(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のドアミラー装置では、上述のように、バイザリム及びバイザカバーはフレームに固定されるため、見切隙の寸法は、バイザカバー、バイザリム、及びフレーム等の寸法精度によって決定される。すなわち、見切隙の寸法は、これらの部材の寸法精度に依存する構成となっている。したがって、部材の寸法精度に依らずに、見切隙を安定的に形成できる取付構造にすることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、見切隙を安定的に形成できる車両用アウタミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用アウタミラー装置は、車体に組付けられたベースを覆うベースカバーと、前記ベースに回動可能に組付けられた回動体に一体化されたブラケットと、ミラーが収容されるバイザリムと、前記バイザリムの車両前側に配置されると共に前記バイザリムとによって前記回動体及び前記ブラケットを覆うバイザカバーと、を含んで構成され、前記ベースカバーの上側に離間して配置された底壁を有するバイザと、前記バイザリムと前記バイザカバーとの間に前記ブラケットが介在された状態でこれらを挟み込むように組付けられ、前記バイザを前記ブラケットに対して相対移動可能に仮固定させると共に、弾性変形することで前記ベースカバーと係合されて前記バイザリム及び前記バイザカバーを前記ブラケットに固定させる複数の仮固定部材と、複数の前記仮固定部材にそれぞれ挿入されて前記仮固定部材を弾性変形させる複数の本固定部材と、を備
え、複数の前記仮固定部材の一つは、前記バイザを前記ブラケットに対して上下方向に相対移動可能に仮固定させると共に、その他の前記仮固定部材よりも前記ベースカバーの近くに配置されている。
【0008】
請求項1に記載の車両用アウタミラー装置では、車体にベースが組付けられており、ベースはカバーによって覆われている。また、ベースには、回動体が回動可能に組付けられており、回動体にはブラケットが一体化されている。さらに、回動体及びブラケットは、バイザの一部を構成するバイザカバー及びバイザリムによって覆われており、バイザの底壁が、ベースカバーの上側に離間して配置されている。これにより、バイザの底壁とカバーとの間に、隙間(以下、この隙間を「見切隙」という)が形成される。
【0009】
ここで、バイザリムとバイザカバーとの間にブラケットが介在された状態で、複数の仮固定部材が、これらを挟み込むように組付けられ、バイザがブラケットに対して相対移動可能に仮固定される。また、本固定部材が仮固定部材に挿入されて仮固定部材が弾性変形することで、仮固定部材がバイザカバーと係合されて、バイザリム及びバイザカバーがブラケットに固定される。
【0010】
これにより、バイザが仮固定部材によって仮固定された状態で、バイザをブラケットに対して相対移動させて見切隙を調整できる。そして、見切隙を調整した後に、本固定部材を仮固定部材に挿入させることで、バイザリム及びバイザカバーをブラケットに固定させることができる。
【0012】
また、複数の仮固定部材の一つは、バイザをブラケットに対して上下方向に相対移動可能に仮固定させると共に、その他の仮固定部材よりもベースカバーの近くに配置されている。このため、複数の仮固定部材の内の見切隙に近い仮固定部材の位置で、バイザのベースカバーに対する上下方向の位置を調整できる。これにより、見切隙の寸法精度を高くできる。
【0013】
請求項
2に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項
1に記載の車両用アウタミラー装置において、複数の前記仮固定部材の他の一つは、複数の前記仮固定部材の一つに挿入される前記本固定部材を中心とした回転方向に前記バイザを前記ブラケットに対して相対移動可能に仮固定させる。
【0014】
請求項
2に記載の車両用アウタミラー装置では、複数の仮固定部材の他の一つにおいて、複数の仮固定部材の一つに挿入される本固定部材を中心とした回転方向にバイザがブラケットに対して相対移動可能に仮固定される。このため、バイザをベースカバーに対して回転させつつ見切隙を調整できる。これにより、バイザのベースカバーに対する上下方向の位置を調整しつつ、バイザをベースカバーに対して回転させることで、ベースカバーとバイザの底壁との間の平行度を調整できる。
【0015】
請求項
3に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項1
又は請求項2に記載の車両用アウタミラー装置において、前記仮固定部材は、前記バイザリムに当接可能にされた当接部と、前記当接部から前記バイザカバー側へ延びると共に、前記バイザカバーに係合可能にされた係合部を有する一対の係合片と、一対の前記係合片の間に形成され、前記本固定部材が挿入される挿入部と、を含んで構成され、前記当接部と前記係合部とによって前記バイザを前記ブラケットに対して相対移動可能に仮固定させ、前記本固定部材が前記挿入部に挿入されて前記係合部が前記バイザカバーに係合されることで、前記当接部と前記係合部とによって前記バイザリム及び前記バイザカバーを狭持して前記バイザを前記ブラケットに固定させる。
【0016】
請求項
3に記載の車両用アウタミラー装置では、仮固定部材は当接部を含んで構成されており、当接部はバイザリムに当接可能にされている。また、この当接部から一対の係合片がバイザカバー側へ延びており、係合片には、バイザカバーに係合可能にされた係合部がそれぞれ形成されている。これにより、仮固定部材の当接部と係合部とによって、バイザをブラケットに仮固定させることができる。
【0017】
さらに、一対の係合片の間には挿入部が形成されており、本固定部材が挿入部に挿入されて、係合部がバイザカバーに係合される。これにより、当接部と係合部とによって、バイザリム及びバイザカバーが狭持されて、バイザがブラケットに固定される。すなわち、バイザがブラケットに固定される際には、当接部と係合部との狭持力によって、バイザリム及びバイザカバーがブラケットに固定される。これにより、本固定部材を仮固定部材に挿入させる簡易な構成で、バイザをブラケットに固定させることができる。
【0018】
しかも、仮固定部材は本固定部材と別体に構成されているため、当接部の外形の大きさを任意に設定できる。このため、当接部の外形を大きくして、当接部とバイザリムとの間の当接面積を大きく設定することで、当接部とバイザリムとの間の摩擦力を大きくできる。これにより、ブラケットに対するバイザリム及びバイザカバーの締結力(固定力)を高くできる。
【0019】
請求項
4に記載の車両用アウタミラー装置は、請求項
3に記載の車両用アウタミラー装置において、前記本固定部材が前記仮固定部材を弾性変形させる際に、一対の前記係合片が前記バイザカバーに当接される。
【0020】
請求項
4に記載の車両用アウタミラー装置では、本固定部材が仮固定部材を弾性変形させる際に、一対の係合片がバイザカバーに当接されるため、係合片とバイザカバーとの間で摩擦力が作用する。これにより、ブラケットに対するバイザリム及びバイザカバーの締結力(固定力)を一層高くできる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の車両用アウタミラー装置によれば、見切隙を安定的に形成できる。
【0022】
また、見切隙の寸法精度を高くできる。
【0023】
請求項
2に記載の車両用アウタミラー装置によれば、見切隙の寸法精度を一層高くできる。
【0024】
請求項
3に記載の車両用アウタミラー装置によれば、簡易な構成でバイザをブラケットに固定させることができ、ブラケットに対するバイザリム及びバイザカバーの締結力を高くできる。
【0025】
請求項
4に記載の車両用アウタミラー装置によれば、ブラケットに対するバイザリム及びバイザカバーの締結力(固定力)を一層高くできる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2には、本実施の形態に係る「車両用アウタミラー装置」としての車両用ドアミラー装置10を分解した状態が車両左斜め前方から見た斜視図にて示されている。なお、図面に適宜示される矢印FRは車両前側を示し、矢印RHは車両右側(車両幅方向一側)を示し、矢印UPは上側を示している。
【0028】
この車両用ドアミラー装置10は、図示しない車両のフロントドア(車体)にそれぞれ設置されており、車両の右側に設置された車両用ドアミラー装置10と車両の左側に設置された車両用ドアミラー装置10とは、車両幅方向に左右対称に構成されている。このため、車両の右側に設置された車両用ドアミラー装置10について説明して、車両の左側に設置された車両用ドアミラー装置10についての説明は省略する。
【0029】
この図に示されるように、車両用ドアミラー装置10は、ベース12と、ベースカバー20と、ドアミラー本体30と、を含んで構成されている。
【0030】
ベース12は、金属により製作されると共に、略ブロック状に形成されて、車両のフロントドアの車両右側(車両幅方向外側)に配置されている。ベース12の下部には、複数(本実施の形態では3個)のスタットボルト14が一体的に締結されている。このスタットボルト14の軸線は互いに平行に配置されており、スタットボルト14は、ベース12から車両幅方向内側へ突出されると共に、下側へ若干傾斜して配置されている。そして、スタットボルト14には、ガスケット19及びフロントドアを介して車両幅方向内側からナット(図示省略)が螺合されており、これにより、ベース12がフロントドアに締結(固定)されている。
【0031】
また、ベース12の上部には、後述する電動格納ユニット32のスタンド36を固定するための取付部16が3箇所形成されており、取付部16は、上側へ開放された略有底円筒形状を成している。そして、取付部16の底壁には、貫通孔(図示省略)が形成されており、この貫通孔内にスタンド用ネジ18が挿入されて、スタンド36がベース12に固定されるようになっている。
【0032】
ベースカバー20は、車両左斜め下方へ開放された略有底円筒形状に形成されている。このベースカバー20は、ベース12を上側から覆うと共に、カバー用ネジ22やベースカバー20に形成された係止爪(図示省略)によってベース12に固定されている。ベースカバー20の上部には、略円環板状の上壁24が形成されており、上壁24は、板厚方向を上下方向にしてベース12の上側に配置されている。また、上壁24には、後述する電動格納ユニット32のスタンド36を収容するためのスタンド収容部26が形成されており、スタンド収容部26は、上側へ開放された凹状を成している。そして、スタンド収容部26の底壁には、略円形状の露出孔28が形成されており、ベース12の上部が露出孔28から露出されている。
【0033】
ドアミラー本体30は、「回動体」としての電動格納ユニット32と、バイザ44と、連結機構70と、を含んで構成されている。
【0034】
電動格納ユニット32は、略箱状に形成されたケース34を備えており、ケース34の内側にスタンド36が配設されている。このスタンド36は、ケース34から下側へ突出されて、ベースカバー20のスタンド収容部26内に収容されると共に、ベース12の取付部16にスタンド用ネジ18によって締結されている。そして、スタンド36には、略円筒形状の支持軸(図示省略)が一体に形成されており、支持軸は、スタンド36から上側へ突出されると共に、ケース34内に配置されて、ケース34を回動可能に支持している。これにより、電動格納ユニット32がスタンド36を介してベース12に回動可能に組付けられている。
【0035】
さらに、ケース34内には、モータ(図示省略)及びギヤ(図示省略)が収容されており、ケース34はギアを介してモータに連結されている。これにより、モータに電流が供給されると、スタンド36の支持軸回りにケース34が回動されるように構成されている。そして、使用時には、ドアミラー本体30がベース12から車両幅方向外側に突出されるように配置されて、後述するミラー40の鏡面が車両後側へ向くようになっている。
【0036】
また、ケース34には、角度調節ユニット38が組付けられており、角度調節ユニット38には、ミラー40が角度調節可能に固定されている。さらに、ケース34の車両前方には、ブラケット42が一体的に設けられており、ブラケット42はケース34に固定されている。ブラケット42は、車両後方から見て略H字形板状に形成されて、板厚方向を車両前後方向にして配置されている。なお、ブラケット42は、ケース34と一体に形成されてもよい。
【0037】
バイザ44は、電動格納ユニット32及び角度調節ユニット38を覆うように、これら部材の外側に配置されている。このバイザ44は、バイザ44の車両後側部分を構成するバイザリム46と、バイザ44の車両前側部分を構成するバイザカバー58と、を含んで構成されており、バイザカバー58がバイザリム46に組付けられることで、バイザ44が構成されている。そして、このバイザリム46は、後述する連結機構70によってブラケット42に連結されている。
【0038】
バイザリム46は、リム本体部48と、「底壁」としてのリム底壁部54と、を有している。リム本体部48は、車両後側へ開放された凹状に形成されている。そして、リム本体部48の内側部分がミラー収容部50とされており、ミラー収容部50内にミラー40が収容されている。また、ミラー収容部50には配置孔52が車両前後方向に貫通形成されており、配置孔52内に角度調節ユニット38が配置されている。
【0039】
リム底壁部54は、リム本体部48に一体に形成されると共に、リム本体部48の車両幅方向内側部分における下部に配置されている。このリム底壁部54は、板厚方向を上下方向にしてリム本体部48から車両前方へ突出されている。また、リム底壁部54の先端部(車両前側の端部)には、リム側挿通溝56が形成されており、リム側挿通溝56は、上方から見て車両前側へ開放された略半円形状に形成されている。そして、リム側挿通溝56内にスタンド36が配置されており、リム底壁部54はベースカバー20の上壁24の上側で上壁24と平行に配置されている。
【0040】
バイザカバー58は、車両後側へ開放された略椀状に形成されており、バイザカバー58の開口部がバイザリム46の縁部に嵌合されて組付けられている。このバイザカバー58の下部には、「底壁」としてのカバー底壁部60が一体に形成されており、カバー底壁部60の車両幅方向内側部分には、カバー側挿通溝62が形成されている。カバー側挿通溝62は、上方から見て車両後側へ開放された略半円形状に形成されて、リム側挿通溝56の車両前側に配置されている。そして、カバー側挿通溝62とリム側挿通溝56とによって孔が形成されており、この孔内にスタンド36が配置されている。さらに、カバー底壁部60及びリム底壁部54がベースカバー20の上壁24の上方で上壁24と平行になるように配置されており、カバー底壁部60及びリム底壁部54と上壁24との間に、隙間(以下、この隙間を「見切隙」という)Gが形成されている(
図1参照)。
【0041】
次に本発明の要部である連結機構70について説明する。
図1に示されるように、連結機構70は、複数(本実施の形態では2つ)の位置調整機構72,74と、複数(本実施の形態では2つ)の締結機構76,78と、を含んで構成されている。
【0042】
位置調整機構72,74は、それぞれドアミラー本体30の車両幅方向内側部における上部及び下部に設けられており、ドアミラー本体30の下部に配置された位置調整機構72とドアミラー本体30の上部に配置された位置調整機構74とは、車両後方から見た配置方向を除いて同一に構成されている。このため、ドアミラー本体30の下部に配置された位置調整機構72における構成について説明して、その後にドアミラー本体30の上部に配置された位置調整機構74の配置方向について説明する。
【0043】
図3に示されるように、位置調整機構72は、調整孔80と、台座部82と、結合部86と、「仮固定部材」としてのクリップ90と、「本固定部材」としての調整ネジ102と、を含んで構成されている。
【0044】
調整孔80は、ブラケット42の車両内側部分における下部に貫通形成されている。また、調整孔80は、矩形状を成すと共に、車両後方から見て長手方向を上下方向にして配置されている。
【0045】
台座部82は、バイザリム46のリム本体部48に一体に形成されると共に、ブラケット42の車両後側で調整孔80に対向して配置されている。この台座部82は、車両前方へ突出された凹状に形成されており、台座部82の底壁がブラケット42に当接されている。また、台座部82は、車両後方から見て略矩形状に形成されると共に、長手方向を上下方向にして配置されている。
【0046】
台座部82の底壁には、略矩形状の調整用挿通孔84が形成されており、調整用挿通孔84の大きさは調整孔80の大きさに比べて僅かに小さく設定されている。そして、調整用挿通孔84は、長手方向を上下方向にして配置されて、車両後方から見て調整孔80内に配置されている。
【0047】
結合部86は、バイザカバー58に一体に形成されると共に、ブラケット42の車両前方で調整孔80と対向して配置されている。この結合部86は、車両後方から見て下方へ開放された断面略U字形を成した柱状に形成されて、バイザカバー58から車両後方へ突出されている。そして、結合部86の先端部(車両後側の端部)がブラケット42に当接されている。これにより、結合部86と台座部82との間にブラケット42が配置(介在)されている。さらに、結合部86の側壁には、被係合溝88がそれぞれ形成されており、被係合溝88は、下方へ開放されている。
【0048】
クリップ90は、全体として断面略U字形状を成した柱状に形成されると共に、当接部92とクリップ本体94とを含んで構成されている。
【0049】
当接部92は、車両後方から見て略U字形板状に形成されて、台座部82内に収容されている。この当接部92の外形の大きさは、台座部82の内形に比べて僅かに小さく設定されると共に、後述する調整ネジ102の頭部102Aの外径に比べて大きく設定されている。
【0050】
クリップ本体94は、断面略U字形を成した柱状に形成されて、当接部92の内周部における縁部から車両前方へ突出されている。そして、クリップ本体94は、バイザリム46の調整用挿通孔84内、ブラケット42の調整孔80内、及びバイザカバー58の結合部86内にそれぞれ挿入されている(
図4及び
図5参照)。
【0051】
さらに、クリップ本体94における内側部分には、挿入部96が形成されており、挿入部96の断面形状は、開放された略円形状に形成されている。この挿入部96内には、タッピングネジとして構成された調整ネジ102が螺合されるようになっている。なお、挿入部96の内径に比して、調整ネジ102の外径が大きく設定されている。
【0052】
また、クリップ本体94における互いに対向した側壁は係合片98とされており、係合片98の先端部(車両前側の端部)には、「係合部」としてのフック部100がそれぞれ一体に形成されている。このフック部100は、断面略三角形状に形成されると共に、係合片98から互いに離間する方向(
図4及び
図5の矢印D方向)へ突出されて、結合部86の被係合溝88内に配置されている(
図4及び
図5参照)。また、フック部100における当接部92側の面が係合面100Aとされており、係合面100Aは係合片98から互いに離間する方向(
図4の矢印D方向)へ向かうに従い当接部92側へ傾斜して配置されている。
【0053】
ここで、
図4に示されるように、クリップ90が調整用挿通孔84、調整孔80、及び結合部86内に挿入されて、調整ネジ102におけるネジ部102Bの一部がクリップ90の挿入部96内に螺合された状態(以下、この状態を「仮固定状態」という)では、当接部92とフック部100(係合面100A)とによって、台座部82及び結合部86が挟みこまれた状態にされている。ただし、この仮固定状態では、当接部92とフック部100(係合面100A)とによる狭持力が、台座部82及び結合部86に発生していない。すなわち、バイザ44がブラケット42に対して調整孔80の長手方向(上下方向)に相対移動可能に仮固定されている。なお、仮固定状態では、バイザ44がブラケット42に対して相対移動できるように、係合面100Aが調整孔80の内周面に当接されていてもよい。
【0054】
一方、
図5に示されるように、調整ネジ102におけるネジ部102Bの全体がクリップ90の挿入部96内に螺合された状態(以下、この状態を「固定状態」という)では、係合片98が、調整ネジ102に押圧されて、互いに離間する方向へ弾性変形する。そして、フック部100の係合面100Aが被係合溝88の内周面に当接(係合)されるようになっている。つまり、固定状態では、当接部92と係合面100Aとによる狭持力が台座部82及び結合部86に発生して、バイザ44がブラケット42に対して相対移動不能に固定されるようになっている。さらに、この固定状態では、係合片98におけるフック部100との境界部分が結合部86と当接されるようになっている(
図5に示される矢印E参照)。
【0055】
次にドアミラー本体30の上部に配置された位置調整機構74について説明する。この位置調整機構74は、前述したようにドアミラー本体30の下部に配置された位置調整機構72と同様に構成されているが、配置方向において位置調整機構72と異なっている。
【0056】
すなわち、
図2に示されるように、位置調整機構74におけるブラケット42の調整孔80は、長手方向を車両幅方向外側へ向かうに従い上側へ傾斜する方向にして配置されている。また、車両後方から見て、位置調整機構74の調整孔80の傾斜方向が、位置調整機構72の調整ネジ102の軸心を中心とした円の接線方向と一致するように設定されている。これにより、仮固定状態では、位置調整機構72の調整ネジ102を中心とした回転方向(
図1の矢印B方向及び矢印C方向)にもバイザ44がブラケット42に対して相対移動可能に構成されている。
【0057】
図1に示されるように、締結機構76,78は、それぞれドアミラー本体30の車両幅方向外側部における上部及び下部に設けられており、各々の締結機構76,78は同一に構成されている。このため、
図6に示される締結機構76を用いて、締結機構76,78の構成について説明する。締結機構76は、被締結孔104と、締結用挿通孔106と、締結用ボス108と、締結ネジ110とを含んで構成されている。
【0058】
被締結孔104は、ブラケット42の車両幅方向外側部分における下部に形成されている。この被締結孔104は円形状に形成されており、被締結孔104の大きさは、後述するように、見切隙Gを調整する際にバイザ44のブラケット42に対する相対移動を許容する大きさに設定されている。
【0059】
締結用挿通孔106は、バイザリム46に形成されている。この締結用挿通孔106は、円形状に形成されて、車両後方から見て被締結孔104内に配置されている。
【0060】
締結用ボス108は、バイザカバー58に一体に形成されて、ブラケット42の車両前方に配置されている。この締結用ボス108は、略円筒状に形成されると共に、バイザカバー58から車両後側へ突出されて、バイザリム46の締結用挿通孔106と同軸上に配置されている。この締結用ボス108の先端部(車両後側の端部)はブラケット42に当接されており、締結ネジ110のネジ部110Bが、締結用挿通孔106及び被締結孔104内に挿入されて、締結用ボス108に螺合されている。これにより、締結ネジ110の頭部110Aがバイザリム46に当接されて、締結ネジ110によってバイザリム46及びブラケット42がバイザカバー58に締結(固定)されている。すなわち、締結ネジ110によって、バイザリム46及びバイザカバー58がブラケット42に固定されるようになっている。
【0061】
次に、バイザリム46及びバイザカバー58をブラケット42に組付ける手順を説明しつつ本実施の形態の作用及び効果を説明する。
【0062】
上記のように構成された車両用ドアミラー装置10では、電動格納ユニット32にブラケット42が一体的に設けられている。そして、ブラケット42に対して車両前側にバイザリム46を配置させると共に、ブラケット42に対して車両後側にバイザカバー58を配置させて、バイザカバー58がバイザリム46に嵌合される。
【0063】
そして、クリップ90のクリップ本体94をバイザリム46における台座部82の調整用挿通孔84、ブラケット42の調整孔80、及びバイザカバー58の結合部86内に挿入させると共に、クリップ90の当接部92を台座部82内に収容させる。これにより、クリップ90(当接部92及びフック部100)が、バイザリム46及びバイザカバー58を挟み込むように組付けられる。そして、調整ネジ102におけるネジ部102Bの一部をクリップ90の挿入部96内に挿入(螺合)させる。これにより、ブラケット42に対してバイザ44が仮固定状態にされる(
図4参照)。
【0064】
また、締結ネジ110を、バイザカバー58の締結用挿通孔106及びブラケット42の被締結孔104内に挿入させると共に、締結ネジ110におけるネジ部110Bの一部をバイザカバー58の締結用ボス108に螺合させる。この状態では、締結ネジ110におけるネジ部110Bの全体が締結用ボス108に螺合されていないため、バイザ44がブラケット42に対して相対移動可能な状態にされる。
【0065】
この状態で、ドアミラー本体30の下部に配置された位置調整機構72において、バイザ44をブラケット42に対して上下方向(
図1の矢印A方向参照)に相対移動させて、見切隙Gの寸法を調整する。
【0066】
また、この際には、ドアミラー本体30の上部に配置された位置調整機構74において、位置調整機構72の調整ネジ102を中心にしてバイザ44をブラケット42に対して相対回転させて(
図1の矢印B方向及び矢印C方向参照)、バイザ44のリム底壁部54及びカバー底壁部60と、ブラケット42の上壁24と、を平行に調整する。
【0067】
そして、見切隙Gの寸法が設定寸法にされる位置において、ドアミラー本体30の下部に配置された位置調整機構72及びドアミラー本体30の上部に配置された位置調整機構74の調整ネジ102をクリップ90に締め付ける。これにより、クリップ90の一対の係合片98が互いに離間する方向へ弾性変形して、クリップ90のフック部100における係合面100Aが、バイザカバー58の被係合溝88の内周面に係合される。したがって、クリップ90のフック部100と当接部92とによって、バイザリム46の台座部82とバイザカバー58の結合部86とが狭持されて、バイザ44が固定状態にされる。
【0068】
この状態で、バイザカバー58の締結用ボス108に締結ネジ110を締め付けることで、締結ネジ110よってバイザリム46及びブラケット42がバイザカバー58に締結(固定)され、2箇所の締結機構76,78によってバイザ44がブラケット42に固定される。
【0069】
ここで、上述したように、バイザリム46とバイザカバー58との間にブラケット42が介在された状態で、一対のクリップ90がこれらを挟み込むように組付けられ、バイザ44がブラケット42に対して相対移動可能に仮固定される。また、調整ネジ102におけるネジ部102Bの全体がクリップ90に挿入される(螺合される)と、クリップ90の係合片98が弾性変形して、クリップ90のフック部100がバイザカバー58の結合部86に係合される。これにより、バイザリム46及びバイザカバー58がブラケット42に固定される。
【0070】
以上により、クリップ90によってバイザ44をブラケット42に仮固定させた状態で、バイザ44をブラケット42に対して相対移動させて見切隙Gを調整できる。そして、見切隙Gを調整した後に、調整ネジ102をクリップ90に組付けることで、バイザリム46及びバイザカバー58をブラケット42に固定させることができる。したがって、見切隙Gを安定的に形成できる。
【0071】
また、位置調整機構72のクリップ90が、バイザ44をブラケット42に対して上下方向に相対移動可能に仮固定させると共に、位置調整機構74のクリップ90よりもベースカバー20の近くに配置されている。このため、見切隙Gに近い位置調整機構72で、ベースカバー20に対するバイザ44の上下方向の位置を調整できる。これにより、見切隙Gの寸法精度を高くできる。
【0072】
さらに、位置調整機構74において、位置調整機構72の調整ネジ102を中心とした回転方向にバイザ44がブラケット42に対して相対移動可能に仮固定されている。このため、バイザ44のリム底壁部54及びカバー底壁部60と、ブラケット42の上壁24と、の間の平行度を調整できる。したがって、見切隙Gの寸法精度を一層高くできる。
【0073】
また、クリップ90には挿入部96が形成されており、調整ネジ102が挿入部96に挿入(螺合)されて、フック部100がバイザカバー58の被係合溝88に係合される。これにより、調整ネジ102をクリップ90に挿入させる簡易な構成で、バイザ44をブラケット42に固定させることができる。
【0074】
しかも、クリップ90は調整ネジ102とは別体で構成されているため、クリップ90における当接部92の外形の大きさを任意設定できる。また、当接部92の外形が調整ネジ102の頭部102Aの外径より大きく設定されている。これにより、仮にクリップ90を省略すると共に調整ネジ102によってバイザリム46をバイザカバー58に締結させる場合に比べて、ブラケット42に対するバイザリム46及びバイザカバー58の締結力(固定力)を高くできる。すなわち、一般にネジによって締結部材を被締結部材に締結させる際には、ネジの頭部と締結部材との間の接触(当接)面積を大きくするほど、頭部と締結部材との摩擦力が大きくなり、締結力(固定力)が高くなる。そして、本実施の形態では、上記のように当接部92と台座部82との間の接触(当接)面積を大きくできるため、ブラケット42に対するバイザリム46及びバイザカバー58の締結力(固定力)を高くできる。
【0075】
さらに、調整ネジ102がクリップ90を弾性変形させる際には、一対の係合片98におけるフック部100との境界部分がバイザカバー58の結合部86と当接される。このため、係合片98と結合部86との間にも摩擦力が発生して、ブラケット42に対するバイザリム46及びバイザカバー58の締結力(固定力)を一層高くできる。
【0076】
なお、本実施の形態では、位置調整機構74が、ドアミラー本体30の車両幅方向内側部分における上部に配置されている。これに替えて、位置調整機構74の位置と締結機構76の位置とを入れ替えてもよい。この場合には、位置調整機構74において、バイザ44をブラケット42に対して上下方向に相対移動可能にするように構成してもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、調整ネジ102はタッピングネジで構成されているが、調整ネジ102の構成はこれに限らない。例えば、調整ネジ102を棒状のピンで構成してもよい。すなわち、クリップ90の挿入部96にピンが挿入された際に、係合片98を弾性変形させる形状にピンが構成されていればよい。
【0078】
さらに、本実施の形態では、調整ネジ102がクリップ90を弾性変形させる際に、係合片98のフック部100との境界部分がバイザカバー58の結合部86に当接されている。これに替えて、調整ネジ102がクリップ90を弾性変形させる際に、係合片98のフック部100との境界部分がバイザカバー58の結合部86に当接しないように構成してもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、バイザリム46のリム底壁部54及びバイザカバー58のカバー底壁部60と、ベースカバー20と、によって見切隙Gが構成されている。これに替えて、バイザリム46のリム底壁部54を車両前側に延ばして、リム底壁部54とベースカバー20とによって見切隙Gを構成してもよい。
【0080】
さらに、本実施の形態では、連結機構70が、2つの位置調整機構72,74と、2つの締結機構76,78と、を含んで構成されているが、連結機構70を、3つ以上の位置調整機構72,74と、3つ以上の締結機構76,78と、を含んで構成してもよい。