【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、本発明の3次元地図表示システムを、出発地(現在地)から目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステムに適用した場合の実施例に基づき説明する。以下では、ナビゲーションシステムの例を示すが、本発明は、かかる例に限らず、3次元地図を表示する種々の装置として構成可能である。
【0029】
A.システム構成:
図1は、実施例におけるナビゲーションシステムの概略構成を示す説明図である。ナビゲーションシステムは、サーバ100と、3次元地図表示装置としての機能を有する端末10とを、ネットワークNEを介して接続することによって構成されている。この他、本実施例のサーバ100が提供する機能を、端末10に組み込んで、スタンドアロンの装置として構成してもよいし、さらに多くのサーバ等を備える分散システムとして構成することもできる。
【0030】
サーバ100には、地図データベース20、および、図示する送受信部101、データベース管理部102、経路探索部103の各機能ブロックが備えられている。これらの機能ブロックは、サーバ100に、それぞれの機能を実現するためのコンピュータプログラムをインストールすることによってソフトウェア的に構成することができる。これらの機能ブロックの少なくとも一部を、ハードウェア的に構成してもよい。
【0031】
地図データベース20には、地図データ22、設定テーブル24T、属性表現画像データ24、文字データ26およびネットワークデータ28が格納されている。
地図データ22は、経路案内時などに3次元地図を表示するためのデータであり、海、山、河川、道路、建物などの種々の地物を3次元的に描画するための描画データとしての3次元モデル(ポリゴン)等を含んでいる。
設定テーブル24Tは、地物の外観を装飾するために、どのような属性表現画像を用いるかを規定している。本実施例では、属性表現画像は、予め画像データの形で用意されているものと、地図の描画時にグラフィックスライブラリが備える機能に基づいて生成されるものとがある。属性表現画像データ24は、予め用意されるべき属性表現画像の画像データを格納している。
地図データ22および設定テーブル24T、属性表現画像データ24のデータ構造は、後で説明する。
文字データ26は、地図中に表示される文字を表すデータである。
ネットワークデータ28は、道路をリンクおよびノードの集合で表した経路探索用のデータである。
【0032】
サーバ100の各機能ブロックは、それぞれ以下の機能を提供する。
送受信部101は、ネットワークNEを介して、端末10と種々のコマンドやデータ等の授受を行う。本実施例においては、例えば、経路探索や地図表示に関するコマンド、地図データベース20に格納された各種データなどが授受されることになる。
データベース管理部102は、地図データベース20からのデータの読み出しを制御する。
経路探索部103は、地図データベース20を利用して、ユーザから指定された出発地から目的地までの経路探索を実行する。経路探索には、ダイクストラ法などの周知の方法を適用することができる。
【0033】
端末10は、CPU、ROM、RAM、およびハードディスクドライブ等を備えている。そして、CPUは、ハードディスクドライブに記憶されたアプリケーションプログラムを読み出して実行することによって、送受信部12、表示制御部13として機能する。表示制御部13は、投影図生成部14と、属性表現画像重畳部15と、文字表示制御部16とを備えている。これら各部の少なくとも一部を、ハードウェアによって構成するようにしてもよい。
【0034】
コマンド入力部11は、経路探索、地図表示に関するユーザの指示を入力する。
送受信部12は、ネットワークNEを介して、サーバ100と種々のコマンドやデータ等の授受を行う。
データ保持部17は、サーバ100から取得されたデータを一時的に保持する。
位置情報取得部18は、GPS(Global
Positioning System)や電磁コンパスなどのセンサによって、端末10の現在位置および方位など、経路探索、経路案内に必要な情報を取得する。
投影図生成部14は、地図データ22を用いて、透視投影法によって地物を3次元的に描画した投影図を生成する。属性表現画像重畳部15は、属性表現画像データ24等を用いて、投影図上に属性表現画像を重ねて表示させる。文字表示制御部16は、文字データ26を用いて、地物に関する情報を表す文字の投影図上への表示を制御する。表示制御部13は、投影図生成部14、属性表現画像重畳部15および文字表示制御部16の動作を制御し、これらによって生成された3次元地図を、端末10の表示装置30に表示する。
なお、本実施例では、3次元地図の表示モードとして、昼間の風景を表示する表示モードである「昼景モード」と、夜間の風景を表示する表示モードである「夜景モード」とが用意されている。
【0035】
B.地図データ:
図2は、地図データ22の内容を示す説明図である。
図2(a)に示したように、地図データ22においては、各地物に対して固有の地物IDが付与され、地物ごとに図示した種々のデータが管理されている。
「種別」は、「建物」、「道路」、「鉄道」、「海」、「湖沼」、「河川」、「山林」「田畑、草原」等、地物の種類を表している。
「名称」は、地物の名称である。
「3次元モデル」は、各地物を3次元的に表示するためのポリゴンデータである。このデータは、本発明における描画データに相当する。
「テクスチャ」は、テクスチャマッピングにおいて、地物(3次元モデル)の形状に合わせて貼り付けられる画像である。
「属性」は、地物の種別に応じて、地物の種々の性質を表すデータである。
図2(b)に示したように、例えば、地物の種別が建物であれば、高層ビル、オフィスビル、家屋など建物の詳細な種別(詳細種別)や、建物の高さまたは階数、建物の幅などが属性に含まれる。また、
図2(c)に示したように、地物の種別が道路であれば、高速道路、国道、県道、一般道路、細街路などの道路の詳細な種別(詳細種別)や、道路の車線数、道路の幅などが属性に含まれる。
【0036】
C.属性表現画像:
図3は、設定テーブル24Tおよび属性表現画像データ24の一例を示す説明図である。設定テーブル24Tは、地物の外観を修飾するために用いる属性表現画像を規定している。本実施例では、地図の表示モードとして昼景モード、夜景モードを有しているため、属性表現画像も表示モードごとに設定されている。属性表現画像データ24は、属性表現画像を表示するための2次元の画像データを識別情報IDと対応づけて記憶しているデータベースである。
設定テーブル24Tにおいて、図示する通り、属性表現画像は、地物の種別・詳細種別に対応づけられている。
道路・高速道路の昼景モードには識別情報ID1が格納されている。これは、属性表現画像データ24の識別情報ID1、即ち自動車の画像データを属性表現画像として用いることを表している。一方、夜景モードには、「光源(オレンジ)」が設定されている。これは、グラフィックスライブラリの機能を用いて地図描画時に、道路に設置される街路灯(ナトリウム灯)のオレンジ色の光を表す球形の光源画像を生成し、表示することを表している。同様に、国道に対しては、昼景モードでは高速道路と同じく識別情報ID1「自動車」を用いるが、夜景モードでは「光源(白)」のように色の異なる光源を用いるものとした。県道では、昼景モードでは、属性表現画像を用いない設定としている。このように道路の種別に応じて、設定を変えることにより、種別ごとの外観を表すことができる。
同様に、属性表現画像データ24に用意された画像データを用いるものとしては、それぞれ昼景モードにおいて、鉄道の識別情報ID2「列車」、海・港の識別情報ID3「船舶」、山林・針葉樹林の識別情報ID4「針葉樹」、山林・広葉樹林の識別情報ID5「広葉樹」などがある。
一方、描画時に生成するものとしては、夜景モードで使用されるものとして、建物の窓から漏れる蛍光灯の白色光を表す四角形および丸形の窓光源画像、高層ビルの屋上等に設置された航空障害灯の赤色光を表す丸形の航空障害灯画像、船舶に灯される船光源画像がある。また、昼景モードで使用されるものとして、海の波の輝きを表す波光源画像、波しぶきを表す白点画像などがある。属性表現画像は、その他、種々の地物に対して用意することができる。
【0037】
D.経路案内処理:
以下、実施例のナビゲーションシステムで経路探索および経路案内を行う場合の処理を例にとって、実施例における3次元地図の表示制御について説明する。
図4は、経路案内処理の流れを示すフローチャートである。端末10とサーバ100の処理内容を区別して記載してはいないが、この処理は、両者が連携して実行する処理である。
処理を開始すると、ナビゲーションシステムは、出発地、目的地、および表示モードの指示を入力する(ステップS10)。出発地は、位置情報取得部18によって取得した現在位置をそのまま用いるものとしてもよい。表示モードとしては、昼間の風景を表示する表示モードである「昼景モード」と、夜間の風景を表示する表示モードである「夜景モード」とが用意されている。表示モードは、ナビゲーションシステムに、時刻を取得する機能を備えるようにし、経路案内処理を実行する時刻に応じて、自動的に切り換えるようにしてもよい。
【0038】
次に、ナビゲーションシステムは、ユーザからの指定に基づき経路探索処理を実行する(ステップS12)。この処理は、サーバ100が地図データベース20に格納されたネットワークデータ28を用いて行う処理であり、ダイクストラ法などの周知の方法によって行うことができる。得られた経路は、端末10に送信される。
【0039】
経路探索の結果を受け、端末10は、3次元地図表示を行いながら、以下の手順で経路案内を実行する。
まず、端末10は、GPS等のセンサから現在位置を入力し(ステップS14)、3次元地図を表示する際の視点位置、視線方向を決定する(ステップS16)。視線方向は、例えば、現在位置から目的地へ向かう経路上の将来位置を見た方向とすることができる。視点位置は、例えば、現在位置から所定距離だけ後ろとすることができ、視点の高さおよび角度(仰角、俯角)は、予め設定された値から、ユーザが任意に調整可能としている。
【0040】
そして、端末10は、3次元地図表示処理を実行する(ステップS18)。3次元地図表示処理については、後から詳しく説明する。
端末10は、ステップS14〜S18までの処理を、目的地に到達するまで(ステップS20:YES)、繰り返し実行する。
【0041】
E.3次元地図表示処理:
本実施例では、
図3で説明した種々の属性表現画像を描くことによって、地物の外観を修飾して3次元地図を表示する。属性表現画像の表示は、種々の方法で行うことができるが、まず、3次元モデルを透視投影して得られる投影図上に、2次元で属性表現画像を描いた属性表現画像レイヤを重畳する方法を説明する。
【0042】
図5は、本実施例の3次元地図の表示方法を示す説明図である。3次元モデルと投影図と属性表現画像レイヤとの関係を模式的に示した。投影図は、3次元モデルを透視投影することによって描画された2次元画像である。透視投影による投影図では、下方の領域ほど、近景の3次元モデルが大きく描画され、上方の領域ほど、遠景の3次元モデルが小さく描画され、遠近感が表現される。
属性表現画像レイヤは、属性表現画像が2次元で描画されたレイヤであり、投影図とは別に用意される。属性表現画像レイヤにおける各属性表現画像の表示位置は、例えば、各地物について投影図内での2次元座標を取得し、この座標値を基準として属性表現画像の表示位置を決めるようにすることができる。各地物の3次元モデルに基づいて、属性表示画像の表示位置を3次元空間内で求めた後、透視投影と同様の座標変換を施して2次元画像内の座標を求めるようにしてもよい。属性表現画像レイヤは、投影図の前面に重ね合わされる。
属性表現画像レイヤにおいては、投影図における地物と同様に、上方の領域ほど、属性表現画像が縮小されて描画される。こうすることによって、属性表現画像にも遠近感を付与することができる。
【0043】
図6は、3次元地図表示処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、
図4に示した経路案内処理におけるステップS18に相当する処理であり、端末10が実行する処理である。
処理を開始すると、端末10は、視点位置、視線方向、表示モードを入力する(ステップS100)。次に、端末10は、地図データベース20から、視点位置および視線方向に基づいて定まる表示対象エリア内に存在する地物の3次元モデルと、各地物に対応する属性表現画像データ24とを読み込む(ステップS110)。
そして、端末10は、3次元地図の表示モードが昼景モードであるか夜景モードであるかを判断する(ステップS120)。表示モードが夜景モードである場合には、端末10は、3次元モデル、および、その背景の全体を暗色化する(ステップS130)。一方、表示モードが昼景モードである場合には、端末10は、ステップS130をスキップしてステップS140に処理を進める。
そして、端末10は、ステップS100で設定された視点位置、視線方向に基づいて、陰線消去を行いつつ、透視投影法によってレンダリングを行い、地物を3次元的に描画した投影図を生成する(ステップS140)。
そして、端末10は、各地物について投影図内での2次元座標値を取得し、この座標値を基準として、属性表現画像レイヤにおける属性表現画像の表示位置を設定する(ステップS150)。このとき、端末10は、表示モードに応じて、各地物に対応し、地図データベース20に格納されていない属性表現画像(
図3参照)を、グラフィックスライブラリの機能を用いて生成し、この属性表現画像の表示位置も設定する。
そして、端末10は、投影図内での各地物の表示位置に応じて、属性表現画像のサイズを拡縮する(ステップS160)。属性表現画像のサイズは、地図の縮尺に応じて、投影図内の上下方向の中央に表示される地物を基準とした基準サイズが設定されており、端末10は、地物の表示位置が下方ほど、属性表現画像のサイズを拡大し、地物の表示位置が上方ほど、2次元の光源画像のサイズを縮小する。
そして、端末10は、属性表現画像描画処理を実行する(ステップS170)。属性表現画像描画処理は、属性表現画像レイヤ上に、2次元で属性表現画像を描画する処理である。
図3に示した通り、属性表現画像には、種々の種類が存在するが、その種別に応じて描画方法が異なるため、具体的な処理内容については、後から説明する。
属性表現画像描画処理が終了すると、端末10は、表示対象となる文字データを読む込み、地図上に、各文字を重ねて表示する(ステップS180)。
以上の処理によって、端末10は、3次元地図表示処理を終了する。
【0044】
図7は、建物用属性表現画像描画処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、
図6に示した3次元地図表示処理におけるステップS170(属性表現画像描画処理)の一部に相当する処理であり、表示モードが夜景モードである場合に、表示対象内エリアに存在する建物について、順次、実行される。
処理を開始すると、端末10は、処理対象の建物を選択する(ステップS200)。そして、端末10は、その建物の属性情報に基づいて、属性表現画像である窓光源画像の表示態様を設定する(ステップS210)。端末10は、N階建ての建物に対して、M個の窓光源画像を設定する。本実施例では、ステップS210の枠内に示したように、1〜5階建ての建物に対しては1個、6〜10階建ての建物に対しては2個、11〜15階建ての建物に対しては3個というように、窓光源画像の数は、段階的に設定され、また、窓光源画像の数には、上限値が設定されている。窓光源画像は、建物の階数と同数としてもよいが、このように段階的に設定することにより、地図内に表示される窓光源画像の数が過剰になることを抑制できる。また、上限値を設け、一定階数以上の建物については、階数に関わらず窓光源の画像数を上限値にとどめることにより、1つの地物について窓光源画像の数が過剰となることを抑制できる。
そして、端末10は、M個の窓光源画像を、属性表現画像レイヤ(
図5参照)における建物の投影図に対応する位置(
図6のステップS150参照)に描画する(ステップS220)。本実施例では、ステップS220の枠内に示したように、窓光源画像は、半径がrである円形の画像であり、窓光源画像が複数である場合には、端末10は、窓光源画像同士が接する状態で、建物の高さ方向に並べて描画する。窓光源画像の一部は、建物の形状からはみ出してもよい。光源[1]の位置は、先に
図6のステップS150で得られている表示位置を用いる。M番目の窓光源画像である光源[M]は、1番目の窓光源画像である光源[1]の位置を基準として、上下方向にオフセットして描画される。このときのオフセット量は、下記式(1)によって算出される。
オフセット[M]=(−1)
M×2r×ROUNDUP((M−1)/2,0)・・・(1)
ここで、「ROUNDUP(X,0)」は、数値Xの小数第1位を切り上げる関数である。
また、図示は省略しているが、端末10は、処理対象の建物に対して、航空障害灯の光源画像が設定されている場合には、航空障害灯の光源画像を、例えば、建物の屋上の角に対応する位置に描画する。
以上の処理によって、端末10は、建物用属性表現画像描画処理を終了する。
【0045】
光源画像の配置は、この他、種々の態様をとり得る。光源同士を離してもよいし、所定数以上では、2列以上に分けて表示してもよい。光源[1]を表示する位置によっては、光源[M]は、光源[1]から上方向または下方向に順次並べて表示してもよい。光源は、光源[1]の表示位置周辺の領域にランダムに配置してもよい。
【0046】
図8は、道路用属性表現画像描画処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、
図6に示した3次元地図表示処理におけるステップS170(属性表現画像描画処理)の一部に相当する処理であり、表示対象内エリアに存在する道路について、順次、実行される。
処理を開始すると、端末10は、処理対象の道路を選択する(ステップS300)。そして、端末10は、その道路の属性情報および表示モードに基づいて、描画すべき属性表現画像を設定する(ステップS310)。ステップS310の枠内に示したように、例えば、処理対象の道路が高速道路である場合において、表示モードが昼景モードである場合には、端末10は、属性表現画像として、自動車の画像を選択する。また、例えば、処理対象の道路が高速道路である場合において、表示モードが夜景モードである場合には、端末10は、属性表現画像として、街路灯を表すオレンジ色の光源画像を選択する。
そして、端末10は、選択した属性表現画像を、属性表現画像レイヤ(
図5参照)における道路の形状内に描画する(ステップS320)。
ステップS320の枠内の左側に示したように、端末10は、表示モードが夜景モードである場合、街路灯の光を表す複数の光源画像を、道路に沿って等間隔に配置されているように描画する。本実施例では、道路はポリゴンではなくラインに線幅を持たせて描画するものとしている。そこで、端末10は、道路のレンダリングの際に、ラインデータの通過点P1、P2、P3の投影後の座標を表示位置として取得しておく(
図6のステップS150参照)。そして、ステップS320の処理では、これらの通過点P1〜P3の座標に基づき、属性表現画像レイヤ上での道路のラインを求め、このラインに沿って所定の間隔dで光源画像を配置していくのである。間隔dは地図表示の縮尺等に基づき任意に設定可能である。透視投影された画像では、上方つまり遠景では距離の縮尺も詰まることを考慮し、間隔dを上方に行くほど順次、短くしてもよい。
このとき、端末10は、道路の種別や車線数に応じて、光源画像の配列を変化させる。端末10は、例えば、車線数が多い高速道路については、光源画像を2列に配列し、車線数が少ない細街路については、光源画像を1列に配列する。2列以上で光源画像を表示するときには、道路ラインから道路の幅方向にオフセットした位置に光源画像を配置すればよい。このときのオフセット量は、道路から大きくはずれないよう、道路の線幅に基づいて設定することが好ましいが、必ずしも道路内に収まるようにする必要はない。かかる態様で光源を表現することにより、道路ラインに沿うという拘束条件下で光源を描画することができる。
表示モードが昼景モードである場合は、端末10は、ステップS320の枠内の右側に示したように、道路上に自動車の画像がランダムに配置されるように描画する。道路ラインの特定方法は夜景モードの場合と同様である。自動車の画像の配置位置は、道路ライン上の位置を乱数によって決めてもよいし、自動車同士の間隔を乱数によって決めても良い。自動車の画像を表示する際も、道路の種別や車線数に応じて2列以上に変化させてもよい。ただし、自動車の画像の場合は、光源よりも拘束条件が厳しく、道路の線幅からはみ出さないようにオフセット量を決定する必要がある。
以上の処理によって、端末10は、道路用属性表現画像描画処理を終了する。
【0047】
建物および道路以外の地物についての属性表現画像描画処理は、上述した道路用属性表現画像描画処理とほぼ同じである。すなわち、端末10は、処理対象の地物を選択し、その属性情報および表示モードに基づいて、描画すべき属性表現画像を設定し、属性表現画像レイヤにおいて、投影図に対応する位置に、属性表現画像を描画する。ただし、端末10は、属性表現画像が地物と物理的な結びつけられた画像であるか、地物と物理的に結びついていない画像であるかに応じて、属性表現画像の描画位置についての条件を切り換える。
地物に物理的に結びついていない属性表現画像としては、例えば、海岸線の波しぶきを表す画像が挙げられる。この場合、端末10は、海を表すポリゴンに対し、波しぶきを表す白い点、線などを、海岸線付近に、ランダムかつポリゴンの境界からはみ出すことを許容する。また、地物に物理的に結びついている属性表現画像としては、例えば、海に浮かぶ船舶、田畑や山などに生えている植物などを表す画像が挙げられる。この場合、端末10は、例えば、地物を表すポリゴンからはみ出さないという条件、境界上または境界から所定の距離範囲内という条件で、属性表現画像の描画を行う。
このように、地物に応じて属性表現画像の描画位置についての条件を切り換えることによって、種々の地物について多様な属性表現画像を表示することが可能となり、3次元地図のリアリティを向上させることができる。
【0048】
図9は、表示モードが夜景モードである場合の3次元地図(鳥瞰図)の表示例を示す説明図である。この3次元地図は、上述した3次元地図表示処理(夜景モード)によるものである。実際の地図では、空は紺色で描かれるが、
図9では、空と山との境界を明確に表すため、空は白色で描かれている。また、地図中の文字は省略されている。
表示装置30の表示画面WDには、図示するように、破線で囲って示した領域A近傍に、建物の窓から漏れる光等を表す光源画像が集中して表示され、多数の建物が立ち並ぶ都会の夜景がリアルに表現されている。また、表示画面WDには、道路の街路灯の光等を表す光源画像が線状に表示され、道路RD等、複数の道路の夜景がリアルに表現されている。
【0049】
以上説明した本実施例のナビゲーションシステムによれば、3次元地図において、投影図上に属性表現画像を重ねて表示することによって、疑似的かつ簡易的に地物の外観的な属性を表現することができる。したがって、比較的軽い負荷で、3次元地図のリアリティを向上させることができる。
【0050】
F.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
【0051】
F1.変形例1:
上記実施例では、3次元地図の表示モードが夜景モードである場合に、建物の階数に応じた数の光源画像(窓光源画像)を配置するものとしたが、本発明は、これに限られない。
図10は、変形例の光源画像の表示態様を示す説明図である。
図10(a)に示したように、建物の高さが高いほど、丸形の光源画像の大きさを大きくするようにしてもよい。また、
図10(b)に示したように、建物の高さが高いほど、光源画像を縦長の楕円形に変形させるようにしてもよい。このような表示態様によっても、建物の高さを疑似的に表現することができる。
【0052】
F2.変形例2:
上記実施例では、道路用属性表現画像描画処理において、街路灯の光を表す光源画像を、属性表現画像レイヤにおける道路の形状内に描画するものとしたが、本発明は、これに限られない。
図11は、変形例の道路用属性表現画像描画処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、3次元地図の表示モードが夜景モードである場合に、
図6のステップS130の直後に、表示対象内エリアに存在する道路について、順次、実行される。
処理を開始すると、端末10は、処理対象の道路を選択する(ステップS400)。そして、端末10は、その道路の属性情報に基づいて、街路灯の光を表す属性表現画像としての光源画像を表示させるための球体の光源モデルを設定する(ステップS410)。処理対象の道路が高速道路である場合には、端末10は、オレンジ色の球体モデルを設定する。また、処理対象の道路が国道や県道である場合には、端末10は、白色の球体モデルを設定する。球体モデルの直径は、例えば、道路幅以内で任意設定可能であり、例えば、道路幅の1/10とすることができる。
そして、端末10は、設定した光源モデルを、3次元空間上で、道路に沿って配置する(ステップS420)。本実施例では、ステップS420の枠内に示したように、道路に沿って等間隔dであって、道路から高さhの位置に、球体の光源モデルを配置するものとした。
そして、端末10は、
図6のステップS100で設定された視点位置、視線方向に基づいて、透視投影法によって、光源モデルおよび地物の3次元モデルのレンダリングを行い、光源画像が重ねて表示された投影図を生成する(ステップS430)。
以上の処理によって、端末10は、道路用属性表現画像描画処理を終了する。
本変形例の道路用属性表現画像描画処理によれば、街路灯の光を表す光源モデルに対しても透視投影が行われるため、街路灯の光を表す光源画像に対して、地物の3次元モデルと同様の遠近感を与えることができる。
【0053】
F3.変形例3:
上記実施例では、3次元地図表示処理において、属性表現画像を属性表現画像レイヤに描画して、これを投影図に重ね合わせるものとしたが、本発明は、これに限られない。
図12は、変形例の属性表現画像描画処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、3次元地図の表示モードが夜景モードである場合に、
図6のステップS130の直後に、実行される。
処理を開始すると、端末10は、処理対象の地物を選択する(ステップS500)。そして、端末10は、その地物の属性情報に基づいて、対応する属性表現画像(光源画像)を設定する(ステップS510)。そして、端末10は、地物の位置座標に従って、属性表現画像を1つの平面上に配置する(ステップS520)。ステップS520の枠内に、この様子を模式的に示した。図示した例では、端末10は、建物については、建物の位置座標と対応する位置に、建物の高さに応じた大きさの丸形の光源画像を配置する。また、端末10は、道路については、道路の位置座標と対応する位置に、街路灯の光を表す丸形の光源画像を道路に沿って等間隔に配置する。1つの平面上に複数の地物についての属性表現画像が配置されたものを、属性表現画像テクスチャと呼ぶ。
そして、端末10は、処理対象となるすべての地物について、すべての属性表現画像を配置したか否かを判断する(ステップS530)。すべての属性表現画像を配置していない場合には(ステップS530:NO)、端末10は、処理をステップS500に戻す。一方、すべての属性表現画像を配置した場合には(ステップS530:YES)、端末10は、属性表現画像テクスチャを3次元モデル上に貼り付ける(ステップS540)。
そして、端末10は、
図6のステップS100で設定された視点位置、視線方向に基づいて、透視投影法によって3次元モデルのレンダリングを行い、光源画像が重ねて表示された投影図を生成する(ステップS550)。
以上の処理によって、端末10は、属性表現画像描画処理を終了する。
【0054】
F4.変形例4:
図13は、他の変形例の属性表現画像描画処理の流れを示すフローチャートである。本変形例の属性表現画像描画処理は、個々の建物を視認できない程度の広域図を表示する場合の処理である。本変形例の属性表現画像描画処理の流れは、
図12に示した変形例の属性表現画像描画処理とほぼ同じである。この処理も、3次元地図の表示モードが夜景モードである場合に、
図6のステップS130の直後に、実行される。
処理を開始すると、端末10は、処理対象の地物を選択する(ステップS600)。そして、端末10は、その地物の属性情報に基づいて、対応する属性表現画像(光源画像)を設定する(ステップS610)。そして、端末10は、地物の位置座標に従って、属性表現画像を1つの平面上に配置する(ステップS620)。ステップS620の枠内に、この様子を模式的に示した。図示した例では、端末10は、建物については、建物の位置座標と対応する位置に、建物の高さに応じた大きさの丸形の光源画像を配置する。また、端末10は、道路については、道路の位置座標と対応する位置に、街路灯の光を表す丸形の光源画像を道路に沿って等間隔に配置する。この図において、建物の3次元モデルが破線で描かれているのは、建物については、3次元モデルのレンダリングを行わないことを表している。
そして、端末10は、処理対象となるすべての地物について、すべての属性表現画像を配置したか否かを判断する(ステップS630)。すべての属性表現画像を配置していない場合には(ステップS630:NO)、端末10は、処理をステップS600に戻す。一方、すべての属性表現画像を配置した場合には(ステップS630:YES)、端末10は、属性表現画像テクスチャを3次元モデル上に貼り付ける(ステップS640)。このとき、端末10は、建物の3次元モデルを除去した上で、属性表現画像を貼り付ける。
そして、端末10は、
図6のステップS100で設定された視点位置、視線方向に基づいて、透視投影法によって、建物以外の3次元モデルのレンダリングを行い、光源画像が重ねて表示された投影図を生成する(ステップS650)。この投影図では、建物の3次元モデルは投影されないが、建物に対応する光源画像は投影される。
以上の処理によって、端末10は、属性表現画像描画処理を終了する。
【0055】
F5.変形例5:
上記実施例および変形例で説明した種々の処理は、必ずしも全てを備えている必要はなく、一部を省略したり、他の処理と置換したりしても構わない。
【0056】
F6.変形例6:
上記実施例では、本発明の3次元地図表示システムをナビゲーションシステムに適用した例を示したが、経路探索・経路案内機能とは無関係に、3次元地図を表示するための装置として構成することも可能である。
【0057】
F7.変形例7:
上記実施例において、ソフトウェア的に実行されている処理は、ハードウェア的に実行してもよいし、その逆も可能である。