(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の概要構成を説明するための断面図である。
スプリンクラヘッド100は、スプリンクラヘッド100に供給される消火水が流れる配管に接続されるヘッド本体10、ヘッド本体10に接続されるフレーム20、ヘッド本体10の放水口を塞ぐ弁体30、スプリンクラヘッド100から放出される消火水を拡散する散水部40及び通常時(放水動作しないとき)に弁体30を支持する弁体支持機構50を備えている。
本実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100は、弁体支持機構50に設けられた易融性物質の収容方法に改良が加えられており、スプリンクラヘッド100が設置される空間の腐食ガスなどによって半田55が腐食してしまうことを抑制することができるようになっている。
なお、以下の説明においては、易融性物質が半田55であるものとして説明する。また、スプリンクラヘッド100が放水動作をしないときを通常時又は監視状態時と称するものとする。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。さらに、以下の図面における上下は、紙面から見た上下と対応している。
【0010】
ヘッド本体10は、消火水が流れる給水管に接続され、当該給水管からヘッド本体10を介してスプリンクラヘッド100内に消火水が供給されるものである。ヘッド本体10は、消火水を放水するための放水口12を有している。この放水口12は、ヘッド本体10の中心部に形成された開口部11、及びヘッド本体10の内側に下方に突出して形成された円筒状の放水筒16によって構成されている。
ヘッド本体10の外周部にはフランジ13が形成されており、フランジ13の上側のヘッド本体10の外周部には給水管に接続されるねじ部14が形成されており、また、フランジ13の下側の内周部には、フレーム20が取り付けられるためのねじ部15が形成されている。
ヘッド本体10の内側には上述の放水筒16が下方に突出して形成されている。また、放水筒16の下端部には、後述の弁体30が設けられる弁座17が形成されている。
なお、ヘッド本体10は、フランジ13の下側の内周部と放水筒16との間に略リング状の空間18が形成されており、この空間18には後述のガイドロッド42が収納される。
【0011】
フレーム20は、円筒状に形成され、ヘッド本体10に接続されるものである。フレーム20の上部の外周部にはねじ部21が形成され、ヘッド本体10の下部側に形成されたねじ部15に取付けられる。フレーム20の下部には、内側に突出した係止段部22が設けられ、係止段部22には後述のボール61が係止される。
【0012】
弁体30は、通常時にヘッド本体10の開口部11から消火水が放出されることを防止するものである。この弁体30の上部には、弁座17と当接する弁体フランジ30aが形成されている。また、弁体30は、その下部が後述の皿ばね32によって上側に押しつけられており、ヘッド本体10の放水筒16を塞いでいる。なお、弁体30にはテフロン(登録商標)シートが設けられるか、テフロン(登録商標)コーティングが施される。弁体30の下部の中央部には、後述のセットスクリュー65の頭部が設けられる凹部30bが形成される。この弁体30は、弁体支持機構50によって支えられている。
なお、弁体30の凹部30bの直径はセットスクリュー65の頭部の外径に対して略同一の大きさとし、さらに、弁体フランジ30aは弁体30が水平面(
図1の左右)に対して傾かないように弁座17に当接させるとよい。これにより、セットスクリュー65の中心軸が鉛直方向に対してずれてしまい、皿ばね32及びスライダー62も鉛直方向に対してずれた状態で固定されることを防止することができる。これにより、皿ばね32及びスライダー62は、放水動作時に傾斜することが抑制され、弁体30が放水口12を開放させる動作確実性を向上させることができる。
【0013】
散水部40は、弁体30の下部に固定されるデフレクタ41、デフレクタ41に接続されるガイドロッド42、及びガイドロッド42に接続され、放水動作時に係止段部22に引っかかるまで下降するストッパリング43を備えている。
デフレクタ41は、中央に開口部を有する円板によって構成されており、その開口部に弁体30の下部が挿入された状態で、弁体30の弁体フランジ30a下面に取り付けられている(固定されている)。また、デフレクタ41には、ガイドロッド42(たとえば3本)が挿入される挿入穴(たとえば3個)が設けられており、ガイドロッド42の下端は、その挿入穴から突出した状態でデフレクタ41に固着されている。したがって、これらの弁体30、デフレクタ41及びガイドロッド42は一体的に構成されている。
【0014】
ストッパリング43は、通常時において
図1に示されるように、フレーム20の上部にあるが、放水動作時においてデフレクタ41、ガイドロッド42及びストッパリング43とともに降下する。ストッパリング43の外径は、フレーム20の係止段部22の内径よりも大きく形成されている。これにより、放水動作時に弁体支持機構50が落下すると、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22まで下降して止まる。
ストッパリング43の外径は、フレーム20の内径よりわずかに小さく形成されている。そして、ストッパリング43の外径位置、すなわちストッパリング43の外周には、上方に突起したガイド部43aが設けられている。ストッパリング43が降下する際には、このガイド部43aが、フレーム20の内側面にガイドされる。
このように、散水部40は、放水動作時において、デフレクタ41がガイド部43aによりガイドされながらガイドロッド42と共に下降するように構成されているので、デフレクタ41の下降動作が円滑に行われるようになっている。
【0015】
弁体支持機構50は、通常時において弁体30がヘッド本体10の開口部11を塞ぐように、弁体30を支持するものである。弁体支持機構50は、熱を半田55に伝達する感熱部51、フレーム20の下部に設けられるボール保持機構60、各種部品同士を固定するものであるセットスクリュー65を備えている。
【0016】
感熱部51は、熱により溶融する半田55、半田55を押圧するピストン52、スプリンクラヘッド100が設置される空間の熱を受熱し、半田55に伝達させる感熱板72、感熱板72の熱を効率的に半田55に伝達させるための断熱材54、及び半田55が収容されるシリンダー53を備えている。
半田55は、ドーナツ形状をしており、火災時に発生する熱により溶融する。この半田55は、ピストン52の上部から挿入され、後述するピストン52のフランジ52b上に設置される。
【0017】
ピストン52は、後述のボール保持機構60のバランサー63とともに、半田55を押圧するものである。このピストン52は、円筒状に形成された円筒部52aと、円筒部52aの下部に形成されたフランジ52bとから構成されている。そして、このフランジ52bは、上方向に半田55を押圧している。また、円筒部52aの内面には、雌ねじ52cが形成され、セットスクリュー65の脚部にある雄ねじがねじ込まれ、ピストン52とセットスクリュー65とが結合している。
【0018】
感熱板72は、スプリンクラヘッド100が設置される空間の熱を半田55に伝達させるものである。感熱板72は、円板状の感熱板72a〜72cより構成されている。
感熱板72aは感熱板72の最上部に位置し、断面クランク型であって略ドーナツ形状をしており、ピストン52に挿入されて設けられている。また、シリンダー53の上部には水平の金属板がかしめられて設けられている。感熱板72aは、上面が断熱材54と接し、下面がシリンダー53と、シリンダー53にかしめられた金属板に接して設けられている。すなわち、シリンダー53にかしめられた金属板は感熱板72aと半田55とで挟まれており、この金属板によりシリンダー53は保持されている。なお、感熱板72aは断熱材54を介してバランサー63に押圧されているため、感熱板72aはシリンダー53の上部を押圧する。これにより、感熱板72aは、シリンダー53とともに半田55を覆うための略密閉された空間を形成するとともに、半田55が溶融するとシリンダー53とともに下降し、ピストン52のフランジ52bで半田55を押圧する。
感熱板72b、72cは、略ドーナツ形状をしており、後述のシリンダー53の突出部53cに挿入されて設けられている。
【0019】
断熱材54は、感熱板72aの熱がボール保持機構60のバランサー63側に逃げないようにするものである。この断熱材54は、略ドーナツ形状をしており、上部がバランサー63の段部63aにはめられ、下部が感熱板72と接して設けられている。また、この断熱材54は、ピストン52の円筒部52aに挿入されて設けられている。断熱材54は、バランサー63によって押圧されているため、感熱板72aを押圧する。
【0020】
シリンダー53は、半田55を収容し、ピストン52のフランジ52bの外縁との間に半田55が流出できる程度の隙間90を維持しており、半田55が溶融したときにはフランジ52bの外縁に対して摺動するものである。このシリンダー53は、フランジ52bの下面に対向するように水平に形成された平坦部53a、平坦部53aの外周部分から上方に立設された立設部53b、及び平坦部53aの下面中央部から下方に突出するように形成された突出部53cが一体に形成されたものである。シリンダー53の平坦部53aの内径は、ピストン52のフランジ52bの直径より少し大きく形成され、通常時は平坦部53aの上面とフランジ52bの下面は接している。すなわち、シリンダー53は、上部のみが開放された、フランジ52b及び半田55を収容する容器である。なお、シリンダー53は熱伝導率の良い素材、例えば銅、銅合金又はアルミで構成されると良い。また、平坦部53a、立設部53b、及び突出部53cは別体でもよいが、本実施の形態1のように、一体に形成すると熱気流から受熱した熱の半田55への伝熱損失が小さくなる。
【0021】
平坦部53aは、通常時において、上面がフランジ52bの下面及びセットスクリュー65の下端面に対向するように設けられている。また、平坦部53aはその下面に感熱板72bが設けられる。また、平坦部53aの上面の外周には、平坦部53aに対して上方に立設する立設部53bが設けられている。さらに、平坦部53aの下面の中央部には、平坦部53aに対して下方に突出する突出部53cが形成されている。なお、この平坦部53aは、半田55が溶融するとフランジ52bとの対向間隔が広がり、その広がった間隔に溶融した半田55が流れ込むようになっている。
【0022】
立設部53bは、平坦部53aの外周部分から上方に立設される。この立設部53bとピストン52の円筒部52aとの間に半田55が設けられている。この立設部53bは、半田55の側面部を覆っている。また、立設部53bの上部は、断熱材54及び感熱板72aを介してバランサー63に押圧されている。このため、感熱板72aによりシリンダー53の上部の開放部分が覆われる。すなわち、通常時においては、立設部53b、ピストン52及び感熱板72aによって形成される空間に半田55が設置される。
ここで、この立設部53bの内面と、ピストン52のフランジ52bの先端(外縁)との間には、溶融した半田55が流れ込む半田流出口である隙間90が形成されている。これにより、溶融した半田55は、平坦部53aに流れ込むようになっている。つまり、溶融した半田55はシリンダー53内に溜まるようになっており、シリンダー53から外部には流出しない。
【0023】
突出部53cは、平坦部53aの下面中央部から下方に突出するように形成されている。この突出部53cに中央が開口している感熱板72b、72cが挿入されて設けられている。
【0024】
ボール保持機構60(保持部)は、ボール61、外周側下部にボール61と接する凹部62aが形成されたスライダー62、スライダー62と弁体30の間に設けられる皿ばね32、及び半田55を押圧するバランサー63を備えている。なお、バランサー63は、断熱材54を介して感熱板72aを押圧しているため、感熱板72a及びピストン52によって半田55を押圧させるものとして機能する。
【0025】
ボール61は、その下部が、フレーム20の係止段部22及びバランサー63に接触して係止されている。また、この状態において、ボール61は、スライダー62によって上から押さえられているためスライダー62からボール61に力がかかり、ボール61には内側に入り込む方向に力が作用する。すなわち、ボール61には、皿ばね32のばね力がスライダー62を介して伝達され、常に内側に移動するように力がかかっている。その結果、ボール61は、バランサー63を下方に移動させるように力が作用している。
【0026】
スライダー62は、略ドーナツ形状であって外周側下部にボール61と接する凹部62aが形成されたものである。この凹部62aは、ボール61と接する面に、下方に向かって内側に傾斜するようにテーパー状(傾斜部)に形成されている。また、凹部62aとボール61とが接する面の反対側、すなわちスライダー62の外周側上部において、スライダー62と皿ばね32とが接している。また、このスライダー62の中央には、セットスクリュー65が挿入される。
【0027】
皿ばね32は、中央に向かうほど上側に突出するように形成された断面ハ字型の略ドーナツ形状をしており、ばねとしての機能を有するものである。皿ばね32は、上部が弁体30と接し、下部がスライダー62と接するようにして設けられている。なお、この皿ばね32の中央には、セットスクリュー65が挿入される。
【0028】
バランサー63は、略ドーナツ形状をしており、その外周側上部には傾斜部63bがあり、その傾斜部63bによってボール61の動きを規制するものである。すなわち、バランサー63は、外周側上部の傾斜部63bがボール61の内側に設けられ、この内側に入りこもうとするボール61の動きを規制するものである。このバランサー63には、中央に貫通穴が形成されている。そして、この貫通穴はセットスクリュー65及びピストン52が挿入される。なお、バランサー63の貫通穴はピストン52の外径よりも僅かに大きく、バランサー63とピストン52とは結合していない。
【0029】
バランサー63の外周下部は、一回り大きくなるように段部が形成されている。この外周下部の段部は、フレーム20の係止段部22の内周下部にある段部に、当接するように構成されており、バランサー63の下側から外力がかかった場合には、この部分で衝撃を吸収する。また、バランサー63の下部であって中央の貫通穴の周りには、断熱材54がはまる段部63aが突出して形成されている。
【0030】
ここで、半田55が溶融して流出した際のボール保持機構60の動きについて説明する。半田55が溶融するとバランサー63が下方に移動し、それに伴って、ボール61が内側に入り込む。これにより、フレーム20の係止段部22との係止状態が解除され、ボール保持機構60は感熱部51と共に落下する。ボール保持機構60が落下すれば、それに伴って、散水部40を構成する弁体30、ストッパリング43などが落下して、放水が行われる。
【0031】
セットスクリュー65は、各種部品同士を固定するものである。このセットスクリュー65は、頭部と脚部とから構成される。セットスクリュー65の頭部は、弁体30の凹部30bにはめ込まれている。また、セットスクリュー65の頭部には皿ばね32が挿入されて設けられ、セットスクリュー65の脚部にはスライダー62、バランサー63及びピストン52が挿入されて設けられている。なお、セットスクリュー65の脚部は、ピストン52の雌ねじ52cにより結合しており、ボール保持機構60と感熱部51とを一体化させている。
【0032】
上記のようなスプリンクラヘッド100には、
図1の状態においては、放水口12の消火水の水圧や部品の組立荷重がボール61に作用し、ボール61は内側(中心側)に移動しようとする。しかし、ボール61はバランサー63によってその移動が阻止されており、ボール保持機構60はボール61を保持している。そして、この状態においては、弁体30がヘッド本体10の放水口12を塞いでいる。このため、スプリンクラヘッド100には、加圧された消火水が供給されるが、消火水は漏れない。また、散水部40は、弁体30にデフレクタ41が固定され、デフレクタ41にガイドロッド42が固定されており、弁体30が放水口12を塞いでいる状態では、ガイドロッド42がヘッド本体10の空間18に収納された状態になっている。
【0033】
[動作説明]
図2は、
図1に図示されるスプリンクラヘッド100の半田55が溶融した状態の説明図である。
図1及び
図2を参照してスプリンクラヘッド100の動作について説明する。
【0034】
スプリンクラヘッド100は、監視状態時において、ヘッド本体10の放水口12には加圧された消火水が供給されており、弁体30には消火水の圧力が加えられている(
図1参照)。火災が発生し、その熱気流が感熱板72及びシリンダー53に当たると加熱され、感熱板72及びシリンダー53の熱は半田55へ伝達する。
【0035】
そして、半田55が周囲から加熱されて溶融し始めると、断熱材54、感熱板72a、及びシリンダー53はバランサー63によって押圧されているため、断熱材54、感熱板72a、及びシリンダー53が一緒に下降する。ここで、半田55が溶融するとピストン52も下降するが、バランサー63に押圧されていない分、断熱材54、感熱板72a、及びシリンダー53と比較すると下降速度が小さい。したがって、半田55が溶融し始めると、半田55は感熱板72aとピストン52のフランジ52bの上面とによって押圧されることとなる。一方、平坦部53aの上面とフランジ52bの下面との対向間隔については広がり空間91が形成される。つまり、シリンダー53上に、溶融した半田を溜める半田貯留部(空間91)がある。
そして、溶融した半田55は押圧されて、隙間90から流出する。すなわち、溶融した半田55は、フランジ52bの上面側から隙間90を介して、平坦部53aの上面、フランジ52bの下面側、立設部53bの内面、及びセットスクリュー65の下端面によって形成される空間91に流入する。言い換えると、溶融した半田55は、熱気流が当たっているシリンダー53に囲まれた空間91に流入する。
【0036】
このように半田55が周囲から加熱されて溶融し始めるとき、スライダー62によって上方から押されたボール61は内側に移動することになるが、ボール61が移動しても皿ばね32(
図1参照)は弁体30とスライダー62とに圧接されている。このため、弁体30は、放水口12を塞いだ状態を維持している。
【0037】
半田55が溶融して空間91に流入すると、感熱板72及びシリンダー53は半田55の流出量に対応して降下する。感熱板72及びシリンダー53の降下に追従し、感熱板72aの上に取り付けられている断熱材54及びバランサー63が降下する。バランサー63が降下すると、バランサー63とスライダー62との間の間隙が広がり、内側に付勢されているボール61がバランサー63の傾斜部63bを越えて内側に移動する。これにより、フレーム20の係止段部22とボール61との係合が解かれ、弁体支持機構50は降下する。
【0038】
弁体支持機構50が降下すると、弁体30が降下する。また、弁体30の降下に伴って、弁体30に取り付けられているデフレクタ41、デフレクタ41に取り付けられているガイドロッド42、及びストッパリング43が降下する。ガイドロッド42が降下すると、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22に係止され、弁体30及びデフレクタ41がガイドロッド42によりフレーム20から吊り下げられた状態になる。弁体30が降下すると放水口12は開放され、加圧された消火水がデフレクタ41から散水されて火災を消火する。
【0039】
[スプリンクラヘッド100の有する効果]
本実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100のシリンダー53は、感熱板72aとともに半田55を完全に覆うため、半田55がスプリンクラヘッド100の設置される空間の腐食ガスなどによって、腐食することはなくなる。すなわち、半田55は、スプリンクラヘッド100が設置される空間に露出して設けられていないので、腐食ガスなどによって、腐食することはなくなる。これにより、半田55の腐食によって半田55が溶融しにくくなること等が抑制されるため、スプリンクラヘッド100の火災時における動作確実性を向上させることができる。また、半田55はスプリンクラヘッド100から外部へ流出しないため、環境負荷も大きく軽減する。
また、溶融した半田55は、熱気流が当たっており、熱伝導率の良い素材で伝熱損失が小さくなるように一体に形成したシリンダー53に囲まれているため、空間91に流入しても冷えて固まることはないため、スプリンクラヘッド100の動作確実性をさらに向上させている。
【0040】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係るスプリンクラヘッド200の概要構成を説明するための断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1の感熱部の感熱板及びシリンダーに対応する構成が異なる。以下、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
スプリンクラヘッド200は、熱を半田55に伝達する感熱部58を有している。
この感熱部58は、熱により溶融する半田55、スプリンクラヘッド100が設置される空間の熱を半田55に伝達させる感熱板73、及び半田55が収容されるシリンダー56を有している。
【0041】
感熱板73は、感熱板73a、73bより構成されている。感熱板73aは、略ドーナツ形状をしており、ピストン52の円筒部52aが挿入される。この感熱板73aは、上面が断熱材54に接し、下面が感熱板73bに接して設けられている。このため、感熱板73aは断熱材54を介してバランサー63に押圧され、感熱板73aは感熱板73bを押圧する。
感熱板73bは、断面クランク型であって略ドーナツ形状をしている。具体的には、感熱板73bは、シリンダー56、半田55及びピストン52の下部が収められるように上側に突出する凹形状が形成され、該凹形状にピストン52の円筒部52aが挿入される開口が形成されている。また、感熱板73bは、上面が感熱板73aに接し、凹形状内周面がシリンダー56に接して設けられている。このため、感熱板73bは断熱材54及び感熱板73aを介してバランサー63に押圧されているため、感熱板73bはシリンダー56の上部を押圧する。
【0042】
シリンダー56は、ピストン52のフランジ52bの下面に対向するように形成された平坦部56a、平坦部56aの外周部分から上方に立設された立設部56bが一体に形成されたものである。すなわち、シリンダー56は、上部のみが開放されており、フランジ52b及び半田55を収容する容器である。
言い換えると、熱気流が平坦部56aに当たるシリンダー56が、半田55に直接接していることになる。そして、シリンダー56は、ピストン52のフランジ52bの外縁との間に、半田55が流出できる程度の隙間92を維持しており、半田55が溶融したときには、フランジ52bの外縁に対して摺動するものである。シリンダー56は感熱板73bの凹形状に圧入され、凹形状内周面と圧接されて保持されている。なお、シリンダー53は熱伝導率の良い素材、例えば銅、銅合金又はアルミで構成されると良い。また、平坦部56a、及び立設部56bは別体でもよいが、本実施の形態2のように、一体に形成すると熱気流から受熱した熱の半田55への伝熱損失が小さくなる。
平坦部56aは、通常時において、上面がフランジ52bの下面及びセットスクリュー65の下端面に対向するように設けられている。また、平坦部56aの上面の外周には、平坦部56aに対して上方に立設する立設部56bが設けられている。この平坦部56aは、半田55が溶融するとフランジ52bとの対向間隔が広がり、溶融した半田55が流れ込む空間93を形成する。
【0043】
立設部56bは、平坦部56aの外周部分から上方に立設される。この立設部56bの内側とピストン52の円筒部52aとの間に半田55が設けられている。この立設部56bの内壁は、半田55の側面部を覆っている。また、立設部56bの上部は、断熱材54及び感熱板73を介してバランサー63によって押圧されている。このため、感熱板73によりシリンダー56の上部の開放部分が覆われる。つまりこの感熱板73bにより、半田55の上部が覆われている。すなわち、通常時においては、立設部56b、ピストン52及び感熱板73bによって形成される空間に半田55が設置される。
ここで、立設部56bと感熱板73bとは、
図3に図示されるように、接触するように設けられているとよい。これにより、立設部56bと感熱板73bの間から腐食ガスが進入することが抑制される分、半田55が腐食ガスにさらされてしまうことを抑制することができる。なお、この立設部56bの内面と、ピストン52のフランジ52bの先端との間には、溶融した半田55が流れ込む半田流出口である隙間92が形成されている。これにより、溶融した半田55は、空間93に流れ込むようになっている。つまり、溶融した半田55はシリンダー56内に溜まるようになっており、シリンダー56から外部には流出しない。
【0044】
[スプリンクラヘッド200の有する効果]
本実施の形態2に係るスプリンクラヘッド200のシリンダー56は、感熱板73bとともに半田55を覆うため、半田55がスプリンクラヘッド200の設置される空間の腐食ガスなどによって、腐食することはなくなる。すなわち、半田55は、スプリンクラヘッド200が設置される空間に露出して設けられていないので、腐食ガスなどによって、腐食しない。これにより、半田55の腐食によって半田55が溶融しにくくなることがないため、スプリンクラヘッド200の火災時における動作確実性を向上させることができる。
また、溶融した半田55は、熱伝導率の良い素材で、伝熱損失が小さくなるように一体に形成したシリンダー56に直接接しており、シリンダー56の平坦部56aは熱気流が当たるため、伝熱損失がなく、受熱した熱が立設部56bまで伝わるので、スプリンクラヘッド200をさらに高感度にすることができる。そして、溶融した半田55は、熱気流が当たるシリンダー56に囲まれているため、空間93に流入しても冷えて固まることはないため、スプリンクラヘッド200の動作確実性をさらに向上させている。
【0045】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300の概要構成を説明するための断面図である。本実施の形態3も、実施の形態1、2の感熱部の感熱板及びシリンダーに対応する構成が異なる。以下、本実施の形態3では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明するものとする。
スプリンクラヘッド300は、熱を半田55に伝達する感熱部59を有している。
この感熱部59は、熱により溶融する半田55、スプリンクラヘッド300が設置される空間の熱を半田55に伝達させる感熱板74、及び半田55が収容されるシリンダー57を有している。
【0046】
感熱板74は、感熱板74a、74bより構成されている。感熱板74aは、略ドーナツ形状をしており、ピストン52の円筒部52aが挿入される。この感熱板74aは、上面が断熱材に接し、下面がシリンダー57に接して設けられている。このため、感熱板74aは断熱材54を介してバランサー63に押圧され、感熱板74aはシリンダー57を押圧する。
感熱板74bは、円板形状をしており、シリンダー57と係合して設けられている。この感熱板74bの上面は、ピストン52のフランジ52bの下面及びセットスクリュー65の下端面に対向するように設けられる。感熱板74bには、
図4(b)に図示されるように、シリンダー57に形成されたツメ部(図示省略)と係合する係止部96が形成されている。例えば、シリンダー57のツメ部を係止部96に挿入し、かしめて固定する。これより、感熱板74bは、シリンダー57と係合する。また、半田55が溶融すると、感熱板74bは、フランジ52bとの対向間隔が広がり、溶融した半田55が流れ込む空間95が広がっていく。なお、
図4(b)には係止部96が4つ記載されているが、それより少なくても良く、係止部96の個数が少ない方が熱の伝導性は良くなる。
【0047】
シリンダー57は、フランジ52bの上面に対向するように設けられた平坦部57a、平坦部57aの外周部分から下方に立設された立設部57bが一体に形成されたものである。すなわち、シリンダー57は、下部のみが開放された、フランジ52b及び半田55を収容する容器である。言い換えると、シリンダー57の下部の開放部は、熱気流から熱を受熱する感熱板74bによって覆われている。そして、シリンダー57は、ピストン52のフランジ52bの外縁との間に、半田55が流出できる程度の隙間92を維持しており、半田55が溶融したときには、フランジ52bの外縁に対して摺動するものである。
なお、シリンダー57は熱伝導率の良い素材、例えば銅、銅合金又はアルミで構成されると良い。また、平坦部57a、及び立設部57bは別体でもよいが、本実施の形態3のように、一体に形成すると熱気流から受熱した熱の半田55への伝熱損失が小さくなる。
【0048】
平坦部57aは、通常時において、上面が感熱板74aの下面に対向するように設けられ、下面が半田55の上面に対向するように設けられている。また、平坦部57aの下面の外周には、平坦部57aに対して下方に向かって立設する立設部57bが設けられている。また、平坦部57aは、断熱材54及び感熱板74を介してバランサー63によって押圧されている。このため、半田55は、平坦部57aの下面とピストン52のフランジ52bの上面とにより押圧される。なお、通常時においては、平坦部57a、立設部57b、及びピストン52によって形成される空間に半田55が設置される。
【0049】
立設部57bは、平坦部57aの外周部分から下方に立設されたものである。この立設部57bの内側に半田55が設けられている。この立設部57bは、半田55の側面部を覆っている。また、立設部57bの下部には、感熱板74bと係合するためのツメ部が形成されている。なお、この立設部57bの内面と、ピストン52のフランジ52bの先端との間には、溶融した半田55が流れ込む半田流出口である隙間94が形成されている。これにより、溶融した半田55は、空間95に流れ込むようになっている。つまり、溶融した半田55は感熱板74b上であり、シリンダー57内に溜まるようになっており、シリンダー57から外部には流出しない。
【0050】
[スプリンクラヘッド300の有する効果]
本実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300のシリンダー57は、シリンダー57によって半田55を完全に覆うため、半田55がスプリンクラヘッド300の設置される空間の腐食ガスなどによって、腐食することはなくなる。すなわち、半田55は、スプリンクラヘッド300が設置される空間に露出して設けられていないので、腐食ガスなどによって、腐食することはない。これにより、半田55の腐食によって半田55が溶融しにくくなることはなく、スプリンクラヘッド300の火災時における動作確実性を向上させることができる。
また、円板状の感熱板74bをシリンダー57の下面に対向して設けたため、ピストン52及びシリンダー57の下部にも感熱板が位置する。従って、より効率よく集熱することができる。
また、感熱板74bは1つの部材(1枚の平板)で形成されるため伝熱損失がなく、熱気流が当たるため、空間95に流入した溶融した半田55は、空間95で冷えて固まることはないので、スプリンクラヘッド300の動作確実性がさらに向上する。
また、シリンダー57に感熱板74bをかしめて固定するため、シリンダー57の開口部に、半田55が流出しないようにプレートを圧入する場合に比べて寸法管理が容易であり、安定した量産が可能となる。
さらに、シリンダー57と感熱板74を別体にしているため、半田55のクリープにより変形しないようにシリンダー57をある程度、強度のある厚さにしても、感熱板74を薄くできる。そのため、感熱板74は熱容量が小さくなるため、スプリンクラヘッド300の感度が上昇する。
【0051】
また、実施の形態1〜3では、シリンダー53、56、57とピストン52との間に形成された隙間90、92、94から溶融した半田55が流出する構成を説明した。ここで、溶融した半田55が流出する空間91、93、95に連通するように、たとえばピストン52のフランジ52bに開口を形成し、この開口から溶融した半田55を流出させる構成としてもよい。
さらに、実施の形態1〜3における空間91、93、95は、半田55の溶融前に形成されておらず、半田55が溶融してシリンダー53、56、57が下降することに伴い形成されるものでもよいし、半田55の溶融前に予め空間91、93、95が形成されていてもよい。
【0052】
実施の形態4.
図5は、
図3に図示されるスプリンクラヘッド200のシリンダー56に貫通穴80Aを形成し、当該貫通穴80Aにシール81Aを設けた状態の説明図である。
図6は、
図4に図示されるスプリンクラヘッド300の感熱板74bに貫通穴80Bを形成し、当該貫通穴80Bにシール81Bを設けた状態の説明図である。なお、
図5(a)がスプリンクラヘッド200の縦断面図であり、
図5(b)がシリンダー56の下側からシリンダー56を見た図である。以下、本実施の形態4では、実施の形態1〜3との相違点を中心に説明するものとする。
【0053】
ピストン52は、円筒部52aの内面に形成された雌ねじ52cが、セットスクリュー65の脚部の雄ねじにねじ込まれて、セットスクリュー65と結合(螺合)している。しかしながら、雌ねじ52cと雄ねじとの結合が時間とともにゆるんでしまい、感熱部58、59が脱落してしまう可能性がある。
そこで、このピストン52の雌ねじ52cと、セットスクリュー65の雄ねじとの結合部82には、結合部82がゆるまないようにするため、接着剤が塗布される。すなわち、本実施の形態4では、「結合部82のうちの結合部82の下側部分」に接着剤を塗布する際の作業を容易とすることが可能となる改良が加えられている。なお、以下の説明においては、結合部82に接着剤を塗布することは、「結合部82のうちの結合部82の下側部分」に接着剤を塗布することを指す。
【0054】
図5に示すように、実施の形態4では、実施の形態2のスプリンクラヘッド200において、シリンダー56の下部に位置する平坦部56aの中央部に、シリンダー56の外部と内部とを貫通する貫通穴80Aを有している。この貫通穴80Aは、ピストン52の下面側であって、ピストン52の雌ねじ52cとセットスクリュー65の雄ねじとの結合部82に対応する位置に形成されている。これにより、ピストン52及びシリンダー56の組み立てを終えた後に、この貫通穴80Aを介して結合部82に接着剤を塗布することが可能となっている。
【0055】
なお、この貫通穴80Aには、貫通穴80Aの径よりも大きく、貫通穴80Aを完全に塞ぐことができるシール81Aが設けられる。すなわち、貫通穴80Aを介して露出する結合部82に接着剤を塗布した後に、シール81Aを取り付けることで、スプリンクラヘッド200が設置される空間の腐食ガスなどが感熱部58内に流入せず、半田55の腐食を防止することができる。そして、半田55の腐食によって半田55が溶融しにくくなることがないため、スプリンクラヘッド200の火災時における動作確実性を向上させることができる。
さらに、スプリンクラヘッド200が動作しても、半田55がシリンダー56と感熱板73bからなる空間93から流出することはないため、環境負荷の小さいスプリンクラヘッド200を得ることができる。
そして、貫通穴80Aの内径は、たとえば、セットスクリュー65の外径(つまり、結合部82の径)と同じか、それより大きい径に設定すると、ピストン52の雌ねじ52cとセットスクリュー65の雄ねじとの結合部82が露出して、確実に接着剤を塗布することが容易にとなる。反対に、貫通穴80Aの内径を、セットスクリュー65の外径(つまり、結合部82の径)より小さい径にしても良い。この場合、シール81Aを貼付しなくても、スプリンクラヘッド200が設置される空間の腐食ガスなどが感熱部58内に流入する量を抑制することができ、かつ結合部82に接着剤を塗布することが可能となる。
【0056】
一方、
図6に示すように、実施の形態4では、実施の形態3のスプリンクラヘッド300において、感熱板74のうち、最も下に位置する感熱板74bの中央部に、感熱板74bを貫通する貫通穴80Bを形成している。この貫通穴80Bは、ピストン52の下面側であってピストン52の雌ねじ52cとセットスクリュー65の雄ねじとの結合部82に対応する位置に形成されている。これにより、ピストン52及びシリンダー57の組み立てを終えた後に、この貫通穴80Bを介して結合部82に接着剤を塗布することが可能となっている。
【0057】
なお、この貫通穴80Bには、貫通穴80Bの径よりも大きく、貫通穴80Bを完全に塞ぐことができるシール81Bが設けられる。すなわち、貫通穴80Bを介して露出する結合部82に接着剤を塗布した後に、シール81Bを取り付けることで、スプリンクラヘッド300が設置される空間の腐食ガスなどが感熱部59内に流入せず、半田55の腐食を防止することができる。そして、半田55の腐食によって半田55が溶融しにくくなることがないため、スプリンクラヘッド300の火災時における動作確実性を向上させることができる。さらに、スプリンクラヘッド300が動作しても、半田55がシリンダー57と感熱板74bからなる空間95から流出することはないため、環境負荷の小さいスプリンクラヘッド300を得ることができる。
【0058】
なお、感熱板74bの貫通穴80Bは、少なくともシリンダー57の開口部の径より小径であれば、シール81Bがなくとも、貫通穴80Bがシリンダー57の開口部と同径以上である場合に比べて、腐食ガスなどが感熱部59内に流入する量を抑制することが可能となる。貫通穴80Bの内径が、シリンダー57の開口部の内径より小径であり、かつセットスクリュー65の外径(つまり、結合部82の径)と同じか、それより大きい径に設定する場合は、ピストン52の雌ねじ52cとセットスクリュー65の雄ねじとの結合部82が露出して、確実に接着剤を塗布することが容易となる。
反対に、貫通穴80Bの内径を、セットスクリュー65の外径(つまり、結合部82の径)より小さい径にしても良い。すなわち、感熱板74bはシリンダー57の開放部の一部を覆って設けられている。言い換えると、結合部82より小径の貫通穴80B以外の感熱板74bの平板で、シリンダー57の開口部を覆っている。この場合、スプリンクラヘッド300が設置される空間の腐食ガスなどが感熱部59内に流入する量をさらに抑制することができ、かつ結合部82に接着剤を塗布することが可能となる。感熱板74bの貫通穴80Bがシリンダー57の開口部の径より小径であっても、シール81Bを貼付しても良く、その場合、さらに腐食ガスの影響を小さくすることができ、動作確実性が増すことになる。
シール81A、81Bについては、たとえば、腐食性及び耐熱性に優れた樹脂、アルミニウムやステンレスなどで構成するとよいが、貫通穴80A、80Bを覆うように接着剤が貼付してある紙シールを貼付すれば足りる。
【0059】
また、以下のようなスプリンクラヘッドの構成においても、本実施の形態4のように雌ねじと雄ねじとの結合部に接着剤を塗布すること、及び、半田の腐食を防止することができる。
すなわち、スプリンクラヘッドには、半田を収容するシリンダーが、下側から上側に突出して形成される凹部を有し、言い換えると、上端が塞がっている(有底である)円筒状の形状を有しており、当該凹部の中央部にピストンを挿入する開口部が形成されているものがある。なお、ピストンには、その下端側に、シリンダーの開口部の径より径が大きいフランジが形成されている。
【0060】
このようなスプリンクラヘッドのシリンダーは、フランジに半田を設けたピストンの上端側を、シリンダーの開口部に挿入していきスプリンクラヘッドを組み立てる。組み立てた状態では、フランジの外周端部と凹部の内面の垂直面との間に隙間が形成されており、溶融した半田が下側に流出するようになっている。ここで、この構成のスプリンクラヘッドについては、ピストンの下面側が露出しているため、ピストン及びシリンダーを組み立てた後においても、ピストンとセットスクリューとの結合部を固定する接着剤を塗布することが可能である。
【0061】
また、この構成のスプリンクラヘッドの場合には、シリンダーの凹部を深く形成する、つまり凹部の高さを大きく形成するとよい。すなわち、スプリンクラヘッドが組み立てられた状態において、「ピストンの下面の高さ位置」よりも「シリンダーの凹部の下端側の高さ位置」の方が低くなるようにシリンダーを形成するとよい。そして、接着剤を塗布した後に、シリンダーの凹部の下側開放部分を覆うようにシールで蓋をするとよい。
このように、シールで凹部の蓋がなされるため、フランジの外周端部と凹部の内面との間の隙間が、スプリンクラヘッドの設置される空間に露出せず、腐食ガスが流入してしまうことを防止することができる。また、凹部の高さを大きく形成する分、シールの上面とピストンの下面との間隔が確保されて、半田の溶融する空間を確保することができる。