(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959428
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】一方の端末で受信されるデータパケットを、他方の端末で傍受する同報受信方法、システム、端末及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/06 20090101AFI20160719BHJP
H04W 80/06 20090101ALI20160719BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20160719BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20160719BHJP
H04M 3/56 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
H04W4/06 170
H04W80/06
G06F13/00 540A
H04M11/00 302
H04M3/56 Z
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-272845(P2012-272845)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-120826(P2014-120826A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 進
【審査官】
齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−352835(JP,A)
【文献】
特開昭57−186862(JP,A)
【文献】
特開平11−132773(JP,A)
【文献】
特開2006−210993(JP,A)
【文献】
特開2012−191274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
G06F 13/00
H04M 3/56
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、該コンテンツを受信し且つローカルネットワークへ中継するアクセスポイントと、前記コンテンツを前記ローカルネットワークを介して受信する複数の端末とを有するシステムにおける同報受信方法であって、
第1の端末が、前記アクセスポイントを介して前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する第1のステップと、
第1の端末が、前記コンテンツ配信サーバから前記アクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットを前記コンテンツ配信サーバへ応答する第2のステップと、
第2の端末が、第1の端末と前記アクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受する第3のステップと、
第2の端末が、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受した際に、前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、前記アクセスポイントから第1の端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信する第4のステップと
を有することを特徴とする同報受信方法。
【請求項2】
前記通信コネクションは、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤに基づくものであり、
前記確認パケットは、TCPのACKパケットである
ことを特徴とする請求項1に記載の同報受信方法。
【請求項3】
前記傍受許可フラグは、TCPヘッダのACKヘッダのReserved部に記述された、傍受許可を意味する特定値であることを特徴とする請求項2に記載の同報受信方法。
【請求項4】
第2の端末は、第3のステップについて、
前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受した際に、当該確認パケットに対応する前記データパケットに含まれるコンテンツ識別情報を、ユーザインタフェースを介してユーザへ明示し、
前記ユーザインタフェースに対してユーザが当該コンテンツ識別情報に基づくコンテンツの受信を所望する操作をした後、前記コンテンツ配信サーバから第1の端末へ流れる前記データパケットの受信を開始する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の同報受信方法。
【請求項5】
第2の端末は、第3のステップについて、前記コンテンツ配信サーバから第1の端末へ流れる前記データパケットの受信を開始する際に、プレーヤプログラムを自動的に起動することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の同報受信方法。
【請求項6】
コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、該コンテンツを受信し且つローカルネットワークへ中継するアクセスポイントと、前記コンテンツを前記ローカルネットワークを介して受信する複数の端末とを有する同報受信システムであって、
第1の端末は、
前記アクセスポイントを介して前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する通信コネクション確立手段と、
前記コンテンツ配信サーバから前記アクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットを前記コンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段と
を有し、
第2の端末は、
第1の端末と前記アクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受した際に、前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、前記アクセスポイントから第1の端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有することを特徴とする同報受信システム。
【請求項7】
コンテンツ配信サーバからコンテンツを受信し且つローカルネットワークへ中継するアクセスポイントと前記ローカルネットワークを介して通信する端末に搭載されたコンピュータを機能させる同報受信プログラムであって、
傍受元機能として、
前記アクセスポイントを介して前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する通信コネクション確立手段と、
前記コンテンツ配信サーバから前記アクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットを前記コンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段と
を有し、
傍受先機能として、
第1の端末と前記アクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受した際に、前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、前記アクセスポイントから第1の端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有するようにコンピュータを機能させることを特徴とする端末用の同報受信プログラム。
【請求項8】
ローカルネットワークに接続されたアクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する傍受元端末において、
前記コンテンツ配信サーバから前記アクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットを前記コンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段を有し、
前記ローカルネットワークに接続された他の端末に、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受させることによって、前記アクセスポイントから当該傍受元端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信させるように動作させる
ことを特徴とする傍受元端末。
【請求項9】
請求項8に記載の傍受元端末と共に、ローカルネットワークに接続された傍受先端末であって、
前記傍受元端末と前記アクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受した際に、前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、前記アクセスポイントから第1の端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有することを特徴とするも傍受先端末。
【請求項10】
ローカルネットワークに接続されたアクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する傍受元端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
前記コンテンツ配信サーバから前記アクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットを前記コンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段としてコンピュータを機能させ、
前記ローカルネットワークに接続された他の端末に、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受させることによって、前記アクセスポイントから当該傍受元端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信させるように動作させる
ことを特徴とする傍受元端末用のプログラム。
【請求項11】
請求項8に記載の傍受元端末と共に、ローカルネットワークに接続された傍受先端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記傍受元端末と前記アクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
前記傍受許可フラグが付加された前記確認パケットを傍受した際に、前記コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、前記アクセスポイントから第1の端末へ流れる前記データパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有することを特徴とするも傍受先端末用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカルネットワーク内で、アクセスポイントから複数の端末へ同報送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アクセスポイントは、一方をWAN(Wide Area Network)に接続し、他方を無線LAN(Local Area Network)に接続する。そして、アクセスポイントは、サーバと端末との間で送受信されるデータパケットを中継する。また、アクセスポイントは、一般に、各端末にIPアドレスを割り当てるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)機能も搭載している。
【0003】
アクセスポイントは、安価に市販されており、誰でも簡単に設置することができる。また、会社や店舗に設置すれば、スマートフォンやパーソナルコンピュータのような多数の端末が、アクセスポイントに同時に接続することができる。アクセスポイントは、端末との間で認証シーケンスを実行し、通信リンクを確立する。そのため、アクセスポイントの処理能力上、当該アクセスポイントに端末が接続できる許容接続数が制限されている。市販の一般的なアクセスポイントであれば、14台程度の端末を接続できるものから、最大50台程度の端末まで接続できるものもある。また、例えば通信事業者がスマートフォンからの接続用に設置するアクセスポイントでは、最大100台程度の端末まで接続できるものもある。そのために、アクセスポイントが、同一のデータパケット(コンテンツ)を送信する場合であっても、許容接続数以上の端末へ送信することはできない。
【0004】
また、アクセスポイントと複数の端末との間の無線LANでは、利用可能な帯域幅が規定されている。具体的に、802.11a/gの場合、その利用可能な帯域幅は54Mbpsであって、それ以上のデータパケットを送信することはできない。そうすと、アクセスポイントは、許容接続数以下の端末しか接続していない場合であっても、利用可能な帯域幅以上には、データパケットを送信することもできない。即ち、アクセスポイントに接続可能な端末数は、更に制限される場合がある。
【0005】
これに対し、アクセスポイントが、同一のデータパケットを多数の端末へ同報的に送信するために、マルチキャスト方式がある。「マルチキャスト」方式によれば、同一データパケットに対するマルチキャストアドレスを設定し、端末は、そのマルチキャストアドレスに参加/離脱する。そのマルチキャストアドレスに参加した多数の端末は、同一のデータパケットを同時に受信することができる。マルチキャスト方式を用いることによって、LANにおける最低限の帯域保証のみで、多数の端末が、同一のデータパケットを同報的に受信することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】WildPackets社、Gigazine、「Windowsで動作可能な無料の無線LANパケットキャプチャ「Omnipeek Personal」」、[online]、[平成24年9月10日検索]、インターネット<URL:http://gigazine.net/news/20071202_omnipeek_personal/>
【非特許文献2】「Wireshark」、[online]、[平成24年9月10日検索]、インターネット<URL:http://www.simeji.com/wiki/index.php?Wireshark>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マルチキャスト方式に対応したアクセスポイントや端末は、あまり一般的に利用されていない。また、端末とアクセスポイントとの間で、マルチキャストアドレスの検出と参加/離脱のシーケンスも別途必要とする。一方で、マルチキャスト方式は、特定の通信エリア内で且つ特定の時間帯で、しかも特定の端末群に対して、イベント的にデータを配信するには適すると考えられるが、一般的なアクセスポイントや端末まで対応することは難しい。
【0008】
そこで、本発明は、マルチキャスト方式を用いることなく、且つ、アクセスポイントに対する端末の許容接続数や無線LANの利用可能帯域幅に制限されることなく、多数の端末が、同一のデータパケットを同報受信することができる方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、該コンテンツを受信し且つローカルネットワークへ中継するアクセスポイントと、コンテンツをローカルネットワークを介して受信する複数の端末とを有するシステムにおける同報受信方法であって、
第1の端末が、アクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する第1のステップと、
第1の端末が、コンテンツ配信サーバからアクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットをコンテンツ配信サーバへ応答する第2のステップと、
第2の端末が、第1の端末とアクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受する第3のステップと、
第2の端末が、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、アクセスポイントから第1の端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の同報受信方法における他の実施形態によれば、
通信コネクションは、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤに基づくものであり、
確認パケットは、TCPのACKパケットであることも好ましい。
【0011】
本発明の同報受信方法における他の実施形態によれば、傍受許可フラグは、TCPヘッダのACKヘッダのReserved部に記述された、傍受許可を意味する特定値であることも好ましい。
【0012】
本発明の同報受信方法における他の実施形態によれば、
第2の端末は、第3のステップについて、
傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、当該確認パケットに対応するデータパケットに含まれるコンテンツ識別情報を、ユーザインタフェースを介してユーザへ明示し、
ユーザインタフェースに対してユーザが当該コンテンツ識別情報に基づくコンテンツの受信を所望する操作をした後、コンテンツ配信サーバから第1の端末へ流れるデータパケットの受信を開始することも好ましい。
【0013】
本発明の同報受信方法における他の実施形態によれば、第2の端末は、第3のステップについて、コンテンツ配信サーバから第1の端末へ流れるデータパケットの受信を開始する際に、プレーヤプログラムを自動的に起動することも好ましい。
【0014】
本発明によれば、コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、該コンテンツを受信し且つローカルネットワークへ中継するアクセスポイントと、コンテンツをローカルネットワークを介して受信する複数の端末とを有する同報受信システムであって、
第1の端末は、
アクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する通信コネクション確立手段と、
コンテンツ配信サーバからアクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットをコンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段と
を有し、
第2の端末は、
第1の端末とアクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、アクセスポイントから第1の端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、コンテンツ配信サーバからコンテンツを受信し且つローカルネットワークへ中継するアクセスポイントとローカルネットワークを介して通信する端末に搭載されたコンピュータを機能させる同報受信プログラムであって、
傍受元機能として、
アクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する通信コネクション確立手段と、
コンテンツ配信サーバからアクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットをコンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段と
を有し、
傍受先機能として、
第1の端末とアクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、アクセスポイントから第1の端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有するようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ローカルネットワークに接続されたアクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する傍受元端末において、
コンテンツ配信サーバからアクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットをコンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段を有し、
ローカルネットワークに接続された他の端末に、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受させることによって、アクセスポイントから当該傍受元端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信させるように動作させる
ことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前述の傍受元端末と共に、ローカルネットワークに接続された傍受先端末であって、
傍受元端末とアクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、アクセスポイントから第1の端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、ローカルネットワークに接続されたアクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する傍受元端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
コンテンツ配信サーバからアクセスポイントを介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットをコンテンツ配信サーバへ応答するデータパケット受信手段としてコンピュータを機能させ、
ローカルネットワークに接続された他の端末に、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受させることによって、アクセスポイントから当該傍受元端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信させるように動作させる
ことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前述の傍受元端末と共に、ローカルネットワークに接続された傍受先端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
傍受元端末とアクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受する確認パケット傍受手段と、
傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、アクセスポイントから第1の端末へ流れるデータパケットを傍受によって受信するデータパケット傍受受信手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の同報受信方法、システム、端末及びプログラムによれば、マルチキャスト方式を用いることなく、且つ、アクセスポイントに対する端末の許容接続数や無線LANの利用可能帯域幅に制限されることなく、多数の端末が、同一のデータパケットを同報受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】端末から応答される確認パケットのTCPフレームフォーマットを表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0024】
図1のシステムは、コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバ2と、そのコンテンツを受信し且つ無線LANへ中継するアクセスポイント3と、コンテンツを無線LANを介して受信する複数の端末1(クライアント)とを有する。コンテンツ配信サーバ2やアクセスポイント3は既存のものであって、本発明によれば、端末1に搭載されるソフトウェア的な機能に特徴がある。端末1は、例えばタブレット端末やスマートフォン、パーソナルコンピュータのようなものである。
【0025】
図1によれば、端末1Aが、ベース端末として機能し、アクセスポイント3との間で無線LANを介して通信リンクを確立している。その後、端末1Aは更に、アクセスポイント3を介してコンテンツ配信サーバ2との間で通信コネクションを確立している。これによって、端末1Aは、コンテンツ配信サーバ2からアクセスポイント3を介して、コンテンツに基づくデータパケットを受信することができる。一方で、他の端末1B及び1Cは、アクセスポイント3に対して通信リンクを確立していない。本発明によれば、端末1B及び1Cは、端末1Aによってコンテンツ配信サーバ2から受信されているデータパケットを傍受することによって、同報的に受信する。
【0026】
図1のシステムは、例えばスタジアムやコンサートホール、ショッピングセンタ等の公衆無線LANに適用されることが好ましい。ユーザが自ら所持するスマートフォンやタブレット端末を用いて、アクセスポイントから、イベントやショッピングに関連するコンテンツ(例えば広告映像データやクーポン情報)を同報的に受信することができる。具体的には、エリア限定ワンセグ、Ustream(登録商標)、ニコニコ生放送(登録商標)、radiko(登録商標)、Lismo wave(登録商標)のようなサービスにも適用できる。
【0027】
本発明によれば、ベース端末となる端末1Aと、データパケットを傍受する端末1B及び1Cのそれぞれに、専用のアプリケーションプログラムをインストールして起動していることを要する。
【0028】
図2は、本発明におけるシーケンス図である。
【0029】
[S1]最初に、端末1Aは、アクセスポイント3から放送されるビーコン信号をスキャンする。端末1Aは、そのビーコン信号を受信した際、アクセスポイント3へ、ビーコン信号に含まれるSSID(Service Set Identifier)に基づく接続要求を送信する。端末1Aは、当該SSIDに対するパスワードを予め記憶しており、そのパスワードも接続要求に含める。これに対し、アクセスポイント3は、接続応答を端末1Aへ返信する。また、アクセスポイント3は、DHCP機能も搭載しており、IPアドレスの割当通知を端末1Aへ送信する。このようにして、端末1Aは、アクセスポイント3との間で通信リンクを確立する。その後、端末1Aは、アクセスポイント3を介してコンテンツ配信サーバ2との間で通信コネクションを確立する。この通信コネクションは、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤに基づく1対1のユニキャスト通信のものである。
【0030】
尚、本発明によれば、端末1Aが、コンテンツ配信サーバ2から受信したコンテンツを、プレーヤプログラムによって再生することまでは必要としない。あくまで、アクセスポイント3から端末1Aへ、データパケットが流れればよい。
【0031】
[S2]端末1Aは、ユーザ所望のコンテンツに対する要求メッセージを、コンテンツ配信サーバ2へ送信する。これに対し、コンテンツ配信サーバ2は、そのコンテンツを、アクセスポイント3を介して端末1Aへ送信する。本発明によれば、映像や音声のようなコンテンツを配信する場合は、ファイルダウンロード方式ではなく、ストリーミング方式の方が、同報受信という特徴を生かせると考えられる。
【0032】
TCPによれば、端末1Aは、一定量のデータパケットを受信する毎に、コンテンツ配信サーバ2へ、確認パケット(ACKパケット)を返信する。ここで、ベース端末としての端末1Aのユーザが、自ら受信しているデータパケットをその無線LAN内の他の端末で傍受されることを許可することもできる。この場合、本発明の確認パケットには、「傍受許可フラグ」が付加される。即ち、ここでの傍受許可フラグは、端末1Aが、自ら受信するデータパケットについて、他の端末1B及び1Cによって傍受されることを許可することを意味する。傍受許可フラグは、TCPヘッダのACKの中に含まれるユニークな識別子である。
【0033】
図3は、端末から応答される確認パケットのTCPフレームフォーマットを表す説明図である。
【0034】
本発明によれば、傍受許可フラグとして、「TCPヘッダのACKの確認応答番号のReserved部」を使用する。TCPによれば、ACKのビット長は32ビットであって、送信側が次に送信すべきデータパケットのシーケンス番号として、確認応答番号(Acknowledgement Number)が含まれている。これによって、送信側は、この番号と次に送信するデータパケットのシーケンス番号とが同じであれば、先に送信したデータパケットは正常に受信されたと判断することができる。また、ACKの確認応答番号の部分には、将来的に拡張可能なReserved部(6ビット)がある。そこで、ACKのReserved部に、傍受許可を意味する特定番号を傍受許可フラグとして含めることによって、当該パケットを傍受する他の端末によって認識させる。通常、「Reserved」には0(000000)が格納されており、現状のところ使用されていない。そこで、具体的な傍受許可フラグとして、「111111」としてもよい。
【0035】
尚、2つの実施形態に基づく傍受許可フラグを含む確認パケットは、コンテンツ配信サーバ2へ送信される。コンテンツ配信サーバ2も、この傍受可能フラグを見て、自ら当該端末へ送信するデータパケットが傍受可能であることを認識する。一方で、コンテンツ配信サーバ2側で、本来、同報送信すべきコンテンツでないにも拘わらず、この傍受可能フラグを検出した場合、そのデータパケットの送信を停止することもできる。
【0036】
[S3]端末1B及び1Cは、端末1Aとアクセスポイントとの間の無線LANに流れるパケットを傍受(snooping)する。ここで、データパケットに対する確認パケットは、当該データパケットだけの傍受を許可するものではなく、その確認パケットに続く一連のデータパケットの傍受を許可するものである。そのために、TCPのACKパケットの傍受に基づく識別は、端末1Bがその通信を受信開始した最初の一定量のパケット(例えば、受信開始した最初の5パケット)のみを識別するだけでよい。無線LANを流れる大量の確認パケットを全て識別する必要はない。
【0037】
ここで、端末1B及び1Cにおける「傍受」方法としては、既存のIPパケットのキャプチャ方法を用いる(例えば非特許文献1及び2参照)。これらキャプチャ方法によれば、データパケットがWEP等(Wired Equivalent Privacy)で暗号化されている場合であっても、正当なWEPキーを入力することによってキャプチャすることができる。
【0038】
そして、端末1B及び1Cは、傍受許可フラグが付加されたパケットを検出した際に、例えばメディアプレーヤのようなアプリケーションを自動的に起動する。これによって、その後、アクセスポイント3からベース端末1Aへ送信される、傍受したデータパケットを、自ら受信したデータパケットとして、メディアプレーヤによって再生することができる。尚、端末1B及び1Cはデータパケット上で明示される宛先(端末1A)を取り除いて、自端末での再生が許容されたものとしてメディアプレーヤで再生させる機能を有する。
【0039】
オプション的に、端末1B及び1Cは、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、当該確認パケットに対応するデータパケットに含まれるコンテンツ識別情報を、ユーザインタフェースを介してユーザへ明示することも好ましい。端末1B及び1Cは、傍受可能なデータパケットを受信するか否かを、ユーザインタフェースに対してユーザに問い合わせる。ユーザが当該コンテンツ識別情報に基づくコンテンツの受信を所望する操作をした後、コンテンツ配信サーバ2から端末1Aへ流れるデータパケットの傍受した受信を開始する。
【0040】
[S4]端末1B及び1Cは、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、アクセスポイント3から端末1Aへ流れるデータパケットを傍受によって受信する。このとき、端末1B及び1Cは、アクセスポイント3との間で通信リンクを確立することなく、コンテンツ配信サーバ2との間でも通信コネクションを確立しない。端末1B及び1Cは、あくまで、アクセスポイント3から端末1Aへ転送されるデータパケットを傍受によって受信するだけである。そして、傍受によって受信されたデータパケットは、メディアプレーヤによって再生され、端末1B及び1Cのユーザによって視聴される。
【0041】
傍受することによって、アクセスポイント3の処理能力と、無線LAN及びインターネットの帯域とに、全く負荷を与えることなく、無線LAN内で同報受信が可能となる。特に、傍受することによって、アクセスポイント3に対する端末の許容接続数にも影響を与えることがない。
【0042】
尚、コンテンツのファイルサイズ、ビットレート等は、コンテンツ配信サーバ2から送信されたコンテンツの設定値となる。また、再生時のバッファ容量は、インストールされたメディアプレーヤに依存する。例えば映像及び音声の場合、1秒当たり数十フレーム
が送信されることとなる。
【0043】
また、端末1B及び1Cは、コンテンツの途中から傍受した場合、受信できたデータパケットから、随時、再生可能となる。端末1B及び1Cは、コンテンツの先頭のデータパケットから再生させるためには、メディアプレーヤを予め起動しておき、傍受先機能によって傍受スタンバイ状態としておくことが好ましい。
【0044】
更に、他の実施形態として、アクセスポイント3から端末1Aへ流れるデータパケットが、暗号化(例えばWEP,WPA−PSK(Wi-Fi Protected Access Pre-Shared Key))されている場合もある。端末1Aは、SSIDに対するキーを予め保持している。同様に、傍受する端末1B及び1Cも、そのSSIDに対するキーを予め保持しておく必要がある。但し、WPA2やEPAのように、アクセスポイント3と通信リンクを確立することを要する暗号プロトコルは、用いることができない。
【0045】
図4は、本発明における端末の機能構成図である。
【0046】
図4によれば、端末1は、ベース端末としての傍受元機能と、データパケットを傍受して受信する傍受先機能とを有する。傍受元機能としては、通信コネクション確立部111と、データパケット受信部112と、データパケット送信部113とを有する。これら機能構成部は、端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。本発明におけるプログラムは、傍受元機能及び傍受先機能の両方を一体的に含む同報受信プログラムであってもよいし、傍受元端末用のプログラム及び傍受先端末用プログラムと別々であってもよい。
【0047】
通信コネクション確立部111は、既存機能であって、アクセスポイントを介してコンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立する(前述したS1参照)。
【0048】
データパケット受信部112は、コンテンツ配信サーバ2からアクセスポイント3を介してコンテンツのデータパケットを受信すると共に、傍受許可フラグを付加した確認パケットをコンテンツ配信サーバへ応答する(前述したS2参照)。
【0049】
データパケット送信部113は、既存機能であって、コンテンツ配信サーバ2へ何らかのデータパケットを送信する。
【0050】
傍受先機能として、確認パケット傍受部121と、データパケット傍受受信部122とを有する。これら機能構成部は、端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0051】
確認パケット傍受部121は、端末1Aとアクセスポイントとの間のローカルネットワークに流れる、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受する(前述したS3参照)。
【0052】
データパケット傍受受信部122は、傍受許可フラグが付加された確認パケットを傍受した際に、コンテンツ配信サーバとの間で通信コネクションを確立することなく、アクセスポイントから端末1Aへ流れるデータパケットを傍受によって受信する(前述したS4参照)。
【0053】
以上、詳細に説明したように、本発明の同報受信方法、システム、端末及びプログラムによれば、マルチキャスト方式を用いることなく、且つ、アクセスポイントに対する端末の許容接続数や無線LANの利用可能帯域幅に制限されることなく、多数の端末が、同一のデータパケットを同報受信することができる。本発明によれば、アクセスポイントの処理能力、及び、LANやインターネットの伝送路に、負荷をかけることなく、LAN内の多数の端末は、データパケットを放送的に受信することができる。このとき、受信可能な端末数の制限も無い。
【0054】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0055】
1 端末
10 通信インタフェース
111 通信コネクション確立部
112 データパケット受信部
113 データパケット送信部
121 確認パケット傍受部
122 データパケット傍受受信部
13 アプリケーション処理部
2 コンテンツ配信サーバ
3 アクセスポイント