(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
着色粒子を電気泳動粒子として用いた表示装置を、光照射下で駆動を繰り返すと、駆動特性(表示特性)が変化することがある。このような駆動特性の変化は、一般的に、摩擦帯電による粒子帯電量の変化や、駆動に伴う粒子の劣化によるものと考えられてきた。しかし、本発明者らは、研究を重ねたところ、従来考慮されてこなかった光電流の抑制により駆動特性の変化が抑制されることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の表示媒体は、少なくとも一方が透光性を有し、間隙をもって配置された一対の基板と、一対の基板間に封入され、電界に応じて移動する表示用着色粒子群及び表示用着色粒子群が分散する分散媒を含む表示用分散液と、を含み、光照射下で一対の基板間に電圧を印加して表示用着色粒子群を移動させたときの着色粒子の最大吸収波長における光電変換効率が0.01%以下となっている。本発明の表示媒体は、上記のような光電変換効率を有することにより、光照射下で使用しても駆動特性の変化が抑制される。その理由は以下のように推測される。
【0013】
着色粒子を作製する際に用いる有機顔料は、光照射により励起子を生じ、励起子は電界により正孔と電子に分離し、着色粒子内で生じたどちらか一方の電荷(正孔又は電子)が、電極、表面層などによって捕集されると、着色粒子には他方の電荷が残って粒子の帯電量が変化すると考えられる。着色粒子の帯電量の変化は、電界に対する着色粒子の移動、すなわち、駆動特性に影響が生じる。光照射下で表示装置を駆動させると上記のような機構により駆動特性が変化していくと考えられる。このような機構は従来知られておらず、着色粒子の光電変換効率を0.01%以下の範囲にすることにより連続駆動時の駆動特性の変化を抑制することができる。
【0014】
本実施形態に係る表示媒体は、可視光を照射しながら一対の基板間に電圧を印加して表示用着色粒子群を移動させときの着色粒子の最大吸収波長における光電変換効率が0.01%以下の範囲内にある。上記光電変換効率が0.01%を超えると、太陽光や室内での光が照射されたときに粒子の電荷量が変化し、駆動特性が変化してしまう。
駆動特性の変化を抑制する観点から、上記光電変換効率は10
−10%以上0.0001%以下の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
光電変換効率は、表示媒体に電圧を印加し、光照射時の暗時に対する電流増分、あるいは、蓄積される電荷量の暗時に対する増分を、表示媒体に接続した電流計等により検出し、照射した光量と波長から計算される単位時間当たりの入射フォトン数に対し、検出された電流量、電荷量から計算される単位時間当たりの発生電荷数の比を算出する事により求められる。
【0016】
本実施形態において上記着色粒子の最大吸収波長における光電変換効率は以下の方法によって測定される値である。
作製した表示媒体について、各着色粒子が表示面側に移動した状態になるように駆動し、その時の反射スペクトルを測定する。測定は、コニカミノルタ社製の測色機CM2022など、通常の反射スペクトルを得ることができる一般的な分光測定機を用いることにより実施することができる。
【0017】
表示媒体の光電変換効率を上記範囲内にするには、表示用着色粒子の構成、基板の表面層の構成、駆動時の電圧印加方法などによって調整することができる。
【0018】
(1)表示用着色粒子による光電変換効率の調整
コア粒子中に含まれる顔料中で光照射により励起子が発生し、励起子の解離、電荷分離を経て、粒子から別の場所(例えば基板の表面層)に電荷が移動する事で光電変換による電荷が外部に取り出され、粒子の帯電量が変化すると推察される。そのため、コア粒子中に顔料を閉じ込める、あるいは粒子表面のシェル厚を厚くする等して、移動先と粒子中の顔料までの電荷輸送距離を大きくすることで光電変換効率を調節することができる。また、励起子が発生してから解離するまでの間に励起子が失活するようにして、励起子の解離効率を低下させて光電変換効率を調節することも可能である。この場合、顔料中に励起子失活用のクエンチャーを導入したり、励起子が解離しにくい結晶系の顔料を用いる等の方法をとることができる。
【0019】
なお、本実施形態に係る表示用着色粒子の色は、黒色以外であることが好ましい。表示用着色粒子は、有彩色を呈するものが好ましい。表示用着色粒子の彩度は、以下の方法によって測定される値である。
作製した表示媒体について、各着色粒子が表示面側に移動した状態になるように駆動し、その時の反射スペクトルを測定し、反射スペクトルから一般に行なわれる方法で彩度を計算することにより、その彩度を求めることができる。測定は、コニカミノルタ社製の測色機CM2022など、通常の反射スペクトルを得ることができる一般的な分光測定機を用いることにより実施することができる。
【0020】
(2)基板の表面層による光電変換効率の調整
コア粒子中に含まれる顔料中で光照射により励起子が発生し、励起子解離、電荷分離を経て、粒子から別の場所(例えば基板の表面層)に電荷が移動する事で光電変換による電荷が外部に取り出され、粒子の帯電量が変化すると推察される。そのため、表面層の表面に、Si鎖やアルキル鎖などの、電荷を伝導しない立体障害を導入するなどして、移動先と粒子中の顔料までの電荷輸送距離を大きくする事で光電変換効率を調節する事ができる。また、電荷は表面層中に存在するエネルギー準位を経由して取り出されるため、伝導するエネルギー準位を持たない事、及び、意図せず導入される不純物準位が導入されていない事でも、光電変換効率を下げる事ができる。表面層中のエネルギー準位、不純物準位の有無は、大気中光電子分光装置AC−3(理研計器株式会社製)等により計測する事ができる。
【0021】
(3)駆動方式による光電変換効率の調整
上記励起子解離や電荷輸送は、電圧によるアシストにより行われるため、実効的に電圧の強さを調節する事で、光電変換効率を調節する事ができる。駆動時に印加する電圧や、セル中の構成物の誘電率比を調節する事で、上記光電変換効率の調節が可能となる。
【0022】
以下、本実施形態の表示媒体の各構成要素について具体的に説明する。
【0023】
(表示用着色粒子)
本実施形態に係る表示用着色粒子は、電界に応じて分散媒中を移動(泳動)する着色粒子である。表示用着色粒子は、例えば、正又は負に帯電されており、予め定められた電界強度以上の電界が形成されることで分散媒中を移動する。
本実施形態に係る表示媒体は、互いに色が異なると共に、帯電特性が異なる2種以上の表示用着色粒子を含んでもよい。この帯電特性が異なるとは、互いの粒子の帯電極性若しくは帯電量が異なること、又は、帯電極性及び帯電量の双方が異なることを示している。
表示装置における表示色の変化は、各表示用着色粒子群の分散媒中の移動によって生じる。
【0024】
−表示用着色粒子の組成−
本実施形態で用いられる表示用着色粒子の構成としては、例えば、樹脂粒子の表面に着色剤を固定したもの、樹脂中に着色剤を含有する粒子が挙げられる。また、本実施形態で用いられる表示用着色粒子として、その他、絶縁性の金属酸化物粒子(例えばガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の粒子)プラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子等も挙げられる。
【0025】
〜樹脂〜
表示用着色粒子に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体、又はこれらの共重合体からなる樹脂が挙げられる。
表示用着色粒子に使用する熱硬化性樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0026】
表示用着色粒子に使用する代表的な樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン、パラフィンワックスが挙げられる。
【0027】
特に、表示用着色粒子に使用する樹脂としては、粒子に帯電性を持たせるために帯電基を有する樹脂(以下、「帯電基を有する高分子」と称する)が好ましく用いられる。
帯電基を有する高分子は、例えば、カチオン性基又はアニオン性基を有する高分子である。帯電基としてのカチオン性基は、例えば、アミン基、4級アンモニウム基が挙げられ(これら基の塩も含む)、このカチオン基により粒子に正帯電極性が付与される。一方、帯電基としてのアニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、及びリン酸塩基が挙げられ、このアニオン性基により粒子に負帯電極性が付与される。
【0028】
帯電基を有する高分子として、具体的には、例えば、帯電基を有する単量体の単独重合体、帯電基を有する単量体と他の単量体(帯電基を持たない単量体)との共重合体が挙げられる。
【0029】
帯電基を有する単量体としては、例えば、カチオン性基を有する単量体(以下、カチオン性単量体)、アニオン性基を有する単量体(以下、アニオン性単量体)が挙げられる。
【0030】
カチオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オ クチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;、N−メチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−フェニルメチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−p−メトキシ−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類;、ビニル−N−エチル −N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類;等が挙げられる。
【0031】
カチオン単量体としては、含窒素複素環式化合物類も好適に挙げられるが、このうちN−ビニルピロール等のピロール類;、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類;、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエ ーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類;、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類;、N−ビニルインドール等のインドール類;、N−ビニルインドリン等のインドリン類;、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類;、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピロジン等のピリジン類;、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類;、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類;、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類;などが特に好ましい。
【0032】
一方、アニオン性単量体としては、例えば、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマーが挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、例えば、 (メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、それらの無水物、そのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を持つビニルエーテル類、及びその塩が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル及びその塩が挙げられる。また、スルホン酸モノマーとしては、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩も挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0033】
他の単量体としては、例えば、水溶性単量体(例えばヒドロキシル基を有する単量体等)が挙げられ、具体的には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドユニットを持つモノマ−(例えばテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのアルキルオキシオリゴエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの片末端(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸及びその塩、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩。ビニルピロリドンなどが挙げられる。
他の単量体としては、その他周知の非イオン性の単量体が挙げられる。
【0034】
なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル、メタクリル」の双方の表記である。「(メタ)アクリロ」は「アクリロ、メタクリロ」の双方の表記である、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート、メタクリレート」の双方の表記である。
【0035】
〜着色剤〜
表示用着色粒子に使用する着色剤としては、有機若しくは無機の顔料、油溶性染料等が挙げられる。
マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。
着色剤として具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして挙げられる。
本実施形態に係る表示用着色粒子は、有彩色の付与と低励起子解離性の観点から、着色剤として有機顔料を含むことが望ましい。
【0036】
着色剤の含有量としては、例えば、表示用着色粒子を構成する樹脂に対し10質量%以上99質量%以下がよく、好ましくは30質量%以上99質量%以下である。
【0037】
〜その他成分〜
表示用着色粒子には、必要に応じて、帯電制御剤を含んでもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが挙げられ、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRONE−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子が挙げられる。
【0038】
表示用着色粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、表示用着色粒子の色に影響を与えないように、透明であることが好ましい。
外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が挙げられる。外添剤は、表示用着色粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理してもよい。
カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性のものと、窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性のものが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性のものと、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の負帯電性のものが挙げられる。
なお、これらカップリング剤やシリコーンオイルは、外添剤の所望の抵抗に応じて選択される。
【0039】
外添剤の一次粒子は、例えば、1nm以上100nm以下であることがよく、好ましくは5nm以上50nm以下であるが、これに限定されない。
【0040】
外添剤の外添量は、例えば、表示用着色粒子100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下であり、好ましくは0.05質量部以上1質量部以下である。
外添剤の外添量は、表示用着色粒子の粒径と外添剤の粒径の兼ね合いから調整することがよい。そして、外添剤の外添量を上記範囲にすると、表示用着色粒子の表面から外添剤の少なくとも一部が遊離し、これが他の表示用着色粒子の表面に付着して帯電特性が変化することが防止され易い。
【0041】
外添剤は、複数種類の表示用着色粒子の何れか1種にだけ添加してもよいし、複数種又は全種類の表示用着色粒子へ外添してもよい。全表示用着色粒子の表面に外添剤を添加する場合は、表示用着色粒子表面に外添剤を衝撃力で打込んだり、表示用着色粒子表面を加熱して外添剤を表示用着色粒子表面に強固に固着したりすることが好ましい。これにより、外添剤が表示用着色粒子から遊離し、異極性の外添剤が強固に凝集して、電界で解離させることが困難な外添剤の凝集体を形成することが防止され、ひいては画質劣化(混色表示)が防止され易くなる点で有利である。
【0042】
−表示用着色粒子の粒径−
表示用着色粒子の体積平均粒径は、高電気泳動性と低凝集性の観点から、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2μm以上10μm以下である。なお、表示用着色粒子の大きさは、特に制限はなく、用途に応じて、好ましい範囲を決定することができる。粒径は体積平均粒径として粒径アナライザー(大塚電子株式会社製FPAR−1000)で測定した値である。
【0043】
分散液中の表示用着色粒子の濃度は、所望の表示色が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、例えば、0.01質量%以上50質量%以下であることがよい。
なお、表示用着色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度としても上記範囲であることがよい。また、表示用着色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間の距離により調整することが有効である。所望の色相を得るために、表示装置の一対の基板間の距離が大きくなるほど粒子濃度は低くなり、当該距離が小さくほど粒子濃度は高くなる。
【0044】
−表示用着色粒子の製造方法−
表示用着色粒子を製造する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
1)特開平7−325434公報記載のように、樹脂、顔料及び必要に応じて帯電制御剤を目的とする混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機により、表示用着色粒子を製造する方法。
2)懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法により、表示用着色粒子を製造する方法。
3)樹脂が可塑性を有している場合、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂、着色剤及び必要に応じて帯電制御剤の少なくとも一方の分解点よりも低温で、樹脂、着色剤、分散媒及び必要に応じて帯電制御剤の原材料を分散及び混錬して、粒子を製造する方法(具体的には、表示用着色粒子は、例えば、流星型ミキサー、ニーダー等で樹脂、着色剤、及び必要に応じて帯電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させて、表示用着色粒子を製造する方法)。
4)分散及び混練のための粒状メデイアを装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミル等の加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を好ましい温度範囲、例えば80℃以上160℃以下で分散及び混練して、粒子を作製する方法。
なお、粒状メデイアとしては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が望ましく用いられる。粒状メデイアを利用した方法によって、表示用着色粒子を製造するには、あらかじめ流動状態にした原材料をさらに粒状メデイアによって容器内に分散させた後、分散媒を冷却して分散媒から着色剤を含む樹脂を沈殿させることがよい。粒状メデイアは、冷却中及び冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断及び/又は、衝撃を発生させ、得られる表示用着色粒子の粒径を小さくすることがよい。
【0045】
(表示用白色粒子)
−表示用白色粒子の組成−
表示用白色粒子は、白色顔料と樹脂とを含んで構成される。具体的には、表示用白色粒子は、例えば、顔料の表面が樹脂で被覆された構成である。
【0046】
樹脂としては、特に制限はなく、例えば、表示用着色粒子で使用される樹脂が挙げられる。但し、表示用白色粒子の移動速度を十分遅くする、又は実質的に電界に応じて移動しなくするため、帯電基量を低減した樹脂を用いることがよい。
【0047】
白色顔料としては、例えば、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、リトボン、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニア、酸化アンチモン、硫酸バリウムなど、任意の白色顔料が挙げられる。
これらの中でも、白色顔料としては、表示用白色粒子の高反射率と沈降抑制とを両立させる観点から、酸化チタン、酸化ジルコニアが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
ここで、酸化チタン粒子は、硫酸法、塩素法、気相法等いずれの方法により潜像されたものでもよい。酸化チタンの結晶系は、アナターゼ型、ルチル型、又はプルカイト型いずれの結晶系のものでもよいが、ルチル型が好ましい。酸化チタン粒子は、光触媒性を抑制する観点から、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを含有していることが好ましい。
【0048】
白色顔料の体積平均粒径は、例えば、1nm以上500nm以下であることがよく、10nm以上200nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。
白色顔料の体積平均粒径を上記範囲にすると、表示用白色粒子の白反射率を高くしつつ、沈降が抑制され易くなる点で有利である。
【0049】
白色顔料の含有量(白色顔料の質量/(白色顔料及び樹脂の総質量))は、30質量%以上90質量%以下であり、40質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。
白色顔料の含有量を30質量%以上とすることにより、表示用白色粒子の白反射率を高くすることができる一方、90質量%以下とすることにより、表示用白色粒子の白反射率を高くしつつ、沈降が抑制される。
【0050】
−表示用白色粒子の特性−
表示用白色粒子の体積平均粒径は、100nm以上500nm以下であり、150nm以上300nm以下が好ましい。
表示用白色粒子の体積平均粒径を100nm以上とすることにより、表示用白色粒子の白反射率を高くすることができる一方、500nm以下とすることにより、表示用白色粒子の白反射率を高くしつつ、沈降が抑制される。
【0051】
表示用白色粒子の比重は、例えば、2.1g/cm
3以上4.3g/cm
3以下であることがよく、2.4g/cm
3以上3.6g/cm
3以下が好ましく、2.4g/cm
3以上3.3g/cm
3以下がより好ましい。
表示用白色粒子の比重を上記範囲にすると、表示用白色粒子の白反射率を高くしつつ、沈降が抑制され易くなる点で有利である。
【0052】
表示用白色粒子は、表示用着色粒子による良好な表示コントラストを得る観点から、表示用着色粒子と逆極性の帯電特性を有するか、又は帯電量が低く、電解に応じて移動する移動速度が表示用着色粒子よりも十分低い粒子であることが好ましく、特に、実質的に、電界に応じて移動しない粒子であることがよい
具体的には、表示用白色粒子は、表示用着色粒子との電界に応じて移動する移動速度比(表示用白色粒子の移動速度Vw/表示用着色粒子の移動速度Vc)が、0.2以下であることがよく、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下である。
この移動速度比を上記範囲にすると、表示用着色粒子による良好な表示コントラストが実現され易くなる点で有利である。また、表示用白色粒子の移動により表示用着色粒子の移動が阻害されることに起因する表示応答性の低下も抑制され易くなる点で有利である。
なお、各粒子の移動速度は、後述する測定用セルを用いて測定した方法により測定された値である。
【0053】
なお、表示用白色粒子と表示用着色粒子との電界に応じて移動する移動速度比は、両粒子が表示用粒子分散液中に分散された状態において、表示用白色粒子の移動速度と表示用着色粒子のうち最も移動速度が遅い粒子の移動速度との比である。
【0054】
表示用白色粒子の濃度(表示装置の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度)は、例えば、1体積%以上50体積%以下であることがよく、好ましくは2体積%以上30体積%以下である。
表示用白色粒子の濃度を上記範囲にすると、白表示の反射率を高めつつ、表示用白色粒子の分散による分散媒の粘度上昇を抑え、表示用着色粒子による表示応答性の低下も抑制され易くなる点で有利である。
なお、表示用白色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度としても上記範囲であることがよい。また、表示用白色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間の距離)により調整することが有効である。所望の色相を得るために、表示装置の一対の基板間の距離が大きくなるほど粒子濃度は低くなり、当該距離が小さくほど粒子濃度は高くなる。
【0055】
−表示用白色粒子の製造方法−
表示用白色粒子は、表示用着色粒子の製造方法と同様の手法により製造することができる。
【0056】
(分散媒)
表示用着色粒子を分散させる分散媒としては、絶縁性液体であることが好ましい。ここで、「絶縁性」とは、体積固有抵抗値が10
11Ωcm以上であることを示している。
絶縁性液体として具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に挙げられる。
【0057】
これらの中でも、分散媒としては、シリコーンオイルを適用することがよい。
シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンが特に好ましい。
【0058】
−分散媒の添加剤−
分散媒には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止、紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよいが、上記で示した特定の体積固有抵抗値の範囲となるように添加することが好ましい。
【0059】
分散媒には、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加して使用してもよい。
これら界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
【0060】
〜ノニオン系界面活性剤〜
・ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類。
ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル類。
・モノオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、ジオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、トリオールタイプのポリオキシアルキレングリコール等のグリコール類。
・オクチルフェノールエトキシレート等の第1級直鎖アルコールエトキシレート及び、第2級直鎖アルコールエトキシレート等のアルキルアルコールエーテル類。
ポリオキシエチレンラウリルエステル等のポリオキシアルキレンアルキルエステル類。
ソルビタンモノラウレイト、ソルビタンジラウレイト、ソルビタンセスキパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル類。
・ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンセスキラウレイト、等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類。
・飽和脂肪酸ステアリルエステル、不飽和脂肪酸ステアリルエステル、ステアリン酸ポリエチレングリコールエステル等の脂肪酸エステル類。
・ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類及び、これら脂肪酸のアミド化化合物類。ポリオキシエチレンアルキルアミン類、高級脂肪酸モノエタノールアミド類、高級脂肪酸ジエタノールアミド類、アミド化合物類及び、アルカノールアミド類。
【0061】
〜アニオン系界面活性剤〜
・ポリカルボン酸型高分子活性剤、ロジン石鹸等のカルボン酸塩類。ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルNa塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルアミン塩、高級アルコール硫酸エステルNa塩等のアルコール系硫酸エステル塩類及び、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルアミン塩、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルNa塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルアミン塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルNa塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルアミン塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルNa塩、天然アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、天然アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、合成アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、合成アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、アルキルフェノールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、アルキルフェノールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルアミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアミン塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルNa塩等の硫酸エステル塩類。
・各種アルキルアリルスルホン酸アミン塩、各種アルキルアリルスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸アミン塩、ナフタレンスルホン酸Na塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸アミン塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸塩類。
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸アミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸Na塩などのポリオキシアルキレン系スルホン酸塩類。
【0062】
〜カチオン系界面活性剤〜
・アルキルトリメチルアミン系4級アンモニウム塩類。テトラメチルアミン系塩、テトラブチルアミン塩等の4級アンモニウム塩類。(RNH
3)(CH
3COO)〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等〕で表される酢酸塩類。ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)等のベンジルアミン系4級アンモニウム塩類。
・R(CH
3)N(C
2H
4O)
mH(C
2H
4O)
n・X〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等/X=ハロゲン・アミン等〕で表されるポリオキシアルキレン系4級アンモニウム塩類。
【0063】
〜両性系界面活性剤〜
・各種ベタイン型界面活性剤等。
【0064】
これら帯電制御剤の含有量は、例えば、全粒子固形分に対して0.01質量%以上であることがよく、好ましくは20質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上10質量%以下である。
帯電制御剤の含有量を0.01質量%以上にすると、希望とする帯電制御効果が十分発揮され易くなる点で有利であり、20質量%以下にすると、分散媒の過度な電導度の上昇が抑制され易くなる点で有利である。
【0065】
分散媒は、高分子が添加されていてもよい。この高分子としては、高分子ゲル、高分子ポリマー等であることも好ましい。
【0066】
−分散媒の特性−
分散媒の比重は、例えば、温度25℃の環境下において、0.6g/cm
3以上1.2g/cm
3以下であることがよく、0.7g/cm
3以上1.1g/cm
3以下が好ましく、0.7g/cm
3以上1.0g/cm
3以下がより好ましい。
表示用白色粒子の比重を上記範囲にすると、表示用白色粒子の沈降が抑制され易くなる点で有利である。
【0067】
分散媒の粘度は、例えば、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s以上100mPa・s以下であることよく、0.1mPa・s以上50mPa・s以下であることが望ましく、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることがより好ましい。
特に、分散媒の粘度は、5mPa・s以下であることがよい。分散媒の粘度を5mPa・s以下にすると、表示用着色粒子の表示応答性も向上し、5mPa・s以下であっても、表示用白色粒子が上記特性を持つことから、その沈降が抑制され易くなる点で有利である。
なお、分散媒の粘度の調整は、例えば、分散媒の分子量、構造、組成等を調整することによって行うことができる。
【0068】
(表示用粒子分散液のその他態様)
本発明の表示用分散液は、カプセル壁で内包されていてもよい。つまり、カプセル粒子中に、表示用白色粒子、表示用着色粒子、及び分散媒が含有されていてもよい。
【0069】
カプセル壁を構成する主たる材料は、ゼラチン、ホルマリン樹脂、ウレタン樹脂を好ましく用いることができるが、ゼラチンであることが最も好ましい。
ゼラチンとしては、コラーゲンからの誘導過程で石灰などによる処理を伴う所謂アルカリ処理ゼラチン、同じく塩酸などによる処理を伴う所謂酸処理ゼラチン、加水分解酵素などの処理を伴う酸素処理ゼラチン、ゼラチン分子中に含まれる官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基をそれらと反応しうる基を一個持った試薬で処理、改質した例、例えばフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメトリト化ゼラチン等の所謂ゼラチン誘導体、変性ゼラチン等、例えば特開昭62−215272号222頁左下欄6行目から225頁左上欄末行目などに記載される当業界内で一般に用いられているものが挙げられる。
【0070】
ゼラチン等の高分子電解質をカプセル壁に用いた場合に使用される架橋剤としては、例えば、グリオキサール、グルタルアルデヒド、スクシンアルデヒド、ジカルボン酸(例えば例えば、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、2,3−O−イソプロピリデン酒石酸等)、二酸塩化物(例えばスクシニルクロリド、フマリルクロリド、グルタリルクロリド、アジポイルクロリド等)、トリカルボン酸(例えばクエン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸等)が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、特表2005−522313に、酵素(トランスグルタミナーゼなど)による架橋反応を用いることが記載されており、この様な架橋反応を生じさせる酵素も挙げられる。
架橋剤としては、例えば、特表2009−531532記載に記載された、エポキシ樹脂、2−ヒドロキシアルキルアミド類、テトラメトキシメチルグリセリル、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、イソシアネート類、ブロック化イソシアネート類、乾性油(例えばトリグリセリド類、グリセロールエポキシエステル類、脂肪酸のトリエステル類等)、脂肪族アミン類、フェノール類、ポリイソシアネート類、アミン類、尿素、カルボン酸類、アルコール類、ポリエーテル類、尿素ホルムアルデヒド、メラミン類、アルデヒド類、多価アニオン類の塩も挙げられる。
架橋剤は、その架橋反応を促進する触媒と併用してもよく、触媒としては、特表2009−531532記載に記載された、アルコール類、フェノール類、弱酸類、アミン類、金属塩類、ウレタン類、キレート類、有機金属材料、光開始剤、フリーラジカル開始剤、強酸類のオニウム塩類が挙げられる。
【0071】
なお、架橋剤及び/又はその触媒を水相中に添加して用いるか、又は内相油相中に添加して有機溶媒中から架橋反応を起こさせるかについては、適宜選択することができる。
【0072】
ここで、カプセル壁を形成のための乳化分散工程において用いられる乳化分散装置として、高速撹拌機(ディゾルバー)、ホモジナイザー、インラインミキサー等の通常の乳化手段が挙げられるが、特に、マイクロリアクター又はマイクロミキサーを利用することが好適である。
【0073】
通常の乳化手段は、乳化に必要な剪断力の働く領域が、乳化翼の極く近傍に限られているため、剪断力が乳化翼の遠近で不均一になり、分散液滴の粒子径分布が広くなる問題があった。また超音波分散装置は実験室スケールないし小規模での工業生産スケールで用いられる場面があるが、高度の生産性を訴求した生産システムにおいては生産量、コスト、及び粒子径分布の制御などに課題が残っている。
【0074】
この点に関して、特許第2630501号明細書には、前記のような乳化手段を用いることにより生ずる粒径分布の問題を解決する乳化方法として、いわゆるシリンドリカルミルを用いる乳化方法が開示されている。この乳化方法は、固定した外側円筒の中で内側円筒を回転させて、内側円筒と外側円筒との間隙に分散媒と分散液との混合液を通して乳濁液を得る乳化方法であり、混合液を外側円筒の一端部の側面より円周に沿って接線方向から供給し、混合液が内外円筒間の間隙を回転しつつ移動する間、内側円筒の長さにわたって均一な剪断力を働かせるようにして充分に乳化させる方法である。この乳化方法によると、極めて狭い粒径分布を有する乳化液が得られるが、この方法で得られる液滴粒径の大きさは、内側円筒と外側円筒との間隙の大きさに依存するので、ある限度以下の粒径の乳化粒子を得にくく、この方法で得られる液滴の粒径は、通常10μm程度が限度で、数μm以下の粒径の液滴を得ることはでき難いのが現状である。
【0075】
これに対して、いわゆるマイクロリアクターと称される装置が、ファインケミカル分野、バイオケミカル分野等で用いられるようになり、最近大きな発展を遂げている(W.Ehrfeld, V.Hessel, H.Lowe, "Microreactor", 1Ed.(2000), WILEY-VCHを参照)。
マイクロリアクターは、マイクロスケールの複数の流路(チャンネル)を有する反応装置を一般に総称するものであり、たとえば二種類の液体が異なる流路を通る間に、極めて薄い液膜として互いに接触するもので、その間に層の界面を通して物質移動が行われ、反応が生ずる。
マイクロリアクターは、化学反応だけでなく、2種以上の液体を混合したりあるいは分離を行うことにも利用される。特に、混合のために用いるマイクロリアクターはマイクロミキサーと称され、混合すべき互いに異なる液体の液膜を積層構造に作り、これを狭い通路を通すことにより相互に混合するものであり、例えば、液体として油相液と水相液を用いることにより乳化分散液を調製することができる。WO00/62913号公報には、このようなマイクロリアクターを用いて分散を行わせる分散機(マイクロミキサー)が提案されている。この分散機は、液体Aおよび液体Bの液流をそれぞれ、マイクロスケールの流路(チャンネル)に別々に通すことによって、空間的に分割された液層(液膜)に分割し、次いで分割した液流を結合し狭い通路を通すことにより液体Aまたは液体Bを細かい液滴に分散させ、その際、機械的なオシレーターを用いて液滴化を促進する方法である。
【0076】
このようなマイクロチャンネルを有するマイクロリアクター又はマイクロミキサーを用いた乳化分散によりカプセル壁を作製する技術については特開2002−282678及び特開2002−282679に詳述されており、本発明ではこれを利用することがよい。
【0077】
[表示装置]
本実施形態に係る表示装置は、前記した本実施形態に係る表示媒体と、表示媒体の一対の基板間に電界を形成する電界形成手段と、を備える。
【0078】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る表示装置について説明する。なお、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置を示す概略構成図である。
【0079】
本実施形態に係る表示装置10は、
図1に示すように、表示媒体12と、電圧印加部16(電界形成手段の一例)と、制御部18と、を含んで構成されている。
【0080】
(表示媒体)
表示媒体12は、
図1に示すように、表示面とされる表示基板20と、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22と、これらの基板間を所定間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との間を複数のセルに区画する間隙部材24と、を含んで構成されている。
ここで、上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、着色粒子群34と、白色粒子群36と、それら粒子群を分散する分散媒50と、が封入されている。着色粒子群34及び白色粒子群36はこの分散媒50中に分散され、着色粒子群34はセル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との間を移動する。
【0081】
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の色表示が可能となるように構成してもよい。
そして、表示媒体12の分散媒50中には、互いに色が異なる複数種類の着色粒子群34が分散されている。複数種類の着色粒子群34は、基板間を電気泳動する粒子であり、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。
【0082】
−表示基板・背面基板−
表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を順に積層した構成となっている。
【0083】
支持基板38及び支持基板44の材料としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0084】
表面電極40及び背面電極46の材料としては、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が挙げられる。表面電極40及び背面電極46は、これらの単層膜、混合膜又は複合膜のいずれであってもよく、例えば、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成される。
【0085】
表面電極40及び背面電極46の膜厚は、所望の導電率が得られるように適宜調整されるが、一般には、10nm以上1μm以下である。
背面電極46及び表面電極40は、従来の液晶表示素子あるいはプリント基板のエッチング等従来公知の手段により、所望のパターン、例えば、マトリックス状、又はパッシブマトリックス駆動を可能とするストライプ状に形成される。
【0086】
表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。同様に、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。背面電極46及び表面電極40各々を表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
【0087】
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40及び背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にのみ設けるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を可能にするために、支持基板38及び支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)、TFD(薄膜ダイオード)、MIM(Metal−Insulator−Metal)素子、バリスタなどの能動素子を備えていてもよい。配線の積層化及び部品実装が容易であることから、能動素子は表示基板20ではなく背面基板22に形成することが好ましい。
【0088】
表面電極40及び背面電極46が、各々支持基板38及び支持基板44上に形成されている場合、表面電極40及び背面電極46の破損や、着色粒子群34の各粒子の固着を招く電極間のリークの発生を防止するため、必要に応じて表面電極40及び背面電極46各々上に誘電体膜としての表面層42及び表面層48を形成することが好ましい。
なお、本実施形態では、表示基板20と背面基板22の対向面の双方に表面層(表面層42及び表面層48各々)が設けられている場合を説明するが、表示基板20と背面基板22の対向面の何れか一方にのみ設けられた構成であってもよい。また、これらが異なる材質であってもよい。
【0089】
表面層42及び表面層48の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、エポキシ樹脂、紫外線硬化アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0090】
表面層42及び表面層48の材料としては、分散媒50がシリコーンオイルである場合、粒子の固着防止の観点から、シリコーン鎖を有する高分子化合物が好適に挙げられる。
シリコーン鎖を持つ高分子化合物としては、例えば、下記構成単位(A)と下記構成単位(B)とを含む共重合体が適用できる。
【0092】
構成単位(A)及び(B)中、Xは、シリコーン鎖を含む基を表す。
Ra
1は、水素原子、又はメチル基を表す。
Ra
2は、水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(例えば塩素原子)を表す。
Rb
2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シアノ基、芳香族基、複素環基、又は−C(=O)−O−Rc
2(但し、Rc
2は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキル基(−(C
xH
2x−O)
n−H[x,n=1以上の整数])、アミノ基、モノアルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表す。)
n1、及びn2は、共重合体全体に対するそれぞれの構成単位のモル%を示し、0<n1<50、0<n2<80を表す。nは、1以上3以下の自然数を表す。
【0093】
構成単位(A)中、Xが表すシリコーン鎖を含む基は、例えば、直鎖状、又は分枝状のシリコーン鎖(Si−O結合が2つ以上連なったシロキサン鎖)を含む基であり、好適には、ジメチルシロキサン構造(−Si(CH
3)
2−O−)が2以上連なった、置換基で一部(−CH
3の一部)が置換されていてもよいジメチルシロキサン鎖を含む基である。 Xが表すシリコーン鎖を含む基として具体的には、例えば、下記構造式(X1)、又は(X2)で示される基が挙げられる。
【0095】
構造式(X1)及び(X2)中、R
1は、水酸基、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。nは、1以上10以下の整数を表す。
【0096】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物において、構造単位(A)を構成する単量体として具体的には、例えば、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(例えば、JNC社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業(株):X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)等が挙げられる。これらの中でも、サイラプレーン:FM−0711、FM−0721、FM−0725等が好ましい。
【0097】
構成単位(B)を構成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリルJNC酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルカルバゾール、スチレン、スチレン誘導体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、これらの表記において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」および「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
【0098】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物は、構造単位(A)及び(B)以外に架橋単位を含んでもよい。架橋単位としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基などを含む単量体が利用できる。
【0099】
シリコーン鎖を有する高分子化合物の特に好ましい態様としては、例えば、シリコーン鎖を持つ単量体(以下、A.シリコーン鎖成分)と、反応性基を持つ単量体(B.反応性成分)と、必要に応じて、その他単量体(以下、C.その他共重合体成分)と、の共重合体が挙げられる。以下、各単量体(成分)について説明する。
【0100】
−A.シリコーン鎖成分−
シリコーン鎖を持つ反応性化合物(シリコーン鎖を持つ重合性単量体)としては、直鎖型のシリコーン化合物、分岐型のシリコーン化合物等の周知の化合物が挙げられる。なお、シリコーン鎖を持つ反応性化合物は、モノマーを用いてもよいし、マクロモノマーを用いてもよい。この「マクロモノマー」とは、重合性官能基を持ったオリゴマー(重合度2以上300以下程度)あるいはポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。また、シリコーン鎖を持つ反応性化合物は単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
シリコーン鎖成分としては、直鎖構造を有する下記一般式(1)で示される単量体が好適である。
【0102】
一般式(1)中、R
1は、水素原子、又はメチル基を示す。R
2は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは0以上1000以下、を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
【0103】
一般式(1)で示される単量体の具体例として、JNC社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)が挙げられる。
【0104】
また、分岐構造を有する下記一般式(2)又は(3)で示される単量体も好適である。
【0107】
一般式(2)及び(3)中、R
1、R
2、は、一般式(1)と同じく水素原子、又はメチル基を示す。R
3、R
4、R
5、R
6、は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のフルオロアルキル基を表す。n、l、及びmは、各々独立に0以上1000以下の整数を示す。xは、1以上3以下の整数を表す。
【0108】
一般式(2)及び(3)で示される単量体の具体例として、例えば、アヅマックス社製の下記構造式で示されるRTT−1011、MCS−M11、信越化学工業社製のX22−2404等が挙げられる。
【0111】
−B.反応性成分−
反応性成分としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセリンメタクリレート、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノメタクリレート、2−ヒドロキシ −3−フェノキシプロピルアクリレート、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
【0112】
−C.その他共重合成分−
その他共重合成分としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オクチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;、N−メチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−フェニルメチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−p−メトキシ−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類;、ビニル−N−エチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類;、
【0113】
N−ビニルピロール等のピロール類;、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類;、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類;、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類;、N−ビニルインドール等のインドール類;、N−ビニルインドリン等のインドリン類;、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類;、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピロジン等のピリジン類;、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類;、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類;、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類;、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類;、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類;、
【0114】
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、又はそれらの無水物及びそのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を有するビニルエーテル類;、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホニックアシッド、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩;、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩;ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート;、などが挙げられる。
【0115】
その他共重合成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドユニットをもったモノマ、例えばテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのアルキルオキシオリゴエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの片末端(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、N,N−ジアルキルアミノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0116】
なお、上記のうち、成分A,Bは高分子化合物を構成するのに不可欠な成分であり、成分Cは必要に応じて共重合されることがよい。3成分の共重合比は、「A.シリコーン鎖成分」が5質量%以上、より望ましくは10質量%以上であることが望ましい。非シリコーン鎖成分が95質量%以下であることで、界面活性能力が保たれ、粒子の固着抑制効果が良好になる。また、「B.反応性成分(架橋基含有成分)」は、0.1質量%以上90質量%以下の範囲であることが望ましい。反応性成分が90質量%以下であることで、処理層中に反応性基が残存しにくく、粒子の移動特性(泳動特性)への悪影響が抑えられる。また、反応性成分が0.1質量%以上であることで、基板表面への高分子化合物の結合が良好に行なわれる。なお、この割合は、高分子化合物を合成する際の仕込み量の割合である。
【0117】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物は、架橋体として表面層を構成してもよく、当該架橋体とするには、例えば、重合成分として反応性基(架橋性基)を持つ重合成分を重合させ、樹脂を架橋させる方法、高分子化合物とは別途、架橋剤を添加して、架橋させる方法が挙げられる。
なお、架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、リン酸ジクロリド化合物、酸無水物、ポリアルデヒド化合物等の周知の架橋剤が挙げられる。このうち、より好ましくはポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、ポリアルデヒド化合物であり、特に好ましくはポリイソシアネート化合物である。
【0118】
ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の2官能イソシアネートが挙げられる。さらに多官能アルコールへの前記2官能イソシアネート付加体や、前記2官能イソシアネートの多量体である、ビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体も好適に用いられる。
【0119】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物の重量平均分子量としては、100以上100万以下が望ましく、より好ましくは400以上100万以下である。なお、重量平均分子量は静的光散乱法又はサイズ排除カラムクロマトグラフィーにより測定され、本明細書に記載の数値は当該方法によって測定されたものである。
【0120】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物で構成される表面層(表面層42及び表面層48)の厚みは、例えば、0.001μm以上10μm以下がよく、好ましくは0.01μm以上1μm以下である。
【0121】
表面層42及び表面層48の材料としては、上記した絶縁材料の他に、絶縁性材料中に電荷輸送物質を含有させたものも使用され得る。電荷輸送物質を含有させることにより、粒子への電荷注入による粒子帯電性の向上や、粒子の帯電量が極度に大きくなった場合に粒子の電荷を漏洩させ、粒子の帯電量を安定させるなどの効果が得られる。
電荷輸送物質としては、例えば、正孔輸送物質であるヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物等や、電子輸送物質であるフルオレノン化合物、ジフェノキノン誘導体、ピラン化合物、酸化亜鉛等や、ポリビニルカルバゾールなどの電荷輸送性を有する樹脂が挙げられる。
【0122】
シリコーン鎖を有する高分子化合物を用いた表面層は、例えば、これを含む塗布液を基板及び間隙部材に塗布・乾燥することで形成される。
【0123】
−間隙部材−
間隙部材24は、表示基板20と背面基板22との間隙を保持するための部材であり、表示基板20の透明性を損なわないように形成され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で形成される。
間隙部材24には、セル状のものと、粒子状のものがある。セル状のものとしては、例えば、網や、エッチングやレーザー加工等によりマトリックス状に穴を開けたシートが挙げられる。
間隙部材24は表示基板20及び背面基板22の何れか一方と一体化されてもよく、支持基板38又は支持基板44をエッチング処理、レーザー加工したり、予め作製した型を使用し、プレス加工、印刷等によって、任意のサイズのセルパターンを有する支持基板38又は支持基板44、及び間隙部材24が作製される。この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製し得る。間隙部材24は有色でもよいが、表示媒体12に表示される表示画像に悪影響を及ぼさないように無色透明であることが好ましい。
【0124】
(電圧印加部)
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が接地されており、他方が電圧印加部16に接続されていてもよい。
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する。
【0125】
(制御部)
制御部18は、電圧印加部16に信号授受可能に接続されている。
制御部18は、図示しないが、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラムや処理ルーチンによって示されるプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されている。
【0126】
(駆動方法)
本実施形態に係る表示装置10では、表示媒体12において、表示基板20と背面基板22との間に印加する印加電圧(V)を変えることによって、異なる色を表示する。
表示媒体12では、表示基板20と背面基板22との間に形成された電界に応じて移動することによって、表示媒体12の各画素に対応するセル毎に、画像データの各画素に応じた色を表示することができる。
【0127】
ここで、表示媒体12において、上述のように、
図2に示すように、着色粒子群34においては、各色毎に、着色粒子群34が基板間を電気泳動する際の電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値がそれぞれ異なる。そして、各色の着色粒子群34は、各色毎に各色の着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲を有し、当該電圧範囲がそれぞれ異なる。言い換えれば、当該電圧の絶対値は、当該電圧範囲を有し、着色粒子群34の各色毎に当該電圧範囲がそれぞれ異なる。
【0128】
なお、本実施形態では、表示媒体12の同一セル内に封入されている着色粒子群34としては、
図1に示すように、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、及びイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の着色粒子群34が封入されているとして説明する。
【0129】
マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、及びイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々が移動を開始するときの電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vtm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vtc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vty|であるとして説明する。また、各色の着色粒子群34のゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、及びイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々をほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vdm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vdc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vdy|であるとして説明する。
【0130】
以下で説明するVtc、−Vtc、Vdc、−Vdc、Vtm、−Vtm、Vdm、−Vdm、Vty、−Vty、Vdy、及び−Vdyの絶対値は、|Vtc|<|Vdc|<|Vtm|<|Vdm|<|Vty|<|Vdy|の関係であるとして説明する。
具体的には、
図2に示すように、例えば、着色粒子群34はすべて同極性に帯電され、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(VtcからVdcの間の値の絶対値)、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(VtmからVdmの間の値の絶対値)、及びイエロー粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(VtyからVdyの間の値の絶対値)が、この順で重複することなく、大きくなるように設定されている。
【0131】
また、各色の着色粒子群34を独立駆動するために、シアン粒子群34Mをほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdc|が、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(VtmからVdmの間の値の絶対値)、及びイエロー粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(VtyからVdyの間の値の絶対値)よりも小さく設定されている。また、マゼンタ粒子群34Mをほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdm|が、イエロー粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(VtyからVdyの間の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
【0132】
即ち、本実施形態では、各色の着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲が重ならないように設定することによって、各色の着色粒子群34が独立駆動されるようにしている。
なお、「着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲」とは、粒子が移動開始するために必要な電圧と移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和するまでの電圧範囲を示す。
また、「着色粒子群34をほぼ全て移動させるために必要な最大電圧」とは上記の移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和する電圧を示す。
【0133】
また、「ほぼ全て」とは、各色の着色粒子群34の特性ばらつきがあるため、一部の着色粒子群34の特性が駆動特性に寄与しない程度異なるものがあることを表す。すなわち上述した移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和した状態である。
【0134】
また、「表示濃度」は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=OD)の反射濃度計X−rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に徐々に変化(印加電圧を増加又は減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧及び電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
そして、本実施形態に係る表示媒体12では、表面基板20と背面基板22との基板間に0Vから電圧を印加して除々に印加電圧の電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34の移動による表示濃度の変化が止まる。
【0135】
さらに、電圧値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtmを超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0136】
さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtyを超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
反対に、表面基板20と背面基板22との基板間に0Vからマイナス極の電圧を印加して除々に電圧の絶対値を上昇させ、基板間に印加された電圧−Vtcの絶対値を超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Cの基板間の移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値の絶対値を上昇させ、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdc以上となると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0137】
さらに、電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表面基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtmの絶対値を超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0138】
さらに、電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表面基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtyの絶対値を超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、基板間に印加された電圧が−Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0139】
すなわち、本実施形態では、
図2に示すように、基板間に印加される電圧が−VtcからVtcの範囲内(電圧範囲|Vtc|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の着色粒子群34(シアン粒子群34C、マゼンタ粒子群34M、及びイエロー粒子群34Y)の粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtc及び電圧−Vtcの絶対値以上の電圧が印加されると、3色の着色粒子群34の内のシアン粒子群34Cについて表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じはじめて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdc及び電圧Vdcの絶対値|Vdc|以上の電圧が印加されると、単位電圧あたりの表示濃度に変化は生じなくなる。
【0140】
さらに、基板間に印加される電圧が−VtmからVtmの範囲内(電圧範囲|Vtm|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度のマゼンタ粒子群34M及びイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtm及び電圧−Vtmの絶対値以上の電圧が印加されると、マゼンタ粒子群34M及びイエロー粒子群34Yの内のマゼンタ粒子群34Mについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じはじめて単位電圧あたりの表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdm及び電圧Vdmの絶対値|Vdm|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0141】
さらに、基板間に印加する電圧が−VtyからVtyの範囲内(電圧範囲|Vty|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度のイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vty及び電圧−Vtyの絶対値以上の電圧が印加されると、イエロー粒子群34Yについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じ始めて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdy及び電圧Vdyの絶対値|Vdy|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0142】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る表示装置10において、表示媒体12に画像を表示するときの駆動方法を説明する。
【0143】
はじめに、表示基板20と背面基板22との間に電圧−Vdyを印加する。これにより、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、及びイエロー粒子群34Yの全てが背面基板22側に位置される(
図3(A)参照)。
【0144】
つぎに、もっとも移動開始電圧が高いイエロー粒子群34Yを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧+Vdyを印加した場合は、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、及びイエロー粒子群34Yの全てが表示基板20側に移動して黒(K)表示となる(
図3(B)参照)。一方、電圧+Vtyを印加した場合は、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34Cは表示基板20側に移動するが、イエロー粒子群34Yはそのままの状態となり青色(B)表示となる(
図3(C)参照)。電圧が+Vty以上、+Vdy以下の場合には、イエロー粒子群34Yの一部が移動するので、中間調を得ることができる。
【0145】
つぎに、2番目に移動開始電圧が高いマゼンタ粒子群34Mを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧−Vdmを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは背面基板22側へ移動し、一方、電圧−Vtmを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に残る。移動開始電圧がマゼンタ粒子34Mより低いシアン粒子34Cは、いずれの場合も背面基板22側へ移動する。一方、移動開始電圧がマゼンタ粒子34Mより高いイエロー粒子34Yは、いずれの場合もそれ以前の状態を維持する。電圧が−Vtm以上、−Vdm以下の場合には、マゼンタ粒子群34Mの一部が移動するので、中間調を得ることができる。
【0146】
したがって、
図3(B)の状態で電圧−Vdmを印加した場合は、イエロー粒子34Yは表示基板20側に残ったままで、マゼンタ粒子34Mとシアン粒子34Cが背面電極22側へ移動して、結果として黄色(Y)表示となる(
図3(D)参照)。
図3(B)の状態で電圧−Vtmを印加した場合は、イエロー粒子34Yとマゼンタ粒子34Mが表示基板20側に残ったままで、シアン粒子34Cが背面電極22側へ移動して、結果として赤色(R)表示となる(
図3(E)参照)。
図3(C)の状態で電圧−Vdmを印加した場合は、イエロー粒子34Yは背面基板22側に残ったままで、マゼンタ粒子34Mとシアン粒子34Cが背面電極22側へ移動して、結果として白色(W)表示となる(
図3(F)参照)。
図3(C)の状態で電圧−Vtmを印加した場合は、イエロー粒子34Yは背面基板22側に残ったまま、マゼンタ粒子34Mは表示基板20側に残ったままで、とシアン粒子34Cが背面電極22側へ移動して、結果としてマゼンタ(M)表示となる(
図3(G)参照)。
【0147】
最後に、移動開始電圧がもっとも低いシアン粒子34Cを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧+Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側へ移動し、一方、電圧Vtcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残る。移動開始電圧がシアン粒子群34Cよりも高いマゼンタ粒子34Mとイエロー粒子34Yは、いずれの場合もそれ以前の状態を維持する。それゆえ、電圧Vtcを印加した場合は、それ以前の表示色を維持する。電圧が+Vtc以上、+Vdc以下の場合には、シアン粒子群34Cの一部が移動するので、中間調を得ることができる。
【0148】
したがって、
図3(D)の状態で電圧Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側へ移動し、イエロー粒子34Yは表示基板20側に、マゼンタ粒子34Mが背面電極22側に残ったままで、結果として緑色(G)表示となる(
図3(H)参照)。
図3(E)の状態で電圧Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側へ移動し、イエロー粒子34Yとマゼンタ粒子34Mは表示基板20側に残ったままで、結果として黒色(K)表示となる(
図3(I)参照)。
図3(F)の状態で電圧Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側へ移動し、イエロー粒子34Yはとマゼンタ粒子34M背面電極22側に残ったままで、結果としてシアン(C)表示となる(
図3(J)参照)。
図3(G)の状態で電圧Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側へ移動し、イエロー粒子34Yは背面電極22側に、とマゼンタ粒子34Mは表示基板20側に残ったままで、結果として青色(B)表示となる(
図3(K)参照)。
【0149】
このように、移動開始電圧が高い各着色粒子群34から順に、その粒子群に応じた電圧を基板間に印加することで、所望の粒子を選択的に移動させて、任意のカラー表示が可能となる。
【0150】
[表示装置を備えた電子機器等]
本発明の表示装置は、電子機器、展示用媒体、カード媒体等に備えられる。
具体的には、本発明の表示装置は、例えば、画像の保存及び書換えが可能な電子掲示板、電子回覧版、電子黒板、電子広告、電子看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、複写機・プリンタと共用できる電子ドキュメントシート、ポータブルコンピューター、タブレットコンピューター、携帯電話、スマートカード、署名機器、時計、棚ラベル、フラッシュドライブ等に備えられる。
【実施例】
【0151】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「%」、「部」は特に断りのない限り質量基準である。
【0152】
[表示用粒子の作製]
(シアン粒子C1の作製)
1)コア粒子の作製
−分散相の調製−
下記成分を60℃に加温しながら混合し、インク固形分濃度が10%、乾燥後の顔料濃度が45%となるように分散相を調製した。
・スチレンアクリル系ポリマーX345(星光PMC社製): 6.1g
・シアン顔料PB15:3の水分散液: 20.5g
(Emacol SF Blue H524F(山陽色素社製、固形分26質量%))
・蒸留水: 28.0g
【0153】
−連続相の調製−
下記成分を混合して連続相を準備した。
・界面活性剤KF−6028(信越化学工業社製): 3.8g
・シリコーンオイルKF−96−2cs(信越化学工業社製): 420.1g
【0154】
−粒子作製−
上記分散相50gと、上記連続相350gとを混合し、内歯式卓上分散機ROBOMICS(特殊機化工業社製)を用い回転数10,000rpm、温度30℃で10分間乳化を行った。その結果、乳化液滴径が約2μmの乳化液を得た。これをロータリーエバポレーターにより真空度20mbar、水浴温度40℃で18時間乾燥を行った。
得られた粒子懸濁液を6,000rpmで15分間遠心分離し,上澄み液を除去した後、シリコーンオイルKF−96−2CSを用いて再分散させる洗浄工程を3回繰り返した。このようにしてシアン粒子C1(C1粒子)6gを得た。SEM画像解析した結果、平均粒径は0.55μmであった。
【0155】
(シアン粒子C2の作製)
C1粒子をコア粒子として用い、以下のようにシェル被覆を行なってシアン粒子C2(C2粒子)を得た。
【0156】
2)シェル形成(コアセルベーション法)
−シェル樹脂の合成−
下記成分を混合し、窒素下で70℃、6時間重合を行なった。
・サイラプレーンFM−0725: 50g
・ヒドロキシエチルメタクリレート(アルドリッチ社製): 32g
・フェノキシ基を含むモノマーAMP−10G(新中村化学社製): 18g
・ブロックイソシアネート基を含むモノマー: 2g
(カレンズMOI−BP(昭和電工社製))
・イソプロピルアルコール(関東化学社製): 200g
・重合開始剤AIBN: 0.2g
(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アルドリッチ社製)
【0157】
そして、生成物をシクロヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥しシェル樹脂を得た。このシェル樹脂2gをt−ブタノール溶媒20gに溶解し、シェル樹脂溶液を作製した。
【0158】
−シェル樹脂による粒子被覆−
上記コア粒子1gを200mLのナスフラスコに取り、シリコーンオイルKF−96−2csを15g加え、超音波を加えながら撹拌分散した。これに、t−ブタノールを7.5g、上記シェル樹脂溶液5g、シリコーンオイルKF−96−2cs(信越化学工業社製)12.5gを順次加えた。投入速度は全て2mL/sとした。上記ナスフラスコをロータリーエバポレーターに接続し、真空度20mbar、水浴温度50℃で1時間、t−ブタノール除去を行った。
【0159】
これをさらに撹拌しながらオイルバス中で加温した。まず100℃で1時間加温し、残留水分と残留するt−ブタノールを除いた後、続けて130℃で1.5時間の加熱を行い、ブロックイソシアネート基のブロック基を脱離させ、シェル樹脂の架橋反応を行った。
冷却後、得られた粒子懸濁液を6,000rpmで15分間遠心分離し,上澄み液を除去した後、シリコーンオイルKF−96−2cs(信越化学工業社製)を用いて再分散させる洗浄工程を3回繰り返した。このようにしてシアン粒子C2を0.6g得た。
【0160】
(シアン粒子C3の作製)
シェル樹脂被覆時のシェル樹脂溶液仕込み量を43gに変更する以外は、C2粒子と同様にして、シアン粒子C3を得た。
【0161】
(赤色粒子R1の作製)
−分散液A−1Aの調製−
下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施
して分散液A−1Aを調製した。
・メタクリル酸メチル(アルドリッチ社製): 50g
・メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル(アルドリッチ社製): 0.3g
・赤色顔料PR255: 2.0g
【0162】
−分散液A−1Bの調製−
下記成分を混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭酸カルシウム分散液A−
1Bを調製した。
・炭酸カルシウム: 40g
・水: 60g
【0163】
−混合液A−1Cの調製−
下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合
液A−1Cを調製した。
・炭酸カルシウム分散液A−1B: 4g
・20%食塩水: 60g
【0164】
−着色粒子の調製−
下記成分を混合後、超音波機で脱気を10分行った。
・分散液A−1A: 20g、
・ジメタクリル酸エチレングリコール: 0.6g、
・重合開始剤V601: 0.2g
(Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)和光純薬工業社製)
【0165】
これを混合液A−1Cに加え、乳化機で乳化を実施した。次にこの乳化液をフラスコに入れ、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に65℃で15時間反応させ粒子を調製した。冷却後、粒子を濾過し、得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。充分な蒸留水で洗浄し、目開き:15μm、10μmのナイロン篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粒子は、体積平均粒径13μmであった。
【0166】
−4級アンモニウム化処理−
得られた粒子をシリコーンオイルKF96−1cs(信越化学工業社製)に分散し、臭化ドデシル(4級化剤)を、粒子の調製に用いたメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルと等モル量加え、90℃で6時間加熱した。
冷却後、この分散液を多量のシリコーンオイルにて洗浄し、減圧乾燥させることにより
赤色粒子R1を得た。この粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度は145℃であった。
【0167】
(白色粒子W1の作製)
下記組成中の各材料を混合し、65℃で18時間加熱した後、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96L−2cs、粘度2cs)で溶媒置換を行なった。これにより、4−ビニルビフェニルを重合成分として含む共重合体で構成された樹脂粒子分散液を得、得られた樹脂粒子分散液を白色粒子分散液1とした。樹脂粒子の体積平均粒径は、0.53μmであった。
なお、体積平均粒径は、粒径アナライザー(FPAR−1000、大塚電子株式会社製)により測定した。
<組成>
・4−ビニルビフェニル(新日鐵化学社製) :1部
・サイラプレーンFM−0721(JNC社製、重量平均分子量Mw=5000;一般式(1)[R
1=メチル基、R
2=ブチル基、n=68、x=3]) :1部
・ラウロイルパーオキサイド(アルドリッチ社製) :0.03部
・アイソパーM(Isopar M:登録商標、エクソンモービル社製):10部
・ヘキサン(関東化学社製) :2部
・トルエン(関東化学社製) :2部
【0168】
(CRW混合系表示用粒子分散液1〜3の調製)
各シアン粒子C1、C2、又はC3と赤色粒子R1と白色粒子W1とを、固形分でシアン粒子が0.1g、赤色粒子R1が0.5g、白色粒子W1が3.0gとなるように秤量・混合し、液量が10gとなるようにシリコーンオイルKF−96L−2cs(信越化学工業社製)を加え、超音波撹拌して表示用粒子分散液1〜3を調製した。
【0169】
[表面層B1、B2、B3の作製]
<高分子化合物A1〜A3の合成>
三方コック・ジムロート冷却管及び温度計付き三口フラスコに、MMA、HEMA、Siマクロマーを下記表1に従って所定量を加え、固形分濃度が25質量%となるようにMFGを加えた。10分間N
2バブリングを行った後、N
2雰囲気下、60℃になるまで加熱撹拌を行った。フラスコ内の温度が60℃になったことを確認し、0.5mol%の開始剤V−65を添加し、引き続き60℃にて加熱撹拌を行った。2時間毎に0.5mol%の開始剤V−65を添加し、反応時間が合計6時間になったところで反応を終了、放冷し、高分子化合物A1〜A3を得た。
【0170】
【表1】
【0171】
なお、表1中の略称等の詳細は、以下の通りである。
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・MMA:メタクリル酸メチル
・FM−0721:サイラプレーンFM−0721(JNC社製)
・FM−0725:サイラプレーンFM−0721(JNC社製)
・X−22−2475:信越化学工業社製
【0172】
<硬化性組成物B1〜B3の調製>
高分子化合物A1〜A3をそれぞれ混合溶媒(トルエン/テトラヒドロフラン=25/75質量比の溶媒)に溶解して、4質量%溶液を準備し、この溶液4質量部にトリイソシアネート系架橋剤(「タケネートD160N(タケダ薬品工業社製)」)溶液2質量部を混合し、硬化性組成物B1〜B3を得た。架橋剤溶液濃度は、A1〜A3中に含まれるHEMA濃度に対し、100mol%濃度比となるよう、上記混合溶媒を用いて適宜調整した。
【0173】
[表示セルの作製]
電極として、厚さ50nmのITO(酸化スズインジウム)をスパッタリング法で成膜したガラス基板を用意し、このITO膜の上に、上記で得られた硬化性組成物の溶液を順次用いてスピンコートした。その後、塗布膜を130℃で1時間乾燥させて、膜厚400nmの表面層を形成した。
【0174】
このようにして作製した表面層付ITO基板を2枚用意し、表示基板及び背面基板とした。厚さ50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサとし、これを挟むように2枚の表面層付ITO基板を、互いの表面層を対向させて重ね合わせ、スペーサによりできたセル中の間隙に上記の表示用粒子分散液を注入し、周辺部をUV硬化性樹脂で硬化、封止して画像表示媒体である表示セルを作製した。
【0175】
<実施例1〜3、比較例1〜2>
表2に記載の粒子分散液と表面層の組合せで実施例1〜3、比較例1〜2の評価セルを作製した。
【0176】
[評価]
(光電変換効率)
実施例1〜3及び比較例1〜2の評価セルを用い、以下の方法によって光電変換効率を測定した。
評価セルの表示面側の基板から、1mW/cm
2の光量で650nmの波長の光を入射し、Keathley6430(ケースレー社製)を用い、光入射側基板に−30V印加時に発生する電流量を、暗時に流れる電流量との差分から求め、シアン粒子(C粒子)の最大吸収波長650nmにおける光電変換効率を、入射フォトン数に対する発生電荷量の比率から求めた。
【0177】
(連続駆動特性)
擬似太陽光源シミュレーターを用い、表示装置の表示面側から、Am1.5 1mW/cm
2の照度で連続駆動中光照射した。
表示装置に光照射している間、電極間に±30Vの電圧を印加して表示装置を100回駆動させた。ここで、+30Vにて5秒間、及び−30Vにて5秒間の電圧印加により駆動させる操作を1回の駆動とした。このとき、表示面+30Vにて5秒間電圧印加した後、−30Vにて電圧印加したときの反射率変化(C粒子の反射率変化は、吸収最大波長650nmの反射率変化)について、連続駆動試験前後での反射率変化速度を測定した。反射率変化速度は、連続駆動試験前において、+30Vで30秒間電圧印加した後の反射率を「1」、−30Vで30秒間電圧印加した後の反射率を「0」として、相対値で0.1となるまでの時間を計測することにより求めた。
上記試験による結果を表2に示す。
【0178】
【表2】
【0179】
本発明に規定の通り、光電変換効率が0.01%以下と小さいセルでは、連続駆動による反射率変化速度の変化が小さいことが分かる。