特許第5959291号(P5959291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959291
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】保冷容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20160719BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20160719BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20160719BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20160719BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B65D81/18 D
   B65D81/38 L
   B65D21/02 210
   B65D85/50 C
   B65D43/04
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-100945(P2012-100945)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-227048(P2013-227048A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100160668
【弁理士】
【氏名又は名称】美馬 保彦
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−076816(JP,A)
【文献】 実開昭53−158658(JP,U)
【文献】 実開昭56−175455(JP,U)
【文献】 実開昭64−047678(JP,U)
【文献】 特開2002−104542(JP,A)
【文献】 実開平03−117690(JP,U)
【文献】 特開2008−087812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/18
B65D 81/38
B65D 21/02
B65D 85/50
B65D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺および短辺からなる上方に開口した開口部が形成された平面視矩形状の容器本体と、該容器本体の開口部に被着自在な蓋体とからなり、
果菜類を収納して前記蓋体を被着した後、前記長辺を鉛直方向に沿わせて、前記容器本体の側壁部が底部となるように立てた状態で、段積みされる保冷容器であって、
前記蓋体の裏面には、前記容器本体の開口部と嵌合する嵌合凸部が形成され、
前記蓋体の対向する一対の各側辺部には、前記嵌合凸部との間において、前記容器本体の開口部を形成する側壁部のうち長辺方向の中央側壁部の一部を挟持するように、側辺凸部が形成されており、
前記容器本体の中央側壁部には、前記蓋体の側辺凸部に嵌合する側辺凹部が形成されており、
前記中央側壁部には、該中央側壁部の肉厚が、該中央側壁部を含む側面壁部の他の部分の肉厚よりも厚くなるように、前記容器本体の果菜類を収納する収納凹部の内側面から隆起した隆起部が形成されており、該隆起部の長辺方向の長さは、前記側辺凹部の長辺方向の長さよりも長くなっており、
前記隆起部は、前記側辺凹部の近傍において、前記開口部の側から前記収納凹部の底面に向かって延在していることを特徴とする保冷容器。
【請求項2】
前記容器本体の側辺凹部には、前記立てた状態の容器本体の上側面に平行な凹部フラット面が形成されており、
前記蓋体の側辺凸部には、前記段積み時に前記凹部フラット面に当接する凸部フラット面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保冷容器。
【請求項3】
前記蓋体を前記容器本体に被着した状態で、前記蓋体の側面は、前記容器本体の側面よりも内側となるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の保冷容器。
【請求項4】
前記蓋体の嵌合凸部は、前記蓋体を前記容器本体に被着した状態で前記容器本体の開口部の周りに嵌合するように、該蓋体の周縁に沿って隆起しており、
前記蓋体の裏面には、対向する短辺側の嵌合凸部同士を連結するように、長辺方向に沿って形成された長辺補強リブが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保冷容器。
【請求項5】
前記蓋体の裏面には、対向する長辺側の嵌合凸部同士を長辺方向の中央で連結するように、短辺方向に沿って形成された短辺補強リブが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の保冷容器。
【請求項6】
前記容器本体の果菜類を収納する収納凹部の内側面には、前記開口部に沿って凹溝部が形成されており、前記嵌合凸部の角縁部には、前記凹溝部に嵌合する嵌合条部が形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の保冷容器。
【請求項7】
前記容器本体の果菜類を収納する収納凹部の底面には、表面が波状となるように、長辺方向に沿って複数の凸条部が形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の保冷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として各種の果菜類を収容して保管又は輸送するのに好適な保冷容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ねぎ等の長尺状の果菜類の保管及び輸送に際しては、断熱性のある発泡樹脂製の保冷容器が使用され、通常、前記果菜類は形状維持等の理由から上下方向を揃えて立てた状態で収容されていた。例えば、ねぎは、容器への収納後の輸送中においても僅かに成長することから、根の側を下にして立てた状態を保持するようにして取り扱われる。
【0003】
前記のように、果菜類を立てた状態で容器内に順次収納するのは、収納作業に手数が掛かり、かつ果菜類同士が擦れたりして傷みが生じる等の問題がある。そのため、以下の手順で、果菜類が梱包される。
【0004】
まず、果菜類を、一旦横方向で揃えて容器本体内に収納する。次に、収納した容器本体の開口部を上に向けた状態で容器本体を段積みし、容器本体に収納された果菜類を予冷する。その後、予冷された果菜類を収納した容器本体に対して蓋体を被着する。最後に、該果菜類の基部側が下方に位置するように、保冷容器の側壁部を底部にして立てた状態で、保冷容器を段積みし、輸送を行う。
【0005】
例えば、このような保冷容器として、特許文献1に示す保冷容器や、図9に示す保冷容器が提案されている。これらの保冷容器は、容器本体の開口部を介して、内側面に、蓋体が嵌合する(いわゆる内側嵌合する)形態となっている。
【0006】
具体的には、図9に示すように、保冷容器9は、上方に開口した開口部91が形成された平面視矩形状の容器本体92と、該容器本体92の開口部91に被着自在な蓋体95とからなる。容器本体92には、果菜類を収納するための収納凹部94が形成されており、蓋体95の裏面96には、容器本体92の開口部91と嵌合する嵌合凸部97が形成されている。このように、容器本体92の開口部91の内側において、蓋体95の嵌合凸部97を嵌合させることができる。
【0007】
また、別の保冷容器として、容器本体の開口部が形成された端面部の外周に外側溝部を設け、該外側溝部と嵌合するように、蓋体の外周に嵌合凸条を設けた輸送用容器も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。このように、容器本体の端面部の外側溝部に対して、蓋体の嵌合凸部が嵌合することにより、容器本体の側壁部の上端部を、蓋体の嵌合凸条で外側から嵌合(外側嵌合)させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−76816号公報
【特許文献2】実開5−62475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図9または特許文献1に示す保冷容器を段積みした場合には、図10に示すように、上段の保冷容器9の荷重を、下段の保冷容器9が受けることになり、容器本体92および蓋体95の双方に圧縮荷重Fが作用する。この際に、容器本体92の長辺方向の側壁部93は、その長辺方向中央において、外側方向Tに広がろうと変形し、蓋体95は、容器本体92側とは反対側の方向Sに屈曲しようとする。この結果、容器本体92の開口部91から、蓋体95の嵌合凸部97から外れ、蓋体95と容器本体92との嵌合状態が保持できないことがあった。
【0010】
また、特許文献2に示すような外側嵌合の様態の場合、確かに、容器本体の長辺方向の側壁部の外側方向の変形を、蓋体の嵌合凸条で拘束できるように考えられる。しかしながら、蓋体自体はやはり屈曲することがあり、この結果、蓋体と容器本体との嵌合状態が保持できないことがあった。
【0011】
さらに、果菜類の予冷時に、収納した容器本体の開口部を上に向けた状態で容器本体を段積みした際に、この開口部を形成する端面部に、上段の果菜類および容器本体の荷重が作用する。しかしながら、特許文献2に示す容器本体の端面部には、外側嵌合するための外側溝部が形成されているため、外側溝部を形成しない内側嵌合の構造(図9参照)の物に比べて強度が低く、端面部が果菜類の予冷の段積み時に欠損するおそれがあった。
【0012】
本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、段積みした場合であっても、蓋体と容器本体との嵌合状態を保持し、さらには、蓋体を非被着状態で容器本体を段積みして果菜類を好適に予冷することができる保冷容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決すべく、本発明に係る保冷容器は、長辺および短辺からなる上方に開口した開口部が形成された平面視矩形状の容器本体と、該容器本体の開口部に被着自在な蓋体とからなり、果菜類を収納して前記蓋体を被着した後、前記長辺を鉛直方向に沿わせて、前記容器本体の側壁部が底部となるように立てた状態で、段積みされる保冷容器であって、前記蓋体の裏面には、前記容器本体の開口部と嵌合する嵌合凸部が形成され、前記蓋体の対向する一対の各側辺部には、前記嵌合凸部との間において、前記容器本体の開口部を形成する側壁部のうち長辺方向の中央側壁部の一部を挟持するように、側辺凸部が形成されており、前記容器本体の中央側壁部には、前記蓋体の側辺凸部に嵌合する側辺凹部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、蓋体の裏面には、容器本体の開口部と嵌合する嵌合凸部を設けたことにより(すなわち内側嵌合用容器本体としたことにより)、外側嵌合するための外側溝部が形成されている容器本体(外側嵌合用容器本体)に比べて、開口部を形成する端面部の強度を確保することができる。これにより、果菜類の予冷時に、収納した容器本体の開口部を上に向けた状態で容器本体を段積みした際に、上段の果菜類および容器本体の荷重を容器本体の端面部で好適に受けることができる。
【0015】
さらに、容器本体に対して蓋体を被着した際には、蓋体に形成された一対の側辺凸部が、保冷容器の段積み時に下段の容器本体の中央側壁部が外側に向う変形を、拘束する。これと同時に、容器本体の中央側壁部の側辺凹部に嵌合した側辺凸部と、容器本体の開口部に嵌合した嵌合凸部との間で、側壁部のうち長辺方向の中央側壁部の一部が挟持される。これにより、容器本体側とは反対側の方向に屈曲しようとする蓋体の変形が抑制され、蓋体と容器本体との嵌合状態を保持することができる。
【0016】
また、段積み時に蓋体と容器本体との嵌合状態を確保することができるのであれば、蓋体の側辺凸部の形状、およびこれに嵌合する容器本体の側辺凹部の形状は、特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記容器本体の側辺凹部には、前記立てた状態の容器本体の上側面に平行な凹部フラット面が形成されており、前記蓋体の側辺凸部には、前記段積み時に前記凹部フラット面に当接する凸部フラット面が形成されている。
【0017】
この態様によれば、保冷容器を立て段積みした状態で、上段の保冷容器の荷重により、下段の保冷容器の側辺凹部の凹部フラット面と側辺凸部の凸部フラット面が当接しつつ相互に摩擦係合する。これにより、上述した蓋体の屈曲が抑制され、蓋体と容器本体との嵌合状態をより強固なものとすることができる。
【0018】
また、上述した蓋体の屈曲を抑えることができるのであれば、前記蓋体を前記容器本体に被着した状態での、蓋体および容器本体の側面の位置関係は特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記蓋体を前記容器本体に被着した状態で、前記蓋体の側面は、前記容器本体の側面よりも内側となるように形成されている。この態様によれば、下段の保冷容器が上段の保冷容器の荷重を受ける際に、下段の蓋体の側面に、上段の保冷容器の荷重が直接的に作用することはないので、上述した蓋体の屈曲を回避することができる。
【0019】
さらに、蓋体の長辺方向に対する強度を高めることにより、蓋体の上述した屈曲を抑えることができる。好ましい態様としては、前記蓋体の嵌合凸部は、前記蓋体を前記容器本体に被着した状態で前記容器本体の開口部の周りに嵌合するように、蓋体の周縁部に沿って隆起しており、前記蓋体の裏面には、対向する短辺側の嵌合凸部同士を連結するように、長辺方向に沿って形成された長辺補強リブが形成されている。この態様によれば、蓋体の屈曲し易い長辺方向に沿って、長辺補強リブが形成されているので、長辺方向に対する蓋体の剛性を高めることができる。
【0020】
さらに好ましい態様としては、前記蓋体の裏面には、対向する長辺側の嵌合凸部同士を長辺方向の中央で連結するように、短辺方向に沿って形成された短辺補強リブが形成されている。この態様によれば、蓋体の屈曲し易い長辺方向中央に、短辺補強リブが形成されているので、長辺補強リブと同様に長辺方向に対する蓋体の剛性を高めることができる。
【0021】
さらに好ましい態様としては、前記中央側壁部には、該中央側壁部の肉厚が、該中央側壁部を含む側面壁部の他の部分の肉厚よりも厚くなるように、前記容器本体の果菜類を収納する収納凹部の内側面から隆起した隆起部が形成されており、該隆起部の長辺方向の長さは、前記側辺凹部の長辺方向の長さよりも長くなっている。
【0022】
この態様によれば、中央側壁部に形成された隆起部が、該中央側壁部を含む側面壁部の他の部分の肉厚よりも厚肉となっているので、果菜類の予冷時に容器本体を段積みした際に、隆起部は、上段の果菜類および容器本体の荷重に対する容器本体の補強部分として作用する。さらには、容器本体に対して蓋体を被着し、保冷容器の段積みした際には、厚肉化された隆起部の長辺方向の長さは、前記側辺凹部の長辺方向の長さよりも長くなっているので、下段の容器本体の長手方向に沿った側壁部のたわみを抑えることができ、蓋体の側辺凸部および容器本体の側辺凹部を含む、蓋体と容器本体との嵌合状態をより確実に保持することができる。さらに、果菜類を容器本体の収納凹部に収納する際には、作業者は、中央側壁部が外側に開くように中央側壁部を押さえるところ、中央側壁部には、上述した厚肉化された隆起部が形成されているので、中央側壁部のたわみを抑制することができる。
【0023】
より好ましい態様としては、前記容器本体の果菜類を収納する収納凹部の内側面には、前記開口部に沿って凹溝部が形成されており、前記嵌合凸部の角縁部には、前記凹溝部に嵌合する嵌合条部が形成されている。この態様によれば、蓋体の裏面において、嵌合凸部の角縁部に形成された嵌合条部が、容器本体の開口部に沿って形成された凹溝部に嵌合するので、蓋体と容器本体との嵌合状態をより強固なものとすることができる。
【0024】
さらに好ましい態様としては、前記容器本体の果菜類を収納する収納凹部の底面には、表面が波状となるように、長辺方向に沿って複数の凸条部が形成される。この態様によれば、収納凹部の底面が波状となっているので、予冷時に、凸条部と凸条部との間に形成された谷間に冷気を送り込み、果菜類を冷却することができる。さらに、長辺方向に沿って複数の凸条部が形成されるので、長辺方向に沿った容器本体の底部の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、蓋体を非被着状態で容器本体を段積みして果菜類を好適に予冷することができるばかりでなく、予冷した果菜類を収納して蓋体を被着した後、予冷容器の長辺を鉛直方向に沿わせて、容器本体の側壁部が底部となるように立てた状態で段積みした場合であっても、蓋体と容器本体との嵌合状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る保冷容器の模式的斜視図。
図2】(a)は、図1に示す保冷容器の蓋体の裏面側を説明するための模式的斜視図であり、(b)は、図1に示す容器本体を別の方向から見たときの模式的斜視図。
図3】(a)は、図1に示す、蓋体の裏面側の平面図であり、(b)は、容器本体の正面図。
図4】果菜類を予冷する際の容器本体の段積み状態を説明するための斜視図。
図5図1に示す保冷容器を積み重ねた状態を示した模式的斜視図。
図6】(a)は、図5のA−A線に沿った矢視断面図、(b)は、図5のB−B線に沿った矢視断面図。
図7】(a)は、図5のC−C線に沿った矢視断面図であり、(b)は、(a)に相当する他の変形例の矢視断面図。
図8】(a)は、図1に示す蓋体の変形例に係る模式的斜視図であり、(b)は、(a)裏面側の模式的平面図であり、(c)は、図1に示す蓋体のさらなる変形例に係る模式的平面図。
図9】従来の保冷容器の模式的斜視図。
図10】従来の保冷容器を積み重ねた状態を示した模式的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る保冷容器の模式的斜視図であり、図2(a)は、図1に示す保冷容器の蓋体の裏面側を説明するための模式的斜視図であり、(b)は、図1に示す容器本体を別の方向から見たときの模式的斜視図である。図3(a)は、図1に示す、蓋体の裏面側の平面図であり、(b)は、容器本体の正面図である。
【0028】
図4は、果菜類を予冷する際の容器本体の段積み状態を説明するための斜視図である。図5は、図1に示す保冷容器を積み重ねた状態を示した模式的斜視図である。図6は、(a)は、図5のA−A線に沿った矢視断面図、(b)は、図5のB−B線に沿った矢視断面図である。図7は、(a)は、図5のC−C線に沿った矢視断面図である。
【0029】
本実施形態に係る保冷容器は、ねぎなどの長尺状の果菜類を収納し、保冷して保管および運搬するための成型容器である。図1に示すように、保冷容器1は、容器本体10及び蓋体30からなる。容器本体10及び蓋体30は、発泡樹脂からなり、たとえば、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。
【0030】
中でも、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡による成型体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。また、前記発泡体の発泡倍率は10〜70倍が好ましい。
【0031】
図1〜3に示すように、容器本体10は、平面視矩形状の形状であり、長辺および短辺からなる上方に開口した開口部11が形成されている。容器本体10の内部には、開口部(開口端部)11を介して、果菜類を収納するための収納凹部12が形成されている。
【0032】
本実施形態では、蓋体30は、容器本体10の開口部11に対し嵌合被着されるものである。蓋体30の裏面31には、容器本体10の開口部11と嵌合する嵌合凸部32が形成されている(図2(a),図3(a)参照)。嵌合凸部32は、蓋体30を容器本体10に被着した状態で容器本体10の開口部11の周りに嵌合するように、蓋体30の周縁部に沿って隆起している。これにより、蓋体30の裏面31の中央には、凹部30aが形成される。さらに、嵌合凸部32の外側の角縁部32aには、後述する容器本体10の凹溝部15に嵌合する嵌合条部35が形成されている。
【0033】
また、蓋体30の対向する一対の各側辺部33のうち、長辺方向の中央には、側辺凸部34が形成されている。具体的には、各側辺凸部34は、嵌合凸部32との間において、容器本体10の開口部11を形成する長辺方向の側壁部10aのうち中央側壁部10cの一部を挟持するように、形成されている。さらに、容器本体10の中央側壁部10cの端面部10fには、蓋体30の側辺凸部34に嵌合する側辺凹部13が形成されている。
【0034】
ここで、側辺凸部34およびこれに嵌合する側辺凹部13の長辺方向の長さは、後述する段積み時における容器本体10の外側の変形を拘束することができる程度の長さであり、容器本体10の長辺方向の長さに対して5%以上の長さを有する。また、後述するように(図4参照)、予冷時において、蓋体30を被着せずに容器本体10を90°反転させて段積みすることから、容器本体10の強度確保の観点から、容器本体10の短辺方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0035】
さらに、容器本体10の側辺凹部13には、立てた状態の容器本体10の上側面(外側面)10dに平行な凹部フラット面13aが形成されており、蓋体30の側辺凸部34には、段積み時に凹部フラット面13aに当接して摩擦係合する凸部フラット面34aが形成されている。
【0036】
また、容器本体10の果菜類を収納する収納凹部12の各内側面11a,11bの開口部11の近傍には、開口部11に沿って凹溝部15が形成されている。凹溝部15は、蓋体30を被着時に、嵌合凸部32の嵌合条部35に、嵌合するような形状となっている。
【0037】
容器本体10(開口部11)の長辺方向及び短辺方向に沿った側壁部10a,10bの内側面11a,11bには、深さ方向に沿って表面が波状となるように、複数の凸条部14a,14bが形成されている。さらに、短辺方向に沿った凸条部14bは、収納凹部12の底面11dの長辺方向に沿って、連続して延在している(図3(b)参照)。
【0038】
すなわち、本実施形態では、収納凹部12の底面11dには、表面が波状となるように、長辺方向に沿って複数の凸条部14b,14b,…が形成されることになる。このように長辺方向に沿って複数の凸条部14b,14b,…が形成されるので、長辺方向に沿った開口部上下方向の容器本体10の剛性を高めることができる。
【0039】
また、中央側壁部10cには、該中央側壁部10cの肉厚が、中央側壁部10cを含む側面壁部10aの他の部分の肉厚よりも厚くなるように、収納凹部12の内側面11aから隆起した隆起部14dが形成されている。隆起部14dの長辺方向の長さは、側辺凹部13の長辺方向の長さよりも長くなっている。
【0040】
本実施形態の場合には、隆起部14dの内側面11aからの高さは、各凸条部14aの内側面11aからの高さと同等であり、隆起部14dの収納凹部12の深さ方向に沿った長さも、各凸条部14aの長さと同等となっている。しかしながら、隆起部14dにより、後述する側面壁部10aのたわみ(変形)を抑制することができるのであれば、隆起部14dの高さおよび長さは、これに限定されるものではない。
【0041】
容器本体10の短辺方向の側壁部10bのうち一方側の側壁部10bの外側面10dには、段積み時に保冷容器1と係合するための係合凹部16aが形成されており(図1および図3(b)参照)、他方側の側壁部10bの外側面10dには、段積み時に係合凹部16aに係合する係合凸部16bが形成されている(図1および図2(b)参照)。
【0042】
このような保冷容器1を用いて、果菜類を梱包する。具体的には、保冷容器1の容器本体10の開口部11を上方に向けた状態で、開口部11を介して収納凹部12に果菜類例えばねぎを一方向に揃えて収納する。次に、図4に示すように、収納した容器本体10の開口部11を上に向けた状態で容器本体10を90°反転させて段積みし、容器本体10に収納された果菜類を予冷する。
【0043】
本実施形態に係る保冷容器1によれば、蓋体30の裏面31に、容器本体10の開口部11と嵌合する嵌合凸部32を設けたことにより、外側嵌合するための外側溝部が形成されている容器本体に比べて、開口部11を形成する端面部10fの強度を確保することができる。
【0044】
これにより果菜類予冷時に、収納した容器本体10の開口部11を上に向けた状態で容器本体10を段積みした際に、上段に位置する果菜類および容器本体10の荷重を、下段の容器本体10の端面部10fで好適に受けることができる。
【0045】
さらに、中央側壁部10cに形成された隆起部14dが、中央側壁部10cを含む側面壁部11bの他の部分の肉厚よりも厚肉となっているので、上段の果菜類および容器本体の荷重に対する、容器本体10の補強部分として作用する。
【0046】
また、内側面11a,11bおよび底面11dに、複数の凸条部14a,14bを設けることにより、予冷時に、凸条部14a,14aおよび凸条部14b,14bの間に形成された谷間14c,14cに冷気を送り込み、果菜類を冷却することができる。
【0047】
予冷後、図5に示すように、各容器本体10に対して蓋体30を被着し、容器本体10(すなわち開口部11)の長辺を鉛直方向に沿わせて、果菜類の基部側が下方に位置すべく、容器本体10の側壁部10aが底部となるように、保冷容器1を立てた状態で、保冷容器1が段積みされる。
【0048】
ここで、容器本体10の一方側に係合凹部16aを設け、他方側に係合凸部16bを設けることにより、保冷容器1同士が位置ずれすることなく、保冷容器1を鉛直方向に容易に段積みすることができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、容器本体10に対して蓋体30を被着した際には、図6(a)に示すように、蓋体30に形成された一対の側辺凸部34,34が、保冷容器1の段積み時に、下段の容器本体10の中央側壁部10cの外側に向う変形を、拘束する。
【0050】
これと同時に、容器本体10の中央側壁部10cの側辺凹部13に嵌合した側辺凸部34と、容器本体10の開口部11に嵌合した嵌合凸部32との間で、側壁部10a、10bのうち長辺方向の中央側壁部10cの一部が挟持され、これらが相互に摩擦係合する。このようにして、容器本体側とは反対側の方向に屈曲しようとする蓋体30の変形が抑制され、蓋体30と容器本体10との嵌合状態を保持することができる。
【0051】
また、隆起部14dにより、中央側壁部10cの肉厚が、中央側壁部10cを含む側面壁部10aの他の部分の肉厚よりも厚肉となり、かつ、厚肉化された隆起部14dの長辺方向の長さは、側辺凹部13の長辺方向の長さよりも長くなっているので、中央側壁10cによる切り欠き形状となった側辺凹部13の影響を受けることなく、下段の容器本体10の長辺方向に沿った側壁部11aのたわみを抑えることができる。これにより、蓋体30の側辺凸部34および容器本体10の側辺凹部13を含む、蓋体30と容器本体10との嵌合状態をより確実に保持することができる。
【0052】
また、蓋体30の嵌合凸部32の角縁部32aには、嵌合条部35が形成されているので、嵌合条部35を、容器本体10の開口部11に沿って形成された凹溝部15に嵌合させることができる(図6(a)および(b)参照)。この嵌合により、上述した蓋体30の屈曲はさらに抑制され、蓋体30と容器本体10との嵌合状態をより強固なものとすることができる。
【0053】
さらに、図7(a)に示すように、下段の容器本体10の側辺凹部13の凹部フラット面13aと、蓋体30の側辺凸部34の凸部フラット面34aが、段積み時に少なくとも当接しつつ相互に摩擦係合する。
【0054】
ここで、下段の保冷容器1の蓋体30側に、上段の荷重が主に作用する場合には、図7(a)に示す、側辺凹部13の下側の凹部フラット面13aと、側辺凸部34の下側の凸部フラット面34aとが摩擦係合する。
【0055】
一方、下段の保冷容器1の容器本体10側に上段の荷重が主に作用する場合には、図7(a)に示す容器本体10が長辺方向(上下方向)に沿って変形するため、側辺凹部13の上側の凹部フラット面13aと、側辺凸部34の上側の凸部フラット面34aとが摩擦係合する。このようにして、いずれの場合であっても、上述した蓋体30の屈曲が抑制され、蓋体30と容器本体10との嵌合状態をより強固なものとすることができる。
【0056】
図7(b)は、(a)に相当する他の変形例の矢視断面図である。図7(b)に示すように、蓋体30を容器本体10に被着した状態で、蓋体30の側面30bは、容器本体10の外側面10dよりも内側となるように形成されていてもよい。
【0057】
これにより、下段の保冷容器1が上段の保冷容器1の荷重を受ける際に、下段の蓋体30の側面30bに、上段の保冷容器1の荷重が直接的に作用することはないので、蓋体30の屈曲を回避することができる。
【0058】
図8(a)は、図1に示す蓋体の変形例に係る模式的斜視図であり、(b)は、(a)裏面の模式的平面図であり、(c)は、図1に示す蓋体のさらなる変形例に係る模式的平面図である。
【0059】
図8(a),(b)に示すように、蓋体30の裏面31には、対向する短辺側の嵌合凸部32b,32b同士を連結するように、長辺方向に沿って形成された長辺補強リブ37が形成され、さらには、対向する長辺側の嵌合凸部32c,32c同士を長辺方向の中央で連結するように、短辺方向に沿って形成された短辺補強リブ38が形成されていてもよい。
【0060】
蓋体30の屈曲し易い長辺方向に沿って、長辺補強リブ37を設けることにより、長辺方向に対する蓋体の剛性を高めることができ、さらには、蓋体30の屈曲し易い長辺方向中央に、短辺補強リブ38を設けることにより、長辺方向に対する蓋体30の剛性をさらに高めることができる。
【0061】
また、図8(c)に示すように、蓋体30の裏面31に、長辺補強リブ37を設け、長辺補強リブ37と嵌合凸部32bを連結するように、これらの間に、ハニカム構造状の補強リブ39をさらに設けてもよい。ハニカム構造状の補強リブ39を設けることにより、蓋体30の全体的な剛性を高めることができる。
【0062】
以上、本発明のいくつか実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0063】
例えば、本実施形態では、内側面に表面が波状となるように、複数の凸条を設けたが、予冷時に、果菜類を冷却することができるのであれば、この形状に特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1…保冷容器、10…容器本体、10a,10b…側壁部、10c…中央側壁部、10d:外側面、10f:端面部、11…開口部、11a,11b…内側面、11d:底面、12…収納凹部、13…側辺凹部、13a…凹部フラット面、14a,14b…凸条部、14c:谷間、15…凹溝部、16a…係合凹部、16b…係合凸部、30…蓋体、30a:凹部、30b…側面、31…裏面、32…嵌合凸部、32a…角縁部、33…側辺部、34…側辺凸部、34a…凸部フラット面、35…嵌合条部、37…長辺補強リブ、38…短辺補強リブ、39…補強リブ
図1
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