特許第5959290号(P5959290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959290
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】刈払い機用ロータリカッタ
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/73 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A01D34/73 104
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-100381(P2012-100381)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-226072(P2013-226072A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014000
【氏名又は名称】スターテング工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏樹
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−124501(JP,A)
【文献】 実開昭60−194920(JP,U)
【文献】 特開2003−102231(JP,A)
【文献】 特開2005−168503(JP,A)
【文献】 特開2009−171929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00−34/01
A01D 34/412−34/90
A01D 42/00−42/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース及び該ケースを覆うカバーにより形成されるヘッド本体に、当該本体を貫通してその両端部が当該ヘッド本体外に突出して保持される所望長さの刈払いコードを有し、前記ヘッド本体を回転駆動させることにより前記刈払いコードにより草等が刈り払いされる、コード収納リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタにおいて、前記ケース底部に突出し前記カバー方向に押込みながら回動可能となす押圧体が当該ケースの内部中央に組込まれ、該押圧体にはコード挿通用ガイド孔が径方向に設けられ、前記押圧体がヘッド本体と噛み合う凹凸嵌合機構を備え、所望長さの刈払いコードを前記ケースと、前記押圧体のコード挿通用ガイド孔を通して当該コード両端をヘッド本体外側に突出させた後、前記押圧体をケースに対し押し込みながら回動させることにより、前記凹凸嵌合機構にて当該押圧体が前記カバー方向に押し込まれないように固定されると共にコードが屈曲保持される仕組みとなすことを特徴とする刈払い機用ロータリカッタ。
【請求項2】
前記カバーと前記押圧体間に、前記押圧体に対して常時ケース方向へ押圧力を付与する弾性体を備えた請求項1に記載の刈払い機用ロータリカッタ。
【請求項3】
ケース及び該ケースを覆うカバーにより形成されるヘッド本体に、当該本体を貫通してその両端部が当該ヘッド本体外に突出して保持される所望長さの刈払いコードを有し、前記ヘッド本体を回転駆動させることにより前記刈払いコードにより草等が刈り払いされるコード収納リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタにおいて、前記ケース底部に突出し外方に引込みながら回動可能となす押圧体が当該ケースの内部中央に組込まれ、該押圧体にはコード挿通用ガイド孔が径方向に設けられ、前記押圧体がヘッド本体と係合する係合機構を備え、所望長さの刈払いコードを前記ケースと、前記押圧体のコード挿通用ガイド孔を通して当該コード両端をヘッド本体外側に突出させた後、前記押圧体をケースに対し引込みながら回動させることにより、前記係合機構にて当該押圧体が固定されると共にコードが屈曲保持される仕組みとなすことを特徴とする刈払い機用ロータリカッタ。
【請求項4】
前記ケースと前記押圧体間に、前記押圧体に対して常時カバー方向の押圧力を付与する弾性体を備えた請求項3に記載の刈払い機用ロータリカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機等の動力により回転軸を介して回転駆動されるヘッドの半径方向に延出されたコード(主にナイロン製)により草等の刈払い作業を行なうための刈払い機用ロータリカッタに係り、より詳しくは刈払いコードを巻回するリールを有しないリール非内蔵型で、ヘッドに取付けた所望長さの刈払いコードが摩耗して短くなった場合、その都度新しいコードと交換する方式の刈払い機用ロータリカッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、草等の刈払いを行なうための刈払い機用ロータリカッタとしては、刈払いコードを巻回するリールが収納されたリール内蔵型のものが主流であった。このリール内蔵型の刈払い機用ロータリカッタには、例えば刈払いコードが摩耗した時、これを引き出すために、回転中にカッタを地面に押圧したり、叩いてコードを引き出すか、あるいはカッタの回転を上げることによりコードを引出す方式のものがある。しかしながら、カッタを地面に押圧したり、叩いてコードを引き出す方式は小石を飛散させる危険があり、又、カッタの回転を上げる方式は構造が複雑で重量も増し、かつコードの引出しも原動機等の回転を最高位に上げて行なうため、両者共に動力源である原動機及びカッタに無理が生じたり、又、コードの引出しも不安定で、非常に危険であるという問題があった。これに対して、作業中コードが摩耗して短くなると自動的にコードがリールから繰り出される方式のロータリカッタが知られている。この方式は、コードの出代が短くなれば遠心力の変化により作業中でも自動的にコードが繰り出されるため、前記したような押圧や叩く操作、あるいは回転を上げる等の操作を必要とせず、又、構造も簡単であるためコードの交換も簡易にかつ安全に行なうことができるという効果を奏するという特徴を有する。
しかるに、前記したリール内蔵型の刈払い機用ロータリカッタの場合、ヘッドに内蔵される構成部品が多く構造の複雑化を余儀なくされ、コストの低減が容易にはかられないことや、ヘッドの重量も比較的重く容易に軽量化できないなどの問題点があった。
【0003】
そこで、これらの問題点に鑑みて、刈払いコードを巻回するリールを有しないリール非内蔵型で、ヘッドに取付けた所望長さの刈払いコードが摩耗して短くなった場合、その都度新しいコードと交換する方式の刈払い機用ロータリカッタが提案されている(特許文献1参照)。このリール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタは、ケース及びカバーにより形成されるヘッド本体の内部に、所望長さの刈払いコードを挿通するコードガイド孔が径方向に設けられ、このコードガイド孔と直交する方向にバネに抗してスライドする略U字形のコード貫通孔付き押圧部材(通常は「ボタン」と称する)がヘッド本体の片側内部に組込まれ、さらに前記コードガイド孔と同一中心線上に回転駆動軸接続用ナットが前記コード貫通孔付き押圧部材に内嵌されるようにヘッド本体中心部に組込まれ、ヘッドに刈払いコードを取付ける際には、前記コード貫通孔付き押圧部材をバネに抗して径方向にスライドさせながら当該コード貫通孔を前記コードガイド孔に合致させて、刈払いコードを回転駆動軸接続用ナットの貫通孔及びコードガイド孔に挿通して当該コード両端部をヘッド本体外へ突出させる。次いで、コード貫通孔付き押圧部材の押圧を解除するとコード貫通孔付き押圧部材がバネ力により外方へ移動することにより、刈払いコードがコード貫通孔付き押圧部材のコード貫通孔(長孔)部に挟持されて強制的に屈曲させられて固定される機構となしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2008/0155837A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した従来のコード収納リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタの場合は、以下に記載する欠点がある。
(1)ヘッド本体の内部に設けるコードを挿通するコードガイド孔、押圧部材に設けるコード貫通孔の径が決定されているので、刈払いコードの太さ(直径)の変化に対応することができない。
(2)ヘッド本体に対する刈払いコードの着脱時には、コード貫通孔付き押圧部材をバネに抗して径方向にスライドさせながら当該コード貫通孔をコードガイド孔に合致させなければならないため、ヘッド本体に対する刈払いコードの着脱操作に手間を要する。
(3)コードガイド孔と直交する方向にバネに抗してスライドする略U字形のコード貫通孔付き押圧部材(通常は「ボタン」と称する)がヘッド本体の片側内部に組込まれるため、ヘッド本体全体の重量バランスが悪く、使用中におけるヘッドの振動が大きい。
(4)押圧部材のコード貫通孔(長孔)部で刈払いコードを挟持する方式のため、コードの挟持力が十分に得られず、使用中に遠心力でコードが移動したりヘッド本体より離脱するおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、構造簡単にして刈払いコードの太さ(直径)の変化に対応することができ、ヘッド本体に対する刈払いコードの着脱操作に手間を要せず、ヘッド本体全体の重量バランスも良好で、使用中におけるヘッドの振動が極めて小さく、刈払いコードの挟持力も大きい、リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる刈払い機用ロータリカッタは、ケース及び該ケースを覆うカバーにより形成されるヘッド本体に、当該本体を貫通してその両端部が当該ヘッド本体外に突出して保持される所望長さの刈払いコードを有し、前記ヘッド本体を回転駆動させることにより前記刈払いコードにより草等が刈り払いされる、コード収納リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタにおいて、前記ケース底部に突出し前記カバー方向に押込みながら回動可能となす押圧体が当該ケースの内部中央に組込まれ、該押圧体にはコード挿通用ガイド孔が径方向に設けられ、前記押圧体がヘッド本体と噛み合う凹凸嵌合機構を備え、所望長さの刈払いコードを前記ケースと、前記押圧体のコード挿通用ガイド孔を通して当該コード両端をヘッド本体外側に突出させた後、前記押圧体をケースに対し押し込みながら回動させることにより、前記凹凸嵌合機構にて当該押圧体が前記カバー方向に押し込まれないように固定されると共にコードが屈曲保持される仕組みとなすことを特徴とするものである(押圧体押込み方式)。
【0008】
又、本発明は、上記押圧体押込み方式の刈払い機用ロータリカッタにおいて、前記押圧体の回動及び固定をより精度よくかつ安定させるために、前記カバーと前記押圧体間に、前記押圧体に対して常時外方の押圧力を付与する弾性体を設けることを特徴とするものである。
【0009】
本発明にかかる刈払い機用ロータリカッタは、又、ケース及び該ケースを覆うカバーにより形成されるヘッド本体に、当該本体を貫通してその両端部が当該ヘッド本体外に突出して保持される所望長さの刈払いコードを有し、前記ヘッド本体を回転駆動させることにより前記刈払いコードにより草等が刈り払いされるコード収納リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタにおいて、前記ケース底部に突出し外方に引込みながら回動可能となす押圧体が当該ケースの内部中央に組込まれ、該押圧体にはコード挿通用ガイド孔が径方向に設けられ、前記押圧体がヘッド本体と係合する係合機構を備え、所望長さの刈払いコードを前記ケースと、前記押圧体のコード挿通用ガイド孔を通して当該コード両端をヘッド本体外側に突出させた後、前記押圧体をケースに対し引込みながら回動させることにより、前記係合機構にて当該押圧体が固定されると共にコードが屈曲保持される仕組みとなすことを特徴とするものである(押圧体引込み方式)。
【0010】
又、本発明は、上記押圧体引込み方式の刈払い機用ロータリカッタにおいて、前記押圧体の回動及び固定をより精度よくかつ安定させるために、前記ケースと前記押圧体間に、前記押圧体に対して常時カバー方向の押圧力を付与する弾性体を設けることを特徴とするものである。
【0011】
なお、上記した本発明の押圧体押込み方式の刈払い機用ロータリカッタ及び押圧体引込み方式の刈払い機用ロータリカッタにおける前記弾性体としては、ばねまたはゴムが一般的である。
【0012】
刈払い機本体に取付けられたロータリカッタは、通常は適度の長さを有するコードにより、芝生や雑草を刈り取るが、コードが摩耗し、短くなると切れ味が悪くなり、作業能率が落ちるため、常にコードの長さを適度に保つ必要がある。このため、本発明のコード収納リール非内蔵型のロータリカッタのうち、押圧体押込み方式の刈払い機用ロータリカッタの場合は、ロータリカッタの動作中、コードが摩耗し短くなると、前記押圧体をケースに対し押し込みながらコード装着時と反対方向に回動させてコードを開放してヘッド本体より抜き取り、次いで再び新しいコードをヘッド本体に挿通すると共に前記押圧体をケースに対し押し込みながら回動させることにより、前記凹凸嵌合機構にて当該押圧体が固定されると共にコードが屈曲保持されるように構成したものである。
【0013】
又、本発明のコード収納リール非内蔵型のロータリカッタのうち、押圧体引込み方式の刈払い機用ロータリカッタの場合は、ロータリカッタの動作中、コードが摩耗し短くなると、前記押圧体をケースに対し引込みながらコード装着時と反対方向に回動させてコードを開放してヘッド本体より抜き取り、次いで再び新しいコードをヘッド本体に挿通すると共に前記押圧体をケースに対し引込みながら回動させることにより、前記係合機構にて当該押圧体が固定されると共にコードが屈曲保持されるように構成したものである。
【0014】
なお、上記本発明の押圧体押込み方式及び押圧体引込み方式の各刈払い機用ロータリカッタの場合、コードの交換時にヘッド本体内に組込まれた押圧体の動きが不安定になったり、あるいはロータリカッタ使用中に同押圧体にがたつきが生じたりすることが懸念される場合には、押圧体の回動及び固定をより精度よくかつ安定させるために、押圧体押込み方式の刈払い機用ロータリカッタの場合は、カバーと押圧体間に、押圧体に対して常時外方の押圧力を付与する弾性体を、押圧体引込み方式の刈払い機用ロータリカッタの場合は、ケースと押圧体間に、押圧体に対して常時カバー方向の押圧力を付与する弾性体を、それぞれヘッド本体内部に設けることとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコード収納リール非内蔵型の刈払い機用ロータリカッタは、ヘッド本体の内部に組込む押圧体に設けるコードを挿通するコード挿通用ガイド孔の径を所定のサイズに設定する必要がなく大きめに形成することができるので、刈払いコードの太さ(直径)の変化に十分に対応することができること、ヘッド本体に対する刈払いコードの着脱時には、押圧体をケースに対し押し込みながら、あるいは引込みながら回動させるだけで簡易迅速に行うことができるので、ヘッド本体に対する刈払いコードの着脱操作が極めて簡単であること、押圧体はヘッド本体の中央に組込まれるためヘッド本体全体の重量バランスが良く、使用中にヘッドが振動するおそれがほとんどないこと、コードは押圧体の回動により屈曲保持されるので、コードの挟持力が十分に得られ、使用中に遠心力でコードが移動したりヘッド本体より離脱するおそれが皆無であること、ヘッド本体内部に押圧体に対して常時押圧力を付与する弾性体を組込むことにより、押圧体の回動及び固定をより精度よくかつ安定させることができること、等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る刈払い機用ロータリカッタの第1実施例(押圧体押込み方式)を示すカバーを外した状態の横断面図である。
図2】同上第1実施例の刈払い機用ロータリカッタを示す縦断面図である。
図3】同上第1実施例の刈払い機用ロータリカッタの動作を示すコード固定保持状態の図1相当図である。
図4】同上第1実施例の刈払い機用ロータリカッタにおけるケースと押圧体の凹凸嵌合機構を示す概略説明図で、(a)はケースのコードガイドに押圧体のコード挿通用ガイド孔を対向位置させた状態(コード挿入時の位置)、(b)は押圧体を押圧しながら回動位置させた状態(コードを固定保持する直前の位置)、(c)はケースと押圧体を凹凸嵌合させた状態(コードの固定保持位置)、をそれぞれ示す。
図5】本発明に係る刈払い機用ロータリカッタの第2実施例(押圧体引込み方式)を示すカバーを外した状態の横断面図である。
図6】同上第2実施例の刈払い機用ロータリカッタを示す縦断面図である。
図7】同上第2実施例の刈払い機用ロータリカッタを示すコード固定保持状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、図1図4に示す本発明の第1実施例の刈払い機用ロータリカッタの構造について説明すると、この第1実施例の刈払い機用ロータリカッタは押圧体押込み方式により所望長さの刈払いコード3を着脱する方式であって、その構造はケース1−1及び該ケースを覆うカバー1−2により形成されるヘッド本体1の内部に、所望長さの刈払いコード3を着脱するための押圧体2が組込まれている。この押圧体2は、有底円筒体からなる本体の底部中央に凸状(板状)の把持部2−1が形成され、開口部側に前記凸状の把持部2−1と平行して刈払いコード3の太さ(直径)より大きいコード挿通用ガイド孔2−2が径方向に設けられている。このガイド孔2−2には、必ずしも必要とするものではないがコード補助パイプ2−3が内嵌されている。
【0018】
前記押圧体2は、前記ケース1−1の中央部に形成された嵌合孔1−1aに、凸状の把持部2−1側が外側に突出するようにコード挿通用ガイド孔2−2側を内側にして回動及び上下動可能に嵌合され、前記ケース1−1と前記押圧体2間において押圧体2がケース1−1に対し押し込み方向で鍵形に噛み合う凹凸嵌合機構が設けられている。この凹凸嵌合機構は、ケース1−1の内側底部に前記嵌合孔1−1aの内面に沿って当該内面と面一に径方向に相対向して形成した上部が鍵形に形成された凸部1−1b及び上面が平坦な凸部1−1cと、該凸部1−1bと1−1c間に形成された凹部1−1d、1−1eと、押圧体2の側面に当該コード挿通用ガイド孔2−2の両開口部に隣接して形成した、前記鍵形に形成された凸部1−1bと凹凸嵌合する凹部2−4a、2−4dと、前記ケース1−1側の凹部1−1d、1−1eと凹凸嵌合する鍵形に形成された凸部2−4cとから構成され、前記ケース1−1と前記押圧体2間において押圧体2がケース1−1に対し押し込み方向で凹凸係合することにより、当該押圧体2が前記カバー1−2方向に押し込まれないように固定される仕組みとなっている。
又、ケース1−1とカバー1−2との間には、前記押圧体2に設けたコード挿通用ガイド孔2−2と同一中心線上に刈払いコード3の出入口となるコードガイド5が装着されている。図中、4はカバー1−2の中央部に固着された、原動機等の駆動回転軸(図示せず)を連結するためのナット部材である。
【0019】
なお、本実施例1では、前記押圧体2の回動及び固定をより精度よくかつ安定させるために、ケース1−1と押圧体2間に、押圧体2に対して常時カバー1−2方向の押圧力を付与する弾性体6を設けているが、弾性体6は必須とするものではない。又、前記凹凸嵌合機構は、ここに示す構造に限定するものではなく、同様の作用効果が得られるすべての凹凸嵌合機構を含むことはいうまでもない。
【0020】
上記図1図4に示す構成の刈払い機用ロータリカッタ(押圧体押込み方式)において、所望長さの刈払いコード3をヘッダ本体1に取付ける場合は、図1図2に示すように押圧体2をコード挿通用ガイド孔2−2とコードガイド5とが同一直線上に位置するように配置させる。この時、押圧体2のコード挿通用ガイド孔2−2はケース1−1のコードガイド5に対向位置している。又、この時、ケース1−1と押圧体2の凹凸嵌合状態を図4(a)に示すように、押圧体2は上部が鍵形に形成されたケース1−1側の凸部1−1bと押圧体2側に設けた凹部2−4aとの凹凸嵌合により固定された状態にある。この状態において、所望長さの刈払いコード3の一端をコードガイド5よりヘッド本体1の内部に導入するとともに押圧体2のコード挿通用ガイド孔2−2内を通して反対側のコードガイド5より外部に導出させ、該刈払いコード3を前後動させてヘッド本体1の両側のコード突出長さがほぼ同一となるようにセットする。次いで、押圧体2の背面側に設けた凸状の把持部2−1(図2等に示す。)を把持して当該押圧体2をケース1−1に対し弾性体6に抗して押し込んでケース1−1と押圧体2の凹凸嵌合状態を解除するとともに、当該押圧体2を押し込みながら回動させて刈払いコード3を屈曲させる。この時、押圧体2のコード挿通用ガイド孔2−2部は凸部1−1cの平坦な上面側を移動して図4(b)に示す状態となると、図4(c)に示すように再び押圧体2は、上部が鍵形に形成されたケース1−1側の凸部1−1bと押圧体2側に設けた凹部2−4dとの凹凸嵌合、及びコード挿通用ガイド孔2−2部と凹部1−1eとの凹凸嵌合により固定され、刈払いコード3が図3に示すように押圧体2により屈曲保持された状態となる。又この時、押圧体2は図4(c)に示すようにケース1−1側の鍵形に形成された凸部1−1bと押圧体2側に設けた凸部2−4cとの係合により、前記カバー1−2方向へ押し込まれることはないため、ロータリカッタ回転時に押圧体2が逆方向(刈払いコード装着時と反対方向)に回動して刈払いコード3の緩みや離脱が生じることはない。
【0021】
又、摩耗したコードを新しいものと取り替える場合は、再び前記押圧体2をケース1−1に対し押し込みながらコード装着時と反対方向に回動させてコードを開放してヘッド本体1より抜き取り、次いで再び新しいコード3をヘッド本体1に挿通すると共に前記と同じ手順で押圧体2をケース1−1に対し押し込みながら回動させてコードを取付ける。
【0022】
次に、図5図7に示す本発明の第2実施例の刈払い機用ロータリカッタの構造について説明すると、この第2実施例の刈払い機用ロータリカッタは押圧体引込み方式により所望長さの刈払いコードを着脱する方式であって、その構造はケース11−1及び該ケースを覆うカバー11−2により形成されるヘッド本体11の内部に、所望長さの刈払いコード13を着脱するための押圧体12が組込まれている。この押圧体12は、前記第1実施例の押圧体2より長尺の鍔付き有底円筒体からなる本体の底部中央に凸状(板状)の把持部12−1が形成され、前記把持部12−1の上部近傍に、前記凸状の把持部12−1と平行して刈払いコード13の太さ(直径)より大きいコード挿通用ガイド孔12−2が径方向に設けられている。又、このコード挿通用ガイド孔12−2には、後述する係合機構の一部を構成するコード補助パイプ12−3が内嵌されている。このコード補助パイプ12−3は、前記コード挿通用ガイド孔12−2より長く、その両端部が当該押圧体の側壁より突出するように内嵌されている。なお、コード補助パイプ12−3に替えて、押圧体12のコード挿通用ガイド孔12−2の両側開口端部に突出部(図示せず)を一体的に設けてもよい。
【0023】
上記押圧体12は、前記ケース11−1の中央部に形成された嵌合孔11−1aに、凸状の把持部12−1側が外側に突出するようにコード挿通用ガイド孔12−2側を内側にして回動及び上下動可能に嵌合され、その反対側に該ケース11−1及び押圧体12を覆うようにカバー11−2が取付けられる。この円筒体からなる押圧体12は、カバー11−2の内部中央部に突設した原動機等の駆動回転軸(図示せず)を連結するためのナット部材14が取付けられた支持筒部17に上下方向にスライド可能にかつ回動可能に外嵌され、前記ケース11−1と前記押圧体12間において押圧体12がケース11−1に対し回動方向で当接係合する係合機構を有している。この係合機構は、ケース11−1の内側底部に前記嵌合孔11−1aの内面に沿って当該内面と面一に径方向に相対向して形成した一対の板状の円弧状突起11−1bと、前記押圧体12のコード挿通用ガイド孔12−2に内嵌したコード補助パイプ12−3の両端突出部12−3aとで構成され、前記ケース11−1と前記押圧体12間において押圧体12がケース11−1に対し回動方向で当接係合することにより固定される機構となしている。又、押圧体12の外周面に突出する前記コード補助パイプ12−3の両端突出部12−3aは、嵌合孔11−1aの周縁部に当接して当該押圧体12が外方へ引き出されないようにするためのストッパー作用も有する。
ケース11−1とカバー11−2との間には、前記押圧体2に設けたコード挿通用ガイド孔12−2と同一中心線上に刈払いコード13の出入口となるコードガイド15が装着されている。
【0024】
なお、本実施例2では、前記押圧体12の回動及び固定をより精度よくかつ安定させるために、ケース11−1と押圧体12間に、押圧体12に対して常時カバー11−2方向の押圧力を付与する弾性体16を設けているが、本実施例においても弾性体16は必須とするものではない。又、ケース11−1と押圧体12の係合機構は、ここに示す構造に限定するものではなく、同様の作用効果が得られるすべての係合機構を含むことはいうまでもない。
【0025】
上記図5図7に示す構成の刈払い機用ロータリカッタ(押圧体引込み方式)において、所望長さの刈払いコード13をヘッダ本体11に取付ける場合は、図5図6に示すように押圧体12をコード挿通用ガイド孔12−2とコードガイド15とが同一直線上に位置するように配置させる。この時、押圧体12のコード挿通用ガイド孔12−2はケース1−1のコードガイド15に対向位置している。又、この時、押圧体12は係合機構の一対の円弧状突起11−1bの一方のストッパー面11−1b’にコード補助パイプ12−3の両端突出部12−3aが当接係合して固定された状態にある。この状態において、所望長さの刈払いコード13の一端をコードガイド15よりヘッド本体11の内部に導入するとともに押圧体12のコード挿通用ガイド孔12−2のコード補助パイプ12−3内を通して反対側のコードガイド15より外部に導出させ、該刈払いコード13を前後動させてヘッド本体11の両側のコード突出長さがほぼ同一となるようにセットする。次いで、押圧体12の背面側に設けた凸状の把持部12−1を把持して当該押圧体12をケース11−1に対し弾性体16に抗して引込みながら回動させて刈払いコード13を屈曲させると共に、係合機構の一対の円弧状突起11−1bの他方のストッパー面11−1b’にコード補助パイプ12−3の両端突出部12−3aを当接係合させる。この時、刈払いコード13は図7に示すように押圧体12により屈曲保持された状態となる。
【0026】
又、摩耗したコードを新しいものと取り替える場合は、再び前記押圧体12をケース11−1に対し引込みながらコード装着時と反対方向に回動させてコード13を開放してヘッド本体11より抜き取り、次いで再び新しいコード13をヘッド本体11に挿通すると共に前記と同じ手順で押圧体12をケース11−1に対し引込みながら回動させてコードを取付ける。
【0027】
上記したように、本発明の第1実施例に示す刈払い機用ロータリカッタ(押圧体押込み方式)及び第2実施例に示す刈払い機用ロータリカッタ(押圧体引込み方式)において、ヘッド本体1、11の内部に組込む押圧体2、12に設けるコード挿通用ガイド孔2−2、12−2の径は、特に規定する必要がなく任意に設定できるので、種々の太さ(直径)を有する刈払いコード3、13に十分に対応することができる。又、ヘッド本体1、11に対する刈払いコード3、13の着脱時には、押圧体1、11をケース1−1、11−1に対しそれぞれ押し込み、引込みながら回動させるだけで簡易迅速に行うことができるので、ヘッド本体1、11に対する刈払いコード3、13の着脱を簡易迅速に行うことができ、さらに、押圧体2、12はヘッド本体1、11の中央に組込まれるためヘッド本体全体の重量バランスが良く、使用中にヘッドが振動するおそれがほとんどなく、又、コード3、13は押圧体2、12の回動により屈曲保持されるので、コード3、13の挟持力が十分に得られ、使用中に遠心力でコード3、13が移動したりヘッド本体1、11より離脱するおそれが皆無である。さらに、ヘッド本体内部に押圧体2、12に対して常時押圧力を付与する弾性体6、16を組込むことにより、押圧体2、12の回動及び固定をより精度よくかつ安定させることができる。
【符号の説明】
【0028】
1、11 ヘッド本体
1−1、11−1 ケース
1−1a、11−1a 嵌合孔
1−1b 上部が鍵形に形成された凸部
1−1c 上面が平坦な凸部
1−1d、1−1e、2−4a、2−4b、2−4d 凹部
1−2、11−2 カバー
2、12 押圧体
2−1、12−1 把持部
2−2、12−2 コード挿通用ガイド孔
2−3、12−3 コード補助パイプ
2−4c 鍵形に形成された凸部
3、13 刈払いコード
4、14 ナット部材
5、15 コードガイド
6、16 弾性体
11−1b 円弧状突起
11−1b’ストッパー面
12−3a 両端突出部
17 支持筒部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7