(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属製のバックプレートに絶縁性のパッド部が接合されているブレーキパッドにおける、パッド部の接合面を除くバックプレートの外面と、パッド部の摩擦面を除く外周側面とを塗装ガンから吐出された粉体塗料により塗装するブレーキパッドの粉体塗装方法において、粉体塗料を吹き付ける前に、バックプレートがパッド部よりも18℃〜70℃高温になるように、バックプレートとパッド部を加温することを特徴とするブレーキパッドの粉体塗装方法。
バックプレートを高周波誘導加熱により加熱し、昇温したバックプレートの熱をパッド部に熱伝導させてパッド部を加温することを特徴とする請求項1記載のブレーキパッドの粉体塗装方法。
バックプレートに遠赤外線を照射してバックプレートがパッド部よりも高温になるように、バックプレートとパッド部を加温することを特徴とする請求項1記載のブレーキパッドの粉体塗装方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブレーキパッドは、金属製のバックプレート(裏金)に、摩擦部材であるパッド部を接着したものであるが、防錆、防食の観点から、従来は、金属製のバックプレートの外面だけを塗装することが多い。
【0007】
ところが、ブレーキパッドは、アルミホイールの隙間から見える部品であるため、最近では、意匠性の観点から、バックプレートだけではなく、バックプレートに接着されたパッド部の外面も、摩擦面を除いて塗装されるようになっている。
【0008】
摩擦部材であるパッド部は、基材繊維、充填材、摩擦調整剤、樹脂結合剤等の成形材料を押し固めて形成されている。
【0009】
パッド部の基材繊維には、アラミド繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維などの有機繊維、チタン酸カリウム繊維、ロックウール繊維、あるいはスチール繊維、ステンレス繊維などの金属繊維を、単独又は複数を組み合わせて使用している。
【0010】
また、充填材としては、例えば、硫酸バリュウム、炭酸マグネシュウム、硫酸鉛のアルカリ土類金属の硫酸塩や、シリカ、マイカ、炭酸塩、タルク、グラファイト、二硫化モリブデンの固体潤滑剤、タイヤゴム粉末などの有機粉粒体、銅合金、アルミニュウム、亜鉛などの金属粉や、金属片、黒鉛粉などの無機粉粒体の摩擦調整剤が使用されている。
【0011】
また、樹脂結合剤としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂などが使用されている。
【0012】
ところで、ブレーキパッドのパッド部は、摩耗部品であるため、パッド部の材料中に金属材料が含まれていると、金属粉の飛散が環境ホルモンの問題となるため、パッド部の成形材料から金属材料が徐々に除かれ、パッド部が絶縁性になりつつある。
【0013】
パッド部の成形材料中に金属材料を含んでいる場合には、パッド部も導電性を有するため、バックプレートと一緒にパッド部をアースすることにより、バックプレートとパッド部を、静電粉体塗装することが可能である。
【0014】
しかしながら、パッド部が絶縁性になってくると、静電気による粉体塗料の付着力が弱く、静電式塗装ガンから粉体塗料を吹き付けた場合に、粉体塗料が一旦パッド部に付着しても、パッド部に付着した粉体塗料が静電式塗装ガンの吐出エアーによって吹き飛ばされてしまう。
【0015】
特に、摩擦帯電式塗装ガンの場合には、強い搬送エアーによって摩擦帯電を行うために、粉体塗料と共に吐出されるエアーも強く、この吐出エアーによりパッド部に付着した粉体塗料が吹き飛ばされ易い。
【0016】
このような粉体塗料が付着し難い絶縁性のパッド部も、粉体塗料を吹き付ける前に、被塗装物であるブレーキパッドを、加熱炉に収容して粉体塗料のメルト温度以上に予熱すると、バックプレートと同様に塗装が行える。
【0017】
ところが、ブレーキパッドを予熱して塗装を行うと、絶縁性のパッド部の膜厚もバックプレートの膜厚と同様の厚膜になる。
【0018】
パッド部の膜厚が厚いと、パッド部がブレーキの制動により消耗すると、パッド部の塗膜も消耗し、塗膜成分の飛散も問題になる。
【0019】
したがって、塗膜成分の飛散量を少なくするためには、バックプレートの塗膜の厚みよりもパッド部の塗膜の厚みの方を薄くすることが望ましい。
【0020】
そこで、この発明は、パッド部が絶縁性の場合でも、パッド部の外周側面に粉体塗料を付着させることができ、しかも、ブレーキの制動により消耗するパッド部の塗膜を、バックプレートの膜厚よりも薄くすることができるブレーキパッドの塗装方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の課題を解決するために、この発明は、金属製のバックプレートに絶縁性のパッド部が接合されているブレーキパッドにおける、パッド部の接合面を除くバックプレートの外面と、パッド部の摩擦面を除く外周側面とを塗装ガンから吐出された粉体塗料により塗装するブレーキパッドの粉体塗装方法において、粉体塗料を吹き付ける前に、バックプレートがパッド部よりも
18℃〜70℃高温になるように、バックプレートとパッド部を加温するようにしたものである。
バックプレートがパッド部よりも
18℃〜70℃高温になるように、バックプレートとパッド部を加温するには、バックプレートを高周波誘導加熱により加熱し、昇温したバックプレートの熱をパッド部に熱伝導させるようにすればよい。
また、バックプレートに遠赤外線を照射してバックプレートがパッド部よりも
18℃〜70℃高温になるように、バックプレートとパッド部を加温するようにしてもよい。
前記塗装ガンとしては、静電塗装ガンを使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、パッド部が絶縁性の場合でも、パッド部の外周側面に粉体塗料を付着させることができ、しかも、ブレーキの制動により消耗するパッド部の塗膜を、バックプレートの膜厚よりも薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の粉体塗装方法の被塗装物であるブレーキパッドをバックプレート側から見た斜視図である。
【
図2】この発明の粉体塗装方法の被塗装物であるブレーキパッドをパッド部側から見た斜視図である。
【
図3】この発明の第1の実施形態の塗装ラインを示す概略図である。
【
図4】この発明の第1の実施形態に使用する高周波加熱装置を備える加熱炉の断面図である。
【
図5】この発明の第1の実施形態の塗装ブース部分を示す概略正面図である。
【
図6】この発明の第2の実施形態の塗装ラインを示す概略平面図である。
【
図7】この発明の第2の実施形態の塗装ブース部分を示す概略側面図である。
【
図8】この発明の第3の実施形態の塗装ラインを示す概略平面図である。
【
図9】この発明の第3の実施形態に使用する遠赤外線装置を備える加熱炉の断面図である。
【
図10】この発明の第3の実施形態の塗装ガンを示す概略斜視図である。
【
図11】この発明の第3の実施形態の塗装ガンを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明に係る粉体塗装方法の被塗装物であるブレーキパッド1は、
図1及び
図2に示すように、金属製のバックプレート2に摩擦部材であるパッド部3を接合したものである。
【0025】
被塗装物であるブレーキパッド1の塗装面は、パッド部3の接合面を除く金属製のバックプレート2の外面と、パッド部3の摩擦面を除いた外周側面であり、パッド部3は絶縁性材料からなる。
【0026】
図3は、ブレーキパッド1の塗装ラインAを示している。
図3に示す塗装ラインAは、ブレーキパッド1を4個一組で塗装を行っており、予熱ラインBにおいても4個一組ずつ整列させて予熱を行っている。
【0027】
ブレーキパッド1は、予熱ラインBと塗装ラインA上で、パッド部3を下にして搬送コンベア4に載置されている。
【0028】
予熱ラインBには、4個一組のブレーキパッド1の上方に、2列の高周波加熱装置5が設置され、金属製のバックプレート2の上方から加熱を行っている。
【0029】
高周波加熱装置5は、数秒間ONするだけで、金属製のバックプレート2を急激に昇温することができる。例えば、15KWの出力の高周波加熱装置によって、金属製のバックプレート2を1〜1.5秒加熱すると、金属製のバックプレート2は150℃まで昇温する。
【0030】
パッド部3は、絶縁性であるので、高周波加熱装置5をONしても、高周波加熱されない。
【0031】
パッド部3は、昇温した金属製のバックプレート2との接触面を介して熱伝導により加熱する。したがって、金属製のバックプレート2の温度よりもパッド部3の温度の方を低く設定することができる。
【0032】
例えば、150℃に昇温したバックプレート2によってパッド部3の物温を80℃に昇温するには、4分程度かかる。
【0033】
この発明では、バックプレート2とパッド部3の温度が、パッド部3の方の温度を低く設定して塗装が行われる。即ち、150℃に昇温したバックプレート2に対し、パッド部3を80℃に昇温した状態で、塗装ラインAに移載して塗装ブース6内で塗装を行う。
【0034】
150℃のバックプレート2と、80℃のパッド部3の間には、70℃の温度差があり、この温度差のあるブレーキパッド1を塗装ブース6内で塗装を行うと、高温のバックプレート2の方に、粉体塗料が多く付着するため、バックプレート2とパッド部3の膜厚に差が生じ、パッド部3の膜厚を薄くすることができる。
【0035】
図3に示す塗装ラインAでは、塗装ブース6内においてバックプレート2側からアースを行って、塗装ガン7を使用して塗装を行っているが、この実施形態では、バックプレート2を150℃、パッド部3を80℃に予熱を行っているため、アースを行わなくても粉体塗料は、バックプレート2とパッド部3に付着する。塗装ガン7としては、コロナガンを使用することができる。
【0036】
塗装ラインAで塗装されたブレーキパッド1は、移載コンベア8によって焼付け乾燥炉9に導かれる。
【0037】
図3の塗装ラインAでは、バックプレート2を150℃、パッド部3を80℃に予熱して塗装を行ったが、パッド部3の材質、性質(例えば、パッド内の吸湿量など)や、粉体塗料の性質(塗料融点、ガラス転移点など)や、塗装条件、塗装ブースの雰囲気等によってバックプレート2とパッド部3の温度を適宜変更する。ただし、この発明では、バックプレート2よりもパッド部3の温度を低く設定することが重要である。
【0038】
例えば、バックプレート2を150℃、パッド部3を80℃にして塗装を行った場合(この発明の実施例1)と、バックプレート2とパッド部3を共に150℃にして塗装を行った場合(比較例1)と、バックプレート2とパッド部3を共に常温(26℃)で塗装した場合(比較例2)とを比較すると、表1の通りである。
【0039】
表1の通り、実施例1ではバックプレート2の膜厚が規格膜厚(30〜45μm)に収まり、パッド部3の膜厚がバックプレート2の膜厚よりも薄い規格膜厚(20〜30μm)にきっちりと収まっているのに対し、バックプレート2とパッド部3を温度差がない状態に予熱を行った比較例2の場合には、パッド部3の膜厚の方がバックプレート2の膜厚よりも厚くなる。また、バックプレート2とパッド部3を常温で予熱を行わずに塗装を行った比較例3の場合には、パッド部3に十分に粉体塗料が付着しなかった。
【0040】
表1は、テスト1回につき、ブレーキパッド1を4個塗装し、4個の各測定箇所3点の最小値と最大値を示している。塗装実験を行ったブレーキパッド1のパッド部3の絶縁抵抗値は、4×10
13Ω(1000V×2000MΩ抵抗計)であった。搬送コンベアのスピードは、3.5m/min、吐出量26g/min(1ガン)と吐出量24g/min(1ガン)の2ガンで、総吐出量50g/minで塗装を行った。使用した粉体塗料は、エポキシ系の黒色を使用した。
【0041】
また、この表1の実施例1では、予熱に出力15KWの高周波加熱装置を使用し、比較例1では、予熱に熱風循環炉(ガス炉)を使用した。
【0043】
次に、
図6は、この発明の他の実施形態の塗装ラインAを示している。
【0044】
この
図6の塗装ラインAでは、パッド部3が導電性であるブレーキパッド11と、パッド部3が絶縁性であるブレーキパッド1の2種類のものを塗装することができるようにしている。
【0045】
パッド部3が導電性であるブレーキパッド11と、パッド部3が絶縁性であるブレーキパッド1を別々にストックするストックヤード10A,10Bを設け、パッド部3が絶縁性であるブレーキパッド1だけを、ストックヤード10bに設けた高周波誘導加熱装置12によって予熱を行って塗装を行うようにしている。
【0046】
塗装ラインAに移送されたブレーキパッドは、移動台車13に載置して、塗装ブース14内を通過させ、その後に焼付け乾燥炉15に搬送される。
【0047】
移動台車13は、アルミニウム製であり、ブレーキパッド1の載置面には、予熱されたブレーキパッド1を塗装ブース1内に直接搬入できるように、耐熱性を有する樹脂製の載置板16が設置されている。載置板16を形成する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトンを使用することができる。
【0048】
ブレーキパッド1を載置した載置板16の上面には、ブレーキパッド1のパッド部3からアースを行えるようにアース部17が設置されている。
【0049】
この
図6に示す実施形態では、塗装ガン7として摩擦帯電式塗装ガンを2ガン使用している。摩擦帯電式塗装ガンは、粉体塗料と共に吐出エアーが勢いよく吐出されるので、吐出エアーによって被塗装物に付着した粉体塗料が吹き飛ばされないように、摩擦帯電式塗装ガンからの粉体塗料と吐出エアーを移動台車13の載置面に当てて、跳ね返った粉体塗料が間接的に被塗装物に当てるようにしている。
【0050】
この
図6に示す実施形態では、パッド部3が絶縁性であるブレーキパッド1の場合には、ストックヤード10Bにおいて、バックプレート2が80℃、パッド部3が50℃になるよう予熱された後に、塗装ブース14に送られる。
【0051】
この予熱温度は、
図3の実施形態の場合よりも低い温度に設定されているが、この温度で絶縁性のパッド部3にも粉体塗料が十分に付着する。その理由としては、パッド部3内に含まれる水分などの不純物が、予熱によって活性化され、予熱前の常温時において2×10
13Ωであった絶縁性のパッド部3の絶縁抵抗値が、4×10
11Ωに下がり、帯電した粉体塗料が付着し易くなるためであると考えられる。
【0052】
図6に示す塗装ラインAを使用して、パッド部3が絶縁性のブレーキパッド1と、パッド部3が導電性のブレーキパッド11を塗装した結果を表2に示す。
【0053】
パッド部3が絶縁性のブレーキパッド1の場合、予熱を行ってバックプレート2を80℃、パッド部3を51℃にして塗装を行ったのに対し(実施例2)、パッド部3が導電性のブレーキパッド11の場合には、予熱を行わず、バックプレート2とパッド部3を共に常温(27℃)で塗装を行った(比較例3)。
【0054】
表2の通り、バックプレート2の方の温度をパッド部3よりも高くなるように予熱を行った場合(実施例2)では、パッド部3が絶縁性であっても、導電性のパッド部3とほぼ同様に、バックプレート2の膜厚が規格膜厚(25〜45μm)に収まり、パッド部3の膜厚がバックプレート2の膜厚よりも薄い規格膜厚(15〜30μm)にきっちりと収まった。
【0055】
表2は、テスト1回につき、ブレーキパッド1を4個塗装し、4個の各測定箇所3点の最小値と最大値を示している。塗装実験を行った絶縁性のパッド部3の絶縁抵抗値は、常温時で2×10
13Ωであったが、51℃まで予熱を行うと、4×10
11Ωまで絶縁抵抗値が下がった。移動台車13のスピードは、8.5m/min、吐出量40g/min(1ガン)と吐出量42g/min(1ガン)の2ガンで、総吐出量82g/minで塗装を行った。使用した粉体塗料は、エポキシ系の黒色を使用した。
【0056】
また、予熱には、出力10KWの高周波誘導加熱装置12を使用した。
【0058】
次に、
図8の塗装ラインAは、
図6の塗装ラインAと同様にパッド部3が導電性のブレーキパッド11と、パッド部3が絶縁性のブレーキパッド1を同じラインにて塗装を行なうものである。
【0059】
この
図8の塗装ラインAは、エンドレスの搬送ベルト18が塗装ブース19内を通過している。そして、導電性のブレーキパッド11は進行方向の右側から移載される。一方、絶縁性のブレーキパッド1は左側から移載される。塗装ガン7は、摩擦帯電式塗装ガンを使用している。摩擦帯電式塗装ガンは、コロナガンと異なり、フリーイオンによる電場の集中がないために、エッジ部への厚膜を抑制できる。パッド部3が導電性の場合は、そのまま(常温)にてストックヤード10Aから3個直列にセットされて搬送ベルト18上に移載される。移載されたブレーキパッド11は塗装ブース19内を通過して塗装が行なわれる。この
図8の実施例では、膜厚の均一性を重視するために、
図10及び
図11に示すように、ガン先分岐ノズル20は被塗装物に向かって直接塗装を行なっていない。つまり、吐出パターン同士がぶつかり合うようにして吐出パターンを分散させて塗装を行っている。
【0060】
絶縁性のパッド部3を有するブレーキパッド1は、進行方向左側にストックヤード10Bが設置され、ストックヤード10Bにおいてブレーキパッド1の昇温が行われる。この
図8の実施例では、
図9に示すように、メッシュ形状の搬送ベルト17上に、カーボンヒータなどの遠赤外線装置21を設置して予熱を行なっている。遠赤外線装置21は、一般の炉と異なり、直接照射した箇所のみを昇温させることができる。遠赤外線には短波、中波、長波等があるが、その直接照射した表面又は内面などの昇温によってその種類分けを行なう。この実施例では、中波を使用した。バックプレート2が上面、つまり搬送ベルト17にパッド部3が設置するように整列させたブレーキパッド1を、遠赤外線装置21から搬送ベルト18に移載された時の物温を、バックプレート2が90℃のとき、パッド部3が72℃になるように設定して塗装を行った。ブレーキパッド1は、一度昇温するとさめにくい。塗装ガン7の吐出量は、導電性のパッド部3を有するブレーキパッド11と同じにして塗装を行なった。
【0061】
図8に示す塗装ラインを使用して、パッド部3が絶縁性のブレーキパッド1と、パッド部3が導電性のブレーキパッド11を塗装した結果を表3に示す。
【0062】
パッド部3が絶縁性のブレーキパッド11の場合、予熱を行ってバックプレート2を90℃、パッド部3を72℃にして塗装を行い、また、パッド部が導電性のブレーキパッド11の場合には、予熱を行わず、バックプレート2とパッド部3を共に常温(28℃)で塗装を行った。
【0063】
表3の通り、バックプレート2の方の温度をパッド部3よりも高くなるように予熱を行った場合(実施例3)には、パッド部3が絶縁性であっても、導電性のパッド部3を有するブレーキパッド11を塗装する場合(比較例4)とほぼ同様に、バックプレート2の膜厚が規格膜厚(30〜45μm)に収まり、パッド部3の膜厚もバックプレート2の膜厚よりも薄い規格膜厚(10〜30μm)にきっちりと収まった。
【0064】
表3は、テスト1回につき、ブレーキパッド1を3個塗装し、3個の各測定箇所3点の最小値と最大値を示している。搬送ベルト17のスピードは、4.0m/min、吐出量39g/min(1ガン)と吐出量36g/min(1ガン)の2ガンで、総吐出量72g/minで塗装を行った。使用した粉体塗料は、エポキシ系の黒色を使用した。
【0065】
また、予熱には、ヘリウス社製の赤外線炉を使用した。