特許第5959449号(P5959449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959449
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】エンジンのシール装置
(51)【国際特許分類】
   F02F 11/00 20060101AFI20160719BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20160719BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   F02F11/00 A
   F02F7/00 L
   F16J15/10 T
   F16J15/10 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-28935(P2013-28935)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-156839(P2014-156839A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】小山 秀行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】森本 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 学
(72)【発明者】
【氏名】長井 健太郎
【審査官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−101398(JP,A)
【文献】 特開2012−246969(JP,A)
【文献】 実開昭61−183447(JP,U)
【文献】 実開昭56−118939(JP,U)
【文献】 特開2006−329400(JP,A)
【文献】 特開2002−71024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00−11/00,
F16J 15/10−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)にガスケット嵌合溝(3)が形成され、このガスケット嵌合溝(3)にその入口開口(4)から弾性素材のガスケット(5)が押し込まれ、ガスケット(5)は、ガスケット本体(6)とガスケット本体(6)の両側の突部(7)(7)とで構成され、両突部(7)(7)はガスケット本体(6)の周方向に所定間隔を保持して複数形成され、両突部(7)(7)の突出端部(8)(8)が両突部(7)(7)の弾性力でガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)に圧接されることにより、両突部(7)(7)とガスケット嵌合溝(3)との摩擦力でガスケット(5)がガスケット嵌合溝(3)に対して抜け止めされ、シリンダヘッド(10)とシリンダヘッドカバー(1)との間に挟み付けられたガスケット(5)で、シリンダヘッド(10)とシリンダヘッドカバー(1)との間がシールされるように構成されている、エンジンのシール装置において、
ガスケット本体(6)の周方向に沿って計測した突部(7)の横寸法(w)が、ガスケット(5)の抜き差し方向に沿って計測した突部(7)の立寸法(v)以下の長さとされ、
シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の外側に取付ボス(14)が設けられ、この取付ボス(14)に挿通された取付ボルト(15)でシリンダヘッドカバー(1)がシリンダヘッド(10)に取り付けられ、ガスケット本体(6)の周方向に相互に離間したガスケット本体(6)の片側の突部(7)が、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の周方向に相互に離間した取付ボス(14)に接し、
取付ボルト(15)は、挿通軸部(19)と、挿通軸部(19)の先端面(20)から突出したオネジ部(21)と、挿通軸部(19)の基端側に設けられたボルト頭部(23)を備え、挿通軸部(19)は取付ボス(14)に挿通され、挿通軸部(19)の先端面(20)はシリンダヘッド(10)に接当され、オネジ部(21)はシリンダヘッド(10)のメネジ部(22)にネジ嵌合され、ボルト頭部(23)は取付ボス(14)をシリンダヘッド(10)側に押圧し、シリンダヘッドカバー(1)がガスケット(5)の弾性でシリンダヘッド(10)から離間する方向に弾発されて、シリンダヘッドカバー(1)とシリンダヘッド(10)との間に隙間が設けられている、ことを特徴とするエンジンのシール装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンのシール装置において、
突部(7)の横寸法(w)が、突部(7)の立寸法(v)の10%〜100%の長さとされている、ことを特徴とするエンジンのシール装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたエンジンのシール装置において、
ガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)が、ガスケット嵌合溝(3)の奥端(11)側から入口開口(4)に向けて拡開状に傾斜し、
両突部(7)(7)にはそれぞれ階段状に複数の段部(12)(13)が設けられ、押し込み始端側の段部(12)の方が押し込み終端側の段部(13)よりもガスケット本体(6)から両側に小さく突出するように形成されている、ことを特徴とするエンジンのシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのシール装置に関し、詳しくは、シリンダヘッドカバーのガスケット嵌合溝にガスケットを押し込みやすい、エンジンのシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図2(A)〜(D)に示すように、シリンダヘッドカバー(101)の開口縁部(102)にガスケット嵌合溝(103)が形成され、このガスケット嵌合溝(103)にその入口開口(104)から弾性素材のガスケット(105)が押し込まれ、ガスケット(105)は、ガスケット本体(106)とガスケット本体(106)の両側の突部(107)(107)とで構成され、両突部(107)(107)はガスケット本体(106)の周方向に所定間隔を保持して複数形成され、両突部(107)(107)の突出端部(108)(108)が両突部(107)(107)の弾性力でガスケット嵌合溝(103)の両内側面(109)(109)に圧接されることにより、両突部(107)(107)とガスケット嵌合溝(103)との摩擦力でガスケット(105)がガスケット嵌合溝(103)に対して抜け止めされ、シリンダヘッド(110)とシリンダヘッドカバー(101)との間に挟み付けられたガスケット(105)で、シリンダヘッド(110)とシリンダヘッドカバー(101)との間がシールされるように構成されている、エンジンのシール装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のシール装置では、ガスケット嵌合溝(103)にガスケット(105)を装着する場合、両突部(107)(107)のある箇所だけをガスケット嵌合溝(103)に押し込めばよいため、ガスケット嵌合溝(103)へのガスケット(105)の押し込み回数が少なくて済むという利点がある。
【0004】
しかし、この従来技術では、図2(B)に示すように、ガスケット本体(106)の周方向に沿って計測した突部(107)の横寸法(w)が、ガスケット(105)の抜き差し方向に沿って計測した突部(107)の立寸法(v)よりも長く形成されているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−183447号公報(第1図〜第4図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 シリンダヘッドカバーのガスケット嵌合溝にガスケットを押し込みにくい。
図2(B)に示すように、ガスケット本体(106)の周方向に沿って計測した突部(107)の横寸法(w)が、ガスケット(105)の抜き差し方向に沿って計測した突部(107)の立寸法(v)よりも長く形成されているため、図2(A)に示すように、ガスケット嵌合溝(103)へのガスケット(105)の押し込み時に、ガスケット嵌合溝(103)の両開口縁部(116)(116)に両突部(107)(107)の押し込み始端部(117)(117)が引っ掛かる寸法が長くなり、シリンダヘッドカバー(101)のガスケット嵌合溝(103)にガスケット(105)を押し込みにくい。
【0007】
本発明の課題は、シリンダヘッドカバーのガスケット嵌合溝にガスケットを押し込みやすい、エンジンのシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1(A)〜(D)に例示するように、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)にガスケット嵌合溝(3)が形成され、このガスケット嵌合溝(3)にその入口開口(4)から弾性素材のガスケット(5)が押し込まれ、ガスケット(5)は、ガスケット本体(6)とガスケット本体(6)の両側の突部(7)(7)とで構成され、両突部(7)(7)はガスケット本体(6)の周方向に所定間隔を保持して複数形成され、両突部(7)(7)の突出端部(8)(8)が両突部(7)(7)の弾性力でガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)に圧接されることにより、両突部(7)(7)とガスケット嵌合溝(3)との摩擦力でガスケット(5)がガスケット嵌合溝(3)に対して抜け止めされ、シリンダヘッド(10)とシリンダヘッドカバー(1)との間に挟み付けられたガスケット(5)で、シリンダヘッド(10)とシリンダヘッドカバー(1)との間がシールされるように構成されている、エンジンのシール装置において、
図1(D)に例示するように、ガスケット本体(6)の周方向に沿って計測した突部(7)の横寸法(w)が、ガスケット(5)の抜き差し方向に沿って計測した突部(7)の立寸法(v)以下の長さとされ、
シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の外側に取付ボス(14)が設けられ、この取付ボス(14)に挿通された取付ボルト(15)でシリンダヘッドカバー(1)がシリンダヘッド(10)に取り付けられ、ガスケット本体(6)の周方向に相互に離間したガスケット本体(6)の片側の突部(7)が、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の周方向に相互に離間した取付ボス(14)に接し、
図1(B)に例示するように、取付ボルト(15)は、挿通軸部(19)と、挿通軸部(19)の先端面から突出したオネジ部(21)と、挿通軸部(19)の基端側に設けられたボルト頭部(23)を備え、挿通軸部(19)は取付ボス(14)に挿通され、挿通軸部(19)の先端面(20)はシリンダヘッド(10)に接当され、オネジ部(21)はシリンダヘッド(10)のメネジ部(22)にネジ嵌合され、ボルト頭部(23)は取付ボス(14)をシリンダヘッド(10)側に押圧し、シリンダヘッドカバー(1)がガスケット(5)の弾性でシリンダヘッド(10)から離間する方向に弾発されて、シリンダヘッドカバー(1)とシリンダヘッド(10)との間に隙間が設けられている、ことを特徴とするエンジンのシール装置。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 シリンダヘッドカバーのガスケット嵌合溝にガスケットを押し込みやすい。
図1(D)に例示するように、ガスケット本体(6)の周方向に沿って計測した突部(7)の横寸法(w)が、ガスケット(5)の抜き差し方向に沿って計測した突部(7)の立寸法(v)以下の長さにされているので、図1(B)に示すように、ガスケット嵌合溝(3)へのガスケット(5)の押し込み時に、ガスケット嵌合溝(3)の両開口縁部(16)(16)に両突部(7)(7)の押し込み始端部(17)(17)が引っ掛かる寸法が短くなり、シリンダヘッドカバー(1)のガスケット嵌合溝(3)にガスケット(5)を押し込みやすい。
《効果》 ガスケットのシール性が高い。
図1(A)(B)に例示するように、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の外側に取付ボス(14)が設けられ、この取付ボス(14)に挿通された取付ボルト(15)でシリンダヘッドカバー(1)がシリンダヘッド(10)に取り付けられ、ガスケット本体(6)の片側の突部(7)が取付ボス(14)に接しているので、ガスケット(5)のシール性が高い。
その理由は、次のようなものと推定される。
シリンダヘッド(10)の振動は、取付ボルト(2)から直接に取付ボス(14)に伝達されるため、シリンダヘッドカバー(1)の他の部分に比べ、取付ボス(14)の振動はシリンダヘッド(10)の振動と同期しやすく、この取付ボス(14)と接するガスケット本体(6)の片側の突部(7)の振動もシリンダヘッド(10)の振動と同期しやすい。このため、この片側の突部(7)の振動がシリンダヘッド(10)と接するガスケット本体(6)の振動と同期しやすく、片側の突部(7)とガスケット本体(6)との振動のずれに起因するガスケット(6)のねじれが起こり難く、ガスケット(5)のシール性が高い。
【0010】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ガスケット嵌合溝からガスケットが抜けにくく、ガスケットを押し込みやすい。
図1(D)に例示するように、突部(7)の横寸法(w)が、突部(7)の立寸法(v)の10%〜100%の長さにされているので、ガスケット嵌合溝(3)からガスケット(5)が抜けにくく、ガスケット(5)を押し込みやすい。
すなわち、突部(7)の横寸法(w)が、突部(7)の立寸法(v)の10%未満になると、ガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)への両突部(7)(7)の突出端部(8)(8)の圧接力が不足し、ガスケット嵌合溝(3)からガスケット(5)が抜けやすく、100%を超えると、ガスケット嵌合溝(3)の両開口縁部(16)(16)に両突部(7)(7)の押し込み始端部(17)(17)が引っ掛かりやすくなり、ガスケット嵌合溝(3)にガスケット(5)を押し込みにくくなるのに対し、10%〜100%の長さでは、このような不具合を抑制することができる。
【0011】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ガスケット嵌合溝にガスケットを押し込みやすい。
図1(B)に例示するように、ガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)が、ガスケット嵌合溝(3)の奥端(11)側から入口開口(4)に向けて拡開状に傾斜し、図1(B)(C)に例示するように、両突部(7)(7)にはそれぞれ階段状に複数の段部(12)(13)が設けられ、押し込み始端側の段部(12)の方が押し込み終端側の段部(13)よりもガスケット本体(6)から両側に小さく突出するように形成されているので、押し込み始端側の段部(12)に対してガスケット嵌合溝(3)の入口開口(4)の幅を大きくとることができ、ガスケット嵌合溝(3)にガスケット(5)を押し込みやすい。
【0012】
《効果》 ガスケット嵌合溝からガスケットが抜け落ちにくい。
図1(B)に例示するように、ガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)が、ガスケット嵌合溝(3)の奥端(11)側から入口開口(4)に向けて拡開状に傾斜し、図1(B)(C)に例示するように、両突部(7)(7)にはそれぞれ階段状に複数の段部(12)(13)が設けられているので、複数の段部(12)(13)の押し込み始端部(17)(18)がガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)に圧接され、シリンダヘッドカバー(1)のガスケット嵌合溝(3)からガスケット(5)が抜け落ちにくい。
このため、シリンダヘッドカバー(1)内のメンテナンス時に、シリンダヘッド(10)からシリンダヘッドカバー(1)を取り外した場合でも、ガスケット嵌合溝(3)からガスケット(5)が抜け落ちず、シリンダヘッド(10)へのシリンダヘッドカバー(1)の再取り付け時に、ガスケット嵌合溝(3)にガスケット(5)を再嵌合させる必要がなくなる。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を説明する図で、図1(A)はガスケットを組み付けたシリンダヘッドカバーの底面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図、図1(C)はガスケットの縦断面、図1(D)は図1(C)のD方向矢視図である。
図2】従来技術を説明する図で、図2(A)はガスケットとシリンダヘッドカバーの分解図、図2(B)はガスケットの斜視図、図2(C)はガスケットとシリンダヘッドカバーの組み立て断面図、図2(D)はシリンダヘッドとガスケットとシリンダヘッドカバーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施形態に係るエンジンのシール装置を説明する図であり、この実施形態では、立形の多気筒ディーゼルエンジンのシール装置について説明する。
【0016】
図1(A)〜(D)に示すように、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)にガスケット嵌合溝(3)が形成され、このガスケット嵌合溝(3)にその入口開口(4)から弾性素材のガスケット(5)が押し込まれ、ガスケット(5)は、ガスケット本体(6)とガスケット本体(6)の両側の突部(7)(7)とで構成され、両突部(7)(7)はガスケット本体(6)の周方向に所定間隔を保持して複数形成され、両突部(7)(7)の突出端部(8)(8)が両突部(7)(7)の弾性力でガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)に圧接されることにより、両突部(7)(7)とガスケット嵌合溝(3)との摩擦力でガスケット(5)がガスケット嵌合溝(3)に対して抜け止めされ、シリンダヘッド(10)とシリンダヘッドカバー(1)との間に挟み付けられたガスケット(5)で、シリンダヘッド(10)とシリンダヘッドカバー(1)との間がシールされるように構成されている。
【0017】
シリンダヘッドカバー(1)には動弁装置のロッカアーム(図示せず)が収容され、ブリーザ装置(図示せず)が配置されている。シリンダヘッドカバー(1)はアルミダイカスト製で、下面が開口された長手状の矩形箱形構造である。ガスケット(5)はゴム製で、長手状の矩形環構造である。
【0018】
図1(D)に示すように、ガスケット本体(6)の周方向に沿って計測した突部(7)の横寸法(w)が、ガスケット(5)の抜き差し方向に沿って計測した突部(7)の立寸法(v)以下の長さとされている。
図1(D)に示すものは、この突部(7)の横寸法(w)が突部(7)の立寸法(v)の40%の長さにされている。
【0019】
図1(D)に示すように、突部(7)の横寸法(w)は、突部(7)の立寸法(v)の10%〜100%の長さにするのが望ましく、10%〜30%、30%〜50%、50%〜70%、70%〜100%のどの範囲でも、それぞれガスケット嵌合溝(3)からガスケット(5)が抜けにくく、ガスケット(5)を押し込みやすいという好適な結果が得られる。
図1(D)に示すように、突部(7)は一側から見て、横長矩形状とされ、各段部(12)(13)も横長矩形状とされ、各段部(12)(13)の押し込み始端部(17)(18)の横寸法は突部(7)の横寸法(w)と等しい長さになっている。
【0020】
図1(B)に示すように、ガスケット嵌合溝(3)の両内側面(9)(9)が、ガスケット嵌合溝(3)の奥端(11)側から入口開口(4)に向けて拡開状に傾斜し、図1(C)に示すように、両突部(7)(7)にはそれぞれ階段状に複数の段部(12)(13)が設けられ、押し込み始端側の段部(12)の方が押し込み終端側の段部(13)よりもガスケット本体(6)から両側に小さく突出するように形成されている。
図1(B)(C)に示すものは、段部(12)(13)の段数が2段で、押し込み始端側の段部(12)と押し込み終端側の段部(13)とで構成されている。
複数の段部(12)(13)の段数は2〜5段が望ましく、2段、3段、4段、5段のどの段数で設定しても、それぞれ好適な結果が得られる。
【0021】
図1(A)(B)に示すように、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の外側に取付ボス(14)が設けられ、この取付ボス(14)に挿通された取付ボルト(15)でシリンダヘッドカバー(1)がシリンダヘッド(10)に取り付けられ、ガスケット本体(6)の周方向に相互に離間したガスケット本体(6)の片側の突部(7)が、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の周方向に相互に離間した取付ボス(14)に接している。
【0022】
図1(A)に示すように、取付ボス(14)は、シリンダヘッドカバー(1)の開口縁部(2)の周方向に所定間隔を保持して複数形成されている。図1(B)に示すように、取付ボルト(15)は、挿通軸部(19)と、挿通軸部(19)の先端面から突出したオネジ部(21)と、挿通軸部(19)の基端側に設けられたボルト頭部(23)を備え、取付ボルト(15)の挿通軸部(19)は取付ボス(14)に挿通され、挿通軸部(19)の先端面(20)はシリンダヘッド(10)に接当され、オネジ部(21)はシリンダヘッド(10)のメネジ部(22)にネジ嵌合され、ボルト頭部(23)はワッシャ(24)を介して取付ボス(14)をシリンダヘッド(10)側に押圧し、シリンダヘッドカバー(1)がガスケット(5)の弾性でシリンダヘッド(10)から離間する方向に弾発されて、シリンダヘッドカバー(1)とシリンダヘッド(10)との間に隙間が設けられるとともに、取付ボス(14)でシリンダヘッド(10)側に押さえ込まれる、いわゆるハーフフロート構造となっている。
【符号の説明】
【0023】
(1) シリンダヘッドカバー
(2) 開口縁部
(3) ガスケット嵌合溝
(4) 入口開口
(5) ガスケット
(6) ガスケット本体
(7) 突部
(8) 突出端部
(9) 内側面
(10) シリンダヘッド
(11) 奥端
(12) 押し込み始端側の段部
(13) 押し込み終端側の段部
(14) 取付ボス
(15) 取付ボルト
(w) 横寸法
(v) 立寸法
図1
図2