(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959396
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ネイルケアー用フィンガーボール
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20160719BHJP
A45D 29/16 20060101ALI20160719BHJP
A45D 31/00 20060101ALI20160719BHJP
A61H 35/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
A45D29/00
A45D29/16
A45D31/00
A61H35/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-221958(P2012-221958)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-73224(P2014-73224A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500011263
【氏名又は名称】株式会社ナチュラルフィールドサプライ
(74)【代理人】
【識別番号】100077470
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 冨二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067116
【弁理士】
【氏名又は名称】立川 登紀雄
(72)【発明者】
【氏名】川本 浩司
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−311892(JP,A)
【文献】
特表2006−504449(JP,A)
【文献】
実開平04−009193(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
A45D 29/16
A45D 31/00
A61H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体は周壁に囲まれた内側底部から周囲に第1貯液空間を残して周壁の一部に向けて盛り上がった形状となった手の平を置くための膨出部を有するネイルケア用のフィンガーボールにおいて、該容器本体は上下逆向きにも載置可能とし、上下逆向きに載置した際、前記膨出部の裏面側が椀状の第2貯液空間を形成することを特徴とするネイルケアー用フィンガーボール。
【請求項2】
容器本体が樹脂製で一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載のネイルケアー用フィンガーボール。
【請求項3】
容器本体が、2枚の金属板に膨出部や貯液空間をプレス成形したものを、間に空隙を有して重ね合わせて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のネイルケアー用フィンガーボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、付け爪の除去や指先のケアーに使用するネイルケアーに使用されるフィンガーボールに関し、更に詳しくは、表裏2通りの使用態様を有するリバーシブルタイプのネイルケアー用フィンガーボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に爪に付着したルーズスキンや汚れを効率よく除去するため、フィンガーボールを使用し、このボールにお湯を入れてマニキュアソーク等を滴下し、前記お湯に指先を漬けることでルーズスキンや汚れを除去することが行われている。
【0003】
また、近年では、フィンガーボールの使い方が発展し、その素材をポリプロピレンのような溶剤に強いものにし、その中にアセトンのような溶剤を入れ、これに指先を漬けることで、施術した付け爪を取外す目的で使用したり、また、指先のケアーのため、フィンガーボールに注入したお湯にケアー用薬剤を入れ、このケアー用薬剤が発泡している間お湯に指先を漬け、甘皮を取りやすくしたり、指先に対して塗布するケアー薬剤の浸透性をよくしたりすることが行われている。
【0004】
以上のように、現在フィンガーボールといえば、ネイルケアーの必修アイテムとなっている。しかし歴史上では、フィンガーボールというと、元々、食卓等に置き指先を洗うものとして使用されるお椀の形状のものが古くから使われてきた。
【0005】
ネイルケアーにおいては、特にお椀型に限定せず、長い時間使用することを考え手のひらをレストしながら指先だけを液体(お湯など)に浸ける形状のものへと進化して、その形状が現在ネイルケアー用のフィンガーボールとしては一般的に普及してきた。
【0006】
例えば、
図5に示すように、材料に合成樹脂を用い、上部が開口する容器本体2の内部に、周囲に貯液空間3を残して底部から上部外周の一部に向けて碗状に盛り上がる膨出部4を設け、この膨出部4の貯液空間3に望む外面に指を沿わせるための上下方向の凹部5を五指の配置に合わせて形成した構造になっている。
【0007】
上記
図5に示す形状のフィンガーボールに関し、出願人は以前に、付け爪の除去や指先のケアーに用いる溶剤や薬剤を湯煎によって加温することができ、しかも、密閉容器による保温効果によって適温を長く維持し、甘皮の除去、付け爪の除去や指先のケアーの効率を向上させることが可能となる密閉式二重構造のフィンガーボールを提供した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4680666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1をはじめとする
図5に示す形状のフィンガーボールは、確かに、手の平をレスト出来るのと、液量の節約ができること等から利点が多く理にかなうものだが、一部のネイリストは指先をネイルブラシ等で洗浄することに重点を置くことから、従来からある一般的なお椀型のフィンガーボールを使用している。
【0010】
そこで、この発明は、1つのフィンガーボールにおいて、手の平をレストしながら楽に使用できる態様と、従来の一般的なお椀型として使用できる態様との2つの態様を使い分けて使用できるフィンガーボールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するため、発明者は、一つのフィンガーボールの表と裏を使い分けることで、どちらのニーズにも答えることのできるリバーシブルタイプのフィンガーボールを発明した。
【0012】
即ち、この発明は、容器本体は周壁に囲まれた内側底部から周囲に第1貯液空間を残して周壁の一部に向けて盛り上がった形状となった手の平を置くための膨出部を有するネイルケア用のフィンガーボールにおいて、該容器本体は上下逆向きにも載置可能とし、上下逆向きに載置した際、前記膨出部の裏面側が椀状の第2貯液空間を形成することを特徴とするネイルケアー用フィンガーボールである。
【0013】
この発明のフィンガーボール容器本体の素材は、特に限定されないが、樹脂(溶剤にはPP樹脂、通常のお湯等にはABS樹脂など)あるいはステンレスといった金属のいずれにも対応するものであるが、金属の場合は、樹脂のように厚みを確保するのが難しいことから
図3のように2枚の金属板に膨出部や貯液空間をプレス成形したものを、間に空隙を有して重ね合わせて保温ボトルのような二重構造として(
図3参照)、二通りの使用の利便性に保温性も確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明のネイルケア用フィンガーボールによると、手の平をレストしながら楽に使用できたり、液量の節約ができる使用態様と、指先をネイルブラシ等で洗浄できる従来の一般的なお椀型として使用できる態様との2つの使用態様を、1つのフィンガーボールで兼用することができるので、2つの形状のものを揃えるコストの低減や、スペース効率の向上を図ることができる。
【0015】
また、容器本体が樹脂製で一体成形されたものは、溶剤にはPP樹脂、通常のお湯等にはABS樹脂など用途により材質を選択して形成できると共に樹脂による保温効果があり、貯液空間に溜まるネイルケア用の溶剤等を温めた状態を維持できる。
【0016】
更に、容器本体が2枚の金属板に膨出部や貯液空間をプレス成形したものを、間に空隙を有して重ね合わせて形成したものも、空隙の存在により貯液空間に溜まるネイルケア用の溶剤や薬剤等の保温効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のフィンガーボールの表側を上にした状態の斜視図である。
【
図2】本発明のフィンガーボールの使用状態の斜視図である。
【
図4】本発明のフィンガーボールの裏側を上にした状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明のフィンガーボールを添付図面の
図1乃至
図4に基づいて説明する。
図1は、この発明のフィンガーボール10の一例を示すもので、容器本体11は金属製であり、2枚の金属板をプレス成形したものを、間に空隙を有して重ね合わせて形成したものである。
【0019】
容器本体11は、底壁と周壁12で囲まれた上面開放の略矩形状であるが、手のひらと折り曲げた五指が収まる程度の平面的な大きさと、指の長さが納まる程度の深さを有する形状に形成され、周壁12の一方前端部は、手の指の配置に合わせて上から見て略半円状の曲面となっており、その他の部分もなめらかな曲面で各面が連続して、極力、無骨さを排除した形状をしている。
【0020】
また、この容器本体11の底部から連なって後方の周壁12に向けて、上面に手のひらを載せることができる碗状に盛り上がり、下部が周壁12との間に第1貯液空間13を形成する膨出部14が形成され、この膨出部14の第1貯液空間13に臨む外面に指を沿わせるための上下方向の凹部15が五指の配置に合わせて設けられている。
【0021】
この発明のフィンガーボール10は、上記のような構成であり、容器本体11内に、甘皮の除去や付け爪の除去及び指先のケアー等に用いるアセトン等の溶剤や薬剤aを入れれば、底部上の第1貯液空間13に該溶剤や薬剤aが貯まる。
【0022】
この状態で、
図2に示すように、膨出部14の上面に人の手bの手のひらを載せ、凹部15に沿わせた指先を第1貯液空間13の溶剤や薬剤aに浸漬させれば、付け爪やマニキュアの除去及び指先のケアー等が行える。
【0023】
なお、この実施形態では、
図3の断面図に示すように、容器本体11は金属製でプレスした2枚の金属板を17、18を間に空隙19を存して重ね合わせて形成してあり、この空隙19により溶剤や薬剤が保温され、溶剤や薬剤の効果を最大限に引き出すことができるし、長時間にわたってその効果を維持できる。
【0024】
図4は、容器本体11を上下逆に載置したものであり、
図3の断面図で示したように、表側の膨出部14に対応する位置に、第2貯液空間16が形成されている。
【0025】
この第2貯液空間16は、通常の椀状の略半球凹形状となっているので、一部のネイリストが求めている、指先をネイルブラシ等で洗浄する等の使用態様に適する。
【0026】
この発明の1例の実施形態は上記のようなものであるが、この発明が適用できるネイルケア用フィンガーボールは、上記実施形態のものに限定されるものではなく、この発明の目的の範囲内にて種々の形状のものや、種々の材質のものに適用できるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
10 フィンガーボール
11 容器本体
12 周壁
13 第1貯液空間
14 膨出部
16 第2貯液空間