特許第5959385号(P5959385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959385
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】交流電圧生成装置および電圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   G01R19/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-207714(P2012-207714)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-62800(P2014-62800A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】池田 大桂
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 浩一
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−25918(JP,A)
【文献】 特開2008−14644(JP,A)
【文献】 特開昭60−200770(JP,A)
【文献】 特開昭60−216773(JP,A)
【文献】 特開昭63−167677(JP,A)
【文献】 実開昭63−164383(JP,U)
【文献】 特開2002−359967(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/022508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流パルス電圧を出力するパルス電圧生成回路と、
前記交流パルス電圧を整流することによって高圧直流電圧を生成する多段倍電圧整流回路と、
前記多段倍電圧整流回路の出力端子と基準電位との間に接続された第1放電抵抗と、
前記多段倍電圧整流回路の出力端子に一端が接続されたコンデンサと、
前記コンデンサの他端と前記基準電位との間に接続された第2放電抵抗と、
前記パルス電圧生成回路を制御して前記交流パルス電圧のデューティ比を変化させることにより、高圧直流成分に高圧交流成分が重畳された前記高圧直流電圧を前記多段倍電圧整流回路に生成させる制御回路とを備え、前記コンデンサで前記高圧直流成分を除去して前記高圧交流成分を交流電圧として生成する交流電圧生成装置。
【請求項2】
前記第1放電抵抗は、前記高圧直流電圧を分圧して検出電圧として出力する分圧抵抗で構成され、
前記制御回路は、前記検出電圧の平均値に基づいて前記パルス電圧生成回路に対する制御を実行して前記交流パルス電圧の前記デューティ比を変化させることにより、前記高圧直流成分の電圧値を予め規定された基準直流電圧値に維持する請求項1記載の交流電圧生成装置。
【請求項3】
検出対象に生じている検出対象交流電圧を検出する電圧検出装置であって、
前記検出対象に対向して配設される検出電極と、
第1の入力端子が基準電圧に規定されると共に、第2の入力端子が前記検出電極に接続されて、当該検出電極と当該第2の入力端子に接続された帰還回路とを含む経路において前記検出対象交流電圧と当該基準電圧との間の交流の電位差に応じた電流値で流れる検出電流を検出電圧信号に変換して出力する演算増幅器を有する電流電圧変換回路と、
前記検出電圧信号を積分して前記電位差に応じて振幅が変化する積分信号を出力する積分回路と、
前記積分信号を入力してサンプリングすることにより、当該積分信号の波形データを出力するA/D変換回路と、
前記交流電圧を前記基準電圧として生成する請求項1または2記載の交流電圧生成装置とを備え、
前記制御回路は、前記波形データに基づいて前記パルス電圧生成回路に対する制御を実行することにより、前記電位差が減少するように前記交流パルス電圧の前記デューティ比を変化させる電圧検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧の交流電圧を生成する交流電圧生成装置およびこの交流電圧生成装置を備えた電圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の交流電圧生成装置として、下記の特許文献1において従来技術として開示された交流電圧生成装置(高圧矩形波交流電源)が知られている。この交流電圧生成装置は、4つのスイッチ素子(例えばFET)で構成されたフルブリッジ回路と、フルブリッジ回路に接続されたトランスとを備えている。この交流電圧生成装置では、フルブリッジ回路が低電圧をスイッチングするスイッチング動作を繰り返すことにより、トランスの1次巻線間に低電圧の交流電圧を発生させ、トランスがこの低圧の交流電圧を高圧の交流電圧に変換して2次巻線から負荷に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−354831号公報(第1頁、第4−5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の交流電圧生成装置には、以下のような解決すべき課題が存在している。すなわち、この交流電圧生成装置では、生成可能な交流電圧が矩形波の交流電圧だけのため、任意の波形の高圧の交流電圧を生成することができないという解決すべき課題が存在している。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、任意の波形の高圧の交流電圧を生成し得る交流高電圧生成装置、およびこの交流高電圧生成装置を備えた電圧検出装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の交流電圧生成装置は、交流パルス電圧を出力するパルス電圧生成回路と、前記交流パルス電圧を整流することによって高圧直流電圧を生成する多段倍電圧整流回路と、前記多段倍電圧整流回路の出力端子と基準電位との間に接続された第1放電抵抗と、前記多段倍電圧整流回路の出力端子に一端が接続されたコンデンサと、前記コンデンサの他端と前記基準電位との間に接続された第2放電抵抗と、前記パルス電圧生成回路を制御して前記交流パルス電圧のデューティ比を変化させることにより、高圧直流成分に高圧交流成分が重畳された前記高圧直流電圧を前記多段倍電圧整流回路に生成させる制御回路とを備え、前記コンデンサで前記高圧直流成分を除去して前記高圧交流成分を交流電圧として生成する。
【0007】
請求項2記載の交流電圧生成装置は、請求項1記載の交流電圧生成装置において、前記第1放電抵抗は、前記高圧直流電圧を分圧して検出電圧として出力する分圧抵抗で構成され、前記制御回路は、前記検出電圧の平均値に基づいて前記パルス電圧生成回路に対する制御を実行して前記交流パルス電圧の前記デューティ比を変化させることにより、前記高圧直流成分の電圧値を予め規定された基準直流電圧値に維持する。
【0008】
請求項3記載の電圧検出装置は、検出対象に生じている検出対象交流電圧を検出する電圧検出装置であって、前記検出対象に対向して配設される検出電極と、第1の入力端子が基準電圧に規定されると共に、第2の入力端子が前記検出電極に接続されて、当該検出電極と当該第2の入力端子に接続された帰還回路とを含む経路において前記検出対象交流電圧と当該基準電圧との間の交流の電位差に応じた電流値で流れる検出電流を検出電圧信号に変換して出力する演算増幅器を有する電流電圧変換回路と、前記検出電圧信号を積分して前記電位差に応じて振幅が変化する積分信号を出力する積分回路と、前記積分信号を入力してサンプリングすることにより、当該積分信号の波形データを出力するA/D変換回路と、前記交流電圧を前記基準電圧として生成する請求項1または2記載の交流電圧生成装置とを備え、前記制御回路は、前記波形データに基づいて前記パルス電圧生成回路に対する制御を実行することにより、前記電位差が減少するように前記交流パルス電圧の前記デューティ比を変化させる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の交流電圧生成装置では、交流パルス電圧を出力するパルス電圧生成回路と、交流パルス電圧を整流することによって高圧直流電圧を生成する多段倍電圧整流回路と、第1放電抵抗と、コンデンサと、第2放電抵抗と、制御回路とを備え、制御回路がパルス電圧生成回路を制御して交流パルス電圧のデューティ比を変化させることにより、高圧直流成分に高圧交流成分が重畳された高圧直流電圧を多段倍電圧整流回路に生成させると共に、コンデンサが高圧直流電圧を除去して、高圧交流成分を出力する。
【0010】
したがって、この交流電圧生成装置によれば、交流パルス電圧のデューティ比を変化させることによって高圧直流電圧を任意に変化させることができるため、高圧直流電圧を構成する高圧交流成分の波形を任意に変化させることができ、これにより、任意の波形の高圧の交流電圧を生成することができる。
【0011】
請求項2記載の交流電圧生成装置では、制御回路が、高圧直流電圧を分圧した検出電圧の平均値に基づいて、パルス電圧生成回路に対する制御を実行して交流パルス電圧のデューティ比を変化させることにより、高圧直流成分の電圧値を予め規定された基準直流電圧値に維持する。したがって、この交流電圧生成装置によれば、高圧直流電圧を構成する高圧直流成分が例えば高圧交流成分の周期よりも長い周期で変動した場合に、この高圧直流成分の変動分が周期の長い交流電圧としてコンデンサを通過して、高圧交流成分と共に出力される事態(つまり、高圧の交流電圧がゆっくりと変動する事態)の発生を確実に防止することができる。
【0012】
請求項3記載の電圧検出装置によれば、基準電圧の波形を任意に変化させることができるため、検出対象に生じている高圧の検出対象交流電圧に正確に追従させることができる結果、検出対象交流電圧を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電圧検出装置1の構成図である。
図2図1の交流電圧生成装置23の回路図である。
図3】交流電圧生成装置23の動作を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、交流電圧生成装置およびこの交流電圧生成装置を備えた電圧検出装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、電圧検出装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示す電圧検出装置1は、非接触型の電圧検出装置であって、フローティング回路部2および本体回路部3を備え、検出対象(測定対象)4に生じている高圧の交流電圧V1(検出対象交流電圧)を非接触で検出(測定)可能に構成されている。本例では一例として、電圧検出装置1は、高圧(例えば、600V以上の電圧)の交流電圧(正弦波形状の交流電圧)が供給されている電線を検出対象4として、この交流電圧(一例として、AC600V)を交流電圧V1として測定する。
【0017】
フローティング回路部2は、図1に示すように、一例として、ガード電極11、検出電極12、電流電圧変換回路13、バッファアンプ14、A/D変換回路15および絶縁回路16を備えている。絶縁回路16は、本例では一例としてデジタルアイソレータで構成されて、1次側回路に入力されたデジタル信号を、1次側回路と電気的に絶縁された2次側回路から出力する。
【0018】
ガード電極11は、導電性材料(例えば金属材料)を用いて、フローティング回路部2における基準電圧部として構成されて、一例として、図1に示すように、その内部に、検出電極12の後段の回路から絶縁回路16までの回路、つまり、電流電圧変換回路13、バッファアンプ14、A/D変換回路15および絶縁回路16が収容されている。これにより、電流電圧変換回路13から絶縁回路16までがガード電極11に覆われた構成になっている。なお、ガード電極11で覆うべき部位は、検出電極12の後段の回路(検出電極12に接続される回路。本例では電流電圧変換回路13)から絶縁回路16の1次側回路まででよい。このため、絶縁回路16の2次側回路については、ガード電極11で覆われない構成とすることもできる。また、ガード電極11には開口部(孔)11aが形成されている。検出電極12は、例えば、平板状に形成されて、ガード電極11内における開口部11aを臨む位置に配設されている。
【0019】
電流電圧変換回路13は、図1に示すように、一例として、演算増幅器13a、抵抗13b,13cおよびコンデンサ13dを備えて、積分回路として構成されている。演算増幅器13aは、非反転入力端子(第1の入力端子)が抵抗13bを介してガード電極11に接続されると共に、反転入力端子(第2の入力端子)が検出電極12に直接接続され、かつ抵抗13cとコンデンサ13dとの並列回路が帰還回路として反転入力端子と出力端子との間に接続されている。
【0020】
この電流電圧変換回路13は、演算増幅器13aが後述する正電圧Vf+および負電圧Vf−の供給を受けて作動することにより、検出対象4の交流電圧V1とガード電極11の電圧(基準電圧)との電位差(交流の電位差。つまり、交流電圧V1の交流成分から基準電圧の交流成分を減算した電圧)Vdiに起因して、この電位差Vdiの大きさに応じた電流値で、かつ電位差Vdiの極性に応じた向きで検出対象4と検出電極12との間(具体的には、検出電極12と、抵抗13cおよびコンデンサ13dの並列回路とを含む経路)に流れる検出電流Iを積分して、積分信号V2として出力する。具体的には、電流電圧変換回路13は、検出対象4の交流電圧V1とガード電極11の電圧(基準電圧)との電位差Vdiの絶対値に比例した電圧値で、かつ電位差Vdiが正のとき(交流電圧V1がガード電極11の電圧以上のとき)に極性が負になり、電位差Vdiが負のとき(交流電圧V1がガード電極11の電圧未満のとき)に極性が正になる積分信号V2を生成して出力する。
【0021】
なお、上記の電流電圧変換回路13では、電位差Vdiに応じた電流値で検出対象4と検出電極12との間に流れる検出電流Iの電圧信号(検出電圧信号)への変換を実行すると共に、この電圧信号の積分(電位差Vdiに応じて振幅が変化する積分信号の出力)をも併せて実行する構成を採用しているが、図示はしないが、電流電圧変換回路では、検出対象4と検出電極12との間に流れる検出電流Iの電圧信号(検出電圧信号)への変換のみを実行し、この変換された電圧信号の積分は別途設けた積分回路で実行する構成を採用することもできる。
【0022】
バッファアンプ14は、高入力インピーダンス、かつ低出力インピーダンスのアンプで構成されて、電流電圧変換回路13から出力される積分信号V2を入力して低インピーダンスで出力する。A/D変換回路15は、A/Dコンバータで構成されて、バッファアンプ14から出力される積分信号V2を所定のサンプリング周期(交流電圧V1の周期に対して十分に短い周期)でサンプリングして、積分信号V2の電圧波形を示すデジタルデータ(波形データ)D1に変換して出力する。
【0023】
絶縁回路16は、本例では、上記したようにデジタルアイソレータを使用して構成されている。デジタルアイソレータは、デジタル信号を入出力間で電気的に絶縁して伝達するデバイスであって、例えば、フォトトランジスタやフォトカプラといった光絶縁式アイソレータを用いて構成されたものや、磁気結合式アイソレータを用いて構成されたものが存在する。この絶縁回路16は、A/D変換回路15から出力されるデジタルデータD1を電気的に絶縁されたデジタルデータD1aに変換して、配線W1を介して本体回路部3に出力する。
【0024】
本体回路部3は、図1に示すように、一例として、主電源回路21、DC/DCコンバータ(以下、単に「コンバータ」ともいう)22、交流電圧生成装置23および電圧計24を備えている。主電源回路21は、例えば、バッテリーを備えて構成されて、本体回路部3の各構成要素22,23,24を作動させるための電源電圧Vcc(基準電位としてのグランドGの電位を基準として生成される正の直流電圧)をそのバッテリーの直流電圧から生成して出力する。一例として、主電源回路21は、バッテリーから出力される直流電圧(例えば12V)から、10Vの電源電圧Vccを生成して出力する。
【0025】
コンバータ22は、一例として互いに電気的に絶縁された1次巻線および2次巻線を有する絶縁型のトランスと、このトランスの1次巻線を駆動する駆動回路と、トランスの2次巻線に誘起される交流電圧を整流平滑する直流変換部(いずれも図示せず)とを備えて、1次側に対して2次側が電気的に絶縁された絶縁型電源として構成されている。このコンバータ22では、駆動回路が、入力した電源電圧Vccに基づいて作動して、トランスの1次巻線を駆動することにより、トランスの2次巻線に交流電圧を誘起させる。また、直流変換部が、この交流電圧を整流して平滑する。これにより、コンバータ22は、そのトランスの2次巻線側の内部基準電位(内部グランド)を基準として、上記電圧(正電圧Vf+および負電圧Vf−)をフローティング状態(グランドGおよび電源電圧Vccと電気的に分離された状態)で生成する。このようにして生成された正電圧Vf+および負電圧Vf−は、上記の内部グランドがガード電極11に電気的に接続された状態で、フローティング回路部2に供給される。なお、正電圧Vf+および負電圧Vf−は、絶対値がほぼ同一で、極性が互いに異なる直流電圧として生成される。
【0026】
交流電圧生成装置23は、一例として、図2に示すように、パルス電圧生成回路31、多段倍電圧整流回路32、第1放電抵抗33、コンデンサ34、第2放電抵抗35および制御回路36を備え、任意の波形の交流電圧(電圧信号)V3を生成して、フローティング回路部2のガード電極11に印加する。
【0027】
パルス電圧生成回路31は、一例として、1次巻線41aおよび2次巻線41bを有するトランス41と、駆動回路42とを備えている。駆動回路42は、一例として、4つのスイッチング素子42a,42b,42c,42dがフルブリッジ接続されて構成されている。また、駆動回路42における電源電圧VccとグランドGとの間に直列接続された2つのスイッチング素子42a,42bの接続点と、同じく電源電圧VccとグランドGとの間に直列接続された2つのスイッチング素子42c,42dの接続点との間に、1次巻線41aが接続されている。この構成により、駆動回路42は、スイッチング素子42a,42dの組と、他のスイッチング素子42b,42cの組とが、制御回路36から出力される後述の駆動信号Sa,Sb(図3参照)により、交互にオン・オフ制御されることで、1次巻線41a間に電源電圧Vccを極性を変化させつつ印加する。これにより、パルス電圧生成回路31は、2次巻線41bから交流パルス電圧Vp(例えば、振幅が20Vの交流パルス電圧。図3参照)を出力する。なお、図示はしないが、駆動回路42については、2つのスイッチング素子をハーフブリッジ接続して構成したり、プッシュプル接続して構成したりすることもできる等、種々の公知の構成を採用することができる。
【0028】
多段倍電圧整流回路32は、一例として、図2に示すように、複数のダイオードと複数のコンデンサとを組み合わせて形成されたコッククロフト・ウォルトン回路で構成されている。この多段倍電圧整流回路32は、パルス電圧生成回路31で生成された交流パルス電圧Vpを整流することにより、高圧直流電圧Vhを生成して出力端子32aから出力する。本例では一例として、多段倍電圧整流回路32は、振幅が20Vの交流パルス電圧Vpを整流して、最大で1200V程度の高圧直流電圧Vhを生成可能に構成されている。
【0029】
第1放電抵抗33は、多段倍電圧整流回路32の出力端子32aとグランドGとの間に接続されている。また、第1放電抵抗33は、一例として直列接続された2つの抵抗33a,33bを有して構成されて、高圧直流電圧Vhを分圧して検出電圧Vdeとして出力する。また、第1放電抵抗33は、多段倍電圧整流回路32の負荷としても機能して、多段倍電圧整流回路32を構成する各コンデンサに蓄積された電荷を徐々に放電する。本例では、一例として、駆動信号Sa,Sbのデューティ比(0〜0.5)が約0.25の状態で各スイッチング素子42a,42b,42c,42dがスイッチング動作をしているときに、多段倍電圧整流回路32がパルス電圧生成回路31から供給されるエネルギーと、第1放電抵抗33によって放電されるエネルギーとがほぼ一致するように、第1放電抵抗33の抵抗値(本例では、抵抗33a,33bの合成抵抗値)が予め規定されている。
【0030】
コンデンサ34は、一端が多段倍電圧整流回路32の出力端子32aに接続されている。第2放電抵抗35は、コンデンサ34の他端とグランドGとの間に接続されて、高圧直流電圧Vhに含まれる後述の高圧交流成分Vhacの電位(平均電位)をグランドGの電位に規定する。また、コンデンサ34と第2放電抵抗35との接続点(コンデンサ34の他端)は、交流電圧生成装置23の出力端子Poに接続されている。
【0031】
制御回路36は、一例としてDSP(デジタル信号処理部)で構成されて、入力した検出電圧Vdeをその電圧波形を示すデジタルデータ(不図示)に変換する。また、制御回路36は、この変換したデジタルデータとフローティング回路部2から出力されるデジタルデータD1aとに基づいて、駆動信号Sa,Sb(図3に示すように、互いの位相が180°異なり、かつ同じデューティ比の信号)をそのデューティ比を制御しつつ生成してパルス電圧生成回路31に出力する。このようにして、制御回路36は、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御することによってパルス電圧生成回路31を制御して、パルス電圧生成回路31によって生成される交流パルス電圧Vpのデューティ比を変化させることが可能になっている。
【0032】
以上の構成により、交流電圧生成装置23は、単体として、例えば、制御回路36が交流パルス電圧Vpのデューティ比の制御を実行して、交流パルス電圧Vpのデューティ比を例えば図3に示すように周期的に変化させることにより、高圧直流成分Vhdcに高圧交流成分Vhacが重畳された高圧直流電圧Vh(図3参照)を多段倍電圧整流回路32に生成させることが可能であり、また、この高圧直流成分Vhdcをコンデンサ34でカットして高圧交流成分Vhacのみを出力端子Poから出力することにより、任意の波形の高圧交流電圧V3(つまり、高圧交流成分Vhac。図3参照)を出力端子Poから出力することが可能になっている。
【0033】
本例では一例として、交流電圧生成装置23が電圧検出装置1のフィードバックループ内に組み込まれているため、交流電圧生成装置23の制御回路36は、検出電圧Vdeに関する上記のデジタルデータに基づいて、高圧直流電圧Vhを算出すると共に、この高圧直流電圧Vhの平均値(高圧直流成分Vhdc)を所定の周期で算出し、この平均値が予め規定された基準直流電圧値で一定になるように(基準直流電圧値に維持されるように)駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御する直流成分制御処理を実行する。制御回路36は、この直流成分制御処理を実行して、高圧直流電圧Vhの平均値を基準直流電圧値に維持しているときには、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を平均して約0.25に維持する。
【0034】
また、制御回路36は、この直流成分制御処理と共に、フローティング回路部2から出力されるデジタルデータD1aがゼロに近づくように(つまり、フローティング回路部2の基準電圧であるガード電極11の電圧(高圧交流電圧V3)が検出対象4の交流電圧V1に近づくように、すなわち電位差Vdiが減少するように)、直流成分制御処理の実行の周期よりも十分に短い周期で駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御する交流成分制御処理を実行する。具体的には、この交流成分制御処理では、制御回路36は、デジタルデータD1aで示される積分信号V2の電圧値の極性が負のとき(交流電圧V1がガード電極11の電圧以上のとき)には、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を増加させて高圧交流電圧V3を上昇させ、デジタルデータD1aで示される積分信号V2の電圧値の極性が正のとき(交流電圧V1がガード電極11の電圧未満のとき)には、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を減少させて高圧交流電圧V3を低下させる交流成分制御処理を実行する。
【0035】
次いで、電圧検出装置1による検出対象4の交流電圧V1についての検出動作(測定動作)について説明する。なお、交流電圧V1は、AC600Vであるため、振幅は約1700Vであることから、上記の高圧直流電圧Vhの平均値に対する基準直流電圧値は、DC900V程度の一定の電圧に予め規定されているものとする。
【0036】
まず、検出電極12が検出対象4に非接触の状態で対向するように、フローティング回路部2(または電圧検出装置1全体)を検出対象4の近傍に位置させる。これにより、図1に示すように、検出電極12と検出対象4との間に静電容量C0が形成された状態になる。この場合、静電容量C0の容量値は、検出電極12と検出対象4の距離に反比例して変化するが、フローティング回路部2を一旦配設した後は、温度などの環境が一定の条件下においては一定の値になる。
【0037】
次いで、電圧検出装置1の起動状態において、本体回路部3の交流電圧生成装置23では、制御回路36が、上記した直流成分制御処理および交流成分制御処理を繰り返し実行している。この場合、制御回路36が、この直流成分制御処理を繰り返すことにより、検出電圧Vdeに関するデジタルデータに基づいて算出される高圧直流電圧Vhの平均値(高圧直流成分Vhdcの電圧値)を基準直流電圧値(DC900V)に維持している。
【0038】
この状態において、検出対象4の交流電圧V1と、ガード電極11の電圧(高圧交流電圧V3)との電位差Vdiの極性が正のとき(つまり、交流電圧V1が高圧交流電圧V3以上のとき)には、検出対象4から検出電極12を介して電流電圧変換回路13に検出電流Iが流れ込んでいる状態である。この場合、電流電圧変換回路13は、上記のガード電極11(基準電圧)に対して極性が負になる積分信号V2を出力する。A/D変換回路15は、この積分信号V2をデジタルデータD1に変換し、絶縁回路16は、このデジタルデータD1を電気的に絶縁されたデジタルデータD1aに変換して本体回路部3に出力する。
【0039】
本体回路部3の交流電圧生成装置23では、制御回路36は、上記した交流成分制御処理を実行することにより、フローティング回路部2から出力されるデジタルデータD1aで示される積分信号V2の電圧の極性が負であることを検出して、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を増加させる。これにより、交流パルス電圧Vpのデューティ比も同様にして増加して、パルス電圧生成回路31から多段倍電圧整流回路32に供給されるエネルギーが、第1放電抵抗33によって放電されるエネルギーよりも多くなる。このため、多段倍電圧整流回路32から出力される高圧直流電圧Vhの電圧値、ひいては交流電圧生成装置23から出力される高圧交流電圧V3(つまり、高圧交流成分Vhac)が上昇して、交流電圧V1に近づく(電位差Vdiが減少する)。
【0040】
一方、検出対象4の交流電圧V1と、ガード電極11の電圧(高圧交流電圧V3)との電位差Vdiの極性が負のとき(つまり、交流電圧V1が高圧交流電圧V3未満のとき)には、電流電圧変換回路13から検出対象4に検出電極12を介して検出電流Iが流出している状態である。この場合、電流電圧変換回路13は、上記のガード電極11(基準電圧)に対して極性が正になる積分信号V2を出力する。A/D変換回路15は、この積分信号V2をデジタルデータD1に変換し、絶縁回路16は、このデジタルデータD1を電気的に絶縁されたデジタルデータD1aに変換して本体回路部3に出力する。
【0041】
制御回路36は、上記した交流成分制御処理を実行することにより、フローティング回路部2から出力されるデジタルデータD1aで示される積分信号V2の電圧の極性が正であることを検出して、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を減少させる。これにより、交流パルス電圧Vpのデューティ比も同様にして減少して、パルス電圧生成回路31から多段倍電圧整流回路32に供給されるエネルギーが、第1放電抵抗33によって放電されるエネルギーよりも少なくなる。このため、多段倍電圧整流回路32から出力される高圧直流電圧Vhの電圧値、ひいては交流電圧生成装置23から出力される高圧交流電圧V3(つまり、高圧交流成分Vhac)が低下して、交流電圧V1に近づく(電位差Vdiが減少する)。
【0042】
この電圧検出装置1では、このようにして、電流電圧変換回路13、バッファアンプ14、A/D変換回路15、絶縁回路16および本体回路部3の交流電圧生成装置23がフィードバックループを構成して、高圧交流電圧V3の電圧値を上昇または低下させるフィードバック制御動作を実行することにより、ガード電極11の電圧(高圧交流電圧V3(高圧交流成分Vhac))を交流電圧V1に追従させる。電圧計24は、高圧交流電圧V3の実効値(基準電圧。ガード電極11の電圧)をリアルタイムで計測(検出)して表示する。したがって、この電圧計24に表示される数値を観測することにより、検出対象4の交流電圧V1が検出(測定)される。
【0043】
このように、この電圧検出装置1の交流電圧生成装置23では、交流パルス電圧Vpを出力するパルス電圧生成回路31と、交流パルス電圧Vpを整流することによって高圧直流電圧Vhを生成する多段倍電圧整流回路32と、第1放電抵抗33と、コンデンサ34と、第2放電抵抗35と、制御回路36とを備え、制御回路36がパルス電圧生成回路31を制御して交流パルス電圧Vpのデューティ比を変化させることにより、高圧直流成分Vhdcに高圧交流成分Vhacが重畳された高圧直流電圧Vhを多段倍電圧整流回路32に生成させると共に、コンデンサ34が高圧直流電圧Vhを除去して高圧交流成分Vhacを高圧交流電圧V3としてガード電極11に出力(印加)する。
【0044】
したがって、この交流電圧生成装置23によれば、交流パルス電圧Vpのデューティ比を変化させることによって高圧直流電圧Vhを任意に変化させることができるため、高圧直流電圧Vhを構成する高圧交流成分Vhacの波形を任意(図3に示すような正弦波形状だけでなく、図示はしないが、三角波形状や鋸歯形状(ランプ波形形状)や台形波形状)に変化させることができ、これにより、ガード電極11に出力(印加)する高圧交流電圧V3の波形を任意に変化させることができる。
【0045】
また、この交流電圧生成装置23を備えた電圧検出装置1によれば、ガード電極11に出力(印加)する高圧交流電圧V3の波形を任意に変化させることができるため、検出対象4に生じている高圧の交流電圧V1に正確に追従させることができる結果、交流電圧V1を正確に測定することができる。
【0046】
また、この交流電圧生成装置23では、制御回路36が、高圧直流電圧Vhを分圧した検出電圧Vdeの平均値に基づいて、パルス電圧生成回路31に対する制御を実行して交流パルス電圧Vpのデューティ比を変化させることにより、高圧直流成分Vhdcの電圧値を予め規定された基準直流電圧値に維持する。
【0047】
したがって、この交流電圧生成装置23によれば、高圧直流電圧Vhを構成する高圧直流成分Vhdcが例えば高圧交流成分Vhacの周期よりも長い周期で変動した場合に、この高圧直流成分Vhdcの変動分が周期の長い交流電圧としてコンデンサ34を通過して、高圧交流成分Vhacと共に出力される事態(つまり、高圧交流成分Vhacがゆっくりと変動する事態)の発生を確実に防止することができる。
【0048】
なお、上記の例では、電流電圧変換回路13を構成する演算増幅器13aの非反転入力端子を抵抗13bを介してガード電極11に接続し、反転入力端子を検出電極12に直接接続する構成を採用しているが、演算増幅器13aの非反転入力端子をガード電極11に直接接続し、反転入力端子を検出電極12に抵抗値(例えば、抵抗13cの抵抗値と比較して十分に小さな抵抗値。例えば数Ω〜数十Ω程度)の抵抗を介して間接に接続する構成を採用することもできる。また、上記の例では交流電圧生成装置23を電圧検出装置1に適用しているが、交流電圧生成装置23はこの電圧検出装置1以外の他の測定装置や計測装置に使用することができる。また、交流電圧生成装置23を単独で使用して、任意の波形の高圧交流電圧V3を生成する波形生成装置に適用することもできる。
【0049】
また、上記の交流電圧生成装置23の構成では、フローティング回路部2において、A/D変換回路15が電流電圧変換回路13から出力される積分信号V2(上記の例ではバッファアンプ14から出力される積分信号V2)をデジタルデータD1に変換し、絶縁回路16がこの変換されたデジタルデータD1を本体回路部3に出力する構成を採用しているが、フローティング回路部2において、電流電圧変換回路13から出力される積分信号V2を絶縁回路16がアナログ信号のまま本体回路部3に出力する構成を採用することもできる。この構成においても、本体回路部3側において、例えば制御回路36が、この積分信号V2をデジタルデータに変換することにより、変換したデジタルデータと、検出電圧Vdeの電圧波形を示すデジタルデータとに基づいて、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御することができる。また、制御回路36が、フローティング回路部2から出力されたアナログ信号としての積分信号V2と、アナログ信号としての検出電圧Vdeとに基づいて、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御する構成を採用することもできる。
【0050】
また、上記の交流電圧生成装置23の構成では、制御回路36は、入力した検出電圧Vdeの電圧波形を示すデジタルデータと、フローティング回路部2から出力されるデジタルデータD1aとに基づいて、駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御(フィードバック制御)しているが、交流電圧生成装置23を単体で使用して、任意の波形の高圧交流電圧V3(つまり、高圧交流成分Vhac)を生成させる場合には、制御回路36が、予め規定されたパターンで駆動信号Sa,Sbのデューティ比を制御して、高圧交流電圧V3(つまり、高圧交流成分Vhac)を生成させる構成(検出電圧VdeやデジタルデータD1aに基づく駆動信号Sa,Sbのデューティ比の制御を行わない構成。オープンループ制御する構成)を採用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 電圧検出装置
4 検出対象
12 検出電極
13 電流電圧変換回路
15 A/D変換回路
23 交流電圧生成装置
31 パルス電圧生成回路
32 多段倍電圧整流回路
33 第1放電抵抗
34 コンデンサ
35 第2放電抵抗
36 制御回路
32a 出力端子
34 コンデンサ
G 基準電位
V1 交流電圧
Vde 検出電圧
Vh 高圧直流電圧
Vp 交流パルス電圧
図1
図2
図3