【実施例】
【0018】
図2は、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、自車位置情報を取得する位置情報取得部12、渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する交通情報取得部14、ユーザーからの入力を受け取るユーザー入力部16、外部と有線または無線によるデータ通信を可能にするデータ通信部18、ディスプレイに道路地図などを表示する表示部20、音声を出力する音声出力部22、記憶部24、外部機器との接続を可能にする外部インターフェース(I/F)26、各部を制御する制御部30を含んで構成される。ここに示される構成は一例であり、ナビゲーション装置は、必ずしもこのような構成に限定されない。
【0019】
位置情報取得部12は、例えば、GPS衛星52から送信される信号を利用して自車の絶対位置を検出するもの、ジャイロセンサや加速度センサなど車両に搭載された種々のセンサから自車の相対位置を検出するものを含む。また、位置情報取得部12は、
図2(B)に示すように、ネットワーク40を介して位置情報配信サイト(または配信サーバー)50−1にアクセスし、そこから自車位置情報を取得することもできる。この場合、ネットワーク40への接続は、データ通信部18を介して行われる。
【0020】
交通情報取得部14は、例えば、FMラジオ放送やその他の放送波に重畳された道路交通情報を取得したり、幹線道路や高速道路などの路側に設置されたアンテナから無線通信により道路交通情報を取得することができる。また、交通情報取得部14は、
図2(B)に示すように、ネットワーク40を介して道路交通情報配信サイト(または配信サーバー)50−3にアクセスし、そこから道路交通情報を取得することもできる。この場合、ネットワーク40への接続は、データ通信部18を介して行われる。
【0021】
ユーザー入力部16は、ユーザーとナビゲーション装置30との間のインターフェースを提供する。ユーザー入力部16は、入力キーデバイス、タッチパネル、音声認識装置などを含むことができる。好ましい例では、入力キーデバイスやタッチパネルは、地図スクロール検索時に、表示部20に表示された道路地図画面に任意の方向にスクロールさせることを可能にする。
【0022】
データ通信部18は、WiFi、LAN、赤外線通信、電話回線などを利用した有線または無線によるデータ通信を可能にする。データ通信部18は、その機能がナビゲーション装置に内蔵されるものでもよいし、携帯電話やスマートフォンなどを外部接続しその通信機能を利用するものであってもよい。上記したように、データ通信部18は、
図3(B)に示すようなネットワーク40を介して種々のデータ配信サイトに接続することを可能にする。
【0023】
表示部20は、道路地図をディスプレイ上に表示したり、地図スクロール検索時には、スクロールされた道路地図上に検索対象候補の名称などを表示する。また、これ以外にもメニュー画面や、施設等を検索するための検索画面などを表示する。音声出力部22は、目的地までの経路を誘導、案内するための音声、交通情報取得部14で取得された道路交通情報などを音声にて出力する。
【0024】
図3は、表示部20の道路地図表示機能を示している。道路地図データ描画部60は、ディスプレイ68に表示すべき道路地図データ、例えば、自車位置周辺の道路地図データやスクロールされる道路地図データを描画し、これを画像合成部66へ提供する。ポリゴンデータ描画部62は、道路地図データ上に合成される種々のポリゴン、例えば、施設のアイコン、自車位置マーク、経路データ、道路交通データなどのデータを描画し、これを画像合成部66へ提供する。名称データ描画部64は、道路地図上に合成される検索対象候補の名称データ等を描画し、これを画像合成部66へ提供する。画像合成部66は、道路地図データ描画部60、ポリゴンデータ描画部62、名称データ描画部64から受け取った画像データを合成し、ディスプレイ68に表示データを提供する。なお、
図4は、1つの構成例であり、表示部20はこの構成に限られるものではない。例えば、ポリゴンデータ描画部62は、地図上に合成されるべき道路のポリゴンデータを描画するようにしてもよい。
【0025】
記憶部24は、ナビゲーション装置10の動作に必要な道路地図データ等を格納することができる。一つの例では、記憶部24は、大容量の記憶装置を含み、ここに道路地図データや施設データなどのデータベースを蓄積することができる。他の例では、記憶部24は、
図2(B)に示すようにネットワーク40を介して道路地図データ配信サイト50−2にアクセスし、そこから必要な道路地図データ等を取得することができる。この場合、ネットワーク40への接続は、データ通信部18を介して行われる。
【0026】
道路地図データは、道路(リンク)データ、交差点データ等を含んで構成される。道路データは、リンクの始点と終点の座標を表す位置情報、道路種別、道路名称などを含む。交差点データは、道路の始点または終点との関連情報、交差点の種別などの情報を含む。施設データは、POI(Point of Interest)としてのレストラン、ガソリンスタンド、学校、銀行、スーパーマーケット、空港、駅、線路などの種々の情報を含み、これらの各施設の座標位置を表す位置情報、施設の名称、施設を表示するアイコン情報、施設をカテゴリなどで分類するジャンル情報などを含んでいる。表示部20により道路地図を表示するとき、これらの道路地図データや施設データが利用される。
【0027】
本実施例の地図スクロール検索では、道路地図画面のスクロールが停止されたとき、検索対象候補(例えば、道路、施設、地名など)を識別し、識別された検索対象候補と同一種類の検索対象候補を表示対象として選択する機能を備える。この機能を実行する際に利用されるデータの一例を
図4に示す。本実施例では、説明を分かりやすくするため、検索対象候補として、道路データ、地名データ、施設データの3つの種類を例示する。但し、これはあくまでも例示であり、検索対象候補の種類は、3つに限られれるものではないし、種類の定義は、ユーザーによりまたは設計等により任意に決定することが可能である。
【0028】
道路データ70には、その識別子としてリンクIDが付与される。この道路データ70は、リンクの始点および終点の座標を含む位置情報、道路名称、属性情報を含む。道路名称は、その道路のストリート名(例えば、××通り)や、その道路を識別する名称(例えば、国道○○線)などである。属性情報には、道路種別、車線情報、当該道路が接続される交差点ノードの識別などが含まれる。
【0029】
地名データ72は、地図上に存在する湖、沼、川、景勝地などのPOIに関する情報であり、それぞれに識別子として地名IDが付与される。地名データは、位置情報、地名名称、属性情報を含む。位置情報は、地名が存在する座標を含み、地名名称は、地名を表す名称を含み、例えば、○○湖、××川などである。属性情報は、地名の種別や、地名を表すポリゴンデータに関する情報を含む。
【0030】
施設データ74は、レストラン、駅、ガソリンスタンド、店、学校、銀行などの施設に関する情報であり、それぞれ識別子として施設IDが付与される。位置情報は、施設が存在する座標を含み、施設名称は、施設の名称を表す。属性情報は、施設のジャンル(またはカテゴリ)や施設を表すアイコンデータに関する情報を含む。
【0031】
制御部30は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラから構成され、ROMまたはRAMには、ナビゲーション装置の動作を制御するための種々のプログラムが格納される。プログラムは、目的地や経由地を検索するもの、目的地までの最適な経路を探索するもの、目的地までの経路の誘導、案内を行うものなどが含まれる。ここで、目的地や経由地を検索するプログラムには、メニュー画面などから複数の目的地の候補を階層的に絞り込みを行う方法や、ディスプレイに表示された道路地図画面をスクロールして所望の目的地を探索する方法がある。後者のスクロールによる検索を実行するための地図スクロール検索プログラムの機能を
図5に示す。
【0032】
本実施例による地図スクロール検索プログラム80は、ユーザー入力が所定の条件に合致したとき起動される。例えば、ディスプレイに道路地図が表示されているとき、ユーザーが道路地図画面をタッチしたり、あるいは入力キーデバイスからスクロール検索の指示を与えることで、地図スクロール検索プログラム80が起動される。この地図スクロール検索プログラム80は、次の機能を包含する。
【0033】
表示モード決定部82は、地図スクロール検索時において、スクロール停止位置で特定された検索対象候補の名称を表示する特定名称表示モード、またはスクロール停止位置の周辺の検索対象候補の名称を表示する周辺名称表示モードのいずれかを決定する。表示モード決定部82は、ナビゲーション装置に予め登録されたユーザー設定に従い、特定名称表示モードか周辺名称表示モードかを決定したり、あるいはユーザー入力に基づき特定名称表示モードまたは周辺名称表示モードを決定することができる。
【0034】
スクロール部84は、ユーザーからのスクロール指示に応答して、道路地図画面をスクロールさせる。1つの態様として、スクロール部84は、
図6(A)に示すように、道路地図画面上に45度間隔でスクロール方向を指示する矢印Pを表示させ、ユーザーが矢印Pをタッチしている期間中、道路地図画面をその方向にスクロールさせる。他の態様として、入力キーデバイスからスクロールを指示する方向を入力し、その入力が与えられている期間、道路地図をその方向にスクロールさせるようにしてもよい。これ以外にも、タッチパネル上を移動される指の方向に応じて道路地図をスクロールさせるようにしてもよい。また、スクロール部84は、
図6(B)に示すように、円の中心に向かう十字カーソルCを画面100のほぼ中央に表示させ、この十字カーソルCの座標により検索対象候補を特定する。
【0035】
スクロール停止判定部86は、ユーザーによるスクロールが停止されたか否かを判定する。例えば、タッチパネルよりスクロールを指示している場合には、タッチから指が離れた時点でスクロールの停止が判定される。同様に、入力キーデバイスによる場合には、スクロールの終了が指示されたとき、スクロールの停止が判定される。
【0036】
停止位置検出部88は、スクロールが停止されたとき、十字カーソルCの中心の座標または当該中心を含む一定範囲の領域の座標を検出する。換言すれば、画面100のほぼ中心の座標を検出する。そして、スクロールが停止されたときの座標情報は、スクロールの停止位置として検索対象候補識別部90へ提供される。
【0037】
検索対象候補識別部90は、停止位置検出部88からの停止位置に基づき、座標上に存在する検索対象候補を識別する。好ましい例では、検索対象候補識別部90は、
図4に示す道路データ、施設データ、地名データに含まれる位置情報をチェックし、停止位置に該当する道路データ、施設データ、地名データを識別する。停止位置に一致する検索対象候補が存在する場合には、当該検索対象候補が識別され、一致するものがない場合には、停止位置から一定の範囲内に存在する最寄りの検索対象候補が識別される。停止位置から一定の範囲内に検索対象候補が存在しない場合には、検索対象候補の識別は行われない。
【0038】
表示対象選択部92は、検索対象候補識別部90により識別された結果を受けて、名称を表示すべき表示対象を選択する。但し、表示対象選択部92は、表示モード決定部82により決定された表示モードに応じて、表示対象の選択を異にすることに留意すべきである。すなわち、表示モード決定部82により周辺名称表示モードが決定された場合には、検索対象候補識別部90により識別された検索対象候補と同一種類の検索対象候補であって、かつ道路地図画面上に表示されている検索対象候補が選択される。例えば、十字カーソルが道路にフォーカスされている場合には、検索対象候補として道路が識別され、画面上に表示されている周辺の道路が表示対象として選択される。通常の画面で既に名称が表示されている道路は表示対象から除かれるようにしてもよい。他方、表示モード決定部82により特定名称表示モードが決定された場合には、検索対象候補識別部90により識別された検索対象候補のみが表示対象として選択される。例えば、十字カーソルにより道路がフォーカスされていれば、当該道路のみが表示対象として選択される。
【0039】
表示対象選択部92の選択結果を受けて、名称抽出部94は、表示対象の名称を抽出する。この抽出には、
図4に示す道路データ、施設データ、地名データが参照される。上記したように、周辺名称表示モードであれば、検索対象候補識別部90で識別された検索対象候補と同一種類の周辺に存在する検索対象候補の名称がすべて抽出され、特定名称表示モードであれば、検索対象候補識別部90で識別された検索対象候補のみの名称が抽出される。
【0040】
名称データ生成部96は、名称抽出部94で抽出された名称データに基づき、表示対象とされた検索対象候補の名称データを生成する。名称データのフォントサイズは、表示される名称の重複を避けるため、表示対象の数に応じて変更するようにしてもよい。例えば、表示対象の数が所定のしきい値以上である場合には、フォントが小さくなるように、あるいは名称データの表示面積が小さくするように名称データを生成することができる。また、名称データのフォントサイズまたは表示面積は、地図縮尺に応じて変更するようにしてもよい。例えば、道路縮尺がしきい値よりも大きい広域スケールである場合には、表示対象の数が多くなると推測し、フォントまたは表示面積が小さくなるように名称データを生成することができる。名称データ生成部96で生成された名称データは、名称データ描画部64により描画される。名称データ描画部64は、好ましくは、それぞれの名称が重複せず、かつ一定の間隔が生じ得るように名称を描画する。
【0041】
時間計測部98は、周辺名称表示モードであるとき、検索対象候補の名称の表示時間を計測する。この計測結果は、名称データ描画部64へ提供される。好ましくは、名称データ描画部64は、検索対象候補の名称の表示時間が一定時間を経過したとき、検索対象候補のすべての名称または十字カーソルCで特定された検索対象候補以外の名称を非表示にする。
【0042】
次に、本発明の第1の実施例に係るナビゲーション装置の地図スクロール検索動作について
図7のフローを参照して説明する。ここでは、ユーザーによって周辺名称表示モードが予めナビゲーション装置に登録されているものとする。ナビゲーション装置10が動作された状態にあるとき、制御部30は、ユーザーによる地図スクロール検索が開始されたか否かを監視する(S101)。地図スクロール検索が開始されたと判定すると、制御部30は、地図スクロール検索プログラム80を起動させ、表示モード決定部82は、ユーザー設定された内容を参照し、周辺名称表示モードであることを決定する。
【0043】
スクロール部84は、ユーザーからのスクロール指示に応答して、道路地図データのスクロールを制御する。すなわち、道路地図データ描画部60、ポリゴンデータ描画部62、名称データ描画部64により描画された画像データが画像合成部66へ提供され、合成された道路地図がディスプレイ68上でスクロールされる。次いで、スクロールの停止の有無がスクロール停止判定部86によって判定され(S102)、スクロールの停止が判定されると、停止位置検出部88によって十字カーソルCが示す停止位置が検出され、検索対象候補識別部90は、停止位置に存在する検索対象候補を識別する(S103)。停止位置上に道路が存在すれば、検索対象候補として道路が識別され、施設が存在すれば、検索対象候補として施設が識別され、地名が存在すれば、検索対象候補として地名が識別される。もし、道路、施設、地名のいずれも存在しない場合には、検索対象候補は識別されず、検索対象候補の名称は表示されない。この検索対象候補の識別結果は、ユーザーが検索しようとしている対象を推測するのに利用される。
【0044】
検索対象候補が識別されると、次に、表示対象選択部92は、識別された検索対象候補と同一種類であって、道路地図画面上に表示されている他の検索対象候補を選択する(S104)。次に、名称抽出部94は、表示対象として選択されたすべての検索対象候補の名称を抽出し(S105)、名称データ生成部96は、それらの名称データを生成し、検索対象候補の名称は、名称データ描画部64によって描画され、一定期間、道路地図画面上に検索対象候補の名称が表示される(S106、S107)。周辺名称表示モードで表示される検索対象候補の名称は、必ずしも通常の画面において表示されるものではない。つまり、地図の縮尺、フォントの大きさ、重複の禁止等の理由により、通常の画面では表示されない名称が周辺名称表示モードにおいて半ば強制的に表示されることに留意すべきである。これらの検索対象候補の名称を一定期間表示することで、ユーザーは、スクロールされた道路地図画面内での目的とする検索対象候補を容易に見つけることができる。一定期間経過すると、十字カーソルで特定された検索対象候補の名称を除く他の検索対象候補の名称が表示される(S108)。
【0045】
図8(A)は、特定名称表示モードの表示例、
図8(B)は、周辺名称表示モードの表示例である。
図8(A)の例では、スクロールが停止されたとき、十字カーソルCにより道路Xが識別され、道路Xの名称「○○通り」が画面100のトップ102に表示されている。また、道路Xpの名称「P通り」は、通常の画面でも表示されるが、これ以外の道路の名称は表示されない。一方、
図8(B)の例では、周辺名称表示モードであるため、識別された道路Xと同一種類である道路X1、X2が表示対象の道路として選択され、道路X1、X2の名称として、「A通り」、「B通り」がそれぞれ表示される。ユーザーは、画面100内において、通常の道路地図画面では表示されない道路の名称が表示されているため、探している道路を容易に見つけることができる。
【0046】
図9(A)は、特定名称表示モードで検索対象候補が施設であるときの表示例、
図9(B)は、周辺名称表示モードで検索対象候補が施設であるときの表示例である。
図9(A)の例では、スクロールが停止されたとき、十字カーソルCにより施設Yが識別され、画面100のトップ102には、施設Yの名称「○○スーパー」が表示される。また、Ypのアイコンおよび名称「Y施設」は、通常の画面でも表示されるが、これ以外の施設に関する情報は表示されない。一方、
図9(B)の例では、周辺名称表示モードであるため、識別された施設Yと同一種類である施設Y1、Y2、Y3、Y4、Y5が表示対象の施設として選択され、それらの名称「A学校」、「B空港」、「C銀行」、「Dレストラン」、「Eスタンド」がそれぞれ所定の位置に表示される。こうして、ユーザーは、画面100内において、通常の道路地図画面では表示されない施設の名称が表示されるため、探している施設を容易に見つけることができる。なお、図の例では、施設の名称とともに、施設のアイコンも表示されている。
【0047】
また、ここには図示しないが、スクロールの停止位置によって地名(山、湖、沼、海岸、景勝地)が検索対象候補として識別された場合には、周辺名称表示モードであれば、上記と同様に、画面100内に存在する他の地名が表示対象として選択され、一定期間、地名の名称が表示される。これにより、目的とする地名の検索が容易になる。
【0048】
上記の実施例では、道路、施設、地名を異なる種類の検索対象候補として識別したが、施設や地名の名称とともに道路の名称を一緒に表示した方が、施設や地名を探しやすい場合には、施設や地名が隣接する道路の名称を一緒に表示するようにしてもよい。例えば、
図9(B)の施設Y1〜Y5、Ypの名称を表示するとき、施設Y1〜Y5、Ypが隣接する道路の名称(
図8(B))も併せて表示するようにしてもよい。道路の名称を一緒に表示するか否かは、ユーザー設定により決定することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例では、周辺名称表示モードである場合に、検索対象候補の名称を道路地図データ上に表示したが、第2の実施例では、道路地図画面のデフォルメ画面を別に用意し、このデフォルメ画面に検索対象候補の名称を一定期間表示させる。
【0050】
第2の実施例において、地図スクロール検索プログラム80は、デフォルメ画面作成部(図示しない)を含んで構成される。デフォルメ画面作成部は、スクロールが停止されたとき、その道路地図データを簡略化したデフォルメ画面を作成する。作成されたデフォルメ画面は、周辺名称表示モードのときに表示される。デフォルメ画面の作成方法として、例えば、道路であれば、道路データの始点(ノード)と終点(ノード)とを結ぶ直線を作成したり、あるいは複数の道路が接続されていればノード列を最小自乗法等により直線近似する。また、道路の車線数に応じて道路を表す直線の太さを変えるようにしてもよいし、道路の種別(国道、県道、市道)などに応じて道路を表す色彩や太さを変えるようにしてもよい。道路と道路を接続する交差点に関しては、予め決められた一定の角度(30度、60度、90度など)から選択する。また、デフォルメ画面では、検索対象候補に関連しない情報を非表示にするようにしてもよい。こうして作成されたデフォルメ画面上には、第1の実施例のときと同様に、検索対象候補の名称が合成して表示される。第2の実施例によれば、簡略化されたデフォルメ画面上に検索対象候補の名称を表示することで、目的とする検索対象候補が探しやすくなる。
【0051】
図8(C)は、
図8(B)の道路地図画面100に対応するデフォルメ画面102の表示例である。検索対象候補として道路Xが識別され、道路Xと同一種類の他の周辺道路X1、X2が表示対象として選択され、これらの道路X、X1、X2、Xpは、デフォルメされた直線で表示され、そこに道路の名称が付記される。また、主要な幹線道路X、X1は、道路X2と異なる態様で表示される(図では、線の幅が太い)。デフォルメ画面102は、第1の実施例のときと同様に、一定期間表示される。但し、ユーザーがデフォルメ画面上のカーソルを操作した場合には、デフォルメ画面102の表示は解除され、通常のスクロール検索を行う道路地図画面へ表示が切り替えられる。
【0052】
図9(C)は、
図9(B)に示す第1の実施例の道路地図画面100に対応するデフォルメ画面102の表示例である。検索対象候補として施設Yが識別され、施設Yと同一種類の他の周辺施設Y1〜Y5が表示対象として選択され、施設Y〜Y5の名称がアイコンと一緒に表示される。また、道路X、X1、X2、Xpもまたデフォルメされた状態で表示される。デフォルメ画面102は、一定期間表示されるが、ユーザーがデフォルメ画面上のカーソルを操作した場合には、デフォルメ画面102の表示は解除され、通常の道路地図画面へ表示が切り替えられる。
【0053】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例は、地図スクロール検索におけるユーザーインターフェースに関する。
図10は、第3の実施例に係る地図スクロール検索の動作を説明するフローチャートである。ユーザー入力に応答して地図スクロール検索プログラム80(
図5)が起動されると(S201)、表示モード決定部82は、
図11(A)に示すように道路地図画面100上に、周辺名称表示モードの表示機能をオンするための「表示機能オン」を表す表示切替ボタン110を表示する(S202)。この表示切替ボタン110は、ユーザーによって選択可能であり、「表示機能オン」が選択されれば、表示モード決定部82は、特定名称表示モードから周辺名称表示モードへ設定を切り替える(S203)。
【0054】
周辺名称表示モードへの設定がなされた場合には、第1、第2の実施例のときと同様に、スクロールが開始された後、スクロールの停止位置で検索対象候補が識別され、それと同一種類の周辺の検索対象候補が表示対象として選択され、
図8(B)、(C)、または
図9(B)、(C)のように、検索対象候補の名称が表示される(S204)。他方、周辺名称表示モードへの設定が成されなかった場合には、スクロールが停止されたとき、
図8(A)、
図9(A)のように、十字カーソルで特定された検索対象候補の名称が表示される。
【0055】
また、「表示機能オン」が一旦選択され、その後に、再びスクロール検索を行う場合には、
図11(B)のように道路地図画面上に「表示機能オフ」の表示切替ボタン110が表示され、「表示機能オフ」が選択されれば、周辺名称表示モードから特定名称表示モードへ設定が変更される。このように第3の実施例によれば、地図スクロール検索を行うときに、ユーザーは、いずれかの表示モードを任意にかつ簡単に選択することができる。
【0056】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第4の実施例は、周辺名称表示モードにおける縮尺変更および表示設定に関する。
図12(A)は、周辺名称表示モードにおいて、道路名称を表示したデフォルメ画面102(第2の実施例)を表している。第4の実施例では、地図スクロール検索プログラム80は、デフォルメ画面102上に、ユーザーによって選択可能な、縮尺変更ボタン120とデフォルメ画面の表示設定を行う表示設定ボタン130とを表示する。縮尺変更ボタン120の一方の矢印を選択することで、
図12(B)に示すように、より広域スケールのデフォルメ画面が表示される。これにより、表示対象として選択される検索対象候補の数がさらに増加する。図の例では、新たに、道路X3、X4が表示対象として選択され、道路X3、X4の名称が抽出され、それぞれの道路名称として「D通り」、「E通り」が表示されている。もう一方の矢印を選択すれば、より詳細スケールのデフォルメ画面に変更される。
【0057】
また、表示設定ボタン130を選択すると、
図13に示すように表示設定画面106が表示される。表示設定画面106において、デフォルメ表示のオン/オフの設定、周辺表示モードのオン/オフの設定、周辺名称表示モードによる表示時間などの詳細を設定することができる。このようにデフォルメ画面上において、ユーザー操作による表示設定を変更することで、操作の煩雑さを解消することができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。