特許第5959358号(P5959358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5959358電力供給回路、電力供給回路を備える車両及び電力供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959358
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】電力供給回路、電力供給回路を備える車両及び電力供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20160719BHJP
   B60L 1/14 20060101ALI20160719BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H02J1/00 304E
   B60L1/14
   H05B37/02 J
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-163979(P2012-163979)
(22)【出願日】2012年7月24日
(65)【公開番号】特開2014-27716(P2014-27716A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】594002439
【氏名又は名称】小田急電鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 武久
(72)【発明者】
【氏名】西家 充彦
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−325874(JP,A)
【文献】 特開2002−299068(JP,A)
【文献】 特開2006−288182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
B60L 1/14
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子、
前記第1入力端子との間で交流電力が供給される第2入力端子、
前記第1入力端子と前記第2入力端子との間で入力される交流電力を直流電力に変換する整流回路、
前記整流回路に接続される直流負荷、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される制御端子、および、
前記第2入力端子と前記制御端子との間で交流電力が供給されるときに、前記整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第1電力値とし、前記第2入力端子と前記制御端子との間で交流電力が供給されないときに、前記整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第2電力値とする制御回路を有する、少なくとも3個の負荷電力制御装置と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第1入力端子を接地する第1配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記制御端子に接続される制御配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2入力端子を中性点が接地されたスター結線のU相、V相、またはW相の3相交流電力端子に接続する第2配線と、
複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線を共通に接地または開放するスイッチと、を備える電力供給回路。
【請求項2】
第1入力端子、
前記第1入力端子との間で交流電力が供給される第2入力端子、
前記第1入力端子と前記第2入力端子との間で入力される交流電力を直流電力に変換する整流回路、
前記整流回路に接続される直流負荷、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される制御端子、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される第2の制御端子、および、
前記第2入力端子と前記制御端子との間で供給される交流電力の有無と、前記第2入力端子と前記第2の制御端子との間で供給される交流電力の有無との組み合わせに応じて、前記整流回路から前記直流負荷に異なる直流電力を供給する制御回路を有する、少なくとも3個の負荷電力制御装置と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第1入力端子を接地する第1配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記制御端子に接続される制御配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2の制御端子に接続される第2制御配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2入力端子を中性点が接地されたスター結線のU相、V相、またはW相の3相交流電力端子に接続する第2配線と、
複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線を共通に接地または開放するスイッチと、
複数の負荷電力制御装置の第2の制御端子に接続される第2制御配線を共通に接地または開放するスイッチと、を備える電力供給回路。
【請求項3】
少なくとも3個の負荷電力制御装置と、前記少なくとも3個の負荷電力制御装置に電力を供給する電力供給回路を備える車両であって、
前記負荷電力制御装置は、
第1入力端子、
前記第1入力端子との間で交流電力が供給される第2入力端子、
前記第1入力端子と前記第2入力端子との間で入力される交流電力を直流電力に変換する整流回路、
前記整流回路に接続される直流負荷、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される制御端子、および、
前記第2入力端子と前記制御端子との間で交流電力が供給されるときに、前記整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第1電力値とし、前記第2入力端子と前記制御端子との間で交流電力が供給されないときに、前記整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第2電力値とする制御回路を有し、
前記電力供給回路は、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第1入力端子を接地する第1配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記制御端子に接続される制御配線と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2入力端子を中性点が接地されたスター結線のU相、V相、またはW相の3相交流電力端子に接続する第2配線と、
複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線を共通に接地または開放するスイッチとを有する、電力供給回路を備える車両。
【請求項4】
前記複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線は、他の車両の、前記電力供給回路の複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線を共通に接地または開放するスイッチに接続する、請求項3に記載の電力供給回路を備える車両。
【請求項5】
少なくとも3個の負荷電力制御装置が、
第1入力端子、
前記第1入力端子との間で交流電力が供給される第2入力端子、
前記第1入力端子と前記第2入力端子との間で入力される交流電力を直流電力に変換する整流回路、
前記整流回路に接続される直流負荷、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される制御端子、および、
前記第2入力端子と前記制御端子との間で交流電力が供給されるときに、前記整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第1電力値とし、前記第2入力端子と前記制御端子との間で交流電力が供給されないときに、前記整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第2電力値とする制御回路を有し、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第1入力端子を接地する配線手順と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記制御端子に接続される配線手順と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2入力端子を中性点が接地されたスター結線のU相、V相、またはW相の3相交流電力端子に接続する配線手順と、
複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される配線を共通に接地または開放する手順と、を備える電力供給方法。
【請求項6】
少なくとも3個の負荷電力制御装置が、
第1入力端子、
前記第1入力端子との間で交流電力が供給される第2入力端子、
前記第1入力端子と前記第2入力端子との間で入力される交流電力を直流電力に変換する整流回路、
前記整流回路に接続される直流負荷、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される制御端子、
前記第2入力端子との間で交流電力が入力される第2の制御端子、および、
前記第2入力端子と前記制御端子との間で供給される交流電力の有無と、前記第2入力端子と前記第2の制御端子との間で供給される交流電力の有無との組み合わせに応じて、前記整流回路から前記直流負荷に異なる直流電力を供給する制御回路を有し、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第1入力端子を接地する配線手順と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記制御端子に接続される配線手順と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2の制御端子に接続される配線手順と、
前記少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの前記第2入力端子を中性点が接地されたスター結線のU相、V相、またはW相の3相交流電力端子に接続する配線手順と、
複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される配線を共通に接地または開放する手順と、
複数の負荷電力制御装置の第2の制御端子に接続される配線を共通に接地または開放する手順と、を備える電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給回路、電力供給回路を備える車両及び電力供給方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、節電への意識の高まりから、オフィスや工場等の商業施設や図書館等の公共施設の白熱灯や蛍光灯といった照明機器への消費電力コストの見直しが行われており、この一環として例えば、既設照明機器のLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を使用したLED照明機器への置き換えが行われている。LED照明機器は、既設照明機器に比べて発光効率が高く、熱損失として失われる電力が少ないため、長期的には消費電力コストの低下が期待できる。また、既設照明機器のLED照明機器への置き換えでは、LED照明機器に調光機能を持たせることにより、さらなる消費電力の抑制やLEDの長寿命化によるトータル的なコスト抑制が期待できる。
【0003】
このような既設照明機器のLED照明機器による置き換えは、地上に設置された施設のみならず、例えば、鉄道車両の室内照明といった移動設備にも適用が可能であり、消費電力を含む長期的なランニングコストの低下が期待できる。
【0004】
架線による給電が可能な鉄道車両では、パンタグラフといった集電器を介して架線に供給される高電圧(例えば、1.5kVの直流電力)を受電し、所定の電力変換を行い、車両駆動用の電力や室内照明等の電力を生成している。例えば、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数制御)といったDC/ACインバータによ
り交流電力への電力変換を行い、車両駆動用モータに電力を供給している。また、SIV(Static InVerter:静止形インバータ)といった固定電圧・固定周波数の交流電力を出
力するDC/ACインバータにより電力変換を行い、室内照明や冷暖房機器等に電力を供給する。SIVで生成された交流電圧は、変圧器等を介して440V、200V、100Vといった電圧に調整され、室内照明や冷暖房機器、車両制御装置等に供給される。
【0005】
上記では、高電圧の例として、1.5kVの直流電力について説明した。ただし、鉄道車両では、「AC20kV」や「AC22kV」等の交流電力が用いられる場合もある。なお、以下ではSIVで変圧された200V等の電源を200V系の電源と称する。
【0006】
車両の室内照明は、SIVで生成された200V系の3相交流を主な照明電源として使用する。室内照明の電源配線は、複数車両で編成された状態では、引き通し線として各車両を跨ぎ、各車両の照明機器に接続される。また、車両の室内照明には、停電等の非常時用として蓄電池等から供給される直流(例えば、24VDC、100VDC等)電源を使用する照明機器が車両毎に存在し、これら直流電源の配線も3相交流電源と同様に、引き通し線として複数車両を跨ぎ、車両毎の非常時用の照明機器に接続される。
【0007】
なお、本明細書で説明する技術に関連する技術が記載されている文献としては、以下の特許文献1が存在している。本明細書で説明する技術は、3相交流電源から直流負荷に給電する場合にも、同様の構成が想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−77009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
LED照明機器に使用される発光ダイオードは、順方向(陽極が正電位、陰極が負電位)に電圧を印加した際に発光する半導体素子であり、オフィスや工場等の施設では商業用の交流電源からAC/DC変換を行うことでLED照明機器用の直流電力を確保している。既設照明機器のLED照明機器への置き換えでは、例えば、AC/DC変換時の入力交流周波数を可変することでLED照明機器へ供給される単位時間当たりの電圧/電流値を制御し、LED照明の明るさを調節している。
【0010】
このような、商業用の3相交流電源から直流負荷に電力を供給する構成は、LED照明に限らず、各種の直流負荷に対して同様の構成が想定される。
【0011】
例えば、鉄道車両には、既に述べたように、架線に供給される高電圧の受電回路や、主に車両駆動用モータへ電力を供給するVVVFや、室内照明や冷暖房機器等のサービス機器へ電力を供給するSIV等が搭載されている。AC/DC変換時の入力交流周波数を可変する方式での調光機能では、上述した各搭載機器から生じる放射ノイズの影響を受けやすいため、安定した室内照明が提供できない虞があり、鉄道車両の室内照明には適さない。
【0012】
鉄道車両に適用されるLED照明機器(図1では、LED照明装置31)への調光制御の形態として、図1に示す電力供給回路30が考えられる。図1のLED照明装置31は、例えば、調光信号入力により、灯具(LED素子)への電圧/電流値を制御することでLED照明の明るさを調節する。調光信号は、例えば、制御スイッチ32のオン(クローズ)/オフ(オープン)で調光/通常状態を指定できればよい。このような制御形態であれば、各搭載機器から生じる放射ノイズの影響を抑圧することが可能となる。
【0013】
図1の電力供給回路30では、電源33からLED照明装置31に接続される電力供給線(例えば、U/V/Wの電力線)L1を分岐し、分岐した経路上に調光制御のための制御スイッチ32等を介在させている。制御スイッチ32は、例えば、運転車両の運転台等に設けられ、運転士等による、該スイッチのオン/オフ操作により、調光/通常状態を指定する2値のステータス信号を生成し、LED照明装置31に入力できる。
【0014】
しかしながら、電力供給線(U,V,W相)に制御スイッチ等を介在させる制御形態では、調光のための制御スイッチを各相に設けなければならず、複数車両で編成する場合には、各車両を跨ぐ引き通し線を増設する必要が生ずる。車両編成の観点では、車両間を跨ぐ引き通し線の配線数を、極力、減らすことが望ましい。
【0015】
また、調光のための制御スイッチは、運転車両の運転台に配置されることとなるが、配置スペースは限られているため、極力、制御スイッチの個数を減らすことが望ましい。
【0016】
開示の技術の課題は、3相交流から直流負荷に電力供給し、2値のステータス信号に基づいて直流負荷を制御する場合に、制御に係る部品数の増加を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
開示の技術の一側面は、次の電力供給回路の構成によって例示される。すなわち、電力供給回路は、第1入力端子、第1入力端子との間で交流電力が供給される第2入力端子、第1入力端子と第2入力端子との間で入力される交流電力を直流電力に変換する整流回路、整流回路に接続される直流負荷、第2入力端子との間で交流電力が入力される制御端子、および、第2入力端子と制御端子との間で交流電力が供給されるときに、整流回路から
直流負荷に供給される直流電力を第1電力値とし、第2入力端子と制御端子との間で交流電力が供給されないときに、整流回路から直流負荷に供給される直流電力を第2電力値とする制御回路を有する、少なくとも3個の負荷電力制御装置を備える。さらに電力供給回路は、少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの第1入力端子を接地する第1配線と、少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの制御端子に接続される制御配線と、少なくとも3個の負荷電力制御装置のそれぞれの第2入力端子を中性点が接地されたスター結線のU相、V相、またはW相の3相交流電力端子に接続する第2配線と、複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線を共通に接地または開放するスイッチと、を備える。
【0018】
このような構成によれば、複数の負荷電力制御装置の制御端子に接続される制御配線を共通に接地または開放するスイッチにより設定される、オン/オフ状態の2値のステータス信号に基づいて、複数の負荷電力制御装置の制御を行うことができる。その結果、制御に係る部品数の増加を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本電力供給回路によれば、3相交流から直流負荷に電力供給し、2値のステータス信号に基づいて直流負荷を制御する場合に、制御に係る部品数の増加を抑制する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】2値のステータス信号による調光制御を説明する図である。
図2】比較例の、2値のステータス信号による3相交流使用時の電力供給回路の概略構成図を例示する図である。
図3】2値のステータス状態に従って調光制御が可能なLED照明装置の概略構成図を例示する図である。
図4】比較例の複数車両で編成された場合の電力供給回路の運用形態を説明する図である。
図5】比較例の複数車両で編成された場合の電力供給回路の運用形態を説明する図である。
図6】本実施形態の電力供給回路を説明する図である。
図7】本実施形態の2値のステータス信号による3相交流使用時の電力供給回路の概略構成図を例示する図である。
図8】本実施形態の複数車両で編成された場合の電力供給回路の運用形態を説明する図である。
図9】本実施形態の複数車両で編成された場合の電力供給回路の運用形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、一実施形態に係る電力供給回路について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、電力供給回路は実施形態の構成には限定されない。
【0022】
以下、図2から図9の図面に基づいて、電力供給回路を説明する。まず、本実施形態の電力供給回路を説明するまえに、比較例となる電力供給回路を図2から図5の図面に基づいて説明する。なお、以下に例示の電力供給回路では、直流負荷を灯具(複数のLED素子)とし、直流負荷制御装置をLED照明装置として説明する。
【0023】
<比較例>
図2は、比較例の、2値のステータス信号による3相交流使用時の電力供給回路の概略構成図である。比較例の電力供給回路10は、制御スイッチ12a、12b、12cのオ
ン/オフ操作によって設定される2値のステータス状態を調光信号とし、灯具(複数のLED素子)への電圧/電流値を制御することでLED照明の明るさを調節する。図2の比較例では、電源13から各LED照明装置に接続される各電力供給線を分岐させ、分岐させた経路上に直列に制御スイッチを介在させた制御系統を3系統に備えている。
【0024】
〔装置構成〕
図2の電源13は、例えば、室内照明や冷暖房機器等のサービス機器へ電力を供給するSIV(Static InVerter:静止形インバータ)等で構成される。電源13は、図示しな
い、パンタグラフといった集電器を介して架線に供給される高電圧(例えば、1.5kV)の直流電力を受電し、所定の固定電圧、固定周波数(50/60Hz)の3相交流電力を出力する。電源13は、例えば、スター結線により、直流/交流変換された3相交流電力を出力する。電源13で直流/交流変換された3相交流の内、U相電力は電力供給線L1に出力され、V相電力は電力供給線L2に出力され、W相電力は電力供給線L3に出力される。電源13の二次側中性点は、電源13が搭載される車両の接地点G0に接地される。なお、電源13から出力される3相交流電力は、例えば、線間電圧;440V,各相電力供給線で供給される電圧と接地との間では254Vの交流電力である。但し、これらは電源13出力の交流電力の一例であり、説明例の電源出力には限定されない。また、以下では、電源13の出力を各相(U、V、W)の200VAC電力として説明する。
【0025】
電力供給線L1に出力されたU相200VAC電力は分岐され、1系統は制御スイッチ12aの一端に入力し、他系統はLED照明装置11aの端子T2に入力する。電力供給線L2に出力されたV相200VAC電力は分岐され、1系統は制御スイッチ12bの一端に入力し、他系統はLED照明装置11bの端子T2に入力する。電力供給線L3に出力されたW相200VAC電力は分岐され、1系統は制御スイッチ12cの一端に入力し、他系統はLED照明装置11cの端子T2に入力する。
【0026】
制御スイッチ12a、12b、12cは、例えば、トランジスタ、リレー等で構成される接点スイッチであり、運転車両の運転台等に設置される。制御スイッチ12a、12b、12cは、少なくともスイッチのオン/オフ操作に応じて2値のステータス状態を生成できればよい。図例では、オフ時にノーマル・オープン状態、オン時にメイク・クローズ状態を生成する。
【0027】
オン時にクローズ状態となった制御スイッチ12aは導通し、電力供給線L1から分岐されたU相200VAC電力を調光信号としてLED照明装置11aの端子T1に出力する。オン時にクローズ状態となった制御スイッチ12b、12cも同様に、各制御スイッチに接続された各相の200VAC電力を調光信号として、各制御スイッチに接続されたそれぞれのLED照明装置の端子T1に出力する。
【0028】
LED照明装置11a、11b、11cは、各車両に設置されたLED照明装置である。各LED照明装置の端子T3には、各車両に設けられた接地点G1に他端を接続した共通接地線L4が接続される。
【0029】
LED照明装置11aは、電力供給線L1と共通接地線L4とを介して端子T2/T3の間に供給されるU相200VACを受電する。LED照明装置11bは、電力供給線L2と共通接地線L4とを介して端子T2/T3の間に供給されるV相200VACを受電する。LED照明装置11cは、電力供給線L3と共通接地線L4とを介して端子T2/T3の間に供給されるW相200VACを受電する。各LED照明装置は、受電した相毎の200VAC電力に基づいて灯具(複数のLED素子)や調光制御等の直流電力を生成する。直流電力の生成は、端子T2/T3に各LED照明装置内で接続する、例えば、整流回路により行われる。
【0030】
また、各LED照明装置は、調光信号として入力された2値のステータス状態に従って、それぞれのLED照明装置が有する灯具の調光制御を行う。調光制御は、例えば、灯具への印加電圧/電流値を増減することで制御できる。
【0031】
図3に、調光信号として入力された2値のステータス状態に従って調光制御が可能なLED照明装置の概略構成図を例示する。図3に例示のLED照明装置は、図2の比較例に示すLED照明装置11a、11b、11cである。なお、図例では、オン時にクローズ状態となり、調光信号として3相交流の各相200VACが各LED照明装置に入力した状態を示している。
【0032】
図3のLED照明装置の端子T1には調光信号が、端子T2には電力供給線毎に供給される3相交流の各相200VACが、端子T3には共通接地線が、それぞれ接続する。端子T1は、整流回路21の図示しないトランスの一次側に接続している。端子T2、T3は、整流回路22の図示しないトランスの一次側に接続している。なお、整流回路21の図示しないトランスの一次側の一端は、端子T3に接続している。つまり、端子T3は整流回路21及び整流回路22に共通する端子である。
【0033】
整流回路21は、端子T3と端子T1との間に入力される交流電力を整流する。整流回路21の図示しないトランスの2次側には、例えば、ダイオードといった整流素子が接続し、キャパシタ、抵抗素子等による平滑回路が接続している。整流回路21は、調光信号として入力された3相交流の各相200VACから、AC/DC変換を行い、所定電圧値のステータス信号を生成する。整流回路21で生成されたステータス信号は、調光ユニット23に出力される。
【0034】
整流回路22は、端子T3と端子T2との間に入力される交流電力を整流する。整流回路22の図示しないトランスの2次側には、例えば、複数のダイオードといった整流素子から構成されるブリッジ整流回路が接続し、キャパシタ、抵抗素子等による平滑回路が接続している。整流回路22は、各電力供給線を介して入力された3相交流の各相200VACから、AC/DC変換を行い、調光ユニット23、発光LEDユニット24等の直流電力を生成する。整流回路22で生成された直流電力は、調光ユニット23を介して発光LEDユニット24に供給される。
【0035】
従って、各LED制御装置は、端子T1、T2のそれぞれと共通の端子T3との間で交流電力を整流する入力整流回路を形成している。
【0036】
調光ユニット23は、整流回路21で生成された調光信号のステータス状態に沿って、発光LEDユニット24に供給する電圧/電流値を制御し、LED照明の明るさを調節する。発光LEDユニット24は、複数のLED素子を備える灯具である。発光LEDユニット24は、調光ユニット23で制御された電圧/電流値に沿って照明を行う。
【0037】
図3に例示のLED照明装置は、例えば、オフ時にはLED照明装置の定格の明るさで照明を行い、オン時には、灯具へ供給する電圧/電流値を減少させることで、LED照明の明るさを、定格の明るさに対して相対的に一定の割合で変化させるといった調光を行うことができる。
【0038】
調光制御の一例として、調光ユニット23を介し、灯具への印加電圧/電流値を減少させることにより、例えば、定格値(オフ時の明るさ)の0.7倍程度の明るさに減光できる。図3のLED照明装置は、調光信号として入力された2値のステータス状態に従って、灯具への電圧/電流値を制御し、定格照明/減光照明といった2段階の調光を可能とす
る。
【0039】
なお、図2の比較例では、1つの制御スイッチによる2値のステータス状態で定格照明/減光照明といった2段階の調光制御を可能とするが、2値のステータス信号を出力する複数個の制御スイッチの組合せや、多段接点スイッチ等により、複数値のステータス状態を生成することで、多段階の調光制御が可能である。
【0040】
図2のLED照明装置11aの場合、例えば、制御スイッチ12aで調光信号を生成する系統に、同様の調光信号を生成する系統を追加し、2系統の調光信号を入力することで、2系統の2値ステータス状態の組合せによる3段階の調光制御が可能となる。3段階の調光制御では、2台の制御スイッチのオン/オフ状態の組合せにより、例えば、定格照明/減光照明1/減光照明2といった調光が可能となる。例として、減光照明1は定格照明の75パーセントの明るさに、減光照明2は定格照明の50パーセントの明るさ等に調節することが可能となる。
【0041】
なお、2系統の調光信号をLED照明装置に入力する場合、例えば、端子T4を設け、該端子T4に追加する1系統の調光信号を入力すればよい。そして、LED照明装置では、例えば、図3に例示する整流回路21を端子T4用に追加し、追加した整流回路21の、トランスの一次側の一端を端子T3に接続するとすれば良い。このように構成すれば、端子T1を介して供給された交流電力及び端子T4を介して供給された交流電力により、2系統の2値ステータス状態を調光信号とすることができる。LED照明装置の端子T4は第2の制御端子に相当する。
【0042】
2系統の2値ステータス状態による調光信号は図3に例示の調光ユニット23に入力される。調光ユニット23では、例えば、2系統の調光信号がそれぞれオフ状態のときには、LED照明装置の定格の明るさで照明を行い(定格照明)、2系統の調光信号がそれぞれオン状態のときには、LED照明装置の定格の50パーセント等の明るさで照明を行う(減光照明2)ことができる。また、2系統の調光信号の内、何れか一方がオフ状態、他方がオン状態のときには、LED照明装置の定格の75パーセント等の明るさで照明を行う(減光照明1)ことができる。この結果、調光ユニット23では、2系統の2値ステータス状態の組合せによる3段階の調光制御が可能となる。
【0043】
2系統の2値ステータス状態による調光信号は、1系統で1ビットの状態量に相当するため、2系統では2ビットの状態量が最大設定として指定できるので、上述した3段階に依らずに4段階の調光制御としてもよい。このように、n(nは整数)系統の2値ステータス状態による調光信号では、最大nビットの状態量を設定可能とする。
【0044】
〔運用形態〕
次に、複数車両で編成された場合の電力供給回路による、LED照明装置11a、11b、11cの運用形態を図4、5に基づいて説明する。図4は、定格照明/減光照明といった2段階の調光制御を可能とする形態であり、図5は、定格照明/減光照明1/減光照明2といった3段階の調光制御を可能とする形態である。
【0045】
図4、5の運用形態では、複数車両の編成数を10両編成として説明する。また、鉄道車両の運行においては、室内照明や冷暖房機器等のサービス機器へ電力を供給するSIVが停止すると運行不能となってしまうことから、2台以上のSIVを備えることが一般的であるため、先頭車両(図4,5では1号車)、後尾車両(図4,5では10号車)から、各車両に電源を供給する形態として説明する。なお、先頭車両および10号車両には、運転台が設けられ、調光信号を生成する制御スイッチはそれぞれの運転台に配置されている。
【0046】
図4に例示の運用形態では、1号車から5号車まで、車両を跨ぐ引き通し線として3本の電力供給線が配線される。1号車から5号車に配線される電力供給線を介し、例えば、先頭車両である1号車に搭載されたSIVで生成された3相交流が各車両に供給される。
【0047】
また、図4に例示の運用形態では、10号車から6号車まで、車両を跨ぐ引き通し線として3本の電力供給線が配線される。10号車から6号車には、例えば、後尾車両である10号車に搭載されたSIVで生成された3相交流が電力供給線を介して各車両に供給される。3相交流の内、U相200VAC(図例ではAC−U)は電力供給線L1、V相200VAC(図例ではAC−V)は電力供給線L2、W相200VAC(図例ではAC−W)は電力供給線L3を介して供給される。
【0048】
なお、1号車から10号車まで、車両を跨ぐ引き通し線として1本の電力供給線L5が配線される。電力供給線L5を介して供給される電力は直流電力である。例えば、蓄電池等から供給される、停電等の非常時用としての直流(例えば、24VDC)電源の電力(図例ではDC)であってもよく、SIVで生成される直流電力であってもよい。なお、非常時用の直流電力は、24VDCに限定されず、例えば、100VDCであってもよい。
【0049】
各車両は、電力供給線L5を介して供給される直流電源で動作するLED照明装置11d、電力供給線L1を介して供給されるU相200VACで動作するLED照明装置11a、電力供給線L2を介して供給されるV相200VACで動作するLED照明装置11b、電力供給線L3を介して供給されるW相200VACで動作するLED照明装置11cを備える。
【0050】
1号車両及び10号車両は、4台(図例では、DCL1〜DCL4)のLED照明装置11d、6台(図例では、ACUL1〜ACUL6)のLED照明装置11a、6台(図例では、ACVL1〜ACVL6)のLED照明装置11b、6台(図例では、ACWL1〜ACWL6)のLED照明装置11cを備える。
【0051】
2号〜9号車両は、4台(図例では、DCL1〜DCL4)のLED照明装置11d、7台(図例では、ACUL1〜ACUL7)のLED照明装置11a、7台(図例では、ACVL1〜ACVL7)のLED照明装置11b、6台(図例では、ACWL1〜ACWL6)のLED照明装置11cを備える。
【0052】
先頭車両である1号車には、調光のための2値のステータス状態を生成する4台の制御スイッチが設けられる。制御スイッチ12dの一端は電源供給線L5に接続し、他端は指令線L10を介して直流電源で動作する1号車から10号車の各LED照明装置11dに接続する。制御スイッチ12aの一端は電源供給線L1に接続し、他端は指令線L7を介してU相200VACで動作する1号車から5号車の各LED照明装置11aに接続する。制御スイッチ12bの一端は電源供給線L2に接続し、他端は指令線L8を介してV相200VACで動作する1号車から5号車の各LED照明装置11bに接続する。制御スイッチ12cの一端は電源供給線L1に接続し、他端は指令線L9を介してW相200VACで動作する1号車から5号車の各LED照明装置11cに接続する。
【0053】
後尾車両である10号車には、調光のための2値のステータス状態を生成する3台の制御スイッチが設けられる。制御スイッチ12aの一端は電源供給線L1に接続し、他端は指令線L7を介してU相200VACで動作する6号車から10号車の各LED照明装置11aに接続する。制御スイッチ12bの一端は電源供給線L2に接続し、他端は指令線L8を介してV相200VACで動作する6号車から10号車の各LED照明装置11bに接続する。制御スイッチ12cの一端は電源供給線L3に接続し、他端は指令線L9を
介してW相200VACで動作する6号車から10号車の各LED照明装置11cに接続する。
【0054】
各車両に設置されたLED照明装置11dは、他端を接地点G2に接地された共通接地線L6と電力供給線L5を介して供給された電力で、図3に例示する調光ユニット23、発光LEDユニット24等の電力を生成し、指令線L10を介して入力された調光信号により、定格照明/減光照明といった調光制御を行う。接地点G2は、車両毎に設けられた接地点である。なお、図2等に例示するように、共通接地線L6はLED照明装置11dの端子T3に、電力供給線L5はLED照明装置11dの端子T2に、指令線L10はLED照明装置11dの端子T1に、それぞれ接続される。
【0055】
各車両に設置されたLED照明装置11aは、他端を接地点G1に接地された共通接地線L4と電力供給線L1を介して供給された電力で、図3に例示する調光ユニット23、発光LEDユニット24等の電力を生成し、指令線L7を介して入力された調光信号により、定格照明/減光照明といった調光制御を行う。LED照明装置11b、11cについても、それぞれの装置に接続される電力供給線及び指令線により、LED照明装置11aと同様の動作を行う。接地点G1は、車両毎に設けられた接地点である。
【0056】
なお、図2等に例示するように、共通接地線L4はLED照明装置11aの端子T3に、電力供給線L4はLED照明装置11aの端子T2に、指令線L7はLED照明装置11aの端子T1に、それぞれ接続される。LED照明装置11b、11cについても同様に、それぞれの装置に接続される電力供給線が端子T2に接続し、それぞれの装置に接続される指令線が端子T1に接続される。LED照明装置11b、11cの端子T3には、共通接地線L4が接続する。
【0057】
以上のように、図4に例示する運用形態では、1号車及び10号車にそれぞれ3台の制御スイッチが必要となり、各車両のLED照明装置11a、11b、11cに調光信号を供給するための3本の指令線が必要となる。指令線L7、L8、L9は、それぞれ車両を跨ぐ引き通し線となる。
【0058】
図5に例示する運用形態は、図4の各車両に設置されるLED照明装置11dをLED照明装置11hに、LED照明装置11aをLED照明装置11eに、LED照明装置11bをLED照明装置11fに、LED照明装置11cをLED照明装置11gにそれぞれ置き換えたものである。
【0059】
LED照明装置11e、11f、11g、11hは、それぞれ、図4に例示する調光信号(第1の調光信号入力とする)に加え、第2の調光信号が入力される。LED照明装置11e、11f、11g、11hは、既に説明したように第2の調光信号が接続される端子T4を有する。図5の運用形態では、第2の調光信号は、各LED照明装置の端子T4に接続される。
【0060】
第2の調光信号は、第1の調光信号と同様に調光のための2値のステータス状態を示す信号である。つまり、図5の各LED照明装置は、第1の調光信号と第2の調光信号とを入力することにより、例えば、定格照明/減光照明1/減光照明2といった3段階の調光照明を提供する。
【0061】
第2の調光信号は、図5に例示するように、1号車に追加された制御スイッチ12e、12f、12g、12h及び10号車に追加された制御スイッチ12e、12f、12gで設定される。
【0062】
制御スイッチ12hは、1号車から10号車の各LED照明装置11hに入力される第2の調光信号のステータス状態を設定する。制御スイッチ12eは、1号車から5号車及び6号車から10号車の各LED照明装置11eに入力される第2の調光信号のステータス状態を設定する。制御スイッチ12f及び12gも、同様に、1号車から5号車及び6号車から10号車の各LED照明装置11f及び11gに入力される第2の調光信号のステータス状態を設定する。
【0063】
図5の各LED照明装置は、第1の調光信号及び第2の調光信号が共にオフ時(オープン状態)には、例えば、定格の明るさで照明を提供する(定格照明)といった運用が可能である。また、第1の調光信号がオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の75パーセント等の明るさで照明を提供する(減光照明1)といった運用が可能である。さらに、第1の調光信号及び第2の調光信号が共にオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の50パーセント等の明るさで照明を提供する(減光照明2)といった運用が可能である。なお、既に説明したように、2値のステータス状態を設定する制御スイッチは、1ビットの状態量が設定できるため、2台の制御スイッチを設けることにより、2ビットの状態量が設定できる。このため、2ビットの状態量の組合せにより、3段階の調光制御によらず、4段階の調光制御であってもよい。例えば、第1の調光信号及び第2の調光信号が共にオフ時(オープン状態)には、定格の明るさで照明(定格照明)を提供し、第1の調光信号及び第2の調光信号が共にオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の50パーセント等の明るさで照明を提供する(減光照明3)。第1の調光信号がオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の80パーセント等の明るさで照明を提供(減光照明1)し、第2の調光信号がオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の70パーセント等の明るさで照明を提供(減光照明2)する、といった4段階の調光制御であってもよい。
【0064】
なお、図5の運用形態では、制御スイッチ12hによる第2の調光信号は、指令線L14を介して1号車から10号車の各LED照明装置11hに供給される。制御スイッチ12eによる第2の調光信号は、指令線L11を介して1号車から5号車及び6号車から10号車の各LED照明装置11eに供給される。制御スイッチ12f及び12gについても、同様に、指令線L12及びL13を介して1号車から5号車及び6号車から10号車の各LED照明装置11f及び11gに供給される。
【0065】
このように、3段階の調光制御が可能な形態では、図4に例示の運用形態に対し、次の構成がさらに追加されることになる。
・1号車及び10号車にそれぞれ3台の制御スイッチ(12e、12f、12g)が追加となる(直流電源で動作する非常用のLED照明装置11h分は除く)。
・各車両のLED照明装置11e、11f、11gに調光信号を供給するための3本の指令線が追加となる(直流電源で動作する非常用のLED照明装置11h分は除く)。
・車両を跨ぐ引き通し線として指令線L11、L12、L13が追加される。
【0066】
以上、比較例の電力供給回路によるLED照明装置11a、11b、11cでは、3相交流の各相200VACが供給される各電力供給線から2値のステータス状態となる調光信号を生成することで多段階の調光制御が可能となる。しかしながら、3相交流のU、V、W相毎に制御スイッチ等を必要とするため、運転台等の設置スペースを逼迫するという課題があり、さらに、3相交流のU、V、W相毎に調光信号を供給する指令線が必要となり、この指令線は各車両を跨ぐ引き通し線になるという課題を抱えることとなる。
【0067】
次に説明する、本実施形態の電力供給回路では、共通接地線と各LED照明装置間に、オン操作時に接地点に導通する制御スイッチを設けることにより、調光制御時に3相交流のU、V、W相毎に必要としていた制御スイッチ及び調光信号を供給する指令線の数量を減らすことが可能となる。以下、図6から図9の図面に基づいて本実施形態の電力供給回
路を説明する。
【0068】
<実施例1>
図6は、本実施形態の電力供給回路を説明するための説明図である。図6では、説明のため、LED照明装置といった直流負荷制御装置にU相200Vの交流電力が入力するものとする。図6(a)は、比較例の電力供給回路であり、図6(b)は、本実施形態の電力供給回路である。
【0069】
図6(a)の直流負荷制御装置は、既に比較例で説明したように、端子T1、T2、T3を備え、端子T2と端子T3は装置内の整流回路に接続し、端子T1と端子T3は装置内の制御回路に接続している。
【0070】
図6(a)の電力供給回路では既に比較例で説明したように、端子T2に接続された電力供給線と端子T3に接続された共通接地線を介して端子T2/T3間にU相200Vの交流電力を供給する。比較例の直流負荷制御装置は、端子T2と端子T3に接続する整流回路で受電した交流電力の電力変換を行い、該整流回路に接続する直流負荷の直流電力を生成する。
【0071】
また、比較例の電力供給回路では、電力供給線から分岐した経路に直列に制御スイッチを接続し、制御スイッチのオン/オフ時に設定される2値のステータス状態を端子T1に入力する。比較例の直流負荷制御装置は、端子T1と端子T3に接続する制御回路で、端子T1と端子T3との間に供給されたU相200Vの交流電力に基づいて2値のステータス信号といった制御信号(図2では調光信号)を生成し、整流回路に入力する。図6(a)の整流回路では、制御回路から入力された制御信号で、直流負荷に供給する直流電圧/電流値を制御する。
【0072】
このように、図6(a)の比較例では、2値のステータス信号として、制御スイッチオン時に通電状態となり、端子T1と端子T3との間に供給されるU相200Vの交流電力に基づく信号と、制御スイッチオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間に交流電力が供給されない状態に基づく信号とが生成される。
【0073】
図6(b)に例示する本実施形態の電力供給回路では、直流負荷制御装置は、図6(a)と同じ構成である。但し、直流負荷制御装置の端子T3には電力供給線を接続し、端子T2には共通接地線を接続する。そして、共通接地線から分岐した経路に直列に制御スイッチを接続し、制御スイッチのオン/オフ時に設定される2値のステータス状態を端子T1に入力する。
【0074】
このように接続しても、端子T2と端子T3との間に供給される交流電力は変わらないため、直流負荷制御装置の整流回路は、U相200Vの交流電力を受電して電力変換を行い、該整流回路に接続する直流負荷の直流電力を生成することができる。
【0075】
また、図6(b)の電力供給回路の直流負荷制御装置では、2値のステータス信号として、制御スイッチオン時に接地状態となり、端子T1と端子T3との間に供給されるU相200Vの交流電力に基づく信号と、制御スイッチオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間に交流電力が供給されない状態に基づく信号とが生成できる。
【0076】
従って、図6(b)の電力供給回路の直流負荷制御装置においても、端子T1と端子T3に接続する制御回路で、端子T1と端子T3との間に供給されたU相200Vの交流電力に基づいて2値のステータス信号といった制御信号(図2では調光信号)を生成し、整流回路に入力できることとなる。その結果、図6(b)の整流回路においても、制御回路
から入力された制御信号で、直流負荷に供給する直流電圧/電流値を制御できる。
【0077】
<実施例2>
図7は、本実施形態の、2値のステータス信号による3相交流使用時の電力供給回路の概略構成図である。本実施形態の電力供給回路1は、制御スイッチ12のオン/オフ操作によって設定される2値のステータス状態を調光信号とし、灯具(複数のLED素子)への電圧/電流値を制御することでLED照明の明るさを調節する。
【0078】
図7の電力供給回路において、LED照明装置は負荷電力制御装置の一例であり、制御スイッチ12はスイッチの一例である。LED照明装置を構成する、例えば、図3に例示の整流回路22は整流回路の一例であり、調光ユニット23は制御回路の一例であり、発光LEDユニット24等は直流負荷の一例である。また、LED照明装置が備える端子T1は制御端子の一例であり、端子T2は第1入力端子の一例であり、端子T3は第2入力端子の一例である。
【0079】
図2の比較例では、電源13から各LED照明装置に接続される各電力供給線を分岐させ、分岐させたそれぞれの経路上に直列に制御スイッチを介在させて3系統の制御系統を備えていた。図7に例示の本実施形態では、共通接地線L4を分岐し、分岐させた経路上に直列に単一の制御スイッチ12を介在させる。そして、制御スイッチ12の他端を各LED照明装置に接続させることにより、1つの制御系統で各LED照明装置の調光制御を実現する。
【0080】
〔装置構成〕
図7に例示の電力供給回路1では、電源13、LED照明装置11a、11b、11cは、図2で説明した比較例と同じ構成である。また、電源13が接地される接地点G0、各車両の接地点G1、電力供給線L1、L2、L3及び共通接地線L4についても比較例と同じ構成である。このため、これらについては説明を省略する。
【0081】
図7の電力供給回路1では、電力供給線L1に出力されたU相200VAC電力は、LED照明装置11aの端子T3に接続する。電力供給線L2に出力されたV相200VAC電力は、LED照明装置11bの端子T3に接続する。電力供給線L3に出力されたW相200VAC電力は、LED照明装置11cの端子T3に接続する。なお、各LED照明装置の端子T3に接続する各電力供給線は、第2配線の一例である。
【0082】
そして、各LED照明装置の端子T2には、各車両に設けられた接地点G1に他端を接続した共通接地線L4が接続される。なお、各LED照明装置の端子T2に接続する共通接地線L4は、第1配線の一例である。
【0083】
既に図6(b)で説明したように、端子T2と端子T3との間に供給された交流電力は変わらないため、各LED照明装置の整流回路はそれぞれに接続された、200Vの交流電力を受電して電力変換を行い、該整流回路に接続する直流負荷の直流電力を生成できる。
【0084】
すなわち、LED照明装置11aは、電力供給線L1に接続する端子T3と共通接地線L4に接続するT2との間に供給されるU相200VACを受電する。LED照明装置11bは、電力供給線L2に接続する端子T3と共通接地線L4に接続するT2との間に供給されるV相200VACを受電する。LED照明装置11cは、電力供給線L3に接続する端子T3と共通接地線L4に接続するT2との間に供給されるW相200VACを受電する。各LED照明装置は、受電した200VAC電力に基づいて灯具(複数のLED素子)や調光制御等の直流電力を生成する。
【0085】
次に、本実施形態の制御スイッチ12は、制御スイッチ12a等と同様に、例えば、トランジスタ、リレー等で構成される接点スイッチであり、少なくともスイッチのオン/オフ操作に応じて2値のステータス状態を生成する。本実施形態では、オフ時にノーマル・オープン状態、オン時にメイク・クローズ状態を生成する。
【0086】
制御スイッチ12の一端は共通接地線L4に接続し、他端は接続線L0に接続する。接続線L0は、各LED照明装置の端子T1に接続する。なお、各LED照明装置の端子T1に接続する接続線L0は、制御配線の一例である。
【0087】
各LED照明装置には、制御スイッチ12がオン時に接地状態となり、端子T1と端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給される。なお、各LED照明装置は、制御スイッチ12がオフ時にはオープン状態となり、端子T1と端子T3との間には各相200Vの交流電力は供給されない。
【0088】
このように、制御スイッチ12のオン/オフ操作により設定された2値のステータス状態は、各LED照明装置の端子T1と端子T3との間に供給される各相200Vの交流電力の通電状態を示す2値のステータスによる調光信号として各LED照明装置に入力される。
【0089】
図7の電力供給回路1では、各LED照明装置は、2値のステータス信号として、制御
スイッチ12がオン時に接地状態となり、端子T1と端子T3との間に供給される各相200Vの交流電力に基づく信号と、制御スイッチがオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給されない状態に基づく信号とが生成できる。
【0090】
このため、本実施形態においても、制御スイッチ12のオン/オフ操作で設定される、2値のステータス状態に基づく2段階の調光制御が可能となる。
【0091】
例えば、制御スイッチがオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給されない状態に基づく調光信号で、図3に例示の調光ユニット23を制御し、各LED照明装置の定格の明るさで照明を行うことができる。そして、制御スイッチ12がオン時に接地状態となり、端子T1と端子T3との間に供給される各相200Vの交流電力に基づく調光信号で、調光ユニット23を制御し、灯具へ供給する電圧/電流値を減少させることで、LED照明の明るさを定格の明るさに対して相対的に減光することができる。
【0092】
このように、本実施形態では、単一の制御スイッチ12を設け、制御スイッチ12の一端を接地し、他端を各LED照明装置のそれぞれの端子T1が共通に接続する接続線L0に接続している。このため、制御スイッチ12のオン/オフ操作により、各LED照明装置を共通のタイミングで一斉に接地またはオープン状態とすることができる。本実施形態の各LED装置では、接続線L0に接続する端子T1と各相の電力供給線に接続する端子T3との間に供給される各相200VACに基づいて調光信号を生成できるため、調光制御に係る部品点数の増加を抑制できる。
【0093】
なお、本実施形態においても、2値のステータス信号を出力する複数個の制御スイッチの組合せや、多段接点スイッチ等により、複数値のステータス状態を生成することで、多段階の調光制御が可能であることは言うまでもない。
【0094】
〔運用形態〕
複数車両で編成された場合の、本実施形態による運用形態を図8、9に基づいて説明する。図8は、定格照明/減光照明といった2段階の調光制御を可能とする形態であり、図9は、定格照明/減光照明1/減光照明2といった3段階の調光制御を可能とする形態である。なお、図8、9に例示の運用形態において、停電等の非常時用として直流電力を使用するLED照明装置11dは、図4、5と同じ構成である。以下、比較例と異なっている部分を中心に説明する。
【0095】
図8に例示の運用形態において、各車両に設置されたLED照明装置11aには、電力供給線L1と共通接地線L4とを介してU相200VAC(図例では、AC−U)が供給される。同様に、LED照明装置11bには電力供給線L2と共通接地線L4とを介してV相200VAC(図例では、AC−V)、LED照明装置11cには電力供給線L3と共通接地線L4とを介してW相200VAC(図例では、AC−W)が供給される。
【0096】
各電力供給線は、各LED照明装置の図示しない端子T3に接続し、共通接地線L4は、各LED照明装置の図示しない端子T2に接続する。各LED照明装置は、端子T3と端子T2との間に供給されるそれぞれの3相交流電力を受電し、電力変換を行い、図3の例示の発光LEDユニット24といった灯具や制御装置等の直流負荷に供給する直流電力を生成する。
【0097】
先頭車両である1号車には、1号車から10号車に設置されたLED照明装置11a、11b、11cに対して、調光のための2値のステータス状態を生成する1台の制御スイッチ12が設けられる。制御スイッチ12の一端は接地点G1に、他端は1号車から10号車に設置されたLED照明装置11a、11b、11cの図示しない端子T1に指令線L15を介して接続する。指令線L15は、1号車から10号車の各車両を跨ぐ引き通し線となる。指令線L15は、図7に例示の接続線L0に相当する。
【0098】
各LED照明装置には、制御スイッチ12がオン時に接地状態となり、指令線L15に接続する端子T1と電力供給線に接続する端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給される。また、各LED照明装置には、制御スイッチ12がオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間には各相200Vの交流電力は供給されない。
【0099】
各LED照明装置は、制御スイッチ12がオン時に接地状態となり、端子T1と端子T3との間に供給される各相200Vの交流電力に基づく信号と、制御スイッチがオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給されない状態に基づく信号とにより、2値のステータス信号としての調光信号を生成する。
【0100】
各車両に設置されたLED照明装置11aは、他端を接地点G1に接地された共通接地線L4に接続する端子T2と電力供給線L1に接続する端子T3との間に供給されたU相交流電力で、図3に例示の調光ユニット23、発光LEDユニット24等の直流電力を生成する。そして、各車両のLED照明装置11aは、指令線L15に接続する端子T1と端子T3との間に供給されたU相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号により、定格照明/減光照明といった調光制御を行う。
【0101】
同様に、各車両のLED照明装置11bは共通接地線L4に接続する端子T2と電力供給線L2に接続する端子T3との間に供給されたV相交流電力で、照明のための直流電力を生成する。各車両のLED照明装置11cは、共通接地線L4に接続する端子T2と電力供給線L3に接続する端子T3との間に供給されたW相交流電力で、照明のための直流電力を生成する。なお、照明のための直流電力とは、例えば、図3に例示の調光ユニット23、発光LEDユニット24等の直流電力である。
【0102】
各車両のLED照明装置11b、11cは、指令線L15に接続する端子T1と端子T3との間に供給されたV、W相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号により、定格照明/減光照明といった調光制御を行う。
【0103】
以上のように、図8に例示の運用形態では、1号車に1台の制御スイッチ12を設け、制御スイッチ12で設定された2値のステータス状態を、1本の指令線L15を介して各車両のLED照明装置11a、11b、11cに出力することにより、複数のLED照明装置に対して共通のタイミングで一斉に調光制御が可能となる。そして、比較例では1号車及び10号車にそれぞれ3台の制御スイッチを必要としていたが、本実施形態では、1号車に1台の制御スイッチ12を設けるだけでよい。また、比較例では、各車両のLED照明装置11a、11b、11cに調光信号を供給するために、引き通し線となる3本の指令線を必要としていたが、本実施形態では、1本の指令線L15を配線するだけでよい。このように、本実施形態では比較例に対し、調光制御に係る部品数の大幅な削減が可能となる。
【0104】
次に、図9に例示の運用形態では、各車両に設置されるLED照明装置は、図5で説明したように、第2の調光信号が入力する端子T4(第2の制御端子に相当)を備える。図9の各LED照明装置は、第1の調光信号と第2の調光信号とにより、例えば、定格照明/減光照明1/減光照明2といった3段階の調光照明を提供する。
【0105】
第1の調光信号は、図8で説明したように、制御スイッチ12(制御配線を共通に接地または開放するスイッチに相当)で設定される。制御スイッチ12の一端は接地点G1に接続し、他端は1号車から10号車に設置されたLED照明装置11e、11f、11gの図示しない端子T1(制御端子に相当)に指令線L15(制御配線に相当)を介して接続する。指令線L15は、1号車から10号車の各車両を跨ぐ引き通し線となる。
【0106】
第2の調光信号は、図9に例示するように、制御スイッチ12k(第2制御配線を共通に接地または開放するスイッチに相当)で設定される。制御スイッチ12kは先頭車両である1号車に設けられる。
【0107】
制御スイッチ12kは、1号車から10号車に設置されたLED照明装置11e、11f、11gに対して、調光のための2値のステータス状態を示す第2調光信号を出力する。制御スイッチ12kの一端は接地点G1に、他端は1号車から10号車に設置されたLED照明装置11e、11f、11gの図示しない端子T4に指令線L16(第2制御配線に相当)を介して接続する。指令線L16は、1号車から10号車の各車両を跨ぐ引き通し線となる。なお、制御スイッチ12kは1号車に設けられる。
【0108】
図9に例示の運用形態において、各車両に設置されたLED照明装置11eには、電力供給線L1と共通接地線L4とを介してU相200VAC(図例では、AC−U)が供給される。同様に、LED照明装置11fには電力供給線L2と共通接地線L4とを介してV相200VAC(図例では、AC−V)、LED照明装置11gには電力供給線L3と共通接地線L4とを介してW相200VAC(図例では、AC−W)が供給される。
【0109】
各電力供給線(第2配線に相当)は、各LED照明装置の図示しない端子T3(第2入力端子に相当)に接続し、共通接地線L4(第1配線に相当)は、各LED照明装置の図示しない端子T2(第1入力端子に相当)に接続する。各LED照明装置は、端子T3と端子T2との間に供給されるそれぞれの3相交流電力を受電し、電力変換を行い、図3の例示の発光LEDユニット24といった灯具や制御装置等の直流負荷に供給する直流電力を生成する。
【0110】
各LED照明装置には、制御スイッチ12kがオン時に接地状態となり、指令線L16に接続する端子T4と電力供給線に接続する端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給される。また、各LED照明装置には、制御スイッチ12kがオフ時にオープン状態となり、端子T1と端子T3との間には各相200Vの交流電力は供給されない。
【0111】
各LED照明装置は、制御スイッチ12kがオン時に接地状態となり、端子T4と端子T3との間に供給される各相200Vの交流電力に基づく信号と、制御スイッチ12kがオフ時にオープン状態となり、端子T4と端子T3との間に各相200Vの交流電力が供給されない状態に基づく信号とにより、2値のステータス信号としての調光信号を生成する。
【0112】
各車両に設置されたLED照明装置11eは、他端を接地点G1に接地された共通接地線L4に接続する端子T2と電力供給線L1に接続する端子T3との間に供給されたU相交流電力で、図3に例示する発光LEDユニット24等の電力を生成する。
【0113】
そして、各車両のLED照明装置11eは、指令線L15に接続する端子T1と端子T3との間に供給されたU相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号(第1の調光信号)と、指令線L16に接続する端子T4と端子T3との間に供給されたU相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号(第2の調光信号)とにより、定格照明/減光照明1/減光照明2といった調光制御を行う。
【0114】
同様に、各車両のLED照明装置11fは共通接地線L4に接続する端子T2と電力供給線L2に接続する端子T3との間に供給されたV相交流電力で、各車両のLED照明装置11gは共通接地線L4に接続する端子T2と電力供給線L3に接続する端子T3との間に供給されたW相交流電力で、発光LEDユニット24等の電力を生成する。
【0115】
各車両のLED照明装置11fは、指令線L15に接続する端子T1と端子T3との間に供給されたV相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号(第1の調光信号)と、指令線L16に接続する端子T4と端子T3との間に供給されたV相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号(第2の調光信号)とにより、定格照明/減光照明1/減光照明2といった調光制御を行う。
【0116】
各車両のLED照明装置11gは、指令線L15に接続する端子T1と端子T3との間に供給されたW相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号(第1の調光信号)と、指令線L16に接続する端子T4と端子T3との間に供給されたW相交流電力の状態に基づいて生成された調光信号(第2の調光信号)とにより、定格照明/減光照明1/減光照明2といった調光制御を行う。
【0117】
図9の各LED照明装置は、第1の調光信号及び第2の調光信号が共にオフ時(オープン状態)には、例えば、定格の明るさで照明を提供する(定格照明)といった運用が行える。また、第1の調光信号がオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の75パーセント等の明るさで照明を提供する(減光照明1)といった運用が行える。さらに、第1の調光信号及び第2の調光信号が共にオン時(クローズ状態)には、例えば、定格の50パーセント等の明るさで照明を提供する(減光照明2)といった運用が行える。
【0118】
ただし、第1の調光信号がオン時には、減光照明1とし、第2の調光信号オン時には、減光照明2とし、第1の調光信号と第2調光信号とは同時にオンにならない排他的な構成としてもよい。例えば、図9のスイッチ12とスイッチ12kとの間で、インターロックを設けて、同時にオンとならない構成とすればよい。
【0119】
また、例えば、第1の調光信号及び第2の調光信号の組み合わせに応じて、上記実施例とは異なる調光制御を行ってもよい。例えば、第1の調光信号及び第2の調光信号がおのおのオンまたはオフである組み合わせにしたがって、図5の比較例で説明した4段階の調光制御を行ってもよい。
【0120】
以上のように、図9に例示の運用形態では、1号車に2台の制御スイッチ12、12kを設けることにより、制御スイッチ12で設定された2値のステータス状態を示す信号を第1の調光信号として、制御スイッチ12kで設定された2値のステータス状態を示す信号を第2の調光信号として、各車両のLED照明装置11e、11f、11gに供給できる。第1の調光信号は指令線L15を介して、第2の調光信号は指令線L16を介して、各LED照明装置に供給できる。そして、各制御スイッチのオン/オフ操作により、複数のLED照明装置に対して共通のタイミングで一斉に制御可能な、3段階の調光制御が提供できる。
【0121】
本運用形態においても、1台の制御スイッチ12kと第2の調光信号を各車両に供給するための引き通し線となる指令線L16を追加するだけで、図5に例示の比較例と同じ3段階の調光制御が可能となる。本運用形態においても、図5に例示の比較例に対し、調光制御に係る部品数の大幅な削減が可能となる。
【0122】
なお、以上の実施例に記載した制御は、調光制御に限定されず、3相交流電源から直流負荷に電力を供給する場合の電力制御一般に適用できる。例えば、外部からオフィスビルや工場内に供給される高圧の交流電力を変圧器等を介して200VACといった低圧の3相交流に電力変換を行い、オフィスビルや工場内に設けられた直流負荷(直流電力の室内照明や直流電力の電動機、直流電力の電子機器等)に電力を供給する直流電源を生成する場合に適用が可能である。
【符号の説明】
【0123】
1、10、30 電力供給回路
11a〜11h、31 LED照明装置
12、12a〜12h、12k、32 制御スイッチ
13、33 電源
21 整流回路
22 整流回路
23 調光ユニット
24 発光LEDユニット
G0、G1、G2 接地点
L0 接続線
L1〜L3、L5 電力供給線
L4、L6 共通接地線
L7〜L16 指令線
T1〜T4 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9