(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される光学素子をプレス成型で成型すると、反射面と他の面とがなす角部へ光学素材が充填され難しいという課題があった。
【0007】
図10は、特許文献1に開示される光学素子をプレス成型で製造する説明図である。光学素子701のプレス成型の際に、
図10(a)に示すように、光学素材705は、軟化する温度まで加熱された後に、上金型706と下金型707とによって、上下(Z)方向からプレスされる。
【0008】
上金型706は、反射面701aに対応する傾斜面706aを有し、下金型707は、凸レンズ701bに対応するレンズ面707bを有する。上金型706は、
図10(b)に示すように、光学素材705を、傾斜面706aに直交する方向、すなわち図面右下方向の圧力708により荷重する。また、下金型707は、光学素材705を、レンズ面707bに直交する方向、すなわち図面上(Z2)方向の圧力709により荷重する。
【0009】
上金型706が、光学素材705を図面右下方向に荷重するので、光学素材705は、図面右上方向に充填され難くなる。すなわち、反射面701aと、平坦な面701cとに挟まれる、図面右上方向に位置する角部701dに光学素材705が充填され難く、光学素子701の成型性が悪かった。
【0010】
特に、光学素材705がガラス素材の場合には、溶融まで達していない硬さが残る軟化状態でプレス成型するため、光学素材705が角部701dに充填され難い。また、
図9に示すように、先端にかけて細くなる光学素子701の形状から、角部701dのうちでも先端に位置する部分への光学素材705の充填が最も困難であり、この部分の成型性が特に問題となっていた。
【0011】
また、反射面701aは、
図9に示すように、光学素子701に備わる一面の全面に形成されている。そのため、反射面701aは、広い面積を有するために、成型性の良い面を形成することが難しかった。
【0012】
本発明の目的は、このような課題を顧みてなされたものであり、プレス成型性が良好な光の進行方向を変える光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光学素子は、光の進行方向を変える光学素子であって、前記光学素子は、
一方の端部に第1の面
を、他方の端部に第2の面を備え
、前記一方の端部と前記他方の端部との中間の断面形状が矩形状の柱状体であり、前記第1の面に、
前記第2の面に向けて光を集光する集光機能面が形成され、前記第2の面
の一部に、前記集光機能面の光軸を斜めに横切ると共に、前記集光機能面によって集光された光の進行方向を変える光進行方向変更面が形成され
ており、
前記柱状体の前記他方の端部に、第3の面と、前記第3の面から突出して前記第2の面を形成する突出部とが形成され、前記光進行方向変更面の面積が、前記集光機能面の面積より小さいことを特徴とする。
【0014】
集光機能面が光学素子に入射した光を集光し、光進行方向変更面は、この集光された光の進行方向を変える。そして、光進行方向変更面が集光機能面と反対側の面に形成されているので、光進行方向変更面では集光された光の直径が小さくなる。
【0015】
そのため、光進行方向変更面の面積を小さくできるので、光進行方向変更面は第2の面の一部に形成できる。また、光進行方向変更面を表面とする光進行方向変更面近傍の容積を小さくできる。そのため、光学素子をプレス成型する際に、充填が困難であった角部が小さくなったことで、光学素子の成型性が良好になる。また、光進行方向変更面の近傍には、その周辺から光学素材が十分に供給されるので、光進行方向変更面は成型性よく形成される。
【0016】
よって、本発明によれば、プレス成型性が良好な光の進行方向を変える光学素子を提供することができる。
【0017】
前記光進行方向変更面が、前記集光機能面によって集光された光を反射する反射面であることが好ましい。光進行方向変更面が反射面であるので、集光機能面によって集光された光を反射することで、その進行方向を変えることが可能である。
【0018】
前記光進行方向変更面の法線と、前記集光機能面の光軸との前記集光機能面側になす角度が、臨界角以上であることが好ましい。このような態様であれば、光進行方向変更面に入射する集光機能面によって集光された光は、光進行方向変更面で全反射する。
【0019】
そのため、本発明の光学素子を、受光素子を備える光モジュールに搭載した際に、光学素子に入射した光と、受光素子と、の効率のよい光学結合を可能にする。
【0020】
前記第3の面が、前記突出部から離れるに従い前記第1の面側に近づくように傾斜してなることが好ましい。
【0021】
このような態様であれば、金型を用いて光学素材を押圧し、光学素子をプレス成型する際に、金型は、突出部に対応する凹部と、凹部側に面する傾斜面を備える。そのため、金型によって光学素材が押圧される際に、凹部側に面する傾斜面が、軟化した光学素材を凹部の方へ押圧する。そのため、光学素材は凹部の方へ充填され易く、突出部および突出部に形成される光進行方向変更面の成型性が更に良好になる。
【0022】
前記第3の面を少なくとも2面有し、前記2つの第3の面が前記突出部の中心軸に対して対称位置に設けられていることが好ましい。
【0023】
このような態様であれば、金型を用いて光学素材を押圧し、光学素子をプレス成型する際に、金型は、突出部に対応する凹部をほぼ中央に備え、凹部側に面する少なくとも2つの傾斜面を凹部の中心軸に対して対称位置に備える。
【0024】
その結果、光学素材をプレス成型する際に、少なくとも2つの傾斜面は、互いに向かい合って、光学素材を凹部の中心軸の方へ荷重する。その結果、光学素材は、凹部側に充填され易い。よって、光進行方向変更面に対応するパターンが形成される凹部に、光学素材が十分に充填される共に周囲から均一に充填されるので、プレス成型性の更に良好な光学素子を可能にする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プレス成型性が良好な光の進行方向を変える光学素子を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の光学素子の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、説明が分かりやすいように、各図面の寸法は適宜変更して示している。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における光学素子の正面図である。
図2は、
図1に示すA−A線に沿って切断して矢印方向から視る断面図である。
【0029】
本実施形態の光学素子1は、
図1、
図2に示すように、その断面が略矩形である柱状体2の外形をなしている。光学素子1は、
図2に示すように、柱状体2の一方の端部に、すなわち図面右側(Y2方向)の端部に、第1の面3を有している。そして、第1の面3には、光を集光する集光機能面3aが、第1の面3から外方に突出する非球面形状に形成されている。
【0030】
集光機能面3aとは、集光機能面3aに入射した光を、所定の箇所に焦点を結ぶように収斂(集光)させる作用を有する面と定義する。
【0031】
本実施形態によれば、集光機能面3aは、非球面形状であるとしたが、これに限定されるものではない。集光機能面3aは、球面形状であることも可能である。また、集光機能面3aは、平板マイクロレンズや、回折格子であることも可能である。
【0032】
光学素子1は、柱状体2の他方の端部に、すなわち図面左側(Y1方向)の端部に、外方に突出する突出部5が形成されている。突出部5は、
図1、
図2に示すように、3面からなる第2の面4を有しており、3面のうちの1面が、すなわち第2の面4の一部が光進行方向変更面4aを形成している。そして、光進行方向変更面4aは、集光機能面3aの光軸7を斜めに横切るように設けられている。
【0033】
そして、第3の面6が、突出部5に連設されるように形成されている。第3の面6は、突出部5から離れるに従い第1の面3側に近づくように傾斜する2つの面6a、6bからなる。また、柱状体2は、一方の端部と他方の端部との間に、側面2aを有しており、集光機能面3aと光進行方向変更面4aとの間の距離を適切に設けることが可能である。
【0034】
そして、2つの第3の面6a、6bは、
図1、
図2に示すように、
図2に示す突出部5の中心軸5aに対して対称位置に設けられている。すなわち、中心軸5aに対して、図面上下(Z方向)の位置に、対をなして2つの第3の面6a、6bが設けられている。中心軸5aは、突出部5の光軸7に直交する断面の中心軸である。すなわち、中心軸5aは、光軸7方向から視る突出部5の外形の中心点を通り、光軸7に平行な直線と定義される。
【0035】
外部から光学素子1に入射した光、すなわち集光機能面3aに入射した光は、集光機能面3aによって集光されて、第2の面4側に向けて進行する。そして、光進行方向変更面4aが、集光機能面3aの光軸7を斜めに横切るように設けられている。そのため、集光機能面3aによって集光された光は、光進行方向変更面4aに入射したのち、光進行方向変更面4aによって反射されて、その進行方向が変えられる。
【0036】
光進行方向変更面4aとは、光進行方向変更面4aに入射した光を、入射光の進行方向とは異なる方向へ進行するように、屈折または反射させる作用を有する面と定義する。
【0037】
本実施形態においては、光進行方向変更面4aは、光を反射する反射面として作用する。よって、光進行方向変更面4aの反射率が高いことが望ましい。そのため、集光機能面3aによって集光された光のうち光進行方向変更面4aに入射した光は、光進行方向変更面4aによって全反射されるように設けられている。
【0038】
光が、屈折率n
1の物質から、屈折率n
2の物質に入射する際における、全反射の臨界角θは、(1)式のように表わせる。
【0039】
θ=arcsin(n
2/n
1)・・・・・(1)
そして、屈折率n
1の物質から、屈折率n
2の物質に入射する光の入射角度が臨界角θ以上の場合に、光の全反射は起こる。
【0040】
図3は、光進行方向変更面が全反射面であることを説明する図である。
図3に示すように、光進行方向変更面4aの法線4bと、集光機能面3aの光軸7と、の集光機能面3a側になす角度4cは、集光機能面3aによって集光された光のうち光進行方向変更面4aに入射した光の入射角度である。
【0041】
本実施形態においては、光学素子1の光学素材は透光性のガラス素材であり、光学素子1は空気中に設置されている。また、光学素子1の屈折率が、ほぼ1.60程度であり、空気の屈折率は、ほぼ1.00である。これらの値を(1)式に代入して計算すると、臨界角θは38.7°である。本実施形態の、光の入射角度である角度4cは、臨界角θ(38.7°)より大きい45°に設けられている。そのため、集光機能面3aによって集光された光のうち光進行方向変更面4aに入射した光は、光軸7に対してほぼ90°の角度をなして全反射される。
【0042】
本実施形態においては、光学素子1がガラス素材からなるとしたが、これに限定されるものではない。光学素子1を透光性の樹脂素材から形成することも可能である。そして、屈折率がほぼ1.60程度の樹脂素材を選ぶことが可能であり、この際においても、臨界角θは38.7°程度とすることが可能である。
【0043】
本実施形態においては、角度4cを臨界角θ以上に設けたが、これに限定されるものではない。たとえば、光進行方向変更面4aの表面にアルミニウムや銀などの金属反射膜を蒸着等によって形成することで、光進行方向変更面4aを反射面とすることも可能である。
【0044】
このように、光学素子1に入射した光は、集光機能面3aによって集光されて、集光されながら進行し、光進行方向変更面4aに入射する。そのため、光学素子1に入射した光の断面積は、光進行方向変更面4aに入射する際には縮小されている。よって、このような態様であることにより、光進行方向変更面4aの面積を、光進行方向変更面4aに入射した光の断面積程度まで小さくすることができる。
【0045】
光進行方向変更面4aは、集光機能面3aが形成される第1の面3とは反対側の第2の面4に、形成されている。そのため、光学素子1に入射した光が集光されながら進行する光路を、長く設けることができる。その結果、光学素子1に入射した光の断面積は、光進行方向変更面4aに入射する際には更に縮小される。よって、光進行方向変更面4aの面積を更に小さくすることができる。
【0046】
このように、光進行方向変更面4aの面積を小さくできるので、
図2に示すように、光進行方向変更面4aは、柱状体2の他方の端部に形成される面の一部として設けることができる。また、光進行方向変更面4aの面積は、集光機能面3aの面積よりも小さく設けられている。
【0047】
光進行方向変更面4aの面積を小さくすることができるので、光進行方向変更面4aを表面とする光進行方向変更面4a近傍の容積、すなわち突出部5の容積を小さくすることができる。
【0048】
後述するように、光学素子1は、プレス成型によって製造される。このプレス成型の際に、光進行方向変更面4a近傍の容積、すなわち突出部5の容積が小さくなると、突出部5の周辺から供給される突出部5を形成するガラス素材は相対的に充分な量となる。その結果、光進行方向変更面4aは、成型性が良好に、すなわち平坦性や、傾斜角度等が精度よく実現される。
【0049】
次に、本実施形態における光学素子1の製造方法について説明する。
図4は、第1の実施形態における光学素子の製造方法の説明図である。
【0050】
図4(a)に示す工程で、プレス成型装置50を準備する。プレス成型装置50は、胴型53、上金型51、下金型52、およびヒータ54を有して構成されている。そして、上金型51は、
図2に示される集光機能面3aに対応するレンズ形状面51aを備えている。また、下金型52は、
図2に示される突出部5、および第3の面6に対応する形状を備えている。
【0051】
下金型52は、突出部5に対応する凹部52aをほぼ中央に備え、凹部52aに光進行方向変更面4aに対応する第1の傾斜面52bを備える。そして、2つの第3の面6a、6bに対応する第2の傾斜面52cおよび第3の傾斜面52dを備えている。
【0052】
そして、第2の傾斜面52cと第3の傾斜面52は、凹部52aから周縁に向かって傾斜して高くなると共に、凹部52aの中心軸に対して対称位置に、すなわち凹部52aの中心軸に対して図面左右の位置に、対をなして設けられている。そのため、第2の傾斜面52cおよび第3の傾斜面52dは、その面を凹部52a側に向けて、すなわち凹部52a側に面して、互いに向かい合うように設けられている。
【0053】
次に、
図4(b)に示す工程で、光学素子1を構成するガラス素材55が胴型53内に入れられる。そして、ヒータ54によってガラス素材55が軟化する温度まで加熱される。
【0054】
次に、
図4(c)に示す工程で、上金型51及び下金型52によって上下からガラス素材55がプレスされる。その結果、上金型51及び下金型52の形状がガラス素材55に転写されることで、光学素子1が形成される。
【0055】
次に、
図4(d)に示す工程で、ヒータ54の電源が切られ所定の温度まで冷却される。そして、上金型51及び下金型52が胴型53から引き抜かれ、光学素子1が上金型51及び下金型52から離型されることで、光学素子1が製造される。
【0056】
このように、光学素子1は、ガラス素材55を上金型51及び下金型52によりプレスする一体成型によって製造される。
【0057】
上述したように、本実施形態においては、
図2に示すように、光進行方向変更面4aの面積を小さくすることができるので、光進行方向変更面4a近傍の容積、すなわち突出部5の容積を小さくすることができる。
【0058】
突出部5の容積が小さいと、突出部5に対応する凹部52aの容積も小さい。そのため、プレス成型の際に、凹部52a近傍の軟化されたガラス素材55の量は、凹部52aの容積に対して相対的に十分な量となる。その結果、上金型51及び下金型52によりプレスされることで、軟化されたガラス素材55は、凹部52aに十分に供給される。
【0059】
光進行方向変更面4aの面積を小さくすることができるので、光進行方向変更面4aは、柱状体2の他方の端部に形成される面の一部として設けることができる。そのため、プレス成型の際に、凹部52aを囲むように軟化されたガラス素材55を設けることができる。その結果、上金型51及び下金型52によりプレスされることで、軟化されたガラス素材55は、周囲から凹部52aに均一に供給される。
【0060】
よって、光進行方向変更面4aは、成型性が良好に、すなわち平坦性や、傾斜角度等が精度よく実現される。平坦性の精度が良いと、光の集光性は良好である。また、傾斜角度の精度が良いと、光の反射される角度精度は良好である。そのため、本実施形態の光学素子を、受光素子を備える光モジュールに搭載した際に、光学素子に入射した光と、受光素子と、の良好な光結合効率を可能にする。
【0061】
本実施形態においては、第2の傾斜面52cおよび第3の傾斜面52dは、
図4(a)に示すように、その面を窪んだ形状の凹部52a側に向けて、互いに向かい合うように形成されている。そのため、軟化されたガラス素材55が、上金型51及び下金型52によりプレスされる際に、第2の傾斜面52cおよび第3の傾斜面52dは、凹部52a側に向けて軟化されたガラス素材55を荷重する。そして、軟化されたガラス素材55は、窪んだ形状の凹部52aに押し込まれる。よって、軟化されたガラス素材55は凹部52aに供給され易く、光進行方向変更面4aの成型性は、更に良好となる。
【0062】
相対的に、広い面積の面よりも、小さい面積の面の方が、成型性や加工性がよい。また、金型の周縁部よりも中央部に設けられたパターンの方が成型性や加工性がよい。本実施形態においては、
図2に示すように、光進行方向変更面4aは、その面積を小さくすることができるので、柱状体2の他方の端部に形成される面の一部として設けることができる。そのため、第2の光学機能面4aに対応する、面積の小さい第1の傾斜面52bを、
図4(a)に示すように、下金型52の中央に設けることができる。
【0063】
ところが、特許文献1に開示される反射面701aは、
図9に示すように、光学素子701に備わる一面の全面に形成されている。そのため、反射面701aは、本実施形態に比べて広い面積を有すること、及び一面の全面に形成されていることにより、成型性や加工性の良い面を形成することが難しかった。
【0064】
本実施形態の光学素子1を搭載した光モジュールについて説明する。
図5は、第1の実施形態に係わる光モジュールの説明略図である。光学素子1を搭載した光モジュール20は、
図5に示すように、実装基板23の上面23aに光学素子1が固定されている。光ファイバ21は、光ファイバ21の光軸を集光機能面3aの光軸に一致させるように、実装基板23の上面23aに平行に固定されている。
【0065】
また、フォトダイオード等の受光素子22が、その受光面22aを光進行方向変更面4aの図面下(Z1方向)側になるように、実装基板23の上面23aに固定されている。
【0066】
このような構成であると、光ファイバ21から出射された光は、集光機能面3aに入射して、集光機能面3aによって集光されながら光進行方向変更面4aに入射する。
図3に示すように、光進行方向変更面4aの法線4bが、集光機能面3aの光軸7に対して45°に傾斜しているので、光進行方向変更面4aに入射した光は、光軸7に対してほぼ90°の角度をなして全反射される。よって、全反射された光は、
図5に示すように、光進行方向変更面4aの図面下(Z1方向)側に設置された受光素子22の受光面22aに集光される。
【0067】
本実施形態における光モジュール20においては、光学素子1および受光素子22は、実装基板23の上面23aに固定される。また、光ファイバ21は、実装基板23の上面23aに平行に固定されている。このように、光モジュール20を構成する光学部品が、上面23aを基準面として固定されるため、光学部品の位置合わせが容易であり、高精度な光学性能が得られる。
【0068】
光学素子1、受光素子22、および光ファイバ21が、実装基板23の上面23aに平行に固定されると共に、上面23aに形成された配線パターンに受光素子22を電気接続することが容易に可能である。そのため、光モジュール20は、実装密度を高めることができ、小型化に適する。
【0069】
本実施形態における光モジュール20においては、光学素子1、受光素子22、および光ファイバ21の各々を単一に設けているが、これに限定されるものではない。光学素子1、受光素子22、および光ファイバ21の各々を、複数個に設けることも可能である。
【0070】
<第1の変形例>
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例は、
図3に示す角度4cを、臨界角θ以下に設けた場合である。この場合には、光進行方向変更面4aに入射した光のうちの一方は、光進行方向変更面4aに反射されて、
図2に示す下側(Z1方向)に進行する。また、光学素子1の屈折率を適切に選べば、光進行方向変更面4aに入射した光のうちの一方を、
図5に示すように、光軸7に対してほぼ90°の角度をなして反射させて、受光素子22に受光させることができる。
【0071】
また、光進行方向変更面4aに入射した光のうちの他方は、光軸7および受光素子22の方向とは異なる方向に屈折して進行する。このように、本変形例における光進行方向変更面4aは、屈折によって、集光機能面3aによって集光された光の進行方向を変えることができる。
【0072】
本変形例によれば、屈折する光の強度をモニタすることで、
図5に示すように、光ファイバ21から出射される光の強度を調整することが可能である。すなわち、半導体レーザ等の発光素子が出射した光が、光ファイバ21に入射され、この入射された光が光ファイバ21から出射される。この光ファイバ21から出射された光は、集光機能面3aに入射し、光進行方向変更面4aによって、その一部が反射されて受光素子22に受光され、他の光が光進行方向変更面4aを透過する。
【0073】
そして、透過した光の進行方向にモニタ用受光素子を設置して、この透過した光の強度をモニタし、光ファイバ21に光を出射する発光素子の出射強度を調整することができる。このようにして、本変形例によれば、受光素子22は、たとえば温度変化により発光素子の出射強度が変化しても、常に適切な強度の光を受光することが可能である。
【0074】
<第2の変形例>
第1の実施形態によれば、第3の面6は、
図1および
図2に示すように、2つの面6a、6bからなる。そして、光学素子1の中心軸9aは、突出部5の中心軸5aと一致しておらず、集光機能面3aの光軸7と一致している。そのため、突出部5の中心軸5aをほぼ中心に設けられる2つの第3の面6a、6bは、その面積を互いに異ならせている。
【0075】
図6は、第2の変形例における光学素子の断面図である。本変形例は、
図6に示すように、突出部5の中心軸5aと、光学素子1の中心軸9aと、を一致するように設けられている。また、集光機能面3aの光軸7は、光学素子1の中心軸9aから、図面上(Z2方向)側にずれている。そのため、2つの第3の面6a、6bは、突出部5の中心軸5aに対して対称位置に配置されると共に、その面積を互いに一致させている。
【0076】
第3の面6aと第3の面6bとが、突出部5の中心軸5aに対して対称位置に配置されると共に、その面積を互いに一致させていると、
図4(a)に示すように、第2の傾斜面52cと第3の傾斜面52dも、凹部52aの中心軸に対して対称位置に配置されると共に、その面積を互いに一致させている。よって、プレス成型する際に、光学素材は、凹部52aの中心軸に対して対称な圧力で荷重される。よって、突出部は均質的に形成されるので、成型性の更に良好な光学素子を実現できる。
【0077】
<第3の変形例>
図7は、第3の変形例における光学素子の正面図である。本変形例においては、第1の実施形態と同じように、柱状体の一方の端部に集光機能面が形成され、柱状体の他方の端部に突出部が形成されている。突出部5は、
図7に示すように、柱状体の他方の端部の中央部のみにしかない。突出部5の周囲には、第3の面6が、突出部5に連設されるように形成されている。第3の面6は、突出部5から離れるに従い柱状体の一方の端部に近づくように傾斜する4つの面6a、6b、6c、6dからなる。
【0078】
本変形例は、第2の変形例と同様に、突出部5の中心軸と、光学素子1の中心軸と、を一致するように設けている。
【0079】
4つの第3の面6a、6b、6c、6dの互いが接する境界は、直線の一部からなる境界線に形成されている。各第3の面6a、6b、6c、6dは、各々が接する2本の境界線に平行な面からなる。第3の面6aと第3の面6bは、突出部5の中心軸に対して対称位置に設けられている。すなわち、第3の面6aと第3の面6bは、突出部5の中心軸に対して図面上下の位置に対をなして設けられている。また、第3の面6cと第3の面6dは、突出部5の中心軸に対して対称位置に設けられている。すなわち、第3の面6cと第3の面6dは、突出部5の中心軸に対して図面左右の位置に対をなして設けられている。
【0080】
本変形例の光進行方向変更面4aの面積は、
図1に示す光進行方向変更面4aに比べて、小さい。そのため、本変形例の光進行方向変更面4aは、
図1に示す光進行方向変更面4aに比べて、更に成型性が良好に、すなわち平坦性や、傾斜角度等が更に精度よく実現される。
【0081】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態における光学素子の断面図である。本実施形態の光学素子40は、
図8に示すように、第1の実施形態の光学素子1と、光進行方向変更面4aの周辺の構造が異なるのみである。すなわち、
図2と
図8を比較して分かるように、光学素子40には、突出部5(
図2に図示)はなく、凹状に形成された窪み部8を有している。窪み部8の内周面は2面からなり、その一面が光進行方向変更面4aを形成している。
【0082】
集光機能面3aは、第1の実施形態と同様に形成されている。第3の面6が、窪み部8に連設されるように形成されている。第3の面6は、窪み部8から離れるに従い第1の面3側に近づくように傾斜する2つの面6a、6bからなる。そして、傾斜する2つの面6a、6bは、窪み部8の中心軸8aに対して対称位置に配置されている。ただし、窪み部8の中心軸8aは、光軸7方向から視る窪み部8の外形の中心点を通り、光軸7に平行な直線と定義される。
【0083】
本実施形態の光進行方向変更面4aは、集光機能面3aの光軸7を斜めに横切ると共に、集光機能面3aによって集光された光の進行方向を変えるように作用する反射面である。また、光進行方向変更面4aの法線と、集光機能面3aの光軸7との集光機能面3a側になす角度は、臨界角以上に設けられている。
【0084】
本実施形態の光進行方向変更面4aの面積は、第1の実施形態と同様に小さくすることができる。よって、本実施形態の光進行方向変更面4aも、第1の実施形態と同様に、成型性が良好に、すなわち平坦性や、傾斜角度等が精度よく実現される。