(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1光源部と第2光源部は、透明発光パネルで構成され、互いに積層した状態に設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のキャップの外観検査装置。
前記判定部は、傾斜面の境界位置を第1画像により、水平面の境界位置を第2画像により判定することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載のキャップの外観検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された検査装置は、キャップを回転させながら撮像する構成であり、回転台の回転中心にキャップの中心を一致させることは困難であり、位置合わせを高精度に行うことができない。その結果、高精度の欠陥判定ができなくなるという問題があった。
【0007】
また、上記の通り、ブリッジ切れについては、検出することができるものの、キャップ内周についての検査は依然として不十分であった。すなわち、特許文献1に開示された検査装置は、斜め方向からキャップの外周面を撮像する構成であり、キャップの内周面については撮像することは光学的に困難である。
【0008】
また、例えば、CCDカメラのレンズとして、魚眼レンズなどの撮影画角の広いレンズ、を用いることで、キャップの内側を撮像することは理論上可能ではあるが、画像の収差が大きくなり、画像検査用、特に寸法測定に用いることは実質的に不可能である。
【0009】
また、キャップの内周面について撮像して、画像検査を行った場合でも、白色のキャップ内面については、明るさの差が殆どないので画像検査が困難であるという問題があった。一般には、ペットボトル用のキャップには、ボトルの開口部を内外から挟むように配置された2つのリング状の突状が設けられており、これらは開口部から内容物を密閉するために必要な構成となっている。しかし、これらの寸法精度が悪いと、液漏れやキャップが閉じられないなどの問題が生じるため、これらの寸法検査は特に重要であるが、現状では上記理由から画像検査は困難であり、キャップをいくつかサンプリングし、このサンプルのキャップを切断してノギスで寸法測定する方法がとられている。
【0010】
しかし、この方法では全数検査は不可能であり、また、検査の手間が非常に煩雑であるという問題があった。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、キャップの内面を高精度で測定することができる、キャップの外観検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のキャップの外観検査装置を提供する。
【0013】
本発明の第1態様によれば、
内面に環状の凹凸を有するキャップの内面に向けて斜め上方から拡散光を照射可能な第1光源部と、
前記キャップの内面に向けて上方から平行光を照射可能な第2光源部と、
前記第2光源部の光軸に対して同軸に設けられ、前記キャップの内面を前記第1光源部からの光による第1画像及び第2光源部からの光による第2画像をそれぞれ区別して撮像可能なエリアカメラと、
前記エリアカメラにより撮像された第1画像及び第2画像に基づいて、前記キャップの内面の凹凸の境界位置を判定する判定部を備えることを特徴とする、キャップの外観検査装置を提供する。
【0014】
本発明の第2態様によれば、前記第1光源部と第2光源部は照射する光の波長が異なり、
前記エリアカメラは、それぞれ照射された波長の光を透過するフィルタが設けられているピクセルをアクティブとすることにより、前記第1画像及び第2
画像を区別することを特徴とする、第1態様のキャップの外観検査装置を提供する。
【0015】
本発明の第3態様によれば、前記第1光源部と第2光源部は光を間欠的に照射し、
前記エリアカメラは、前記第1光源部と第2光源部からそれぞれ照射された光の発光タイミングと撮像タイミングとを同期することにより、前記第1画像及び第2
画像を区別することを特徴とする、第1態様のキャップの外観検査装置を提供する。
【0016】
本発明の第4態様によれば、前記第1光源部と第2光源部は、透明発光パネルで構成され、互いに積層した状態に設けられていることを特徴とする、第1から第3態様のいずれかのキャップの外観検査装置を提供する。
【0017】
本発明の第5態様によれば、前記第2光源部は、発光パネルの発光面に設けられた平行光フィルタを有することを特徴とする、第4態様のキャップの外観検査装置を提供する。
【0018】
本発明の第6態様によれば、前記判定部は、傾斜面の境界位置を第1画像により、水平面の境界位置を第2画像により判定することを特徴とする、第1から第5態様のいずれか1つのキャップの外観検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ボトルの開口に取り付けて使用される樹脂製又は金属製のキャップ部の内面に設けられた環状の凹凸表面の角度に応じて、平行光及び拡散光により明るく照射されて撮像される領域が異なる。このため、拡散光及び平行光の2つの光に対応して、キャップ内面の凹凸の写り込みが異なる2つの画像を得ることができる。すなわち、拡散光である第1光源部からの光によって撮影された第1画像は、内面の凹凸に多方向からの光が照射されるため、斜め方向の面が明るく撮像された画像とすることができる。一方、エリアカメラと同軸に設けられた第2光源部からの平行光によって撮影された第2画像は、キャップ内部の凹凸の間に存在するキャップ天面に対して法線方向から光が照射されるため、凹凸の部分は陰になる一方天面が鮮明に写り込んだ画像とすることができる。したがって、これらの特徴ある2つの画像を用いることにより、キャップ内面の凹凸の境界位置の判定を高精度に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の各実施形態にかかるキャップの外観検査装置の概略構成について図面を参照しながら説明する。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかるキャップの外観検査装置1は、一例としてのペットボトルの飲み口部分に付される樹脂製のキャップ内面に設けられた凹凸の寸法を測定し、製造誤差などによる不良品であるかどうかをカメラ2によって撮像された画像を用いて判定を行うものである。本実施形態の外観検査装置1において検査可能なキャップは、樹脂製のキャップに限らず、アルミニウムなどで構成されたボトル用キャップであってもよい。一般に樹脂製キャップは口径が28mmのものが用いられ、アルミニウム製のキャップは口径が38mmのものが用いられる。
【0023】
図1は、本実施形態にかかるキャップの外観検査装置の被検査物であるキャップの概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、ペットボトル用の樹脂キャップ100は、天面101と側面102とを有している。側面102にはボトルの開口周囲に設けられるネジと螺合するネジ山103が設けられており、天面101には、ボトル内容物の漏出防止のために、内側リング104、外側リング105が突設されている。内側リング104、外側リング105は、ペットボトルの開口部がこの間の領域106に挟まるように配置されることによって、漏出防止されるものであるから、内側リング104の外径寸法及び外側リング105の内径寸法に求められる精度は非常に高いものとなっている。
【0024】
図2は、本発明の第1実施形態にかかる外観検査装置の構成を示す模式図である。本実施形態にかかる外観検査装置1では、キャップ100の上方に本発明の第1光源部及び第2光源部の一例としての2つの照明装置3,4が設けられている。
【0025】
また外観検査装置1には、それぞれ第1照明装置3,第2照明装置4から照射された光を用いて検査対象であるキャップ100を撮像するカメラ2が設けられている。カメラ2はキャップ100の上方からキャップ100の内面に照射されて反射した光を撮影する。
【0026】
カメラ2によって撮像された画像は、画像判定部5に出力され当該画像に基づいて、キャップの寸法精度が判別される。画像判定部5は、例えば、汎用のコンピュータを使用可能であり、本実施形態では、これらの機能を発揮するドライバプログラム及び画像解析プログラムがインストールされたコンピュータが用いられている。
【0027】
本実施形態にかかる外観検査装置1では、キャップ100はコンベアベルト6により搬送され、所定の撮像位置に位置決めされる。
【0028】
カメラ2は、検査対象であるキャップ100の上部に設けられたエリアカメラであり、その光軸がキャップ100の天面102に対して法線方向となるように配置されている。カメラ2には、それぞれのピクセルに例えばRGBフィルタなどのフィルタが設けられたカラーCCDが搭載されている。カメラ2は、特定の波長の光を透過するフィルタが設けられているピクセルのみをアクティブとすることにより、当該特定の光により照射されたキャップ100の画像を撮像することができる。
【0029】
カメラ2には、レンズ2aが設けられており、画角を小さくしてカメラの光軸方向に沿った方向の反射光を主に受光し、この方向から入射される光により撮像されるように構成されている。
【0030】
第1照明装置3は、キャップ100の上方に設けられカメラの光軸に対して特定の波長の光を拡散光として発光する面光源である。本実施形態では、第1照明装置3は、おおむね450〜490nmの青色光を発光する面光源であり、透明発光パネルが用いられている。第1照明装置3は、発光面全体から拡散光を発光する。
【0031】
第2照明装置4は、第1照明装置3の上方に積層した状態に設けられ、カメラの光軸と同軸に特定の波長の光を発光する面光源である。本実施形態では、第2照明装置4は、おおむね620〜750nmの赤色光を発光する面光源が用いられる。
【0032】
第2照明装置4の発光面には、平行光を発光させるために、たとえば平行光フィルタを設けることができる。平行光フィルタは、例えば、中空のハニカム構造体を内包させたシート状のフィルタであり、ハニカム構造体の中空方向に沿った方向に射出された光のみが透過することができるため、照射された光を平行光とすることができる。この構成を取ることにより、コンパクトな構成で平行光を得ることができる。
【0033】
各照明装置3,4から照射されるそれぞれ異なる波長を有する光は、カメラ2によって判別され、これらの光で照射されたキャップ100の画像がそれぞれ撮像される。すなわち、カメラ2は、それぞれの照明装置3,4により照射された2種類のキャップ100の画像(第1画像、第2画像)を出力することができる。
【0034】
第1画像及び第2画像は、1つのカメラで撮像された画像であるため、撮影位置、画角、焦点距離などを等しくする画像であり、画像中の各画素はそれぞれ被写体であるキャップ100の同じ位置を撮像している。このため、後述する画像解析において、両画像の比較を行なう場合には、各画素の座標に基づいて処理を行うことで容易に両画像間の対応を取ることができる。
【0035】
図3に、本実施形態にかかる外観検査装置の第1照明装置から照射された光路を示す。
図3に示すように、第1照明装置3は、ある任意の発光面から、あらゆる方向に対して同じ照度を有する拡散光を照射する発光装置である。すなわち、当該第1照明装置3によって照射されたキャップ100内面の任意の点には、あらゆる方向の光路を通って光が照射され、カメラの光軸方向に反射した光L1がカメラに入射する。なお、キャップ101の内面は、鏡面には構成されていないため入射光の大部分は正反射するが、一部は拡散反射する。
【0036】
よって、第1照明装置3によって撮像された画像には、天面101などの水平面に加えて斜め方向の傾きを持つ傾斜面も明るく撮像され、全体としての内側リング104、外側リング105などの境界が判別しにくい画像となる。
【0037】
図4に第1照明装置を用いた第1画像の例を示す。
図4に示すように、第1画像では、全体が明るく撮像されているため、天面101に設けられた凹凸(内側リング104、外側リング105)の陰影も薄く撮像されている。一方で、凹凸部の陰影が明確ではないため、その凹凸部の境界や輪郭もはっきりせず、濃淡の差が顕著に表れていない。なお、内側リング104と外側リング105の間の領域106については、照射光が到達しにくく若干暗く撮像される。
【0038】
図5に本実施形態にかかる外観検査装置の第2照明装置4から照射された光路の例を示す。
図5に示すように、第2発光装置4の発光面からは、キャップ100の天面101の法線方向に平行光が発光される。すなわち、当該第2照明装置4によって照射されたキャップ100の天面101の任意の点には、光路L2に示すように発光面に対して直角な方向の光のみが照射され、天面101のうち、水平方向の面によって反射された光がカメラに入射し、斜め方向の面によって反射された光はカメラに到達しない。このため、第2照明装置4によって照射された天面101には、凹凸(内側リング104、外側リング105)部の境界部分の陰影がはっきりと撮像される。
【0039】
図6に第2照明装置を用いた第2画像の例を示す。
図6に示すように、天面101の凹凸部分である傾斜面については陰影が薄く撮像されている一方で、凹凸のない水平面の部分については陰影がはっきりと撮像されている。すなわち、傾斜面と水平面との陰影の濃淡の差が顕著に表れ、内側リング104、外側リング105などの境界部分が判別しやすい。
【0040】
次に、画像判定部5による画像解析によるキャップ100の寸法計測ついて説明する。
図7は、外観検査装置の画像判定部の機能ブロック図である。
図8は、画像判定部が行う欠陥判定処理のフローチャートである。
図9は、外観検査装置により撮像されたキャップ内面の検査画像例であり、第1及び第2画像を同時に出力した画像である。当該画像は、キャップ100の内面の傾斜角度に応じて、すなわち、傾斜面及び水平面により、第1照明装置及び第2照明装置から照射された特定波長の光が同心円状に配置され、水平面と傾斜面との境界が画像認識できる程度に識別される。なお、
図9においては、第1照明装置から照射された光により明るく撮像される領域には、格子状のハッチングを付して図面上領域を模式的に識別する。
【0041】
本実施形態にかかる外観検査装置は、キャップ100の撮像画像に基づいて、キャップ100の外径107、ネジ山103の内径108、外側リング105の外径109、外側リング105の内径110、内側リング104の外径111の5項目の寸法を測定する。
【0042】
本発明の判定部の一例としての画像判定部5は、エッジ特定部10、エッジ走査部11、近似円作成部12、寸法測定部13、欠陥判定部14とを備え、さらに、標準データ15を備えている。画像判定部5は、カメラ2により撮像された2種類の第1画像及び第2画像を用いて検査エリア内の輝度値の変化量に基づいて両画像中の各測定項目のエッジ特定を行い、特定されたエッジから近似円を作成することで、各測定項目の寸法及び真円度を演算する。
【0043】
まず、画像判定部5のエッジ特定部10は、各測定項目の測定項目についてエッジ(境界)を検出する(#1)。エッジの検出は、径方向に隣り合う画素の色差により行う。一例としては、
図9に示すように、ネジ山103の内径108、外側リング105の外径109、内側リング104の外径111の各境界については、第1画像によりエッジを特定し、キャップ100の外径107、外側リング105の内径110の各境界については、第2画像によりエッジを特定する。なお、このエッジの検出は、後述するエッジ走査時に同時に行ってもよい。
【0044】
各測定項目のエッジが特定されると、エッジ走査部11は、キャップ100の外径107について、エッジ走査を行う(#2)。
図10は、キャップ外径のエッジ走査の走査例を示す説明図である。エッジ走査は、予め標準データ15内に設けられている位置補正用仮想円112を検査画像中に配置し、当該仮想円112から内周に向かってエッジ走査を行い、隣り合う画素の色差に基づいて、エッジ点113を求める。エッジ点はキャップの全周方向、すなわち360度分求める。
【0045】
エッジ点113が求まると、近似円作成部12は、エッジ点113の座標情報に基づいて円近似の計算を行い、近似円114の中心点と半径を算出する(#3)。
【0046】
キャップ100の外径107について、近似円114が求まると、エッジ走査部11は、他の測定項目についてエッジ走査を行なう(#4)。
図11は、他項目のエッジ走査の例として外側リング105の外径109についてのエッジ走査の走査例を示す説明図である。
【0047】
他項目のエッジ走査は、上記の処理により求められたキャップ外径107の近似円114から内周に向かってエッジ走査を行い、隣り合う画素の色差に基づいて、エッジ点115を求める。エッジ点はキャップの全周方向、すなわち360度分求める。
【0048】
図12は、他項目のエッジ走査の例としてネジ山103の内径108についてのエッジ走査の走査例を示す説明図である。ネジ山103は、図に示すように、キャップ100の側壁102の全周にわたって設けられているものではないため、エッジ走査を全周方向にわたって行うことができないため、下記の処理を行う。
【0049】
エッジ走査部11は、ネジ山103の部分について、第1画像を参照してネジ山の切り取りネジ部分103aの領域を特定する。特定された領域103aは、
図12に示すようにキャップの周方向に非連続に配置されており、これらの領域103ごとに独立して重心位置119を演算する。
【0050】
次いで、この重心位置から左右方向に特定幅の領域のみについて、エッジ走査を行う。なお、この特定幅は、撮像された画像に基づいてネジ山103の部分のみを領域抽出して特定幅を決定してもよいし、予め格納されている標準データ15を参照して領域特定を行ってもよい。
【0051】
上記のようにして求められた
図12に示す特定領域120については、他項目と同様にキャップ外径107の近似円114から内周に向かってエッジ走査を行い、隣り合う画素の色差に基づいて、エッジ点117を求める。一方、この領域から外れている部分121については、エッジ走査を行なわず、エッジ点の演算を行わない。
【0052】
エッジ点115、117が求まると、近似円作成部12は、エッジ点115、117の座標情報に基づいて円近似の計算を行い(#5)、各測定項目について近似円116、118の中心点と半径を算出する(#6)。
【0053】
寸法測定部13は、上記の処理により求まった各測定項目(107〜111)の5項目について、近似円の中心点と半径を求め、この座標値に基づいて測定寸法を演算する。なお、各エッジ点の座標値から真円度を求めることも可能である。
【0054】
上記寸法が決定した後、欠陥判定部14は、各測定寸法を標準データ15と比較し、測定したキャップが正常品か欠陥品かを判定する(#7)。
【0055】
本実施形態によれば、2つの照明装置を用い、異なる光路を通ってカメラに到達した光を識別して撮影することにより、各光路の光に特有の画像を撮像することができる。撮像された画像は、陰影の撮影状態が異なるため、キャップ100の内面に設けられた凹凸の寸法判定において、2つの画像を使い分けることにより高精度にエッジの特定を行うことができる。
【0056】
また、2種類の画像を1つのカメラで同時に撮像することができるため、検査時間を短くすることができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態にかかるキャップの外観検査装置について説明する。第2実施形態にかかるキャップの外観検査装置31は、第1実施形態にかかるキャップの外観検査装置1と共通する構成を有しており、主として異なる構成を中心に説明を進める。
【0058】
図13は、第2実施形態にかかる外観検査装置の構成を示す模式図である。本実施形態にかかる外観検査装置31では、キャップ100の上方に2つの照明装置33,34が設けられている。
【0059】
第1照明装置33は、キャップ100の上方に設けられカメラの光軸に対して拡散光を照射する面光源である。また、第2照明装置34は、第1照明装置33の上方に積層した状態に設けられ、カメラの光軸と同軸に光を照射する面光源である。本実施形態では、第1照明装置33及び第2照明装置34からは共に白色光が発光されるが、特定の波長の単色光であってもよい。また、第1照明装置33及び第2照明装置34から発光される光の波長は異なっていてもよい。
【0060】
第1照明装置33及び第2照明装置34は、それぞれ間欠的に点灯するように発光のタイミングが制御されている。これらの発光のタイミング制御は、制御部36により行われており、任意のタイミングでそれぞれ第1照明装置33及び第2照明装置34から光が照射される。
【0061】
また外観検査装置31には、それぞれ第1照明装置33,第2照明装置34から照射された光を用いて検査対象であるキャップ100を撮像するカメラ32が設けられている。カメラ32は、検査対象であるキャップ100の上部に設けられたエリアカメラであり、その光軸がキャップ100の天面102に対して法線方向となるように配置され、キャップ100の上方からキャップ100の内面に照射されて反射した光を撮影する。
【0062】
カメラ32には、レンズ32aが設けられており、画角を小さくしてカメラの光軸方向に沿った方向の反射光を主に受光し、この方向から入射される光により撮像されるように構成されている。
【0063】
カメラ32の撮像のタイミングは、制御部36により制御されており、上記の第1照明装置33及び第2照明装置34の発光のタイミング制御と同期されている。
【0064】
すなわち、第1照明装置33が発光しているタイミングで撮像された場合は、第1照明装置33からの光で照射されたキャップ100の画像が撮像され、第2照明装置34が発光しているタイミングで撮像された場合は、第2照明装置34からの光で照射されたキャップ100の画像が撮像される。このようにしてカメラ32は、それぞれの照明装置33,34により照射された2種類のキャップ100の画像(第1画像、第2画像)を出力することができる。
【0065】
第1画像及び第2画像は、1つのカメラで撮像された画像であるため、撮影位置、画角、焦点距離などを等しくする画像であり、画像中の各画素はそれぞれ被写体であるキャップ100の同じ位置を撮像している。このため、後述する画像解析において、両画像の比較を行なう場合には、各画素の座標に基づいて処理を行うことで容易に両画像間の対応を取ることができる。
【0066】
カメラ32によって撮像された画像は、画像判定部35に出力され当該画像に基づいて、キャップの寸法精度が判別される画像判定部35は、例えば、汎用のコンピュータを使用可能であり、本実施形態では、これらの機能を発揮するドライバプログラム及び画像解析プログラムがインストールされたコンピュータが用いられている。
【0067】
本実施形態において、第1照明装置33によって撮像された画像には、天面101などの水平面に加えて斜め方向の傾きを持つ傾斜面も明るく撮像され、全体としての内側リング104、外側リング105などの境界が判別しにくい画像となる。
【0068】
一方、第2照明装置34を用いた第2画像では、天面101の凹凸部分である傾斜面については陰影が薄く撮像されている一方で、凹凸のない水平面の部分については陰影がはっきりと撮像されている。すなわち、傾斜面と水平面との陰影の濃淡の差が顕著に表れ、内側リング104、外側リング105などの境界部分が判別しやすい。
【0069】
したがって、第1実施形態と同様に、画像判定部35により、カメラ32により撮像された2種類の第1画像及び第2画像を用いて検査エリア内の輝度値の変化量に基づいて両画像中の各測定項目のエッジ特定を行い、特定されたエッジから近似円を作成することで、各測定項目の寸法及び真円度を演算する。
【0070】
本実施形態によれば、2つの照明装置を用い、異なる光路を通ってカメラに到達した光を時分で撮影することにより、各光路の光に特有の画像を撮像することができる。撮像された画像は、陰影の撮影状態が異なるため、キャップ100の内面に設けられた凹凸の寸法判定において、2つの画像を使い分けることにより高精度にエッジの特定を行うことができる。また、2種類の画像を1つのカメラで同時に撮像することができるため、検査時間を短くすることができる。
【0071】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。