(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の接続構造(導電性弾性体による二つの端子間の接続構造)について、添付図面を参照して説明する。本発明に係る接続構造は、車載カメラ装置の撮像素子に接続された回路端子を有する回路基板と、前記回路端子に電装品を接続するハウジング端子を有するコネクタハウジングと、前記回路端子と前記ハウジング端子の間に介在される導電性弾性体とを備え、前記導電性弾性体が前記回路端子と前記ハウジング端子に挟まれて押圧された状態で端子間を電気的に接続する。すなわち、本発明の具体的な実施形態としては、自動車等の車両のバンパやグリル、あるいは車内に設置されて車外景色を撮像するための車載カメラ装置を想定している。この場合、接続構造は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を搭載した回路基板と、電源装置や車室内の表示装置等の電装品(電気機器)とを導電性弾性体により電気的に接続させる。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る車載カメラ装置における接続構造を示しており、同図(a)は、接続構造における構成部材を示す分解図、同図(b)は、同図(a)の構成部材を組み付けた状態の全体外観を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明に係る接続構造は、回路基板2、コネクタハウジング4、導電性弾性体6を備えている。
【0015】
回路基板2は、樹脂等の絶縁材を平板状に成形してなる基板部21と、基板部21に配索された回路部(図示しない)を備えている。回路部には、基板部21の一方側(コネクタハウジング4との反接続側)の面に導電部材を配索することにより形成されており、その端子(以下、回路端子という。)22が基板部21の他方側(コネクタハウジング4との接続側)の面に露出されている。本実施形態においては、回路部に対してCCDやCMOS等の撮像素子(図示しない)が実装されるとともに、かかる撮像素子に対する給電回路、信号処理回路や制御回路等が形成されている。これにより、回路基板2は、回路端子22を介して電源装置(バッテリ)から給電されるとともに、車室内の表示装置との間で電気信号の送受信を行うことが可能な構成となっている。なお、
図1(a)には、矩形の基板部21と、かかる基板部21の略中央部近傍に6つの回路端子22を、三つずつ2列(22a,22b)に形成した回路基板2の構成を一例として示しているが、基板部21の形状、回路端子22の形成位置や形成数などは特に限定されず、任意に設定することが可能である。また、回路基板2は、例えば、ネジ等の固定部材により、あるいは接着剤等の接合手段によりコネクタハウジング4に対して取り付ければよい。そして、回路基板2がコネクタハウジング4に取り付けられることで、これらの間に介在された導電性弾性体6が回路基板2とコネクタハウジング4が近接される方向へ押圧された状態となり、回路端子22と後述するハウジング端子(ハーネス端子54)とが電気的に接続される。
【0016】
図2には、コネクタハウジング4の構成を示しており、同図(a)は、
図1(b)における矢印A1の方向から示す平面図、
図2(b)は、同図(a)の矢印A2部分における縦断面を矢印方向から示す図である。
図1及び
図2に示すように、コネクタハウジング4は、第1の構造体(以下、エスカッションという。)41と、第2の構造体(以下、モールド成形部)42とを備えており、これらが一体的に組み付けられる構成となっている。この場合、エスカッション41には、略環状に連続する係止部43がモールド成形部42へ向けて(一例として、
図2(b)においては上向きへ)突設されているとともに、係止部43には、略環状のシール部材44が嵌装されている。また、エスカッション41には、固定部材(一例として、ネジ)を挿通する複数(一例として、二つ)の孔部45が穿孔されている。一方、モールド成形部42には、係止部43を係合可能な凹部(以下、被係止部という。)46が略環状に連続して形成されているとともに、係止部43を被係止部46に係合させた状態で孔部45と連通可能な穴部47が形成されている。これにより、エスカッション41及びモールド成形部42は、係止部43を被係止部46に係合させることで相互に係止され、シール部材44により密着可能な構造をなす。そして、連通された孔部45と穴部47にネジ(図示しない)を螺合させることで、エスカッション41及びモールド成形部42は一体化される。
【0017】
モールド成形部42は、被係止部46及び穴部47が形成された本体部51と、電源装置や車室内の表示装置等の電装品と接続される複数の電線53を有する電線部52を含んでいる。電線53は、導電性弾性体6と接触する端子(以下、ハーネス端子という。)54が一端部に設けられているとともに、樹脂等の絶縁材からなるシールド55で被覆されている。本実施形態においては、ハーネス端子54が回路端子22に前記電装品を接続するためのハウジング端子として機能する。
図2(a)には、6本の電線53が束ねられ、これらの全体がシールド55で被覆された電線部52の構成を一例として示している。なお、電線53の本数は特に限定されない。また、ハーネス端子54は、その先端(
図2(b)において54a,54bで示す部分。以下、ハーネス先端54a,54bという。)が二股に分かれて構成されており、ハーネス先端54aとハーネス先端54bとの間隔は、回路基板2の回路端子22aと回路端子22bとの間隔と一致させている。なお、これらの間隔は、後述する導電性弾性体6の芯線61の束部63aと束部63bとの間隔とも一致させている。ただし、ハーネス先端54a,54bの間隔と回路端子22a,22bの間隔を異ならせた構成とすることも可能である。
【0018】
そして、モールド成形部42は、電線部52がシールド55を介して本体部51と一体成形されている。このように電線部52が本体部51と一体化された状態において、ハーネス端子54は、本体部51から外部(回路基板2との接続側)へ露出されている。これにより、電線53は、導電性弾性体6と接触させたハーネス端子54を介して回路基板2と前記電装品とを電気的に接続させる。なお、電線53のハーネス端子54とは反対側(回路基板2との反接続側)の他端部は、前記電装品と接続されている。
【0019】
図3には、エスカッション41の構成を示しており、同図(a)は、全体斜視図、同図(b)は、同図(a)の矢印A3部分における縦断面を矢印方向から示す図である。エスカッション41は、回路基板2を取り付けるとともに、導電性弾性体6を保持するための部材として構成されている。本実施形態において、エスカッション41は、回路基板2との接続方向(一例として、
図3(b)における下方向)へ延出する枠状に形成されて導電性弾性体6を保持する保持部71を有している。エスカッション41は、回路基板2側(一例として、
図3(b)における下側)が外部へ開放された構成となっており、保持部71に対しては回路基板2側から導電性弾性体6が圧入される。保持部71には、圧入された導電性弾性体6を圧入方向に対して位置決めするための位置決め部48が設けられている。位置決め部48は、係止部43の内周側に柵状に架設されている。これにより、導電性弾性体6を位置決め部48と当接するまで圧入することで、保持部71において導電性弾性体6を圧入方向に対して位置決めすることができる。このように位置決めされた状態で、導電性弾性体6は、圧入方向の一部分(一例として、
図3(b)における上側の略半分をなす部分。以下、保持部分という。)が保持部71に圧入されている。したがって、圧入方向に対して導電性弾性体6の保持部分以外の残りの部分(一例として、
図3(b)における下側の略半分をなす部分。以下、非保持部分という。)は、保持部71に圧入されることなく、回路基板2側(一例として、
図3(b)における下側)へそのまま配置された状態となっている。なお、
図3(b)には、保持部分と非保持部分を略半分ずつとした構成を一例として示しているが、これらの割合は、導電性弾性体6の弾性特性などに応じて任意に設定することが可能である。例えば、保持部分を3分の1程度や3分の2程度としても構わない。ただし、回路端子22とハーネス端子54との間の接圧の適正化を図るべく、導電性弾性体6をより弾性変形可能な状態とするために、非保持部分をある程度確保した構成とすることが好ましい。また、
図3には、3本の位置決め部48を架設した構成を一例として示している。この場合、隣り合う2本の位置決め部48の間の空隙からハーネス端子54の二股に分かれたハーネス先端54a,54bが挿し込まれ、この状態でかかるハーネス先端54a,54bが導電性弾性体6と接触する構造となっている(
図2(b)参照)。
【0020】
そして、保持部71には、後述する導電性弾性体6が圧入されて絶縁部62と圧接する圧接部72と、絶縁部62との間に空隙を形成する凹部(以下、逃げ部という。)73が設けられている。すなわち、逃げ部73は、圧接部72に圧入された導電性弾性体6の絶縁部62と接触することなく、かかる絶縁部62との間に所定の空隙を形成する。これにより、圧接部72に圧入された導電性弾性体6に対して、回路基板2とコネクタハウジング4が近接される方向、換言すれば、回路基板2とコネクタハウジング4の接続方向(一例として、
図3(b)における上下方向)へ所定の押圧力が負荷された際、導電性弾性体6(端的には、絶縁部62)の保持部分における弾性変位を逃げ部73により形成される空隙へ逃がすことができる。なお、導電性弾性体6(端的には、絶縁部62)の保持部分のうち、圧接部72との圧接部分は圧接部72によって弾性変形が抑制されるため、保持部分においては、絶縁部62を逃げ部73へ積極的に弾性変形させることができる。したがって、押圧時における弾性導電体6の弾性変形を非保持部分に集中させることなく、保持部分にも分散させることができ、導電性弾性体6の全体をより均一に弾性変形させることが可能となる。この結果、押圧力に対する反力(内部応力)を導電性弾性体6から回路端子22及びハーネス端子54に対して均等に作用させることができ、導電性弾性体6とこれら端子22,54との間の接圧の適正化を図ることが可能となる。
【0021】
導電性弾性体6は、回路端子22とハーネス端子(ハウジング端子)54と両端部で接触可能に配線された複数の芯線61と、芯線61を絶縁する弾性変形可能な絶縁部62を有している。この場合、芯線61は、導電性を有する金属細線で構成され、回路基板2とコネクタハウジング4との接続方向(一例として、
図2(b)における上下方向)に沿って配線されて両端部で回路端子22及びハーネス端子54(端的には、回路基板2及びコネクタハウジング4)と接触する。絶縁部62は、樹脂等の弾性を有する絶縁部材(一例として、シリコン樹脂)で構成されており、各芯線61を被覆し、他の芯線61から絶縁している。これにより、導電性弾性体6は、回路基板2とコネクタハウジング4との接続方向へ所定の押圧力が負荷されると弾性変形可能に構成される。すなわち、導電性弾性体6は、回路基板2とコネクタハウジング4との間に介在され、これらの間隔を狭めるように押圧されて弾性変形した状態で、回路基板2とコネクタハウジング4(回路端子22とハーネス端子54)を電気的に接続する。
【0022】
なお、導電性弾性体6の形状や大きさ等は特に限定されず、車載カメラ装置(回路基板2及びコネクタハウジング4)の形状や大きさ等に応じて任意に構成することができる。
図4には、導電性弾性体6を絶縁部62により全体が矩形の六面体(略立方体)をなすように形成した構成を一例として示している。この場合、複数の芯線61が列をなして配線されて束部63を構成し、二つの束部63(63a,63b)の間に絶縁部62(62a)を介在させるとともに、これらの束部63(63a,63b)を絶縁部62(62b,62c)で挟み込み、導電性弾性体6の全体形状を矩形の六面体(略立方体)としている。すなわち、かかる導電性弾性体6は、束部63において所定方向(
図4の矢印Yで示す方向。以下、Y方向という。)へ複数の芯線61が配列されるとともに、これと直交する方向(同図の矢印Xで示す方向。以下、X方向という。)へ絶縁部62と束部63が交互に配列され、かつ、かかるX方向の両端には絶縁部62が位置付けられた構成となっている。なお、束部63において、隣り合う芯線61の間には絶縁部62が介在しており、各芯線61は、絶縁部62で被覆された状態となり、他の芯線61から絶縁されている。
【0023】
そして、導電性弾性体6(束部63)の芯線61は、X方向及びY方向の双方と直交する方向(
図4の矢印Zで示す方向。以下、Z方向という。)に沿って配線されており、回路端子22及びハーネス端子54と接触する二つの端面(Z方向の二つの端面。以下、導電面という。)64に両端部を臨ませている。つまり、芯線61は、その両端部が二つの端面64において外部(回路基板2側及びコネクタハウジング4側)に臨んでいる。なお、芯線61の両端部が外部へ臨むZ方向(導電面64の対面方向)は、回路基板2とコネクタハウジング4との接続方向(導電性弾性体6と回路端子22及びハーネス端子54との接触方向)に相当する。
【0024】
ここで、束部63の数は、回路端子22及びハーネス端子54と接触可能であれば特に限定されない。本実施形態においては、2列に並べて配された回路端子22及びハーネス端子54のハーネス先端54a,54b(
図1(a)及び
図2(b))と接触可能となるように、これらの配列間隔に合わせて二つの束部63(63a,63b)を導電性弾性体6に配した構成としている。換言すれば、二つの束部63(63a,63b)のX方向に対する間隔(別の捉え方をすれば、二つの束部63(63a,63b)の間に介在させる絶縁部62(62a)のX方向に対する肉厚)は、回路端子22(22a,22b)及びハーネス端子54(ハーネス先端54a,54b)の間隔と一致させている。なお、ハーネス先端54a,54bの間隔と回路端子22a,22bの間隔を異ならせた構成とした場合、二つの束部63(63a,63b)が回路端子22との接触側からハーネス先端54a,54bとの接触側へ向かうに従って徐々に近接もしくは離間するように、芯線61を回路基板2とコネクタハウジング4との接続方向(Z方向)へ斜めに配線して導電性弾性体6を構成すればよい。また、束部63を構成する芯線61の本数は特に限定されないが、例えば、Y方向の全寸法に亘って芯線61が等間隔で配列されるように調整すればよい。
【0025】
上述したように、本実施形態において、コネクタハウジング4の保持部71には、導電性弾性体6が圧入されて絶縁部62と圧接する圧接部72と、絶縁部62との間に空隙を形成する逃げ部73が設けられている。保持部71(圧接部72及び逃げ部73)は、圧接部72に圧入された導電性弾性体6に対して、回路基板2とコネクタハウジング4の接続方向(Z方向)へ所定の押圧力が負荷された際(
図3(b)に示す状態)、絶縁部62を逃げ部73へ積極的に弾性変形させ、導電性弾性体6の全体、つまり保持部分及び非保持部分をより均一に弾性変形させることが可能な構成であればよい。
【0026】
図5には、圧接部72及び逃げ部73の構成例を、エスカッション41の回路基板2との接続側からの斜視図で示している。この場合、保持部71には、導電性弾性体6の絶縁部62によって形成された四つの側面(導電面64以外の四面)66と対向するように、逃げ部73が設けられている。
図5(a)には、保持部71を導電面64よりも僅かに大きな略矩形の内枠形状をなす枠状に構成し、保持部71の四つの枠面の各中央部に一つずつ、四つの圧接部72(72a)を設けるとともに、保持部71の四隅近傍に一つずつ、四つの逃げ部73(73a)を設けた構成を示している。すなわち、四つの圧接部72(72a)は、X方向に一つずつ一対をなして配され、Y方向に一つずつ一対をなして配されている。これにより、圧接部72(72a)へ圧入された導電性弾性体6を四方(X方向及びY方向)から安定して保持することができる。また、四つの逃げ部73(73a)は、保持部71の四隅近傍、具体的には、角部及び該角部と連続する枠面の圧接部72(72a)の配設領域までの面域にそれぞれ設けられているため、絶縁部62の弾性変形時の変位を効率よく逃がすことができる。
【0027】
また、
図5(b)には、保持部71を導電面64よりも僅かに大きな略矩形の内枠形状をなす枠状に構成し、保持部71の四隅に一つずつ、四つの圧接部72(72b)を設けるとともに、保持部71の四つの枠面の各中央部近傍に一つずつ、四つの逃げ部73(73b)を設けた構成を示している。すなわち、四つの圧接部72(72b)は、保持部71の四隅、具体的には、角部及び該角部と連続する枠面の角部近傍面域にそれぞれ設けられているため、導電性弾性体6をX方向及びY方向に対して位置決めしつつ、安定して保持することができる。また、四つの逃げ部73(73b)は、X方向に一つずつ一対をなして配され、Y方向に一つずつ一対をなして配されているため、絶縁部62の弾性変形時の変位を四方(X方向及びY方向)へ効率よく逃がすことができる。
【0028】
なお、
図5(a),(b)に示す構成においては、いずれも、圧接部72(72a,72b)を位置決め部48と連続させた構成としている。また、逃げ部73(73a,73b)の大きさは、絶縁部62の弾性変形時の変位を確実に逃がすことが可能な空隙を絶縁部62との間に形成することができるとともに、圧入された導電性弾性体6を安定して保持することが可能な圧接部72(72a,72b)を確保できる範囲で任意に設定することができる。
【0029】
ここで、導電性弾性体6(束部63)は、複数の芯線61がY方向へ配列された構成となっている(
図4参照)。上述した
図5(a),(b)に示す構成において、逃げ部73(73a,73b)は、保持部71のX方向に沿って設けられているとともに、Y方向に沿っても設けられている。したがって、圧接部72(72a,72b)に圧入された導電性弾性体6は、絶縁部62が芯線61の配列方向であるY方向に対しても弾性変形可能となっている。芯線61は、絶縁部62で被覆され、他の芯線61から絶縁されているが、束部63を構成する芯線61の本数が多い場合には芯線ピッチが小さくなり、隣り合う芯線61間の絶縁部62が非常に薄い(絶縁間隔が狭い)状態となるおそれがある。このような場合に、絶縁部62が芯線61の配列方向へ弾性変形すると、変形の程度によっては被覆している絶縁部62を芯線61が突き破り、隣り合う芯線61と接触してショートする可能性がある。したがって、保持部71は、芯線61の配列方向(Y方向)に対する絶縁部62の弾性変形を抑制可能に構成することが好ましい。
【0030】
図6には、このように芯線61の配列方向(Y方向)に対する絶縁部62の弾性変形を抑制可能とする保持部71の構成を示している。
図6(a)は、エスカッション41の構成を回路基板2との接続側から示す平面図、同図(b)は、同図(a)の矢印A6部分における縦断面を矢印方向から示す図である。この場合、保持部71には、芯線61の配列方向(Y方向)に沿って圧接部72(72c)が設けられ、かかる配列方向と直交する方向(X方向)に沿って逃げ部73(73c)が設けられている。保持部71は、導電面64よりも僅かに大きな略矩形の内枠形状をなす枠状に構成されている。圧接部72(72c)は、芯線61の配列方向(Y方向)に対して対向する一対の枠面に設けられており、逃げ部73(73c)は、芯線61の配列方向と直交する方向(X方向)に対して対向する一対の枠面に設けられている。具体的には、芯線61の配列方向(Y方向)に対して対向する一対の枠面の全体が圧接部72(72c)として構成されている。また、かかる配列方向と直交する方向(X方向)に対して対向する一対の枠面の全体を導電性弾性体6の側面66よりもX方向へ凹ませて絶縁部62との間に空隙を形成することで、かかる空隙が逃げ部73として構成されている。これにより、圧接部72に導電性弾性体6を圧入することで、芯線61の配列方向(Y方向)に対する絶縁部62の弾性変形を有効に抑制することができる。また同時に、かかる絶縁部62の弾性変形を逃げ部73が設けられたX方向へ集中させることができる。この結果、絶縁部62が芯線61の配列方向(Y方向)へ弾性変形することにより生じ得る不具合、例えば、隣り合う芯線61同士の接触によるショートを防止することが可能となる。
【0031】
なお、上述した実施形態においては、コネクタハウジング4(エスカッション41)の保持部71に対して逃げ部73(73a,73b,73c)を設けることで、絶縁部62の弾性変形時における変位を逃げ部73へ逃がす構成としている。ここで、導電性弾性体6の絶縁部62に対して保持部71との間に空隙を形成する凹部を設けることによっても、保持部71に対して逃げ部73を設けることによる効果と同様の効果を得ることができる。
【0032】
図7〜
図9には、このように導電性弾性体6に対してかかる凹部(以下、導体逃げ部という。)67を設けた構成を示す。
図7に示す構成においては、X方向に対面する二つの側面66(66a)、換言すれば、絶縁部62(62b,62c)に対し、Y方向に沿って一対の導体逃げ部67(67a)が形成されている。この場合、導体逃げ部67(67a)は、側面66(66a)のZ方向に対する略中間部位に位置し、かかる部位を凹曲に窪ませてY方向へ横断する溝状に形成されている。また、
図8に示す構成においては、X方向に対面する二つの側面66(66a)、換言すれば、絶縁部62(62b,62c)に対し、Z方向に沿って一対の導体逃げ部67(67b)が形成されている。この場合、導体逃げ部67(67b)は、側面66(66a)のY方向に対する略中間部位に位置し、かかる部位を凹曲に窪ませてZ方向へ縦断する溝状に形成されている。なお、導体逃げ部67(67a,67b)は、
図7及び
図8に示すように、X方向に対面する二つの側面66(66a)、換言すれば、絶縁部62(62b,62c)に対して設けることで、芯線61の配列方向(Y方向)と直交する方向に沿って設けることが好ましい。これにより、導電性弾性体6(絶縁部62)の弾性変形を導体逃げ部67(67a,67b)が設けられたX方向へ集中させることができる。この結果、例えば、隣り合う芯線61同士の接触によるショート等の不具合を防止することが可能となる。そして、
図9に示す構成においては、絶縁部62(62a)をZ方向に沿って貫通する一本の導体逃げ部67(67c)が形成されている。この場合、導体逃げ部67(67c)は、Z方向に対面する二つの導電面64の略中心部にそれぞれ開口し、絶縁部62(62a)を楕円状にZ方向へ貫通する貫通孔として形成されている。
【0033】
このように導電性弾性体6に導体逃げ部67(67a,67b,67c)を設けることで、絶縁部62の弾性変形時における変位を導体逃げ部67(67a,67b,67c)へ逃がすことができる。この結果、圧接部72に圧入された導電性弾性体6に対して、回路基板2とコネクタハウジング4の接続方向(Z方向)へ所定の押圧力が負荷された際(
図3(b)に示す状態に相当)、絶縁部62を導体逃げ部67へ積極的に弾性変形させ、導電性弾性体6の全体、つまり保持部分及び非保持部分をより均一に弾性変形させることが可能となる。
【0034】
なお、導体逃げ部67は、保持部71の逃げ部73に代えてもしくは加えて、導電性弾性体6に対して設ければよい。また、
図7〜
図9に示す導体逃げ部67(67a,67b,67c)の構成は一例に過ぎず、絶縁部62の弾性変形時における変位を導体逃げ部67(67a,67b,67c)へ逃がすことが可能であれば、任意の構成とすることができる。例えば、導体逃げ部67(67a,67b)を矩形や三角形の溝状に設けた構成、導体逃げ部67(67c)を円形や矩形の貫通孔として設けた構成などとすることも可能である。また、導体逃げ部67(67a,67b)を一対ではなく複数対をなすように設けた構成、導体逃げ部67(67c)を複数本設けた構成などとすることも可能である。さらに、溝状の導体逃げ部67a,67bと孔状の導体逃げ部67cの双方を設けた構成としても構わない。
【0035】
このように、本実施形態に係る接続構造によれば、回路基板2の回路端子22とコネクタハウジング4のハーネス端子54(ハーネス先端54a,54b)の間に介在される導電性弾性体6(具体的には、保持部分と非保持部分)をより均一に弾性変形させることができる。これにより、回路端子22とハーネス端子54(ハーネス先端54a,54b)との間における接圧の適正化を図ることができる。この結果、例えば、車載カメラ装置の撮像素子と電源装置や車室内の表示装置等の電装品とを安定的に電気接続させることが可能となる。