(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959304
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】エレベータのかご天井装置
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
B66B11/02 W
B66B11/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-114650(P2012-114650)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-241237(P2013-241237A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】橘 祐介
(72)【発明者】
【氏名】川上 重信
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】海住 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】田澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇行
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−252551(JP,A)
【文献】
実開昭47−030816(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00−11/08
F21V 17/00−17/20
E04B 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天蓋と、この天蓋に上端部が固定された複数の支持具と、前記天蓋に対向して設けられ介在部材を介して複数の前記支持具により支持された照明板とを備え、
各前記支持具は、下端部に、水平に前記照明板側に突出した突出部と、この突出部の下側であって前記介在部材が出し入れ自在の溝が形成された受け部と、この受け部と前記突出部とを垂直方向に延びて連結した連結部とをそれぞれ有し、かつ前記突出部、前記受け部及び前記連結部が一体で構成されており、
前記照明板は、前記突出部と前記溝に収まった前記介在部材とにより挟まれて、上下方向の移動が規制されるとともに、対向した一対の前記連結部により水平方向の移動が規制され、
また、前記照明板は、この外形寸法が対向した一対の前記受け部間の内寸法よりも小さいことを特徴とするエレベータのかご天井装置。
【請求項2】
前記介在部材は、この下部に前記溝に対する出し入れ用に供される窪みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご天井装置。
【請求項3】
前記介在部材は、前記照明板と同一材料で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータのかご天井装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置の下方に配置される照明板を、天蓋に設けられた支持具で支持するエレベータのかごの天井装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータのかごの天井装置として、かご室の上面を覆い、開閉可能な開口部を有する天井板と、この天井板から垂下された吊り具と、吊り具により支持されてかご室内の天井を形成する吊り天井板と、天井板と吊り天井板との間に収納された光源とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、このものの場合、光源を取り替える場合、吊り天井板の一端部を押し上げて天井板の開口部からかご室の外に出して吊り天井板を傾斜させて光源を露出させ、この後光源の取り替えを行なうものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−8613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のエレベータのかごの天井装置は、天井板と吊り天井板との間の寸法を短くすることを目的としたものであるが、光源を取り替える場合、光源を露出させる角度まで吊り天井板を垂直方向に回動させるという面倒な作業をしなければならないという問題点があった。
また、吊り天井板を回動させる作業過程で光源や他の機器と接触してそれらが破損するおそれがあるという問題点もあった。
【0005】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、天蓋と照明板との間の間隔が小さいまま、照明装置等の破損のおそれがある照明板の回動作業をすることなく照明板の取付け及び取外しを簡単に行なうことができるエレベータのかご天井装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータのかご天井装置は、天蓋と、この天蓋に上端部が固定された複数の支持具と、前記天蓋に対向して設けられ介在部材を介して複数の前記支持具により支持された照明板とを備え、
各前記支持具は、下端部に、水平に前記照明板側に突出した突出部と、この突出部の下側であって前記介在部材が出し入れ自在の溝が形成された受け部と、この受け部と前記突出部とを垂直方向に延びて連結した連結部とをそれぞれ有し、
かつ前記突出部、前記受け部及び前記連結部が一体で構成されており、
前記照明板は、前記突出部と前記溝に収まった前記介在部材とにより挟まれて、上下方向の移動が規制されるとともに、対向した一対の前記連結部により水平方向の移動が規制され、
また、前記照明板は、この外形寸法が対向した一対の前記受け部間の内寸法よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によるエレベータのかご天井装置によれば、照明板の取付け、取外しの際には照明板を傾ける必要がないので、照明板が照明装置に当たりにくくなり、照明装置の破損の防止を図ることができる。
また、照明板の取付け、取外しのための逃がしスペースが不要であり、天蓋と照明板との間の間隙寸法は短く、厚さを薄いかご天井装置が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1のエレベータのかご天井装置を示す断面図である。
【
図3】
図1のエレベータのかご天井装置の照明装置の取り替え工程を示す断面図である。
【
図4】
図1のエレベータのかご天井装置の照明装置の取り替え工程を示す断面図である。
【
図5】
図1のエレベータのかご天井装置の照明装置の取り替え工程を示す断面図である。
【
図6】
図1のエレベータのかご天井装置の照明装置の取り替え工程を示す断面図である。
【
図7】この発明の実施の形態2のエレベータのかご天井装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータのかご天井装置(以下、かご天井装置と略称する。)を示す断面図、
図2は
図1の支持具4を示す拡大図である。
【0011】
このかご天井装置は、かごの縦壁(図示せず)の上端部に周縁部が支持されることによりエレベータのかごの上部に配置されている。
かご天井装置は、周縁部が縦壁上に載せられて固定された天蓋1と、天蓋1に支持され、天蓋1の下方に配置される複数の蛍光灯である照明装置2と、各照明装置2の下方であって天蓋1に対して平行に配置され、各照明装置1からの光をかご内へ通す照明板3と、天蓋1に一端部が固定され、他端部で介在部材5を介して照明板3を支持した支持具4とを有している。
【0012】
支持具4は、一対対向して天蓋1に配置され、かつ照明板3の縁部の全幅にわたって延設されている。なお、
図1において、支持具4は、紙面に対して垂直方向側には配置されていない。
この支持具4は、下端部において、水平に照明板3側に突出した突出部6と、この突出部6の下側であって介在部材5が出し入れ自在の溝7を有する受け部8と、この受け部8の上端部から垂直方向に延びて突出部6の中間部で連結した連結部9とを備えている。
介在部材5は、照明板3と同一の材料であるアクリル板で構成され、支持具4と同様に、照明板3の縁部を全長にわたって延びて配置されている。
【0013】
照明板3は、突出部6と溝7に収まった介在部材5とにより挟まれて、上下方向の移動が規制されている。
また、照明板3は、対向した一対の連結部9により水平方向の移動が規制されている。
また、照明板3は、この外形寸法が対向した支持具4の受け部8の内側端面同士間の内寸法Lよりも小さい。
【0014】
次に、上記構成のかご天井装置において、照明装置2を取り替える手順について、図に基づいて説明する。
先ず、介在部材5を受け部8の溝7から引き抜く(
図3)。
この後、照明板3をかご室内に降ろす(
図4)。このとき、照明板3は、一対の受け部8間の内寸法Lよりも小さいので、照明板3を円滑に降ろすことができる。
次に、照明装置2を取り替えた後に、照明板3を、この両縁部が支持具4の突出部6の下面に当接するまで、持ち上げる(
図5)。このとき、照明板3は、降ろしたときと同様に、受け部8に邪魔されることはなく持ち上げられる。
最後に、受け部8の溝7に介在部材5を差し込むことで、照明板3は、上下方向、水平方向の両方向の移動が規制された状態で支持具4に取付けられる。
【0015】
上記実施の形態によるかご天井装置によれば、照明板3は、突出部6と溝7に収まった介在部材5とにより挟まれて、上下方向の移動が規制されるとともに、対向した連結部9により水平方向の移動が規制され、照明板3は、この外形寸法が対向した一対の受け部8間の内寸法よりも小さくなっている。
そして、例えば、照明装置2を取り替えるために、照明板3の取付け、取外しを行なう際には、介在部材5を受け部8の溝7に挿脱し、また照明板3を水平のまま上下動すればよい。
従って、照明板3の取付け、取外しの際には照明板3を傾ける必要がない、即ち照明板3の取付け、取外しのための逃がしスペースが不要となり、天蓋1と照明板3との間の寸法は短くてよく、かご天井装置の厚さは薄くてよい。
【0016】
また、支持具4に対する照明板3の取付け、取外しの際に照明板3を傾ける必要がないので、照明板3が照明装置2に当たりにくくなり、照明装置2の破損の防止を図ることができる。
【0017】
また、照明板3の取付け、取外しは、介在部材5の受け部8の溝7に対する挿脱、及び照明板3の上下動という簡単な作業でよく、照明装置2の交換を短時間で済ませることができる。
【0018】
また、照明板3は、上下方向及び水平方向の両方向の移動が規制されているので、かご室内から悪戯で取り外されにくい。
【0019】
また、照明板3の寸法が小さい場合には、長い介在部材5を採用することで、小さな照明板3に対して対応することができる。
【0020】
また、介在部材5は、照明板3と同一の部材であるアクリル板で構成されているので、意匠性が向上する。
【0021】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2のかご天井装置を示す断面図である。
この実施の形態では、介在部材5Aは、この下部に溝7に対する出し入れ用に供される窪み11が形成されている。
他の構成は、実施の形態1のかご天井装置と同じである。
【0022】
この実施の形態では、介在部材5Aを受け部8の溝7に出し入れする際には、作業者は、窪み11に指をかけて行なえばよく、照明装置2の交換作業性が、実施の形態1のものと比較してさらに向上する。
【0023】
なお、上記の各実施の形態では、支持具4及び介在部材5は、照明板3の全幅にわたって連続的に形成したものであったが、照明板3の縁部に沿って間隔をあけて複数配置するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態では、対向した一対の支持具4で照明板3の対向した縁部をそれぞれ支持したが、照明板3の四辺の各縁部を支持具4でそれぞれ支持したものでも、この発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 天蓋、2 照明装置、3 照明板、4 支持具、5,5A 介在部材、6 突出部、7 溝、8 受け部、9 連結部、10 天井開口部、11 窪み。