【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の荷役物運搬機と側面エリアの区分けである。台座1に荷役物運搬機2が取り付けられている。荷役物運搬機2は、第1アーム3、第2アーム4、昇降機構5、旋回台6、昇降機構5のモータ(図示せず)、本体7と第1アーム3を繋いだシリンダ8、
本体7と第1アーム3を繋いだスプリング9、シリンダ8の制御部(図示せず)を備えており、3次元に荷役物を運搬できる。荷役物と吊り具は図示していない。昇降機構5は本体7の中にある。エリアA〜Oのマス10は、側面から見た第2アーム4の先端の位置で、水平方向と上下方向の範囲を区切っている。水平方向をX軸、上下方向をY軸としている。第1アーム3と第2アーム4の角度により、第2アーム4の先端位置をセンシングするセンサ(図示せず)を備えている。
【0015】
図2は、実施例1の荷役物が350kg時のシリンダの供給圧のテーブルである。位置関係は、
図1のマス10と同じである。エリアA:4.8kgf/cm2、エリアB:4.8kgf/cm2
であり、エリアAからエリアOまで記載してある。エリアの斜線部分は、エリアが移動する時に、その場所に応じて可変する。エリアBからエリアCに移動した時、斜線部分は、シリンダ8の供給圧が4.8kgf/cm2
から4.6kgf/cm2に適宜可変する可変エリアである。エリアBからエリアHに移動するときも同様に適宜可変する。可変させるのは、制御部で演算する。
【0016】
図3は、実施例1の荷役物が240kg時のシリンダの供給圧のテーブルである。位置関係は、
図1のマス10と同じである。エリアA:3.4kgf/cm2、エリアB:3.4kgf/cm2
であり、エリアAからエリアOまで記載してある。エリアの斜線部分は、エリアが移動する時に、その場所に応じて可変する。エリアBからエリアCに移動した時、斜線部分は、シリンダの供給圧が3.4kgf/cm2
から3.0kgf/cm2に適宜可変する可変エリアである。エリアBからエリアHに移動するときも同様に適宜可変する。可変させるのは、制御部で演算する。
【0017】
図4は、実施例1の荷役物が100kg時のシリンダの供給圧のテーブルである。位置関係は、
図1のマス10と同じである。エリアA:1.5kgf/cm2、エリアB:1.9kgf/cm2 であり、エリアAからエリアOまで記載してある。エリアの斜線部分は、エリアが移動する時に、その場所に応じて可変する。エリアBからエリアCに移動した時、斜線部分は、シリンダの供給圧が1.9kgf/cm2 から1.5kgf/cm2に適宜可変する可変エリアである。エリアBからエリアHに移動するときも同様に適宜可変する。可変させるのは、制御部で演算する。
【0018】
図5は、実施例1の荷役物が無く0kg時のシリンダの供給圧のテーブルである。位置関係は、
図1のマス10と同じである。エリアA:0.9kgf/cm2、エリアB:1.3kgf/cm2
であり、エリアAからエリアOまで記載してある。エリアの斜線部分は、エリアが移動する時に、その場所に応じて可変する。エリアBからエリアCに移動した時、斜線部分は、シリンダの供給圧が1.3kgf/cm2
から1.2kgf/cm2に適宜可変する可変エリアである。エリアBからエリアHに移動するときも同様に適宜可変する。可変させるのは、制御部で演算する。
【0019】
図6は、実施例1の制御のフロー図である。最初に、演算11で、第1アーム3と第2アーム4の角度から第2アーム4の先端位置を演算する。次に、演算12で、現在のX座標でのシリンダ圧を、4つあるシリンダ圧テーブを参照して、4テーブル分を演算する。次に、演算13で、現在のY座標でのシリンダ圧を、演算12の演算結果を参照して、4テーブル分を演算する。次に、演算14で、最適シリンダ圧を、現在のモータ電流値と、演算13の演算結果を参照して演算する。言い換えると、3の時点で、4つあるシリンダ圧テーブルごとに最適シリンダ圧が演算されているいるので、それらを1次式でつなぎ、現在の荷役物重量に最適なシリンダの供給圧を演算する。荷役物重量は、昇降機構のモータの電流値で判る。次に、演算15で、演算結果を電空レギュレーターに出力する。電空レギュレーターに出力された結果を基にシリンダ8に最適なエアー圧が供給される。よって、第2アーム4の先端位置と、荷役物の重量に応じて、適宜シリンダ8の供給圧を制御する。
【0020】
図7は、実施例1の荷役物が350kgの状態の操作力である。操作力は、各エリアの中心での数値である。エリアの端と中心では数値が違う。荷役物が350kgの状態の操作力は、エリアA:3.8kgf、エリアB:3.6kgfであり、エリアAからエリアOまで記載してある。
【0021】
図8は、実施例1の荷役物が240kgの状態の操作力である。操作力は、各エリアの中心での数値である。エリアの端と中心では数値が違う。荷役物が240kgの状態の操作力は、エリアA:3.6kgf、エリアB:2.9kgfであり、エリアAからエリアOまで記載してある。
【0022】
図9は、実施例1の荷役物が無く0kgの状態の操作力である。操作力は、各エリアの中心での数値である。エリアの端と中心では数値が違う。荷役物が0kgの状態の操作力は、エリアA:1.2kgf、エリアB:0.8kgfであり、エリアAからエリアOまで記載してある。
【0023】
作動の流れを説明する。荷役物の重量が350kgの場合、エリアFでは、
図2に示すシリンダ8の供給圧は
1.9kgf/cm2である。エリアFからエリアGに移動する過程で、
図2の斜線部分を通過してエリアGに移動する。よって、
図6のフロー図のように、最適なシリンダ8の供給圧を演算し、エアーがシリンダ8に供給される。エリアGでは、シリンダ8の供給圧は2.0kgf/cm2となる。斜線部分を通過する時は、シリンダ8の供給圧は徐々に変化する。シリンダ8の供給圧を一気に切替えると、ギクシャクした動きになるから、徐々に変化させる制御である。
【0024】
荷役物が350kgの場合で従来と本発明の操作力を比較する。エリアFでは、従来のシリンダ8の供給圧が一定の場合はエリアF7.9kgf、エリアG5.2kgfを必要としていた。本発明のシリンダ8の供給圧をエリア毎と重量に合わせて可変させた場合はエリアF3.9kgf、エリアG3.8kgfとなり、水平の操作力が少なくなり、作業者は快適な操作が可能になる。特に、エリアAの操作力を比較すると、顕著である。鉄製のアームは、荷役物が重くなるほどアームが撓みやすくなるが、本発明で、アームが水平に流れなくなる。
【0025】
実施例1では、シリンダ8とスプリング9の両方を用いるが、スプリング9を用いずシリンダ8単体の構成も良い。しかし、シリンダ8とスプリング9の両方を用いることで、シリンダ単体の構成よりエアー供給量を削減でき省エネである。また、万が一、エアーの急激な排出というトラブルが起きたとしても、スプリングでアームの挙動を抑えることができる。