取り外す。この間、右のボビン43にはウエブWが巻き取られているため、右の開閉カバー13は閉じている。
【0063】
このように、スライド体62を移動することにより導入ローラ64、カッターユニット65およびウエブ押圧ユニットを右側へ回避することができるため、左のボビン33の中心を移動することなく、左のボビン33を回転芯体32から取り外すことができる。従って、簡易な構成で、ボビン33の取り外しが可能となる。
【0064】
ここで、外周カバー34の周方向開口部を有するようにしている。従って、上述したように、ウエブWをボビン33に巻き付ける際には、ウエブWが外周カバー34の周方向開口部を通過できるようにしている。従って、外周カバー34は、ボビン33へのウエブWの巻き取りに何ら支障ない。
【0065】
一方、左のボビン33を回転芯体32から取り外す際には、外周カバー34を回転させて、外周カバー34がボビン33側と導入ローラ64側および搬送されているウエブW側とを仕切るようにしている。従って、作業者がボビン33を回転芯体32から取り外す際に、安全に行うことができる。特に、開閉カバー12の開口部形状を外周カバー34の外形に近似した形状にすることで、安全性が増す。
【0066】
そして、左のボビン33を取り外す際に、ウエブWが巻き取られている右のボビン43の軸方向位置は右の開閉カバー13によって被覆されている。従って、固定カバー11、右の開閉カバー13および左の外周カバー34によって、右のボビン43へ搬送されているウエブWを作業者は触れることがない。
【0067】
続いて、満巻されたボビン33を回転芯体32から取り外した後は、空のボビン33を回転芯体32に取り付ける。そして、
図14に示すように、外周カバー34を反時計回りに自転して、外周カバー34の周方向開口部を右のボビン43側に向ける。
【0068】
右のボビン43が満巻された後は、
図18〜
図20に示すように、左のボビン33と実質的に同様の動作を行う。このときも、作業者は、安全に、右のボビン43を回転芯体42から取り外すことができる。
【0069】
なお、上記においては、第一、第二ウエブ支持装置30,40の支持本体31,41をベッド20に固定しているが、支持本体31,41をベッド20に対して前後方向に移動可能としてもよい。このようにすることで、ボビン33,43を回転芯体32,42から取り外す際に、支持本体31,41を前方に張り出させることで、作業が容易となる。