(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管を流れる流体の流量を配管の表面から計測する技術では、例えば、配管の外側に伝熱部(例えば、ヒータ)を設置し、伝熱部近傍の液体の温度分布の変化を検出して、消費熱量を基にして流量を計測する。ここで、伝熱部を使用して流量を計測する流量計測装置では、計測中、常に伝熱部によって熱を付与し続ける必要がある。そのため、計測中の消費電力が増加し、計測ランニングコストの増加が懸念される。この問題は、計測を長期に亘って行う場合や、流量計測装置を配管に常設用として取り付けて計測を行う場合に特に顕著となる。計測中の消費電力の増加を抑制する方法として、伝熱部の動作のタイミングを制御することが考えられる。例えば、計測時間が近づいてきたら伝熱部を動作させて配管の表面に熱を付与し、計測終了後に伝熱部を停止させるといった制御が考えられる。具体的には、伝熱部の動作のタイミングを制御する上では、以下の条件を満たすことが好ましい。一つ目の条件として、伝熱部が動作後、温度が安定するまでの時間が短いことが挙げられる。二つ目の条件として、伝熱部を停止後、放熱時間が短いことが挙げられる。三つ目の条件として、伝熱部を配管へ取り付けた際、伝熱部から配管への圧力(以下、取り付け圧力ともいう)が一定であることが挙げられる。また、四つ目の条件として、再現性があることが挙げられる。配管の表面には、微小な凹凸が存在するため、取り付け圧力が変化しやすい。取り付け圧力が変化すると、配管の表面と伝熱部との接触面積が変化し、これに伴い配管・流体側に奪われる熱量が変化する。奪われる熱量が変化すると、流量計
としての特性、すなわち計測精度に影響を及ぼすことが懸念される。
【0006】
上記の問題に鑑み、本発明は、伝熱部による加熱後の温度の安定性、及び伝熱部の停止後における放熱性に優れ、伝熱部から配管への圧力を一定化でき、更に、温度の安定性、放熱性、圧力の一定性を含む特性が使用者の熟練度によって変化しない技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するため、テープ状の伸縮部の張力を利用して伝熱部を押さえることとした。
【0008】
詳細には、本発明に係る固定装置は、配管の長手方向に沿って設置され、当該長手方向と直交する方向において所定の間隔を空けて対向する対向部と、当該対向部を支持する支持部を含む本体部と、前記対向部の配管側の端部に、当該対向部を跨ぐように張られた、伸縮性のあるテープ状の伸縮部であって、前記配管の表面に熱を付与することで配管内を流れる流体に熱を伝達する伝熱部を前記配管の表面に固定する伸縮部と、を含む固定治具と、前記固定治具が前記配管の表面に取り付けられた状態で、当該固定治具を前記配管に対して取り外し自在に保持する保持具と、を備える。
【0009】
本発明に係る固定装置によれば、伸縮部の張力を利用して伝熱部を配管の表面に固定することができる。伸縮部の張力を利用して伝熱部を押さえることで、伝熱部が配管の表面と密着する。そのため、伝熱部からの熱が効率よく配管の表面に伝達され、伝熱部による加熱後の温度の安定性を確保することができる。また、テープ状の伸縮部は、外部に露出する表面積が広く、また薄いために熱容量が小さいことから、伝熱部の停止後における放熱を効率よく行うことができる。また、伸縮部のテープ面で伝熱部を押さえることができ、伝熱部から配管への圧力を一定化することができる。更に、使用者は、固定治具を配管の表面に押さえつけて、保持具で保持するだけでよいことから、温度の安定性、放熱性、圧力の一定性を含む特性が使用者の熟練度によって変化することもない。伝熱部は、その発した熱を配管や流体に伝達させることができればよいため、伝熱部が付与する熱は、温熱、冷熱の何れでもよい。また、伸縮部は、伝熱部以外のもの、例えば温度センサを固定してもよい。
【0010】
対向部は、支持部で支持されることから、伝熱部を一定の圧力で配管の表面に押さえることができる。なお、対向部と支持部は別部材で構成してもよく、また、同一部材で一体的に構成してもよい。すなわち、本体部は、複数の部材を組み合わせることで構成してもよく、また、一の部材を成型することで構成してもよい。
【0011】
また、本発明に係る固定装置は、前記伸縮部の表面を覆う保温部を更に備える構成としてもよい。表面とは、配管の表面と接する面と反対側の面を意味する。保温部を更に備えることで、伸縮部の表面の結露の発生を抑制することができる。その結果、結露の発生により配管側に伝わる熱量が減少するのを抑制することができる。また、伝熱部による加熱時に熱が伸縮部の表面側から放熱するのを抑制することができる。その結果、より効率よく配管へ熱を伝達することができる。
【0012】
また、前記本体部は、その内部に中空部を有する構成としてもよい。中空部が形成されることで、例えば配管の径が小さい場合に懸念される、保温部の上面(表面)と支持部の下面との接触を抑制することができる。換言すると、中空部を形成することで、保温部が配管の形状に応じて自由に変形することができ、伝熱部と配管の表面をより密着させることができる。
【0013】
また、本発明に係る固定装置において、前記配管は磁性体によって構成され、前記保持具は磁石としてもよい。配管が鉄や鋼などの磁性体によって構成されている場合、保持具を磁石とすることで、固定治具を容易に配管に固定することができる。磁石は、例えば、対向部の端部に沿って配置することができる。なお、配管が非磁性体によって構成されている場合、固定部は、例えば面ファスナや粘着テープによって構成してもよい。
【0014】
ここで、本発明は、固定方法として特定することもできる。具体的には、本発明に係る固定方法は、配管の表面に熱を付与することで配管内を流れる流体に熱を伝達する伝熱部を固定する固定方法であって、前記配管の長手方向に沿って設置され、当該長手方向と直交する方向において所定の間隔を空けて対向する対向部の配管側の端部に、当該対向部を跨ぐように伸縮性のあるテープ状の伸縮部を張り、当該伸縮部で前記伝熱部を押さえて当該伝熱部を固定し、前記伝熱部が前記配管の表面に固定された状態で、前記対向部と前記伸縮部を含む固定治具を前記配管に対して取り外し自在に保持する。
【0015】
本発明に係る固定方法によれば、伸縮部の張力を利用して伝熱部を配管の表面に容易に固定することができる。使用者は、本体部を配管の表面に押さえつけて保持するだけでよいことから、温度の安定性、放熱性、圧力の一定性を含む特性が使用者の熟練度によって変化することもない。
【0016】
ここで、本発明は、上述した固定装置を含む流量計測装置として特定することもできる。具体的には、本発明は、配管を流れる流体の流量を計測する流量計測装置であって、前記配管を流れる流体の温度を計測する第一温度センサと、前記第一温度センサよりも流体の流れの下流側、かつ該第一温度センサと所定の間隔を空けて設けられ、前記配管の表面に熱を付与することで配管内を流れる流体に熱を伝達する伝熱部と、前記配管の表面の前記伝熱部設置位置における温度を計測する第二温度センサと、前記伝熱部が前記配管の表面に付与した熱量と、前記第一温度センサにより計測された温度と前記第二温度センサにより計測された温度との温度差と、に基づいて前記配管を流れる流体の流量を算出する処理部と、前記配管の長手方向に沿って設置され、当該長手方向と直交する方向において所定の間隔を空けて対向する対向部と、当該対向部を支持する支持部を含む本体部と、前記対向部の配管側の端部に、当該対向部を跨ぐように張られた、伸縮性のあるテープ状の伸縮部であって、少なくとも前記伝熱部を前記配管の表面に固定する伸縮部と、を含む固定治具と、前記固定治具が前記配管の表面に取り付けられた状態で、当該固定治具を前記配管に対して取り外し自在に保持する保持具とを備える。
【0017】
本発明に係る流量計測装置によれば、配管の外部から配管を流れる流体の流量を計測することができる。そのため、測定用の配管や、測定用のバイパス管を別途設ける必要はなく、また測定のために配管に孔をあける必要もない。つまり、本発明に係る流量計測装置では、配管自体を加工することなく、配管を流れる流体の流量を計測することができる。また、例えば特許文献1に記載の従来技術と比較して、温度測定箇所間の距離を短くすることができる。
【0018】
ここで、本発明に係る流量計測装置において、前記伸縮部には、前記第二温度センサを設けるようにしてもよい。第二温度センサを伸縮部に設けることで、伝熱部設置位置における温度を正確に計測することができる。なお、前記伸縮部に、前記第一温度センサと前記第二温度センサの両方を設けるようにしてもよい。
【0019】
伝熱部は、伝熱部が設置された位置の配管表面温度が第一温度センサにより計測された流体の温度よりも一定温度高くなるよう熱を加えることができる。配管及び流体に加えられた熱、換言すると伝熱部からの放熱量と、配管を流れる流体の流速と、流体温度と配管表面温度との温度差と、の間には一定の関係があることが知られており、流体温度と配管
表面温度との温度差を一定にすれば、放熱量から流体の流速を算出することが可能となる。そこで、処理部では、例えば伝熱部が加える放熱量から配管を流れる流体の流速を算出し、算出した流速と配管の断面積とを掛け合わせることで、流体の流量の算出が可能となる。
【0020】
ここで、本発明に係る流量計測装置は、前記伝熱部が付与する熱量を一定とし、前記処理部は、前記第一温度センサで計測された流体の温度と前記第二の温度センサで計測された配管表面温度との温度差と、前記熱量とに基づいて前記配管を流れる流体の流量を算出するようにしてもよい。
【0021】
本発明では、伝熱部が付与する熱量を一定としたので、二つの温度センサによって得られる温度差に基づいて、配管を流れる流体の流量を算出することができる。伝熱部が加える熱量は一定でよいため、伝熱部による伝熱の処理負担が軽減される。
【0022】
ここで、本発明は、流量計測方法として特定することもできる。例えば、本発明は、配管を流れる流体の流量を計測する流量計測方法であって、前記配管の表面に熱を付与することで配管内を流れる流体に熱を伝達する伝熱部を上述した固定治具で固定するステップと、前記配管を流れる流体の温度を計測する第一温度センサにより、前記配管の表面温度を計測する温度計測ステップと、前記第一温度センサよりも流体の流れの下流側に該第一温度センサと所定の間隔を空けて設けられ、前記配管の表面の前記伝熱部設置位置における温度を計測する第二温度センサにより、前記配管の表面温度を計測する温度計測ステップと、前記伝熱部により、前記配管の表面に熱を付与する配管表面加熱ステップと、前記伝熱部が前記配管の表面に付与した熱量と、前記第一温度センサにより計測された温度と前記第二温度センサにより計測された温度との温度差と、に基づいて前記配管を流れる流体の流量を算出する処理部により、前記配管を流れる流体の流量を算出する処理ステップと、を備える。
【0023】
本発明に係る流量計測方法によれば、配管の外部から配管を流れる流体の流量を計測することができる。そのため、測定用の配管や、測定用のバイパス管を別途設ける必要はなく、また測定のために配管に孔をあける必要もない。つまり、本発明に係る流量計測方法によれば、配管自体を加工することなく、配管を流れる流体の流量を計測することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、伝熱部による加熱後の温度の安定性、及び伝熱部の停止後における放熱性に優れ、伝熱部から配管への圧力を一定化でき、更に、温度の安定性、放熱性、圧力の一定性を含む特性が使用者の熟練度によって変化しない技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0027】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る固定装置の斜視図を示す。
図2は、第一実施形態に係る固定装置により、ヒータ2、及び第二温度センサ9を固定する様子を示す。第一実施形態に係る固定装置200は、アングル201、プレート状のベース部材202、テープ203を備え、テープ203の裏面側でヒータ2を押さえて、ヒータ2を配管10に固定する。テープ201の裏面側とは、配管10側の面を意味する。アングル201とプレート状のベース部材202は、本発明の本体部を構成する。アングル201、プレート状のベース部材202、及びテープ203は、本発明の固定治具を構成する。
【0028】
アングル201は、本発明の対向部に相当し、配管10の長手方向に沿って設置され、この長手方向と直交する方向(配管10の幅方向)において所定の間隔を空けて対向するように設置される。所定の間隔は、ヒータ2の幅よりも大きければよく、適宜設計することができる。第一実施形態のアングル201は、断面がL字状であり、長手方向の長さがヒータ2よりも長く設計されている。また、アングル201の起立面は、所定の高さを有しており、これにより、固定装置200を配管10に設置した際、アングル201、プレート状のベース部材202、配管10との間に中空部が形成される。中空部が形成されることで、テープ203が配管10の形状に応じて自由に変形することができる。その結果、ヒータ2と配管10の表面をより密着させることができる。所定の高さは、テープ203が配管10の形状に応じて自由に変形できるよう、配管10の形状に応じて適宜設計することができる。アングル201は金属やプラスチックなどの硬質な素材により形成することが好ましい。
【0029】
プレート状のベース部材202は、本発明の支持部に相当し、長方形の板部材によって構成され、アングル201を支持する。詳細には、長方形の2本の長辺の夫々に沿って、アングル201が接続される。アングル201は、アングルの起立面が配管10の幅方向の内側に位置する態様、
図1等に示すように、アングルの起立面が配管10の幅方向の外側に位置する態様の何れでもよい。
図1等に示すように、アングル201の起立面が配管10の幅方向の外側に位置するようにアングル201を配置することで、アングル201同士の間に形成される所定の間隔を広くすることができ、アングル201同士の間に設置されるヒータ2の設置スペースを広くとることができる。プレート状のベース部材202も、アングル201と同じく、金属やプラスチックなどの硬質な素材により形成することが好ましい。なお、本実施形態では、アングル201とプレート状のベース部材202を別構成としたが、これらは、一体構成としてもよい。また、アングル201に代えて、本発明の対向部として、単なるプレートを用いてもよい。
【0030】
テープ203は、本発明の伸縮部に相当し、ヒータ2、及び第二温度センサ9を押さえる。詳細には、テープ203は、伸縮性及び耐熱性を有し、アングル201の配管10側の端部に、2本のアングル201を跨ぐように一定の張力で張られている。一定の張力は、テープ203が配管10の曲面に沿って湾曲し、かつ、ヒータ2を押さえることができる程度であればよい。テープ203には、ポリィミドテープ、ポリウレタンフィルムテープが例示される。なお、テープ201は、ヒータ2のみを押さえるものでもよい。
【0031】
ヒータ2は、本発明の伝熱部に相当し、電源(図示せず)と電気的に接続され、配管10の表面を加熱する。ヒータ2は、配管10の形状に沿って変形自在であることが好まし
く、例えばフィルムヒータ或いはラバーヒータによって構成することができる。
【0032】
第二温度センサ9は、流量を算出する処理装置(図示せず)と電気的に接続されるとともに、ヒータ2の下部に設置され、ヒータ2の下部における配管10の表面温度を計測する。第二温度センサ9は、配管10の形状(第一実施形態では曲面)に沿って変形自在であることが好ましく、例えばフィルム型温度センサによって構成することができる。また、第二温度センサ9は、配管表面に沿って充分に変形自在な程度に素線の径が細ければ、熱電対であってもよい。なお、
図2、
図3では、説明の便宜上、第二温度センサ9が強調して記載されている。実際には、第二温度センサ9の厚みは、ヒータ2よりも大幅に薄くすることができる。また、第二温度センサ9はヒータ2の下部に、例えばアルミテープ等で固定することが出来る。
【0033】
固定装置200と配管10との固定には、粘着テープ、磁石等を用いることができる。
図3に示すように、粘着テープ204による場合、固定装置200と配管10を粘着テープ204で縛ることで、固定装置200を配管10に固定することができる。
図4に示すように、磁石6による場合、アングル201の起立面に磁石6を取り付け、磁力を利用して固定することができる。
図4に示す例では、配管10の形状に合わせて、磁石6の断面形状を台形に加工しているが、配管10の径が大きい場合には、磁石6の断面形状は、正方形や長方形でもよい。また、固定装置200と配管10との固定には、公知の結束バンドや面ファスナを用いてもよい。
【0034】
[固定方法]
次に固定方法について説明する。固定装置200を配管10に固定する際は、アングル201の長手方向と配管10の長手方向が一致するようにする。これにより、テープ203に発生する反力が一定となり、再現性が確保される。ここで、
図5は、固定装置の固定状態を説明する図を示す。
図5(a)は、正常に固定した状態、すなわち、テープ203が配管10の曲面に沿って変形してヒータ2を配管10表面に密着させた状態を示し、
図5(b)は、正常に固定できなかった状態を示す。
図5(a)に示すように、アングル201の長手方向と配管10の長手方向が一致するように固定した状態が正常に固定した状態である。一方で、
図5(b)に示すように、アングル201の長手方向と配管10の長手方向が一致していない状態が正常に固定できなかった状態である。この場合、固定装置200のアングル201が配管10の表面から浮いてしまい安定しなくなる。換言すると、固定装置200を配管10に固定する際、固定装置200が正常に固定されているかどうかは、固定装置200が安定し、ぐらつきが無いかどうかを確認することで判断することができる。なお、ヒータ2は、予めテープ203の裏面に取り付けておくことが好ましいが、配管10の表面に配置しておいてもよい。固定装置200を配管に固定したら、固定状態を維持できるよう、粘着テープ204等により固定する。以上により、固定装置200を配管に固定することができる。
【0035】
[効果]
第一実施形態に係る固定装置200によれば、テープ203の張力を利用してヒータ2を配管10の表面に固定することができる。テープ203の張力を利用してヒータ2を固定することで、テープ203の面で、ヒータ2を押さえることができ、ヒータ2が配管10の表面と密着する。そのため、ヒータ2からの熱が効率よく配管10の表面に伝達され、ヒータ2による加熱後の温度の安定性を確保することができる。また、テープ203は薄く、露出する表面積も多いことから、ヒータ2の停止後における放熱を効率よく行うことができる。また、テープ203の面でヒータ2を押さえることで、ヒータ2から配管10への圧力を一定化することができる。更に、使用者は、アングル201の長手方向と配管10の長手方向とを一致させた状態でテープ203を配管10の表面に押さえつけるだけでよいことから、温度の安定性、放熱性、圧力の一定性を含む特性が使用者の熟練度に
よって変化することもない。換言すると、第一実施形態に係る固定装置200は、再現性にも優れている。
【0036】
<第二実施形態>
[構成]
第二実施形態では、第一実施形態に係る固定装置200を流量計測装置に用いる場合について説明する。
図6は、第二実施形態に係る流量計測装置の概略構成を示す。第二実施形態に係る流量計測装置103は、固定装置200´、第一温度センサ1、ヒータ2、第二温度センサ9、電流計3、出力調整器8、処理装置20を備える。この流量計測装置103は、固定装置200´が鋼鉄製の配管10に設置され、配管10を流れる流体(冷水、温水)の流量を計測する。配管10の断面形状は、円形に限定されず、例えば矩形であってもよい。また、流体は、水以外の液体、又は気体でもよい。
【0037】
第二実施形態に係る固定装置200´は、第一実施形態に係る固定装置200よりも長く設計され、テープ203の裏面には、第一温度センサ1が更に設けられている。テープ203の裏面とは、配管10と接する側の面を意味する。
【0038】
第一温度センサ1は、配管10の形状(第一実施形態では曲面)に沿って変形自在であることが好ましく、例えばフィルム型温度センサによって構成することができる。第一温度センサ1は、第二温度センサ9から離れた位置で配管10の表面温度を計測し、間接的に流体の温度を計測する。第一温度センサ1は、固定装置200´と異なる手段で固定してもよいが、第一温度センサ1を固定装置200´のテープ203に設けることで、第一温度センサ1と第二温度センサとの距離が一定に保たれる。そのため、取り付け作業者の熟練度によって計測値が変化することがない。また、第一温度センサ1と第二温度センサ9とがアングル201の長手方向に沿って並ぶように予め配置しておけば、配管10に設置した際に配管の軸方向(即ち配管内の流体が流れる方向)に沿って並んで配置されるので、取り付け作業者の熟練度によって計測値が変化することがない。
【0039】
ヒータ2は、処理装置20を介して電源(図示せず)と電気的に接続され、配管10の表面を加熱する。詳細には、ヒータ2は、第一温度センサ1よりも流体の流れ方向の下流側、かつ第一温度センサ1と所定の間隔を空けてテープ203の裏面に設置され、配管10の表面と接することで、配管10の表面を加熱し、間接的に流体を加熱する。ヒータ2と第一温度センサ1との間隔は、第一温度センサ1がヒータ2の熱の影響を受けない距離として決定することができる。本実施形態では、ヒータ2を設置した位置の温度(第二温度センサ9により計測される温度)が、第一温度センサ1で計測された温度に一定の値を加算した温度になるよう設計されている。例えば、5℃加算する場合、第一温度センサ1で計測された温度が10℃であれば、15℃になるように加熱する。ヒータ2も、第一温度センサ1と同じく、配管10の形状に沿って変形自在であることが好ましく、例えばフィルムヒータ或いはラバーヒータによって構成することができる。
【0040】
第二温度センサ9は、処理装置20と電気的に接続されるとともに、ヒータ2の下部に設置され、ヒータ2の下部における配管10の表面温度を計測する。この温度が設定された値となるようにヒータ2の出力を出力調整器8により調整することで、上述のように配管10の表面を任意の温度に加熱することができる。ヒータ2の出力の調整は、例えばヒータ2の電圧値、電流値または電力値を制御することにより調整し、本実施形態では電圧を一定として電流値を制御することにより調整する。第二温度センサ9は、第一温度センサ1と同様の構成とすることができる。
【0041】
保温材205は、テープ203の表面に貼り付けられ、例えば配管10内を冷水や冷温水などの低温流体が流れるような場合に発生する結露により配管10側に伝わる熱量が減
少するのを抑制する。保温材205を貼り付ける場合、アングル201の高さは、保温材205がプレート状のベース部材202に干渉しない高さとすることが好ましい。これにより、十分な中空部を確保することができ、保温材が自由に変形でき、ヒータ2と配管10の表面を十分に密着させることができる。保温材205には、固定装置200´を配管10に設置した際のテープ203の変形に伴って変形可能なように柔軟性を有し、熱伝導率の低い材質であることが好ましく、ペフ(登録商標)、エアロフレックス(登録商標)が例示される。厚さについては、結露を防止できる程度に設定すればよいが、厚くしすぎるとヒータ2の停止後における放熱の効率が低下するのでなるべく薄くすることが好ましく、1〜5mm程度、本実施の形態では3mmとした。また、保温材205は少なくともヒータ2の上面を覆って貼り付けてあればよい。保温材205を貼り付けることで、テープ203の表面の結露の発生を抑制することができる。その結果、結露の発生により配管10側に伝わる熱量が減少するのを抑制することができ、計測精度をより向上することができる。また、加熱時におけるヒータ2によって付与される熱のテープ203表面側からの放熱を抑制することができる。その結果、より効率よく配管へ熱を伝達することができる。
【0042】
電流計3は、処理装置20を介して電源を供給されヒータ2に供給される電流を計測する。
【0043】
処理装置20は、電源(図示せず)と電気的に接続され、第一温度センサ1で計測された流体の温度、第二温度センサ9で計測されたヒータ2設置位置の配管10の表面温度、電流計3で計測された電流値に基づいて、配管10を流れる流体の流量を算出する。処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、表示部、操作部によって構
成することができる。CPUは、メモリに格納されたプログラム、すなわち流量算出プログラムに基づいて、配管10を流れる流体の流量を算出する。算出結果は、表示部に表示することができる。表示部には、ヒータ2により加算する温度や、第一温度センサ1及び第二温度センサ9による計測結果を表示することもできる。ヒータ2により加算する温度は、例えば操作部(テンキー、キーボード、スイッチなど)を介して設定することができる。流体の流量の算出処理の詳細については、後述する。
【0044】
処理装置20、出力調整器8、電流計3は、例えば筐体に収容することができる。処理装置20、出力調整器8、電流計3は、第一温度センサ1、第二温度センサ9、ヒータ2と電気的に接続されていればよく、処理装置20、出力調整器8、電流計3を収容する筐体は、配管10に取り付けてもよく、また、配管10以外の場所に設置してもよい。電気的な接続は、有線、無線のいずれでもよい。
【0045】
[計測処理]
次に計測処理について説明する。
図7は、第二実施形態に係る流量計測装置100における計測処理の概要を示す。
図8は、第二実施形態に係る流量計測装置100で実行される計測処理フローを示す。なお、
図7では、説明の便宜上、第二温度センサ9が強調して記載されている。実際には、第二温度センサ9の厚みは、ヒータ2よりも大幅に薄くすることができる。
【0046】
図7に基づいて概略を説明すると、まず、(1)第一温度センサ1が配管10の表面温度を計測することで、配管10を流れる流体の温度が測定される。次に、(2)処理装置20により、計測された流体の温度に一定値が加算される。次に、(3)出力調整器8により、ヒータ2の下部に設けられた第二温度センサ9で計測する温度が「一定値が加算された温度(以下、加算後温度とする)」になるようヒータ2の出力を調整して配管10に向けて放熱される。なお、加算する温度(以下、加算温度とする)が一定なので、放熱量は、配管10を流れる流体の流速に比例する。そして、(4)処理装置20により、ヒー
タ2の電流値が取得され、処理装置20のメモリに格納されたプログラムにより配管10を流れる流体の流量が算出される。
【0047】
以下、
図8に基づいてより詳細に説明する。ステップ01では、第一温度センサ1により、配管10を流れる流体の温度(TW)が計測される。詳細には、第一温度センサ1により、配管10の表面温度が計測され、計測された表面温度が流体の温度として、第一温度センサ1と電気的に接続されている処理装置20に入力される。第一温度センサ1により流体の温度が取得されると、ステップ02へ進む。
【0048】
ステップ02では、ヒータ2が加算する温度(加算温度)(A)が入力される。詳細には、加算温度は、予め設定しておき、処理装置20が自動的に算出してもよく(例えば、+5℃)、操作部を介してその都度入力を受け付けるようにしてもよい。処理装置20が
加算温度を取得すると、ステップ03へ進む。加算温度は、配管内を流れる流体によって熱が奪われた上で配管温度を所定温度上昇させられるだけの熱量を、ヒータ2の能力で賄うことが可能な温度であればよい。
【0049】
ステップ03では、処理装置20は、加算後温度を算出する。詳細には、処理装置20は、第一温度センサ1を介して取得した配管10を流れる流体の温度(TW)に加算温度(A)を加算し、加算後温度を算出する。例えば、流体の温度が10℃で加算温度が+5℃の場合、加算後温度は15℃となる。加算後温度が算出されると、ステップ04へ進む。
【0050】
ステップ04では、第二温度センサ9により、ヒータ2の下部の配管10の表面温度が計測される。計測されるとステップ05へ進む。ステップ05では、出力調整器8がヒータ2を制御し、出力が制御される。詳細には、出力調整器8は、ステップ04で計測されたヒータ2の下部に設けられた第二温度センサ9で計測された配管10の表面温度(ヒータ2の設置位置における配管10の表面温度)が所定値(加算後温度)になるようヒータ2を制御する。ヒータ2の出力制御により、第二温度センサ9で計測される温度が加算後温度に調整されると、ステップ06へ進む。
【0051】
ステップ06では、処理装置20は、ヒータ2の出力値を取得する。本実施形態では、処理装置20は、電流計3を介してヒータ2の電流値を取得する。ヒータ2の出力値が取得されると、ステップ07へ進む。
【0052】
ステップ07では、処理装置20は、配管10の断面積を取得する。配管10の断面積とは、配管の軸方向と直交する面における配管10の内径の断面積である。配管10の断面積は、予め処理装置20に入力してメモリの所定の領域に記憶しておき、ヒータ2の電流値の計測後、処理装置20が、メモリの所定の領域にアクセスして取得してもよい。また、配管10の断面積は、操作部を介して入力するようにしてもよい。配管10の断面積が取得されると、ステップ08へ進む。
【0053】
ステップ08では、処理装置20は、加算温度(A)とステップ06で取得したヒータ2の出力値およびステップ07で取得した配管断面積をもとに、配管10を流れる流体の流量を算出する。詳細には、配管10を流れる流体の流量の算出は、伝熱理論に基づいて実行することができる。以下、伝熱理論について説明する。
【0054】
単位面積当たりのヒータ2から流体(例えば、水)への通過熱量Qは、数1によって表される。すなわち、通過熱量は、流体とヒータ2の温度差に比例する。流体の温度は、第一温度センサ1で計測可能であり、ヒータの温度は第二温度センサ9で計測可能である。なお、本実施の形態においては、温度差(T
h−T
w)は計測値から算出せずに、加算温
度(A)を用いている。
【0055】
[数1]
Q=(T
h−T
w)/R
T
h:ヒータの温度(℃)
T
w:流体の温度(℃)
R:熱抵抗(K/W)
【0056】
ここで、配管10の単位長さ当たりの熱抵抗Rは、数2によって表される。すなわち、熱抵抗Rは、配管10の内面から流体に移動する熱(熱伝達)の抵抗と、ヒータ2から配管10の内面に移動する熱(熱伝導)の抵抗の合計により表される。熱伝達の抵抗は、流体の状態により変化する変動値であり、熱伝導の抵抗は、配管10の属性(材質や径)によって決定される固定値である。
【0057】
[数2]
R=1/πr
ih+1/πλ
s×ln(r
o/r
i)
熱伝達 熱伝導
r
i:配管内径(m)
h:熱伝達率(W/m
2・K)
λ
s:配管の熱伝導率(W/m・K)
r
o:配管外径(m)
【0058】
ここで、配管10に流体が流れる場合、配管10と流体との間に強制対流が発生する。その際の熱伝達率(h)は、数3によって表される。また、流体の熱伝導率(λ
w)は、流体の種類と流体の温度によって決定される。
【0059】
[数3]
h=N
u×λ
w/r
i
N
u:ヌセルト数
λ
w:流体の熱伝導率(W/m・K)
r
i:配管内径(m)
【0060】
また、ヌセルト数はRe>10,000の乱流時においては、数4に示すように、レイノルズ数(Re)とプラントル数(Pr)の関数により表される。ここで、レイノルズ数(Re)は、数5によって表される。また、動粘性係数(ν)は流体の種類と流体の温度によって決定される。なお、空調用として用いられる配管では、一般的に流速が1〜3m/sとなりRe>10,000となるので、ヌセルト数の算出に数4を用いることができる。但し、空調用の配管においても、極めて遅い流速では、Re<10,000となるため、計測する下限流速を設定することが好ましい。また、プラントル数(Pr)は、流体の種類と流体の温度によって決定される。
【0061】
[数4]
Nu=f(Re,Pr)=0.023×Re
0.8×Pr
0.4
【0062】
[数5]
Re=V×r
i/ν
V:流速(m/s)
r
i:配管内径(m)
ν:動粘性係数(m
2/s)
【0063】
以上より、数1では、通過熱量Qが、温度差(T
h−T
w)と熱抵抗Rで表わせる。数2では、熱抵抗Rが、配管径と、配管材質により決定される数値(熱伝達率λ
s)と、熱伝達率hで表わせる。数3では、熱伝達率hが、配管径と、流体の種類と流体の温度により決定される数値(熱伝導率λ
w)と、ヌセルト数N
uにより表わせる。数4では、ヌセルト数N
uは、流体の種類と流体の温度により決定される数値(プラントル数Pr)と、レイノルズ数Reとで表わせる。数5では、レイノルズ数Reは、配管径と、流体の種類と流体の温度により決定される数値(ν)と、流速とで表わせる。すなわち、数1〜数5より、通過熱量Qは、温度差(T
h−T
w)、流体の流速(V)、配管口径、配管の材質、流体の種類、流体の温度、によって決定される数値で表わすことができる。ここで、流体の種類、配管の材質、及び配管口径は、予め特定することができる。したがって、流体の流速を算出する場合、流体の温度と温度差(T
h−T
w)と通過熱量が、計測時の変数となる。第一実施形態では、温度差は固定されるため、流体の流速はヒータ2の出力と、流体の温度にのみ影響を受ける。つまり、加算温度が一定となるようヒータ2を制御しており、またヒータ2の放熱量が通過熱量Qと一致するので、ヒータ2の放熱量、すなわちヒータ2の電流量からヒータ2の放熱量を算出することで、流体の流速が算出できる。
【0064】
流体の流速が算出されると、これに配管の断面積を掛け合わせることで、配管10を流れる流体の流量が算出される。
【0065】
以上説明した伝熱理論による流量の算出処理を処理装置20による処理として説明すると、処理装置20は、ステップ08において、ステップ06で算出されたヒータ2の電流値、ステップ07で取得した配管断面積の他、流体の種類、配管10の内径、配管10の外径、配管10の材質、ヌセルト数、レイノルズ数、プラントル数など、数1から数5に基づいて流速を算出するために必要な各種パラメータを取得する。各種パラメータは、操作部を通じて入力を受け付けることができる。また、流体の熱伝導率、レイノルズ数、プラントル数等の数値は、公知の文献等(例えば、空気調和衛生工学会著 空気調和・衛生工学便覧第14版第1巻基礎編 p59〜63)で示されている数値を用いることもでき、これに相当する表を、流体の種類や流体の温度毎にメモリに格納し、流量を算出する際、処理装置20がメモリにアクセスし、必要なパラメータを取得するようにしてもよい。また、流量の算出に関しても、上記のような理論式を用いずに、配管材質、配管径、流体の種類、流体の温度毎に、ヒータの出力と温度差と流体の流速との関係について試験結果から求めたものを予めメモリに格納しておいてもよい。そして、処理装置20は、流体の流速を算出後、配管10の断面積を掛け合わせることで、配管10を流れる流体の流量を算出し、例えば表示部に表示する。
【0066】
[計測方法]
次に計測方法について説明する。まず、固定装置200´が配管10に取り付けられる。固定装置200´が配管10に取り付けられたら、上述した計測処理を実行する。すなわち、流量計測装置100をONにし、流量計測装置100に上述したステップ01から08の処理を実行させる。計測が終了したら、流量計測装置100をOFFにし、固定装置200´を配管10から取り外す。以上により、流量計測装置100による計測が完了する。
【0067】
[効果]
第二実施形態に係る流量計測装置103によれば、配管10の外部から配管10を流れる流体の流量を計測することができる。そのため、測定用の配管や、測定用のバイパス管を別途設ける必要はなく、また測定のために配管10に孔をあける必要もない。したがって、流量計測装置103では、配管自体を加工することなく、配管10を流れる流体の流量を計測することができる。また、テープ203に、第一温度センサ1、第二温度センサ9、ヒータ2が設けられ、これらは配管10の形状に応じて変形自在であるため、配管1
0の表面に密着させて取り付けることができる。
【0068】
また、テープ203の張力を利用してヒータ2等を固定することで、テープ203の面で、ヒータ2を押さえることができ、ヒータ2が配管10の表面と密着する。そのため、ヒータ2からの熱が効率よく配管10の表面に伝達され、ヒータ2による加熱後の温度の安定性を確保することができる。また、テープ203は薄く、露出する表面積も多いことから、ヒータ2の停止後における放熱を効率よく行うことができる。また、テープ203の面でヒータ2を押さえることで、ヒータ2から配管10への圧力を一定化することができる。更に、使用者は、テープ203を配管10の表面にアングル201の長手方向と配管10の長手方向とを一致させた状態で押さえつけるだけでよいことから、温度の安定性、放熱性、圧力の一定性を含む特性が使用者の熟練度によって変化することもない。換言すると、第二実施形態に係る固定装置200´は、再現性にも優れている。
【0069】
<固定装置の温度特性の考察>
次に、第一実施形態に係る固定装置200の温度特性について、実験結果に基づいて説明する。本実験では、配管の表面に実際にヒータを設置し、ヒータ加熱後の温度の安定性、電源切断後の配管側への放熱性の検証を行った。検証は、第一実施形態に係る固定装置200、独立気泡構造を有し弾力性を有する断熱材(厚さ:25mm)でヒータを固定する比較例1、及び一方の面に粘着面を有するアルミテープでヒータを固定する比較例2について行った。比較例1、2共に、第二温度センサ9は、予めヒータ2の下部にアルミテープで固定した。
【0070】
データは、配管の表面とヒータ2との間、及びヒータ2の設置場所から十分に距離をとった上流側に、薄膜式の白金測温抵抗体からなる第一温度センサを配置し、第一温度センサ及び第二温度センサ9で検知された温度から求められる温度差(ヒータ下部温度−配管表面温度)として纏めた。
【0071】
実験条件は、配管内水温:20.0℃±0.2℃、配管内流速:0.5m/s、計測対象配管の口径:100A(外径寸法:114.3mm)、計測対象配管の材質:SGP(配管用炭素鋼管)とした。配管周囲の環境温度は、25℃である。また、実験には、発熱線が薄膜式のフィルム型ヒータ(50W、2W/cm)を用いた。ヒータ、及び固定装置、断熱材(比較例1)、アルミテープ(比較例2)の周囲は、グラスウールにて保温を行った。
【0072】
ここで、
図9は、固定方法別の温度特性グラフを示す。
図9に示すように、第一実施形態に係る固定装置200を用いた場合、ヒータ加熱後約60秒で温度が安定した。また、ヒータ電源切断後(
図9の150秒以降)の放熱性もよく、約90秒で完全に放熱していることが確認された。なお、温度差が「0」、つまりヒータ下部温度と配管表面温度が等しくなった時点で放熱完了とした。また、比較例2の方法(アルミテープ)でヒータを固定した場合、ヒータ電源切断後の放熱性は、第一実施形態に係る固定装置200の場合とほとんど変わらない特性を示すことが確認された。但し、ヒータ加熱後の安定性については、わずかながらではあるが温度が上昇し続け、安定するまで約120秒の時間が掛かった。この理由としては、ヒータから発せられた熱が周囲に施されたグラスウールに吸収され続けたため、結果として温度の均衡に時間が掛かったため、と推測される。また、比較例1の方法(断熱材)でヒータを固定した場合、ヒータ加熱後の安定性、ヒータ電源切断後の放熱性の何れも、第一実施形態に係る固定装置200よりも時間を要していることが確認された。加熱後の温度安定に時間が掛かる理由は、ヒータの熱がクッション材に吸収され続け、温度の均衡が得られなかったためと推測され、放熱に時間が掛かる理由は、クッション材に吸収された熱の放熱に時間が掛かったためと推測される。
【0073】
ここで、熱伝導式流量計は、計測時にヒータによる加熱が必要不可欠であり、加熱に伴う計測ランニングコストが課題となるため、連続的に計測せずにヒータのON−OFF制御をして所定の時間間隔(例えば5分)で断続的に計測することにより、計測ランニングコストの低減が可能となる。このように所定の時間間隔で断続的に計測を行う場合、ヒータ加熱後に温度差が所定の値に達して安定してから計測を行うが、第一実施形態に係る固定装置200によればヒータ加熱後から温度が安定するまでの時間を短縮できるので、計測する際のヒータの加熱時間を短縮することができ、計測ランニングコストをさらに低減することが出来る。
【0074】
次に、第一実施形態に係る固定装置200の再現性の確認を行った。再現性の確認は、固定装置200を配管に固定した状態で計測を実施し、計測終了後、一度固定装置200を配管から取り外し、再度固定装置200を配管に固定して計測を行う作業を繰り返すこととした。
【0075】
ここで、
図10は、再現性の確認の実験結果を示す。
図10に示すように、3回の固定作業において、温度差、時間は、何れもほとんど同じ値であった。これにより、第一実施形態に係る固定装置200は、固定作業の再現性にも優れていることが確認された。
【0076】
<その他の実施形態>
上述した実施形態におけるヒータ2(加熱器)に代えて、ペルチェ素子などの冷却器を用いてもよい。
【0077】
第一温度センサ1と第二温度センサ9との間に機器の誤差が発生すると算出される流体の流量に誤差が生じる。そこで、第一温度センサ1及び第二温度センサ9での計測前に、ヒータ2の加熱を行わない状態で、夫々の温度センサが計測した温度から補正を行うようにしてもよい。例えば、第一温度センサ1で計測された温度が20.0℃であり、第二温度センサ9で計測された温度が20.1℃の場合、補正温度を0.1℃とする。そして、温度の表示や流量の算出には、実際に第二温度センサ9で計測された数値に対して0.1℃を引いた数値を真の第二温度センサ9の数値として用いる。
【0078】
固定装置200の長手方向の両端部をテープ203により塞いでもよい。
図11は、第一実施形態に係る固定装置200の長手方向の両端部をテープにより塞いだ側面図を示す。これにより、温度安定性をより向上させ、結露の発生をより低減することができる。固定装置200の長手方向の両端部を塞ぐ手段は、配管に設置した際に両端部を塞いだ状態を保ったまま配管の表面形状に沿って変形可能で、耐熱性を有する素材であればよく、特に限定されない。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る固定装置、固定方法、流量計測装置、流量計測方法はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。