特許第5959281号(P5959281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959281
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 1/00 20060101AFI20160719BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B09B1/00 AZAB
   G01N1/22 W
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-88379(P2012-88379)
(22)【出願日】2012年4月9日
(65)【公開番号】特開2013-215676(P2013-215676A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250421
【氏名又は名称】理研計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】山木 光夫
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−186024(JP,A)
【文献】 特開2004−245664(JP,A)
【文献】 特表2008−545990(JP,A)
【文献】 特開2010−179243(JP,A)
【文献】 特開2012−24676(JP,A)
【文献】 特開2011−232091(JP,A)
【文献】 特開2011−232092(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0053865(US,A1)
【文献】 特開2004−286572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00
G01N 1/22
E02D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムであって、
閉鎖型廃棄物処分場の内部における局所的な箇所のガスを採取する局所ガスサンプリング手段と、当該局所ガスサンプリング手段に接続されたガス検知手段と、当該ガス検知手段により取得されたガス検知データを管理する管理手段とを具えており、
当該局所ガスサンプリング手段は、前記閉鎖型廃棄物処分場の天井部より吊下された、可撓性を有するガスサンプリングチューブと、当該ガスサンプリングチューブの先端に接続された、廃棄物の埋立面上に載置されて用いられるガス採取ヘッドとを有し、
当該ガス採取ヘッドは、上方が上壁によって閉塞されると共に下方が開口し、互いに対向する一対の周壁部における上方側部分を除いた箇所に開口を有する全体が角筒状のガス採取ヘッド本体と、ガス採取ヘッド本体の上壁の内面においてガス吸引口が廃棄物の埋立面より離間して設けられたガス導入ノズルとを備えており、
当該ガス採取ヘッドが作業者によって持ち運ばれることにより、当該局所ガスサンプリング手段によるガスサンプリングポイントが変更設定自在とされていることを特徴とする閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システム。
【請求項2】
前記ガスサンプリングチューブは、強化材入り軟質塩化ビニル製のホースよりなることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システム。
【請求項3】
前記閉鎖型廃棄物処分場の天井部に、前記ガスサンプリングチューブが巻き取られる巻取装置が設置されており、前記ガス採取ヘッドが上下方向に昇降自在に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物処分場の廃棄物から発生するガスによって周辺の環境が汚染されるのを防止するため、建屋内に廃棄物を貯留する処分ピットを設けた閉鎖型廃棄物処分場(屋内廃棄物処分場)が建設されている。
【0003】
閉鎖型廃棄物処分場は、建屋内に設けた処分ピット内に廃棄物を貯留しているため、廃棄物から発生するガスが周辺に拡散して周辺環境を汚染するおそれはない。しかし、建屋内で各種の作業を行う作業者が危険に晒されることがないようにするため、廃棄物から発生するガスの種類及びその濃度を検知し、その検知したデータに基づいて適切な対策(警報を発する、換気装置を作動させる等の対策)を採り、作業者の安全を確保する必要がある。
【0004】
例えば特許文献1には、閉鎖型廃棄物処分場の廃棄物から発生するガスの種類及びその濃度を検知するガス検知システムの一例が記載されている。
このガス検知システムにおいては、建屋内の天井部の中央部及び両側部に巻き取り装置が垂直方向及び水平方向に移動可能に設けられていると共に、建屋内の天井部及び壁部に沿ってガスサンプリング管が設置されている。このガスサンプリング管は、巻き取り装置によって支持されて垂直方向及び水平方向に移動可能とされており、ガスサンプリング管の一端の吸引口が廃棄物に対向されて位置され、他端が建屋外に引き出されて建屋と別棟のモニタリング室内に設けたポンプに接続されている。
【0005】
このような構成のガス検知システムにあっては、ポンプが作動されてガスサンプリング管の一端の吸引口を介してガスが吸引され、このガスがガスサンプリング管を介してモニタリング室内のガス検知器に導かれる。ガス検知器においては、センサでガスの種類及びその濃度が検知され、この検知結果を示したガス検知データがモニタリング室内の制御部に送られる。そして、取得されたデータに基づいて制御部を通じて警報を発する等の対策が必要に応じて実行されることにより、作業者の安全が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−186024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムにあっては、次のような構成とされている。すなわち、建屋内の天井部の中央部及び両側にガイドレールが設けられ、ガイドレール上を走行可能に台車が設けられている。台車には支持バーが連結され、支持バーには複数のガイドプーリが設けられている。この複数のガイドプーリには、ガスサンプリング管が掛け渡されている。そして、ガスサンプリング管の先端側を先端側のガイドプーリから垂下させ、ガスサンプリング管の後端側を処分場の外部に引き出し、処分場の外部のモニタリング室のホースリールに巻回させることで、ガスサンプリング管が垂直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。従って、各ガスサンプリング管は、ガイドレールに沿った一定の方向のみにしか移動可能とされていないため、この方向から外れた位置においてガスの種類及びその濃度を検知することができない、という問題がある。
また、密閉型廃棄物処分場が大型のものである場合は、ガスサンプリングポイントが多くなり、コストアップにつながる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、可及的に少ない数のガスサンプリング手段によって閉鎖型廃棄物処分場内の環境雰囲気の状態を監視することができると共にコスト的に有利に構築することのできる閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムは、閉鎖型廃棄物処分場の内部における局所的な箇所のガスを採取する局所ガスサンプリング手段と、当該局所ガスサンプリング手段に接続されたガス検知手段と、当該ガス検知手段により取得されたガス検知データを管理する管理手段とを具えており、
当該局所ガスサンプリング手段は、前記閉鎖型廃棄物処分場の天井部より吊下された、可撓性を有するガスサンプリングチューブと、当該ガスサンプリングチューブの先端に接続された、廃棄物の埋立面上に載置されて用いられるガス採取ヘッドとを有し、
当該ガス採取ヘッドは、上方が上壁によって閉塞されると共に下方が開口し、互いに対向する一対の周壁部における上方側部分を除いた箇所に開口を有する全体が角筒状のガス採取ヘッド本体と、ガス採取ヘッド本体の上壁の内面においてガス吸引口が廃棄物の埋立面より離間して設けられたガス導入ノズルとを備えており、
当該ガス採取ヘッドが作業者によって持ち運ばれることにより、当該局所ガスサンプリング手段によるガスサンプリングポイントが変更設定自在とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムにおいては、前記ガスサンプリングチューブは、強化材入り軟質塩化ビニル製のホースよりなることが好ましい。
【0011】
また、本発明の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムにおいては、前記閉鎖型廃棄物処分場の天井部に、前記ガスサンプリングチューブが巻き取られる巻取装置が設置されており、前記ガス採取ヘッドが上下方向に昇降自在に設けられた構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の閉鎖型廃棄物処分場のガス検知システムによれば、天井部から吊下された可撓性を有するガスサンプリングチューブの先端にガス採取ヘッドが接続されて構成された局所ガスサンプリング手段によるガスサンプリングポイントを、作業者によってガス採取ヘッドが作業する箇所の近傍位置に持ち運ばれて廃棄物の埋立面上に載置されることにより変更設定自在とされていることによって、ガスサンプリングポイントの制約が実質的になくなることとなる。これにより、閉鎖型廃棄物処分場内の所望の位置において、廃棄物から発生するガスの種類及びその濃度を検知することができ、従って、検知結果に応じた適正な措置を速やかに講ずることができて作業者の安全を確保することができる。
また、ガスサンプリングポイントの設定に際して、ガス採取ヘッドの位置を移動変更するための駆動機構を必要としないことから、ガス検知システムが煩雑化することを回避することができ、しかも、局所ガスサンプリング手段によるガスサンプリング可能範囲を大きく設定することができるためガスサンプリング手段の数を低減することができ、所期の性能を有するものをコスト的に有利に構築することができる。
【0013】
ガスサンプリングチューブが強化材入り軟質塩化ビニル製のホースにより構成されていることにより、十分な可撓性を有するものでありながら十分な機械的強度を有するものとなるので、ガスサンプリングチューブの変形によってガスの吸い込みが困難になるといった問題が生ずることが回避されて所期のガス検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の閉鎖型廃棄物処分場ガス検知システムの一例における構成の概略を示すブロック図である。
図2】本発明の閉鎖型廃棄物処分場ガス検知システムの一例における、ガスサンプリング手段の配置状態を示す平面図である。
図3】本発明の閉鎖型廃棄物処分場ガス検知システムの一例における、ガスサンプリング手段の構成の概略を示す側断面図である。
図4】ガス採取ヘッドの一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の閉鎖型廃棄物処分場ガス検知システムの一例における構成の概略を示すブロック図、図2は、本発明の閉鎖型廃棄物処分場ガス検知システムの一例における、ガスサンプリング手段の配置状態を示す平面図、図3は、本発明の閉鎖型廃棄物処分場ガス検知システムの一例における、ガスサンプリング手段の構成の概略を示す側断面図である。
この例における閉鎖型屋内廃棄物処分場のガス検知システムは、例えば、地表面に開口する平面視矩形状の処分ピット15と、処分ピットの上部開口を覆う建屋10(周囲が壁部で覆われ、上部が屋根で覆われた建屋)とを備えた閉鎖型屋内廃棄物処分場(以下、単に「処分場」ともいう。)に適用されるものである。
【0016】
ガス検知システムは、処分場の建屋10の内部例えば天井部の複数箇所に設置されるガスサンプリング手段と、当該ガスサンプリング手段に接続されたガス検知手段20と、当該ガス検知手段20により取得されたガス検知データを管理する管理手段30とを具えている。ガス検知手段20は、例えば建屋10内に設置され、管理手段30は、例えば処分場の建屋10の外部、具体的には処分場の建屋10と別棟の管理室内に設置される。
また、このガス検知システムにおいては、廃棄物Wの埋立面16の表面温度を検知する温度検知手段(図示せず)が、建屋10内における設定された複数の測定箇所に設置されている。
【0017】
ガス検知手段20は、例えば、ガスの種類及びその濃度を検知する複数のセンサを有する検知部21と、処理場の建屋10内の環境雰囲気の空気(ガス)を吸引して検知部21に導く測定吸引ポンプ22と、処理場の建屋10内の環境雰囲気の空気(ガス)を先行して吸引する先行吸引ポンプ23と、制御部25とを具えている。
検知部21には、例えば7種類のガス(メタンガス、水素ガス、硫化水素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アンモニアガス)及びその濃度を検知するセンサが設けられている。
制御部25は、ガスの種類およびその濃度を検知部21を構成する各センサよりのセンサの出力に基づいて算出してガス検知データを得る機能を有すると共に、当該ガス検知データを管理手段30に送信する機能を有する。ここで、ガス検知データは、検知されたガスの種類及びその濃度の物理値、或いは、その物理値を電圧値等に変換したものを含むものであって、ガス検知手段20より例えば適宜の信号ケーブル(図示せず)を介して伝達される。
【0018】
管理手段30は、ガス検知手段20により取得されたガス検知データに基づいて、建屋10内の環境雰囲気の状態を監視し、必要に応じて、建屋10内に設けられた警報手段(図示せず)および換気手段(図示せず)に動作指令信号を発する制御部31と、ガス検知手段20によって取得されたガス検知データを出力する表示部32とを具えている。
【0019】
このガス検知システムにおけるガスサンプリング手段は、処分場の建屋10内において発生するガスの定点監視用の主ガスサンプリング手段40と、任意に設定されるガスサンプリングポイントにおけるガス監視用の局所ガスサンプリング手段45とを有する。
【0020】
主ガスサンプリング手段40は、処分場の建屋10内の天井部に設けられたメンテナンス用通路(キャットウォーク)11に設置されるガス導入ノズル41と、建屋10内の天井部および壁部に沿って這い回されて設置される、ガス導入ノズル41とガス検知手段20とを接続する配管用チューブ42とを具えている。
【0021】
局所ガスサンプリング手段45は、処分場の建屋10内の天井部例えばメンテナンス通路(キャットウォーク)11に設置されたガスサンプリングチューブ巻取装置46と、基端がガスサンプリングチューブ巻取装置46に接続され、先端が処分場の建屋10内の天井部より吊下された、可撓性を有するガスサンプリングチューブ47と、ガスサンプリングチューブ47の先端に接続されたガス採取ヘッド50と、建屋10内の天井部および壁部に沿って這い回されて設置される、ガスサンプリングチューブ巻取装置46とガス検知手段20とを接続する配管用チューブ48とを具えている。
【0022】
ガスサンプリングチューブ47および配管用チューブ48は、例えばテトロン(登録商標)ブレードホースなどの強化材入り軟質塩化ビニル製のホースにより構成されていることが好ましい。
また、ガスサンプリングチューブ47および配管用チューブ48としては、内径が例えばφ9〜φ12mmであるもの用いることが好ましい。
ガスサンプリングチューブ47および配管用チューブ48がこのような構成とされていることにより、ガスを吸い込む際に生ずる負圧に起因してガスサンプリングチューブ47および配管用チューブ48が変形することを防止することができ、処理場の建屋10内において発生するガスを確実に採取して、そのガスの種類および濃度を確実に検知することができる。また、応答性が低下することを回避することができる。
なお、主ガスサンプリング手段40における配管用チューブ42についても同様に、例えばテトロン(登録商標)ブレードホースなどの強化材入り軟質塩化ビニル製のホースにより構成されていることが好ましい。
【0023】
ガス採取ヘッド50は、作業員によって作業箇所の近傍位置に持ち運ばれて廃棄物Wの埋立面16上に載置されて用いられるものであり、従って、局所ガスサンプリング手段45によるガスサンプリングポイントが変更設定自在とされている。
ガス採取ヘッド50は、図4に示すように、上方が閉塞されると共に下方が開口する全体が角筒型のガス採取ヘッド本体51と、このガス採取ヘッド本体51の上壁の内面に設けられたガス導入ノズル52とを具えている。ガス導入ノズル52は、上方から下方に向かって拡開するすり鉢状のものである。ガス採取ヘッド本体51の、互いに対向する一対の周壁部における上方側部分を除いた箇所は開口しており、周壁部によって周方向の全周が囲まれた領域内にガス導入ノズル52が位置されている。従って、ガス導入ノズル52は、ガス吸引口52Aが廃棄物Wの埋立面16より離間した位置において、下方を向く姿勢で設けられている。ガス導入ノズル52は、ガス採取ヘッド本体51の上壁を貫通して外部に突出しており、この突出部分にガスサンプリングチューブ47が接続されている。 ここに、ガス採取ヘッド50の一構成例を示すと、ガス採取ヘッド本体51の開口51Aの寸法が600mm角、ガス採取ヘッド本体51の開口端面よりガス導入ノズル52におけるガス吸引口52Aの開口端面までの距離が600mm、重量が例えば約10kg程度である。
【0024】
ガスサンプリングチューブ巻取装置46は、例えば手動ホースリールにより構成されており、作業者が当該手動ホースリールにおけるハンドルを操作してガスサンプリングチューブ47を繰出すことあるいは巻き取ることによりガス採取ヘッド50が上下方向に昇降自在とされている。
【0025】
上記のような構成のガス検知システムにおいては、先ず、ガス検知手段20における先行吸引ポンプ23を作動させて各ガスサンプリング手段とガス検知手段20とを接続する配管用チューブ42,48内および局所ガスサンプリング手段45におけるガスサンプリングチューブ47内に存在するガスを、処分場の建屋10内の環境雰囲気の空気(ガス)と置換させる。その後、測定吸引ポンプ22を作動させることにより処分場の建屋10内の環境雰囲気の空気(ガス)が主ガスサンプリング手段40および局所ガスサンプリング手段45により採取されてガス検知手段20の検知部21に導入される。そして、制御部25によって、ガス検知手段20の検知部21よりのセンサ出力に基づいて、ガスの種類および濃度が検知されてガス検知データが取得される。このガス検知データは管理手段30に送られ、ガス検知結果が管理手段30の表示部32に表示される。
そして、処分場の建屋10内の環境雰囲気の状態が安全な状態であることが確認されて作業者が処分場の建屋10内に進入すると、作業者は所定の作業を行うに際して、作業箇所の近傍に設置された局所ガスサンプリング手段45におけるガス採取ヘッド50を持ち運び、作業箇所の近傍位置(ガスサンプリングポイント)において廃棄物Wの埋立面16上に当該ガス採取ヘッド50を載置する。これにより、当該ガスサンプリングポイントにおいて当該局所ガスサンプリング手段45によって採取されたガスがガス検知手段20の検知部21に導入されることによって、作業者の近傍における環境雰囲気の状態が管理手段30によって管理される。管理手段30において、検知されたガスのガス濃度が当該ガスについて設定された警報値を超えることが確認された場合には、警報手段が作動されて当該作業者に報知されると共に、換気手段を作動させるなどの措置が講ぜられる。
【0026】
而して、上記のガス検知システムによれば、処分場の建屋10内の天井部から吊下された可撓性を有するガスサンプリングチューブ47の先端に、ガス採取ヘッド50が接続されてなる局所ガスサンプリング手段45の当該ガス採取ヘッド50が、作業者によって持ち運ばれて所望の位置において廃棄物Wの埋立面16上に載置されて用いられるものであることにより、ガスサンプリングチューブ47の可撓性が有効的に利用されて局所ガスサンプリング手段45によるガスサンプリングポイントが変更設定自在に構成されている。これにより、図2において二点鎖線で囲まれた領域で示すように、各々の局所ガスサンプリング手段45は所定の大きさのガス採取可能範囲(例えば半径20〜50mの範囲の円領域)を有するものとなり、ガスサンプリングポイントの制約が実質的になくなることとなる。従って、処分場の建屋10内の所望の位置において、発生するガスの種類及びその濃度を検知することができ、検知結果に応じた適正な措置を速やかに講ずることにより作業者の安全を確保することができる。
また、局所ガスサンプリング手段45によるガスサンプリングポイントの設定に際して、ガス採取ヘッド50の位置を移動変更するための駆動機構を必要としないことから、ガス検知システムが煩雑化することを回避することができ、しかも、各々の局所ガスサンプリング手段45自体が所定の大きさのガスサンプリング採取可能範囲を有するため、局所ガスサンプリング手段の数を低減することができ、所期の性能を有するものをコスト的に有利に構築することができる。
さらにまた、ガス検知に際して、先行吸引ポンプ23が作動されて各ガスサンプリング手段とガス検知手段20とを接続する配管用チューブ42,48内および局所ガスサンプリング手段におけるガスサンプリングチューブ47内に存在するガスが廃棄物処分場の建屋10内の空気と置換されることから、ガス検知の応答性が低下することを回避することができる。
さらにまた、局所ガスサンプリング手段45におけるガスサンプリングチューブ47が、必要に応じて、ガスサンプリングチューブ巻取装置46によって巻き取られることにより、局所ガスサンプリング手段45の存在が作業の妨げになることを防止することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
上記の実施の形態に係るガス検知システムにおける主ガスサンプリング手段および局所ガスサンプリング手段の数、並びに、局所ガスサンプリング手段によるガスサンプリングチューブの長さ等の具体的な構成は、特に制限されるものではなく、廃棄物処分場の規模の大きさに応じて適宜変更することができる。また、ガスサンプリング手段が設置される箇所は、メンテンナンス用通路に制限されない。
また、上記の実施の形態に係るガス検知システムにおいては、各ガスサンプリング手段によって採取されるガスが配管用チューブを介して共通のガス検知手段に導入される構成とされているが、ガスサンプリング手段の各々に対応してガス検知手段が設けられた構成とされていてもよい。
さらにまた、ガス検知手段は、廃棄物処分場の建屋と別棟の管理室内に設置されていてもよく、また、ガス検知手段により取得されるガス検知データは、無線通信により管理手段に送信される構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 建屋
11 メンテナンス用通路(キャットウォーク)
15 処分ピット
16 埋立面
20 ガス検知手段
21 検知部
22 測定吸引ポンプ
23 先行吸引ポンプ
25 制御部
30 管理手段
31 制御部
32 表示部
40 主ガスサンプリング手段
41 ガス導入ノズル
42 配管用チューブ
45 局所ガスサンプリング手段
46 ガスサンプリングチューブ巻取装置
47 ガスサンプリングチューブ
48 配管用チューブ
50 ガス採取ヘッド
51 ガス採取ヘッド本体
51A 開口
52 ガス導入ノズル
52A ガス吸引口
W 廃棄物
図1
図2
図3
図4