(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、車体フレームの右外側面側に、変速ロック機構とマスタブレーキペダルと解除用の機械式連係機構とを配備したことにより、マスタブレーキペダルの踏み込み操作力を変速ロック機構に直接的に伝えることができ、これにより、変速ロック機構のロック解除が行い易くなる。
【0005】
その反面、車体フレームの右外側面側には、前述した変速ロック機構、マスタブレーキペダル、及び、解除用の機械式連係機構に加えて、前進走行ペダル、後進走行ペダル、及び、変速用の機械式連係機構、などをも配備することにより、それらが複雑に入り組んだ状態になる。その結果、それらの組み付け性やメンテナンス性の低下を招くことになる。
【0006】
又、双方のサイドブレーキを作動させる制動減速操作に関しては、車体フレームの右外側面側に配備したマスタブレーキペダルから車体フレームの左外側面側に配備した左右のブレーキペダルにわたって、制動減速専用の連係機構として、第1ブレーキペダル軸及び同時制動操作機構を装備する必要がある。そのため、制動用の連係構造が複雑化し、これに起因した組み付け性やメンテナンス性の低下を招くようになる。
【0007】
しかも、マスタブレーキペダルの踏み込み操作力を、制動減速専用の連係機構や左右のブレーキペダルなどを介して迂回した状態で各サイドブレーキに伝えることから、連係機構のガタ付きなどによる操作力の伝達ロスに起因した制動性能の低下を招き易くなる。
【0008】
本発明の目的は、制動用の連係構造の複雑化を招くことなく、速度維持機構の解除操作を無駄なく円滑に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題解決手段は、
無段変速装置と、
車体フレームの左右両外側面のうちの一方の第1外側面側に配置した変速ペダルと、
前記第1外側面側の前記変速ペダルを前記無段変速装置の操作軸に連係する第1機械式連係機構
と、
左側の走行装置を制動する左制動用のサイドブレーキと、
右側の走行装置を制動する右制動用のサイドブレーキと、
前記車体フレームを左右方向に貫通するブレーキ軸とが備えられ、
前記車体フレームの左右両外側面のうちの他方の第2外側面側に、前記左制動用のサイドブレーキに連係した左制動用のブレーキペダルと、前記右制動用のサイドブレーキに連係した右制動用のブレーキペダルとが、前記ブレーキ軸に支持された状態で左右に隣接配備されており、
前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルは、それぞれ、前記ブレーキ軸における前記第2外側面側の突出端部から車体前外側に延出する第1延出部と、前記第1延出部の延出端部から上側方に延出する第2延出部と、前記第2延出部の延出端部に設けられている操作部と、を有しており、
前記車体フレームを左右方向に貫通する連係軸
が前記車体フレームに回動可能に装備
されるとともに、前記連係軸の前記第1外側面から突出する第1突出端部に前記変速ペダル及び前記第1機械式連係機構のいずれか一方又は双方
が取り付け
られ、かつ、前記連係軸の前記第2外側面から突出する第2突出端部に、前記連係軸を介して前記操作軸を任意の変速位置に保持することが可能な構成で前記第2外側面側に配備
された速度維持機構
が連係
され、
前記第2外側面側に、
前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルの踏み込み操作に連動して、前記速度維持機構が、前記操作軸を任意の変速位置に保持する状態から前記保持を解除する状態に切り替わるように、
前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルを前記速度維持機構に連係する第2機械式連係機構
が配備されており、
平面視において、前記速度維持機構及び前記第2機械式連係機構が、前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルのうちで車体外側に配置されている方のブレーキペダルと、前記車体フレームの前記第2外側面と、の間に配置されていることである。
【0010】
この手段によると、車体フレームの第1外側面側に変速ペダルを配置し、かつ、この第1外側面側の変速ペダルを無段変速装置の操作軸に第1機械式連係機構を介して連係することにより、無段変速装置の変速操作系を構成している。又、車体フレームの第2外側面側に、ブレーキペダルとともに速度維持機構と第2機械式連係機構とを配備することにより、速度維持機構の解除操作系を構成している。これにより、無段変速装置の変速操作系と速度維持機構の解除操作系とを車体フレームの左右に分散した状態で配備することができ、その結果、それらを車体フレームの左右一方側に集中配備する場合に比較して、それらの組み付けやメンテナンスが行い易くなる。
【0011】
又、車体フレームの第2外側面側において第2機械式連係機構などからなる速度維持機構の解除操作系を構成したことにより、ブレーキペダルの踏み込み操作による操作力を第2外側面側の速度維持機構に直接的に伝えることができ、これにより、制動用の連係構造が複雑化する不都合を招くことなく、速度維持機構の解除操作を行い易くすることができる。
【0012】
従って、制動用の連係構造の複雑化を招くことなく、無段変速装置の変速操作系及び速度維持機構の解除操作系の組み付け性やメンテナンス性の向上を図りながら、速度維持機構の解除操作を無駄なく円滑に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
操舵用のステアリングホイールと、
手動操作によって前記速度維持機構の状態を変更する速度維持用の操作具とが備えられ、
前記速度維持用の操作具は、車体後方向きに延びており、かつ、車体後方側を遊端とする状態で片持ち支持されており、前記ステアリングホイールの下方において、前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルよりも高い位置に配置されているように構成した。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第2外側面側に設けられた、前記左制動用のサイドブレーキ及び前記右制動用のサイドブレーキを制動状態に維持する制動維持機構と、
手動操作によって前記制動維持機構の状態を変更する制動維持用の操作具とが備えられ、
前記制動維持用の操作具は、車体後方向きに延びており、かつ、車体後方側を遊端とする状態で片持ち支持されており、前記ステアリングホイールの下方において、前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルよりも高い位置に、前記速度維持用の操作具と横並び状態で配備されているように構成した。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記速度維持用の操作具及び前記制動維持用の操作具は、平面視で前記第2外側面側に位置しており、
前記制動維持用の操作具は、前記速度維持用の操作具よりも車体外側に配備されており、
前記速度維持機構は、前記速度維持用の操作具が下方に揺動操作されることによって、前記操作軸を任意の変速位置に保持する状態となるように構成されており、
前記制動維持機構は、前記制動維持用の操作具が下方に揺動操作されることによって、前記左制動用のサイドブレーキ及び前記右制動用のサイドブレーキを制動状態に維持する状態となるように構成した。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記速度維持機構に、前記連係軸と一体回動する揺動アームとの係合によって前記操作軸を任意の変速位置に保持する速度維持用の係合アームを備え、
前記制動維持機構に、前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルを踏み込み位置に係合保持することによって前記左制動用のサイドブレーキ及び前記右制動用のサイドブレーキを制動状態に維持する制動維持用の係合アームを備え、
前記速度維持用の係合アームと前記制動維持用の係合アームとが前記車体フレーム側の単一の支持部材によって支持されるように構成した。
この手段によると、速度維持用の係合アームを支持する専用の支持部材と、制動維持用の係合アームを支持する専用の支持部材とを設ける場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化や組み付け性の向上などを図ることができる。
【0013】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記連係軸を、前記変速ペダルと一体回動する状態で前記変速ペダルを支持する支軸によって構成した。
【0014】
この手段によると、車体フレームの第1外側面側に配備する変速ペダル又は第1機械式連係機構と車体フレームの第2外側面側に配備する速度維持機構とを連係するための専用の連係軸を設ける場合に比較して、部品点数の削減や軸支構造の兼用化による構成の簡素化や組み付け性の向上などを図ることができる。
【0015】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記変速ペダルを、前進変速用の前進操作部と後進変速用の後進操作部とを備えるように構成し、
前記速度維持機構に、前記連係軸と一体回動する揺動アームと、前記揺動アームとの係合によって前記操作軸を任意の変速位置に保持する鋸刃状の係合アームとを備え、
前記前進操作部を踏み込み操作した状態では、前記揺動アームが前記係合アームに係合可能な係合可能領域内に位置し、前記後進操作部を踏み込み操作した状態では、前記揺動アームが前記係合アームに係合不能な係合可能領域外に位置するように構成した。
【0016】
この手段によると、前進変速専用の変速ペダルと後進変速専用の変速ペダルとを設ける場合に比較して構成の簡素化を図ることができる。そして、変速ペダルの踏み込み操作に連動する揺動アームの揺動位置を規定するだけの構成により、前進変速時には、速度維持機構による操作軸の任意の変速位置での係合保持を可能にすることができ、後進変速時には、速度維持機構による操作軸の任意の変速位置での係合保持を阻止することができる。
【0017】
従って、構成の簡素化を図りながら、前進走行時にのみ速度維持機構を使用した定速走行を可能にすることができる。
【0018】
【0019】
【0020】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第2機械式連係機構に、前記左制動用のブレーキペダルに一端部をピン連結した第1リンクと、前記右制動用のブレーキペダルに一端部をピン連結した第2リンクと、前記第1リンクの他端部と前記第2リンクの他端部とを前記速度維持機構に連係する第3リンクとを備えることにより、前記第2機械式連係機構を、前記左制動用のブレーキペダル又は前記右制動用のブレーキペダルの片踏み操作時には、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとの相対揺動によって、そのときの操作力を吸収して前記速度維持機構に伝えないようになり、かつ、前記左制動用のブレーキペダル及び前記右制動用のブレーキペダルの両踏み操作時には、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとの一体変位によって、そのときの操作力を前記速度維持機構に伝えるように構成した。
【0021】
この手段によると、速度維持機構により無段変速装置の操作軸を任意の変速位置に保持した定速走行状態において、一方のサイドブレーキのみを踏み込み操作する片踏み操作を行うと、第2機械式連係機構の作用によって速度維持機構による定速走行状態を維持しながら、片踏み操作したブレーキペダルに対応するサイドブレーキにより対応する走行装置を制動することができる。これにより、片踏み操作したブレーキペダルに対応する走行装置を旋回内側としたブレーキ旋回を行うことができる。
【0022】
又、速度維持機構による定速走行状態において、左右のサイドブレーキを踏み込み操作する両踏み操作を行うと、第2機械式連係機構の作用によって速度維持機構による定速走行状態を解除しながら、左右のサイドブレーキにより左右の走行装置を制動することができる。これにより、速度維持機構による定速走行状態を解除した無理のない状態で左右のサイドブレーキを作動させることができ、車速を円滑に制動減速することができる。
【0023】
従って、左右のブレーキペダルの片踏み操作によるブレーキ旋回と、左右のブレーキペダルの両踏み操作による制動減速とを適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る作業車の車速操作装置を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム1の前半部に原動部2を備え、車体フレーム1の後半部に搭乗運転部3を形成している。そして、原動部2の左右に駆動可能な操舵輪としての前輪4を配備し、搭乗運転部3の左右に駆動可能で制動可能な走行装置としての後輪5を配備することによって4輪駆動型に構成している。
【0027】
図1に示すように、車体フレーム1は、前フレーム部材6の後部に水冷式のエンジン7を連結し、このエンジン7の後下部にクラッチハウジング8を連結し、クラッチハウジング8の後端部に、板金製の中間フレーム部材9を介して静油圧式の無段変速装置(以下、HSTと称する)10を連結し、HST10の後端部にトランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)11を連結して構成している。
【0028】
図1及び
図2に示すように、T/Mケース11の後部には、トラクタの後部に連結するロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置(図示せず)の昇降操作を可能にする左右一対のリフトアーム12、これらのリフトアーム12と連動揺動するリンク機構13、及び、トラクタの後部にロータリ耕耘装置などの駆動型の作業装置を連結した場合に作業装置への作業用動力の取り出しを可能にするPTO軸14、などを配備している。
【0029】
原動部2は、車体フレーム1の前半部にボンネット15を配備して形成したエンジンルームにエンジン7やその周辺機器(図示せず)などを配備して構成している。図示は省略するが、エンジン7からの動力は、クラッチハウジング8に内蔵した主クラッチなどを介してHST10に伝達している。そして、HST10の出力軸から取り出したHST10による変速後の動力を、走行用として、T/Mケース11に内蔵した走行伝動系などを介して左右の前輪4と左右の後輪5とに伝達している。又、HST10の入力軸から取り出したHST10による変速前の動力を、作業用として、T/Mケース11に内蔵したPTO伝動系などを介してPTO軸14に伝達している。
【0030】
図1〜6に示すように、搭乗運転部3は、前輪操舵用のステアリングホイール16、変速操作用の変速ペダル17、左制動用のブレーキペダル18、右制動用のブレーキペダル19、及び、位置調節可能な運転座席20、などを配備して構成している。変速ペダル17は、中間フレーム部材9に備えた左右向きの第1支軸21に外嵌するボス部17A、ボス部17Aから上方に延出する支持部17B、支持部17Bから前方に延出する前進操作部17C、及び、支持部17Bから後方に延出する後進操作部17D、などを備える側面視T字状に形成している。そして、その第1支軸21を支点にした揺動操作が可能な状態で、車体フレーム1の右外側面側(第1外側面側)に位置する搭乗運転部3の右足元部に配備している。各ブレーキペダル18,19は、中間フレーム部材9に備えた左右向きの第2支軸22
(本発明に係る「ブレーキ軸」に相当)に外嵌するボス部18A,19A、ボス部18A,19Aから前方に迂回しながら上方に延出する横向きV字状のアーム部18B,19B、及び、アーム部18B,19Bの延出端に備えた操作部18C,19C、などから構成している。そして、第2支軸22を支点にした片踏みによる独立した揺動操作と両踏みによる一体的な揺動操作とが可能となるように、車体フレーム1の左外側面側(第2外側面側)に位置する搭乗運転部3の左足元部に、左制動用のブレーキペダル18の右隣りに右制動用のブレーキペダル19が位置する状態で左右に並べて配備している。
【0031】
中間フレーム部材9は、前後方向視で逆U字状に屈曲形成した主部材23に底板部材24を溶接することにより、天壁部9Aと左右の側壁部9B,9Cと底壁部9Dとを備える前後向きの管状に形成している。そして、その左右の側壁部9B,9Cの上端部に板金製のサイドステップ部材25をボルト連結することにより、中間フレーム部材9の天壁部9Aと左右のサイドステップ部材25とから搭乗ステップ26を構成している。
【0032】
中間フレーム部材9の内部における後下側箇所には、第1支軸21を支持する丸パイプ鋼材からなる第1軸支部材27を、左右の側壁部9B,9Cにわたる左右向き姿勢で溶接している。又、中間フレーム部材9における底壁部9Dの下側箇所には、第2支軸22を支持する丸パイプ鋼材からなる第2軸支部材28を左右の側壁部9B,9Cにわたる左右向き姿勢で溶接している。
【0033】
HST10は、そのポンプ斜板(図示せず)の操作軸10Aが車体フレーム1の右外方に向けて延出するように姿勢設定した状態でT/Mケース11の前端部に連結している。HST10の右側部には、操作軸10Aを中立位置に復帰保持する中立付勢機構29を装備している。中立付勢機構29は、HST10の操作軸10Aと一体回動するように操作軸10Aに連結した操作アーム30、操作アーム30にV字状に凹入形成したカム部30Aに係入するローラ31、このローラ31を遊端部に装備した揺動アーム32、及び、カム部30Aに対するローラ31の係入方向に揺動アーム32を揺動付勢する引張バネ33、などにより、引張バネ33の付勢作用及びカム部30Aの案内作用によって操作軸10Aを中立位置に復帰保持するように構成している。そして、操作アーム30の遊端部を、変速ペダル17のボス部17Aに垂下装備した連係部17Eに帯板状の連係部材34を介して連係している。つまり、中立付勢機構29及び連係部材34などにより、変速ペダル17をHST10の操作軸10Aに連係する変速用の第1機械式連係機構Aを構成している。
【0034】
上記の構成から、中立付勢機構29の作用によって操作軸10Aとともに変速ペダル17が中立位置に位置する中立状態において、中立付勢機構29の作用に抗して変速ペダル17の前進操作部17Cを踏み込み方向に操作すると、その操作に連動して、HST10の操作軸10Aを、前進操作部17Cの踏み込み操作量に応じた操作量で前進増速方向に回動操作することができる。この前進増速状態において、中立付勢機構29の作用を利用して変速ペダル17の前進操作部17Cを踏み込み解除方向に操作すると、HST10の操作軸10Aを、前進操作部17Cの踏み込み解除操作量に応じた操作量で前進減速方向に回動操作することができる。逆に、前述した中立状態において、中立付勢機構29の作用に抗して変速ペダル17の後進操作部17Dを踏み込み方向に操作すると、その操作に連動して、HST10の操作軸10Aを、後進操作部17Dの踏み込み操作量に応じた操作量で後進増速方向に回動操作することができる。この後進増速状態において、中立付勢機構29の作用を利用して変速ペダル17の後進操作部17Dを踏み込み解除方向に操作すると、HST10の操作軸10Aを、後進操作部17Dの踏み込み解除操作量に応じた操作量で後進減速方向に回動操作することができる。
【0035】
図3に示すように、変速ペダル17は、操作アーム30の遊端部と中間フレーム部材9の右側壁部9Bとにわたって架設したダンパ35により、HST10の駆動振動を受けて振動することを防止している。
【0036】
図3〜6に示すように、左右のブレーキペダル18,19を支持する第2支軸22は、中間フレーム部材9を左右方向に貫通する状態で、中間フレーム部材9の第2軸支部材28に回動可能に内嵌している。そして、左側のサイドステップ部材25の下方において、中間フレーム部材9から左外方に突出する第2支軸22の左端部における左側部位に、左制動用のブレーキペダル18のボス部18Aを相対回動可能に外嵌し、かつ、その左端部の右側部位に、右制動用のブレーキペダル19のボス部19Aを第2支軸22と一体回動するように外嵌連結している。又、右側のサイドステップ部材25の下方において、中間フレーム部材9から右外方に突出する第2支軸22の右端部に、連係アーム22Aを第2支軸22と一体回動する状態で立設している。
【0037】
T/Mケース11の内部には、左側の後輪5を制動する左制動用のサイドブレーキ36と右側の後輪5を制動する右制動用のサイドブレーキ37とを左右に分散配備している。そして、左側のサイドブレーキ36は、その操作軸36Aを左側のブレーキペダル18のボス部18Aに立設した連係部18Dに左制動用の機械式連係機構Bを介して連係している。右側のサイドブレーキ37は、その操作軸37Aを連係アーム22Aに右制動用の機械式連係機構Cを介して連係している。左制動用の機械式連係機構Bは、左側のサイドブレーキ36の操作軸36Aと一体回動するように操作軸36Aに連結した操作アーム38、及び、その操作アーム38と左側のブレーキペダル18の連係部18Dとにわたる長さ調節可能なターンバックル式の連係ロッド39、などによって構成している。右制動用の機械式連係機構Cは、右側のサイドブレーキ37の操作軸37Aと一体回動するように操作軸37Aに連結した操作アーム40、及び、操作アーム40と連係アーム22Aとにわたる長さ調節可能なターンバックル式の連係ロッド41、などによって構成している。左側のブレーキペダル18は、その連係部18Dと中間フレーム部材9の左側壁部9Bとにわたって架設した引張バネ42の作用によって踏み込み解除位置に自動復帰するように構成している。右側のブレーキペダル19は、連係アーム22Aと中間フレーム部材9の右側壁部9Cとにわたって架設した引張バネ43の作用によって踏み込み解除位置に自動復帰するように構成している。
【0038】
上記の構成から、直進走行中に左側のブレーキペダル18の片踏み操作を行うと、左側のサイドブレーキ36によって左側の後輪5を制動することができ、これにより、走行状態を、直進状態から左側の後輪5を制動して左方に旋回させる左ブレーキ旋回状態に切り替えることができる。逆に、直進走行中に右側のブレーキペダル19の片踏み操作を行うと、右側のサイドブレーキ37によって右側の後輪5を制動することができ、これに
より、走行状態を、直進状態から右側の後輪5を制動して右方に旋回させる右ブレーキ旋回状態に切り替えることができる。そして、左右のブレーキペダル18,19の両踏み操作
を行うと、左右のサイドブレーキ36,37によって左右の後輪5を制動することができ、これにより、車速を制動減速することができる。
【0039】
図4及び
図5に示すように、左右のブレーキペダル18,19は、左側のブレーキペダル18の操作部18Cに備えた被係合具18Eに、右側のブレーキペダル19の操作部19Cに備えた揺動式の係合具19Eを係合することにより、それらを一体揺動する状態に係合連結することができる。つまり、高速で走行する路上走行時などにおいては、左右のブレーキペダル18,19を係合連結しておくことにより、左右いずれかのブレーキペダル18,19の片踏み操作を行った場合であっても、その操作に基づいて高速走行中にブレーキ旋回が行われることを阻止することができる。
【0040】
図3〜6に示すように、このトラクタには、係合連結した左右のブレーキペダル18,19を制動用の操作領域に係合保持して、左右のサイドブレーキ36,37を制動状態に維持することにより、左右のサイドブレーキ36,37を駐車ブレーキとして機能させる制動維持機構44を装備している。
【0041】
制動維持機構44は、左側のサイドステップ部材25の下方において右側のブレーキペダル19のアーム部19Bから右方に延出する係合片19F、係合片19Fに係合可能な複数の係合凹部45Aを上下方向に整列形成した鋸刃状の係合アーム45、搭乗運転部3におけるステアリングホイール16の下方箇所に上下揺動可能に配備した駐車レバー46
(本発明に係る「制動維持用の操作具」に相当)、駐車レバー46を上方に揺動付勢するねじりバネ47、及び、係合アーム45と駐車レバー46とを連動可能に連係する連係ロッド48、などによって構成している。
【0042】
係合アーム45は、左側のサイドステップ部材25に垂下装備した支持部材25Aに、左右向きの支持ピン49などを介して連結することにより、右側のブレーキペダル19に備えた係合片19Fの後方において、前後揺動可能な状態で係合片19Fに近接配備している。駐車レバー46は、上側の解除位置と下側の保持位置とにわたる上下揺動操作が可能となるように、その前後中間部を、ステアリングホイール16などを支持する支持フレーム50に備えた左右向きの支軸51に外嵌している。支持フレーム50は、中間フレーム部材9の前端部に立設している。ねじりバネ47は、駐車レバー46の前端部に枢支連結する連係ロッド48における左右向きの枢支部に外嵌して、連係ロッド48と支軸51とにわたって架設している。連係ロッド48は、駐車レバー46の保持位置への揺動に連動して、係合アーム45が係合片19Fに係合可能な前側の係合位置に揺動変位し、かつ、駐車レバー46の解除位置への揺動に連動して、係合アーム45が係合片19Fに係合不能な後側の退避位置に揺動変位するように、係合アーム45を駐車レバー46に連係している。係合片19F及び係合アーム45は、左右のブレーキペダル18,19を踏み込み解除位置に復帰付勢する左右の引張バネ42,43の作用により、駐車レバー46を解除位置に復帰付勢するねじりバネ47の作用に抗して、係合片19Fと係合アーム45との係合状態を保持するように構成している。
【0043】
上記の構成から、係合連結した左右のブレーキペダル18,19を制動用の操作領域における任意の操作位置まで踏み込み操作した状態で、駐車レバー46を、駐車レバー用のねじりバネ47の作用に抗して解除位置から保持位置に揺動操作すると、その操作に連動して、係合アーム45が退避位置から係合位置に揺動変位して、係合アーム45におけるいずれかの係合凹部45Aが右側のブレーキペダル19の係合片19Fに係合する。そして、この係合状態を、ブレーキペダル用の左右の引張バネ42,43の作用によって保持することができる。これにより、左右のブレーキペダル18,19を任意の制動操作位置にて係合保持することができ、左右のサイドブレーキ36,37を駐車ブレーキとして機能させることができる。そして、この駐車状態において、係合連結した左右のブレーキペダル18,19の踏み込み操作を行うと、この踏み込み操作に伴って、右側のブレーキペダル19の係合片19Fが係合アーム45の係合凹部45Aから離脱すると同時に、駐車レバー46が、駐車レバー用のねじりバネ47の作用によって保持位置から解除位置に復帰揺動する。そして、この復帰揺動に連動して、係合アーム45が係合位置から退避位置に復帰揺動することにより、係合片19Fと係合アーム45とを係合解除状態に保持することができる。これにより、左右のサイドブレーキ36,37の駐車ブレーキとしての機能を停止させることができる。
【0044】
図3〜6に示すように、このトラクタには、変速ペダル17を前進変速用の操作領域に係合保持して、HST10を任意の前進変速状態に維持することにより、ト
ラクタを任意の速度で定速前進させる速度維持機構52を装備している。
【0045】
速度維持機構52は、変速ペダル17と一体揺動する前向きの揺動アーム53、揺動アーム53の遊端部(前端部)に備えた係合片53Aに係合可能な複数の係合凹部54Aを上下方向に整列形成した鋸刃状の係合アーム54、搭乗運転部3におけるステアリングホイール16の下方箇所に上下揺動可能に配備した定速レバー55
(本発明に係る「速度維持用の操作具」に相当)、定速レバー55を上方に揺動付勢するねじりバネ56、及び、係合アーム54と定速レバー55とを連係する連係ロッド57、などによって構成している。
【0046】
揺動アーム53は、変速ペダル17を支持する第1支軸21を介して変速ペダル17と一体揺動するように構成している。第1支軸21は、中間フレーム部材9を左右方向に貫通する状態で、中間フレーム部材9の第1軸支部材27に回動可能に内嵌している。そして、右側のサイドステップ部材25の下方において、中間フレーム部材9の右外側面(第1外側面)から右外方に突出する第1支軸21の右端部(第1突出端部)に、変速ペダル17のボス部17Aを外嵌連結し、かつ、左側のサイドステップ部材25の下方において、中間フレーム部材9の左外側面(第2外側面)から左外方に突出する第1支軸21の左端部(第2突出端部)に、速度維持機構52の揺動アーム53を外嵌連結している。つまり、第1支軸21は、車体フレーム1の右外側面側(第1外側面側)に配備した変速ペダル17と、車体フレーム1の左外側面側(第2外側面側)に配備した速度維持機構52とを連係する連係軸として機能する。これにより、搭乗運転部3の右足元部に配備した変速ペダル17の踏み込み操作に連動して、左側のサイドステップ部材25の下方に位置する揺動アーム53が、第1支軸21を支点にして上下揺動するように構成している。そして、変速ペダル17の前進操作部17Cを踏み込み操作した場合には、揺動アーム53の係合片53Aが、係合アーム54のいずれかの係合凹部54Aに係合可能な係合可能領域内に位置し、変速ペダル17の後進操作部17Dを踏み込み操作した場合には、揺動アーム53の係合片53Aが、係合アーム54のいずれの係合凹部54Aとも係合不能な係合可能領域外(係合可能領域よりも上方の領域)に位置するように構成している。
【0047】
係合アーム54は、制動維持機構44の係合アーム45とともに、左側のサイドステップ部材25に備えた支持部材25Aに支持ピン49など介して連結することにより、揺動アーム53の前端部に備えた係合片53Aの前方において、前後揺動可能な状態で係合片53Aに近接配備している。定速レバー55は、上側の解除位置と下側の保持位置とにわたる上下揺動操作が可能となるように、その前後中間部を、駐車レバー46とともに、支持フレーム50に備えた支軸51に外嵌している。ねじりバネ56は、定速レバー55の後部側に枢支連結する連係ロッド57における左右向きの枢支部に外嵌して、支軸51と連係ロッド57とにわたって架設している。連係ロッド57は、定速レバー55の保持位置への揺動に連動して、係合アーム54が係合片53Aに係合可能な後側の係合位置に揺動変位し、かつ、定速レバー55の解除位置への揺動に連動して、係合アーム54が係合片53Aに係合不能な前側の退避位置に揺動変位するように、係合アーム54を定速レバー55に連係している。係合片53A及び係合アーム54は、中立付勢機構29の作用により、定速レバー55を解除位置に復帰付勢するねじりバネ56の作用に抗して、係合片53Aと係合アーム54との係合状態を保持するように構成している。
【0048】
つまり、速度維持機構52は、制動維持機構44における係合アーム45の支持構造を、速度維持機構52における係合アーム54の支持構造に利用し、かつ、制動維持機構44における駐車レバー46の支持構造を、速度維持機構52における定速レバー55の支持構造に利用した状態で、制動維持機構44とともに車体フレーム1の左外側面側に配備している。
【0049】
そして、上記の構成から、変速ペダル17を、前進変速用の操作領域における任意の操作位置まで踏み込み操作した状態で、定速レバー55を、定速レバー用のねじりバネ56の作用に抗して解除位置から保持位置に揺動操作すると、その操作に連動して、係合アーム54が退避位置から係合位置に揺動変位して、係合アーム54におけるいずれかの係合凹部54Aが、係合可能領域内に位置する揺動アーム53の係合片53Aに係合する。そして、この係合状態を、中立付勢機構29の作用によって保持することができる。これにより、変速ペダル17を任意の前進変速位置にて係合保持することができ、HST10の操作軸10Aを任意の前進変速位置に維持することができる。そして、この定速前進状態において、変速ペダル17の踏み込み操作を行うと、この踏み込み操作に伴って、揺動アーム53の係合片53Aが係合アーム54の係合凹部54Aから離脱すると同時に、定速レバー55が、定速レバー用のねじりバネ56の作用によって保持位置から解除位置に復帰揺動する。そして、この復帰揺動に連動して、係合アーム54が係合位置から退避位置に復帰揺動することにより、係合片53Aと係合アーム54とを係合解除状態に保持することができる。これにより、定速前進状態を解除することができる。
【0050】
図3〜6に示すように、速度維持機構52は、左右のブレーキペダル18,19に定速前進解除用の第2機械式連係機構Dを介して連係している。第2機械式連係機構Dは、左側のブレーキペダル18の連係部18Dに後端部をピン連結した帯板状の第1リンク58、右側のブレーキペダル19のボス部19Aに立設した連係部19Dに後端部をピン連結した帯板状の第2リンク59、及び、第1リンク58の前端部と右連係部材58の前端部とを速度維持機構52の係合アーム54にピン連結する前後向きの第3リンク60、などにより構成している。そして、左右のブレーキペダル18,19が踏み込み解除位置に位置する状態においては、左側のブレーキペダル18と第1リンク58との連結点が右側のブレーキペダル19と第2リンク59との連結点よりも低くなる側面視横向きのY字状で、左右のブレーキペダル18,19の連係部18D,19Dと速度維持機構52の係合アーム54とにわたるように構成している。
【0051】
上記の構成から、速度維持機構52による定速前進状態において、左右のブレーキペダル18,19を片踏み操作した場合には、その片踏み操作に伴って各リンク58〜60が相対揺動することにより、このときの操作力を、第2機械式連係機構Dにおいて吸収することができる。これにより、速度維持機構52の係合アーム54を係合位置に保持することができ、定速前進状態を維持することができる。その結果、定速前進状態から、この定速前進状態を維持しながら左右いずれか一方のサイドブレーキ36,37を作動させるブレーキ旋回状態に切り替えることができる。
【0052】
又、左右のブレーキペダル18,19を両踏み操作した場合には、その両踏み操作に伴って各リンク58〜60が前方に一体変位することにより、このときの操作力を、第2機械式連係機構Dを介して速度維持機構52の係合アーム54に直線的に伝えることができる。これにより、速度維持機構52の係合アーム54を中立付勢機構29の作用に抗して係合位置から退避位置に押圧変位させることができ、定速前進状態を解除することができる。その結果、定速前進状態を解除した無理のない状態で左右のサイドブレーキ36,37を作動させることができ、車速を円滑に制動減速することができる。
【0053】
図3及び
図6に示すように、第2機械式連係機構Dにおいて、第3リンク60の前端部には前後向きの長孔60Aを形成している。そして、この長孔60Aを利用して第3リンク60の前端部を速度維持機構52の係合アーム54にピン連結することにより、左右のブレーキペダル18,19が踏み込み解除位置に位置する状態での定速レバー55の操作による第3リンク60に対する係合アーム54の退避位置から後方の係合位置への揺動変位を許容し、かつ、定速レバー55が解除位置に位置して係合アーム54が退避位置に位置する状態での左右のブレーキペダル18,19の両踏み操作による係合アーム54に対する第3リンク60の前方への摺動変位を許容するように構成している。
【0055】
〔1〕作業車は、トラクタ以外の例えば乗用田植機や乗用草刈機などであってもよい。
【0056】
〔2〕車体フレーム1は、例えば、中間フレーム部材9を備えずに、クラッチハウジング8の後端部にT/Mケース11を連結して構成してもよい。
【0057】
〔3〕左右の走行装置5に、例えばクローラ式の走行装置などを採用してもよい。
【0058】
〔4〕無段変速装置10に、例えばベルト式の無段変速装置や油圧機械式の無段変速装置(HMT)などを採用してもよい。
【0059】
〔5〕変速ペダル17として、例えば前進変速専用の変速ペダルと後進変速専用の変速ペダルとを備える構成であってもよい。
【0061】
〔
6〕第1機械式連係機構Aは、例えば、無段変速装置10の操作軸10Aと変速ペダル17とを連係ワイヤなどを介して連係する構成であってもよい。
【0062】
〔
7〕連係軸21を、例えば、車体フレーム1を構成するT/Mケース11に、T/Mケース11を左右方向に貫通する状態で回動可能に装備する構成であってもよい。
【0063】
〔
8〕連係軸21の第1突出端部に、変速ペダル17に代えて第1機械式連係機構Aを取り付ける構成であってもよく、又、変速ペダル17と第1機械式連係機構Aの双方を取り付ける構成であってもよい。
【0064】
〔
9〕変速ペダル17の支軸21とは別に、車体フレーム1の左外側面側に配備した速度維持機構52と、車体フレーム1の右外側面側に配備した変速ペダル17及び第1機械式連係機構Aのいずれか一方又は双方とを連係するための専用の連係軸21を設ける構成であってもよい。
【0065】
〔
10〕車体フレーム1の左外側面側に、変速ペダル17及び第1機械式連係機構Aなどを配備し、車体フレーム1の右外側面側に、ブレーキぺダル18,19、速度維持機構52、及び第2機械式連係機構Dなどを配備する構成であってもよい。
【0066】
〔
11〕速度維持機構52は、例えば、車体フレーム側に揺動アーム53を備え、連係軸21に揺動アーム53と係合する鋸刃状の係合アーム54を備える構成であってもよい。
【0067】
〔
12〕制動維持機構44は、例えば、ブレーキペダル側に複数の係合凹部45Aを整列形成し、それらの係合凹部45Aに係合可能な係合片を備えた揺動アームを車体フレーム側に装備する構成であってもよい。
【0068】
〔
13〕速度維持用の係合アーム54を支持する専用の支持部材25Aと、制動維持用の係合アーム45を支持する専用の支持部材25Aとを備える構成であってもよい。又、支持部材25Aを車体フレーム1に備える構成であってもよい。